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てかもうローグライクとかデッキビルドとか疲れません? ぼくは疲れました

 先般INDIE LIVE EXPOというWeb番組があって,インディーゲーム500本紹介とか言って友達のゲームも出るってことなんで見てたんですが,もう出てくるゲームの大半がナラティブ,ローグ〇〇,インタラクティブ,デッキビルドみたいな感じで心底うんざりしてしまったのは記憶に新しい……とか言おうと思ったら11月でした。2か月前やね。君たちが言う作家性,君たちが言う本当に作りたいもの,まだ世の中にない独自の価値観とはしょせんその程度,ということです。

 では新年入ってからさっそく遊んだゲームについてでも

Hades


 ローグライクを体系的に役割づけたPDL理論っていうのが海外ではあって,プロシージャル(自動生成)デス(パーマネントデス。恒久的な死),ラビリンス(迷宮)っていう3語の略語で出来てるんですけどっていう話は前にしたと思うんですが差し当たってHadesです。評判は良く,出来も悪くなかったんですが僕の好みではありませんでした。やった範囲としては1回ハデス倒すところまで(10回倒すこと=10回ゲームクリアすることで差し当たりストーリーのクリアになるそうです)

 アクションの気に入らん箇所としては敵がむやみに硬くてワンプレーダレがちとか,スーパーアーマーの雑魚のラッシュが発生すると引き撃ち必須になってちまちましたゲームプレーがみみっちくなりがちみたいな所に集約されて,それはまあ別に好み的な部分もあると思うしそういうチマチマした戦闘作業が好き,嫌いっていう人はいるだろうし全然どうでもいいと思うんですよ。

 単純に良くないなーと思ったのは蓄積の部分です。このゲーム,キャラの会話がめちゃくちゃパターン数多くて,実際図鑑にも「あと何十回このキャラと会話したら図鑑の内容がアンロック」みたいな事が書かれるぐらいそれを要求してくるんですけど,図鑑の内容とかキャラ紹介解放とかはフレーバー的なものなので全然いいんですが,ゲームの基礎的な部分に関わるところのアンロックがあまりにも多すぎるのがちょっと残念だったなーと思います。


 主だって,建材,ダイヤ,闇の結晶,鍵,ティタンの血,ネクタル,アンブロシアといったゲーム内蓄積アイテムがあり,それらを使って様々なゲーム内容をアンロック・進行させることが出来るんですが,これらが相互に交換可能なので「建材使って新しい施設を作りたいけど先に鍵でキャラクターの強化を解放したいな~」みたいな風にトレードオフが発生するんですよね。そこ自体は「あれが足りないこれが足りない」みたいなのを解決する手法として面白い方法だと思います。

(ネットから画像拾ってきた)


 でも良くない点が2つあって,1つはコストが重すぎです。「まだクリアしたことない武器で1周したら1個手に入る」みたいなアイテムを3つとか4つ要求されるアップデートとかザラに出てくるのは本当に良くない。しかも解放と強化のコストが比例するので初期装備の強化は全強化して5個しか使わんのに後半のアイテムは20個くらい必要とかの重さがめちゃくちゃきついです。入手数が限られている(厳密に言うと完全に限定ではないのですが)アイテムの使い方をユーザーに悩ませるにしてはちょいやりすぎかなと思います。

 2つ目は,やりすぎかなと思っている点にも関わるのですが,強化や成長,解放で手に入る要素が「基本的なもの」ばっかりなんですよね。たとえば「冥夜の鏡」という主人公の基礎能力を強化するシステムは「ダッシュ回数+1」とか「残機を増やす」とか「特殊ショットを撃ち込んでる敵に与えるダメージを増やす」みたいなのがほとんどで,しかも強化上限値がそんなに高くない所があり,また強化した状態から基本的に下がる事がないし,何かとトレードオフで強化するみたいな面もないので,全部強化し終わってる状態が前提のステータスとしてゲーム前段では扱われることになるはずなんですよね。

 武器の強化とかも同じで,攻撃スピードが速い「拳」タイプは通常攻撃速度がレベルアップによって上昇しますし,「銃」は初期弾数が増える,「盾」は基礎ダメージが増えるという具合に,これも不可逆の強化で,しかも基礎的なものなのがとにかく納得いかね~~。

 ほかにも施設のアンロックはHP回復ポイントが各地に設置される,特定のアイテムを取得したら最大HPが増える,釣りが出来るようになるなどこれもまた無いとまあまあ困るものが多いです。

 やりこめばやりこむほどプレイヤーが強くなる,機能が改善されていって良くなっていくみたいな感じを表現したかったのかもしれませんが,こういう「遊びの幅が慣れて広がっていくための解禁措置」じゃないアップデート・アンロックははっきり言って悪手,後手後手もいいところじゃないかなと思います。つまり初期状態のプレイヤーはハンディを背負わされた状態でプレーしており,それが段階的にアンロックされるという構造になっており,Hadesの真なるプレー体験をするためには猛烈な周回と貢ぎプレーの果てにあるキャラ強化を成し遂げることが前提となってるのが嫌だな~と感じました。

 (釣り 釣りもまあまあ楽しいんだけど解禁される頃にはゲーム飽きてた)


 とはいえ実際問題1回クリアするだけならそこまでめちゃくちゃ難しいとかではないので別に強化は全然適当でもいいですし,アンロック要素も気になる奴だけ開いていけばいいんですけど,でも心情としては嫌じゃないですか。シレン5皆さんやりましたか? 白紙埋めとか技埋めとか嫌気がさしませんでした? ぼくはローグライクとかほざいてるゲームの本質が持ち込み不可なら持ち込み不可,その範囲で持ち込める進行や進捗があるならそれは最初からアンロックしてろやという思想がままあり,しかしこういう話で言うとslay the spireですらまず全部のキャラのレベル上げを追えることでデッキプールに主要アーティファクトが居並ぶといった事象もあるので思い返すと若干腹立ってきたな。


 まあ百歩譲ってその繰り返し部分と解禁部分がクソだるいのは置いとくとしましょう,何なら初期状態でも主人公はそこそこ戦えますし,解禁をすべて行わなくても途中で拾える神々の守護や強化アーティファクトは十分に強いのでゲーム的にはそこのピックを上手にやっていけるかという面の方が攻略の根幹的な部分としてはあります。

 しかしそうすると今度は本編が全然面白くねえんだよな~~~。何が面白くないかというと,面構成がずっと同じなんですよ。一応1ボスと2ボスは見た目がちょっと変わって行動パターンもちょっと変わるコンパチブル,3ボスも神の力を借りた奥義が毎回変わってそこが違う,みたいな要素はあるんですが,だから何? みたいな。確かに毎回ガチャガチャステージ構成とボス構成が組み変わってその都度対処が変わるような仕組みは後半にきついステージが選ばれるようなだるさとかはあるんですけどそれにしても代わり映えのしなさなんですよね。このゲーム敵がとにかく硬くて,雑魚もボスもカッチカチでこっちがめちゃくちゃ全力で殴って100点とかダメージ出るくらいなのにボスはHPが10000とか20000とかあったりするのでまあそういう感じなんですけど,もうそれがだるくないですか? 回復手段も限られているのでイケイケドンドンで殴るわけにもいかず基本的にはちまちまと隙をついて攻撃するんですけどねむたいな~と思います。

 何べんやってもカッテェボスが同じように立ちはだかるし,道中に出てくる雑魚も同じメンツが延々続くので,繰り返したときに全然楽しくないんですよ。1回クリアしてもう満足したなと思ったら10回クリアすることでエンディングですと言われて心底びっくりしてしまいました。

 なのでクリア後はMODを入れて強化アイテムを好きなだけ入手,全解禁ボタンを押して全部要素を解禁して満足しました。10回クリアはしてないです。

プレー時間は10時間くらい。


 最初から最高強化状態だったら色々試すことが出来たのであと9回やってたかもなぁとは思いました。少なくとも序盤は特定のビルドを助長するような形でしか強化を進めていくことができないのでどうしても「1回クリアしたら難易度を上げて再チャレンジしてみてね」「違う武器種でのクリアも試してみてね」みたいな提案を受け入れにくいんですよね。高難易度モードみたいなのもどうなのかなーと思っていて,難しくするのであればそれに見合った挑戦みたいなものがプレイヤーに与えられるべきだと思うんですよね。ただ難しくなっていきます,報酬は同じっす,って言われたときにそうですか,って受け入れるプレイヤーは少ないと思うんですが。

 周回プレーするゲームなのにゲーム構造が周回プレーに耐えられる作りになっていない(周回プレーすることはそりゃ可能だけど,周回プレーが本質になっていない),これがぼくのHadesの評価です。以上終わりです。

Noita


 Enter the Gungeonを遊んだ時に「このゲームはゲームではなく,ゲーム外でランダムに振ったサイコロの出目が結果を左右してるに過ぎない」みたいな事を言ったんですがまだかわいい方でしたね。Noitaは正味つまらんと思います。プレー時間は45時間くらいで,360プレーくらいで初クリアしました。


 ぶっちゃけこのゲームに対して褒めたいところが1個もなく,何か口を開けば文句しか出ないんで,もうこのゲームに対してなんか言うのも疲れてしまったのですが,まず最初に1個だけいいですか? これ1個言ったら火がつくかもしれんから

 「Noita独自の体験」って何? ワールド環境破壊,不条理な死や完全に冤罪の敵対認定,育成の繰り返し,パーマ死の徒労感,低層ループ,一方的な不利,過剰すぎるアイテムやパークのプールからのめちゃくちゃ限られた数のピックによる振れ幅の広さ,魔法を組み合わせて新しい魔法を作成,パークや魔法のシナジー・アンチシナジーみたいな要素ですか? 全部すでにあるもので,新しいものどころか全部古臭く,そういったものの集合体で,本作独自の体験と言い切ってるんですか? 毎プレーするたびに「Noita独自の体験……(ニチャア……)」って言われるので実はここに一番ムカついていました。ゲーム中のあらゆる要素より「Noita独自の体験」という言葉にキレ続けながら遊んでいました。

 しかし改めてストアページのPV見てるけど詐欺みてえな内容だな。基本どこ杖持って最強パークとスペルセット組み合わせてみたいな段階からスタートしてるし。おれが知らないだけでクリエイティブモードがnoitaにも存在するのかな? 地形どっかんどっかん破壊してオイルは燃えて雪は解けコンクリは粉々に破壊されてますけど残念ながらそういうゲームじゃないですよ。

 基本的にプレイヤーは即死を避けて,1面の雑魚ですらまともに正面から撃ちあえば撃ち負けますんでひたすらひたすら引き撃ち,地形に砂金が埋まってるんで掘ってわずかな路銀を集めるといったしょうもない稼ぎを繰り返していざお店に行ったらゴミしか置いてないので絶望,という日々を繰り返すゲームだと思っています。

 この引き撃ち感,しょうもない稼ぎの繰り返し,安全確認ヨシ!しても死ぬ感じは基本全体を付随して回っていて,画面外の2倍くらいの距離からいきなり高速でスナイパー弾が飛んできて死ぬとかはもう全然あるし,何なら画面とか関係なく目の前にいきなり死が沸いてきて何もしてないのに死ぬとか全然あり,死にざまが面白いとか言ってるのも最初5分くらいで,全世界にまんべんなく並べられた不条理な初見殺し,何なら落ちてるアイテムや店で売っているアイテム,各種パークの中には拾ったり使った瞬間死んでしまうものもあり,そういう即死要素を食らい続けてなお面白いと思い続けられる人はまあなかなかすごいと思います。


 もちろん勝率を高める行動はあるし,ぼく自身繰り返しプレーすることで後半ステージに侵入することが成功する確率は徐々に上がっていき結果的に勝てたわけだし,高難易度モード何十連続クリアとかしてる人もいるんで上達を繰り返していけば連勝も出来るんでしょうけど,それはたぶんnoitaの上手さみたいなもんではないと思っています。そしてnoitaの面白さみたいなものでもないと思います。すべてたまたまそうなっているだけで,たまたまそうなっている部分が良かった人がnoitaを遊び続けることが出来るのだと思います。not for meとかヌルい表現がありますけど,ぼくはこのゲームを素直にゴミだと思いました。MOD入れたら遊べるみたいな話も結構あるけど,ぼくは外人じゃないのでMOD文化になじみもなく,しかもこの基礎ルールでMODを許容するってそれはもうゲーム作るの諦めましたと同義だろと思って心底あきれています。でもまあnoitaから何か1個要素を取り除くとすればローグライク要素かな。死んでも別にどうでもいいようになったらそれだけで万人におすすめ出来るいいゲームになると思います。これはぼくの好みですけど。


 この手のゲームをぼくは binding of isaac 以後,あるいは spelunky (XBLA版)以後と呼称していることが多いのですが,数百とか数千みたいなアイテムプールから数個~数十個ランダムにピック,さらにその内から実際に選べるのは数個みたいな状況においてまともなビルドが組める確率は低く,じゃあどうするのかと言ったらひたすら低層の稼ぎを繰り返すということになるわけで,慣れれば慣れるほど1~3面の繰り返し時間が長くなる,何なら3面まで進んだ後1面に帰って稼ぎなおすとかいうわけわからんゲームをやらされる有様で,本当にそんなゲームが面白いと思ってんのか? ぼくは面白くないと思いながらやっていました。そういう行動をプレイヤーに強要することに意味が感じられないからです。

 このゲームは未調整のままリリースされています。というか調整という概念すら頭になかったのではないかと思います。作者は思いついた要素を全部入れ,そのことに満足し,ただその自己満足感をプレイヤーに押し付け,PVでは詐欺に全振りするという純粋なカスです。ぼくが遊んだのはごく最近ですが聞く所によるとアプデのたびに魔法やパークが追加されていくとの話です。そうなればゲームがどう変わっていくかはサルでもわかります。そこらへんも Isaac 以後とか言わしめてしまう不合理な実装です。現にnoitaは火炎耐性や電撃耐性や爆破耐性といったパークが2種類ずつあるなど意味不明な点が多々あります。ピクセル物理演算もせいぜい液体がそれっぽい挙動をするくらいで本質的には1ドットにプレイヤーが引っかかって死ぬためにしか存在していません。杖のビルドを楽しもうにもゲーム初期では確実なゴミしか手元に所持しておらず,落ちてる杖や店にある杖をピックして調整するにも枠や機会は限られています。

 クリア後に解放される高難易度ナイトメアモードではどこでも杖編集がデフォルトで置いてあるみたいですが,べつにノーマルモードでもどこでも杖編集がデフォルトで置いてあって何か問題があったんでしょうか? ていうか杖編集が聖地でしか出来ないのは何か意味があるんでしょうか? いやさ高難易度モードだと最初の配布が手厚くなるってどういった調整なんでしょうか? 高難易度モードにデフォルト装備では対抗できないのでプレイヤーの初期状態を強くしました,って幼稚園児の考えたゲームか?


 ローグライクは一見ゲームバランスを調整するのが難しそうなジャンルですが,実態はその逆で,バカやアホや,知性に問題を抱えた人間でも作ることが出来るめちゃくちゃ手抜きのジャンルです。狂った難易度のSTGを作るのと同じくらい,音ゲーで高難易度の発狂譜面を作るのと同じくらい,ストーリーでメタフィクションの物語を書くのと同じくらい,簡単かつ効果が出ます。理由はプレイヤーはゲームが上手すぎるからです。これは「俺がうますぎる」という意味ではないです。ぼく個人に関して言えばむしろヘタ側なので

 プレイヤーのゲームプレーがうますぎる事により,多少の過誤やランダム性は丸め込まれ,対策されてしまいます。一見不可能で不条理なゲームでも,法則性や攻略方法を見つけられ,先に進められてしまいます。洞察や考察によってゲームの本質が虚構に作り上げられます。そしてそういったゲームが過度な神格化を繰り返され,本来のゲームの姿と誤った形で組み上げられ,新たにそのゲームに触れようとしている人にはすでに虚像がうつしだされています。


 noitaをnoitaたらしめているゲーム部分は,強いて言うならば杖の編集とピクセル・物理演算だと思います。しかしそれらはおそらく作者の思った通りに機能していません。たまたまめちゃくちゃゲームが上手い人たちが,noitaを作者の想像を超えた形で楽しんでいるだけに過ぎません。そしてその楽しみは,べつにnoitaでなくてもよいと思うのです。しかしたまたま,noitaに何かのピントが合った人たちがnoitaを礼賛しているのではないかと考えています。Steamレビューで圧倒的好評ですが,しかしそこで評価されているのはnoita自身ではないはずです。



 ぼくは魔法ビルドに関してはmagic maker,ピクセル物理演算に関してはアガルタ(これはnoitaのパクリだと思うんですけど)が楽しかったなと思ったんで,noitaがnoita独自の体験で面白くなったらまた教えてください。

 はい! 新年早々やったゲームにぶちぎれさせていただきましたけども! いかがでしたか? hadesはこうしてみるとまあ悪くはない程度にまとまっていたように思いますね。noitaはクソつまんねえのに3連休全部潰されて最悪でしたね。ではまた

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