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こんにちは、スタジオ真榊です。「第一回」に引き続き、今回もCLIPSTUDIOを使ったAI絵の加筆修正についての特集です。前回は環境導入のお話でしたが、これからさっそく実践編ということで、破綻している手の修正方法などについて詳しく解説していきたいと思います。

AIイラストのためのCLIP STUDIO超入門 【第一回】プランとペンタブ選び、初期設定、おすすめ素材まで

こんにちは、スタジオ真榊です。11月最初の企画は、画像編集ソフト「CLIP STUDIO PAINT PRO」(以下、単にクリスタと呼びます)とペンタブを使ったAIイラストの加筆修正について、複数回にわたって特集していきたいと思います。AIイラストの目や手、衣装などの破綻部分を加筆修正したり、完成後によりリッチに見えるよう...


修正サンプルとして使用するAIイラストは、前回のサムネイルで使用したもの。DALL-E3で簡単に生成したいつものミナちゃんですが、手や目の色、リボン、セーラー服の胸部分など、直したい部分がいくつかありますね。瞳については次回紙幅を割いて解説するつもりなので、今回はそれ以外の部分について、クリスタでどのように修正すると簡単か、できるだけ平易に紹介していきます。


目次

1.キャンバスを開く

2.加工元のAIイラストを呼び出す

3.加筆修正用のレイヤーを作る

4.「コピー&ペースト」で足りない指を補う

5.右手も直してみる

 ▶【注意】「塗りつぶし修正」ができない場合

6.Photoshopの「生成塗りつぶし」で修正

7.「ゆがみ」ツールを使ってみよう

8.リボンはスポイト▶塗りつぶしでOK

9.別パターンの指修正

終わりに ~ぐちゃぐちゃな手はどうする?~



1.キャンバスを開く

まず、「ファイル」▶「新規」からキャンバスを開きます。今回は前回説明したやり方で登録しておいたプリセットから「FANBOXサムネイル」(1200x630ピクセル)を選びました。


「用紙色」にチェックすると、一番下のレイヤーに指定色の用紙レイヤーができます。「タイムラプスの記録」をオンにすると作業のタイムラプス動画が撮れますが、動作が重くなるので基本はOFF。ウェブ投稿するだけで印刷しないのであれば、解像度は72dpiが基本です。カラー印刷をする場合は原寸サイズで300~400dpi、グレースケール印刷なら600dpi、モノクロ印刷の場合は1200dpi以上が推奨されています。


2.加工元のAIイラストを呼び出す

次に、このキャンバス上に加工元となるAIイラストを呼び出します。今回は、ChatGPT経由でDALL-E3に生成させたこちらの右のイラストを利用します。


「ファイル」▶「読み込み」▶「画像」で、保存しておいたさきほどのAIイラストを選択すると、このようにキャンバス上に表示されるので、適当にサイズを合わせます。今回は横長のサムネイルを作るので、それに合わせて横長の画像を生成してあります。


クリスタの画面右下にレイヤーパレットというものがあります。レイヤーがどういうものかについては各自で検索するなどして理解していただくとして、ここでは上から順に

・「DALL-Eで生成したAI絵のレイヤー」

・透明で何も書かれていない「レイヤー1」

・真っ白で何も書き込めない「用紙レイヤー」

の順に並んでおり、不透明度はいずれも100%(透けていない)であると表示されています。

ここで注意したいのが、DALL-E絵レイヤーにある赤丸で囲んだアイコン。これは、この画像が「画像素材レイヤー」で開かれていることを示しており、この状態では直接編集する(例えばブラシで書き込む)ことができません。そのかわり、拡大・縮小・変形しても、画質が劣化しない(ジャギジャギにならない)という利点があります。「読み込み」経由でレイヤーパレットに取り込んだ画像は必ず画像素材レイヤーになるので、覚えておきましょう。


画像素材レイヤーは右クリックして「ラスタライズ」を選択することで「ラスターレイヤー」に変換され、直接編集することができるようになります。「読み込み」経由ではなく、別のキャンバスで開いてコピペすると、最初からラスターレイヤーとして取り込むこともできます。


クリスタ―のレイヤーには


・「ラスターレイヤー」:最も基本的なレイヤー。画像編集が可能。

・「画像素材レイヤー」:外部から素材を取り込み、拡大縮小変形するとき向け。

・「ベクターレイヤー」:線画の太さを変えたり、つなげたり、動かしたりを劣化なく自在にできるレイヤー(上級者向けなので、ここでは解説しません)


の三種類があるので、なんとなく覚えておきましょう。


ちなみに、こちらの🔒アイコンを押すと、レイヤーを「ロック」して一切編集できないようにすることもできます。今後、クリスタに慣れてくると自ら線画やラフ画、トンチキ絵を描くこともあると思いますが、その場合もいったん完成した線画レイヤーやラフレイヤーは「ロック」して保護しておくことをおすすめします。間違えて線画レイヤーに色を塗るなどして後の祭りになることがよくあるので、汚したくないレイヤーはロックしておく癖をつけましょう。



3.加筆修正用のレイヤーを作る

ちなみに、新しいレイヤーはいつでもパレット上で追加することができます。

この赤丸で囲ったアイコンを押すと、何も書かれていない新しいラスターレイヤーが生成されます。この画像では一番上の階層にできた「レイヤー2」がそれ。AI絵レイヤーのすぐ上に置かれていますね。画像素材レイヤーではないので、このレイヤーにはペンツールなどで自由に描きこむことができます。(※ちなみに、このサムネイルにもある白とグレーの市松模様は「そこは透明ですよ」という意味の表示です。念のため)


さて、キャンバス上を見てみましょう。このように、◯で囲った左手が4本指になっています。また、目の色がキャラ設定と異なり紫色ではないこと、なにかよくわからない物品がいろいろ映り込んでいることが気になりますね。セーラー服のデザインもおかしいところがあるし、白いリボンもポニーテールの右側にはみだしており、ここも消したいところです。


もちろんLamaCleanerやPhotoshopの生成塗りつぶしでも修正することはできるのですが、まずはクリスタ+ペンタブで直していきましょう。


4.「コピー&ペースト」で足りない指を補う

さて、レイヤーは名前を自由につけることができます。例えば、さきほどの透明レイヤーの「レイヤー2」と書かれているところをダブルクリックすると、このように編集できるウィンドウが出るので、「指」という名前に変えてみましょう。

髪も服も指も全部一つのレイヤーで修正すると、これまたあとからやり直しがきかなくなるので、部位ごとに違うラスターレイヤーを作って修正していくのがおすすめです。名前をつけないとひとめで何が描かれたレイヤーかわからず、左側の「👁️」ボタンでレイヤーごとの表示/非表示を切り替えるなどしていちいち確認する羽目になるので、こまめにレイヤー名をつける癖をつけておくと良いでしょう。ちなみに、👁️ボタンを右クリックすることでそのレイヤーのみを表示したり、👁️部分を上から下にざーっとドラッグすることで一括表示/一括非表示にしたりといったこともできます。


さて、指が4本になったり6本になったりするのはAIイラストの常。足りないときは自分で直接描いてもいいのですが、別の指を「コピペ」すると意外と簡単に修正できることがあるので、今回はその方法を紹介します。


ここでは、小指をコピペして薬指にしてみます。ツールパレットから「投げなわ選択」ツールを探して…


このように、キャンバス上で小指?をぐるりと囲みます。キャンバスが小さかったら、マウスホイールでアップにしたり、スペースキーを押しながら(手のひらツール起動)ドラッグしたりして大きく表示させましょう。

画像素材レイヤーのままだと加工しづらいので、AI絵のレイヤーをラスターレイヤーに変えましょう。小指部分の選択が上手にできたら、現在「画像素材レイヤー」になっているAI絵のレイヤーを右クリックから「ラスタライズ」し、「Ctrl+C、Ctrl+V」の順に押すと、この指部分だけがコピーされたラスターレイヤーがAI絵レイヤーのすぐ上に作られました。

さきほどの要領で、レイヤー名を「コピー指」にしました。とく小さい描写物のレイヤーはサムネイルを見ても何のレイヤーか分かりづらいので、早い段階で名前をつけておきましょう。


ここではぴったりもとの指と重なっているので画面上は変化がありませんが、こちらの「レイヤー移動」ツールを選んでキーボードの方向キーを押すと…


このように上下左右に移動することができます。カットアンドペーストではなくコピペですので、小指が2本に増えたように見えますね。


さらに、こちらの右下のアイコン(▲)から「拡大・縮小・回転」機能を起動することで、新しい小指を回転・縮小することもできます。薬指としてちょうどよく見える角度に適宜調整しましょう。


ただ、指と指が重なって表示されていると、立体構造がわかりにくいですよね。そこで、このようにレイヤーパレット右上にある不透明度の調整バーをいじって「50%」にしてみると…


このように、「コピー指」レイヤーが半分透けて見えるようになります。


あとは消しゴムツールの「ざっくり」を使い、いらない部分をこまごまと消していきます。つまり、もとからあった小指の上に重なっている部分だけを慎重になぞって消し、新しい薬指を周囲になじませるイメージです。いらない部分を消し終わったら、50%だった不透明度を再び100%に戻してみましょう。


すると、あっという間にこうなりました。自分でゼロから描き足すよりずっと楽ですね。

今度は、やや指の線画がくろぐろとしすぎている部分や、指先がなにやらおかしくなっているところが気になります。また、薬指が短すぎるように見えるので、ここは同じ肌色で「塗り足して」あげましょう。


前回説明したペンデバイスのボタンから、スポイトツールを臨時起動します。マウスで右クリックしても全く同じですが、スポイトの当たっている部分の色がキャンバスからこのように拾われ、左側のカラーパレットに肌色が表示されました。


あとは塗り絵の時間。適当に足りない部分を塗りつぶしましょう。描き込むのは「指」レイヤー。こういう細かい部分の加筆修正は「べた塗りペン」が便利です。


ベタ塗りペンは、描いた部分を完全に円形に塗りつぶすツール。ペンの「払い」「入抜き」が一切できないので、髪の毛など入り組んだ細かな部分を塗り込むのは苦手ですが、この程度なら「ブラシサイズ」を小さくすれば十分塗ることができます。


線画部分は無視して、このように指先を塗り足します。影があるところも気にせず、ざくざくと塗りつぶしてしまいます。


今度は線画部分の色を先程のやり方でスポイトして、線画部分を描き足します。さきほどは「ベタ塗りペン」で塗りましたが、今度は細い線を引くので、「Gペン」を使いました。ここは本当に好みなので、一番自分に合った線を引けるブラシを見つけましょう。前回紹介した「線画ペン」や「鉛筆」を使ってもよいです。


足りなかった指先の線画をちょちょいと書き足すと、このようになりました。


全体像はこんな感じ。このように、足りない指をイージーに増やすことができました。

ただ、引きでみると薬指と小指の第一関節がまっすぐすぎて、やや不自然に感じませんか? 人間は自分の手を毎日見ているので、手の違和感には本当に気づきやすいんですよね。


このままにするのはなんとなく気持ち悪いので、さきほどの要領で、線画をGペンで直し、足りない部分を肌色+ベタ塗りペンで修正して、「第一関節」を作りました。


さらに、人差し指だけ影があるのはおかしいので、影を足します。やり方は全く同じで、影の色を人差し指から拾ってきて、ベタ塗りペンでそれらしく塗るだけです。瞳などを塗るときはクリッピングやマスク機能というものを使って精巧に塗る(次回解説します)のですが、これくらいの小さいサイズの修正なら、いちいちクリッピングせず時短してしまうことが多いです。


正確に影の位置を考えて塗ろうとすると、「絵心」が必要になってしまいます。ここはこだわりすぎず、AIが描いてくれた他の指を参考に「なんとなくここは影になりそう」というところを細めに、控えめに塗りましょう。

もっとこだわるなら、光がどの角度から落ちているかを考慮して影をつけたり、人差し指がやや太めに見える部分も直したり、親指の頭をちょっと足したりすることもできるでしょうが、ここではこの程度でとどめました。


これくらい小さな範囲であれば、今紹介した「ベタ塗りペンでベース塗り▶Gペンで線画で囲う▶適宜影をつける」という作業でたいていの破綻は直すことができます。影はベタ塗りペンで描いてもよいですし、スプレーや筆系のブラシで塗ってもOK。AI絵のタッチに合わせて、風合いの近そうな名前のブラシを色々試すと、どんどんクリスタの使い方に慣れていきます。


5.右手も直してみる

右手もアップにするといろいろ不自然ですね。薬指が曲がっているように見えますし、親指の爪の色が黄色がかっているし、人差し指の指先がペンに沿って間延びしています。

爪は塗りつぶし、間延びした人差し指の指先は、ペンデバイス部分の黒色をスポイトで拾って短く描きなおします。中指と薬指の境界線も濃くし、妙な位置にあった薬指の先っちょを消します。


こちらが修正後の両手で、

こちらが修正前の両手。

ごく簡単な作業ですが、絵心と全く関係なくこれくらいの修正ならある程度きれいにごまかすことができます。もっとクオリティを上げたければ、さらに影やバランスを調整していったり、これを元画像としてimage2imageするのもよいでしょう。その場合はここまで正確に直す必要はなく、「トンチキ絵」のレベルでOKです。


【注意】「塗りつぶし修正」ができないケース

一点注意が必要なのは、この「塗りつぶし」による修正はアニメタッチのイラストに向いているものの、絵画調やフォトリアル調に近づくにつれ、この手法での修正は格段に難しくなるということです。特に、一色でただ塗りつぶされているのではなく「質感(テクスチャ)」のある部位の描き直しはこの方法では困難です。


たとえばこの、セーラー襟の白いエプロンのような部分。赤いリボンの下に白い部分があるとおかしいので塗りつぶしたいのですが、さきほどの方法で塗りつぶすと…


このように、塗った部分が周囲の質感になじまず、明らかに不自然になってしまいます。

これは元のAIイラストの衣装部分全体に布っぽいドット状のテクスチャ効果が載っているためで、ただ一色で塗りつぶしても馴染んでくれないのですね。これは絵心があっても容易には直せない部分ですので、AI生成をやり直すか、部分i2iするか、生成塗りつぶしでなんとかするしか方法がありません。


「手描き修正できる部分とできない部分がある」ということを念頭に、画像生成段階で「これはクリスタで簡単に直せる破綻かな?それとも超面倒な破綻かな?」という感覚で吟味すると、修正時の作業量を減らすことができます。


6.Photoshopの「生成塗りつぶし」で修正

ここではPhotoshopで画像を読み込み、このように投げ縄ツールで囲って「生成塗りつぶし」を使って修正を試みました。プロンプトを空欄にしておけば、なんとなくそれらしい形をAIに想像して直してもらえます。


結果がこちら。完璧ではありませんが、テクスチャを損なうことなく直すことができました。

ただ、これでは胸元の赤いリボンがやや太すぎるように見えます。こういうときは、クリスタの「ゆがみ」ツールを遠慮なく使いましょう。


7.「ゆがみ」ツールを使ってみよう

ツールパレットのここにある「ゆがみ」ツールは、円型のブラシで触った部分を自由にゆがませるツールです。人物写真の輪郭を動かしたり、デッサンの狂った部分を簡単に修正したりできる神ツールなのですが、あまりやりすぎると歪ませた部分が劣化してしまったり、他の部分が破綻してしまったりするので、やり過ぎは禁物。ただ、AIイラストの場合、ゆがみツールで形を整えた後にimage2imageで馴染ませる必殺技もあるので、非常に相性がよいです。


ゆがみパターンは移動系、膨張系、縮小系、渦巻き系といろいろあるのですが、ここでは一番左の「移動系」をチョイスします(水色で選択されている部分)。


ツールのブラシサイズを適宜調整して、このようにちょちょいとリボンをドラッグアンドドロップすれば…

太すぎたリボンのラインも簡単に直すことができました。ゆがみツールのサイズをうまく調整しないと、動かしたくない部分まで干渉してしまったり、動かした線が波打って不自然になってしまったりするので、慣れるまでいろいろ練習してみましょう。


AI絵では例えば「手が小さすぎる」とか、「遠近感やパースがおかしい」といったことが頻出しますが、そういうときは「拡大・縮小系」のゆがみツールを使って修正することもできます。さすがにそのままでは劣化して不自然になってしまうことが多いのですが、image2imageで馴染ませたり、自分で正しく塗り直したりすることも可能なので、ゆがみツールは加筆修正の強い味方と言えるでしょう。



8.リボンはスポイト▶塗りつぶしでOK

次はポニーテールを結んでいる白いリボンの余計な部分を消しましょう。これも背景の白色をスポイトで拾い、新しいレイヤー上で塗りつぶしツールを使って塗りつぶせばOK。


このように自然に消すことができます。もちろん、さきほど生成塗りつぶしをした場面でここも消してしまっても構いません。


9.別パターンの指修正

さきほどは「指が足りない」場合の修正でしたが、「余計な指がある」場合の修正方法についても触れておきます。


こちらのイラストはチェロの弓を持つ右手が破綻しており、薬指と小指の間に余計な指が生じています。また、この角度で親指が見えないのも不自然ですね。水彩画風のタッチなため、単純に塗りつぶしてもさきほどのセーラー服のように周囲から浮いてしまいそうに見えます。


やるべきことは先程と同様、「周囲の色をスポイト▶塗りつぶし」です。ただ、AIイラストのタッチに合わせてブラシを選ぶ必要があります。


ここでは「投げなわ塗り」を試してみましょう。さきほど小指を投げ縄ツールを使って囲うやり方を紹介しましたが、この「投げ縄塗り」は投げ縄で囲った部分をその場で選択色に塗りつぶしてくれるツールです。

これを使って、まずは不必要な指を背景色(ここでは白)で塗りつぶしてしまいます。

このように、囲んだ部分がぱきっと白く塗りつぶされます。もちろんAI絵のレイヤーではなく、一つ上に新規ラスターレイヤーを作って塗っています。なんとなく周囲の色を拾って投げ縄で塗ったのがこちら。キワまでやるとおかしくなるので、少し甘めに塗りつぶします。

この時点では、塗りつぶした部分が一色になりすぎて、周囲の水彩塗りからは浮いてしまっています。ここは「ベタ塗りペン」ではなく、こちらの「サブツール(筆)」からふさわしいブラシを探してあげましょう。ここでは「ガッシュ細筆」や「油彩平筆」を使いました。


人間は手の構造上、真横にまっすぐ長い線は引きづらいので、ここはキャンバス回転で弓をタテにしてしまいます。-や^キーでもできますし、画面右上のナビゲーターにあるこちらの3アイコンから回転させることもできます。(左回転、右回転、元に戻す、の3ボタン)


このように、キャンバスをいまだけ傾けて表示してもらいます。この方向の方が描きやすいので、修正し足りなかった弓の輪郭を修正することができました。(※ちなみに、キャンバス上で直線の始点となる位置をクリックした直後にShiftキーを押すと、その始点から直線を引くこともできます。無機物を加筆修正するときに有用です)



次に親指の加筆ですが、こちらはかなり困難です。親指はほかの4本とあまりに形が違いすぎるので、さきほどのように「コピペ」で簡単に描き足すわけにはいきません。

まず一旦4つの指をきれいにしたら、それらしい指をそれらしい場所に加筆します。これはもう自分の右手を見るなどして、なんとかそれらしく描くしかありません。


まず「ベタ塗りペン」でだいたいの形を取り、「リアル水彩」の中にある「水彩丸筆」で周囲の水彩塗りと違和感がないように塗っていきます。線画も周囲の色に合わせて描いてみます。

これで形はどうでしょうか?いったん引きの絵を見てみると、「親指にしては根本が細すぎる」と感じたので、またも「ゆがみ」ツールを使います。手首から親指に流れるラインを少しふくらませて、違和感を薄めました。このあたりから「絵心がなくてもできる」のラインを超えてくる気がするので、これで一応「修正完了」としましょう。


遠目に見れば、さほど違和感はなくなっているのではないでしょうか。修正範囲が小さければ、そこまで完璧に描けなくても「周囲の色を拾って塗りつぶす」「正しいブラシを使って加筆する」でなんとかなると感じています。


終わりに ~ぐちゃぐちゃな手はどうする?~

今回紹介した「消したり足したり」でなんとかなりそうな手もあれば、輪郭が溶けてしまっていたり、そもそもぐちゃぐちゃになってしまっている手もあります。すべてを加筆修正で直すのは手間がかかりますから、がっつり崩壊している場合はこれまでも紹介してきたControlnetなどによる修正を試みたほうが良いでしょう。

手修正の最適解は?破綻を直す7つの方法「+1」

こんばんは、スタジオ真榊です。今夜はAIイラストの鬼門の一つである「破綻した手の修正」に関する大型記事です。image2imageやNegativeEmbeddings、Controlnet、LoRA、LamaCleanerなど、これまで考案されてきたさまざまな修正方法を網羅的に紹介しつつ、「①修正力の強さ」「②手軽さ」「③侵襲性(手以外への影響)」に分...

手が大きく崩壊している場合は、他の部位もあまり高いクォリティでないことが多いので、加筆で何とかなるレベルになるまでもう一度生成をやり直すのも選択肢の一つですね。


手の修正や、次回紹介する瞳の描き直しなどを日々やっていると、全く絵心がなくてもなんとなく絵が描けるような気がしてくるから不思議なものです。とはいえ現実はそんなに甘くはないわけですが、AIの間違いを直しているうちに、どうやったら正しく描けるのかが多少は身につくのではないかなと思います。特に、次回紹介する「AI絵の瞳のレタッチ」は大きく絵の印象を変えることができてめちゃくちゃ楽しいので、力を入れて特集していきたいですね。


それでは今日はこのへんで。スタジオ真榊でした。


AIイラストのためのCLIP STUDIO超入門

 ▶【第1回】プランとペンタブ選び、初期設定、おすすめ素材まで

 ▶【第2回】絵心一切関係なし!破綻した手を描き直す

 ▶【第3回】最重要ポイント『AI瞳』をレタッチしよう


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