Home Artists Posts Import Register

Content

※手直し前の早読verです。 鬼滅の刀鍛冶の里編のアニメ化が控えているということで、よくわからない勢いで恋柱さんにパンチラ羞恥にあってもらった迷作です。 仮面の男は、お察しの通り、 https://www.pixiv.net/novel/series/8171669 のパンチラ、セクハラ大好きマジシャンです。 どこでもスケッチセットはドラえもんのすけべ道具のひとつです。 逆さ吊りパンチラは、ダイ大のマァムで数多の少年に埋め込まれたメジャー性癖ですよね。 ───以下本文── 「西洋の下履き……?えっ?」 蜜璃は隠から渡された、それを手に取ってみる。それはレースのついた桃色の布地だった。 「甘露寺様のお好みに合わせたものをご用意したつもりでしたが……」 確かに装飾も可愛らしいし、生地も高級そうで手触りが良い。しかし、これを身に着けとろ言うには…… (め、め、め、面積が……っ!!) 小さ過ぎるのでる。西洋のズロースという下履きは知っていたが、あれは少しいもっぽい嫌いがある。比べて、今渡されているこの下履きは、その点において勝ってはいるようには見えるもの、蜜璃にとっては未知の代物だった。これを身につけて戦う自分を想像する。激しい動きで隊服は捲れあがり、可愛いリボンをあしらったこの下履きが見えるのではないか。そんなことを考えると顔中が熱くなる。下履きなのだから乙女の大事な部分はもちろん目隠しとして機能するのだろうが、この小ささなら、お尻のふくらんでる形具合や、処理が甘くなったわずかな茂みまで見えてしまうかもしれない……。 (む、無理ぃーッ!!!) 蜜璃は顔を真っ赤にして心の中で絶叫した。 「ほら、甘露寺さまは従来の下履きだと動きにくいと兼ねてより申してたじゃないですか。隠一同、情報を駆使してこうして用意してきたんですよ」 (そ、そうだっけぇ……?) 言われてみると、確かにそのようなことを言ったような気もするが、正直自分でもよく覚えていない。だが、目の前に差し出されたコレを履いて闘うのかと思うと、とても恥ずかしくて穴があったら入りたい気持ちになった。 「うぅ……」 蜜璃は涙ぐむ。しかし、隠衆が必死に用意してくれたモノだ。それを断ってしまえば彼らの努力を無駄にする。それに、隊士の命を守ることが最優先であるべき柱として、これは任務の一環であるとも言えるのだ。 (い、言えるのか、な……?!) 蜜璃は頬を染めながらも意を決してその下履きを握りしめた。 「ス……スースーするわぁ……」 蜜璃は心許なくスカートを押さえながら、往来を歩き行く。股間がいつもより涼しい気がして落ち着かない。どうにもこうにも頼りなくて、いつものように軽々とした足取りには、到底なれそうもなかった。 (で、でも、こんなことで動揺してちゃだめよぉ!だって私は柱なんだから!) 蜜璃は己に言い聞かせるようにして、胸元に手を当て深呼吸をする。そう言えば、いつもは視線を集めている気がしてならないこの大きく膨らんだ乳房よりも、今日は下半身に視線が集まっているように思えてならなかった。 (風とか、吹かないよね……っ) 蜜璃は風にスカートが靡くことを恐れ、念じながら歩みを進める。普段ならばなんとも思わないことが、今の彼女にとってはとても不安に感じるものだった。 (いけない、いけない!集中!ちゃんとしないと!) 蜜璃はふるりと首を横に振った。 今回の任務は、鎌を持った鬼の討伐だ。なんでもその凶器を駆使して、少女の衣服を切り刻んで辱めてくると言うのだから、乙女の敵極まりない。 蜜璃はスカートが捲れないよう裾を抑えながら、大通りを早足で歩いていた。 (まったくもう!女の子の嫌がることするなんて酷いわ!私も、この前隊服破かれそうになったけど、あんなことされたら恥ずかしいし困っちゃう!) ぷりぷりと怒りをあらわにしながらも、蜜璃の視線はチラチラと下に向いてしまう。剥き出しのふとももがそこにはある。その付け根には、あの下履きしか身につけていないのだと思うと、やはり気恥ずかしさを感じてしまう。だが、こんなことで任務に支障をきたしては駄目だ、と蜜璃は気合を入れ直す意味で自らの頬を打つ。それは、両手を自分の下半身から遠ざけた──その時をまるで狙ったような瞬間だった。 「きゃあっ!?」 突然強い突風が起こり、スカートが大きくめくられた。慌てて押さえるが、時すでに遅し。蜜璃はスカートの中を大きく晒してしまう。しかも運の悪いことに、ちょうどそこは表通りの賑わいが残る地点で、周囲には人垣ができていた。 (いやぁーッ!!) 蜜璃は泣きそうになるのを堪えつつ、咄嵯にしゃがみこむ。周囲に目を向ければ、好奇の眼差しがこちらに向けられていた。 「す、すみませんっ!見なかったことにしてください!」 蜜璃は涙目になりながらも、周囲の人々に懇願した。しかし、一度注目してしまった人々の興味は容易には消せそうもない。喧騒が嫌でも耳に入り、蜜璃の心をさらにかき乱していく。 (み、見られてた……っ!絶対、見られたわ!!) 蜜璃は顔を真っ赤にして俯いていた。恥ずかしくて堪らない。 「おね~ちゃ~ん、パンツ、丸見え~~っ!」 不意に駆け寄ってきた幼い男の子数人が、からかうように声を上げてきた。 (な、なにっ?! パ、パ、パ、パンツって……この西洋下履きのこと?! なんか、破廉恥な響き……) 蜜璃は初めて聞く西洋単語に、戸惑い、子どもたちがそんな言葉を使うことに驚き、そして、それが駆り立てる羞恥心で頭が混乱していた。 「あぅ……、こっち来ないでぇ~」 蜜璃はスカートを押さえながら後ずさる。 「ぷりんぷりんのお尻と、桃色パンツ~~っ!」 「そ、そんなこと、い、言わないでよぉ!!」 男児達の声で、周囲の視線が否応なしに集まってしまう。その視線からは、興奮しているかのような熱を感じるてしまうのは、気のせいではないだろう。 「お姉ちゃんのパンツ、お尻にぺたーっと張ってて、と~~ってもエッチだったねぇ。わかる、エッチ、って? とっても破廉恥だって意味らしいよ。覚えたら使っていいよぉ?」 男児たちはクスクス笑いながら蜜璃を見下ろして、嘲るように告げてくる。 (あぁっ、ああ……っ!恥ずかしいわぁ……っ) それにしても、パンツだとか、エッチだとか、聞き及んだことのない単語ばかり耳に入ってくる。そしてその言葉はゾワリと蜜璃の背筋を震わせ、恥ずかしさを全身に広げていくのだ。そんな思いに精神を支配され、かつ混乱具合を加速させながらも、蜜璃はなんとか立ち上がる。男の子達は悪戯のように蜜璃のスカートを引っ張ろうとしてくる。 「ほらほら~っ、もっとパンツ見せろ~~っ」 蜜璃はその手を払い除けると、素早くスカートを手で押さえた。子ども達から逃れるため、蜜璃は走り出す。 とにかく今は任務に集中しようと、気持ちを切り替えるしかなかった。 やがて、鬼の姿はすぐに見つかった。なんでもその鎌で切り裂いた女性の衣服を剥ぎ取り、それを高値で売り捌いているという。なんでも対象が年頃であればあるほど高く売れるらしく、まさに変態鬼であった。 「女の子の敵!!許さないわ!」 蜜璃は怒りをぶつけるように、日輪刀を構える。それを買う人間が居るから成り立つ商売ではあるのだろうが、そこのところは忘れて、鬼に対する怒りだけに集中する。 「えいっ!」 蜜璃は勢いよく飛びかかった。日輪刀と鎌がぶつかり合い、激しい火花を散らす。蜜璃にとっては斬撃に反応されたことが意外だった。 (この鬼、なかなかやるわねっ……!) 蜜璃は衝撃を利用して間を取るような動きをする。体勢を整えて、再び斬りかかろうと構えを取る。また、その瞬発力を活かした跳躍からの、次こその決定的な一撃を見舞おうとしていた。 だが、蜜璃の予想に反したのは、後方からの声。 「甘露寺さん! 補佐しますッ!!」 一般隊員と思える発言。少年のものだとわかる声音だ。 (えっ!?) 突然のことに、蜜璃は一瞬思考を巡らせてしまう。蜜璃は常人離れした身体能力で、地面を蹴るつもりだった。しかしそれは、纏うスカートを無防備に翻すことになるということが頭を過る。つまり、いやらしいとか、破廉恥とか── (エ、エ、エ……エッチとか……) 揶揄された下履き姿を、異性である隊員の眼前に晒してしまうことになるのだ。彼が、鼻の下を伸ばしながらそれを嬉々として覗き込む姿を想像してしまい、蜜璃は思わず身体の動きを止めてしまった。 (そんなの嫌ぁ~~~っ!!) 蜜璃は心の中で絶叫すると、隊員の視線を感じるお尻側のスカートを押さえつけ、内股気味になってその場に留まってしまう。そうして、そのままの格好で対峙することになってしまった。これではもはや、へっぴり腰である。情けない体勢に、隊員の不可思議に思う表情が蜜璃に突き刺さる。 (だ、だってぇ~~っ!!) どうすればいいかわからず、蜜璃は泣きそうな顔で硬直していた。片手で握る日輪刀は、弱々しくプルプルと震えている。そんな蜜璃を見て、鬼は嘲笑うかのような貌を見せ、鎌を振り回して攻撃を仕掛けてきた。 「お前の服も剥ぎ取ってやるぞ! そんなに肌を出してやがって……すぐに裸に剥いてやる!!」 蜜璃は反射的に避けるものの、押さえているとはいえ、やはりスカートがひらりと捲れ上がる。 その瞬間、隊員が喉を鳴らすような音が聞こえた気がした。そうした事象がどんどん蜜璃の動きを鈍らせて、徐々に追い詰められていくのだった。 蜜璃は鬼の攻撃を避け切れず、ついに日輪刀を落としてしまう。そしてそれに気を取られていた隙に、蜜璃は鎌によって胸元を切り付けられてしまっていた。隊服が破られ、乳房の露出具合が大きくなってしまう。 (なんでっ、恥ずかしことばかりぃ……っ!) 蜜璃の顔がどんどん赤みをおびていく。隊員は補佐的な動きをしてくれてはいるものの、チラチラと視線が蜜璃に向けられている。まるで見世物小屋を恐る恐る覗き込む初客のように。見てはいけない……だけど、見たい。興奮混じりに、そんな雰囲気を醸し出しているようだった。 蜜璃の脳裏には、先程男の子達が口にした単語が浮かんでは消えていた。 (エッチ……破廉恥……。私の、恥ずかしい姿がぁ……お、お嫁に行けなくなっちゃうぅ~!!) 蜜璃は耐えきれず、両手で顔を覆った。その瞬間──だった。 下から、巻き上げるような風の渦が吹いた。ブオオオォォォッと轟音に近い風鳴りが響き渡る。 (──っえ?) 蜜璃に訪れる一瞬の呆け。鬼と間合いがだいぶ開いていたから──と言うのは言い訳だ。塞がった両手。無防備な下半身。下から上へ舞い上がる突風。導かれる答えは…… 「きやぁあああぁぁぁっ!?」 蜜璃は絶叫を上げた。スカートが派手に捲れ上がってしまったのは、もはや必然。蜜璃は咄嵯にスカートを手で抑えつけた。だが、遅かった。それはもう、遅すぎた。 西洋下履きこと、桃色の薄布が数瞬、大胆と呼べるほどに露わになっていたのだ。隊員は魅了されたように凝視している。蜜璃は頬を真っ赤にして、瞳を潤ませて、口を半開き──そんな間の抜けた顔で隊員を見つめ返す格好になる。隊員はそんな上司の反応に、ハッと我に返ると、慌てて目を逸らした。 「どうだ、俺の血鬼術、かまいたちは。わははっ、パンツ丸見えだったなぁ、鬼滅隊の女よ。そのいやらしいパンツも剥ぎ取ってしまえば、さぞ高く売れそうだ!」 鬼の言葉に、蜜璃はビクゥっと肩を震わせた。 (ま、またパンツ、パンツって……! 恥ずかしい言葉ばっかりぃ!!) 蜜璃は涙目になりながら、唇を引き結ぶ。かまいたちと呼ばれた技は、辱めの風と共に鋭い刃も纏っていたようで、蜜璃の衣服をさらに切り裂いている。スカートの裾も細かく裂け目が入っており、ふとももが晒されてしまっている状態だ。 蜜璃は恥じらいながらも、この状況を打破すべく、日輪刀を構え直す。 (これ以上、好き勝手させないんだからっ!) 鬼はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。 その余裕さに不気味なものを感じながらも、蜜璃は呼吸を整え、身体中に力を込めた。 (もう、迷わない! 私は鬼を倒す! ) 蜜璃は決意を新たにすると、日輪刀を握る拳に力を込める。今は羞恥心を捨て去って、この場を切り抜けることに集中しなくてはならない。そうしないと日頃命を賭して戦っている、他の隊員達に申し訳が立たない。乙女心がなんだ、結婚がなんだ、そんなものはあと回しである。今はただ、自分の責務を全うすることだけを考えねば。蜜璃は一歩前に踏み出す。静寂をかき消すのは、地面を撃ち抜くような蹴り足──そう信じていた──が、 「いやはや、素晴らしい!」 突然の凛とした歓声。そして、パチパチと手を打つ音が聞こえてきた。蜜璃は驚きで思わず足を止めた。 (え? 何? 人払いは出来ているはずなんじゃ……) 蜜璃は警戒の色を強めつつ、声のした方向に視線を向ける。そこには一人の男が立っていた。男と判断できたのは、その声色や佇まいからだ。しかし、それが誰なのかまでは分からなかった。何故なら、彼は仮面を被っていたから。洋装に身を包み、それは黒で統一されていた。 (まさか……鬼舞辻無惨……!? ) 蜜璃の脳裏に、そんな最終目標である者の名が過る。だが、直ぐにその考えを否定するように頭を振った。その男のもつ雰囲気や、気配と呼べるものは、あまりに鬼特有の禍々しいものとはかけ離れていたから。だけど、それとは種類の違う不気味な感覚が拭えない。まるで、全身の肌をじっくりとねぶるように見られているかのような不快感があった。 「俺はただの通りすがりの、紳士な絵描きだよ」 仮面から覗く口元に笑みをたたえながら、男は言った。蜜璃は息を飲む。通りすがりが、この戦闘の場に足を踏み入れるなどあり得ない。 「ただし浮世絵というものがどうも苦手でねぇ。俺が描けるのは、西洋寄りのリアルなものだけなんだ」 男は手に持っていた筆をくるりと回す。蜜璃は一瞬呆気に取られるが、すぐに気を取り直して、日輪刀を構える。たが、鬼か、この奇怪な乱入者か、どにらに気を払えばいいのか、頭の中は混乱していた。 そんな蜜璃の様子を愉しむように眺めながら、男は筆を走らせた。 「ふむっ、どうだろう? なかなか良い出来ではないかな? さすが秘密道具どこでもスケッチセットだ。具現化した甲斐があったよ。絵画だけにな。はっはっはっ!」 男の高笑いに、蜜璃は眉間にシワを寄せる。この男がブツブツ呟いてる意味がさっぱり分からない。そんな困惑している蜜璃に向かって、はらりと一枚の絵が舞い落ちてくる。蜜璃はそれを手に取った。 「んなっ、なななっ……」 蜜璃は絶句してしまった。そこには、不意の突風でスカートがめくれた瞬間の自分の全体像が事細かく描写されていた。低めの位置から見上げるような角度で描かれていて、桃色の下履きが丸見えになっている様が、はっきりと見て取れてしまう。蜜璃は、羞恥で顔を真っ赤にして、口をパクパクさせてしまった。 「いやぁ、なんて素敵なパンチラの瞬間を捉えることができたんだろう! 芸術とはまさにこれだ! 」 興奮気味に大声で叫ぶ男。蜜璃にはパンチラという単語の主旨を理解することができなかったが、卑猥で羞恥心を煽る言葉だということだけは分かってしまう。蜜璃はその紙を破り捨てたくなるが、不思議と彼女の怪力をもってしてもびくともしない。動揺を隠しきれない蜜璃対し、男はなおも筆を繰るのをやめない。一枚──また一枚と、次々に男の手元から蜜璃の姿が描かれた用紙が落ちていく。 「ちょっ、な、なんでぇ! いやあっ、描くのやめてぇ!!」 その全てが蜜璃の恥ずかしい姿なのだから、蜜璃は気が気でなくなる。例えば、お尻側を拡大して正確に再現しているもの。ぴっちり、と張り付いた下履きが淫靡さを強調している。男の達筆は、下履きからはみ出た尻たぶの瑞々しさ、柔らかさまでも表現していて、蜜璃は思わず目を背けたくなった。対し、男性隊員の視線は否が応にも釘付けのようだった。見てはいけないとわかってはいるのであろが、金縛りにあったかのように動けないでいる。 「ああんっ、貴方も、見ないでよぉ!! いやああ!」 「こ、これがパンツ……甘露寺さんのパンツ……っ!」 「やだ、もうやだー!」 蜜璃は涙目になりながら、必死に絵を振り払おうとする。そんな中、あろうことか、増援の隊員の数人駆けつけてくる。おおかた、予想より討伐に時間を要していることでの応援なのだろうが、問題は全員が男性隊員であるということだ。彼らは一様に、地面に散らばる絵を見て唖然として、そして次の瞬間には興奮を隠せずにいた。中の一人は目をギンギンに血走らせ、別の者は股間を何やら押さえていた。 「ほうら若い衆よ。これがパンチラというものだ。恥ずかしさに顔を染める表情と相まると、なんと劣情を刺激するものだろうか」 男は誇るようにに語る。蜜璃は、いよいよ泣きそうになっていた。もはや鬼の存在など、蚊帳の外── 「……ッ?!」 とはならず、存在を主張するように蜜璃に向かって飛びついてきたと思うと、手に持った鎌を振り下ろしてくる。蜜璃は咄嵯に日輪刀を盾にして防ぐ。躱す動作も出来たが、どうしてもスカートが靡くような激しい動きは躊躇してしまう思考が再燃してしまっていた。 「俺のこと忘れてるんじゃないぞ? ぷりんぷりんな姉ちゃんよぉ!」 鍔迫り合いのような状態のまま語りかけてくる。 (ま、また、なんか恥ずかしい言い方してるぅ) 蜜璃は眉をひそめ、頬が紅潮していくのを感じる。何より、一度は固めた決心が、謎の男の筆書きにより瓦解してしまったことが、ひときわ心揺さぶられるものだった。そんな蜜璃の姿に、我に帰ったのかは定かでは無いが、隊員達も鬼に向かっていく。だが、 「おっと、ちょーっとそれは無粋だなぁ。諸君らのこの舞台での輩は、彼女の羞恥を煽るギャラリーなのだよ。大人しくしていてもらおうか」 男が言うと、不思議なことに蜜璃以外の鬼滅隊は皆ピタリと動きを止める。その様子は御されている操り人形のようで、彼らは意志と違う動きであろう、ただ蜜璃達を囲むように歩を進めると、そのままただ立ち尽くしていた。 「な、何をしたの?」 蜜璃の声音には困惑の色が見える。 「そのままさ。大人しくしてもらってるだけだよ。それよりも君の相手はその鬼だろ? ほらっ、油断していると……」 異変が起きていた。対峙している鬼の鎌を受け止めているという、状況が拮抗しているまま、その鬼の背中が見るからに盛り上がっきているのだ。何より不可解なのは、その状況に張本人である鬼自身も戸惑っているように見えることだった。 「な、なんだこれは!? 」 明らかに狼狽えた叫びをあげる鬼。 「ほら、怪力の恋柱に対抗するには、カイリキー、なんてね。昔はケーブルが無いと通信進化出来なかったんだぜ? でも今は、wifiとか言ってボタン一つで出来る時代だからね。便利な世の中になったもんさ」 相も変わらず意味不明な単語の羅列。 蜜璃は事態も何も把握できずにいたが、とにかく目の前にいる鬼を倒すことを優先だと自らに言い聞かせる。全身の筋肉を収縮させ、次の刹那の爆発的な瞬発力に備える。 (次で決める……って、あれ? なにこれ……?) 蜜璃は目を丸くした。眼前では、両手で打ち下ろされた鎌を受け止めてるのは間違いないのに、それとは別の腕が二本、鬼の肩口から伸びていて、蜜璃に迫ろうとしていたからだ。 (これもこの鬼の血鬼術?! それに鎌の重さも増してるような……!) 思い描いていた、鎌を弾いて体勢を整えることもままならない。そもそも不可解な仮面男の登場から、いつものように上手く身体が操れないのは、気のせいではないようだった。 「なにかわからんが、これはいいなぁ! ほら、ぷりん姉ちゃん、捕まえちゃうぞぉ!!」 鬼の掛け声とともに、二本の腕がギュンと伸びてくる。鍔迫り合いを続ける蜜璃には、それを避ける手立ては無く、鬼の腕はいとも容易く── 「きゃあ?!」 蜜璃の足首に辿り着いた。鎌を握っているそれより一回りも二回りも太い、巨木のような腕は、力任せに蜜璃を掴み上げると、そのまま宙吊り状態へと持っていく。そうされると、もちろんスカートは重力に従って…… 「ちょっと! は、離してくださぃ! こ、これ、見えちゃうぅ……ッ!」 涙目になりながら必死になってスカートを押さえるが、日輪刀を握っているため、片手ではどうしても片面しか押さえられない。お尻側が無防備にもぺろんと垂れ下がり、桃色の可愛らしい布地が、晒されてしまっているのだ。 「わはははははは!! 俺からは見えないのが残念だが、童どもにはさぞ良い眺めだろうなぁ、ぷりん姉ちゃんよぉ!」 「いやぁぁぁぁぁぁ! 見ないでぇ……」 羞恥心に顔を真っ赤にして叫ぶ蜜璃。たまらず後方側のスカートを押さえるよう手を動かすが、そうすれば前面か疎かになるの必然。鬼の目の前で、はらりとスカートは引力に負けて棚引いていく。 「おおうっ、良い奉仕してくれるもんだ。ぷりん姉ちゃんの桃色パンツが丸見えだなぁ。激しく動きまわるからちよっと食い込んでるんじゃないか? 茂みが覗きそうでエッロエロだな」 わざとらしく辱める言葉を並べる鬼。蜜璃は悔しさから唇を結ぶが、隊員達に見られるよりはマシだと懸命に羞恥心に耐える。だが、それも束の間のことだった。 「これを一人で堪能するのはもったいないよなぁ。ほら童ども、柱様のパンツもっと見たいよな?」 問いかけと共に、鬼は掴んでいる蜜璃の足首をくるりと回す。反応が間に合わず、蜜璃は下履きに包まれているだけの肌色多めな股間を、隊員達の視界に曝け出してしまう。 「そ、そんな……! 見せつけないでぇ……っ!!」 恥ずかしさに悲鳴をあげる蜜璃。凝視してしまい、鼻の下を伸ばす男隊員達。慌ててスカートを押さえても、すぐに向きを変えられて、無防備な側の下半身を晒しものにされてしまういたちごっこ。そんな彼らの羞恥現場を他所に、仮面の男はひたすら筆を躍らせ、紙の上に墨を走らせていた。 「まっ、まって! これも描いてるの?! だめ! だめぇ~っ!こんな格好やだぁ!!」 蜜璃は半泣きで懇願するが、鬼はそれすら愉快と言わんばかりに笑い声をあげる。そして、 鬼は蜜璃を天高く放り投げた。 「ああんっ! 今度はなに!?」 突然の浮遊感に驚きながらも、辱めの象徴と言える状態から解放されて内心いくらか安堵する蜜璃。着地のための姿勢の制御と、あわよくばそのまま斬撃を繰り出してしまおうと、力を込める。しかし── 「……えっ?」 投げられた蜜璃を追いかけるように、鬼の巨大な腕が空中へ飛び出してきたのだ。蜜璃は咄嵯に日輪刀を振って、それを斬りつけるが、岩石のような肉塊はもとのもせず、呆気なく蜜璃を捕まえてしまった。まだ地面からは遠い。そんな中、四本の腕が蜜璃に絡みつき、体勢を固定していく。視界はまとも逆さまにされて、その先に、何故か讃えるように拍手をする仮面男の姿があった。 「は、離してぇ!! ま、また……」 ──恥ずかしいことするつもりなんでしょう? 蜜璃は言葉にすると、それが現実になるような気がして口をつぐむ。だが、それはすでに手遅れだった。じたばたと暴れるが、蜜璃の怪力で振りほどけない程、鬼の拘束は強力だった。米俵を担ぐかの如く、蜜璃の頭を肩口に乗せる。 「なにこれ、なにこれ、やぁあああんっ! 」 蜜璃の感覚的には、派手に脚を広げながら尻餅をついたような体勢。それを、ぐるんと半回転させられて背負われているという状況だ。両脚首をガッチリと二本の腕で掴まれているせいで、閉じることはできない。そうなると、もちろん── 「やぁぁぁ! この体勢、パ、パンツ……ッ! ま、また、こんな丸見えに ぃぃぃ!」 思わずパンツという単語を使用してしまうほど、蜜璃の動揺は激しいものだった。スカートを押さえようとするが、鬼の残っている腕で嗜めるように振り払われ、まるで下履きの公開が義務の見せ物小屋のような扱いだ。蜜璃に対抗の余地はなく、桃色の可愛らしい布地が、大胆な強制開脚により、完全に露出させられてしまっている。 (も、もうっ、お嫁に行けないよ~~っ) 股間に隊員達の視線が集まる羞恥に震えながら、少しでも恥部を隠せないかと身を捩るが、そんな姿がかえって扇情的に男達の目に映るのを、生娘の蜜璃は知る由も無い。 長い滞空時間──蜜璃にとって永遠にも似た羞恥の時間。ようやく鬼の体が地面に足がつこう頃には、蜜璃は顔を真っ赤にして息を切らしていた。そして、高い位置からの落下の衝撃がすべて連なって蜜璃の身体にに収束される。 どすんっ 鈍い音と共に、蜜璃の身体は鬼の背中に打ち付けられた。 「ひィッ……!!」 悲鳴は痛みからと言うよりは、反射的に喉を通って出た声で、身体を伝う軋みよりも、着地してなお桃色下履きに包まれた股間を強調するような体勢にさせられたことが、蜜璃には何より堪えることであった。 羞恥に頬を染め、潤んだ瞳を伏せる蜜璃。そんな彼女の姿をまじまじと見つめる隊員達。彼らの瞳の反射を通して、いかに自分が猥褻な格好をしていふてるのかを思い知らされる。柔軟に優れた蜜璃の肢体は、遠慮なく開脚させられ、左右におっぴろげられている。 「はははっ、ぱっかまーん、なんてな。素晴らしいバスターだよ。いやいや絶景、絶景」 筆を操りながら言う仮面の男の言葉に、蜜璃はますます顔が赤くなる。どうにかこの拘束から逃れたく、蜜璃は抵抗を試みるものの、鬼の力は圧倒的だった。ピクリともせずに、むしろ揺さぶられて無抵抗さを主張させられるだけだった。そうされると下履きに秘めた女性器の形が、ぷっくりと、そして、くっきりと浮かび上げられてしまう気がして、蜜璃はいよいよ頭がどうにかなりそうだった。 「やだっ、やだっ!! 離してっ、降ろしてっ! 私のパンツばっかり見せつけないでぇ~~~~ッ!」 蜜璃の叫びも虚しく、鬼は蜜璃の体を隊員達に見せつけるように拘束状態のまま練り歩く。 「ほらほらっ、恋柱さまのパンツだぞっ! お前らみたいな末端が味わうはずもなかったはずの光景だ! 目に焼き付けて、夜ごと慰めに使うんだなぁ!! 」 鬼が叫ぶ。蜜璃の表情が屈辱に歪む。隊士達は皆、欲望に逆らえないようで、食い入るように蜜璃の下半身を見つめていた。お尻にも、まるでその奥を穿つような熱視線を感じ、蜜璃の恥孔は下履きの中で健気にもヒクついてしまう。 (もう、むりぃ……こんなの恥ずかし過ぎて、私、死んじゃいそうだよぉ……) 首の角度を変えると、簡単に自分の薄手の桃色布地に包まれただけの股間を覗き込める。そんな体勢で、脚を大股開きで固定され、蜜璃の表情は絶望に染まっていく。もはや、恥辱のあまり涙さえ滲んでしまう。そんな時── ──ヒュンッ風を切る音がして、蜜璃の下の肉体が揺れる。ドゴォオオン!!!! 激しい打撃音と共に、鬼の体躯が宙を舞う。蜜璃の体は解放され、空中で鬼の血飛沫が降り注ぐ。 (な、はにがっ……) 状況の把握ができないまま、蜜璃は地面に転がった。蜜璃は混乱したまま起き上がると、目の前には鬼の首を片手に持ち、血刀を肩に担いだ男が立っていた。 ──蛇柱の伊黒小芭内だ。 彼が今まさに自分を窮地から救い出してくれたのだと理解すると、蜜璃は安堵のため息をつく。いつも通り、表情を変えずに彼は口を開く。 「すまん。遅れた」 そう言いながら、伊黒は自身の羽織を脱ぎ、未だ地面にへたり込んだ状態の蜜璃へと手渡す。 蜜璃はその安心感から、思わず抱きつきたくなってしまう衝動に駆られるが、なんとか踏み留まる。尻軽な、はしたない娘だと思われたくなかった。 「ありがとうございます、助かりました……えっと、あ、あの、私、服装をちょこっと新調して、あの、なんか慣れなくて……」 照れ笑いのようするしか出来ない蜜璃。先刻まで強制させられていた下履き姿を強調される辱めを思い出せば、どうしても顔が赤くなってしまう。火が吹いてそうなほど火照ってしまい、伊黒の顔をまともに直視できない。 (でも、本当は助けてくれてすごく嬉しくて、それをちゃんと伝えたいのに……どうしようっ、あんな恥ずかしい格好見られちゃってるし、うまく言葉が出てこないよ~~) 蜜璃が言葉を詰まらせている間に、伊黒は鬼の首を持って立ち去ろうとする。そんな彼をどう引き留めようか逡巡していると、白い紙が二人の頭上から幾枚もひらひらと舞い落ちてきた。まるで雪のように。そして、その意味をいち早く掴み取った蜜璃の顔から血の気が引いていく。 (まさか、まさかね?!) 蜜璃の脳裏には、先程までの自身の痴態がありありと思い起こされていた。鬼に無理やり開脚させられたまま拘束され、薄手の西洋下履きを見せつけられた記憶──物珍しい桃色果実を自慢するように、股間を突き出され、乙女の秘密を晒されたあの恥辱が走馬灯の如く駆け抜けていった。そして、いつの間にか姿を消していた、蜜璃の恥ずかしい姿を正確に描き出す、不可解な仮面の男。そこから導き出されてしまう答えはどうしても一つで、蜜璃の背筋に薄ら寒いものが走る。 「やだやだやだっ! お願いっ! 見ないでっ!! 伊黒さんっ、伊黒さぁん!!」 しかし、そんな蜜璃の叫びも虚しく、伊黒は素早く振り向き、その視界にそれを捉えてしまったようだ。 「……か、甘露寺の、お、お尻だ、と……ッ?! そして、こっちは、こ、こんな……なんだ、この下履きは……?」 伊黒は驚愕と動揺を隠しきれない様子のまま、その舞い落ちる紙の一枚一枚に視線を走らせていた。蜜璃の背中を冷や汗が流れて止まらない。 「やぁぁぁんっ、見ないでぇ!! は、はずかしぃよぉ……!! 」 蜜璃は羞恥のあまり、身体を隠すように自分の腕を抱き締め、その場にうずくまってしまう。蜜璃の全身が朱に染まったのは羞恥のせいだが、同調するように伊黒の口元を覆っている白の巻物にも赤い染みが広がり始める。彼の興奮が限界を達したことによる鼻血によるものなのは、蜜璃には気づける道理もなかったが── そのままお互い気まずい沈黙が流れるが、やがて蜜璃は意を決したかのように立ち上がった。 「と、とにかく、そ、それは捨てて、そのっ、本当にありがとうございました! 助けてに来てくれたのが伊黒さんで、私すごく嬉しいです!」 勢いをもってそう言うことで、蜜璃はいつも通りの笑顔を浮かべることが出来た。はるが頭上では、いやに紳士的な口調で、 「めでたし、めでたし」 と他人事のように響いた気がしたが、もう気にしないことにした。

Files

Comments

No comments found for this post.