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※手直し前の早読verです かなり勢いで筆がのったので、前後編で掲載となります。 やっぱり暑くなってきたら水着とか海モノですよね! よく広告で見る人妻海水浴ナンパNTRものっぽく出来ればと頑張りました!! ───以下本文── 「ロ、ロイドさん……水着どうでしょうか……? 似合ってますでしょうか……?」 ヨルは俯き加減で恥ずかしそうに聞く。言ってしまえば、ふだん纏っている私服も、動きやすさ重視しているため、ところどころ露出が垣間見えるため、色気がないわけではない。むしろ着痩せするタイプなのか、出るとこ出ていてスタイル抜群だ。そんな彼女が赤いビキニを着て現れたのだから、普段見慣れているはずのロイドでも思わずドキッとして──いや、むしろ任務のための擬似家族として、彼女のもつ魅力から敢えて目を逸らすようにしていたのだから、その破壊力は想像を絶するものだったのだが──自らの物理的な強さに以外に無頓着なヨルには、そんな葛藤は伝わるはずもない。だから、 「あぁ……似合ってると、思い、ます……」 と、視線を外すように答えただけだった。それがヨルには素気なく映ったので、みるみるうちに悲しそうな表情になってしまう。あわよくば── (綺麗とか……可愛いとか……)  言葉にしてほしかったのだ。そして、その言葉が与えられなかったことに落胆してしまう。無意識に生まれた淡い期待を裏切られてしまったような形になり、同時にそんな感情を抱いてしまっていたことに自己嫌悪を持ってしまう。 (わたし、何考えて……っ!) ヨルは慌てて頭を振る。だが、一度芽生えた想いを消し去ることはできない。 「そ、そうですか……。ありがとうございます」 一応は、似合っていると言われたことにお礼を言う。なんとか笑顔を作るが、やはりどこかぎこちない感じになってしまった。そのことがまた、ヨルに情けなさや、恥ずかしさといった思考を呼び起こし、頬が赤く染まっていく。それを悟られまいと、ヨルは顔を背けるようにして踵を返すと、 「では、私は先に準備運動しておきます! 最近なまってましたから !」 そう言うなり、ヨルは砂浜の方へと駆けてく。そんな自分をロイドがどんな表情で見送っているのかを──確認する度胸はなかった。 *** ヨルは、ロイド達から姿を隠すように、しかし遠すぎず近すぎない距離を、と岩場の陰に隠れるように飛び込んだ。ひとまず落ち着いて深呼吸をして気持ちを落ち着けようとする。そうしながらも、名目上準備運動的なことをしなくては、ぎこちなく腕や足を振り、妙な動きになってしまう。半ばパニック状態のように、ヨルの思考はグルグルと巡っている。 (ど、どんな顔して戻ればいいんでしょうか? ていうか、今更ですけど、なんであんなこと聞いてしまったんでしょう? いや、奥さんなんだから、それも普通なことで、でもわたしたちは擬似家族なんだから、敢えてそれを聞く理由も……) 手足をブンブンと振りながらそんな長考を繰り返していると──肩に突然、手のひらの感触があった。 (えっ!?)  一瞬で頭がクリアーになる。気配が──無かった。油断していたとか、頭が混乱していたとかではない。ただ純粋に全く気付けなった。そのことが戦慄となって襲ってくる。 それは、脊髄反射を引き起こし、体が動かした。手の位置から予想できる、その人物の頭部を狙って── 肩越しの垂直上段蹴りを放つ。放った──つもりであった。 「お姉さん、ひとり?」 背後に居たと思ったその男は、瞬時と言える動きでヨルの正面に回り込んでいた。かつ、ヨルの稼働させようとした膝を、手のひらで制している。 (この人……強い!!) 現状武器は携帯していないが、徒手空拳でも戦えるような訓練はじゅうぶん積んでいる。次の手を繰り出すためのロジックを組み立てる。ロイドとのやり取りで乱れた心が、このような状況で冷静さを取り戻せるのが──皮肉に思え、自嘲気味な笑みすら溢れてしまいそうになる。やはり自分はこういう場が似合う。人を傷つけずにはいられない、いばら姫なのだ。だが、 その男は殺気とは程遠い、だらしないと言ってもいいほどの表情で、へらっと笑う。 「お姉さん、ひとりなら俺たちと遊ばない? すごい綺麗だったから、声かけるの躊躇ってたんだよね~」 続けざまに男の口から放たれたのは誘い文句──所謂ナンパであった。 (……へ?) ヨルは一瞬、呆気に取られてしまう。それでも警戒を解かず、男の顔を見据える。すると、"俺たち"と男が言うように、もう一人男がひょこっと現れた。 「どうよ~? ナンパうまくいきそうかぁ? って、お前、お姉さんの指ちゃんと見たか? ゆ、指輪してるぞ! 」 そんな言葉と共に現れたのは、長髪を後ろで縛った、軽薄そうな青年だった。ちなみに目の前の男は短髪を無造作にしながら、顎髭を生やしている。二人とも体格は細身だが、筋肉はしっかりとついているようであり、肌の色も浅黒い。顔立ちもどこかのっぺりとしていて、他国からの観光客に見えた。 二人のやりとりを聞いていると、どうやら本当にナンパ目的で自分に近づいてきたようだ。 「ごめんなさいっ、既婚者だとは思わずに……で、でも、もし旦那さんとかいっしょじゃないなら、俺たちと……ど、どうですかね?」 と、先ほどまでへらついていて軽い印象しかなかった男が、急に真剣な表情でヨルに問い掛けてくる。暗殺中の戦闘なら、対応というか、返し手はいくつも頭に浮かんでくるのに、このようなシチュエーションにおいて、とるべき行動が全く思い浮かんでこなかった。 ヨルは思考停止し固まっていそうになるが、ロイドの妻として振舞うという一点を咄嵯に思い出し、なんとか言葉を口にする。 「ご、ごめんなさい! 家族で来ているので!!」  ヨルはそう言い、砂浜の方へと駆け出した。先程とは違う部類の顔の火照りを自覚する。そして、自分がまんざらでもない気持ちになっていることも。 (わ、わたしでも……ナンパってされるのですね……それに、あんなストレートに綺麗、って……) そんなことを考えて、ヨルは赤面してしまう。 (ダ、ダメですっ! わたしは、ロイドさんの奥さんなんですからっ!! で、でもあの男の子、少しユーリに似ていて、可愛かったような……) そこまで考えてヨルはブンブンと頭を横に振る。自分で自分の頬をペチペチと叩き、平常心を保とうとした。 *** その後、ヨルはロイド達のところに戻ったが、アーニャがお腹が空いたということで、すぐに家族三人でシーハウスに行き昼食を摂ることにした。食事中、ヨルは何事も無かったかのように振る舞い、普通に会話をしていたのだが、何故かロイドがソワソワと落ち着きがないように思えた。具体的に言えば、あまりヨルの方を見てくれないのだ。 「ちちっ、この焼きヌードルってやつ、美味しいっ!」 アーニャが目を輝かせてそう言うことに対しては、ロイドはしっかり反応してあげていた。だが、正面に座っているのにも関わらず、ヨルには視線を向けないようにしている節がある。 (あの男の子達は綺麗って言ってくれたのに……見るのもイヤなのでしょか……) そんな風に思うこと自体が、心の中のモヤモヤを表しているようで嫌になる。自分からその不満をぶつけ、問い詰めればいいのに、それも出来ない。 ヨルはそんな自分を不甲斐なく感じながら、味のしない麺をちゅるんと吸い込んだ。 (お酒でも飲めば、わたしももっと素直にロイドさんに甘えられるでしょうか?) そんなことを思って、メニューをペラっとめくった矢先…… 「ヨルさん、お酒はダメですからね」 まるで心を読んだかのようなタイミングで、ロイドに釘をさされる。 その声音は普段より数段低く思え、怒っているようにさえ聞こえてしまった。その瞬間── 「あれっ? お姉さん、奇遇ですねっ~ こんなところで会えるなんて、俺たち運命を感じちゃいますよぉ」 ──聞き覚えのある声。 反射的にヨルは振り返ると、そこには先ほどのナンパの二人組が居た。目を輝かせながら、軽々しい口調でそう言ってくる。 「ヨルさん、知り合いですか?」 「あ、はい……まぁ」 ヨルはなぜ自分がそんな曖昧な返事をしたのかわからない。知らない連中だと言い切ってしまえば、それで良かったはずなのに。むくむくと、身体の奥からよくない思考が湧き出てくる。 (この子達と仲良くしてたら……ロイドさん、嫉妬してくれるかも……) 一度そんな考えを抱いてしまえば、もう止まらなかった。 「そ、そうですっ。わたし、この人たちといっしょに泳ぐ約束をしていたんですっ! 」 ヨルは咄嗟にそんな嘘をついてしまった。アルコール摂取という行為すら咎められたことに対する、反抗心も手伝っていたかもしれない。嫉妬心を煽る、という目的の他に、ロイドを少し困らせてやろうと思ったのもある。 ヨルの言葉を聞いたロイドは、一瞬驚いたように目を見開くも、 いつもの冷製沈着な表情に戻ってしまう。 「そ、そうなんですね……アーニャは僕が見ているので、楽しんできてください」  ヨルはそのことに胸がきゅぅとなるのを感じた。そんなことを他所に、ナンパ男二人は、ヨルのその言葉に歓喜したように顔を綻ばせ、両手でガッツポーズをしながら喜んでみせた。そんな彼らの手を引くように、ヨルはシーハウスを後しにした。 「お姉さんもたまには子育てから解放されて遊びたいよねぇ。でもあんなおっきなお子さん居るなんて意外だなぁ。すごく若く見えるのに……」 ナンパ男の片方、背の高い長髪の方がそう言った。それに対して、もう片方の背の短髪はウンウンと相槌を打つ。 「ア、アーニャさんはロイドさんの連れ子で……」 と、そこまで出かかって、今はそんな説明などどうでもいいと思い直す。それよりも若く見られたということが、普通の女性にとっては喜ばしい部類の言葉だと気づいて、彼らのストレートな物言いに、まんざらでもない気持ちになってしまう。彼らは察するようにお酒を購入してくれて、ヨルはそれを有り難く受け取った。 ヨルは海に向かう道すがらも、ナンパ男たちと会話を続けた。なんでも、すごく好みだとか、本当に可愛いとか、綺麗だとか、スタイル抜群で水着もすごく似合ってるなど、ヨルを褒めちぎってくれた。お酒を飲んでいることもあり、ふんわりとした良い気分になりながら、ヨルは彼らの言葉に、自ずと笑顔で応えてみせる。 (こうやってペットのように懐いてくる感じもユーリを思い出しますね……) ヨルはそう思いながらも、自分の心の中で何か引っかかるものを感じていた。が──それを押し殺して、考えることをやめてしまう。 そしてヨルは、男ふたりと一緒に海辺へとやってきた。 ヨルは先にパラソルが設置されてあって、二人が既に場所取りをしていたと説明を受けた。そこに男達はレジャーシートを敷いて、ヨルに寝転がるよう促す。 「お姉さん、肌白くて綺麗だから、しっかり日焼け止め塗って対策しないと」  肌を異性にさわられることは慣れてないが、親切心を感じられる口調でそう言われれば、断るのも申し訳なく思えて、ヨルは大人しく従うことにする。それに、この場面をロイドが目撃すれば──もしかしたら、慌てて自分を連れ出してくれるかもしれない。私の妻に何をしているんだ、と。 そんな淡い期待もあった。 男達は慣れた手つきで日焼け止めオイルをヨルの背中に塗り込んでいく。その手つきは心地よいもので、ヨルはうっとりと瞳を閉じる。うつむせのまま、マッサージのような感覚に浸りながら、男達の手に身を委ねる。視覚を遮断すると、いっそう触覚が研ぎ澄まされ、余計に彼らから受ける刺激に意識が集中してしまい、なんだか妙な気分になってくる。 (もし、ロイドさんにこんな風にさわられたら……) そんな想像をしているうちに、いつの間にか背中、肩、腕は、くまなくオイルが塗られていた。 ふぅ……っと、息をつく。結局はロイドのことばかり考えてしまっている自分に苦笑する。何を期待していたのか、自分でもよくわからなくなってしまっている。 (もう、ロイドさんのところに戻ろうかな……) そんなことを考えていると、突如、ヨルの臀部にひんやりとしたものが触れる。 「ひゃうっ?!」 「次は脚のほうに、オイル塗ってきますからねぇ~」  声でわかる。短髪の男の指だった。 (そ、そ、そ、そこは脚と言うより、お、お、お、お尻……!) ヨルは焦った。そんなところを他人に触れられるのは初めての経験だったからだ。しかも、ロイド以外の男性に……。 ヨルは自分の身体の奥底で、なにかゾクッとするようなものを感じて、思わず男の手を払い除けようとする。咄嗟なことなので到底力加減などできるはずもなく、打撲程度では済まなそうなほど強く、早い、痛烈な打撃を繰り出してしまう。しかし── その手刀は、容易く男のてのひらに包まれた。 「おっとごめんなさいっ、変なとこさやっちゃって……わざとじゃ無いんですっ」 男はそう言って謝罪する。その声色に悪意は含まれていないのが暗殺家業で培った勘で分かるが、違和感が拭えない。 (この子達やっぱりなにか変です……) そう逡巡しながらも、もう一人の手はヨルのふくらはぎをゆっくりと撫ぜ上げていく。やはりその指遣いは心地良さを運んできて、冷静に努めようとする思考を鈍らせていく。アルコールの成分すら増幅させられているような気がしてくる。 先程生まれた警戒心も薄れていき、ヨルは自然とその快感に身を任せてしまっていた。 背後では、短髪の男がヨルの左脚を抱え込み、脹脛、膝裏、太腿の内側と、丁寧にオイルを塗布していく。 ヨルはその感覚に腰を浮かせて、悩ましい吐息を漏らしてしまっていた。 その様子を見て、男達は満足げに微笑んでいるようだったが、うつ伏せになっているヨルには確認することはできない。そして── むにぃ。 男二人の手が、またヨルの臀部に触れた。今度は両手で左右同時に鷲掴みにして揉み込むように動かし始めた。 「ちょっ、ちょっと! ま、また……!」 ヨルは反射的に抵抗しようと、腰を捻ろうとするが、男達の両手はそれを許さない。 むにゅ。ぐに。もみっもみっ。むにむにぃ。もみゅっ、もみっ、もにょぉ。 左右の尻肉を同時に激しく揺さぶられ、弾かれる。水着の隙間から、尻ふさを取り出すような手つきだ。二人がかりで挟んでそのようなことをされてしまえば、どんどんお尻が露出している範囲が広がっていく。そうしながら、揉み込むのだから、水着もどんどん食い込みを増していってしまう。 ヨルは恥ずかしさと怒りを覚えて振り解こうとするものの、男達はそれを許さなかった。むしろさらに強い力でヨルのお尻を固定して、好き勝手に弄ってくる。なぜか力がうまく入らないことが、ヨルを困惑させた。 (な、んで……? お酒の、せい……?) そんな疑問が脳裏をよぎると同時に、ヨルの尻肉に強く男の指が食い込んだ。そしてそのまま左右に広げられてしまう。あろうことか、水着ショーツの背中側は男のひとりに掴まれて、クイックイッ、と引っ張られている。そうされると、水着はヨルの豊満な双丘のクレバスに完全に埋もれてしまう。もはや、Tバックとなんら変わりない状態になっていた。 (な、なんて、いやらしい格好をさせられているのでしょうか……) 羞恥にヨルの顔が赤く染まる。揉み込み続ける男達には、もしかしたら水着の隙間から恥ずかしい窄まりすら目撃されてしまっているかもしれない。そう考えると、まともに彼らの方を見ることすらできなくなってしまう。 しかし、そんなヨルの恥じらいとは裏腹に、彼女の身体は確実に快楽を植え付けられてしまっている。指と、オイルと、手のひらで、お尻を執拗に蹂躙されるたびに、ヨルの身体は甘く疼いていた。 (これ……なんか、変な気分に……) 思考力が削がれる。だんだんと抵抗する気力を、じんわりとした熱が溶かしてゆき、やがて考えることすら放棄してしまうほどになってくる。その瞬間だった。 ──つつっ…… 「ひィん!?」  ヨルは思わず甲高い声をあげてしまった。臀部をまさぐる男の指先が、お尻の割れ目の奥にある小さな地点へ、狙い澄ましたかのように滑り込んできたのだ。水着はいつのまにかずらされていて、尻たぶも割り開くように、むにぃと広げられていたので、指先は簡単にその皺ヒダを擦りあげてきていた。一瞬のこと──しかし確実にオイルはその場所へと塗られていた。そこから生まれる疼きと言ったら、いままでとは比較にならなかった。 (な、なんですか今の……? 声も……変な風に出ちゃったし……) 戸惑いの間も、ヒリついた感覚は全身を巡り、やがて下腹部の奥底へと収束してゆく。 (ダメ……頭、ボーっとする……) そんな状況だからこそ、お尻をペチンと張られても、特に気つけなもならず、瑞々しい恥肉がぷるん、と波打っただけであった。 「お姉さ~~ん? 聞いてます~~? オイル塗り終わったから、海行きますよ~~っ」 短髪のほうの声がわずかに、ヨルの耳に入る。ぼんやりした意識の中で、なんとか反応を返そうとするも── 「あっ……ひゃ、い……」 と、呂律の回らない返事しかできなかった。男達はそれに対して満足げな笑みを浮かべると、ふたりがかりで介抱するように、ヨルの肩を担いで立たせる。ヨルは膝に力を込めることが出来ず、男達に支えられながらヨロヨロと立ち上がった。水着の食い込みを直すような余裕はなく、男達が歩を進めるまま、ぷりぷりと柔尻を振りながらついていくしかなかった。ビーチに居る人たち──とりわけ男性の視線が、そこに集まったいるのがわかって羞恥心が再び呼び起こられ、顔がカァッと熱くなる。そして、その熱を煽るように、両サイドの男たちは、ヨルの顎をクイッと持ち上げて、お酒を流し込んでくる。まるでドロリとした媚薬のように、喉元を通り抜けてゆくそれは、火照りをより強く加速させていく。そんな状態で両脇から抱えられながら、腋──というよりは、胸部に近い中間地点を、男達はほぐすように刺激しながら、海へと進んでいく。ヨルの水着は、ホルダーネックのビキニだったので、この箇所はまさに無防備だ。たわわと言える実りの、横乳部をぷにぷに、と弄ばれると、ヨルはビクビクと身体を震わせてしまう。アルコールと──胸部への経験したことのない刺激──ふたつの相乗効果によって、ヨルの思考力はさらに蕩けさせられていった。 「わたし、へんですぅ……ロイドしゃん……た、しゅ、け、てぇ……」 無意識のうちに助けを声に出すが、当然届くわけもない。そもそも突き放すような行動を取ったのは、自分なのだ。 ヨルが、そんな自責の念に駆られている間にも、男達の手つきはいやらしさを増していき、そこから生まれる切なさもゾクゾクと増していった。 (あぁ、だめです……こんなのぉ……) 気づけば波打ち際まで来ていた。 「お姉さん、ちょっと疲れてるみたいだし、お酒もけっこうまわっちゃってるから、普通には泳げないよね? ほら、ちゃんと浮き輪使って」 男はそう言うと、半ば強引に頭から浮き輪をヨルに通す。腋のあたりですっぽりと嵌まり、そのまま浮き輪を引っ張られれば、ヨルは否応なしに身体を海の中へ引き込まれる。ただ、その、海音は、火照った身体を冷ますには心地よいものだった。しかし── それは契機になってしまう。海に浸かったことで、まわりからはヨルの首元から上しか見えないような状況になってしまっている。男達の手つきはエスカレート──と呼ぶのもおこがましい程に、露骨になっていく。 「あっ、そ、それは……ッ」 胸元の水着に手をかけられ、ずらされた。男達は、ヨルの生の乳房を鷲掴むと、グニグニと揉み込んでくる。スペンズ乳腺をさんざん刺激されたせいで、ヨルのそこは感度が上がってしまっており、その強い揉み込みに、腰砕けになりそうなほどの快感を覚えてしまった。 (こんなのぉ……知らないぃ……) ヨルの瞳はすでに潤んでいて、口元はだらしなく緩んでいる。もはや抵抗する精神力など残されてはいなかった。浮き輪のおかげで脱力しきっても、沈んでいくことはない。そんな不自由な自由なことが一層、ヨルの心を溶かしていく。そんな状況で不意に── 上半身を撫で回され続けた中で、一本の指が胸の頂点の尖りにかすった。ピンッ、と。 「ふぁあんっ!」 普段ではありえないような甲高い声が漏れ出てしまい、ヨルはさらに顔を赤面させる。そんなヨルに対し男の一人が口を柔らかく手で覆い、しーっと声を潜めさせた。 周囲の人ごみがざわめいているのを、視線を巡らすことでアピールして、自分たちが注目を集めていることを思い知らせてきたのだ。 男達は、ヨルの耳元で囁くように告げる。 「静かにしないと、バレちゃうよ? お姉さんが、大きいおっぱいを水着からこぼしちゃってるこ、と」 その言葉で、今更ながらヨルは、自分が公共の場でなんてはしたない格好を強要されていのかを理解した。快楽により蝕まれていた理性がなんとか首をもたげ始め、羞恥心が湧き上がる。だが、腕をまわして胸を隠そうにも、浮き輪が邪魔をして、うまくいかない。そもそも男達にヨルの手は簡単に引き剥がされてしまう。暗殺術に加えて、身体的な能力を常人離れしてるはずのヨルが、あっさりと我が物顔で扱われているのだから──それがたとえ、アルコールの効果や、未知の快楽によるものが少なからずあったとしても──異常な状況としか言いようがない。 「お姉さん綺麗な顔してるんだから、そうじゃなくても目立っちゃうからねぇ」 また、自分の容姿を褒めるような言葉を男達にかけられて、ヨルは動揺してしまう。 「感じてる顔もほ~んと、可愛いっ」 そんな甘言を耳打ちされながら、今度はゆっくりと両方の乳首の周りを、男二人の指がなぞりだす。くーるり、くーるり、と、円を描くように。かと思えば、乳輪を摘み出すように挟み込まれ、そのまま前後にスライドさせられる。まるで楽器を奏でるかのような繊細な動きだ。だけど── (なんで、さっきみたいに……) ヨルは、自分の身体の変化に気づいていた。ひときわ敏感な先端を責められるのではなく、その周辺ばかりに指を這わされ、もどかしさが際限なく高まっていく。そんな感覚に囚われ始めていた。焦らし、という言葉がある。男達が行っているのはまさにそれだった。それが性的興奮をより昂らせるテクニックだということは、ヨルには知る由も無かったが、だからこそヨルにとっては未知なる体験であり、抗い難いものであった。 (さわられてないのにぃ……) 胸の先端が、どうしようもなく疼いていしてまう。もはや我慢できなくなっており、無意識に身体を捩る。それは、男の指を求めた動きであったが、男達は察知するように指を巧みに動かして、寸でのところでふれることは無かった。 「あぅっ……な、んで……」 思わず不満げな声を出してしまう。すると、男達が嬉しそうな笑みを浮かべた。 「お姉さん、触ってほしいの?」 その言葉は、ヨルに自らの願望を自覚させてしまった。そして、それを肯定すれば、さらなる快楽を与えてもらえるという期待も。しかし、それは同時に男たちの思惑通りに踊らされていることに他ならない。ヨルはわずかに残る理性と、本能の間で葛藤し続けていた。 「ちが……い……ます」 振り絞れたのは、なんとか否定の言葉。しかし、それは男達を増長させただけであった。 「そっかぁ~~、じゃあ、このまま続けるね~」 言うなり、長髪のほうの男が後ろから、短髪が前から挟み込むような位置取りになる。後ろからは、両サイドのスペンス乳腺を刺激され、前からは尖りの周辺を執拗に指先でなぞり続けられた。胸のGスポットと呼ばれる地点への執拗な揉み込みと、乳首という決定的な敏感機関を避ける指遣いという矛盾。それは、ヨルに下腹部へと押し寄せるやりきれない空白を、より強く意識させるものだった。 「あっ! んっ!! はぁん!!」 声が出てしまう。まわりの、普通に海水浴を楽しんでいる人々から好奇の視線が注がれていることに気づき、ヨルは身を強張らせた。羞恥心が湧き上がり、慌てて口を押さえようとするが、その前に──男達の指先がヨルの尖りを、乳肉へと押し込んだ。 「んんんんっ!!!!」 それだけでヨルの全身は痙攣したかのように震える。しかし、それもやはり一瞬の行為。また、乳首を避ける焦らしの愛撫が続けられる。 「お姉さん、気持ちよかったでしょ? ちょっと触っただけでもすっごいコリッコリなのが伝わってきて……ホントは今すぐにでもめちゃくちゃに捏ね回してあげたいんだけどねぇ……」 耳元で囁かれる言葉。 (うううううう……!!!) ヨルは心の中で絶叫する。確かに、その通りなのだ。今すぐこの二つの突起を責めて欲しい。弄くり回してもらいたい。欲望が膨れ上がって、爆発してしまいそうだ。それでもまだ踏みとどまっているのは、ヨルの過酷な暗殺術が培った精神力の賜物と言えよう。だが、男達はそんなことお構いなしとばかりに、さらに追い打ちをかけるように言葉を紡ぐ。 「お姉さんはこんな風にまわりバレないように虐められるのが好きなんだねぇ。とんだドM人妻だ」 「ん……ふぅ……」 反論したいが、何も言えない。口を開けば喘ぎ声しか出てこず、男達に屈服した証を晒してしまうことになるだろう。ヨルはそれを何よりも恐れていた。 「旦那さんもいるのに、他の人におっぱいいじられて感じまくっちゃうなんて、悪い奥さんだよなぁ?」 旦那。その単語に、ヨルはビクッと反応を示す。ロイドの顔を思い浮かべようとするが── 「ひィ!?」 今度は両乳首を指で挟まれた。そのまま力を込められて、プルンっ、と弾けさせられた。あまりの刺激に、浮かべたロイドの顔が霧散していく。そしてまたルーティンのように、乳首を避ける愛撫が再開させられる。 「いやぁ……もぉ……だめぇ……」 ヨルは、目に涙を浮かべて懇願するが、男達はただニヤつくだけ。完全に弄ばれている。ヨルは絶望感に苛まれながらも、さらなる快感を欲しがっている自分を自覚していた。 「お姉さん、気付いてる? 旦那さん、さっきから心配そうにこっち見てるんだよ?」 (……っえ??) 男の言葉の意味を理解するまで数秒を要した。血の気が引いて、身体が凍り付く。しかし、それとは裏腹に、胸の先端にさらに熱が集まり始めているのを感じている。 「そんな、う、そ……嘘ですよね……ッ?!」 「本当だよ。ほら、あそこ……」 言葉と共に、男は浮き輪を反転させる。ヨルの視線は自ずと砂浜の方へと向けられた。そこには、本当に、あのロイドがこちらを見つめている姿が確認できた。いつもの平然としたものより、少しだけ陰のある表情。それは、ヨルを男達と行かせてしまったことに対する罪悪感なのか──今となっては、もうわからない。 「あ……ああ……」 ただ、男達の言うことが真実だとわかるのと同時に、自分の痴態を見られてしまっていたという事実──実際は浮き輪から上の苦悶の表情くらいしか捉えられないだろうが──しかし、それはヨルをさらなる興奮状態へと導いてしまう。なおも男達による胸への執拗な愛撫が続くので、なおさらなのかもしれない。爪先の本当に先端、わずか数ミリだけが、乳首の側面を掠める。指の腹で乳輪を挟むように摘まれ、中の芯を搾り出すようにぷにぷに、と揉み込まれる。乳頭からわずかに浮いた部分を、往復するように指が前後を続ける。その間も、腋と横乳の中間地点はきゅむきゅむ、と指が食い込み続ける。ヨルは、視界の端に映ったロイドの姿を見ながら、懸命に声を抑えていた。 (見ない、で……お願いだから、見ないでください!!) 心の中でそう祈っても、男達は嘲笑うようにヨルの肉体を蹂躙し続ける。 「お姉さん、いいこと思いついたよ? お姉さんが、笑いながら手を振ってあげれば、旦那さんも安心してお姉さんのこと放っといてくれるんじゃない?」 男が二本の指を伸ばして乳首からわずかに離して挟み込み、スライドさせながら言う。それも両胸共にだ。それだけでヨルはゾクゾクとした感覚に襲われてしまう。 「あっ……ん……ふぅ……そ、そんな……!!」 「そうてくれたら、俺達も、ちゃーんとお姉さんの乳首、いーっぱいさわってあげるんだけど、ねぇ?」 その提案は、つまり──ロイドの前で屈服しろということだ。そんなことをすれば、確実に自分は堕ちる。待ちわびた快楽を浴びせられ、さらにそれを自ら求めるような醜態を晒してしまうだろう。きっと、戻れなく、なる。 「だめ、で……す……やめて……くだ、さい……」 なんとか拒絶の意思を示すが、男達はニヤついたままだ。 「え? 聞こえなかったなぁ? もう一回言ってくれるかな?」 そう言いながら、すりすり、すりすり、しつこく乳首の脇を狙って擦ってくる。切なさが募る。ロイドの表情と相まって、それは複雑な感情を呼び起こす。 「あははっ! お姉さん、身体は正直みたいだけどねぇ?」 「ん、くぅ……ッ」 恥ずかしさと悔しさに、ヨルは顔を真っ赤に染め上げる。そして、男達が乳首を触ってくれることは、決してないと悟ってしまう。この先ずっと、焦らされ続けていくのだ。ロイドの顔を見ながらそうされるということは、想像するだけで発狂してしまいそうなほどに辛いことだった。耐えられる気がしない。 「強情なお姉さんには、こう、だね」 「ひィああんっ?!」 予期してなかった。男の指は不意にヨルの下半身に伸びていて、水着をすり抜け──アナルをぐいっと穿っていた。そのまま肉ヒダを、指の腹が撫であげる感触に、ヨルは声を抑えることも忘れて喘いでしまう。 「だ、だめぇ……っ、なにを……んん~~っ!!!!」 「これ、さっき塗ったオイルの亜種のクリームなんだ。水に溶けにくいから、こうして塗りこんであげると、すーぐお姉さん我慢できなくなっちゃうよ?」 男は説明しながら、差し込んでいる中指を丹念に皺穴の中で蠢かしていく。クリームを馴染ませるように、何度もぐりぐりっ、と回転させられ、ヨルはその度にビクンッ、と痙攣してしまう。 「は、早く……ぬ、抜いて……お、お願いぃ……っ!」 粘膜へ直接塗り込まれる、得体の知れない油薬。それは、燃えるような熱さをヨルに与えて、ほとぼりは突き抜けるように胸の先端へ集まっていく。媚薬という類のものがあるのは、尋問対策として知識はあったが、まさかこれほどのものだとは想像していなかった。しかも、胸の尖りには、指が周辺をなぞるばかりで、その火照りを解放してくれない。 「はァ、あ……ん、ああ、うン……ん……」 指の動きに合わせて、腰を揺らめかせてしまう。それでも、やはり男達の責めは、肝心な部分を避けて行われている。皺穴から指は抜き取られたが、胸への永遠に思えるような焦らし責めを、執拗に続けられた。 (ロイドさんっ、ロイドさんっ、ロイドさあぁんっっ……) ぼやけていってしまうヨルの視界。心の中で彼の名前を叫び続ける。そうしないと、ロイドの顔が真っ黒に塗り潰され、二度と思い出せないのではないかと思えたからだ。そんな縋り付くような想いも、男達によってあっさり踏みにじられてしまう。耳元に男の唇が寄せられた。 「このクリーム、お姉さんの乳首に塗ってあげても、いいんだよ? どうする?」 「あっ……あっ……はぁ……そ、それ……は……」 それは、なんと官能的な誘いだろうか。ヨルはそれを拒まなければならない。だが、理性に反して肉体はその言葉に反応してしまい、どうしようもなく下腹部の奥が疼き始める。 「このクリームをた~っぷりと塗って、ビンッビンッになったお姉さんの乳首を、摘んで、捻って、弾いて……ゆっくり扱いてあげたり、根元からコリコリってしてあげたり……ああっ、二人がかりで同時に舐めしゃぶってあげるのもいいなぁ」 ねっとりとした口調で囁かれる淫らな誘惑。まるで耳穴を犯すような卑猥さを孕んでいる。それは、ヨルにそうされる光景を如実のように思い起こさせ、さらに身体を熱くさせる効果があった。ヨルの背筋をゾクゾクとしたものが駆け上がってくる。 「ふふっ、想像した? お姉さん、その快感に、もう夢中になっちゃうんだろうねぇ? きっと、イキまくるだろうねぇ?」 「はぁっ、はぁっ……」 「おっぱいだけでイッちゃうのって、すごーく気持ち良さそうじゃない?」 「は、あ……あ……っ」 ヨルの脳内では、その刺激がどんなものなのか、鮮明にイメージができてしまっていた。男達に乳首をいいように弄ばれる。今まで溜まりに溜まった熱を、男達の指先により一気に解放してもらえる。それがもたらす愉悦は、恐らく──今まで経験した始末の瞬間なんて、軽く凌駕するような甘い痺れをヨルにもたらしてくれることだろう。 「あ……あぅ……」 それは、ヨルにとって抗い難い甘美なる拷問だった。一度その快楽を知ってしまったら、二度と戻れないのは、もはや間違いない。 「あれ? お姉さん、なんか腰が揺れてるよ? ひょっとして、我慢できなくなっちゃったかな? じゃあ、わかってるよね?」 「はぁ……はぁ……っ」 その問いかけに答えることはできない。絶え間なくこぼれてしまう喘ぎを噛み殺すので精一杯なのだ。思考すらまともに出来るかも怪しくなっていた。もう一人の男も耳に唇を寄せて、催促するように呟いた。 「ほら、お姉さん。ちゃんと旦那さんに、だいじょうぶだよって──知らない男二人におっぱい好き勝手されて、いっぱいイカせてもらってきますって笑顔でアピールしないと。じゃなきゃ、ずっとこの焦ったいままだよ? 我慢できるかなぁ?」 「……っ!」 ヨルは咄嵯にかぶりを振った。それだけは嫌だと、脳裏で叫ぶ。しかし、身体は正直な反応を示してしまっている。アナルはヒクヒクと収縮を繰り返し、両胸の頂は痛いほど勃起していて、男達の指先を求めてしまっている。下腹部はキュンキュンと切なく疼き続け、ヨルの理性を奪っていく。 (だ、ダメ……こ、このままじゃ……わ、わたしは……) 裏腹に、体は動く。右手はぎこちなくピースサインを形成し、唇は震えながらも、なんとか口角を上げようと必死に努力していた。 「が~んばれっ」 「が~んばれっ」 両サイドから男二人が、ヨルの行動を煽ってくる。その間も指は、乳首にわずかに掠らない地点を、カリカリ、カリカリ、と引っ掻くように苛み続ける。あと少し、ほんのちょっと、強く触れてもらえれば、決定的な快楽が訪れる。そう思うのに、決してそうしてくれない。限界だ。 ヨルは羞恥心を押し殺す。そして、涙目になりながら──にっこりと微笑んだ。

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