【雑談】実録!はじめてのぎゃくふんしょくけっさん(前編) (Pixiv Fanbox)
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いつも小説をご覧いただき、ありがとうございます!
今週の雑談は、私の実話昔話「はじめてのぎゃくふんしょくけっさん(前編)」をお届けします。
完全に思いつきで書いてみただけなので、つまらなかったら「ごめんなさい」で良いんです。
本編
あれは忘れもしない、拙僧が高校3年生の頃...文化祭の案内用紙が配られた。
そこに書かれていた、何気ない一文が目に入る。
【有志による屋台の出店は担任の教師へ相談してください】
ト「有志で屋台なんてできるのか...知らなかった」
過去2年はクラス展示と料理部での菓子製造・販売しかしていなかったが、最後の年だしせっかくなら屋台でも出して金儲けがしたい...あとついでに思い出作りもしたい。
そう思った私は、陰キャのくせに珍しく自分から行動に移すことに。
まずは先生に出店についての情報を聞き、仲間を集める事から始める。
自分の部活の屋台やクラスの出し物、受験勉強等で忙しい人が多い中、誘いに乗ってくれたのは5人。
授業中に電子辞書のカバーケースに3DSを入れてリスキー過ぎるポケモン対戦仲間だったAとB。(ちなみに先生に見つかるのをビビってDSをパタンしたら反則負け。アイスおごり)
そしてAの彼女C(美人)と、その友達のブスD、E。
形だけ見れば男女3:3のリア充だ。DとEはブスだが。
私がリーダーなので色々案を出して多数決を取った結果、屋台はチョコバナナに決定。
それからはかなり忙しかった。
クラスの出し物、料理部部長としての仕事、屋台の仕入れや数、道具の準備、価格設定etc...
最も時間をかけたのはチョコバナナのレシピ。
料理人として『どうせなら本当に美味しいチョコバナナを食べて欲しい』という無駄に高いプロ意識から、チョコを何種類も集めて(受験勉強そっちのけで)何度も試作を繰り返した。
1年生の頃から毎週末無報酬で修行させてもらっていたケーキ屋のシェフにも、色々アドバイスを聞いて試行錯誤。
そして選ばれたのは、ケーキ屋でも使われる最高品質ベルギー産クーヴェルチュールのミルクチョコレート。
周囲の部活動の屋台は、冷凍焼き鳥・わたがし・フランクフルト・シロップ入りサイダー...どこにでもあるような商品のみ。
学校の文化祭だから当然である。
私は勝利を確信した。
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そしてあっという間に文化祭当日。
ト(よっしゃ!頑張って開発したチョコバナナ、ガンガン売って金儲けじゃい!)
美味しい物を食べて欲しいという気持ちとお金が欲しいという気持ちを胸に張り切っていた私の元に、担任の教師がやってきた。
時刻は文化祭開始の15分前。
先生「トライセプス、部活出店の利益は部活動の活動費だが、有志出店で出た利益は全額学校へ納めることは知ってるか?」
ト「.........」
ト(くそっ!こいつ絶対わざとギリギリまで伏せてやがったな!ざけんな!...そっちがその気ならこっちにもやりようがある!要するに『最終的に利益が出なければ良い』んだろ)
事前説明の時に聞かされていなかった新事実を前に、私の思考回路が超速回転した。
その間、1秒未満。
ト「はい、もちろん知ってますよ!ウチはすごい良いチョコ使っているので元から原価ギリギリです!だから最初から利益はほとんど出ないっす!」
嘘である!
本当は売れ残り・ロス・仲間が勝手に食べたりあげたりする可能性を想定しても、純利益だけで2日で最低4万は儲かる計算!
成績順でクラス分けされる進学校において最下位クラスの男!
テストは赤点だらけのくせに無駄に頭の回転だけ早いクズ、渾身の大嘘!
先生「そうか、知ってるなら大丈夫だ。文化祭が終わったらこの売上報告用紙をレシート付きで提出するようにな。後でチョコバナナ買いにくるから頑張れよ」
ト「はい!待ってます!」ニコッ
ト(さよなら、レイペンバー)
先生が去った後、私はすぐに仲間を招集して事情を説明した。
仲間が余計な事を口にしないように、情報の共有は必死である。
ト「さっき先生に言われたんだけど、利益は全部学校に取られるらしい」
皆「え!それじゃあ打ち上げできないじゃん!」
ト「だからさっき俺が先生に『利益はほとんど出ない』って嘘をついておいた。皆ももし聞かれたらそう言っておくように。『儲かってます!』なんて言ったら利益が分配できないからね」
こうして2日間の楽しい楽しい文化祭が始まった。
来週の後編へ続く