Home Artists Posts Import Register

Content

19:傀儡と狩り人 ――バスっ!! バスッ! バスッ!!  リボルバー式の拳銃から放たれた3つの閃光は、真っ直ぐにラフェリアの眉間に向けて光の帯を伸ばし鈍い音を立てて着弾するが…… 「あら? 避ける必要がなかったんだけど……もしかして狙えてないんじゃないかしらァ?」  最短距離で眉間に吸い込まれたと思われた銃弾はその僅か横にことごとく逸れ、虚しく空を切って背後の柱に着弾してしまっている。 「ちっ!! だめだ……接近しないと……しっかり当てられねぇ……」  自分の手の震えが強くなってきている事は自身が一番理解している。  後ろや横を向いたラフェリアに放つ銃弾はさほど不意を突けるため難しくはない。しかしこちらを正面から向き合って睨んでいる彼女の威圧感は例え偽物の身体であっても強すぎて手が竦んでしまう。  震えが止まらなくなってしまう……。 「フフ♥ そっちのターンは今ので終わりでしょ? だったら次は……私の番っっ!!」  バサリと蝙蝠の翼を広げ宙に浮き上がったラフェリアは、両手を左右に広げ手のひらにドス黒いマナの渦を創りだす。  その渦はやがて風船を膨らませたかのように大きく育ち、甲高い奇声のような音をたて始める。  そしてマナの渦が成長しきったのを見るや否や、その両手頭の上へ高く掲げ…… 「淫獄奥義…………」  2つの渦を合わせ、1つの大きな球体を形作る。 「……阿鼻時雨っっ!!」 その巨大な球体から様々な異形の霊体が顔の部分だけ生成され、生まれるや否や一斉にレファに向けて牙を剥き出しにして放たれていった。 「ちっっ!!」  見るにおぞましい異形の顔達が一斉に彼女に向けて迫ってくる。レファは、すぐさま脚に力を込めその突進に回避の行動を取ろうとする。  しかし…… 「っっ!? 身体が……動かねぇ!!」  床を踏み込もうとした脚が踏み込めない。力を込めたくても足が竦んで力が入らない。 ――ズシャ、ズシャズシャッっ!! 踏み込みが利かず逃げ遅れてしまったレファの腕や足に亡者のような顔が食らいついていく。 鋭い歯、強い顎の力に露出した肌を食い破られ、瞬く間に体のあらゆる箇所が切り傷だらけになってしまう。 「くっっ! うっく……」  全身の痛みに思わず膝をついてナイフ抜いて防御の体制を取るレファだが、次々に襲い来る鋭い歯を持った異形の者達全てを捌ききれる余裕はない。  顔を庇えば脚を……足を庇えば横っ腹を……横っ腹を庇えば腕や首を……必ず出来てしまう隙を狙うかのように意志を持った顔達は自在に責め手を変えてレファに確実な傷を追わせていく。  ラフェリアの手から球体が消える頃には、レファの体は何処を切り裂かれたのか分からないくらいの無数の切り傷を負い薄汚れていた上着は血の滲んだ色に染まって真っ赤になってしまっていた。 「あら……もしかして司祭ったら……娘ちゃんに気絶でもさせられたのかしら? 本当ならもっと長々といたぶれる魔法だったのに……マナの供給が不安定で長続きしないわ……」  全身傷だらけのレファを見てさも残念そうに手を横に広げて呆れるラフェリアは、そのままフワリと膝立の格好で体制を崩した彼女の横へ降り立ち不敵な笑みを浮かべてみせる。 「くそっ! なんだ……今の……魔法は……」 「フフ……動けなかったでしょ? 脚……」 「っっ!! それも……魔法の効果だってのか? 逃さないようにするためのっ!!」 「ご名答♥ あの魔法はチャームの効果も同時に発動して、相手の意識を瞬間的に奪う仕掛けが施されているの♥ 奥義の中では火力はそこまで強くはないんだけど……絶対に逃がさないで傷を延々負わせる事のできる……私好みの魔法ではあるわ♥」 「フン……なるほど……悪趣味な魔法だ。お前らしい……」 「ありがとう♥ 褒めてもらえるとは思ってもみなかったわ♥」 「ちっ! 悪趣味が褒め言葉とは……皮肉も言えねぇじゃないか……」 「フフフ♥ さて? 私の魔法はマナが供給されていない関係であと1発くらいしか打てないんだけど……どうしてあげよっか?」 「……見ての通り……私は傷を負いすぎて上手く立てねぇ……。好きにすればいいさ……」 「アハ♥ ごめんねぇ~? 本当はこんな中途半端な魔法じゃないのよ? 本当なら骨が見えるくらいまで齧り取らせて、あまりの痛みに阿鼻叫喚な悲鳴を上げながら絶命するって魔法だったんだけど……。今のこのマナじゃ細かい傷しか増やせなかったわね……」 「怖いねぇ……そんな恐ろしい魔法だったのかよ……」 「そう。私は本当は……怖~い淫魔さんなの♥ こんな怖い淫魔がやるから……こういう子供じみたイタズラも……猟奇的に映ってくるでしょう?」  ラフェリアは膝立ちの格好で動けないレファの横に立ちスッと姿勢を低くする。  そして……靴も靴下も脱ぎ捨ててきた、傷だらけのレファの太腿に手を添え、スリスリと手で撫で上げ始める。 「うくっっふ!? な、何をしやがるっっ!!」  淫魔の妖しい手つき……太腿から内太腿に滑り込むように撫でる彼女の手は、細かい傷に触れるたびに熱くて気色の悪い感触をレファに味あわせる。 「やめ……ろっ! 傷が……疼くっっ!!」  触れられた傷口が徐々に疼いて痒くなっていく。まるで漆や山芋を塗られているかのよう……。痒くて痒くてたまらなくなっていく。 「ほら……動かないの♥ すぐに良くなっていくから♥」 「はひっっ!? や、やめっっ!! か、痒いっっ!! 傷口がっっっ熱くて痒いっっっ!!」 「フフフ♥ 私の体は樹木で作られているって見抜いているんでしょ? だったら教えてあげる♥ この体に流れている樹液は……痒みの成分を存分に含んだ特別な樹液なの♥ こんな風に……傷口に直接塗ってあげれば……すぐに体中が痒くて仕方なくなるはずよぉ?」  塗られた箇所が熱く痒くなっていく様に耐え切れず、レファはすぐさま両手を太腿や内太腿に這わせガリガリと引っ掻いて痒みの痺れを薄めようと抵抗する。しかしラフェリアはそんな彼女の微々たる抵抗も許さず、無情にも指をパチンと鳴らし石畳の隙間から沢山の蔦を生やせレファの手足にまとわりつきながら彼女を緩く拘束し始める。 「はひっ!? な、何しやがるっっ! この蔦どもっっ!! 放せっっ!!」  手首、足首にそれぞれ絡まった蔦はレファの弱った体を簡単に地面に平伏させ、うつ伏せの格好で彼女を大の字拘束する。  痛みと痒みとチャームの効果に力を奪われていたレファは、さほど強く押さえられてもいない蔦の力にも抵抗できずその蔦の為すがままに身動きを封じられてしまう。 「ウフ♥ 良いカッコ♥ やっぱり抵抗できないように拘束された女の子を見るのが……私は一番興奮するわねぇ♥」 「くっそっっ! 放せっっ!! 何をする気だっっ!!」 「でも……やっぱり興奮するといえば……こういう女の子に……こういうイタズラをする時が……一番かなぁ~?」  内太腿に触れていたラフェリアの手が徐々に下へ伸び……膝の裏……ふくらはぎ……足首……カカト……と滑っていく。 「ひっっ!? や、やめろっっ!! ま、まさかっっっ!!」  指を散歩させるようにコソコソと交互に動かしながらカカトの頂上まで登りきる指……。  そして……カカトの内側へと指先が進むと一気に…… ――ツツツツツぅ~~♥ 「ぅきひっっっっ!!?」  土踏まずの大きな窪みを肌の曲線に沿って滑らせ、レファの足裏に強烈なこそばゆさを与え始める。 「こ~~ちょ、こちょ……こちょ……こちょ~~♥」  土踏まずの先の足指の付け根まで滑った指は、また皮膚の上を散歩するようにトコトコと歩いてカカトまで戻りすぐまたスキーを楽しむように爪の先で足裏を全て刺激していく。 「はひぃぃぃぃぃっっっ!!? く、くすぐってぇぇ!! や、やめろっっ!! うひぃぃぃぃぃぃっっっ!!」  細かい傷を多数負っている足裏をイタズラするようにくすぐっていくラフェリアの指達。その指達の先端には先ほど彼女が自分で説明していた樹液が滴るように溢れていて、足裏を滑るたびにその樹液がレファの傷口に染み渡っていく。 「へひっっっ!?! か、か、痒いっっ!! や、やめろっっ!! 痒いっっっ!! 足裏が滅茶苦茶痒くなってきてるっっ!! うひぃぃぃぃぃっっっ!!?」  左の足裏だけでなく右の足裏も……。細かな傷一つ一つに樹液が染み渡るようラフェリアは丁寧に塗りこんでいく。 「人は“くすぐったい”っていう刺激にとっても弱いけど……この“痒み”の刺激にも耐えられないと聞くわ♥ 手足を拘束されて……痒くて堪らない体を自分で掻くことができない状態にさせられたら一体どれだけ正気を保ってられるか……せっかくだから貴女で実験してあげる♥」  ラフェリアは、足裏への塗りを終えると、腕、首筋、背中、果ては顔に至るまで、傷のある箇所全てに樹液を塗りこんでいく。  樹液が染み込んだ傷口は、焼けるような痛みが薄れジンジンと痺れるような疼きが始まる。その疼きはやがてむず痒さに姿を変え、痛みは明確な痒みへとその質を変化させていく。 「んああぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁっっっ!!? が、がゆいぃぃぃぃぃぃっっっっ!! 体中がっっすげぇ痒いぃぃぃぃぃぃぃっっひぃぃぃぃぃ!!!」  痒みは足裏から始まり傷の出来たあらゆる箇所に広がりレファの触覚神経を支配していく。  傷に消毒液をつけると激しく痛むのと同じように、風が吹くだけでも傷口が痒くてジュクジュクする。痒くて痒くて堪らないが、それを引っ掻いて刺激を和らげたくても手は大の字に広げさせられ身動きを取らせて貰っていない。だから掻けない。どんなに痒くても……その痒い箇所を一切掻くことができない。それがもどかしくて堪らないっ! 「アハハ♥ そんなにジタバタしても痒いのは収まらないわよぉ? 気を紛らわすことも、痒みを和らげる事もできないのは辛いでしょ? 死んだほうがマシなくらい苦しい責めになる筈よ♥ この責めは……」 「んがあああぁぁぁぁぁあぁっっっ、やばいぃぃぃぃひぃぃぃぃぃぃぃ!! 掻いてくれぇぇっっっ、頼むから掻いてくれぇぇぇぇぇぇ!! 痒すぎるっっっっ!!!」 「だぁ~~め♥ ほら……もっと痒みに悶えなさい? もっともっと痒さに頭を一杯にしてしまいなさい♥」 「いぎぃぃぃぃぃひっっっっ!! 痒いっ、痒い痒い痒いカユイっっっっ!!! たすけでぇぇぇぇぇへっっ!! 頭が可笑しくなりそうだァァァ!! 少しでいいから引っ掻いてくれっっ!! 少しでいいからぁぁ!!」 「クフフ♥ 引っ掻いてはあげないけど……こういう事ならしてあ・げ・る♥」 ――スッ。  ラフェリアは樹液で濡らした指先を、唯一まだ塗っていなかった箇所へと忍び込ませる。  大の字に広げさせられた腕の付け根……先程まで散々虫たちに弄ばれていたあの箇所に……。 「ひっ!? や、やめっっっ!! こんな状態で……まさかっっっはっ!?」  仰向けに寝かされているレファの体を跨いで……両手をワキワキとうねらせながらソコへと指を差し込んだラフェリアは、指先が皮膚に触れた瞬間…… ――こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ!  先程までの愛撫とは比べ物にならないほど豪快に指先をくねらせて、レファの“ワキ”をくすぐり回し始める。 「ぶっひゃっっ!!? ふぎゃあぁあぁはははははははははははははははははははははははは、やめっっへへへへへへへへへへへへへへへへへ、えっへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! くすぐるなぁぁぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、イヘヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」 「あら、くすぐられるのは嫌? だったら……してあ~げない♥」 「はひっっ、あひっっ、はひっっ! んえっ??」  くすぐるなという要望に珍しくその要求を飲んでくれたラフェリアだったが、嵐のように襲ったくすぐったい刺激が無刺激に変わると……一転してくすぐったさに隠れていたあの刺激の方がまた顔を出し始め、レファの頭をグチャグチャに掻き乱し始める。 「ひっっ!? うひっっっ!! か、か、痒いっっ!!? また……痒いのがっっは!? 強くなって……んへっっっ!」  一旦収まっていたかに痒みは、再び顔を見せ始めると瞬時にレファの冷静な思考を犯し尽くし吹き飛ばしてしまう。  頭の中は“痒い”という言葉が乱反射し、それ以外の言葉が生まれなくなっていく。とにかく痒い! 体中が痒くて堪らないっ!! 「ひぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっがゆいぃぃぃぃひっっっっ!! だ、だ、だめだぁぁぁぁぁぁぁ、痒いのはだめだぁぁぁぁっっ!! 掻いてくれっっっ! ほ、本当に掻いてくれっっっ頼むっっっ!! んがあぁぁぁぁぁぁぁあっぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!」 「フフ……面白いでしょ? 痒みよりくすぐったい刺激の方が瞬発的に強いから、くすぐられている間は痒いのを忘れられるの♥ でも……くすぐりが止まったら……また地獄へ逆戻りよ……。今みたいに……ね♥」 「んああぁぁぁぁぁあぁあっっっ!! わ、わ、わがっだ!! わがっだっっっ!! くすぐってくれっっ!! 私のことくすぐっていいからっっこの痒みを止めてくれっっっ!! 早くっっっ!!」 「えぇ~~? どうしよっかなぁ~? 貴女がくすぐるなって言ったのよ~? それが今度はくすぐれだなんて……なんかいいように使われているみたいで理不尽だなぁ~~♥」 「いいがらぁあぁっっ、早くくすぐれってっっ!! 私のこと笑わせろって言ってんだっっ!! そういうの好きだろっ? 好きなんだろ? なぁ!!」 「好きだけど……命令されてするのは……好きじゃないかなぁ~~♥ もっとほら……言い方って有るじゃない?」 「わ、わ、わ、わがっだ! わがっだがら、くすぐってくれっっ!! 早く……くすぐってくれぇぇぇぇぇ!!」 「まだ偉そうよね? 私を誰だと思ってるの? その辺にいる淫魔とは格が違うのよ? 淫魔界の女王となる素質を持っているサキュバスが私なのよ? もっと敬意を払っておねだりなさい……でないと……」 「はひっっっ!! いひぃぃぃぃぃぃっっっ!! 限界っっ!! もう限界っっ!!」 「も~~っと、痒くしてあげましょうかぁ? そういう事もできるのよ? ワ・タ・シ♥」 「ひっっっ!? ひぃぃぃぃっっっっ!! 嫌だっっっ!! もう痒いのはいやだぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「だったら私の機嫌を損なわないでおねだりなさい! ほらっっ! どうして欲しいの?」 「たすげでぇぇぇぇぇぇぇぇ!! 痒すぎて頭が変になりそうだぁぁあっっっ、掻いてくれぇぇぇぇぇっっ!!」 「掻かないって言ってるでしょ? ほら……そうじゃないでしょ?」 「く、く、くすぐってくれぇぇぇ!! さっきみたいにっっ、激しくくすぐってくれぇぇぇぇ!!」 「くすぐってくれぇ~じゃないでしょ? もっと真面目におねだりなさい!」 「はひ、あひっっ、はひぃぃぃぃぃっっ。くすぐって……くだ……さいぃぃぃ!! お願いですからァァ!!」 「あはぁ♥ 良い♥ その情けないおねだり……最高にイイ♥」 「早くっっ!! 頼むから早くくすぐってっっっ!! も、もう限界っっっ、限界なんだぁぁあぁぁぁぁぁ!!」 「ハァ、ハァ、ハァ♥ イイわ♥ 口調は戻っちゃったけど……そのオネダリには興奮できた♥ だから、特別にくすぐってあげる……貴女がバカになるくらい笑い狂えるよう……徹底的にっ♥」  再び手を構えるラフェリア。その手はゆっくりレファの広がったワキへと差し込まれていく。  指がピタリと彼女の刺激を待ちわびている皮膚にわずかに触れる。その刺激だけでレファは「うひっっっ!?」と悦びの声を上げ息を熱くさせていく。 「もう……戻れない……。貴女は痒みの苦しみを知ってしまったわ……。痒みに犯されるよりもくすぐられる事を選んだ貴女は、もう戻れない……くすぐりすらも快感だと誤認してしまう身体になってしまっているわ♥」  ワキの筋をサワサワと優しくこそばしていくラフェリアの指。  レファはそのこそばゆい刺激に、痒みの苦痛が和らいでいく心地を味わう。 「もう笑うことは苦痛じゃない……笑わされる事こそ快感だと脳は誤認し続けるわ……。だから、貴女は今後……くすぐられて笑わさないと満足に快楽を得ることは出来なくなる……。私のくすぐりの味を覚えた貴女なら特に……ね♥」  コソコソ…………モゾモゾ…………コショコショ…………。  徐々にラフェリアの指がくすぐりの強さを増していく。  ワキの筋を撫でる動きから、爪先で引っ掻く動きに変え……そして、窪みの中心を摘むような手の形に変えると…… ――コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!  その手は一斉に窪みに群がるように指先を高速で動かし始めた。 「うぶひゃっっっ!!? ぶはっっっっ!! だひゃああぁぁぁぁぁあぁぁぁぁはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、うひぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、あがぁははははははははははははははははははははははははははははは!!」  再び始まったラフェリアのくすぐりは、レファを当然の如く笑わせ激しく悶えさせた。  それに伴って、先程までの地獄のような痒みが嘘であったかのように全身の疼きが収まっていく。あんなに苦しかった痒みだったのに、今では微塵もその痒みを認知することができない……しかし今度はくすぐったさに笑い悶えなくてはならない。あの苦しい……笑いを強制する刺激に悶えなくてはならない……。 「だっっはははははははははははははははははははははははは、いぎぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、うひひひひひひひひひひひひひひひひ、ンハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! やばいぃぃひひひひひひひひっひ、くすぐったいだけのはずなのにぃぃぃひひひひひひひひひひひひ、苦しいはずなのにィィィひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」  どちらも、もどかしい刺激に変わりはない。痒さを掻けない辛さも、くすぐったさから逃げられない辛さもさほど変わりはないはずだ……。  頭ではそう理解しているが、痒みに苦しめられた体は理解しておらず……確かにラフェリアが言ったように誤認してしまう。  じれったい刺激を我慢させられる痒み責めと違い、ストレスを吹き飛ばすかのような大笑いを吐き出して豪快に笑い狂えるくすぐり責めの方がある種の爽快感がある。笑うことによって引き起こされる酸欠は苦しいのに違いはないが、笑うこと自体は苦しいものを吐き出してしまっているかのようで気持ちが良い。  苦しいが気持ち良い……あんなに嫌だったくすぐりが、今はなぜか快感にすら感じてしまう……。思わず笑ってしまうような体の部位をモジョモジョと悪戯される行為自体がなにやら“特別な何か”に感じられてしまう。  児戯であるはずなのに……子供の遊び程度の刺激である筈なのに……。 「んはぁぁあぁぁ♥ あっっ♥ はははははははははははははははははははははは、いひっっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、んくぅ♥ ふふふふふふふふふふ、んんんんっっくくくくくくくくくくくくくくくくく!! か、か、からだがぁぁぁあぁぁはははははははははははははははははは、熱くなってくぅぅふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ、くすぐられているだけなのにぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」  体はみるみる火照っていく。くすぐりが強まれば強まるほど……笑えば笑うほどに特に下腹部が熱く何かを漏らしてしまいたくなる欲を掻き立てていく。 「ほ~~ら、コチョコチョコチョコチョコチョコチョ~~♥ どう?気持良いでしょ? 脇腹もモミモミしてあげるわね? ほ~~れ、ほれ~~♥ こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ~~♥」 「ぶひっっひひひひひひひひひひひひひひひひひ、ダァハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、はひっっはひぃぃぃぃっっひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! くすぐってぇぇへへへへへへへへへへへへへ、その手つきはくすぐってぇぇってぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! がはははははははははははははははははははははははっふひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 「足の裏も……コチョコチョコチョ~♥ ほらほら……ここ好きでしょ? コチョコチョ~~♥」 「うひぃぃぃぃぃっっっ!!? あじのうらぁぁぁあぁはははははははははははははははははははは、あじの裏はやばいぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひ!! ギヒャアァアァハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! やめろぉぉぉほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほ!!」 「やめろって言いながらも、足の指を地面に押し付けて足の裏を強調するように伸ばしてくすぐり易くしてくれてるみたいだけどぉ? どうしてかなぁ~?」 「んはあぁぁぁあはははははははははははははははははははははは、だっへっっっ!! だっへぇぇぇぇぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへ!! あじの裏やばいぃぃひひひひひひひひひひひ♥ そこを触られるのヤバイぃぃぃひひひひひひひひひいっひひひひひひひひひひひひひひ!!」 「んもぅ♥ 可愛いわねぇ~~♥ ほら……そんなにおねだりしちゃう子には……お仕置きだゾ~♥ カリカリカリカリカリ~~♥」  「ぐひゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ♥♥♥ ちょっっっ強いィィィひひひひひひひひひひひひひひひひ!! 引っ掻く刺激は強すぎるぅぅぅふふふふふふふふふふふふふふふ、ギャハ~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」 「あらあら~? 貴女の股間から……イケナイ蜜が溢れ始めてるみたいだけどぉ? どういう事かなぁ~?」 「あひひひひひひひひひひひ、し、し、知らないっっひひひひひひひひひひひひひひひ!! そんにゃの知らないィィィィィィィヒひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 「これが私の大好物な蜜だって……もちろん知っているんでしょ? 良いの? 敵である私にご褒美の汁なんて垂らしちゃって……」 「かほいっ、はひっっ、あひぃぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひ♥ 知らないィィひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! そんなの知らないっっひひひひひひひひひひひひひひひひひ、ヒギャアァァハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! はひ、あひっっ!!」 「ウフフ♥ このまま延々とくすぐって……体中の水分がなくなって干からびるまでイカせ続けてあげる♥ イイでしょ? バカ笑いしながらイキ死んでいくというのも……倒錯的で♥」 「がひっっひひひひひひひひ、やだぁぁぁははははははははははははははははははははははは!! そんにゃ最後はいやだぁぁぁはははははははははははははははははははははは!!」 「嫌でも……私の指が貴女の大事な所に差し込まれれば無理やりイかせることが出来るから……貴女に拒否権はないわ♥ オシッコが止められないような感じにず~~っとイキ狂うことができるから……最後に天国を味わいながら逝ってちょうだいね?」 「はひっっ! やめっっっ、やめろぉぉぉほほほほほほほほほほほほほほ!! うびゃあぁぁはははははははははははははははははははははははは!! えひひひひひひひひひひひっっっ!!」 「この右手には特に淫魔のマナを宿らせているから……人間であれば触られただけでそこから大洪水になるはずよぉ~? ウフフ♥ 鯨の潮吹きみたいにイカせ続けてあげるから……覚悟なさい?」 「あひぃぃぃぃっっっひひひひひひひひひひひひひひひひ、やめ、やめっっへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!! 死ぬっっふふふふふふふふふふふ、今それに触られたらっっはははははははははははは、死ぬぅぅぅふふふふふふふふふふふふふふふ!!」 「フフ♥ ほ~~ら……触るわよぉ~~?」  ラフェリアの右手がくすぐりをやめレファの股間へと差し込まれていく。  ショートパンツの裾から長い指だけを侵入させ……食い込んだ下着も、薬指と親指で捲り、人差し指と中指を乙女の恥裂へと触れさせようと進めていく。  淫魔の欲情した指に性的に敏感なその部分を触れられれば、人間であればひとたまりもない。  彼女のマナを直接そのようなところのに浴びれば、すぐさま壊れた蛇口のように淫液が強制的に噴出させられることだろう。 淫魔に耐性を持たない人間にそれは耐えられない。彼女が言った干からびるまでイキ果てさせるという言葉は例えでもなんでもない。そのままの事が起きてしまう。 敏感な陰核を一掻きでもされたなら強すぎる快感の電撃にショック死してしまうくらいである。 レファがそれに耐えられるはずもない。淫魔の狩り人と呼ばれる彼女だがれっきとした人間なのだ……耐性があるわけもない。 触られればイキ死んでしまう。レファそれが分かっているから必死に手足をばたつかせ抵抗しようとする……。しかし手足を拘束している蔦は思いのほか力強く……彼女の力では振りほどくことは敵わない。 そうこうしている間に彼女の指が脚の付け根まで伸びてくる。 もう数センチ……あと数センチで大事な所に触れてしまう……尻の筋をなぞるように降りてきている指の感触が警告を送る。これ以上下がって亀裂に到達してしまえばどんな狂い方をするか自分でも想像ができない……。だからやめさせなくてはならない。触らせてはならないっっ!! 彼女の指が亀裂に触れるか触れないか……その寸前のところで、レファの入ってきた入口から叫び声に似た大声が鳴り響く。 「――ぅ義っっ!! 法閃華ぁっっ!!」 聞き覚えのある声が響いた! と思った瞬間、レファのすぐ真上を炎の柱が一直線に横走り彼女を跨いでいたラフェリアごと向かいの壁まで吹き飛ばしていった。 ラフェリアは声を上げる間もなかった……それよりも先に身体が吹き飛ばされていった。 レファの顔のすぐ上を灼熱の炎が走り去っていく。やがてその炎が収まりを見せる頃には彼女を拘束していた蔦も消え、あんなに激しく襲っていた全身の痒みも徐々に収まっていくのを感じられた。 「はぁ、はぁ……大丈夫……ですか? レファさん!!」  扉の前には手を前に構えたエリシアの姿が見え、この炎の撃ち主が彼女である事を悟る。  助かった……。  レファは安堵の息をつこうと体を起こしつつエリシアの方へ歩み寄ろうとするが…… 「よくも……お楽しみの最中を狙って……やって……くれたわね……エルフの……巫女っっ!!」  壁に打ち付けられたはずのラフェリアの声が、部屋の奥から聞こえ……その足を止めざるを得なくする。 「レファさんっ!! 横に避けておいてください! もう一発放ちますっっ!!」  一発では仕留められないと踏んでいたエリシアは、念のためにと2発目の詠唱を始めていた。  そして構えた手に再び大気中のマナが集まり始め、後は詠唱を終えるだけの状態になった段で……薄暗い部屋隅から全身が焼け焦げたラフェリアの姿が現れる。 「っっ!!?」  その姿を見て……エリシアの詠唱がふと止まってしまう。 「ク……フ……フ……。魔法はもう……放たない方が……貴女のためよ? ほら……こんなに可愛い人質が居るんだから……」  暗闇から現れたラフェリアは爪の伸びた鋭い左手を“彼女”の首筋に当てて彼女を歩かせていた。 「ひ、卑怯なっっ!!」  ラフェリアの隣を歩かされている彼女……。  衣服も何も着せられていない……生まれたままの姿にされた彼女は、恥ずかしそうに股間を手で隠しながらうつむきつつ暗闇から歩み出た。 「ご、ゴめんな…さイ……お姉様ぁ……」  そう呟いた彼女は、姉であるエリシアの方を惚けた顔で向き、熱い息を零しながら言葉を続けた。 「私……もう……戻レなくなっちゃいまヒた♥」  ……っと。

Comments

No comments found for this post.