Home Artists Posts Import Register

Content

6:呪いの刻印 「んっっ♥ んんっっっっふ♥ うくっっっ!! んんんっっ!! んぐぅぅぅぅっ!!」  与えられた木製ベッドの上で黒いTシャツ、黒いパンティという薄着の格好になった彼女が横たわり何やら左手を股間部に当てモゾモゾと妖しく手を動かし続けている。それは10人が見れば10人とも彼女は自慰をしていると答えることだろう。実際に彼女は自分が生まれ持って与えられた性器を自分自身の手でグチャグチャに掻き毟っている。最初こそキチンと穿かれていたパンティだったが、その行為が進むにつれ邪魔に思えるようになったのか徐々に下へずれ、結局は足先から脱いでしまうという蛮行に出てしまっている。 他人の宿まで借りて夜がふけるとオナニーに耽るとはどういう神経か! と、この行為を見られればお叱りを受けそうなものなのだが……レファは止められない。その股間部の秘裂に差し込んでいる指の動きを自分の意志で止めることは出来ない。  彼女が淫魔の女王にかけられたと言った“呪い”……彼女は今それに操られてこのような非常識な行為を行っている。  彼女の背中を包むように脚を広げて鎮座している蜘蛛の形を模した紋章……それが淫魔の女王がかけた呪い。昼間は線だけで描かれた刺青のような模様だけであったが、夜になるとその紋章は次第に色を取り戻し立体的な陰影を宿すようになり、時間が経過すればする程あたかもそこに大きな蜘蛛が存在しているかのような造形を浮かび上がらせる。  ある程度蜘蛛の形を宿した紋章は、その後宿主の体内にある運動神経を内側から支配し始める。人間は脳が発した命令をその神経に伝わせて体の各部位を動かそうとするが、蜘蛛はその神経を根元から支配するのである。  つまり、今彼女が行っている自慰は彼女の意思によるものではない。夜になると現れる第二の脳であるこの蜘蛛の紋章の命令通りに動かされている。  彼女がどんなにこの行為を嫌がっても、蜘蛛の呪いが一旦目覚めてしまうと身体の言うことは全く利かなくなってしまう。体内の運動神経は全て乗っ取られ、脳からの命令は無視され、蜘蛛の思いのままに操られ、望んでもいない淫靡な行為をあたかも自分の意思であるかのように行ってしまう。  それだけであったらまだ自分を慰めるだけで済むのだが……、淫魔の女王のかけた呪いは極めてタチが悪い。 「んっっ♥ やっ! やばいっっ! 今日は……なんか……早……い♥ んんんっっっっ!!!」  レファが我慢しきれずに最初の絶頂に達してしまうと…… 「んくっっはっっ♥♥ んあぁぁぁぁぁぁっっっっ!! くはっ♥♥」  力の抜けたその隙を付くかのように逆の手を操りだして…… 「はひっ! はひぃ……はぁ……はぁ……。やっぱり淫魔が近くにいると……はぁはぁ、力が増しているような気が――」  彼女自身の脇の下を、彼女自身にくすぐらせ始める。 「ひゃっひっっっ!!? あひっっっひひひ!! や、やば……ひっっ!!」  左手はそのまま股間弄りを続行し、右手は肘を大きく折って自分自信の右脇の下に手を這わせくすぐりの刺激をそこに加えていく。  自分で自分自身をくすぐっても刺激が予測できるためくすぐったさは感じない……などとよく言われるが、彼女の場合は今彼女の意思で脇の下をくすぐっている訳ではない。呪いの紋章に運動神経を乗っ取られた状態で操られている。だから手の動き……指の動き一つとっても次にどう動くかなどの予測は立てられない。自分の手でありながら自分が動かしていないというだけで全く別の異質な物のように感じてしまう。  このように自分自身の手で行われるくすぐりでも…… 「ばひゃっっっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! いひゃぁぁぁははははははははははははははははははははははははははは!! や、やめろっっっほほほほほほほほほほほ!! 手を操るなぁぁはははははははははははははは!!」  そのくすぐりは他人にまさぐられている感覚と同意であり、レファは自分自身の手に自分をくすぐられ笑ってしまう。 「んはっっっ♥ はひぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひ!! んんっっふ♥ やめ……ろ! んぐぅぅぅふふふふふふふふふふふふふ、ぶはっっっははははははははははははははははははははははははは! くすぐるのやめろぉぉぉぉぉ!!」  自分自身によるくすぐりと自慰の同時責め……。見るものからすればこれほど滑稽すぎる行為はないだろう。だから彼女はアイネに釘を刺した……「変な声が聞こえても決して覗くな」と。  このような変態的な痴態を他人に見られるのは我慢ならない。絶対に見られたくない。  レファはこうなることを予測してアイネに言葉を残したのだ。こうなることが予測できていたから……。  しかし、彼女のその切なる願いは好奇心旺盛な年頃のアイネには響いていなかった。  そう言われれば覗きたくなってしまうのが好奇心というものだ。 見た目の割にしっかりして見えるアイネも、人間で言うところの14歳くらいの年の頃……覗くなと言われれば気になって眠れなくなってしまうのも仕方がないことだった。 「あっっっ♥ はっっ! や、だ……だめだ!! またイっちまう!! あひっっ!! が、我慢できないっひひひひひひひひひひひぇぇへへへへへへへへへへへ!! 力がにゅけるぅぅぅふふふふふふふふふふふ!! かひひひひひひひひひひひひひっっひひひひひひひひひひ!! んくぅぅぅふふふふふふふふふふ!! んあぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ!!」  最初は当然「この狩り人さんはこんな非常時に何をしているんだ!」と軽蔑に近い感情を持ってドアの鍵穴から中の様子を伺っていたが、行為が進むにつれそれが呪いに操られていると察し行為に対する合点が行った。  それが自分の意志じゃないと分かった段階で「これ以上は彼女の為に見ないでおこう」などと気を遣う場面であるはずなのだが、アイネの好奇心は遣うべき気を遣わせなかった。 「やっっやばっっひぃぃぃぃひひひひひひ!! イ、イぐぅぅぅふふふふふ!! んはぁあぁぁぁぁあっぁぁぁぁぁ♥♥♥」  先程まで抱いていた“頼りになりそうな旅人さん”というイメージが完全に崩れ、見た目には性欲を貪る性に支配された性奴隷にまで成り下がった彼女。 そんな彼女の淫靡な行為は、性知識に乏しいアイネに新鮮な刺激を与えていく。  まず他人の裸体など見たことがなかった彼女……最近見たといえば姉のエリシアが着替えている半裸の姿くらいのもの。湯浴みで目にする自分の裸体と違いブラに包まれた豊満なレファの乳房……細く引き締まった腰のくびれ……こちらに見せつけるように広げられた股間に縦に入った膨らみのある淫靡な亀裂。そこを掻き毟る怪しい指遣い……。様々な視覚情報がアイネの好奇心と知識欲を刺激してやまない。  あれはどうなっているのか? ああいう風に触ればどういう反応をしてしまうのか? あの箇所は? 自分とは違う成熟したあの胸の膨らみはどんな柔らかさなのか? どんな形なのか? 脇の下をくすぐられる感覚はどんな感じなのか? 自分でくすぐっているけど自分の感覚じゃないというのはどういう気持ちなのか? どんな感覚なのか?  知りたい! 色んな事を知ってみたい!  そんな好奇心の塊が彼女の覗き見行為を助長してしまう。  ソっとしてあげるのが礼節であろう事は分かっているけど……勝てない。知りたい欲を刺激してやまないこの光景を「ずっと見続けていたい」という欲に勝てそうな気がしない。 「かはっっ!! はぁはぁはぁ、も、も、もういいだろ? 今日は……歩いてて疲れてんだ! 少しは……休ませて……くれっっ!!」  そんな好奇な目で自分の痴態を覗き見られているなど知りもしないレファは、2度目の絶頂を迎えた後も動きの止まらない自分の両手に懇願の言葉を零し続ける。 「はひっっ! はぁはぁはぁはぁ……あ、あれ?」  彼女の懇願を聞き入れたのか、自分自身の手たちは主の言うことを聞くかのように陰部と脇の下から手を引いていく。まさか自分の言うことを呪いの紋章が聞いてくれるとは思ってもみなかったレファは、拍子抜けとばかりに目を丸くさせ呼吸を荒げながらも自分の手の行方を目で追った。  くすぐりと淫行が止んだとは言え未だ紋章の支配から解放されていない彼女の体。その他人に乗っ取られたかのような自分の体は相変わらずレファの言うことを聞いてはくれない。 「……な、なんだ? 体勢が……変えられていく?」  責め手が無くなったことに安堵していたレファだったが、その代わりにと言わんばかりに今度は下半身の運動神経を支配し始める蜘蛛型の刻印。仰向けに寝ていた体勢から彼女を起き上がらせるとベッドの上であぐらをかくように座らせ始める。 「お、お、おい! まさか……ちょっと!! や、やめろ!! 今日は……そこは……やめてくれっ!!」  足を交差するように座らせ、座禅を組むように足裏を極端に上向きに晒さすように座らせた紋章は、その晒された両足裏に早速と言わんばかりに彼女の手を運んでいく。  足裏を晒すような座り方をさせられた時点でこれからおよそ自分の手に何をさせようとしているのか察しがついてしまったレファは、顔を横に何度も振りそのやろうとしている行為を言葉でも態度でも嫌がる。  しかし蜘蛛の呪いはそんなレファの嫌がりなどお構いなしに身体を支配し、彼女の手をこれでもかと言わんばかりにワキワキさせながら自分の足裏へと向かわせた。  そして―― ――コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!  両手を左右両方の足裏にそれぞれ配置すると開始の合図など出さずに指をワシャワシャと動かし始め、彼女の土踏まずを中心に自分自身をくすぐり始めた。 「うびゃっっ!!? ぶひゃっっっはははははははははははははははははは!! や、や、やめろぉぉほほほほほほほほほほほほほほ!! そこは弱いっていつも言ってるだろっっ!! やめやがれぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! いぎゃあぁぁはははははははははははははははははははははははは!!  足の柔肌に自分の指が触れた瞬間、空気が破裂するような甲高い笑い声を吐き出し始めたレファは、そのままゲラゲラとだらしのない笑いを吐き出し続けていく。  アイネの目には彼女の行為そのものがそれはそれは不思議な光景に映っている。  自分からくすぐり易い体勢になって自分自身の手でくすぐって笑い悶えている……。支配されていると分かっているとは言えその光景は自分に置き換えて理解することが難しく、なぜあんなに笑ってしまえるのかと疑問さえ覚え始めてしまう。  アイネは試しにと草鞋を脱いで自分の手で自分の小さな足裏を軽く触れて同じような動きでくすぐってみる……しかし当然くすぐったくなんて感じない。それは分かりきっていたことではあるが、レファのくすぐったがりようがあまりに激しくて……どうしてそんなに笑ってしまうのかが理解できず何度も試してしまう。  自分で自分をくすぐってもくすぐったさなんて微塵も感じられるはずがない。しかしレファは笑っている。  自分自身の手でくすぐっているというのに……なぜ?  姉二人に大事に育てられたエルフ巫女の末っ子は、他人に“くすぐられる”といった経験がまるでない。くすぐりという行為自体は知っているのだが、それは知識だけのものであるため……どんな刺激なのか、どうして笑ってしまうのか、どうして笑うと苦しそうにするのか……そういった事が理解できない。  今彼女がなぜ笑っているのか……その原因が知りたい。あわよくば体感してみたい……自分がされればどうなってしまうのか……。 「あはーーーっっははははははははははははははははははははは!! イヒヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!! く、く、くるひぃぃ!! やめろっっ!! アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!! けひっっっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ!!」  覗き見ていく内に好奇心が高まりすぎ知りたい欲と体験してみたい欲が限界までアイネを昂ぶらせる。  身体が非常に熱く感じる……。身体の芯が何かよくわからない熱に犯され逆にゾクゾクした寒気さえも催し始める。  他人の無防備な素肌を見られる背徳感と理解し難い行為の妖しさにアイネの幼い淫欲は刺激され、未発達ながらも彼女はその行為に興味を持ってしまう。それが淫靡な感覚であると自分では理解していないが、この行為を見続けたいという欲は一刻一刻と強まり目が離せなくなる。  扉を隔てて、片や自分自身をくすぐって大笑いしている不思議な光景と、片やその行為を見て熱い吐息を零しながら自分の発情を認知できていない幼いエルフの娘がいる。このような光景を姉のエリシアやエイレーヌが見れば両名ともすかさず首を横にひねる事だろう。なぜこの末っ子は他人のくすぐりに欲情しているのか? なぜこの旅人は自分をくすぐって笑い悶えているのか? 到底理解しがたい光景であるから。 「はひっっひひひひひひひひひひひひ!! も、も、もうやめてくれ!! 腹が捩れて苦しいっっひひひひひひひひひひひひひひひ!! や、やめ……んくはっっ!?」  ふと、激しく手を蠢かせてくすぐっていた右手がくすぐるのを止める。  左手は相変わらず自分自身をこそぐり回して耐え難い刺激を生み出し続けているのだが、右手は足裏から離れるとすぐさま次なる目的地を目指して移動を開始する。あぐらの姿勢になって座っている為豪快に開くように晒された……自分自身の淫靡な縦裂口へ……。 「あふっ♥ ば、ば、馬鹿!! やめろっ!! も、もうこれ以上そこを弄られるのは……んくっっ!! これ以上は体力が……」  人差し指と中指をまとめてワレメの中へ差し込んで愛蜜に溢れた淫壺の中を容赦なく掻き乱していく自分自身。それに対してヤメろと命令するのは事情を何も知らない人が見れば滑稽を通り越して呆れてしまうことだろう。  しかしレファは叫んでしまう。笑いと嬌声を交じさせながら震える声で。 「かはっっ! あひっ♥ んくぅぅっっふふふふふふふふふふふふ!! んぐぅぅぅぅぅぅ!! んあぁぁぁあぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」  頭に血が上っていくような火照った快感と、背筋を震わすほどのこそばゆい刺激……その両方がレファの口元を緩ませ、快楽とも笑いとも取れない呆けた表情を形作らせる。  波立つように歪んだ唇からは笑いと淫声が交互に漏れ、唯一自由に動かせる首より上を激しく左右に振り乱しながら悶え狂うレファ……。そんな彼女の様子を食い入るように見つめるアイネの視線は、彼女の股間部に張り付いて離れなかった。  笑うたびに溢れ出してくる粘っこい薄透明な蜜……。その蜜はワレメに指が深く突き刺されるたびにピュッピュと勢いよく飛び出してくる。笑いとよがる声……そして股間を弄る彼女の指遣い……それらを正面で見ているアイネは顔を真っ赤に紅潮させながら幼い唇から湿った吐息を零し続ける。  彼女は今気持ちよさを感じているのか? それともくすぐったさの方が強いのか? 嫌だと言っているが本当のところはどうなのか? 快感を貪る瞬間は気持ちが良いものなのか? 尽きない疑問は彼女の淫欲を高めていく。  そして彼女もまたレファと同じように右手で巫女装束をはだけさせ、その手を股間部へと忍ばせ……見よう見真似で自身の未開発な陰部へと指を差し込んでいく。 ――クチュッ♥  差し込んだ指は暖かい何かに触れ、アイネは驚いてしまう。  指に触れた何かは粘っこく人肌程度に暖かい……。それが自身の生み出した愛液だとは彼女は知る由もない。  アイネはその愛液を掻き混ぜるように裂口の中を弄りまわす。たまに膣壁に指先が触れその部分を爪で掠ってしまうとアイネは背筋をビクンと姿勢よく伸ばし、初めて味わう快感に再び驚いてしまう。身体が電流を帯びたような快感……気持ちいいというより腹の底がむず痒くもどかしく感じてしまう感覚……。幼いアイネにはその感覚こそが快感であるという自覚はまだ持てなかった。  しかし、この未知なる感覚には夢中になってしまった。自分の今までの人生の中でこれほど目の覚めるような驚きを味わったことがなかったのだから……。 「はぁはぁ……あひっっひひひひひひひひひひ! も、も、もうだめだ! 我慢できねぇ……っひひひひひひ。これ以上は……我慢が……くはっっっはははははははははははははははは、いはぁぁぁははははははははははははははははは、んくぅぅぅぅぅぅっっっ♥♥」   「はぁ…はぁ…はぁ……何ですか、これは? 身体が……勝手に寒くなったり熱くなったりする……んんんっっ……」  覗き見ているアイネもレファと同じように2本の指で濡れた蜜壷を掻き乱していく。驚く程に強烈だった膣壁への刺激も時々挟みつつ高まり続ける淫熱と寒気を交互に味わいながら、本当に初めての手淫なのかと疑いの余地が生まれるくらいに自分の弱い箇所を弄り回し、認知できなかった快感を自らの行為で顕在化させていく。 「あひぃぃぃぃぃぃぃっっっ!! んあっっっ♥♥♥ イぐっっっっ!! っっあ♥」 「ひっ!? だ、だ、だめ!! なんか我慢できないのが……出ちゃうっっ!!? デちゃうぅぅぅぅ!!」 「「ひぎゃっっっ!!」」  それは、ほぼ同時だった。  くすぐったさに力の抜けた恥骨筋の間からレファは3度目の潮を吹き、アイネは身体を丸め全身を震わせながら愛液のお漏らしを行った。  レファの呪いはその3度目の絶頂を行わせた後、彼女の体力が尽きるのと同調して静かに元の線だけの紋印へと戻り彼女の体の支配権を主へと返していった。  1度や2度ではなく3度の絶頂を休みなく連続で強要されたレファはバタリとベッドに倒れこむと、体の所々をピクピクと痙攣させ口元からだらしなく涎を垂らしながら放心状態で横になる。もはや起き上がる気力すら沸かない……毛布を被るだけの力も出せない。  はだけた下着すらも直そうともせずレファはそのまま眠りについた。  一方のアイネの方も初めての自慰に何か不浄な行為をしてしまったんじゃないかと心が咎め、力の入らない足にどうにか力を込めてノソノソと湯浴み場へと歩いていく。そしてエルフ族特有の浄化の呪文を己に多量に掛け、冷たい水で体を清め直した。  火照りすぎ、興奮しすぎた身体に冷たい水は彼女を冷静にするだけの清らかな時間を与えてくれる。  冬に入る前の肌寒い湯浴み場……。体には少し冷たさの方が優ってしまい震えるほどの寒さを感じてしまうが、先ほどの絶頂を迎える瞬間の寒気の方が遥かに身体の芯を震わせた。それを思い起こしてしまうとアイネは顔を真っ赤に染め自分の痴態を忘れんとするためにまた水を被って身体を冷やしていく。  それを何度繰り返したか自分自身も覚えていないが……これ以上やると身体全部が冷え切ってしまうと自省し、最後に暖かなお湯を一汲みだけ身体に掛け、湯浴み場を後にした。  あの震えるような身体の芯から込み上げる寒気は何だったのだろうか? 下腹部の恥裂から溢れたあの液体は何だったのか? その次々に浮かんでくる疑問に答えてくれる人生の先輩たちは彼女の傍にはいない。  1人は琥珀化し、1人は今現在……あの小さな祠の奥底で淫魔の女王に嬲られていることだろう……。  アイネは思った。  レファにかけられた呪いがあれほど彼女を苦しめているのだから、その呪いをかけた当事者に姉が捕まっているとするならば……今もレファ以上に苦しめられているのではないだろうか……と。  自分の部屋へと辿り着いたアイネは唇をキュッと固く噛み、姉のエリシアの事を想う。  その時遠くを見据えた彼女の目は、何も出来ない自分を憂うような悲しい目ではなく……  何かを決意するかのような目であった。

Comments

No comments found for this post.