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2:淫魔の女王 「なぁ、エリシア? エイレーヌは……その……死んでしまったのか?」  白い巫女装束のまま村を出て足早に祠に向かうエリシアに、近くまで付き添うと名乗り出た男が彼女に不躾な質問をぶつける。  エリシアは何度も「一人で行ける」と同伴を断ったが、あまりにもしつこくついてくるもので彼女も根負けし渋々同伴を認めた次第だ。 「いえ、エルフは寿命以外で死ぬことはほとんどありません。今のお姉様は動物で言う所の冬眠状態になっていると言えるでしょう……。だから、力が回復すれば自力で琥珀を破って出てくるはずです……」  質問をした男はエイレーヌが死んだわけではないと分かるとホッとした顔をし、足早だった歩みを少しだけ緩める。 「しかし、冬眠と違うのは……もしも心の方がダメージを負いすぎていて現世に戻りたくないと思っていた場合……下手をすれば永遠に出てこない可能性もあります」  安心し歩を緩めた男はエリシアの言葉に再び顔を強張らせ、また彼女に追いつくように歩を速め出して今の言葉を言及する質問を投げかける。   「じゃ、じゃあ! なんかこう……トラウマか何か植え込まれていたら……出てこないかもしれないって言うのか?」  エリシアはその質問に無言で首を縦に振る。  男はその無言こそが事の重大さを表していると悟り、その後はその話題に触れなかった。  1000年を生きるエルフ族がたったの半年で命の危機にさらされたとなると……どのような辛い目に合わされたらそうなってしまうのか……想像すら出来ない。  しかし、姉は間違いなく極限まで命を削られてあの姿にされていた……。エリシアは唇を噛みしめ足取りを重くさせようとする不安の重圧を必死に払おうと努めている。  そんな時……祠に着く直前のけもの道を、フードを深くかぶりマントで身体を包んだ旅人のような風貌の女性が視界に入る。  この辺りでは見かけない装備品が覗く重装備なリュックサックと、どんな衣服を着ているのかすらも分からないように隠しているボロボロの大きなマント。唯一顔の部分だけはマントで隠れていなかったため辛うじてその旅人が赤い髪をした女性である事が分かった。  しかし、今は女性の旅人に話かける余裕などはないエリシア。彼女とすれ違う際も顔を見ず自分の歩むべき道の先を一点に見つめ歩き去ろうとする。  男もそれに追従しようと歩を早めようとするが……旅人風な女性はすれ違いざまに小声で一言エリシアに言葉を零してきた。 「あんた……赤い目のサキュバスを見た事……有るかい?」  サキュバスという言葉に思わず「えっ!?」と声を漏らして振り返ってしまうエリシア。  その反応を見て旅人も後姿のまま歩みを止める。   「赤い目の……サキュバス?」  これから向かう祠には確かに淫魔の女王……サキュバスが居る事は間違いない。しかしそのサキュバスが赤い目をしているかどうかは分からない。何せまだ彼女は対面した事もないのだから……  村が襲われ住人の半数が連れ去られ餌として搾り取られたあの日……エリシアとアイネは集会所の地下へ隠れていた。エイレーヌと村人たちの計らいで隠されていたのだ。だから見てはいない。淫魔の女王がどうのような風体でどのような目をしていたかなど……。 「その様子じゃ知らないみたいだね。悪かったわ……足を止めさせちゃって……」  無言で立ち竦んでしまったエリシアを横目に見て、自分の望んだ答えは返ってこないだろうと判断した旅人風の女性はそう思うや否や再び歩みを始め村のある方角へ消えていった。 「今の人……何者? 村の方へ向かって行ったみたいだけど……」  得体のしれない迫力をその女性に感じたエリシアは一瞬だけ使命を忘れその女性の行先に一抹の不安を過らせる。   「……戻ったら、話を聞いてみるよ。妹さんの事は心配しなさんな……怪しい真似をしたら村の男衆全員で追っ払うからさ……」  不安を感じたのはまさにその妹の身に何かが起きないかという不安だった。しかし、その心配を今したところで……村へ戻る訳にもいかない。何もなければいいとは思うが……今はこの村の男の言葉を頼りにするしかなさそうだ、とエリシアはまた前を向き直し小さく視界に入った淫魔の祠へと歩みを進めた。 「俺は……ここまでしか付き添えないだろうな……」  祠が目の前に迫った時、男は残念そうにエリシアへ言葉を掛けた。 「ありがとう……。少し……気を紛らわす事も出来ました……」  エリシアは飾らない本音で男に礼を告げる。 「怖く……ないのか?」  男はその言葉を言っていいものなのかと迷ったが、見た目はハタチそこそこの裏若きエルフが今どういう気持ちでいるのか……知ってみたいという好奇心に勝てず言葉を零してしまう。 「怖くないと言えば……嘘になります。正直……怖いです……」  気丈に振る舞っていてもまだまだ自分よりも年下の娘程度に見えるエルフの姉……。彼女も年相応に物事を怖がり、年相応に不安がっているのだと気づき胸が締め付けられる。 「でも、妹も……村も……村の人も……全部、私の大切な守るべきものです。だから……勇気が湧いてきます。負けてはいけないって……背中を押してもらえます!」  振り返りニコリと輝くような笑顔を見せるエリシア。男の目にはその笑顔が女神の微笑みに映り……目尻に涙が溜まっていく。 「無理は……するな! あんたには黙ってろって言われたが……村長は後10日後に援軍が呼べなかったら村の男衆で攻め入る算段を立てている。無論俺も参加するつもりだ! だから絶対……無理だけはしないでくれ……」  涙を見せたくないと後ろを振り返った男に、エリシアは優しく言葉を返す。 「ダメですって言っても……皆さんは来てしまうんでしょうね……」 「あぁ! 絶対に助けに行く! 例え刺し違えても……」 「ありがとう……。少し……勇気……貰えました……」 「10日だ! 10日の辛抱だぞ! 分かったな!!」 「えぇ……でも大丈夫。私は絶対に負けませんから……だから……無理はしないで……。みんなでまた村を立て直しましょう? これ以上……誰かが死んでしまうのを……私は見たくありません……」 「……………………っ!」  男は無言で走り去っていく。  彼女の“無理しないで”という言葉に返事が出来ない自分が居たから……。  彼女の望みは自身の救出などではない……。誰一人死ぬ事無く元通りになる……そんな儚い夢。  到底かなう事はないであろうそんな夢を……叶えてあげたいが約束は出来ない。希望を持たせたいがその希望の切り札が男にはない。  だから返事をせずにただひたすらに来た道を駆けた。  彼女への返事を保留するかの如く。 「さて……私は私の務めを果たしましょう……」  男の無言の返事に最後の覚悟を決めたエリシアは、ソッと祠の両開きの扉に手を添える。そして何の躊躇もなくその扉を開き足を踏み入れていく。  モグラの巣の様に地下へと掘り込んである祠。エリシアが一歩その祠へ足を踏み入れると祠の扉は自動的に閉まり代わりに彼女を誘導するかのように松明が次々と奥へ向かって灯り始める。  地下へと続く長い階段。その石階段をゆっくり慎重に降りていくエリシア。どれだけ降りても底は見えず下りれば下りる程に息苦しさが募っていく気がした。 「……着いた……みたいね…………」  何分間階段を下りさせられたか分からないが随分と時間をかけて下り切った階段の奥には、赤く刺々しい“いかにも”な巨大な扉が現われ、そこが自分の目的の場所なのだと嫌でも悟らされる。 ――ギギギギ……  扉は魔法が掛かっているのか彼女の細腕でも簡単に押し開くことができ、開き切ったと同時に今度は自動的に扉が閉まり始めてしまう。  エリシアは扉が閉まる前に部屋の中へと入り、地下とは思えないくらいに広いその空間に思わず感嘆の言葉を零して視線を様々な方向へと走らせてしまう。  大理石の円柱が2本ずつ奥へと連なり、天井は丸く何やら呪文のような象形文字が書き連ねてある。床には円柱の間に赤い絨毯が敷いてあり、いかにも玉座へと続くかのような雰囲気を醸し出している。  エリシアは広い室内にゴクリと息をのみつつも、絨毯の上を歩き奥へと進んでいく。  光源が薄く中々奥の様子は見て取れないがしばらく歩くと1段高くなった床にぶつかり、その高くなった床の上に大きな1枚岩を切り出して作った黒い石ベッドのような物が現われた。  どの面を見ても黒く塗り潰された禍々しいベッド。大きさは丁度エリシアの倍くらいはあるだろうか……。  何に使うのか想像もしたくないが……ベッドの所々には丸い小さな穴が開いていて、恐らく股間部分が来るであろう場所には一際大きい穴が空けられていた。  コレは間違いなく供物となった者を拘束しておくためのベッドである……とエリシアは確信を持つ。  なにせ、そのベッドには角々にそれぞれ手や足を拘束するであろう革製の枷が備え付けられていたのだから。 「いらっしゃい……よく着たわね♥」  エリシアがベッドを嫌悪の目で見ていると、その奥から甘ったるい挨拶の声が発せられる。 「……っ!? 貴女が……ラフェリア……?」  薄暗い奥の方に目をやると玉座に足を組んで座って、ワイングラスを回しながらこちらを見ている女性の姿が薄らと伺えた。  エリシアはその女性が淫魔の女王であるラフェリアだとすぐに気づく。  頭には丸く纏まった2本の羊の角、背中には大きなコウモリの羽根……そして薄紫色の髪と悪魔のような尻尾……。身体つきこそ人間の女性に近いが、目は爬虫類を想起させるような瞳孔が縦に伸びた真っ赤に燃えるような目をしており人間とは似ても似つかぬ顔だと改めて気付かされる。 「ウフフ♥ まさか……あの村にエルフちゃんが2匹もいたなんてね……嬉しいわぁ~~♥」  頬杖をつきながら頬をピンクに染めエリシアが来たことを悦ぶラフェリアは、回していたワイングラスを玉座の肘掛に置きゆっくりと立ち上がる。  身長はエリシアと同じくらいか……体型も彼女とそう変わらない。しかし溢れ出る魔力はそこいらのモンスターの比ではない。歩き進むたびに威圧する様な風を吹き乱し、エリシアとの格の違いを歩みだけで見せつける。 「人間では……1日と持たないんだもの……。その点あのエルフちゃんは頑張ってくれたわ♥ 半年も耐え抜いたんだから……」  嫌が応にも戦力さを感じずにはいられないエリシアは、悔しく奥歯を噛みしめながらも戦闘態勢だけは組まないようにと自分を律した。 「姉様に……何をしたんですか! 何をして……あそこまで弱らせたんです!」  震えてしまう太腿を指でつねり、威圧してくるラフェリアに負けるものかと語気を強めた言葉を放つエリシア。しかし、彼女の言葉にラフェリアは正当な回答を返してくれない。 「フフ……分かるでしょ? 私が何をするかくらい……」  想像を掻き立てるかのような淫魔の女王の返しに、エリシアは頬に汗を一筋垂らす。   「サキュバスの食料は……人間の精液……もしくは……体液……」 「そう。特にエルフちゃんの愛液は最高なの♥ どれだけ絞っても絞り切れないくらい生成されるし、蜜も濃いし美味しいわ♥」 「ふ、ふん! それは……良かったわね……。私ので良ければ存分に搾って……味わうといいわ……」 「ウフフ♥ でもね……実は最近……普通に絞るよりももっと美味しく頂ける方法を見つけちゃったの♥」 「……何よ? いかがわしい事をしていかがわしいモノを啜るのが貴女達の食事なんでしょ? 工夫する余地なんてあるかしら?」 「それがね……あったのよ♥ これをやればいつもの食事が何倍も美味しく感じられる♪」 「何倍も美味しく感じられる? それは……どういう意味? 」 「まぁ、それはすぐに教えてあげるわ……それよりも……」 「……………………?」 「もう……辛抱堪らないわぁ~♥ ねぇ、そのお召し物……脱いで見せてぇ? 私に貴女の……綺麗なカ・ラ・ダ♥ 見せて頂戴?」 「…………くっ……」  当然エリシアは理解していた。サキュバスの供物になると言う事は、どういう事をされるのかを……。  淫魔は精液を好んで食する。それすなわち……淫靡な行為を対象の者に行って彼女達の食物を絞り出させるということ。  当然……そういう行為は服を着ていて出来る行為ではない。  だから、羽織っていた巫女服がすぐに不要なものになるという事は火を見るより明らかだった。  それが分かっていたから、エリシアは彼女の要求に文句なく従う。  帯を解き草鞋を脱ぎ、白装束を順番に脱いでいく。脱ぐ事は分かっていた為下着などは穿いていない。装束を脱ぎ降ろせば彼女の白く柔らかな素肌が露わになっていく。 「まぁ……綺麗……」  他人の裸は身飽きている程見ているであろうサキュバスも、エリシアの素晴らしい裸体を目にすると思わずそのように声を漏らしてしまう。  素直に出てしまった言葉……。その言葉通り胸の膨らみも、腰の括れも、尻の瑞々しさも……全てが綺麗という言葉に集約されてしまう。  絵画に描かれた美の女神がそのまま現世に現われたかのよう……  美しい顔と相まって彼女の裸体は一層引き立たれ、そういうものを見慣れているであろう淫魔であっても息を飲み込む程の眩しさであった。 「ジロジロ見てないで……さっさと始めたらどうですか? 私はもう……覚悟は出来ています……」  色欲のこもった目で上から下にと舐め回すように見定めるラフェリアの視線に、気恥ずかしさが高まったエリシアは頬をほんのり赤く染める。そして視線を横に逸らしながら恥ずかしさと悔しさの両方の感情を持ちながら淫魔の女王へと言葉を捻る。 「そう……ね……。じゃあ……早速準備をしましょうか……」  身体を見回す事に夢中になっていたラフェリアはエリシアの言葉にハッと我に返り取り繕う様に言葉を返す。 「……準備?」  彼女の言った準備という言葉に一抹の不安を感じたエリシアは、それが何の準備なのかと問おうとする。しかしその前にラフェリアの言葉が発せられエリシアの行動に指示がもたらされた。 「じゃあ、その搾取台に乗って、仰向けに寝てもらっていいかしら?」  搾取台という恐ろしい言葉がラフェリアの口から発せられる。分かっていた事ではあったが、いざその対象が自分であると示唆されると不安は破竹の勢いで高まってしまう。  しかし、何の抵抗も出来ない彼女は従う他ない。不安を感じながらも一歩……一歩……と、処刑台に自ら上がるかのように黒い石ベッドの上へと登っていく。 「仰向けに寝たら……足をこの枷に合わせる様に広げなさい……」  石ベッドの上へあがったエリシアは言葉の誘導に乗りながらゆっくりベッドの上に尻をつけ、細く美しい脚を恥ずかしがりながら下へと伸ばしていく。  そして一旦背中をベッドにつけ仰向けに寝、改めて脚の幅をベッドの隅にある枷へと合わせる。  少しきついくらいに開かされた脚……。裸の格好になったのだから当然、女子の蜜壺も内太腿に隠される事なく丸見えに晒される。 ――ガチャッ!  その姿勢を恥ずかしいと思っていた矢先、枷の上に乗せていた片脚がラフェリアによって革ベルトが巻かれ、きつく絞り上げられたかと思うと枷の金具をベルト穴へ通され、ものの数秒で右の足が拘束された。  ベッドに埋め込まれる様に設置された枷は一度締められるともう足を浮かす事も横に逃がす事も出来なくなる。  片足だけではあるが間違いなく逃げられなくされているという実感がエリシアの心に芽生えてくる。 ――ガチャ!  もう片方の足首にも同じ枷が取り付けられる。これで足を大きく開いた恥ずかしい格好から姿勢を変える事は出来なくなってしまった。  もう逃げられない……。エリシアの中でその焦りが少しずつ膨らみ始めている。 「はい……今度は手をバンザ~イってして? 勿論、枷のある所に手首が来るように……ね♥」  エリシアは膨らみ続ける不安についつい言葉を挟んでしまう。自分が弱気になっていると言う事を知らせてしまうような……気丈な彼女には似合わない訴えを……。 「ちょ、ちょっと! 淫靡な行為を行うだけだったら……手枷は……必要ないんじゃ……ない?」  それは裏返せば手枷を付けたくないという訴えに他ならないのだが、その訴えにラフェリアは…… 「だ~め♥ 暴れられては困るもの。手枷も付けて貰うわ♥」 「あ、暴れたり抵抗はしないわよ! も、もう……覚悟は出来ているっていったでしょ!」 「フフフ♥ いいから付けさせなさい。私は身動きの取れない貴女が苦しむ姿が見たいの♥」 「?? どういう……意味?」  ラフェリアはそれ以上の説明を彼女には行わなかった。しかし、手枷は意地でも付けさせると言わんばかりに強引に手を引っ張ろうとしてきたため、エリシアは諦めてその誘導に大人しく従い手枷も付けさせてあげた。  黒ベッドの四隅に向かって手足を引っ張られているかのような拘束。形で言うならばX字に近い格好を強いられ拘束されたエリシア……。手も足もビクとも動かない。全く抵抗が出来ない格好にされてしまった。 「さて……と♥ 準備完了だけど……今のご気分はどう? ナイスバディで美人顔のエルフちゃん?」 「くっっ! そ、そう……ね。多少窮屈……かしら?」 「それは許して頂戴♥ だって仕方がないんですもの♥」 「こんなにガチガチに拘束して……余程暴れられるのがお嫌いなのね?」 「う~~ん、そうね……。まぁ、絶対暴れたくなっちゃうだろうから……その予防のための拘束なんだけどね?」 「暴れたくなる? 貴女の淫技で?」 「ウフフ♥ ちょっと違うかなぁ~~」 「じゃ、じゃあ……なんで……私が暴れると?」 「だって……絶対耐えられないと思うしぃ~♥ これからす・る・事・に♥」 「だから! 何をするつもりですかッ! さっきからニタニタと気持ち悪い!」 「ちなみに……貴女のお姉さんは3日目でギブアップしちゃったわ♥ 勿論、ギブアップしても続けたけどね……」 「姉様がギブアップ? 何を言っているの? 勿体ぶらずに早く教えて――」 「ところで、貴女。お股の間以外で……敏感な箇所ってあるかしら?」 「――は、はい?? 股の間……以外で……敏感な箇所??」 「そう♥ 触られたら耐えられない~~ってなる場所……有るかしら?」 「い、意味が分かりませんけど……」 「私は知ってるんだぁ~~♥ 貴女が絶対に耐えられないト・コ・ロ♥」 「……さっきから何が言いたいの?」 「私ね……思ったの……」 「……っ??」 「普通に愛液を絞りとるのって……簡単だしお手軽よ?」 「………………」 「でも味気ない……。だって、搾り取れるのは当たり前の事なんだから……」 「くっ……」 「どうやったら“お食事”を楽しく美味しくできるかなぁ~って……考えた時にね?」 「い、いいから! さっさと始めなさいってば!!」 「やっぱり美女の笑顔が大事よねって……思った訳……」 「……笑顔?」 「そう。苦しみ……のた打ち回りながらも笑顔を私に向けてくれる……。そんな倒錯的なお食事が出来たら……興奮できると思わない?」 「のた打ち回りながら笑顔を向ける? 馬鹿も休み休み言いなさい! 誰が好きこのんで貴女の為に笑顔を作ろうと思うのよ! 口角の1つだって上げてなんかやらないわ! 戯言はいいからさっさと食事をなさい!」 「う~ん、ちょっとニュアンスが違うのよねぇ~。誰も自ら笑ってくれって頼んでいる訳じゃないのよ?」 「……?? 頼んでいないって……何が言いたいの?」 「もう……鈍感さんねぇ♥」 「……えっ?」 「まだ分からない? 貴女をこんな風に拘束した……り・ゆ・う♥」 「こ、拘束した……理由?」 「ほら……もう抵抗できなくなったじゃない? 例えばそう……貴女の綺麗なこの太腿……」 「っ! ぃやっっ!! 触らないでっっ!! 気色悪いっ!!」 「膝小僧…………脛…………足首……と順番に撫でられても……貴女は何の抵抗も出来ない♥」 「んくっっ!! な、なぞるなぁ!! んんっっ!!」 「じゃあ、ココはどうかしら?」 「ふへっっ!!?」  太腿から順番に足首の部位まで人差し指でなぞるように触り出したラフェリアは、エリシアの足元まで歩を進めると妖しく目を細めニヤリと笑みを零す。  足首に辿り着いた指は、嵌められた枷の上をなぞり足首を伝って足の甲を触りながら登っていく。  あまりの嫌悪感に思わず足を引いて逃げようとしたエリシアであったが、足首に巻かれた枷がその動きを阻止する。反射的に逃げたくなったが逃げられないという現実を突きつけられた瞬間、エリシアはようやくラフェリアが成そうとしている事を悟らされる。 「え、え、笑顔って……まさか、冗談……でしょ?」  ラフェリアの指が足指に触れる手前で動きを止める。 「ウフ♥ 気付いてくれたぁ? これから私がするコ・ト♥」  足の甲側の足指……その付け根部分で不気味に動きを止めたラフェリアの指は、彼女がニヤリと笑みを零すと同時に足指の付け根をサワサワと指先で焦らすように気色悪く触り始める。 「あっ!? くっっ!! ちょっっ!! ふざけないでっ!! 何がしたいのよっっ!!」 「えっ? 何って……? だからぁ~~こういう事……しようとしてるの♥」  ある程度足指を爪の先で掻いた彼女の指はまたゆっくりと足の先端を目指し、なぞりながら移動を始める。 「ば、馬鹿じゃ……ないの? うくっ!! 私は貴女と遊ぶためにここまで来た訳じゃ……」  足の爪先まで登り切ったラフェリアの人差し指はまるで可愛らしいものを愛でるかのようにその頭頂部を妖しく撫でエリシアに耐え難いむず痒さを与えていった。 「勿論……私も遊びでコレをやるつもりはないわ。ちゃんと本気で責めてあげるつもりよ?」  しばらく指の頭頂部を撫でたラフェリアは親指と人差し指でその中指を摘まみグッと足の甲の方向へ引っ張り、エリシアの足を反らせるように仕向ける。そしてその反らされた足裏にラフェリアは顔を近づけ間近で彼女の足裏を観察し始めた。 「ちょっっ! やめて!! 見ないでッッ!!」  足裏をジッと観察される行為に慣れていないエリシアは必死に足をバタつかせてそれをやめさせようとするが、枷に動きを阻まれ上手く足を動かす事が出来ない。そんなエリシアの様子を見てラフェリアはニヤリと笑みを浮かべる。 「エルフの足の裏って……大きくて……窪みがエッチな形してて……とっても素敵♥ ついつい触りたくなっちゃうのよねぇ……」 「へひっっ!!? ひっ!! いひゃっっ!!」  足裏を強調するかのように反対方向に反らされた土踏まずにラフェリアの反対の手の人差し指がそっと着地する。  指が触れた瞬間ゾワッとした寒気と共にむず痒さを感じたエリシアは、身体をビクつかせ悲鳴を上げさせられる。 「あら……良い反応するのね? そんなにココを触られるのは苦手なのかしら?」  ラフェリアの人差し指がピンと張った土踏まずの皮膚をツツツとゆっくり撫で、エリシアに我慢ならない刺激を送り込む 。 「ふっっ! くっ……。べ、別にっっ!! いきなり触られたから……ビックリしただけよ!!」  下の方までなぞった指は再び土踏まずの中央へ向かって、来た道を引き返していく。そのじれったい刺激にエリシアはこんな切迫した状況にもかかわらず“その場にそぐわない感情”を込み上げさせようとしてしまう。 「そう? てっきり……お姉さんと同じで、こういう刺激に弱いのかと思ったけど……違うんだ?」 「ね、姉様にも……こんなふざけた事を、してたと……言うの?」 「えぇ……。だって私……コレが目的であの村を襲ったんだもの♥」 「くっっ!! 本当にふざけてる!! こんな馬鹿な遊びに付き合わせる為に……村の人は……」 「フフフ♥ 人間はね……1日ともたなかったわ。とっても脆いの……貴女達エルフと違ってね……」 「うくっっ!! 人間は淫魔に耐性がある訳ではないわ! 触れられただけで精気を吸い取られてしまうのは当り前の事よ!」 「ううん、私の能力は封印して責め立てたのよ?」 「……!? 能力を……封印して……責め立てた?」  「そッ♥ なるべく長く楽しみたいなぁ~って思って力を使わなかったんだけど……。でもダメね……寿命の長い貴女達と違って人間はすぐに壊れちゃう……」 「そ、それは……魔族の貴女が責め立てれば……人間はひとたまりもないわ! 一体どんな残虐な拷問をしたって言うの?」 「だからぁ~~私はコレしかしてないんだって……フフフ♥」 ――ソワッ! ソワソワッ!  ラフェリアの人差し指がエリシアの足裏を優しく引っ掻いていく。突っ張った皮膚に彼女の指の爪がゾワゾワと撫で上げていく感触はエリシアには耐え難く、身体を大きくビクつかせて反応してしまう。 「はっ、くっっ!! んんんっっっ!! 嘘つきなさいっっ!! こんな……おふざけで……人の命を奪える筈が……」 「奪えるわよ? だって……実際そうだったんだもの。それに貴方のお姉さんも結局コレで正気を失ったのよ?」 ――コソコソコソ♥   「はぐっっっふっ! んくぅぅぅ!! お姉様が……正気を? 嘘でしょ? そんな訳……ない!」 「拘束なんてされていなければ、貴方の言うようにふざけた戯れに過ぎないコレだけど……裸にひん剥かれて弱点を晒すように拘束された状態で延々とやられたら……って、想像したことが有る?」 「んくっ!? 延々と……ですって?」 「そう……延々とこういう刺激に悶えて貰うの♥ どう? 貴女の頭で想像できたかしら?」 「くっっっっ……んんんっっっ!! くぅぅぅ!!」 「拘束して行うこういう行為の事をね……“くすぐり責め”って言うらしいわ♥ 素敵な言葉よね?」 「くっっ、く、くすぐり……責め?」 「ただ手足を拘束するだけで、子供のじゃれ合いのような行為が大人を気が狂うまで責め立てる事が出来る行為に変わるの♥ とっても背徳的で……ソソる行為だと思わない?」 「ふ、ふ、ふざけるのも大概にしなさいっ!! な、何がくすぐり責めですか!! 馬鹿にしないで!!」 「そう思うでしょ? みんな最初はそう言っていたわ……馬鹿にしないでって……。でもね、最終的に馬鹿になったのは彼女達の方……。最後は必死に懇願していたわ……やめて下さいお願いします! ってね……」 「っっく!! 許せない!! 貴女のような人の命を玩具としか見ていない魔族が……一番許せないっっ!!」 「アハハ! その目! 良いわぁ~~♥ その反抗的な目がいつまで続けられるかしら?」 「私は貴女の思うようにはなりません!! どんな責め苦でも耐えきって見せるわ!!」 「フフ♥ 楽しみね……。貴女もお姉さんの様に琥珀に逃げ込む事だけはしないでね? 興冷めしちゃうから……」 「っっ!! ぜ、絶対っ!! 絶対に許さない!! 貴女だけは……」  薄暗い地下の淫魔の間にエリシアの突き刺すような声が木霊する。  しかし……エリシアはまだ本格的な“ソレ”を受けていない為想像だにしていない。  かつて姉が耐えきれなくなって正気を失ってしまったという“ソレ”の本質的な恐ろしさを……。

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