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#31 「あんたってば分かっているじゃない♥ 私を選ぶなんて……」  普通“奴隷なりたい”など言葉を慎重に選ぶべき大人の発言ではない。自分の発した言葉がどのような影響力を持つか……分からない貴方でもない。しかし口走ってしまった……。恵里や美咲の責めでは得られなかったあの確かな興奮……罵声の中に僅かに感じる感情の揺れ……鬼畜な責めにもかかわらず貴方の呼吸を止めまいと調整してくれている優しさ……。彼女はもしかすると意識しているわけではないかもしれないし、そう思ったのは貴方の勘違いだったり早とちりだったりするのかもしれない……しかし、貴方の脳は勘違いであろうとその垣間見えてしまった優しさに答えを求めてしまった。だから選んでしまった……きっと辛い決断になるだろうと内心では理解していても。 「でも私が好きなんだったら理解しているわよね? 私はそんな薄っぺらい言葉に心許すほど恋愛馬鹿じゃないってこと……」  横向きから貴方の顔を覗き込むように態勢を変えた鈴菜は、口角を片方だけ吊り上げた意地の悪い笑みを浮かべ貴方を目を細めて見下ろす。 「私の奴隷になりたいってんだったら……分かっているでしょ? 私のためにしなくちゃいけない事ぐらい……」  貴方は徐々に近づいてくる鈴菜の顔にゴクリと唾を飲み込み首を横に振った。何を言いたげなのか想像は出来ているがそれを“知っている”と答えて鈴菜が喜ぶわけがない。彼女は言葉でも責めたいはずなのだ……ジワジワと貴方を追い詰めるような言葉でも……。 「嘘おっしゃい♥ 今まで私があんたに何を強いてきたか……覚えてないわけがないでしょ? だったら分かるでしょ? これから私があんたに何をして……あんたはそれに対してどんな反応を示せばいいか……」  小動物を追い込んでじっくりいたぶるかのような言葉を吐く彼女の小さな唇が、貴方の唇に近づいてくる。貴方は引きつった顔でその唇を凝視しまたして首を横に振ってみせる。 「なぁ~に? 私に言わせたいってわけぇ~? あんな“恥ずかしい”言葉を……」  唇が触れる少し手前、僅か2~3mmの距離まで迫った彼女の瑞々しく柔らかそうな唇が突然ピタリと止まる。そしてキスをお預けするかのようにその場で口元を歪ませ再び悪い笑みを浮かべなおす。 「……コチョ……こ・ちょ♥」  口が開いたかどうかも分からないほど小さなアクションでボソッと囁かれた彼女の言葉。そのか細い擬音が耳内の壁に反響して聞こえると、貴方の耳の神経すらもくすぐり焦らすようにむず痒くさせていく。 「調教師である私が奴隷に求めることは1つだけよ。私のくすぐりに笑い狂うこと……」  そう言って頬を撫でる彼女の細い指先……。その指か貴方の口元に差し掛かると口角の端を差しながら、誘導するように口角を引っ張り上げていく。その誘導に抵抗できない貴方はその指によって無理やり笑顔の形を作られてしまう。 「奴隷であるあんたは私の責めにただただ笑って答えればいいの♥ 歯の浮くセリフや恥ずかしい告白なんて無用よ。私のために笑ってくれる事こそが私を満足させる唯一の方法なんだもの……」  無理矢理に笑顔を作り出した鈴菜の指はその後すぐに貴方の口元から離れ、同時に顔も貴方の口傍から遠ざかっていく。  そして貴方を遥か下に見下ろす位置まで顔を戻すと、選ばれなかった2人に向け恐ろしい提案をし始める。 「私が選ばれちゃってあんた達も悔しいでしょ? 当然……この馬鹿な奴隷に仕返しをしてやりたいんじゃない?」 「当然です。絶対に私を選んでくれると信じていたのに、それを裏切った酷い人なんですから……言われなくても復讐するつもりだったわ」 「私も……悔しい……。私のことその気にさせておいて……簡単に裏切るようなことをするような人を……許せるわけがありません。絶対に……」 「でしょ? だったら丁度いいわ♥ みんなでこいつを苦しめちゃいましょ♥」   「苦しめる?」 「そう♥ 今の話聞いてたでしょ? 私はこいつの笑い狂っている顔が見たいの♥ だったらあんた達の復讐も兼ねてたっぷりとイジメてあげてもいいじゃない? おあつらい向きに彼は抵抗できないように拘束されているんだし♥」 「ふぅ~~ん……なるほど。鈴菜はその笑い狂ってくれるのを見て興奮するし私たちは復讐できるから一石二鳥ってわけね?」 「別に興奮はしないと思うけど、でもイイじゃない? 3人から同時に責められる奴隷を見るというのも趣があって……」 「鈴菜の言葉に賛同するっていうのはなんだか癪だけど……でも、復讐させて貰えるんだったらそれに乗らない手はないわね……」 「そうですね……。私のモノにならない人を想い続けても仕方がありませんし……。私も僭越ながら参加させて頂きましょうか……」 「フフン、どうせ言われなくても参加するつもりだったでしょうに……。ほんと私と違ってあんた達は面倒臭いわね……」 「本能で動く鈴菜と違って私達は奥ゆかしいのよ。勘違いしないでくださいね?」 「はいはい、そういう事にしといてあげるわよ……」  話がまとまったタイミングで鈴菜は再び貴方を見下ろし不敵な笑みを浮かべる。それに同調するかのように美咲も貴方の顔を覗き込み同じような含み笑いをこぼしていく。恵里はジッと貴方の足の方を見てこちらを見ようとはしない……どうやら責めたい場所を誰よりも早く見つけたようだった。 「あんたが私のこと好きって言ったんだから……覚悟は出来ているわよね? 存分に受けてもらうわよ? 私達3姉妹のくすぐり責めを……」  貴方はその言葉に冷や汗を額に滲ませていく。1人でなく2人でもなく……3人同時によるくすぐり責め。今までの一人ずつの責めでも死にほど苦しいと思える責めであったのに……同時に3人というのは未知の領域だ。それがどんな責め苦を産むのか……果たしてその責め苦に自分は耐えられるのか? 尽きぬ疑問に不安は募る一方だが……しかし彼女達は着々と準備を進めていく。貴方の不安など気にも止めずに自分の責めたい箇所へと歩を進めていく。  そしてそれぞれが手を差し出していく。  左と右、両方の手を責める箇所に合わせるように運んでいく。  恵里は貴方の開かされた足の間の中央に立ち、左右の足裏に向けてそれぞれに手を伸ばしていく。  美咲は貴方の脇腹に狙いを定め左右の手で腹の側面を掴み、後は指を動かすだけの状態まで持っていく。  そして鈴菜は石ベッドに上がり込み貴方の胸の少し下の方に尻を落ち着けて座り、不安に慄く貴方の顔を覗き込みながらソっと腋の窪みに手を差し込んでいく。  それぞれがそれぞれの責め場所に手を運び終えると、一瞬だけ時が止まったかのようにシンと静寂が訪れる。  蝋燭の揺れる薄暗い地下室が永遠とも思える静寂を数秒作り出した後……ソレは突然の嵐のように急激に執り行われた。  目で合図を送った様子も見せず、恐らく責めたいタイミングがたまたま同じであっただけだろうが、彼女たちの指の動きはほぼ同時に貴方の弱い箇所それぞれを激しく刺激し始めた。  同時刺激されたのは確かだが、最初に知覚した刺激は心臓に近い腋の部位に与えられたモノだった。  鈴菜による腋の窪みをほじくる様な引っ掻き……そのワキの神経をゾクッと刺激する触り方に貴方は堪らないこそばゆさを覚える。  そして次に知覚出来たのは脇腹への刺激……。 美咲の両手が腹の両サイドを掴み、掴んだままモミモミと揉みしだく刺激は脇腹の神経を貫通して脊髄にまでくすぐったさを届けてしまう。あまりにそのくすぐり方があなたの笑いのツボをまさぐってしまった為、貴方はその刺激に「ぶはっっ!!」と盛大に吹き出してしまう。 最後に知覚したのは足裏への刺激。 最初は恵里が焦らすように指先で足裏に文字のようなものを書いていたため、刺激としては姉や妹のように強くはなかった。しかし、文字を書き終えた途端に全ての指を土踏まずに集め、集中的にその箇所をガリガリと引っ掻き始めたものだから吹き出してしまったあとの笑いは止められないものになってしまった。 皮膚の表皮を削る勢いで引っ掻いていく恵里の爪先……。程よく伸びた硬い爪先が敏感な皮膚を引っ掻く刺激は耐えられるようなものではない。    貴方は刹那の我慢もさせてもらえず無様に口を大きく開け流動物を吐瀉するかのように笑いを激しく吐き出し始める。  足裏がムズムズし過ぎてくすぐったい! と知覚すれば今度は腋の神経が震えているかのようにこそばゆい! と感じ、そうかと思えば脇腹の深く揉み込むマッサージが別次元のくすぐったさを産んでいると知覚する。それらが何周も何周も脳内を巡り、やがてどこがくすぐったいのかがあやふやになっていく。  今どこに笑わされているのか……引っ掻かれている足の裏? ガリガリと掻き毟っている腋の窪み? それとも強すぎるマッサージを行っている脇腹? 貴方はその判断がすぐに付かなくなっていく。  もはや全ての箇所がくすぐったくて笑いの衝動を生み出し続けている。どこが耐え難くてどこに余裕があるかなど分析している暇などない。とにかくくすぐったいのだ! 頭では“笑いたくない”と叫んでいるつもりだが身体は“笑わなくてはいけない”と勝手に判断し、あなたの意思を無視して肺から呼吸を奪いながらゲラゲラと笑ってしまっている。  その自分ではどうにもならない止められない笑いが辛くて堪らない。3人の責めが始まってものの1分も経っていないのにすでに貴方は呼吸困難に陥りつつある。  それだけ3人の責めは貴方の弱点を的確に捉え“笑わせる事だけ”を容赦なく強いている。  笑うのが辛い……まるで終わりのない腹筋運動を無理やり強制させられているかのように腹全体が痛い。左右に捻ろうとしている腰もベッドに打ち付けている背中も後頭部も痛い。  引っ掻かれている箇所が熱を持つようにビリビリと痛むが、その引っ掻かれた箇所を再び爪先で触られると飛び上がってしまいそうなくらいにこそばゆく感じてしまい、痛みに苦悶の表情を浮かべるよりも先に口から笑いが吐き出されてしまう。  辛い……苦しい……痛い……。  貴方の頭はその3語だけがグルグルと頭の中を駆け巡る。 「アハハ♥ 良いわ! 良いっっ! その顔よ! 苦痛に歪みながらも笑ってしまってるその顔!! 私はそういう顔が見たかったの♥ とっても良いわ! あんた……最高よ!!」  無様に笑えば笑うほど……苦痛を感じれば感じるほど、鈴菜の顔は綻んでいく。  貴方の苦しみこそが彼女の性感に直結しているかのごとく、苦しめば苦しむほど彼女は悦び……そして更に責め手は激しさを増していく。  それに呼応するように恵里も美咲もくすぐる手を早めたり、くすぐりの加減を強めたりと更なる責め苦を貴方に与えていく。  藻掻けば藻掻くほど深く沈んでいく流砂の様に……苦しめば苦しむだけくすぐりは強くなっていく。  貴方は拘束された身体を精一杯に石ベッドに打ち付け、足首手首を枷に食い込ませながら激しく笑い狂う。  このまま後数分も続けられれば本当に肺に酸素が吸入されず窒息死させられてしまう!! と自分の無様な死が頭に飛び込んだ瞬間、機を図っていたかのように3人のくすぐりが一斉にピタリと刺激するのをやめる。  貴方はくすぐりの余韻に引き攣るような笑いを誘われながらも、咳き込むような荒い呼吸を繰り返し失っていた酸素をこれでもかと取り戻そうとする。  これで制裁とやらは終わったのか? 何の知らせもなくやんだくすぐりの応酬に、貴方は“そうであってほしい”と心の底から願いつつ貴方の顔を覗き込んでいる鈴菜の顔に視線を運んだ。 「ンフ♥ いい顔♥」  貴方の怯える目を見た鈴菜は口角をニッと上げそして貴方の希望を打ち砕く刺激を再び送り込み始める。 「こ~~ちょ、こちょこちょ~~♥♥」  再び腕の付け根に当たる脇の膨らんだ丘陵部分に優しく指先が置かれ、その箇所のゴミを丁寧に掬い掃くように指だけを動かして貴方の腋をイジメ始めた。  先程までの掻き毟られるような強さではない刺激ではあるのだが、すでにくすぐられる事に耐性を失ってしまっていた腋を優しくこそばされる刺激は耐え難く貴方は「ぷひゃひゃひゃひゃひゃっっ!!」と、折角溜め込んだ呼気の一部を吐き出しながら笑ってしまう。 ――ピタッ!  貴方が息を荒げながら笑ってしまうとすぐに指の動きは止まり、再び貴方に酸素を吸うチャンスが訪れる。  しかし、吸い始めた頃合を見計らって今度は足元から不意打ちのような言葉と刺激が送り込まれる。 「コチョ……コチョ……コチョ……」  ゆっくりとボソボソ呟くように声を出したのは恵里だった。彼女のスローな煽り言葉と同調するように貴方の両足には彼女の5本指の刺激が柔らかく与えられる。  ボールを握るような手の形で土踏まずや拇指球付近に指を置き、ニギニギと閉じたり開いたりする動きで貴方の足裏をじれったくこそばしていく彼女。先程までの強いくすぐったさは感じないが、それでもその刺激はじれったすぎて貴方は思わず「ひっひゃ!!?」と悲鳴を上げて体を震わしながら小さく笑い悶える。 ――ピタッ!  ある程度笑いを促すと恵里も指の動きを止め無言で貴方に偽りの安息を与える。  次は恐らく美咲の順番……  何となく趣向が分かった貴方はそのように想像し口を固く結び今度こそ吹き出さないぞと我慢の態勢を取る。 「フフ♥ そんなに構えても無駄ですよ~~?」  予想通り次は美咲の順番だった。  彼女は貴方が我慢しようと口を固く結んだのを見てクスクスと笑いを零す。 これはきっと酸素を吸うための休憩のようなものなんだ……と勝手にそう予測した貴方は、美咲のくすぐりも強すぎないじれったいくすぐりだろうと予想した。しかし彼女はそのルールを破るかのように…… 「ほ~~らっ! 笑ってくださいっ!! こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ~~っっっ!!!」  先程のくすぐりと遜色ない……いや、それよりも激しい揉み込みを貴方の脇腹に与え、油断していた貴方に鋭いくすぐったさを植え付けていく。 この想定外の耐え難いくすぐったさに貴方は再び目を見開き大口を開け唾を飛ばしながら大爆笑を強いられてしまう。 「もしかして休ませてもらえるとでも思った? そんな生易しいこと……私達がしてあげるわけないじゃない♥」 貴方の吠えるような笑いを聞いた鈴菜と恵里は、それが合図であったかのように再び貴方を悶笑させる刺激を送り込み始める。 先程までの優しいくすぐりが嘘であったかのように腋の窪みに赤い筋が引かれるほどの鈴菜の掻き毟り、そして海老反る様に拘束された貴方の足裏を遠慮なく爪で引っ掻き回してくすぐる恵里。どちらの刺激も貴方の笑いを爆発させてやまない。焚き火にガソリンを撒いて大炎上させたかのように貴方の笑いは天井を突き破る勢いで吐き出されていく。 「ほら! もっと笑い狂いなさい!! あんたに許されているのは笑う事だけよ! 死んだほうがマシだって思えるまで苦しめてあげるから!! ほらっっ!! ほらほらっっ!!」  鈴菜の顔が頬紅をつけたかのように赤く染まっていく。興奮の息は荒く、顔にかかる吐息も熱く色を帯び始めている。 「私を選ばなかった罪は……重いんです! もっと苦しんでください!! 折角好きになれたのに……。折角っっっ!!」  恵里の声も冷静さを欠き酷く興奮しているかのように語気が強まっていた。こんな彼女は見たことがない……顔は見えないがこのように興奮した声を発する彼女は中々に見れるものでもないだろう……。 「アハハ♥ イイですね♥ 私のくすぐりにももっと笑ってください! ほらっ! お腹が捩切れるまで笑わせてあげますからっっ!! そぉ~~れ、コチョコチョコチョ~~♥♥」  おしとやかなお姉さんタイプである美咲も、今は素の性格を忘れてしまったかのように残酷で猟奇的な笑顔を浮かべている。  よほど告白されなかったのがショックだったのか……それとも鈴菜に取られたのが悔しかったのか……彼女の責めは鈴菜の責めよりも激しく殺人的だ。  横腹の肌が変形してしまうのではないかと思える位の揉み込みで、くすぐったさを感知する神経を過剰なまでに刺激し、意識が朦朧としかけている貴方を限界以上に笑わせる。  笑いが笑いを産み更なる悶笑を誘い終わりのない笑いの連鎖を繰り返していく。  どこかでこの螺旋を断ち切りたいと思ってはいるが、それが叶えられることは決してない。  彼女たちのくすぐりは刺激に慣れるという安息を与えてはくれない。今一番触られたくないと思っている箇所を的確に突き、その箇所に一番効果的な触り方でくすぐってくる。  笑いが止まらない。肺の酸素がなくなっても笑わされている。 もはやくすぐったいと知覚した後に笑っているのか、くすぐられた刺激を反射的に笑いに変えてしまっているのかすら判断がつかない。 苦しい……苦しい……! 水を張った洗面器にずっと顔を浸けられているかのようだ! 苦しい!! 息ができない……視界も狭くなり始めた……。もう限界か……。自分の笑い声や彼女たちの嬲る言葉さえも遠くに聞こえ始める。 このまま深淵の底まで堕ちていくのだろうか? 深淵の先には何があるのだろうか? もはや何も考えられない……。死の直前とはこんなにも寒々しくて薄暗いものなのか……。 キツイ……辛い……苦しい……痛い……。 解放されたい……。この苦しみから……一刻も早く……。 暗闇の奥底に堕とされていくような感覚を覚えた貴方はそれが死のイメージなのだと悟る。 自分はくすぐりに笑されながら一生を終えるのか……。こんなにも無様に生を閉じようとしているのか……。そのように自分の死を覚悟した瞬間、薄暗かった竪穴に強烈な光の1本筋が差し込み貴方の視界を真っ白に染め始める。 この眩しすぎる光はなんなのか? 地獄へ落ちていこうとしている自分に天使が救いの手を伸ばしてくれたのか? 助かったのか? 自分は助けられたのか?? 光の正体はすぐに分かった……。 薄暗い深淵が苦痛による死のイメージだとしたならば光のイメージはその逆…… 与えられた快感による生のイメージ……。 暗い闇が晴れるとそこには先程まで生死の境をさまよっていた拷問部屋の天井が視界に入る。 貴方は今……笑ってはいない。 くすぐりはすでに止まっている。 くすぐられていない代わりに貴方を責めていた3人は、貴方の体の中心でそそり立つ淫猥な肉棒にそれぞれ寄り添っている。 美咲は淫棒の根元を人差し指と親指で挟み……グリグリと弄り。 恵里は両手でムスコの中程の位置を包み指先でコチョコチョとくすぐって性感を高めている。 そして鈴菜は貴方の亀頭部分を口で咥え、舌先で舐め回しながら淫靡な刺激を送り続けている。 3人による性感攻めは貴方の疲れ果て萎え果てていたムスコに必要以上の活力を送り、すべての血液がそこに結集しているかのように根元から先端までを鋼鉄のように固く太く勃起させる。 勃起していてもなお淫棒だけを虐める3人の性感攻めは途切られず、貴方の射精欲は限界まで高められてしまう。 「どう? 死ぬ直前まで責められた感想は? 苦しすぎて訳がわからなくなったでしょ?」  ムスコから口を離した鈴菜は邪気のない笑顔で貴方にそう呟く。 「私の奴隷としての認定試験は……合格よ。ここからは最後に合格祝いを皆でしてあげるわ♥」  はち切れんばかりに勃起した貴方の肉棒の先端を指先でこちょこちょっと悪戯っぽくくすぐって満面の笑みを浮かべる鈴菜。そのくすぐりに貴方は思わず我慢しきれなくなった我慢汁を吐き零してしまう。 「しっかりこの快感を脳に焼き付けておきなさい……? これ以上の快感は今後二度と私は与えてあげないかもしれないから………」  下腹部から離れ、歩を貴方の上半身の方へ進めた鈴菜は貴方の顔を覗き込むなりニコリと再び笑みを零す。  子供っぽい容姿に似つかわしい無邪気なその笑顔に、貴方は一瞬目を奪われた。 「そしてついでにその快感と一緒に脳に深く刻んでおきなさい……」  無邪気な笑みはその言葉を言い終えると同時に影を帯び始める。 「私の……くすぐりの味も、ねっ!!」 語気が強まった瞬間鈴菜の手が貴方の腋に伸びてくる。そして死の直前まで責められ疲弊した貴方を再び笑わす刺激を送り込んできた。 ――コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!  腋の窪み……窪みの少し下……二の腕の付け根……肋骨との境目……。鈴菜は貴方のワキの弱点すべてを把握しきっており、そういう箇所を一切の慈悲も見せず指先を激しく踊らせて貴方が笑ってしまうのを強制する。  再び始まったくすぐり責めに貴方は悲鳴のような叫び声を上げて汚い笑いを吐き出していく。 また苦しい責めが再開された!? そう思った矢先、今度は下腹部の方からくすぐったさをも凌駕する強い電気刺激が送り込まれ始めた。 ――チュッコ♥ チュコ、チュコ、チュコ! シコシコシコシコシコシコシコ♥♥  美咲が陰茎の根元から中程までを上下に摩り、恵里が中程から先端までをしっかり握って上下運動させる。一人で事足りるであろう陰茎へのしごきを2人で同時に行い、貴方に我慢ならない凶悪な快感を植え付けていく。 「ほらっっ!! 私のくすぐりは気持ちいいでしょ? もっとくすぐって貰いたいでしょ? うん?」  ワキをくすぐる鈴菜のくすぐりと、今すぐにでも射精してしまいそうになるまで追い詰められた貴方の陰茎。  くすぐったさと強烈な快感が入り混じり、貴方の頭は混乱する。  気持ちが良いのかくすぐったいのか分からなくなっていく。  分からないが、どちらの刺激も貴方の脊髄をゾクゾクと震えさせ体中の神経を波立たせていく。これを快感と呼ぶのならくすぐったい刺激も陰茎に与えられる刺激も違いはない。質は違うが確かに腹の底から湧き上がってくるモノは同じだ。  快の感情……。  笑いも性感も快の感情がもたらすもの……。  貴方はそれに気づいたとき、何かの線が切れたかのように全くの無抵抗な素の笑いを口から吐き出した。  世間体やプライドなどを被せない……獣の咆哮のような野性的な笑い……。  それは整った笑い声とはかけ離れた酷く下品で聞くに耐えない叫び声だったが、貴方はその笑いを吐き出すことで何かから自由にさせられたような心地を味わった。  社会的な立場や世間体を気にしすぎた仮面を取り払った開放感……貴方は笑うことに抵抗をしなくなり力の抜けた素の笑いをした事でそれを感じ取ることができた。  気持ちが良かった。まるで羽根が生えて自由に空を飛んでいるような心地だった。  実際の貴方の身体は拘束されているいて不自由極まりないのだが、貴方の心は自由を得ていた。それは心地よく気持ちが良い……束縛のない自由。  天にものぼる心地に至った瞬間、貴方の射精欲を溜め込んでいた陰茎は我慢することをやめ2人の摩りに何の抵抗も見せず盛大な射精を行った。  今まで感じじたことのない……脳を痺れさせるほどの快感を味わった。  足の先から両手の先まで、毛細血管の中までも痙攣させるかのような痺れる快感。  抵抗なく解放された射精は何秒も続いた……。何度も何度も熱い淫液を射出し、その度に寒気を纏った快感が全身を駆け巡る。  気持ちが良いというだけで死んでしまいそうだ。この快感は貴方を簡単に昇天させてしまう致死熱を持っている。  何度もは行えない……。これを何度も行えば必ず死に至ってしまうだろう……それくらいに脳が痺れて動かない、働かない。  気持ちが良すぎた……。解放された笑いと行き過ぎた快感の合成麻薬は貴方をそれなしでは生きれないカラダに作り替えてしまう。 「聞こえてないかもしれないけど……合格おめでとう。これで晴れてあんたは身もココロも私のくすぐり奴隷よ♥」  歪んだ声が貴方の耳に入ってくる。ひどく遠くから囁かれているかのような聞こえ辛さはあったが、彼女が何を言いたいのかその表情で察することができる。  嬉しそうな……純粋に嬉しそうな鈴菜の笑顔……。それを見ながら貴方は意識を薄めていく……。  やがて周りが静かになり、快感の余韻が潮を引くように収まりを見せ始めた頃貴方は眠りに落ちる……。    鈴菜の奴隷になれたことを……嬉しく思いながら……。 ――『くすぐり処刑編』鈴菜、真の奴隷ルート……END

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