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#28 「さぁて……やっと私の順番が回ってきたわけだけど……」  天使のように小柄で可愛らしいツインテールの少女が貴方の顔の横に腕組みをして立ち、悪魔のような笑みを浮かべてあなたの顔を見下ろしている。 「さすがに私まで感情的な責めをしても面白くないから……ゲームも兼ねてあんたにチャンスを与えてあげようと思うわ♪」  貴方に向けられている口角の上がりきったいやらしい笑みは“チャンスを与える”という言葉とは裏腹に何かを企んでいる風な笑いを零しており、息を切らせながら必死に呼吸を整えようとする貴方に不安と絶望を存分に与えてやまない。 「3分間……」  鈴菜が手で指を3本折ってみせると、その指の本数分だけの時間を貴方に提示する。 「私が今から行う“人差し指の責め”にあんたが3分間笑いを我慢できたら、後の時間はとっても気持ち良い責めに変えてあげる♥ でも笑ってしまったら私も容赦なくあんたの事殺しにかかるから……覚悟なさい?」  鈴菜の性格を考えると“チャンス”という言葉など信頼に値できない言葉ではあるのだが、今の苦しみから救われたい気持ちが強い貴方にはその“とても気持ちの良い責め”という言葉があまりにも甘美に聞こえすぎていた。 たかだか指1本の責めで3分間笑わなければ救われる……貴方の頭は彼女の条件をそう解釈する。だから彼女が心の中で思っている“今の貴方ならば3分もあれば簡単に笑わせられる”という自信に満ちた裏の言葉を読み解くことができず、貴方は飛びつくようにその条件を飲んでしまう。 「じゃあ、さっそく……始めるわよ?」  てっきりストップウォッチか砂時計か何かで時間を図るものだろうと貴方はタカをくくっていたが、彼女はその“時間を図る”という行為を行う素振りも見せない。それが何を意味するのか……貴方の脳裏に嫌な予感という深い不安が刻まれていく。 「でも……ほんと良いカッコで拘束されてるわよね? あんた……」  貴方の不安に曇った顔を微塵も気にしない様子でツカツカとヒール音を響かせながら余裕ある歩みを始める鈴菜は、貴方の拘束された裸体を舐めるように見定めながら徐々に下半身の方へと移動していく。 「特にほら……足なんてさ……」  貴方の足首付近まで歩を進めた鈴菜はそこでピタリと歩みを終えると、指までも拘束され身動きを封じられた貴方の素足を見てニヤリと笑みを零す。 「足首のトコは革の枷で拘束されてるし……」  貴方の返事を聞かずにマイペースに語りを入れる鈴菜は人差し指を1本だけピンと立て、その指をゆっくり足首の枷部分に降ろしていく。そして鈴菜が枷の表面を指で円を描くようになぞり始めると貴方はゴクリと息を飲み、声が出てしまわないようにと口を固く閉じる。  枷の部分だけを指はなぞっている為くすぐったくなるほどの刺激は与えられていないのだが、革枷は足首にピタリと隙間なく巻きついている状態であるため指がどこをなぞっているのかは感触で理解できてしまう。  その指が……抵抗できない足に触れると想像すると……貴方は、身震いしてしまうほどに寒気を全身に感じてしまう。 「悔しいでしょ? こんなに簡易的で単純な作りの枷が巻かれているだけで貴方の生命をも脅かす責めから逃げられなくなるって考えると……とっても悔しいわよね?」  枷のベルト穴を順番に指で触って確かめるように鈴菜の手は移動している。その動きも感触で手に取るようにわかる貴方は、くすぐったい刺激でもないのに背筋がゾクゾクと震え始めてしまう。果たしてこの焦らしのような責めは制限時間内の行為なのか? 我慢ゲームは始まっているのか? それとも……まだその前段階なのか? 明確にスタートしたという言葉を聞いていないため今がどういう状況なのか貴方には図ることができない。  鈴菜の指が足首の端の最後のベルト穴に到着する。思いのほかベルト穴は深くないため指が触れた穴からは僅かに彼女の指の感触が感じ取れる。その指の感触に貴方は再びゾクリと背筋に微弱な電気を走らせてしまう。2人からのくすぐり責めの余韻が未だ残ってしまっている体の神経たち……。彼女の指の感触にその神経たちが一斉に怯え震えているかのようにザワつき始める。   「あんたは私がどんに酷いことをしても……それを黙って受けることしか出来ないわ。力で押し倒したり暴れて逃げたりなんて絶対にできないんですもの♥ こういう状況の奴隷を私なりにどう呼んでいるか分かる?」  少しの間動きを止めていた鈴菜の指が今度は枷を横ではなく縦になぞり始め、やがてすぐに枷の端へと到達する。 「私の好きなように笑わせられる……最高のお人形さんだから……」   彼女の指は焦らすように枷の端をゆっくり降り……そして貴方のくるぶしの上へとソっと着地する。  貴方はその直接的な指の感触に思わず「ひっ!?」と悲鳴を上げてしまい、その開いてしまった口を慌てて閉じなおす。  くるぶしの箇所から徐々に上へとなぞりながら足の側面を登っていく鈴菜の人差し指は、途中から貴方の逆エビのように反り返った足の甲まで進み、その箇所をまた焦らすように指で円を描いてなぞり込んでいく。  今まで無刺激だった足の甲をなぞられ、貴方はゾゾゾっと寒気を足から背中にかけて走らせるがこの刺激に笑ってしまうわけにはいかない。貴方は口を震わせながら必死にその刺激を耐えようと目を瞑る。 「私はこう呼んでいるの♥」  指は円を描くのをやめると再び足先の方へとゆっくりしたなぞりを再開させる。  足指に指が近づけば近づくほど貴方の笑ってしまいたい欲求は高く募ってしまう。それを我慢しなくてはならない貴方は奥歯に力を込め唇を噛み切らん勢いで噛み予想されるであろう刺激を想像させられながら耐えようとする。  そんな貴方の気持ちを察する優しさなど微塵も見せない鈴菜は、いよいよ刺激が強くなる足指の先まで人差し指をなぞらせた。  そして足の中指の頂上まで彼女の指が登りきるとその場で一瞬動きが止まって……。 「されるがままの……無抵抗な…笑わされ奴隷人形♥」  と、貴方の事であろう呼び名を言い放った瞬間、その人差し指は一気に足の裏側に回り、人差し指の先からかかとまでを切るように一直線になぞり降ろしていった。  その突然の刺激に貴方はビクッと背中を僅かに浮かせ驚き、再び「んひゃっっ!!?」という情けない悲鳴を上げさせられてしまう。  爪の先の硬い部位で足指の付け根や土踏まずのラインを一気になぞり下げられる強烈な刺激は、貴方のこそばさを感じる神経を一斉に驚かせてる。そしてあわよくば逃げ出したいという本能の欲求が強くなり足をバタつかせようと動かしてしあむ。無論その動きは枷によって制限されることになるのだが、どうにかして逃げ出したいと思ってしまっている本能はしつこいながらもその行為を繰り返してしまう。 「アハ♥ いい声で鳴いてくれるじゃない♥ それじゃあ……もう1回聞かせて貰おうかしら……」  カカトの最下部まで降りきった人差し指は踵を返すように逆に方向を変え、今度は降りてきた道をゆっくりなぞりながら登り返していく。  カカトから土踏まずの端……窪んだ土踏まずのラインに合わせて爪の先が薄く当たるような触り方でなぞり、拇指球の丘陵をゆっくり登っていく……。この焦れったいなぞり上げは貴方の足裏の神経を逆撫でしより一層のこそばゆさを貴方にジワジワと与えていく。 「ほ~~ら♥ また足の頂上まで登りきった……」  鈴菜の人差し指はじれったいこそばゆさを線引きながらやがて降りる前の足指の頂上へとまた登りきる。  あのハッキリとしたこそばゆさの一閃……あれをまたヤられる……。貴方は口を固く締めようと口角筋に力を込めるが、刺激を想像してしまいうまく力が入れられない。あのこそばゆさを足の神経が覚えてしまっているから……その刺激の想像だけでくすぐったさを疑似体験してしまう。 「ムフフ……可愛い♥ 足の指がピクピクしながら踊ってるわ♥ これからの刺激が待ち切れないって様子ね?」  決してそうじゃない! と言いたいが、今は口を開けない。口を開けば今度は笑ってしまうかもしれない……。自分があの刺激に耐えられるか自信がない。今までの責めとは比べ物にならないほど易しい責めのはずなのに、この我慢しないといけないというシチュエーションと今までの責められた被虐体験が神経を過敏にしてしまいどうにも耐えられる自信が持てない。 「今度はジワジワこそばしてあげようかなぁ~~♥」  足指の頂上からカカトまでを見下ろす鈴菜の人差し指はしばしの待機時間を置いてやがて動き出す。彼女の言った“ジワジワこそばす”という言葉通りに、縦に一気に一閃を引くのではなく左右に寄り道をしながら爪先で様々な箇所を引っ掻きつつゆっくり下降していく。  反った足の指の関節部を順番にカリカリと引っ掻いたり……それが終わると足指の付け根をほじくる様に強めに引っ掻いたり……。拇指球の膨らみを愛撫するように優しく撫でたかと思えば、土踏まずの最もこそばゆさを感じる神経を意地悪くコソコソと何度も円を描くような触り方を繰り返し、最後にカカトの硬い皮膚を爪先で強く引っ掻き抜いて終点へとたどり着いた。  一気に線を引き下ろすビックリするようなくすぐったさはなく、ゆっくりした動きのせいである程度こそばゆさへの準備ができる状態にあったのだが、刺激の予測が容易にできてしまい急に襲うくすぐりとは違いジワジワとむず痒さが腹の底に確実に溜まっていく。その溜まっていくむず痒さがやがて笑いたい欲求へと変換され、それが蓄積すればするほど貴方の喉元付近まで“笑え”という欲求を押し上がってくる。  貴方のへの字に曲げていた口はやがて波立つように歪んでいき、目尻も垂れ、今にも笑ってしまいそうな顔を形成していく。  今すぐにでも笑ってしまいたい! 足裏を意地悪く焦らし散らしている鈴菜のくすぐりに今すぐ笑いを吐き出してしまいたい! しかし、それを我慢しなくてはならない。彼女の責めの容赦のなさは自分がよく知っている。だからこれ以上彼女のくすぐらせる訳にはいかない。そう思ってはいるのだが…… 「あんたの反応見てると、こういう責めに弱いみたいね? だったらしつこくソコだけを責めちゃおっかなぁ~~♥」  鈴菜は貴方の反応を見て弱点を簡単に暴き、底意地の悪い彼女の性格を体現するかのように彼女の指はソコを中心に責め始める。 ――ツツツ♥ ツツツツ……  彼女の人差し指が降り立ったのは勿論土踏まずの窪み……。そう、彼女の細指に撫でられ貴方が一番体をビクつかせ嫌がってしまった箇所だ。  その反り返った土踏まずの窪みの中心に人差し指を突き立て、ゆっくりと焦らすように小さな円を描くように動き始める。  ピンと引っ張られるように引き伸ばされた土踏まずの敏感な皮膚の上を爪先だけが円を描いてくすぐる刺激はあまりにこそばゆく、貴方はくすぐられる覚悟を持っていたにもかかわらず緩んだ口元から「ぶひゃっっ!!」っと吹き出してしまう。 「あら? あんた今……笑わなかった?」  貴方の吹き出しを聞いた鈴菜はすぐさまくすぐりを止め貴方に問いかける。しかし貴方はそれを“笑った”と認めるわけにはいかず首を必死に横に振って否定する。 「そっ? ふぅ~~ん……なかなかしぶといじゃない……フフフ♥」  貴方の否定にてっきり「笑ったでしょうが!」と大声を張り上げて無理やり笑ったことに仕立て上げるかと思っていたが、貴方の無言の返答に彼女は食いつこうとはせず、逆に怪しい笑いを零しながら責めの続きを行い始めた。  皮膚に触れるか触れないかのフェザーなタッチを続ける指先……その指先で円を描くようにくすぐる鈴菜の責め……。1周するごとに少しずつ円の大きさを広げ、刺激する範囲も広げていくこのくすぐり方に貴方は唯一自由になる首だけを左右に振って必死に声を出してしまうのを我慢しようとする。喉元まで圧迫している笑いたい欲求はもはや押し返すことも叶わず、ずっと喉元に居座り続け今もなお押し上げる力を強めている。まるでパンパンに膨れ上がった風船に無理やりボンベで空気を送り込んでいるかのよう……。貴方は許容量を遥かに超えて我慢し続けているため口元も頬も風船のように膨らませて首を振っている。 「そろそろ……我慢も限界かしら?」  鈴菜はそう言いながら笑をこぼすと円を描いていた指をフッと止める。  貴方は止まったくすぐったさに安堵の息を吐き口奥に溜め込んでいた笑いたい息も一緒に吐き出していく。 「じゃあ……もう焦らすのはやめてあげるわ♥ ほら……ココからは私も本気出してあげるっ!」  薄れたくすぐったさに油断していた貴方に、語気の強まりと共に鈴菜の指が再び土踏まずの部位を刺激し始める。  今度は指先で優しく撫でるような触り方でなく、硬い爪先を突き立てて皮膚に沈みこませそのままガリガリと強く引っ掻く動き。強い刺激に弱い土踏まずの神経をこれでもかと強く刺激していくその引っ掻きは貴方の背筋に強烈なくすぐったい電撃を放電する。  半開きになっていた口からはまたも「ぶひゃひゃっっ!!!」という情けない笑いが吐き出され貴方はその後に続く笑いを必死に口を閉じて押さえ込もうとする。 「アハハ♥ 身体が魚のように跳ねちゃったわよ? おもしろぉ~~い♥ 面白いからもっと暴れさせてあげる♥」  幸いにも鈴菜のジャッジは笑ってはいないと判断してもらえたようで、貴方の吹き出しを問い詰めるといった行動には出なかった。しかしその代わりかはわからないが彼女の引っ掻きは皮膚が赤く爪の跡を残すほど強さを増し、貴方の我慢を簡単に突き破る刺激を加えるようになっていた。  貴方は何度も吹き出してしまう……「ぶひゃっ!?」「はひっっ!!」「んぎひっっ!」など引っ掻きが強まれば強まるほど吹き出す頻度は増えていく。  もはや我慢できていない。笑ってしまっていることは誰の目にも明白だ……。しかし鈴菜はそれを追求しようとはしない。自分自身でさえ笑ってしまったと認めているのに、彼女はくすぐり続けている。まるでゲームであることを忘れているかのように。 「私はこういう風に我慢している奴隷を無理やり笑かす拷問が一番好きなの♥ 命がかかっているから必死に耐えなくちゃいけないって頑張っている人をくすぐって笑わそうとするこのシチュエーション……堪らないわ♥ 緊迫しなくちゃならない場面で無理やり笑わせる行為がいかに倒錯的で私の嗜好を刺激してやまないか……貴方もわかるでしょ?」  貴方は必死に首を横に振る。彼女の言葉を認めない事もそうだが、もはや首を振って気を少しでも紛らわさないと本格的に笑ってしまいかねない。それだけは避けたい。くすぐりに夢中になっている彼女がいつジャッジを辛くするか分からない。だから今のうちに笑いたい衝動を意地でも押さえ込んでおかなくてはならない。それで時間を稼がなくては……。  時間を……?  ……時間??  その時貴方はハッと我に返る。  永遠にも思えるこのくすぐり我慢の時間だったが、例え土踏まずを触り始めた瞬間から時間を測り始めたとしても3分などとっくに過ぎ去ってしまっている。つまり貴方は耐えられたのだ。3分という条件の時間を。  しかし、なのにくすぐりは止まっていない。鈴菜は頬を赤く染めながらくすぐるという行為に執着しきっている。  だから貴方は笑いを我慢しながらも必死に彼女に告げた……「約束の3分は過ぎたのでは?」と。  すると鈴菜はくすぐりを一瞬止め…… 「あぁ、そう言えばまだ計ってなかったわね♥ いいわ、じゃあ今から3分ね?」  あっさりそう言い切ると、また時計を見ようともせず時間など図る素振りも見せようとせず貴方の足裏へのくすぐりを再開する。  指摘した罰だと言わんばかりに今度は指1本ではなく5本全ての指を使って足裏を好き勝手に嬲り始める。  3分という時間を耐えるという条件だけが支えだった貴方に言い放たれた無情な彼女の言葉……。貴方は一瞬呆然となり思考が停止してしまう。そこに漬け込むように差し込まれたくすぐったすぎる刺激に貴方は口を閉じることも忘れ本能のままに笑いを吐き出してしまう。 「あら、だらしないわねぇ~~開始5秒で笑っちゃったじゃない♥ あんたってばそんなに私達に責められたい訳? 本当にヒクぐらいに変態なのね……あんた……」  腰部分のベルトを引っ張り上げんばかりに背中を浮かせようとしながら貴方はゲラゲラと大笑いを口から吐き出す。  我慢していた笑いを全て吐き出さんとするように首を振りながら涎をまき散らしながら……。  貴方はそれでも訴えた。笑い狂いながらも指1本でくすぐる約束だったという事を彼女に訴えかけた。  しかし鈴菜はそんな言葉を聞き入れようとはしない。 「そんな事を言った覚えはないわ♥ だれが指1本だけでくすぐるって言ったの? 私はただ“人差し指の責めに耐えなさい”って言ったつもりよ? ほら今だって私の人差し指は他の指と一緒に責めているわよ? ちゃんと……」  確かに彼女の口から指1本だけという言葉は出ていなかった……。しかし条件を提示する際は指を一本だけ立てていたし、その後も人差し指だけで責め立てていた……。貴方は当然人差し指だけの責めに耐えればいいと思い込む。他の誰であろうとそう捉えるだろう……そのように誘導していたのだから。 「人差し指で責められて笑わなければいいって話なんだから、こういう事をされても文句は言わせないわよ? ほらっっっ!!」  貴方の「理不尽だ!」という主張に腹を立てのか鈴菜は貴方の開かれた両足の間に立ち手を左右に伸ばして両手で両足をくすぐり始める。最初のような愛撫するような優しいくすぐりではなく、貴方を無理やり笑わせ続ける強いくすぐり方で……。 「ほらほらっっ!! 耐え切れなくて笑ってしまったんだったら大人しく私に笑わされなさい!! ここからは地獄を見せてあげるわ♥ 『もう殺してください!』って言いたくなるくらい苦しめてやるんだから覚悟なさい! ほらほらほらっっ!!」  足指の付け根をコチョコチョ、拇指球の膨らみを爪先でガリガリ、土踏まずを5本指すべてを使ってコショコショ、カカトの硬い皮膚を包み込むようにサワサワ、足の側面を焦らすようにナデナデ……様々な攻め方で貴方の笑いたい欲求を引き出す鈴菜のくすぐり。部位によって一番効果が高いであろう触り方をし、時に雑に……時に繊細にと緩急を付け責め立てていく。  今までくすぐられていた足の方は相変わらず高い水準でくすぐったさを感じているが、今まで触られていなかった逆の足は問答無用にくすぐったい。刺激に慣れていない状態での強いくすぐりであったため直接剥き出しの神経をこそばされているかのように異常にくすぐったく、笑わずにはいられない。貴方は嫌がるように首を横に振って笑い悶えていたが、この途方もないくすぐったさに今度は顔を上げられるだけ上げ、ベッドに後頭部をぶつけながら目を見開き笑い狂う。  貴方の笑い声は部屋の隅々にまで響き、壁に反響してやがて自分の耳まで戻ってくる。その無様すぎる笑い声に貴方は羞恥心を煽られその恥ずかしい笑いを少しでも抑えるために必死に口を閉じようと試みる。しかし、鈴菜のくすぐりはそんな貴方の努力をすぐに無に帰してしまう。 「こちょこちょこちょこちょ~~♥♥ 暴れても無駄よ! どんなに暴れても、どんなに嫌がっても私のくすぐりからは逃げられない!! あんたは私がやめない限り笑い狂うのよ! 私にされるがままの無抵抗な笑わされ奴隷人形なんだからっ!! ほらほらっ笑えっ!! もっと笑え!! こちょこちょこちょこちょこちょこちょ~~!!」  様々なテクニックを駆使して貴方を笑わせる鈴菜だが、特に土踏まずをガリガリっと強く引っ掻き回されるのが耐え難くくすぐったい! これをされると今すぐに足裏を隠してしまいたい衝動に襲われるが、拘束されている足は隠すことができない。隠したいけれど隠させてもらえない……そのもどかしさに気が狂う程のじれったさを感じてしまう。  一刻も早くこのくすぐったい責めから逃げてしまいたい……でも逃げることは絶対にできない。  貴方の体は彼女がくすぐり易いように、彼女の為にくすぐったい箇所を曝け出している。自由にくすぐってくださいと無言で主張しているかのように足裏は地を踏みしめず土踏まずはこれでもかと反らされ……。  逃げられない。彼女のくすぐりからは絶対に逃げられない。  貴方は笑い苦しみながらもその事を改めて理解させられた。 「あぁ~~楽しっ♥ 拘束されて無抵抗になった奴隷をこそぐりまわして笑わすのは最高の愉悦だわ♥ もっと笑いなさい! 私のためにもっともっと笑い狂いなさい♥ ほらほらほらほらっっ!!」  鈴菜の細指が貴方の無防備な足裏を気色悪く触って刺激していく。  それは痛みはなく……ただむず痒いだけの刺激……。しかしそれが貴方を苦しめている。ただ痒いだけの刺激のはずなのに……その痒みに貴方は耐えられない。痒みはすぐに“くすぐったい”と脳が変換してしまい貴方を無理やり笑わせてしまう。笑えば笑うほどに息苦しさは増し、貴方に窒息感を植え付けていく。  まるで海の中に引き摺り込まれているかのように苦しい……苦しいけれど笑いが止められない。苦しい……もう笑いたくない……笑いたくないのに笑わされる! 逃げられない足の裏がくすぐったすぎて笑わずにはいられない! 笑いたくないっ! これ以上笑いたくない……だけど……。 「わ・ら・えっ!! ほら、もっとよ!! 笑い狂え!! 休みなんてあげないわ!! あんたはこのまま笑い死ぬのよ!! ほらほらほらっ!! 笑って笑ってお腹がよじ切れるまで笑い果ててしまいなさい!!」  鈴菜のくすぐりは一切容赦がなくて笑いが止められない。このままでは本当に窒息死してしまう……。  酸素が思う通りに吸えない、笑いと共に息が吐き出される一方で肺に酸素が行き渡らない。  苦しい……痛い……苦しい……。  腹が引き裂かれんばかりに捩れる。過呼吸によって普段は感じることもない肺の痛みさえ感じられてしまう。笑い続けた喉も焼けるように痛い。暴れさせようと動かしてきた手首も足首も痛い。首も頭も……痛くて苦しくて辛い!  辛い……辛い……ツライっ!! 身体も心も辛さを訴え苦しんでいる。苦しんでいるのは確かだ。確かなのだけど…… 「はぁはぁ、なぁ~に? あんた……こんなに責められて……興奮してるってわけ? どこまで変態なのよ? さっき抜いてもらったばっかりでしょうに……」  鈴菜に指摘されるまで自分では気づかなかったが、貴方のムスコははち切れんばかりの勢いでそそり立ち、血管を浮き出させながらビクビクと脈打つように勃起しきっていた。  そう……貴方は苦しみながらも興奮してしまっていたのだ。 死ぬほどの苦しみを与えられながらも、その被虐体験が貴方を異常に興奮させ淫欲を高め続けてしまっている。    彼女が言うとおり貴方は変態なのだ……紛れもなく。 「窒息死しようとしてるのに興奮するなんて……本当にどうしようもない変態ね! バカじゃないの?」  鈴菜の口汚い罵声も、貴方の興奮を促進してやまない。 「先っぽから汁が出てるじゃないっ! 汚らしいっ!! 変態っっ!! この変態っっ!!」  むしろ言葉でなじられる方が興奮する……。可愛い見た目の彼女から軽蔑され罵声を浴びせられるのは……何やら背徳的でエロティシズムをどうしても刺激されてしまう。 「殺してやるっ!! こんな変態……一刻も早く社会から抹殺してやるっっ!!」  鈴菜は激しい剣幕でそう語気を強めると再び手を構えてくすぐりの形を取ろうとする。しかしそんな彼女の肩に手が置かれその行為自体は一旦止められる。 「残念だけど鈴菜ちゃん……もう時間よ? 貴女のターンは終わり♥ ここからは打ち合わせ通り“最後の選択”を促さなくちゃいけないわ……」  彼女の肩に手を置きそのように促したのは長女の美咲だった。  長女の言うことに逆らえないのか、鈴菜は構えた手を無言で降ろしていき「そうだったわね」とだけ零して残念そうに貴方の足の間から体を離していく。  今から死ぬほど笑わせ責めにされる……と覚悟を決めていた貴方もその美咲の言った言葉に拍子抜けし目を白黒させてしまう。止めてくれたことに身体は安堵するように弛緩をはじめるが心は複雑で、ヤられたかったような……ヤられなくて良かったような……欲求と別の欲求がぶつかり合うように喧嘩していた。  そんな貴方の困惑した顔を見下ろしながら美咲は屈託のない笑顔を貴方に見せる……。そして……。 「さぁ、私達の気持ちはもう分かったでしょ? 浮気した貴方のことをどれだけ恨んでいるのかも……」  美咲の言葉に貴方は深々と頭を縦に振る。痛いほどに苦しいほどにその思いは伝わっていた。だから“理解した”という意味も込めて縦に振った。 「残念ですけど……それぞれの愛が深すぎて、誰か1人を選ぶとなれば他の2人が貴方を許さないでしょう……勿論私だって許せません! 絶対に……」  彼女の言葉に次女の恵里は深く頷きを見せるが、鈴菜は「別に私は愛してなんか……」と言葉を濁しバツの悪そうな顔をしていた。 「でも選んでもらいます。貴方が本当に想いを寄せていたのは誰だったのか……この場で!」  貴方はドキリとした。  こんな浮気相手が3人もいる現場で真に愛していたのは誰だったのかを告白するという行為は、告白された当人以外から更なる恨みを買うことが確定してしまう。  そうなれば……この無抵抗なカラダに復讐されることは火を見るより明らかだ。 それは誰を選んでも死刑を宣告されているようなもの……当然「全員好きだ」と言おうものなら全員から嬲り殺しにされてしまうことだろう。 選ばなくてはならない……この3人の中から……1人を。 死刑は確定している。誰を選んでも死刑になるのは間違いないだろう……。だったら最後くらい自分の心に秘めていた本音をぶちまけて死刑に臨まないと逆に悔いが残る。 死にたくないというのが本音ではあるが、このような処刑をされるのであれば……くすぐりフェチに生まれた自分としては本望かもしれない。 貴方はそう自分に言い聞かせゴクリと息を呑む。 貴方の顔を覗き込む3人の顔……。 美咲はいつもの優しい笑顔を浮かべて貴方のことを見下ろしている。 逆に恵里は眉をひそめ口を真一文字に結んで貴方のことを不安気に見つめている。 そして鈴菜は腕組みをして少し斜めを向き貴方の顔を正面から覗いてはいない。しかし片目だけ貴方の顔を食い入るように見つめ何やら照れ隠しをするような表情で見ている。 彼女たちの顔を相互に見比べ、そして1度だけ目を瞑った。 もう心の中では誰を選ぶのか決めている。 決めているが言葉を出すのが怖い……。 ほかの2人の反応を見るのが怖くてたまらない……。 でも言わなくてはならない。決めなくてはならない! だから貴方は勇気を振り絞って目を開け……口を開いた。 そして―― A:美咲の目を見て「やっぱり貴方を一番に愛してます!」と告白した。→→#29へ B:恵里の目を見て「君が一番好きだ!」と告白した。→→#30へ C:鈴菜の横顔を見て「貴女の奴隷になりたい! 奴隷にしてくださいっ!」と告白した。→→#31へ

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