Home Artists Posts Import Register

Content

#7 「あの……本当にこのコースでよろしいのですか? くすぐり処刑はかなりキツイコースですけど……」  貴方がこのコースを選ぶとは思わなかったのか受付嬢の美咲は優しめに浮かべていた笑顔を若干曇らせ、心配するかのような低いトーンの声で貴方にコースの確認を行う。貴方は彼女に一言「大丈夫」とだけ答えを返し提示された料金を支払った。 「承知いたしました。では準備のために数分お時間を頂いてよろしいですか?」  その言葉に無言のイエスを頭の縦振りによって伝えた貴方は、受付の隣に設置してあった2人掛けの赤いソファに腰掛け慌ただしくロビーから出て行った美咲を目で追いつつもどのようなプレイになるのかを頭に浮かべた。  無口で感情がイマイチ掴み辛い次女の恵里とロリっぽい容姿でありながら口が汚く生意気な三女の鈴菜……そして優しくも容赦の無い責めを笑顔で繰り出してくる長女の美咲。一人の責めでもギブアップを迫られる責めなのにそれが複数人で行われる……。それはいかなる責め苦となるのか……? 彼女たちの手が無抵抗な自分の体に這い回る想像をするだけで背筋にゾッとした寒気を走らせてしまう。その寒気は期待の表れなのか? それとも未知の刺激への恐れなのか? 拳を握り込んでジッと待つ貴方にはどちらが強いかなど判断はつかない。ただ、そうは言っても胸の高鳴りだけは先程から強くなる一方だ。こうして待たされている時間が……プレイを焦らされているかのようでもどかしく、複雑なドキドキが心音の高鳴りとして現れてしまっている。  まだか? まだ呼ばれないのか? 準備が出来たという声掛けはまだなのか?  貴方は美咲の去った廊下の方を見て急くように思いを心の中でぶつけていく。早く体験してみたい……いや、体験するのはもしかしたら怖いかも……でも責められてみたい。彼女たちに罵られながら無様に笑い狂ってみたい……怖いけど体感してみたい!  そんな貴方の思いを汲み取ったのか、美咲が出て行った扉の方からハイヒールの音が聞こえ始めやがてその音を立てている本人が扉を開けて受け付け部屋へと入ってくる。  部屋へと入ってきたのは美咲ではなく三女の鈴菜だった。  相変わらずの仏頂面に不機嫌そうなジト目……。彼女はそんな目で貴方を睨みつけながらソファへと近づき、乱暴に貴方の手首を掴んで手を上げさせた。  貴方は何が何やら分からず驚きと戸惑いの顔を交互に繰り返すが、そんな貴方に彼女は事情を一切教えてくれない。その代わりに「ちょっと来なさい!」と声を荒げ貴方をソファから立たせ、手を強く引っ張りながら彼女の入ってきた扉へと貴方を誘導していく。  これはすでにプレイの演出なのか? それとも彼女の気に触ることをしてしまったのか? 答えがもたらされない疑問は貴方の脳内でグルグルと渦を巻き始める。  そして【6番】と書かれた部屋の前に連れられると、彼女は「ここへ入んなさい!」と強い口調で貴方に命令し扉を開いていく。  部屋の中はこれまで見てきたどの部屋よりもおどろおどろしく、貴方は部屋の前で思わず息を飲んでしまう。  太くてゴツイ石で造られた20畳ほどの床……同じ石が互い違いに噛み合って加工された壁……光源は壁の所々に配置されているロウソク台の光だけであるため部屋全体が薄暗い。そして壁の至る所には中世の拷問に用いられていたであろう鉄製のムチや刺のついた棍棒、果ては何を切るものなのかも分からないような大きさのハサミやノコギリまで掛けられている。    この光景を見て貴方は顔を青くせずにはいられない。雰囲気だけで気圧されてしまうこの部屋に貴方は恐怖の感情を植え付けられてしまう。 「ほら! さっさと入んなさい!」  貴方が部屋へ入ることを躊躇していると、鈴菜が強引に手を引っ張り貴方の足を無理やり部屋の中へ進ませる。  光源がロウソクだけであったため奥までしっかりは見えていなかったが、扉が閉められ1歩2歩と部屋の中へと入っていくと見えてくる。その部屋の中央には異様とも思えるほど巨大な石のベッドが置かれ、その四方の隅には手や足を拘束するであろう革製の枷が埋め込まれてあった。  巨大なその拘束石ベッドの所々には血を雑に拭き取った感じの跡が有り、その石ベッドの上でどんな凄惨な行為が行われていたのかを嫌が応にも思い起こさせられる。  これがただの演出であれば良いのだが……。貴方は巨大なノコギリと血の汚れを交互に見比べ息を飲む。すると鈴菜が低いトーンで「服を全部脱いでそのベッドに仰向けに寝なさい……」と貴方に指示を出す。  そのあまりに低い声に貴方はビクリと身体をビクつかせ、鈴菜の方を振り返って頭を横に振る。  こんな恐ろしい部屋に通されるとは思ってもいなかった……その思いもこめ拒否の意思を彼女に示したのだが、そんな貴方の気持ちを彼女が汲み取ってくれるはずもなく……ただ冷徹に「いいから脱げ!」とだけ繰り返す。  貴方は渋々靴も靴下も……上着も下着も全て脱ぎ去り、簡素な物置棚にそれを置いて恐怖に縮こまってしまったムスコを手で隠しながら部屋の中央へ恐る恐る歩み寄っていく。  縁が欠け放題になっている無骨な石ベッド……。ベッドと呼ぶにはあまりにも大きく……自然の1枚岩を切り取っただけの物であるかのような乱雑な作り……。気を抜けばベッドの端で手を擦り切ってしまいかねない鋭利さまでも見て取れる。とてもお金を払ってくれた客を寝かせるベッドには見えないこの拘束台だが、彼女は中々あがろうとしない貴方の背中を軽く押しベッドに上がるよう促しを入れる。  ベッドの上に足をつけるとまず石特有のヒヤっとした感覚と石の硬さが足裏の皮膚へと伝えられる。そしてそのベッドに試しにと言わんばかりに座りゆっくりと背中を付けるように横になると、石の冷たさが背筋にも伝わり貴方はビクリと体を反応させて驚いてしまう。  貴方がベッドに横になるや否や、鈴菜は貴方の片足を掴んで強引にベッド隅の枷のある位置まで引っ張り貴方を膝立の姿勢から完全に足を広げて寝た体勢へなるように誘導する。貴方はその誘導に従い握られていない逆の足も枷の方へと伸ばし足を大きく広げた格好でベッドに寝ることとなった。 ――ガチャッ!  貴方の足が枷の上に運ばれると鈴菜は手慣れた手つきで足首に枷を巻き、そしてその枷に付属して付いていた5本の細いワイヤーを手で慣らせて貴方の足に伸ばしていった。5本のワイヤーそれぞれの先端はカウボーイが使っていた投げ縄のような丸い輪っかになっており、その輪っかはそれぞれの“足の指”に掛けられ、まるで犯人の首根っこを縛り上げるように足指の関節部分で輪を縮めてキュッと絞られる。指の関節に少し食い込むように縮められたワイヤーはあなたの足指を拘束し自由に曲げ伸ばしができないよう動きを封じた。そしてそのワイヤー自体も枷の方にある簡易式の巻き取り機に巻かれ、まるで足指を引っ張るような拘束を始める。  貴方の足はこれにより足自体も足の指さえも拘束され、グっと足裏を反って見せるような格好で抵抗できないよう処置される。  足の指1本1本全てそのように拘束し終えた鈴菜は次に貴方の左右の太もも部分にもベッドに備え付けのベルトをキツく巻き下半身を一切動かせないよう拘束を進めていく。  湧き上がってくる不安……。拘束が本格化していくたびに貴方の焦りは加速していく……。これは本当にくすぐりプレイの店なのか? ここまで本格的に拘束をする必要はあるのだろうか? 実は店であると言うのは表向きで……本当は裏で非道な実験や拷問なんかをヤっているのではないだろうか?  様々な憶測が脳を駆け巡り貴方の心を追い詰めていく。  足は完全に動かせない……。でもまだ上半身は動かせる!  そう思った貴方は上半身を起こして、拘束しようとする鈴菜に抵抗を試みようとする。しかし…… 「……ダメです……大人しく拘束されないと……」  いつの間にか貴方の頭上に歩み寄っていた次女の恵里がモノを見るような冷たい無表情で貴方の肩を掴んで強引にベッドへ寝かせようとする。女性の力ではあるのだが彼女の力は思った以上に強く、貴方は再びベッドに背中を付け寝かされてしまう。  恵里の手は機械のように冷たい……。それを感じ取った瞬間、ガチャリという音ともに腹部までもベルトで拘束されてしまう。こちらもキツく巻きつけられてベッドに固定された為、上半身を起こすことも叶わなくなってしまった。いよいよ後は手だけ……。手だけは拘束されたくない! その思いで貴方はムスコを隠すことも忘れ腕を胸の前で組みそれを引き剥がそうとする恵里と鈴菜の引っ張りに抵抗する。女性二人の力に抵抗しようと貴方は必死に腹に力を入れて力むが…… 「あらあら? そんなに力んじゃって……もっと力を抜かなくちゃ拘束できないじゃないですかぁ♥」  暗闇からスッと姿を現すように貴方の横に歩み寄ってきた美咲が楽しそうに指をワキワキさせながらベルトを巻かれた貴方の腹部に手を近づけてくる。そして…… 「力を抜いてください? ほ~~ら こちょこちょこちょ~~♥♥」  胸の前でクロスするように腕を組んでいた為がら空きになっていた貴方の脇腹をムニムニと揉みほぐすようにくすぐり始める。その突然の強制的なむず痒さに貴方は思わず「ぶふっっ!!」と吹き出し、ゲラゲラと部屋の雰囲気に似合わない笑いを零してしまう。食い込むように差し込まれた細い指先が脇腹の薄肉をグニグニと揉みほぐしていく刺激は貴方を無理やり笑わせると共に、全身の力を弛緩させてしまう。笑ってしまい力が入らなくなってしまった貴方は腕にも力が上手く入れられなくなる。その隙を付くように恵里と鈴菜は貴方の手をいとも簡単に上げさせ貴方を万歳の格好に仕立て上げる。そして間髪入れずに手首は革枷が巻きつけられしっかりとベルトを締られ、とうとう貴方の手首もベッドに磔られてしまい完全に身動きが取れなくされてしまう。  手首の拘束を終えた2人は更に追い討ちをかけるように肘の関節部分にも備え付けのベルトを巻きつけ拘束を強化する。これにより足、手はもとより……上半身、下半身の単位で身動きを封じられ貴方はベッドに寝かされた状態で完全に拘束されてしまう。  貴方の拘束が終わると美咲のくすぐりも止まり、くすぐっていた格好のまま手がそのまま離れていく。  そして受付にいた時の緩い笑顔を貴方に見せると体を起こし貴方の顔の横の位置までゆっくり歩いてみせる。岬に合わせ拘束を終えた恵里も相変わらずの無表情を崩さず貴方の焦っている顔を上から見下ろし、同じく鈴菜も恵里とは反対の位置から貴方を見下ろし「良い気味」と言わんばかりの息を一つ零して怪しい笑みを浮かべる。 「さて……ちょっと窮屈かもしれませんけど、貴方をこういう風に拘束したのには意味があります……」  恵里の隣でニコリと笑顔を向ける美咲は、ゆっくりと貴方に言葉を紡ぎ始める。 「貴方は当店のコンパニオン全員と関わり、そしてプレイを行いましたよね?」  彼女の言葉に貴方はうんと頷く。 「その中で……彼女……次女の恵里が貴方に特別な感情を抱いてしまったというのはプレイの中で気付いていたでしょ?」  美咲の言葉が少し重みを増していく。声の抑揚が抑えられ貴方に徐々に重圧をかけるような口調へと変化していく。 「勿論……私の気持ちも気づいていたんでしょ? 擬似的な彼女という役でありながら最後まで耐えた貴方に密かな思いを抱いたことを……」  貴方は答えられない……。気付いていなかった訳ではないが、それは店の演出だと思っていたのだから……そういう風に割り切っていたというのが正直な答えだ。 「それに三女の鈴菜だって……」  そう言いかけると、鈴菜はニヤついていた顔を真顔に戻し言葉を挟む。 「私はこんなやつ好きだなんて思ってないわよ? ただ……私との奴隷契約は続いているわけだから、他の人に好意を向けているんだったら許せないわね……。飼い犬が飼い主に懐かないみたいな、ムカつく気持ちにはなるわ……」  真顔になった鈴菜は事情のわからない貴方をキッと睨みつける。それを「まぁまぁ」となだめる美咲は彼女に代わり話しを続ける。 「貴方は私達三姉妹に気を持たせた……。でも貴方は私達の誰にも好意を示さず、あまつさえ私達全員に責められたいと贅沢なオーダーを出しましたよね? それ……ちょっとズルいって自分でも思いませんか?」   「あんたは私の奴隷なんでしょ? だったら私だけに尻尾を振りなさいよ! 他の女にうつつを抜かす暇なんて無いはずよ? そうでしょ?」 「私も……。貴重な被検体に逃げられる事は避けたいです。それに私だって貴方のこと……」  美咲と鈴菜に加え無口なはずの恵里さえも貴方の顔を見て目を潤ませ悲しそうに言葉を紡ぐ。貴方はその3人の言葉にうっすらとこの拘束の意図を感じ始める。 「貴方のようにフラフラと気分次第で色んな女子の好意を弄ぶ人の事……古代ローマではどんな仕置をしたと思います?」 「こんな風に素っ裸にされて身動きひとつ取れないようにされてヤられることって言ったら一つしかないけどね……」 「姉さん? 古代ローマ史に……そんな記述……ありましたか?」 「アハ♥ 恵里は真面目ねぇ~~♥ 無くても有ったことにして問題ないんですよ? 言わなきゃバレないんですし……」 「そうそ♥ こんな不真面目な奴に正論なんてぶつけても効果はないわ。それよりももっと効果的で致命的な調教手段があるじゃない♥」 「そう……ですね……。色々とハッキリさせたいですし……実験のサンプルになるでしょうし……これで責めるのが一石二鳥かもです……」 「っと言う訳で♥ これから貴方のその浮ついた性格に我々3人で罰を与えたいと思います♥」 「勿論、どんな罰を与えられるのか分かっているわよね? 私達のことを知っているのなら……」 「今日は……ちょっと手加減なんて出来そうにありません……。申し訳ありませんが……覚悟しておいてください……」 「ウフフ♥ 私も彼氏だからって手加減は出来ないなぁ~~♥ なんせ……浮気以上に私のことを傷つけたんですから……」 「それは私も同じよ! 私だけの奴隷になるって誓ったのに……誓わせたはずなのにっっ!! 絶対許さない!!」 「今回は実験ではないので……命の保証は致しません。ご了承くださいね?」  この言葉を言い終えるとともに無表情がデフォであるはずの次女が口角を僅かに上げニヤリと笑う。それにつられて長女もウフフと上品に笑い、三女もさもこの状況が楽しんでいると言わんばかりにアハハハと豪快に笑う。 貴方だけが笑っていない……。とても笑えるような気分ではない。    これはプレイなのか? それとも……本気でそう思っているのか? もはや分からない。彼女たちの目が……冗談などではなく真剣そのものであることが貴方を惑わしていく。  これは本気ではなくプレイの一環なのだと何度も言い聞かせるが、胸のザワつきは収まらない。嫌がる貴方を無理やり拘束した彼女達が本気であるかのように思えてならない。これはプレイでなく……本気なのではないかと……。 「それじゃあ……順番に彼への制裁を加えることにしましょう♥ まずは……長女の特権で私から責めさせてもらおうかしら♥」 「えぇ~? ずる~~い! 私が最初に死ぬほど苦しめてあげたかったのにぃ~~」 「私だって……最初に確認したかった……」 「大丈夫♥ ちゃんと貴女達にも責めさせてあげるから♥ でもほら……貴女達が最初にヤっちゃったら……壊してしまうかもしれないでしょ? 最初っから……」 「アハハハ♥ それは言えてる♪ 今の私たちってばミサ姉みたいに手加減出来そうにないもんね?」 「私は……もう……自分でもどうなるか分かりません……」 「私だって手加減なんてしないわよ? 出来そうもないですし……。ただ……」 「最初だから壊さないようには……努力するわ。壊さないようには……ね♥」  貴方の傍から次女と三女がスッと離れ……暗闇に消えていく。  そして貴方の顔を覗き込んでいるのは彼女だけとなった。  長女の美咲……。  光源の少ない部屋のせいか……それとも彼女の底意地の悪さがそうさせているのか分からないが、その顔は笑顔であるにもかかわらず何か得体の知れない影を帯させていた。  これから彼女がナニを貴方に行おうとしているのか? その表情はそれを暗に伝えてくれる。  貴方はゴクリと息を飲みその笑顔から目を離せなくなる。  彼女が自分から動き出すまでは……。 →→#26へ

Comments

No comments found for this post.