Home Artists Posts Import Register

Content

♯5 「はい、2番の『機械くすぐり実験』ですね? では次女を呼んできますので少々お待ちを……」  貴方が希望を伝えると美咲はニコリと微笑みを返しながら奥の扉へ歩いて行った。そして数分程カウンター越しに待っていると奥の扉がガチャリと静かに開き一人の女性がゆっくりと姿を現わす。 「貴方が……今回の被験体の方……ですね?」  肩にかからない程度まで伸びた綺麗な銀色の髪。片目が隠れるほど伸びた前髪を左右分けした独特の容姿と所々が染みの滲んだ不気味な白衣姿、そして下から響く静かな威圧感のある声に貴方は思わず息を呑む。  前髪に隠れていない右目は人間の目とは思えない程赤く、カラーコンタクトなのか地の色なのかの判断も出来ない。そんな狂気を孕む赤い目は貴方を人間としてではなく何か他のモノを見るような表情でジットリと見つめている。 「私は……今回、稼働実験の為に派遣された技術スタッフ兼観測記録者の“恵理”と申します。今日はよろしくお願いいたします」  淡々と間を空かせながらゆっくりと喋る口調は語尾に抑揚が無く、まるでロボットと話をしているかのような錯覚を与える。容姿もさることながら口調さえも冷たい……受付に居た優しそうな美咲とは大きなギャップがあり、貴方はそのギャップに不安の悪寒を背中に何度も走らせた。 「さぁ、マシンの準備は出来ていますので……どうぞこちらへ……」  緊張する貴方の顔を生気のこもっていない片目で見つめ続ける恵理は、スッと片手でドアの奥を指し示し貴方を廊下へと静かに誘導する。  貴方はゴクリと息を呑み、その誘導に従ってプレイルームへと繋がる廊下へ歩を進める。  貴方より少し背の低い白衣姿の恵理がバインダーを胸に掲げながら背筋を伸ばし一定のリズムでコツコツとハイヒールを鳴らしながら廊下を歩く後ろ姿は、何やら無機質な冷たさを感じずにはいられない。普段なら白衣の襟から覗く細いうなじを色欲まみれの目で見てしまう所なのだが、この無言で歩いていく彼女の後ろ姿を見ていると不安しか湧き上がって来ない。処刑台に歩かされている死刑囚のような……嫌な寒気が貴方を包み込む。廊下の空調はキチンと稼働しており適切な温度を保っているのにもかかわらず貴方は震えるほどの寒気を感じている。そして若干の後悔を禁じ得ない……。他のコースにしていればよかったのでは? ……などと頭の中で自問自答してしまう。 「こちらの部屋です。中へ入られましたら服を全て脱ぎ、カーテンの奥のマシンへ乗り身体を預けてお待ちください。すぐに実験を始めますので……」  一番奥の部屋へと先導した恵理は背中を向けたまま貴方にそのように促した。  貴方は開かれた扉の中へ恐る恐る足を踏み入れ中の様子を伺う。  貴方の目には真っ白な壁に囲まれた広さ10畳ほどの部屋が映る。家具も装飾品も……窓さえもない殺風景な白い部屋。唯一あると言えば、部屋の中央の一部を間切っている白いカーテンが何かを隠すように掛かっているくらい……。それ以外は何もない、これまた無機質を象徴する様な部屋が彼女の部屋だった。 「服を脱がれましたらその籠に入れてカーテンの中へ入ってください。私はそちらでお待ちしておりますので……」  扉を静かに閉め部屋の中へ入った恵理は、部屋の角にポツンと置かれている丸みを帯びた籠を指差し軽いお辞儀をしてスタスタとカーテンの奥へと消えていく。  貴方は言われた通りに全裸になり服を籠の中に収め一糸纏わぬ格好で前の大事な部分を隠しながらカーテンをゆっくり開いていく。そこには医療現場に置いてあるかのような器具が設置されており、その横にはバインダーとペンを持った恵理が貴方が全裸の格好で入ったにもかかわらず眉ひとつピクリとも動かさず静かに立っていた。  まるで歯医者の治療台のようなリクライニング式のチェア……貴方の最初の印象はそのような感想だった。  車のシートを僅かに倒して斜めにした座席に産婦人科の分娩台のように脚を開かせて乗せる台が下にくっつき、腕を万歳の形に拘束する為であろう腕置きが座席の枕付近から2本真っ直ぐに伸びている。拘束台を支える台座には様々な配線が剥き出しに繋がっていていかにも機械である事を主張するかのような存在感を醸し出している。  貴方はそのマシンに恐れの感情を抱きつつも促された通りにマシンに腰を落とし、足を妊婦のように山なりに開かされ脚置きに足を収め緩いM字開脚のような格好にさせられる。  そして恥ずかしさから貴方のシンボル隠していた手も恵理に促されゆっくりと万歳の格好へ変えていき、背中を座席のシートに落ち着け、手も腕置きの形に沿って合わせていくと……やがて情けない格好で無防備に身体を晒け出した貴方が出来上がる。  不安から縮み込んでしまった男根を隠すことなくバンザイをし、脚をM字開脚で開かされた格好で座らされた全裸の貴方……。そこはかとなく羞恥の感情が込み上げ、顔が火照ってしまう。 「では……拘束します」  そんな貴方の恥ずかしさなど気にも留めない恵理は、あくまで業務的に……作業的に次の工程へと淡々と進んでいく。 ――ガシャ! ガシャガシャ!!  恵理がタブレット型のコントローラーの画面を指でいじると、瞬く間に貴方の手足が金属製の枷に拘束されていく。  手首の部分から飛び出した丸い枷が自動的に貴方の手首を拘束し、足首の部分から飛び出した枷は貴方の脚を拘束する……。そして身体を起こさせないようにする為か腹部にも金属製のベルト状の枷が飛び出し、少しキツ目に腹部を圧迫して台に押さえつける。四肢と腹部を拘束された貴方は試しにと言わんばかりに手足や上半身を起こしてみようとするが、手足はもとより上半身を捻る事さえもままならない。完全に拘束台に抑え込まれた感じに拘束されてしまっていて身動き一つとれなくなってしまった。  完全拘束されてしまった貴方は更に不安の色が濃くなっていく。その自分の無防備さと恵理の冷たい眼差しが余計に貴方の不安を煽り額に冷や汗を滲ませてしまう。 「さ、て……」  貴方を拘束し終えた恵理はそのように小声を零すとゆっくりと貴方の顔を覗き込む。貴方はその冷ややかな視線と声に心臓をドクンと1度大きく呼応させた。 「貴方にはこれから、くすぐり処刑用マシンの稼働実験被験者となって貰います……」  表情一つ変えない小さな口から“くすぐり処刑”という物騒なセリフが零れ、貴方は再びドキリとしてしまう。 「報酬は募集要項に記した通りですが、途中で『ギブアップ』する事で実験を中断する事も出来ます。その場合正規の報酬は支払われませんので悪しからず……」  貴方は彼女の業務的な言葉にウンウンと頭を頷け無言の返事を返す。恵理はその様子を見て眉をピクリともさせずに次の説明を口から零す。 「稼働実験は1時間の予定です。レベルは1~3の三段階あり、レベル1は焦らしモード……レベル2は本格拷問モード、レベル3が処刑モードとなっております」  レベルに応じてくすぐりの強さが変わるのは想像できていたが、改めて“処刑モード”という物騒なワードをその淡々とした口調から聞くと余計に不安が増してしまう。特にこのように無防備な状態にさせられていると尚更……。 「貴方にはレベル1から順番に被験していただき、人間の身体がどのような反応を見せるのかをデータとして採取していこうと考えています……。ですのでなるべく素のリアクションで応えてくださいね?」  素のリアクションとは演技していないリアクションの事だろうけど……果たしてこんな格好にさせられて演技をする余裕などあるのだろうか? そのような心配は杞憂なのでは? と言葉に零しそうになるが、そこには触れず貴方は大きく頷いて返事を添えた。 「では……レベル1だけですが被験者の貴方に部位を選択する権利を与えます。責められたい箇所は“ワキ”がよろしいですか? それとも“足の裏”がよろしいですか? 選んでください……」  レベル1だけは選択が出来る。そう説明を受けた貴方はその問い掛けに…… A:“ワキ”をやって欲しいと万歳している腋の部位を見ながら返答する。→→#12へ B:“足の裏”をやって欲しいと自分の足指を動かして見せながら返答する。→→#13へ

Comments

No comments found for this post.