Home Artists Posts Import Register

Content

#28  七穂が予約を入れていたホテル最上階の部屋……そのホテルでは最上階のフロア全ての部屋をSMプレイ用に貸し出しており、カップルのどんな細かい要求でも満たせるよう部屋ごとに様々な特徴やコンセプトを持たせた部屋作りが成されていた。  例えば、今回七穂が用意してもらった部屋……この部屋はその昔世界で実際に使われていた拷問器具を精巧に模した物が数多く配置されてあり、器具の中には扱い方を間違えれば怪我を負ってしまう恐れがある事から各種注意書きが張られているほど本物そっくりに作られた拘束器具も存在していた。  部屋の中に入ると、客に挨拶するかのように青黒い壁紙に真っ赤な血飛沫風の模様がそこらかしこにデザインされた壁が出迎え、照明も暗い緑や濃い紫などのダークな色調の光をスポットライトの様に照らして雰囲気を盛り上げてくれている。  まぁ、盛り上げてくれるのは攻め手側の七穂のテンションだけであり……受け手のあなたにはこの部屋が処刑場の様に見えるだけで気分の一つも盛り上がらない。  目につくものどれをとってもおどろおどろしく……部屋の隅に置いてある鉄の処女に始まり処刑用のギロチン……電気椅子と通電装置……椅子に針のような物が満遍なく生えている痛そうな拷問椅子などなど……  殆どの物が作り物であり、本物ではないと分かってはいるのだけど……部屋の薄暗さも相まってそれらの拷問&処刑器具が本物以上に不気味に映ってしまう。  あなたは恐る恐るそれらの拷問器具が本当に模造品であるかを確かめるべく近くによってそれらを見てみる……  すると確かにそれらが本物を“模して”作られた物であるという証拠が所々に見つかってあなたを多少なりとも安堵させてくれた。  鉄の処女の内側にびっしり生えている針は銀色のゴムで出来た偽物であり、針の生えた椅子も同様に針の部分はゴム製で殺傷能力など無かった。  電気椅子もそもそも通電できないよう配線が切られていて、スイッチをオンオフしても動作しない。ギロチンに至っては持ち上げられていた巨大な刃は勿論ゴム製で首などに落ちても切れないようになっているし、そもそも刃の落下はほんの数センチくらいしか落ちない為万が一にも首にその刃が当たる事も無いようデザインされている。  しかしながら椅子に関してもギロチン台に関しても拘束だけはしっかり出来るように造られている為、処刑や拷問の“雰囲気”は味わえるのは確かだが命に危険が及ぶことはどうやら無いようだ。  まぁ当然と言えば当然なのだが……これらの道具達は、そういう雰囲気をロールプレイして楽しむための物であり、本当に命を脅かしながらプレイするようなものではないというのが確認できた。  見て目のインパクトがかなり強かった為に初見は驚いてしまうが……こうして身の安全が確保されていると感じると怖いと思えていたこの空間が不思議とエロティックな空間に見えて来るから困ったものだ。  これからこの部屋で七穂にどんな仕置きを受けさせられるのだろう……?  どんな器具を使って拘束するつもりなのか……そしてどんな仕置きを行ってくれるのか……あなたは不安が取り除かれたことで彼女から行われる罰に対しても不安よりも期待の感情が昂ってしまい、全身に熱いモノが湧き立っていく感覚を覚え始めていた。  そんな罰を罰とも思っていないあなたに七穂が満面の笑みを浮かべたまま指を差し、ココへ来るようにと指示を出してきた。 「今日はコレを使って先輩の事イジメちゃおうと思いますので……早速ですが、上半身裸になってこの上に寝てください♥」  七穂が指差した台は、中世の時代に拷問と拘束を目的に使われていた“ラック”という拘束台だった。  一見……やたら大きな石ベッドが置いてあるだけの様に見えるが……実はこのベッドには仕掛けが施されてある。  ベッドの下部には両足を揃えて拘束する為の足枷がベッドに備え付けられていて、そこに足首を入れてベルトを締めると両足を揃えた格好のまま動かせなくなる。  そして、ベッドの上の方には同様に手を拘束する為の枷が存在する。  両手を頭上に真っすぐ万歳の格好にして、この枷に手首を入れてベルトを締めると足同様に動かせなくなるのは同じだが……この手枷は対象の手を拘束するだけに留まらない。手枷は実は上下に稼働できるような仕組みが施されていて、ベッドの内部に備わっているレールとベッド横の手回し式のハンドルを介して、拘束した手を更に上方向へと引っ張る事が出来るようになっている。  脚の枷はベッドに固定されているのだから、手の枷が上へ上へと巻き取られれば当然手や身体が限界以上に伸びきってしまい……それ以上に巻き取れば身体は引き裂かれるかのような痛みを味わう事となる。  その当時であれば痛みと恐怖を植え付けつつ聞きたい情報を吐かせるといった拷問として成り立っていたが、このようなホテルの一室でそのような危険な行為を行える筈もなく……ハンドルを回す事は出来るが限界以上に回せないようしっかりと調整が成されている為身体に害が及ぶことはない。  っと、説明書きにはその様に書いてあった。  ならばこれも安全だろう……と再び安堵したあなたは、七穂の指示に従って上着とシャツを脱ぎ……上半身は裸……下半身は裸足にジーンズ姿となりその石ベッドに横たわる事となった。  上半身だけとはいえ胸部の肌を彼女に見せるのは少し抵抗を覚えたが……あなたが着替えている最中に七穂の方も脱衣所で着替えをしてきた様子で、先程まで着ていた服とはまるで違う着衣であなたの前に現われあなたの目を喜ばせる結果となった。  ホテルにチェックインするときに何かしらの衣装一式を受付で受け取っていた七穂だったが……その衣装はホテル側がサービスで貸し出しているコスプレ衣装だった。  七穂はその衣装も予約の中に入れていたようで……持ち込んだその衣装に着替えてあなたの前にお披露目してくれたのだ。 「じゃ~~~ん♥ ピンクのナース服♪ どうです? 本物の看護師さんみたいで可愛いでしょ?」  薄ピンクのスカートにいかにも医療用に作られたであろう薄ピンクの上着……頭にはナースキャップを被り首には聴診器らしき玩具も掛けられている。  恐らく本物ではないのだろうが……しかし、本物と遜色のない精巧な衣装であるのは間違いなく、七穂がそれを着て聴診器を構える仕草を見せると途端に本物の看護師の様に見えてしまいドキリとさせられてしまう。  その見事なコスプレ姿を見れば自分の恥ずかしさなど何処かへ吹き飛んでしまう位に興奮が高まってしまい……あなたは思わず七穂に抱きつきたくなる衝動に駆られてしまう。 「ほ~ら、患者さんは大人しく手術台に寝ないとダメじゃないですかぁ~♥ さぁさ、手術を始めますから仰向けに寝てください?」  手を広げて抱き締めようとしてしまうあなたに、七穂は役に入り込みつつあなたを台に寝るよう促していく。  可愛いその姿を包み込んで抱擁したいと欲したあなたの意思はその言葉によって防がれ残念な気持ちに苛まれてしまうが、七穂に優しく身体を支えられ台の上に丁寧に寝かされるというサービスを受けると……それはそれで悪くはないと思い直し、あなたは七穂の誘導に従って石ベッドの上で万歳の格好をしつつ七穂の次の行動を待った。 「はぁい♥ それじゃあ……手術の前に足を拘束しますね? 手術中に思わず蹴る様な動きをされると危ないですから……拘束はしっかりとさせて貰いますよ~♥」  七穂はその様にあなたに告げると、揃えた両足首に素早く枷をはめしっかりとベルトを締め脚の自由を奪った。 「さて、次は手です……。手もしっかり拘束しないと暴れて怪我をしてしまいますからね♥ コッチもしっかり拘束させて頂きます~」  脚の拘束を終えると今度は手の方へと移動し両手の手首にも枷をはめてベルトをきつく締めていった。  そして、まだ万歳の格好に余裕のあるあなたの腕をしっかり伸ばし切ろうとベッドの横に設置されてあった手回し式のハンドルの方へと歩み寄り、あなたに向けて不敵な笑みを浮かべながらそのハンドルをゆっくり回し始めた。 「少~しだけ突っ張る感じになるかもですが……我慢してくださいねぇ? これも患者様の安全を考えてやる事なんですから……抵抗しようとしてはいけませんよぉ?」  キィ、キィ……とハンドルを回す音が鳴り始めると、あなたの手を拘束している枷が少しずつ上へ上へと動き出していく。それに伴って、万歳の格好をしていたあなたの腕は更に枷に引っ張られる様に伸ばされていき、とうとう腕や腕の付け根……身体の側面やらワキのラインがピンと引っ張られる痛みでピリピリと僅かな痺れを覚える程腕は伸ばされて行ってしまった。  流石にこれ以上伸ばされたらピリピリするだけでは済まされず引き裂かれるような痛みに変わってしまう……と思えるギリギリの所でハンドルは回らなくなったようで、七穂はそのギリギリの状態を維持するようハンドルにロックを掛けあなたの身体を限界まで伸ばし尽くす格好を強いた。 「は~い……コレで準備完了です♥ どうです? 腕を曲げたり脚を広げたりも出来なくなったでしょう?」  七穂の言う通り……足を動かそうにも足首を少し捻る事くらいしか動かせず、腕を曲げるどころか手首を曲げる事も出来なくされてしまっている。  安全に配慮した設計になっているとはいえ……まさかここまで身体を限界まで引っ張る拘束になるとは思いもよらなかった。  何もしなければ痛みはギリギリ無いが、少しでも手や足で抵抗しようとすればすかさずそれが痛みに変わって警告をあなたに下してくる。これ以上動かせば身体が傷つくぞ……と、可動の限界を痛みであなたに訴えかけて来る。 「これから先輩には手術を受けて貰います♥ 先輩の身体には、悪~い“ビョーキ”が蔓延っているようですからね。そのビョーキを私が取り除いて差し上げます♥」  七穂は一方的にそのように告げると、ソファーの上に置いてあった紙袋を開け中からジャラジャラ音のする何かを取り出し始めた。 「先輩が患っている病名は“我慢出来ない病”です。私があれだけ忠告したにもかかわらず手を出してしまったのですから……そういう病気に罹っているとみて間違いないです」  その紙袋は、最後に訪れたあの雑貨屋で購入した時に包んで貰った紙袋だった……  そして雑貨屋で七穂が購入したものと言えば……勿論…… 「これからそのビョーキを治すために私が徹底的に先輩……いえ“患者様”の事をコレで手術してあげます♥ 死ぬほど苦しい思いをする事にはなるとは思いますが……今後の患者様の為ですから、我慢してくださいね?」  あなたの事を“患者様”と言い直した七穂が手にしたものは、あの時頭に刺し込まれおぞましい程の嫌悪感を生んだ……あの“ヘッドマッサージャー”だった。  彼女はそれを両手に1本ずつ持ち、ワザとらしく脚部分が擦れるよう振ってジャラジャラと音を鳴らし煽ってくる。  今度はこの脚を頭ではなく、その伸びきった身体の方に差し込んでやる……と、言わんばかりに、あなたの上半身に狙いを定めながら……  →#29へ

Comments

No comments found for this post.