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#13 眼鏡・コンタクトショップ  店に入ると、多種多様なメガネのデザインがディスプレイされた棚が等間隔に店の奥まで伸びており、コーナーごとに様々な趣旨や用途に合わせたメガネの置かれている様子が目の前に広がる。  PC作業用のシンプルなメガネ……運動中にも目元からズレないしっかりした作りのメガネ……薄い色のついたサングラス、フレームがお洒落な普段使い用のめがねなど棚ごとに毛色の違う用途が選べるよう工夫された配置に棚は置かれていた。 「せぇ~んぱい♥ これどうですか? このメガネ私に似合てると思いませんかぁ?」  七穂は複数ある棚の中から、お値段は張るがお洒落で軽いフレームの揃った棚へと向かい、早速手元にあった赤い縁の眼鏡を手に取って掛けて見せた。  七穂の掛けたメガネは上部にフレームの無いアンダーリムと呼ばれるタイプのメガネで、レンズの下側はフレームによって支えられているが上側はフレームがない為レンズ開けた溝に細いワイヤーを回してフレーム代わりに支える仕組みのメガネとなっている。  このメガネの利点は上部分のフレームが無い分野暮ったく見えず、顔をスッキリして見せる事が出来る。そしてフレームが半分だけである為軽く、耳も痛くなりにくい……  普段は実年齢より二つ三つ若く見られがちな童顔な七穂だが、このようにメガネを着けてキリっとした表情を見せると、年相応か少し年上っぽい印象を持てるし……何より少し賢そうに見えてしまう。  別に彼女が普段から賢そうに見えないと言いたい訳ではないのだけど……メガネ姿を見せる事が殆どない彼女が突然このような知的に見える道具を装着すると、普段とは違った雰囲気になってドキッとするものである。  今も……片手でメガネの端を軽く持ち上げる仕草を見せつつ、自信あり気に感想を求めてくる姿を見ていると、その何とも言えないギャップに心を撃ち抜かれそうになってしまう。  正直、可愛い……というチープな感想しか浮かばないが、それを言葉にしてしまうと何も考えていないんじゃないかと言われかねない為、あなたは「いつもよりも賢そうに見えるよ」と冗談交じりに彼女へ返してあげた。  その言葉に子供っぽく頬を膨らませあなたを睨み始めた七穂は、あなたを下から覗き込みつつそのムッとした顔を突き付け…… 「ムゥ~~~! それじゃあ先輩は私の事いつもは賢くないって思ってるって事ですね? あぁそうですか、そう思ってたんですか……ふぅ~~ん!」  と、予定調和的な怒り方をして見せ、掛けていたメガネを外してそれを今度はあなたの顔にはめようとする仕草を取り始めた。 「そんな事言うんだったらさぞかし先輩は賢そうに見えるんでしょうね?」  ムッとした表情を浮かべたままメガネの鼻掛け部分を摘まんであなたの顔へメガネを近づけて来る七穂……  あなたはその仕草を見て表情ではなく別の部位が視界に入りドキリとさせられてしまう。  あなたの顔へと手を伸ばす七穂……彼女は身長差のあるあなたの顔に手を伸ばそうと必死に右腕を伸ばしている。  腕を上げれば……当然それと同時にあの箇所も無防備に開いてしまいあなたの眼下に晒される事になる。  そう……七穂のあの柔らかそうな……ワキの部分が。  袖の無い黒色のポロシャツ……その肩袖からは彼女の美しいワキの白い肌が惜しげもなくあなたの目の前に晒されている。  今まで腕を降ろし曲げる姿勢を取っていた為か控えめに伸ばしているそのワキには複数の横シワが寄っていて彼女のワキの柔らかさをこれでもかと見せつけている。  香り立ちそうな近さに差し出された彼女のワキ……あなたはそれを見て、一気にあの衝動を頭の中に奮い立たせてしまう事となる。 『七穂の柔らかそうなこのワキを……触りたい!』  近づいてくるメガネのフレームなど気にも留めず、七穂の可愛らしい怒り顔も見ようともせず、ひたすらにその……手を伸ばせば簡単に触る事も出来る彼女のワキに視線を送り続けるあなただが……  その触りたいという衝動は、メガネが顔に届くと同時に覚めてしまう事となる。 ――グサッ!  っという様な大袈裟な音はしなかったのだけど、そのような擬音が鳴ったかのようにあなたの顔にはフレームの先端が刺さってしまい、丸みを帯びているとはいえその突然の刺激にあなたはビックリして痛がる仕草を思わず取ってしまう。 「おっと……ごめんなさい! まさか先輩がメガネの位置に顔を合わせてくれないとは思ってもいなくて……そのまま着けようとしちゃいました」  大袈裟な仕草を取ってはしまったが、フレームの先端は誤って刺さっても痛くないよう丸い樹脂に覆われている為痛みはなかった……。この様に大袈裟に驚いてしまった原因は、ワキに見惚れていて意識がそっちに行っていて虚を突かれてしまった為であり、決して刺された痛みが原因ではない。  そして、メガネのフレームが刺さってしまった原因も、メガネを掛けようとしていた彼女に対してワキに夢中で顔の位置を合わせにも行かなかったという所に責任がある。だから彼女を責める事も出来ない…… 「先輩ってば……今……メガネとか私の顔とか見てなかったでしょ? それよりも……こっちの方が気になって全部の意識が行ってたんじゃないですかぁ?」  メガネを遠ざけながらもまだ腕を上げたままにしてくれている七穂は、そのように意地悪な顔で言いながら反対の手で自分の腋を指差してあなたの意識を再びそこへと向かわせる。  少し腕の位置は下がりワキの開きは狭まってしまいはしたが、指差しの先にはまだあの七穂の可愛いワキが視界に入ってくる。  自ら自分のワキを指差してあなたに見て貰おうとしている辺り、彼女の小悪魔な一面が見え隠れしているのが分かるが、あなたはその差されたワキを生唾を呑みながら堪能し、彼女にその通りだと言わんばかりの頷きを返す。 「やっぱり! もう……ほんと先輩は……変態さんですよねぇ~~♥」  その様に言うと、七穂はあなたに更にワキを見せようと腕を上げようとして見せるが…… 「……フフフ♥ やっぱりダ~メ♪ コレ以上は見せてあげません♥」  と零し、彼女は無慈悲にもワキを隠すように右腕を下げて腕を腋に密着させあなたの視線からワキをガードしてしまった。  腕が上がると同時に高められた期待感も、七穂のこの無情な脇締め行為により落胆してしまう程の無念さを覚えたあなただったが、ワキを隠した後の彼女の目を閉じてベッと舌を出す仕草が可愛すぎて……その顔にも見惚れてしまう。 「ムフフ♥ 期待しましたか? 私がワキを見せてくれるんじゃないかって……先輩、期待したでしょ?」  あなたは観念するように頭を縦に振る。 「残念ですが、これは誘惑でもなんでもない天然のチラ見せでしたので、ココでは触らせてはあげません♥ 私の腋を触りたいんでしたら……こういう不意な展開も我慢しないとダメですよぉ?」  今のは意図したものではなく天然のハプニングだったと主張する七穂に、あなたは昂ってしまった期待感と興奮を鎮めるのがやっとで若干のしんどさを感じるようになる。  致したいのに致せない生殺し状態……そして、公衆の面前であるからこそ彼女へ色目を使う事を極力抑えなくてはならないという我慢時間の多さ……  それらが、欲を解放したいと悶々としているあなたを容赦なく蝕んでいく。  我慢しなくてはならない事が多すぎて……それを考えるだけで気疲れしてしまう。  ココに来て、七穂の言う“罰”の意味が分かってきた気がする。  誘惑されているのに我慢しなくてはならないという行為がいかに苦しさを生むか……  いかに精神的なしんどさを生むか……  それがこの一件を通して嫌という程思い知らされる。  触ってしまいたい……あの柔らかそうな腋に触ってくすぐってみたい……  その欲は……彼女のワキを見るたびに膨らみ続けていく……  膨らみ続けていく一方なのに……触らせてもらえない……  そのジレンマが、あなたの我慢を少しずつ崩していく……  もし今……  「触っていいですよ」と言われたら……飛びつくように触りに行ってしまうだろう。  その後に仕置きを受けると分かっていても……その様な誘惑をされたら……手を出してしまっていただろう。  しかし、それをしてしまっては……その一瞬だけは触れても、それ以後は触らせて貰えない。逆に彼女に仕置きされて、またこの我慢デートを強いられる事となる。  だから、出来れば手を出したくない。最後まで耐えきって彼女のワキを思う存分触り散らしてあげたい。  あなたは今一度そう思いなおし、平静さを取り戻していく。  今手を出しそうになってしまった自分を戒め……今度こそは誘惑に靡かないゾと決心を固める。  そんなあなたの決心する顔を眺めつつ、七穂はクスリと妖艶な笑みを浮かべあなたを次の目的地へと誘う……  七穂が次に指差した店は…… A:楽器専門店だった……#14へ B:本屋だった……(誘惑イベントあり)#15へ

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