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13:仕置きの果てに 「あらあらあら……ダメじゃな~い、万理華ちゃ~ん♥ 休憩の時間はちゃんと休ませてあげてって言ってあったでしょうに……」  私の意識が完全に飛んでしまうかしまわないかのギリギリのタイミングで万理華の手を止めてくれる唯一の救世主が再びステージの壇上へとゆっくり歩いて上ってきてくれた。 「えぇ~? だってお母様ぁ聞いてよぉ! このお姉さんってばオトナの癖にまた勝手にお漏らしなんかしちゃったんだよ? さっきもあんなにしてたのに……」  義理であっても母である彼女に畏怖の念を抱いているのかどうなか分からないが、彼女の声がするや否や万理華の責め手もゆっくりと動きを緩め……そしてしばらくした後には完全にその動きも止めてくれ、私はようやくあの苦しい笑い地獄から解放されるのだった。 「万理華ちゃんったら、いつも私にヤるみたいに彼女のお胸を弄っちゃったんでしょ? そりゃあお漏らしくらいしちゃうに決まっているわ♥ 万理華ちゃんはテクニシャンなんだから♥」 「テクニ……シャン? 何それ? 手品とかする人?」 「アハハ……それはマジシャンね。そうじゃなくてテクニシャンよ♥ 万理華ちゃんみたいに女の身体を簡単に悦ばせる事が出来ちゃう人の事をそう呼ぶの♥」 「悦ばせる? 万理華……大した事してないよ?」 「万理華ちゃんからすれば“大した事はしていない”って思うかもしれないけど……ずっとくすぐられてきた彼女は体中が刺激に敏感になってるはずだから、その些細な刺激も恐ろしい程の快感に繋がってしまったのよ……」 「快感って……気持ちいいっていうヤツでしょ? お母様のお胸をマッサージする時いつも言ってる……」 「アハ♥ 駄目じゃない~♥ そんな事……人前で言っちゃ……恥ずかしくなるでしょ?」 「……? そう? 万理華は全然恥ずかしくないけど……」 「私が恥ずかしいのっ♥ 娘に毎晩くすぐられてイカせてもらってるなんて世間様に知れたら……変態さんだって勘違いされちゃうもの……ウフフ♥」 「お母様は変態さんなの?」 「う、う~~んどうかなぁ? 万理華は……どう思ってる?」 「え? お母様は……お母様だって思ってるよぉ? それ以外には……別に何も……」 「うんうん、そうよね? それでイイの♥ 万理華ちゃんはいつまっでもそのままで居て頂戴ね?」 「んへ? あ、う、うん……」  キーンと甲高い耳鳴り絶えず耳奥で鳴り響いているせいで、彼女達がどのような会話をしているのかいまいち聞き取れないが、私は親子の微笑ましい(?)会話など今は聞いている余裕などある筈がない。涙や汗が頬を伝い続けるのもお構いなしに、失い過ぎた酸素を肺に取り込むためゼェゼェと荒い呼吸を繰り返し必死に酸素濃度の薄くなった脳の血管に肺に溜め込んだ酸素を送り込む。その事だけに意識を集中していた。それ以外は何も考えられない…… 「さて……万理華ちゃんが休憩中もイジメちゃったから、恭子ちゃんかなり虫の息まで追い詰められちゃっているんだけど……」 「万理華はイジメてなんかいないよ? ちゃんとお仕置きしてたの! お漏らししたお仕置きィ!」 「えぇ、そうね♥ そのお仕置きのおかげで彼女……目を血走らせながら必死に呼吸を繰り返しているんだけど……」 「お姉さんが悪いんだもん! 万理華がちょっとお胸の悩みを相談して……ちょっと試しに触らせてもらっただけだったのに……お漏らしなんかして!」 「万理華ちゃんに弄られたら……そりゃあ誰でもお漏らししちゃうわよぉ♥ 私だってシちゃうでしょ? エッチなお漏らし……」  「そう! だからお仕置きしてあげたの! お母様にするのと同じように!」 「私の場合は“ご褒美”的なものだけど……今の恭子ちゃんにはちょっと刺激が強すぎたんじゃないかしら? 今までの疲労も蓄積していたでしょうし……」 「お母様のはご褒美? 違うよ! お仕置きだよ! お・し・お・き!」 「あ、あぁ……うん! そうね! お仕置きだもんね? 苦しいお仕置きだもんね? アハハ……そうだったそうだった……」 「ムゥ~~! なんか……お母様……万理華に隠し事してない? そんな笑い方してるよ? ねぇ!」 「アハハ……気のせい気のせい♥」 「……いいもん! 後でちゃんと聞き出してやるんだからっ! 今日もいっぱいお仕置きしてやるんだもん!」 「(ゾクッ♥)ひ、ひぃ~~楽しみ……じゃなかった! こ、怖いなぁ~~アハハハ……」  目の前が曇っていて二人が今どういう顔で会話をしているのか判断できないが、どうやらその会話は麻由里にとって都合の悪い内容であったようで、何かを訴えかけようと声を上げている万理華の言葉を遮りながら麻由里は私の耳横に苦笑いを浮かべながら顔を近づけてきた。 「どう? 万理華ちゃんのくすぐり……結構ヤバかったでしょ?」  耳元に囁かれたその言葉に私は過剰に反応し額をガラスにぶつける勢いで何度も大きく頷きを返した。  ヤバいなんてレベルではない……こっちは三途の川が見えかけたくらいに意識を飛ばされかけたのだ……。彼女のくすぐりは凶器以外の何ものでもない! 人を延々と笑い苦しませることが出来る鋭すぎる凶器なのだ! 「万理華ちゃんにはね……毎晩毎晩私の身体をくすぐらせて……オンナの責め方っていうのをみっちり教え込んだの♥ もちろん……アッチのテクニックも凄いのよ? 貴女もヤられたから良く分かるでしょ? 夜の彼女は……もっと凄いんだから♥」  甘く惚けるような声が吐息と共に私の耳に流れ込んでくる。  口を細めて囁かれるその言葉たちは私の敏感になり過ぎている耳奥までもくすぐり、思わず身体を捩りたくなるようなこそばゆさに見舞われてしまう。 「まぁ、それはいいとして……。どうかしら? そろそろこの地獄から解放されたいって……思い始めている頃じゃないかしら?」  思い始めている頃……なんてとんでもない! もう休憩の前の段階で私は心を折られてしまっていた。  今では強く願っている。一刻も早くこの地獄から解放してもらいたい……と。 「素直に奴隷として売られるという事実を受け入れる気になれたかしら?」  私は再び大きく頷きを入れる。喉が枯れて声を発する度に痛んでしまう為声は出せないが、頭は何度もガラスの内側にぶつけながらも必死にアピールを繰り返す。私は改心しましたと。  「もし……次に売れ残ったら……今度はこんな責めじゃ済まさないわよ? 次は休憩なんて入れずに……万理華と私で徹底的に貴女のカラダぁ……壊れるまでくすぐり漬けにしてやるんだから♥」  その言葉に私の顔から血の気が引いた……  次に売れ残れば……今の地獄以上の地獄を味わう事になる……  そんな事になれば、私は命の危機はおろか人格の崩壊や最悪植物人間になるまで笑わされる事になるのではないだろうか?   そうなればいっそ殺された方がマシとさえ言える。そんな生き地獄を味わう位なら……意識を手放して死を選んだ方が……   「それは嫌でしょ? そんな事はされたくないでしょ?」  私はまたも必死に首を縦に振る。  嫌だという強い思いを分かって貰うために……何度も顔をガラスに打ち付けて…… 「だったら……頑張ってアピールしないとダメよね? お客様に……」  欲望渦巻く観客たちに買われ……奴隷になるという事が何を意味するのか……考えなくても簡単に想像はつくが、それ以上にこの仕置きの方が遥かに地獄だ。さっき言い寄ってきた男に“毎夜、鞭打ちのSMプレイを拘束して1時間行わせろ”などという阿保みたいな条件を突き付けられたが……今思えばまだその方が今よりましだと言える。  痛みは我慢すれば痛みに慣れたり麻痺したりして乗り越えられない事もないだろうが、くすぐりは絶対に慣れる事が無い。  同じ箇所を触られ続ければ慣れるかもだけど……彼女達のくすぐりは決して同じ箇所を同じようにはくすぐってくれない。足の裏ひとつとっても、ただ土踏まずを触るだけの責めには決してならない。指の間を触ったり指の付け根付近を弄ってみたり……カカトにも手は向かうし足の側面だって這い回る。しかも触り方も引っ掻くだけの一辺倒ではない。敢えて強く揉むように刺激したり逆に触るか触らないかのフェザータッチでこそばしてきたり……刺激に慣れないような工夫が随所に施されているものだから慣れようが無い。  常に新しい刺激に私のカラダは笑いという悲鳴を上げさせられ……身体全体を使ってその悲鳴を口の奥から吐き出させようと運動してしまう。  どんなに抵抗しようとも笑いが勝手に吹き出してしまうこの“くすぐり責め”という仕置きは……痛くもなんともない筈なのに精神と身体はマラソンを全力疾走させられたかのように摩耗し疲弊させられる。  ただ笑っているだけなのに……ただゲラゲラと面白可笑しく笑い続けているだけなのに……  一度笑ってしまえばもう自分の力では笑いの連鎖を断ち切る事なんてできやしない。  笑えば笑う程に笑いたくて仕方がない状態になってしまって……もう自分の意志など関係なく笑い続けてしまう。  それがどれだけ苦しい事なのか……見ているだけの観客は1ミリも理解していないのだろう。ヤってる本人達でさえ私の苦しみの十分の一も理解していない筈だ。  どちらもヘラヘラと笑いながら私の苦しんでいる様を眺めていたのだから……  それが悔しくて……腹立たしくて……  出来る事ならそんな奴らに平手の一つでも振りかざして回りたい気持ちで一杯だが、拘束された私にそんな事が許されるわけもなく……悔しい思いをさらに募らせながら笑い苦しむループを繰り返す事になる。  そういう事も含めて“くすぐり”という責めは私にとって肉体的にも精神的にも地獄なのである。 「ひ、ひ、ひぃ……もう……分かった……から……はぁ、はぁ、はぁ……十分すぎる程……分かった……から……くは、はひぃ……あひぃ……はひぃ…… アピール……する。ちゃんと……アピール……する……から……」  最初こそヤられている子を見て「馬鹿馬鹿しい」などと思ったりしたが……今ではその子の苦しみも理解できる。そして……その後の購買タイムで必死にアピールをし始めるというのも頷ける。だって……今の私も同じ気持ちなのだから……。 『二度とこんな仕置き……受けたくない!』  そういう思いで……いっぱいなのだから…… 「うんうん♥ 良い返事ね♪ お仕置きをした甲斐があったわぁ~~♥ あんなにプライドが高そうで意地っ張りそうな恭子ちゃんがこんなこと言えるまで素直になれたんだから……」  私は望みを持つ事を……辞めた。  いつかどうにかなるんじゃないか……という甘えた希望を持つ事を……辞めた。  購買の時間は必ずやってくる……  そしてこの時間で売れ残れば……彼女達が必ず私に仕置きと称した拷問ショーを執り行ってくる。  そうならない様に出来るのは結局私次第なのだ。  どうにかなるかも……なんて幻想に縋らずに自分を殺してでも客の条件を精査し真剣に考えなくてはならない。  買ってもらえなければ……あの地獄がまた繰り返されるのだから……  ……などと、この後に訪れるであろう購買タイムに向けて覚悟を固めようとしていた私に、少しの間忘れさせて貰っていたあの刺激が突如として再び送り込まれ始める。 ――コチョ♥ 「かへっ!? あへっ? ちょ、な、なにを……」  慌てて下に目をやると私の背後に居た筈の万理華がいつの間にやら私の足元に座り込んでいて、私の反応を伺うように私の顔を見上げながら手だけは私の足裏に這わせ直しその指をいやらしく動かし始めた。 ――コチョコチョコチョ♥ 「びゃはっっ!? ちょ、やめでっっ!! もうくすぐりは終わったんじゃ……」  逆手に構えた手をモショモショと蠢かせて私の左右の土踏まずを指先だけでなぞってくすぐり始めた万理華に、私は笑いを吹き出しつつも反論の言葉を吐く。 「あら……誰が終わりだなんて言ったかしらぁ? そんな事……私は一言だって告げていないわよぉ~?」  足裏への耐え難い刺激を必死に我慢しようと口を閉じ口角筋に力みを入れ始めた私に、今度は麻由里の甘ったるい声が私の耳をくすぐり始める。 「お仕置きの時間は6時間って決まっているの♥ 購買の時間までまだあと2時間も残っているわ……その間……お仕置きを止めてあげるなんて甘い事……私がすると思う?」  その言葉を聞き私の顔から再び血の気が引いた。  その言葉の意味を悟ると同時におぞましい程の寒気が全身に駆け回った。 「だ、だって! だってさっき……反省したかを聞いてきたじゃない! 普通はそこで終わりの筈じゃ――はひゃんっ!?  寒気を帯びた私の身体の側身に人間の温かみを感じられないほど冷えた細い指先がソッと着地を始める。  私はその指の冷たさに足裏のくすぐったさを我慢するという使命も忘れ思わず素っ頓狂な悲鳴を上げてしまう。 「アレはあなたの調教が何処まで進んだかを確かめただ~け♥ どれだけ素直になったかを確認しないと……残りの時間をどう責めたらいいか決まらないでしょ?」  私の伸びきった腋の窪みに置かれた冷たい指先が、ゆっくりと私の敏感になり過ぎた腋のスジをコショリ……コショリ……と妖しくくすぐり始める。 「そ、そ、そんにゃはっ!? あひひっっ! いひっっ!! も、も、もう終わりにしてくれるって……思ってたのにぃィひっ!?」  まるで腋に走っている神経を直接触ってこそばしているかのように……ゆっくりと……でも確実にこそばゆく感じる刺激をその冷たい指は送り込んで来る。 「お仕置きって言うのはね……しっかり反省したって自覚させてからが本番なのよ? もう二度とこんな仕打ちを受けたくないって思わせた後に更なる責め苦を与えて苦しませれば……貴女のトラウマとして深く刻まれる事になるでしょ? 『もう嫌だって言ったのにいつまでたってもやめて貰えない!』そういう絶望を体中に刻み付けるのがこのお仕置きの本当の目的なのよぉ♥」  麻由里の指が私の“今一番触られたくない”と思っている箇所を焦らす様に避けその周囲を意地悪く撫で回す。  腋の窪みの中心の中の中心……そこだけはその指で触らないで! と震える口で必死に笑いを堪えながら心の中で叫んでいるが……そんな私の切なる思いを見抜いているのか、麻由里の指は何かの準備を整えるように腋の中心の手前でその指の動きを止めた。 「だ・か・らぁ~~♥ これからソレを刻み付けてあ・げ・る♥ 私“達”が……」  その言葉と共に横に並んでいたバニーたちも私の身体を取り囲むようにワラワラと集まり始め、あっという間に私の周囲を黒や緑や青などの鮮やかなバニースーツ姿で埋め尽くしていった。 「さぁ、今からノンストップ2時間♥ この細くて華奢な身体をみ~んなで弄り回して恭子ちゃんの可愛い笑顔を、見ている人み~んなに楽しんでもらいましょう?」  麻由里の声掛けに私の前後左右に群がってきた複数人のバニーたちが口元をニヤつかせながらそれぞれ返事を返す。そして返事を返した後は、それぞれの決められた持ち場へと素早く移動しこれから担当するであろう部位の小窓を一斉に開き始めた。  彼女達が開いていった小窓は腋や足の裏と言ったメジャーな部位ではなく、もっとマニアックな……こんな箇所にも小窓が付けられていたのかとそこではじめて気づくような箇所を順番に開放していく。  膝の裏……背中の縦筋……お尻のワレメ……首筋の裏から肘の関節に至るまで、実に様々な部位の小窓が開けられその都度新鮮な空気がそこから入り込み私は嫌でもその部位にも意識が向いていってしまう。  バニーたちは、メインで責める麻由里や万理華の邪魔にならないよう配慮しているのかそれぞれの手に柄の長い“猫じゃらし”のような道具を渡し合い、それが皆に行き渡った頃合いを見てそれぞれが開けた小窓に向けてそれを狙うように構えていった。  そして準備が整ったと見るや否や麻由里は、始まりの合図の代わりにと言わんばかりに止めていた手を“あの部位”に滑らせて私を絶叫させた。  足裏から送られてくる刺激に反応しまいと必死に我慢をしていた私だったけど……麻由里の細い指がその場所……腋の窪みの中心に滑り込んでコチョコチョし始めると、緊張させていた糸が切れるように私は絶叫と爆笑を同時に吐き出してしまった。  それを皮切りにバニー達はそれぞれ狙いを付けていた小窓へ手に持った猫じゃらしの先端を差し込んで露出させられた私の無防備な肌を容赦なくくすぐり始める。  その身体中を同時に襲い始めた耐え難いくすぐったさに……  これ以後……時間が来るまで……私の口は閉じることを許されなかった。  “強制笑わせ”という……抗いようのない刺激に……私の口は閉じることなく延々と笑わせられる事となったのだった。

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