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#65 「初めに言っておくけど、私……足の裏は弱点じゃないからね♥」  あなたが足裏を本番に選んだ旨を恵理に伝えると鈴菜は得意げな顔を振り撒きながらそのようにあなたに告げた。  腋と脇腹の反応はチェックの段階で見ていてどちらも悪くない反応を返していたのは記憶に新しい。だったらそのどちらかを弱点だと絞り込んで責め場所として選ぶのがセオリーなのかもしれないが、前二回のチェックの時にあなたは彼女の特性の様なものを知ってしまったが故その二か所は選べないと判断した。  彼女は責められれば責められるほど刺激に慣れてしまうという……攻め手側からすれば厄介な特性……それを知ってしまったあなたは同じ箇所を2回も責めるのはリスキーすぎると判断したためにこの“まだ刺激を与えていない足裏”を選ぶこととしたのだ。  弱点か弱点じゃないかはこの際問題ではない。出来れば弱点であった方が責めやすくもあったが、彼女が自信満々にそう言うのであればそれが真実なのだろう……  そうやって責めの前から心を折りに来る辺り彼女は立派な策士なのだと改めて思う。 「フフ……あんたもとんだお間抜けさんね。最後の最後でくすぐりに強い足裏を選んでしまうなんて……哀れ過ぎて変な笑いが込み上げてきちゃうわ♥ クフフフ……」  余程足に自信が有るのだろう……鈴菜は勝ち誇った顔で姿勢を低く落としたあなたの顔を見下ろしている。あなたはその言葉に耳も貸さず淡々と責めの準備を彼女の足元で行っていく。  鈴菜の脚は太腿から足首に至るまで美しく手入れされてあるのが一目でわかる。  口調の汚さから生傷の絶えない脚をしているのでは? と妙な偏見めいた想像を浮かべていたが、実際に間近で見てそれが誤解であるとすぐに理解が出来る。  引き締まった太腿……ムダ毛の1本すら見当たらない真っ白な肌の脛……足の小ささに比例してキュッと細く絞られた足首……  そして、あなたの眼下に据え膳の様に無防備な状態で晒されている……彼女の足。  まるで子供の様に小さい彼女の華奢な素足が手を伸ばせばすぐ届く位置に置かれている。  床から少し高さを出す為の台座が存在し、更にその台座の上に“カカト”だけが乗せられる小さな小台座が設置されている。その小台座に鈴菜はカカトを置いて足首の部分を枷で十字架に拘束されている為カカト以外の底足部は全て宙に浮いている状態を強いられている。  足裏が宙に浮いている……というのはその足裏をくすぐり易くしているに他ならない。手を下から差し込めば彼女の足裏を簡単に触る事が可能となっているのだ。  あなたはその宙に浮いた足裏に向け手を逆手に構えながら最初に触る位置まで手を差し込んでいく。 「……………………」  手を差し込む様子を上から見ている鈴菜は、あれほど強気な発言を零していたにもかかわらずいざ本番が始まるという段になると緊張の顔色を見せ始める。  別に弱点でないのなら緊張などしなくてもいい筈なのに…… 「ちょ、ちょっと待って! な、なんか……身体が……さっきから……変なの……」  あなたがいよいよその足裏に手を添えようと指を近づけ始めたその瞬間、なんとあの鈴菜から待って欲しいという旨の言葉が飛び出す。  あなたは思わずその言葉通りに手を止め、一体何事なのかと彼女の顔色を窺う。 「わ、腋をヤられた後から……ううん、脇腹を触られた時からすでに変だったんだけど……あんたに責められそうになると……妙に胸奥がザワザワ、ムズムズして……落ち着かなくなる……」  先程までの強気な態度から一転して突然の告白にあなたは戸惑いを隠しきれない。それがどういう意味なのか理解は出来ないが何やら彼女の中で“あなたに責められる”ということ自体が特別な行為になってしまっていると言いた気だ……。 「な、なんか……その手つきを見ちゃうと余計な事思い出しちゃって……触られても無いのに……刺激を想像しちゃって……勝手にこそばゆくなり始めちゃうの……」  今にも消え入りそうな声でそのように告白する鈴菜に、あなたは触ろうとしていた土踏まずの部位から手を離していった。  別に彼女の言葉を聞いて可哀そうだからやめてあげた……という訳ではない。そんな風に感じているというのなら最初は“焦らし”から入っても面白そうだ……と思った次第の行動だ。 「ね、ねぇ? やっぱりやめにしない? きょ、今日は……日が悪いわ。なんか変な気分になっちゃってるし……足裏は……ホントに弱点じゃないけど……この状態だと不本意に笑ってしまう可能性が……」  鈴菜の弱気な発言に恵理が無言で首を横に振る。  そして、そのような戯言に耳を貸す必要はない……と言わんばかりにあなたの肩にポンと手を置き責めの続きを行うよう促しを入れる。 「ちょ! あ、あんたも知ってるでしょ? 私が足……強いって事!」  鈴菜は表情を崩さない恵理に向かって必死に抗議を繰り返す。しかし恵理は一貫して首を横に振り彼女の問答の相手をしようとはしない。 「た、体調が悪いって言ってんの! そんな状態で責められるなんて……不本意過ぎるわよ!」  本当に体調が悪いのかと疑いたくなるほどの怒声が部屋中に響き渡ると、恵理はそこでようやく静かな言葉を彼女に返す。 「例え体調が悪くても責めは最後まで受けて頂きます。貴女の体調はプレイの前にしっかり確認したじゃありませんか……」 「そ、そうだけど……。でも、このムズムズは……絶対に何かしらの異常よ! こいつの手つきを見たら……それが収まらなくなるのよ?」 「だとするなら、それはこの方が行ってきた責めの賜物ではないですか? 腋、脇腹を責められてあなたはこの方の責めが本能的にダメになってしまったという事ですよ……」 「そ、そんな馬鹿なことある? 私は責める側の人間よ? こんな奴隷ごときの責めで……私がトラウマを負ったとでも言うの?」 「さぁ……トラウマになったかどうかは測りかねますが……少なくともあなたの体調は問題ないように見えます」 「じょ、冗談じゃないわ! こんなの……いったん中止よ! こんな訳の分からない状態で万が一にも笑ってしまったら……足裏は強いって言った私が馬鹿みたいじゃないっ!!」 「そんな事……知ったこっちゃありませんよ。そういう強がりを言った貴女が悪いのですから……」 「つ、強がりなんかじゃないっ!! 私は足の裏なんてこれっぽっちも効かないのっ!! それは事実なのよ!」 「じゃあ耐えられるはずですよね? この方の責めも……」 「うっ……ぐっ……あ、当たり前じゃない! 体調がおかしくっても……耐えて見せるわよ……。ただ、ちょっと負担が大きすぎると思ったし……公平じゃないって思ったから声を荒げただけで……」 「だ、そうです……どうやら問題なさそうなので、続きをヤってあげてください……」  恵理はそのようにあなたに言葉を掛けると再びあなたの肩を軽く叩いて再開の合図を送る。  あなたはその合図をきっかけに、土踏まずから少し離れた“足指”の方へと手を近づけその部位に全ての指を当てた。 「ッっひ!? んひぃィぃッっ!?」  鈴菜の足指の1本1本には、指を反り返して拘束する為に、細いワイヤーが関節部分に巻かれ足首の枷の方へと引っ張る様に繋がれている。  その緊張を強いられているであろう足指の関節に薬指と中指を這わせて優しくコショコショとくすぐり始めると、鈴菜は身体全身をビクリと震わせて甲高い悲鳴を口から零してしまう。  ワイヤーのゴツゴツした感触と足指の柔らかい肉感を同時に味わいながらくすぐっていく感覚はなんとも言えない新鮮で斬新な触感だと感じてしまう。  鈴菜もそのように受け取っているようで、悲鳴を上げた後はその後も頭を横に振り乱しながら刺激を嫌がってくれた。 「かはっっっはひゃああぁぁぁぁ!? や、や、やめっっ!! 指を触らないでっっへっ!! ゾクゾクするっっふっ!! なんか寒気がヤバいぃィぃひぃぃぃぃっっ!!」  全ての指の関節を触り終えたあなたは、その勢いのまま親指と人差し指に攻め手を切り替えて今度は彼女の母指球の膨らみに狙いを変更する。  親指の爪と人差し指の爪で、ふっくら膨らみ切った鈴菜の母指球の膨らみを摘まみ左右からジョリジョリと小さく引っ掻きながらこそばしていく。  その責めも鈴菜にクリティカルヒットを与えたようで、責めが切り替わって最初の刺激を与えられた瞬間…… 「だはひゃああぁぁぁああぁぁぁぁっっっははっっはっっはがぁああぁぁあぁぁあっぁぁ!! あ、あ、あっっ……はっっ……はっっ……」  全身が固まってしまったのではないかと言わんばかりに身体が硬直し、震える唇からは笑いとも悲鳴とも取れない絶叫が吐き出された。 「あはぁ♥ 良いですねぇ~その責め♥ 限界まで反り返されてる母指球の膨らみを爪だけでこしょぐるなんて……私だったら絶対に耐えられません♥ 想像しただけで……私までくすぐったくなってきます♥」  いつの間にかあなたと同じようにしゃがみこむような姿勢になってあなたの責めを興味深く観察していた恵理が、あなたの耳元で甘く惚けるような声を出しながら熱い吐息を零す。  ふと見るとその目はハートが可視化出来そうなくらい惚けていて、足裏と言う部位に対する彼女の執着ぶりがこれでもかと垣間見えてしまう。  悲鳴を上げさせることは出来たがまだギリギリ笑いには至っていない鈴菜に、あなたはトドメを刺すべく親指以外の全ての指を母指球、小指球の丘上に乗せ爪が食い込む程度まで力を込めて丘下に存在する“土踏まずの部位を眺め見る。  悲鳴を上げる程に敏感に反応を返している鈴菜が果たして土踏まずの引っ掻きを耐えることは出来るのだろうか?   そのような疑問が一瞬頭を掠めるが、答えを導く前にあなたの手は行動を開始した。 ――ガリガリガリガリガリガリッっ!!!  母指球、小指球の丘上から谷を一気に下っていくようにあなたの突き立てた左右合計8本の指達が土踏まずの部位まで引っ掻き降りていくと、鈴菜は一瞬目が飛び出さんとするような驚き顔を天に向かって行い、口をワナワナと痙攣させ時が止まったかのように悲鳴が途絶えてしまう。  しかし、あなたが2度目の引っ掻きをすぐさま実行したと同時にその止まった時間は再び動き出し…… 「ぴぎゃっ!? あがっはっ!! はぎひっ!? うひひひっ! くひひひひひひひひひひひひひひひひひ……」  悲鳴を上げていた口からは引き攣った笑いがまずは零れ出し始める。 ――ガリガリ! ガリガリっ! ガリガリガリ!!  二度三度……四度……と引っ掻きを重ねるたびに鈴菜の引き攣った笑いはいよいよダムが決壊したかのような激しい濁流の様な笑いに姿を変えていく。 「はぎゃっっはっ!? あひゃひゃひゃひゃひゃ? いひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、ちょっっ! 待っへっっへへへへへへへへへへへ!! や、やだ! いひゃっっっはははははははははははははははは、やだぁぁ~~~っっははははははははははははははははははははははははははは!! ヒギャハハハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」  顔を突き上げ大口を開いて笑い狂う鈴菜は手・足・身体のあらゆる部位を暴れさせながらも必死に抵抗するように暴れて見せる。  しかしその様に暴れたところで脳内に次々に送り込まれてくるくすぐったさを胡麻化すことなど出来ず、彼女は不自由な身体を出来得る限り暴れさせながらもおよそ少女とは思えない大爆笑を吐き出し続けた。 「ギャアァァ~~ッッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ、やがははははははははははははははは、いぎぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、ウハヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、だ、だめぇっへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへくしゅぐったいぃぃぃっっひひひひひひひひひひひひ、ダァハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」 「おやおや? 体調が悪くても……耐えて見せるのではなかったのですか? そんなにだらしなく笑ってしまって……あの強気な態度は何処へ行ってしまわれたいんです?」  ガタガタと十字架本体を揺らすくらい力を込めて抵抗を行おう鈴菜に恵理が意地の悪い笑みを浮かべてそのように問いただす。  恵理の顔はあなたの足裏くすぐりを見て真っ赤に火照る程頬を紅潮させ、何やら熱い吐息の様なものも零しているように見える。 「かはっっはははははははははははははははははは、にゃ、にゃんで? わだじあじの裏づよいはずなのにぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、にゃんでこんなにくすぐったく感じるのぉぉほほほほほほほほほ、クヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、ぶははははははははははははは!!」 身体は暴れていても晒されている足の裏は一切動くことは出来ないよう拘束されている。あなたはその全くの無防備に晒された鈴菜の可愛い足裏全体に指を這わせ、強すぎもせず弱すぎもしない絶妙な触り方でくすぐり回してあげた。 「なんで効いてしまうか……答えが知りたいですかぁ?」  笑いが吐き出されると次の笑いが開きっぱなしになってしまっている口から溢れ、その笑いが吐き出された後も次の笑い……次の笑い……と、途切れることなく次なる笑いが連結していき鈴菜を永遠に笑わせ続けていく。  そんな折、まともに喋れる様子ではない鈴菜に恵理がこの爆笑の正体が何なのか知りたいかという質問を彼女に投げかける。 「はにゃはははははははははは、ひぃぃっっ、いっひぃ~~~っっ!? お、お、おじえで! にゃんで私こんなに弱くなっちゃってるのぉぉほほほほほほほ!?」  鈴菜は笑い苦しみながらもその答えを知りたいと意思表示をし恵理に答えを求めた。それを聞いた恵理は意地悪そうな笑みをやめ真顔になって立ち上がり、鈴菜の身体の真横に立って笑い狂う彼女の耳元まで口が届くよう爪先立ちで立ってボソボソと言葉を呟いた。 「先程の……腋チェック時の最後のあの反応……不意を突かれて思わずビクついて反応してしまったあの反応……。全てはそこに原因が有るんじゃありませんか?」 「はぎゃははははははははははっひ、ひぃ、うひぃぃっっひひひひひひひひひひ! び、び、ビクついたのが何が悪いって言うのよぉぉほほほ、ぷはっっははははははははは、ちょ、そこやめでっっへへへへへへへへへ!!」 「私や美咲さんと違って……貴女は特にくすぐりに対する耐性が高いのでしょう? 同じ箇所を触ろうものならものの数秒で笑わなくなってしまいますし……」 「そ、そうよ! 私はあんたなんかと違ってっへへへへへへへへへへへ、くすぐりなんか効かない体なはずなのぉぉぉ!! それがっっはははははははは、にゃんでへへへへへへへへへへ、イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!! うわははははははははははははははははは……」 「でもそんなあなたにも弱点くらいはありますよね?」 「アギャハハハハハハハハハハハハハハハ、な、な、何言ってんのよっ私に弱点なんて……」 「脇腹……ですよね?」 「はぎひっ!? にゃ、にゃんでそれをっほっ!? くひゅぅぅっっふふふふふふふふふふふふふふふふふ、うくくくくくくくくく、はひへへへへへへへへへへへへへへへ!!」 「反応を見れば私でも分かります。でも……最初の責めで脇腹をいきなり見抜かれたにもかかわらず貴女は笑うには至らなかった……それはなぜだと思いますか?」 「そ、そんにゃのっ! 私が必死に我慢したからに決まってんでしょっっ! くふっっふふっっっ、んきゃっ!? イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、カカトぉぉっ!? カカトだめぇぇへへへへへへへへへへ、うへへへへへへへへへへへへへへへへ」 「いいえ、私が見る限りそうではないと言い切れます……」 「だったら……にゃんなのよっっ! 何が言いたいのっっ!!!」 「最初の責めの時……この方は明らかに手を抜いていました……」 「はへ? 手を抜いてた? うぷっ!? くふっ……くふふふふっっ、うぷはっっっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、やははははははははあはははははは!!」 「そうです。最初のタッチで気付いたのかそれとも最初から分かっていたのか定かではありませんが、この方は貴女の弱点が脇腹だと察したようです。だから時間が余っていたにもかかわらず途中で責めを止めたのです」 「くはっっははははははははははは、だ、だ、だったら! だったらなんで本番の時に弱点を責めないのよっっ!! 普通なら責めるでしょ? 弱点見つけたんなら……」 「それが出来なくなったから足裏を責めているんですよ」 「は、はぁ? ど、どういう意味よ……」 「ほら……今の貴女だってそう……。貴女は刺激に慣れるのが早い。だから……足裏への刺激はもう効かなくなっている頃なのでしょう?」 「…………そ、そうよ。っっふ!? く……ふふ……まだ少しこそばゆいけど……段々慣れてきた……」 「その特性が有ると腋のチェックの時に気付いたから“同じ箇所はもう責められない”と悟ることが出来たのではないでしょうか?」 「……だから……チェックの時に触っていない足裏を最後に選んだ……って事?」 「ハッキリ言って、それなら最後に脇腹を持ってきて笑わせたかった……この方はそう思ったはずですが、残念なことに脇腹は最初に触ってしまった為“刺激慣れ”が起こる可能性が高まってしまった……。弱点は分かったのにその弱点を責められなければ貴女を笑わす事など不可能……と、ちょっとした絶望感を感じたでしょうが、腋のチェックの最後の方にある光明が差してしまいます……」 「光明??」 「貴女は今でも覚えているでしょう? 腋チェックでの最後の最後でたまたま触れてしまったあの羽根の感触を……」 「っ!?」 「責めが終わって一段落つけると安堵した時に襲ったあのイレギュラーな刺激……。貴女はあの刺激に今まで見せた事も無い程驚いて焦っていましたよね?」 「そ、それは……」 「そう……貴女は想定内のこそばゆさには耐性を持つことが出来ますが、イレギュラーな刺激にはとことん弱い。それをあの一瞬で暴かれたうえに貴女の鉄壁な防御力にも大きな傷が入ってしまいました」 「き、傷!? 傷って何よっ!」 「“もしかしたらまた……イレギュラーな刺激が加えられるかもしれない”と警戒してしまう予期不安と言う名の傷です」 「よ、予期不安!?」 「くすぐりに対して完璧でなくてはならない貴女があのような無様な悲鳴を上げさせられるのは不本意だったはずです。ですから警戒を強めたはずです……またイレギュラーな刺激が来るかもしれない……と……」 「うっ……うぅ……」 「そして、この方が最後に選んだ部位は足の裏……。全くチェックされてもいなかった箇所だったわけですから、どんなくすぐり方をしてくるか……どんなこそばゆさに襲われるか想像できず不安は募る一方になったはずです」 「……………………」 「貴女は……くすぐりに慣れるが早いという特性を持っていると言ってますが、恐らくそれは真の特性ではありませんよね?」 「……どういう意味よ?」 「鈴菜はくすぐり慣れするのが早いのではなく……“くすぐりの予測を立てるのが上手いから慣れるのも早くなってる”というのが真実なのではありませんか?」 「うぐっ!?」 「相手の手の動かし方や腕の運び方……目線の位置、触り方の癖……そういうものを頭の中で解析してある種のパターンを構築しつつ刺激を予測している……。よく“自分で自分をくすぐっても刺激が予期できてくすぐったくない”という言葉を聞きますが……まさにあなたはそれを他人のくすぐりでもやってのけていたという訳です……」 「今の流れで……そこまで分析したって言うの? あんた……」 「くすぐりとは“予期できない刺激”だからこそ笑いが生じるものです……あなたはその予期できない部分を視覚情報に頼って予期できるようにし、くすぐりの刺激を誰よりも早く慣れさせる事に成功していた……」 「……それが崩れたのが……あの羽根のイレギュラーな刺激だったと?」 「鉄壁だと信じてやまなかった貴女はその時初めて“まずい”と思ったのではありませんか? 自分でも予期せぬ反応を返してしまった訳ですから……」 「うぐぅ……ぅう……」 「その“まずい”と思った感情が不安を呼び、貴女の足裏を敏感にさせた……」 「で、でも! 足の裏は……本当に弱くない部位だったし……」 「腋や脇腹と違って“足の裏”は唯一くすぐられている瞬間を目で確認できない箇所です。そのまま見下ろしても足の甲が視界を遮って情報を殆ど得られない……」 「………………」 「いつもなら、弱点ではないというだけで耐えられた箇所だったでしょうけど……貴女は刺激に対して不安を抱えていた状態だった……。それ故、普段より足裏への刺激が敏感になりなおかつ視覚情報にも頼れない箇所であったためくすぐったさを思いっきり感じてしまった……それが今回のカラクリだと思いますよ?」 「……………………くっ……」 「…………………………」 ――ピピピピピピピピピピ!  話が終わり二人の間に気まずい沈黙が流れ始めた頃、タイミングよくストップウォッチのアラームが部屋中に鳴り響いた。  あなたはアラーム音が止められる前にすぐにくすぐりを止め鈴菜の足裏からゆっくりと手を自分の方へと引かせていき、肌の余韻を思い出しつつもプレイの結果が口に出されるのをジッと待った。 「お疲れ様です……」  恵理が振り返りながらあなたに声をかける。 「責め箇所の判断といい、本番の責め方といい……お見事としか言いようがありません。流石です……」  恵理の直接的な褒め言葉にあなたはついつい緊張していた顔を綻ばせる。 「言わずもがな……前半の責めは無事クリアとなりましたので、次は後半……彼女を屈服させる責めを行っていきましょう……」  あなたは、次の責めをどうしてやろうかと妄想を膨らませながら笑みを浮かべ彼女の言葉に頭を縦に振って返事を返した。 「フン! 何よ! たまたま笑わせられただけの癖に嬉しそうにしちゃって……。そういうのホントにムカつくわ!」  その様子を見ていた鈴菜は頬を膨らませて不機嫌さを表に出すが、その顔も次の言葉を零すころには邪悪な笑みに取って代わった。 「でも……次は今のようにはいかないわよ♥ バレちゃったのは仕方ないけど……あんたにも分かったでしょ? 私がいかに……刺激の予測を早く出来ちゃうか♪」  喜んだのも束の間……彼女の言うとおりである。  ここまではどうにか彼女を笑わすという目標をクリアすることが出来た。しかし、今の責めの最中でも見て分かる通り、彼女は刺激に慣れるのが早すぎるのだ……そんな彼女を笑わせて屈服まで追い込むというのがどれだけ至難の業か……理解していないあなたではない。 「フフフ♥ あんたの責め方なんて……もう顔を見れば大体わかる様になってきたわ♪ そんな状態で私の事……笑わせる自信はある? そりゃ、ないわよねぇ~? クックック……」  彼女に煽られ、焦りが汗となって手に滲み始めるが、そんなあなたの手を隣に立っていた恵理が優しく握り「何も心配はいりませんよ」と言わんばかりにニコリと笑み見せる。 「勿論、その強みがある事は分かっていますから……その対策はさせていただきますよ?」  クルリと振り返り鈴菜の方を見上げた恵理はそのように意地悪な声で彼女に告げる。 「は、はぁ? 対策??」 「えぇ。これで……貴女の視覚情報を遮断します♥」 「ッっ!? あ、あ、アイマスク!? な、何でそんなものをっ!?」 「貴女は攻め手の顔の表情やくすぐろうとしている手つき等を“視覚情報”として得、それによって刺激の予測を立てていますよね? だったら……その視覚情報は……こういうので遮断するのが一番ですから……」 「そ、そんなの付けるなんて聞いてないわよっ! ルールにだってそう言うの使えるって明言して無いじゃないっ!!」 「使わないとも明言されていませんよ?」 「んぐっ!? そ、それは屁理屈よっ!」 「屁理屈だろうとルールブックに載ってなかろうと、相手の弱点を探すのが“前半”の役目ですので……視覚に頼ってる貴女の弱点を突く為なら、こういう手にも出ますよ」 「ふ、ふざけないで! 後半は道具を使わないってルールの筈よ! あんたが破ってどうすんのよっ!」 「大丈夫です♥ だから“まだ”前半である今のうちにこの道具を装着させちゃいますので♪」 「は、はぁ!? 馬鹿なの? そんなふざけた事許されるわけ……」 「相手を笑わせる為に最善の方法を取る……それが“くすぐり拷問”であると……教えた筈ですが?」 「っぐ! うぅ……くぅ……」 「さて、美咲さん……と言いましたっけ? そこの方……」 「は、は、はい? あ、はい!」 「申し訳ありませんが、このアイマスクを彼女の目に装着していただいてもよろしいですか?」 「えっ!? わ、私が……ですか?」 「えぇ、お願いいたします……」 「で、でも……私は……その……鈴菜様に対して……そんな……」 「不安に思う事などありませんよ。この責めで屈服をさせる事さえ出来れば貴女は解放されるのですから……」 「で、でも……」 「話に聞くと……美咲さんはこの方よりも酷い調教を受けていたと聞いていますよ?」 「えっ!? あ、うぅ……」 「それはもう……調教と言う域を越えて……拷問の類の責めを受けたきたとか……」 「…………うぅ……」 「貴女だって復讐……したいでしょう? このドS女に……」 「い、いえ! そんな事は……」 「本当にそう思っていますか? 復讐など考えずに……この逆転劇に手を貸した……と?」 「そ、それは……その……」 「違いますよね? 貴女も復讐したいと思ったから……彼女の事を拘束までしてくれたんですよね?」 「うぅ……うぅ……」 「今は鈴菜に睨まれているから本心を出せないでしょうけど……貴女の本当の気持ちは理解しているつもりです……」 「ほ、本当の……気持ち……」 「貴女はイジメられた仕返しをしたいと思ったから参加したはずです。この手で……やり返したいって……心の奥底では思っている筈です」 「仕返し……? 私が……鈴菜様に……仕返し……」 「そうです……。だから貴女にこのアイマスクを付けて貰いたいんです。彼女の生命線である“視覚”を貴女に奪ってもらいたいっと思ってるから託しているのです……」 「私が……鈴菜様の……生命線を……奪う……」 「こら美咲っ! そいつの言う事なんて聞かなくていいわ! あんたは私の言う通りしてればいいのっ! そのアイマスクを私に近づけでもしたら絶対に許さないわよ! 生きている事が辛くなるくらい責め抜いてやるんだから!」 「ひっ!?」 「大丈夫です。ほら、今の鈴菜を見てください……。貴女に危害を加えられる状況にありますか?」 「……い、いえ……」 「十字架にあの格好で拘束したのは貴女でしょう? だったら……鈴菜があの拘束から逃げられないって事は貴女が一番分かっている筈です……」 「私が……鈴菜様を……拘束した……」 「ちょっ!? 美咲ッ!! 近づくなっ!! 背後に……回るなぁ!!」  「私が……鈴菜様の生命線を……絶つ。鈴菜様の強みだった……視界を……私が……奪う……私の手で……」 「ひっ!? ま、ま、待ちなさいっっ!! やめっ! ホントにキレるわよっ!! 今すぐにそのアイマスクを下げなさい!」 「美咲さん……貴女は復讐を果たしたいはずです……。散々虐められた仕返しを……その手で……」 「この手で……仕返しを……。鈴菜様に……仕返しを……」 「や、やめっ!! ふざけるなぁぁ!! 殺すわよっ!! あんたっっ殺してやるからねっっ!!」 「ほら……頭を暴れさせないで下さい? 折角美咲さんが自分の手で復讐の第一歩を完遂しようとしているのですから……」 「復讐の……第一歩? そう……ですね。まだ第一歩……最初の復讐なのですね……」 「やめろっっ!! やめなさいぃぃっっ!! 付けるなぁぁ! それを付けるなぁぁ!!」 「さぁ、私が頭を固定しておきますので……その隙に付けてあげてください。しっかり……光一つ漏れないくらい密着させて……ベルトもキツく留めるんですよ?」 「ちょ! ホントにやめて! 見えなくなるっっ!! 何も見えなくなるからぁぁ!!」  暴れる鈴菜の顔を両手で押さえつけて抵抗を無理やり鎮める恵理と、最初こそ怯えた表情を浮かべていたがいざアイマスクを装着し始めるとニンマリと笑みを浮かべて楽しそうにベルトを締め付けようとしている美咲……  嫌がる鈴菜の顔にアイマスクを無理やり装着させるというその光景を眺めているだけでも、あなたは血が滾る程の責め欲が沸き上がってくるのを感じてしまう。  鈴菜が嫌がれば嫌がるほどに……暴言を吐けば吐くほどにその滾りは強くなり続け、早くこの生意気な少女を責め犯してしまいたいと胸の鼓動が高鳴ってやまない。 「恵理様……。装着完了しました……」 「有難うございます。どうです? 自分の手で彼女の視界を奪ってやったという自覚……持てましたか?」 「……はい♥ 付けた感触を……この手がしっかり覚えています」 「いい笑顔ですね。その“まだ虐め足りない”って言わんばかりのいやらしい笑み……そういう顔が出来る様になったという事は、心配いりませんね?」 「えっ? 私……そんな顔……してます?」 「はい……」 「そ、そうですか……いやぁ~~お恥ずかしいです……」 「ちょ、ちょっと? 美咲っ! 今すぐこれ外しなさいっ!! 今ならまだ許してあげない事もないわ! 今外すなら……」 「そっか……見えないって事は……こういう事をしても……誰がやったか分からないですよね?」 ――ツンツン♥ 「マにゃハっッ!? うひゃはっっ! やめっっやめっっ脇腹をつつくなぁぁ!!」 「アハハ……楽しぃ~♥」 「さて、お待たせいたしました……準備が整ったので、ここからは後半戦と参りましょう……」  先程までの陰鬱な雰囲気を完全に消し去って悪戯好きなお姉さんの様に楽しそうな笑顔を浮かべる美咲だが、恵理の方は相変わらずの無表情であなたの方を振り返りまるで美咲の悪戯に興味を示さないという態度で淡々と次の段取りの説明をあなたに始める。 「説明は……しなくても大丈夫かとは思いますので、簡単にだけこれからの後半戦の流れを説明しておきます。まずあなたにやって頂きたいのは……パートナーの選択です」  パートナーの選択……それは目の前で機械の様に淡々と喋っているこの恵理か、見えないのを良い事に体のあちこちを突いて悪戯を楽しんでいる美咲か……このどちらかを選んで一緒に後半の責めを行うというものだが……確か、彼女達は責めるのに得意な部位がそれぞれあったと記憶している。  その得意な部位を責めさせるか、はたまた自分が好きな部位を責めさせるかは好みで決められたと思うけど……どうせなら得意な部位で得意な責めを行って貰うのが効果的である。 「パートナーを選択しましたら、今度は責め箇所の選択です。パートナーに上半身を責めさせたいと思ったのでしたら、あなたは下半身を責める事に……逆にパートナーに足裏を責めさせたいと思っているのであれば必然的にあなたの責めは腋か脇腹のある上半身を責める事となります。私も美咲さんも得意な部位など在りはしますが……あなたが責めたい箇所を先に決めて残った部位をパートナーに責めさせるという選択でも勿論可能です。そこはお好きなように……」  恵理の説明にもあったように、自分が責めたい箇所をまず決めておくというのも選択方法の一つだ。そして残った部位と相性の良いパートナーを選ぶ……というやり方でも良いし、そうしなくても良い……全てはあなたの気分次第で決めても良いのだ。 「目的は……彼女の口から“ギブアップ”という言葉を吐かせる事……時間内にそれが叶わなければ今回の挑戦は失敗となります。失敗にはなりますが彼女の拘束期間長いので、最初からにはなりますがこれからも何度でも挑戦しなおすことが出来ますのであしからず……」  そこは店のシステム上何度でも遊べるよう配慮されたシナリオというべきなのだろう。同じ説明を何度も聞く事になるが、このプレイが開催している期間中はお金を支払えれば何度でも挑戦可能なのだ。 「もし彼女の“ギブアップ”を吐かせることが出来ればそこでプレイは終了となり、最後は私と美咲さんで彼女へギブアップをしたお仕置きをさせていただきます。それ自体はプレイの範囲外となりますので直接参加は出来ませんが、その様子を最後まで見ていく事は可能です」  確か……ギブアップを宣言すれば、給料からそれ相応の額を減額されるとかされないとか……。  しかも連帯責任として他の二人も減額されるという事になる為、プレイ後は必ず“ギブアップしたお仕置き”を二人から受けなければならない……とカウンターで説明を受けた。  減額されるからパートナーは手を抜く……という事はなく、むしろ仕返しの方をしたいから逆に張り切ってしまうとの説明も小耳に挟んだため、パートナーに選んだ方の減額は少額なのだろうと予想できる。  まぁ、お店のシステム面がどうなっているかなど気にするだけ野暮というものだが、理不尽に手は抜かれないという安心感だけはその説明で得ることが出来た。 「さて……ではそろそろ、選んでいただきましょうか……パートナーを……」  恵理がそのように声を抑えて言葉を零すと、鈴菜の反応を見て楽しんでいた美咲も顔に笑顔を浮かべて恵理の横に立つ。  あなたは二人を何度も見比べ……そして一度だけ大きく頷きを入れた。 「では、彼女に聞こえないよう……小声で教えてください。パートナーにどちらを選ぶのか……そしてどこの部位をどちらが担当するのか……」  あなたは恵理と美咲の顔の間に自分の顔を挟み二人の耳に向けて小声でパートナーと責め箇所を伝えた。  あなたの選択は…… A:“上半身”を“美咲”に担当してもらい“下半身”は自分が担当する事とした→#66へ B:“下半身”を“美咲”に担当してもらい“上半身”は自分が担当する事とした→#67へ C:“上半身”を“恵理”に担当してもらい“下半身”は自分が担当する事とした→#68へ D:“下半身”を“恵理”に担当してもらい“上半身”は自分が担当する事とした→#69へ

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