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8:更なる秘密 「じゃあ……いい? 触るわよ?」  贔屓目なしに見ても、彼女の腋は美しかった。  別に自分や他人のそれをマジマジと見つめたことなど無いのだけど……それでも彼女の腋は綺麗で艶かくてエロティックに私の目には映った。 「う……うん。最初は……優しく……してね? ビックリしちゃうかも……だから……」  体育倉庫の天井近くに1つだけある小窓から土曜昼下がりの光が煌々と差し込み、玲の体を背中から照らしている。  背後から照らしていることもあり、髪の艶や背中の骨格の浮き出た感じはハッキリ見えているけれど、顔や胸……隠しておきたいであろう秘密の箇所などの前面の部分は絶妙に逆光が重なりぼんやりとしか見えない。  それがまた……私の“見たい欲”を程よく刺激し、なんとも言えないエロティシズムが沸々と湧き上がってきてしまう。  逆光により堀の深さが増しているように見える、彼女の腋の窪み……。  腕の付け根に向かって伸びる鎖骨の筋と胸の付け根の柔らかそうな皮膚……そして脇腹から続く浮き出た肋骨と二の腕の内側から張るように伸びきっている薄皮の皮膚。それらが交差して作り出したワキという部位は、あの小説を意識しているせいで彼女の晒された性器よりも淫靡な部位として私を興奮させていく。  もう……彼女の腋を見ているだけで、顔が火照り……早く触ってしまいたいと思わせてならない。 「優しく……だね? うん……優しく……」  早く触りたいが焦ってはいけない。こんな風に他人の体を触らせてもらえるシチュエーションは未だかつて無い。こんなにも無防備にされた同世代の女子の体を触るシチュエーションが来ることがあるなんて……想像だにしていなかった。 こういうのを……世間では何と呼ぶのだろう? 多分……SMとかそういう怪しいプレイの名が付けられるのだろう……。まさか自分がそのようなプレイに興じるとは夢にも思わなかった。 心臓の高鳴りが抑えられない。試しにとばかりに伸ばしていく右手の人差し指がカタカタと震えてしまって仕方がない。  震える指先が、玲の胸の横をゆっくりと横切っていく。胸の柔らかそうな感触を味わうことなく……その指は迷わず真っ直ぐに腕の付け根へと吸い込まれていく。 「…………っ」  玲が思わず目を瞑る。指が近づいてくるのを見るのがむず痒くなりすぎたのか、目尻にシワが出来るくらいに強く目を瞑る。  指先が腋の窪みへと静かに侵入する。手首に体重を掛けられているせいか腋の中心は窪み部分の膨らみが強調されていて小高い丘のような盛り上がりを形作っている。  その丘の頂上に……。触られればさぞかしこそばゆい刺激を受けるであろう、その柔らかそうな腋の丘陵に人差し指の爪先が僅かに触れる。 「っひっっ!!?」  玲の体がビクリと震える。それと同時に彼女らしからぬ可愛らしい悲鳴が固く閉じていたはずの口から零れてしまう。  爪の先が丘陵の柔らかな皮膚に僅かにめり込む。  その皮膚の柔らかさと生暖かさが指先に伝わり、私は思わずゴクリと生唾を飲んでしまう。 ――コソッ!  めり込ませた爪先を少し下に動かして引っ掻く動作を加えてみる。  腋の皮膚はその動きにジョリっという音を立てる。  その僅かな動きは、私が玲に行う最初の“責め”となった。 「くひっっ!!?」  先程とは比べ物にならないほどのビクつきを見せた玲……。よほどその僅かに動いただけの引っ掻きがむず痒かったのか、彼女は真一文字に固めていた口元を即座に波立つように緩め、情けない声を漏らしてしまう事を余儀なくされる。  私はそんな可愛い反応を見せた彼女に、自分でも信じられないほど本能に忠実な言葉を彼女にかけてしまう。 「玲のワキ……あったかくて柔らかくて……気持ち良い♥ もっと触りたくなっちゃう……」  思ったことを脳で咀嚼せずにそのまま口から出た感想……普通ならこういう言葉は口から出すべきではない。こんな変態チックな言葉を吐いて品位を疑われるのは全くもって宜しくはない。 普段の私なら自制が利くためこのような言葉は間違っても口からは出さないのだけど、このとても現実離れした光景に当てられていると……ついつい判断が緩くなり、そういう言葉も言いたくなってしまう。 美人でスタイルの良い玲の裸体を薄暗い密室で見ているという特異な状況……。無防備にワキを晒すように吊るされ拘束された、異様な光景……。それら現実離れしたシチュエーションが私を大いに酔わせている。 フワフワと地に足がつかない感覚が続くような……夢の中にいるかのような高揚感と浮遊感を味わいながら私は指を動かしていく。意地悪に……ひたすら意地悪に……。 「はっひっっ!!? はふっっっくくくく!! んくぅぅぅぅぅぅぅっっ!!」  腋の丘陵のてっぺんをイイコイイコと撫でるように、こそばゆさを感じる神経を逆撫でするように私の爪先は上下にしつこく同じ箇所を引っ掻き続ける。  玲は掻く動作が始まる時は頑張って声を出すまいと口元を引き締めるが、爪先が少しでも動き出して掻き始めるとたちまちに口の形が緩み波立つような形に変化する。そしてその僅かに空いた口の隙間から息が漏れるような我慢声が零れていく。 ――カリッ♥ カリカリッ♥ 「ぷひっっ!? んくぅぅぅっっっ!! くっ、ふっ、くっっっっふふっっ!!」  引っ掻きが繰り返されると、玲の体もビクついて反応を示すのだが……やはり刺激にも慣れるのだろうか、同じ箇所を繰り返すうちにその反応も薄くなっていく。  だから私はまた意地悪な責めを彼女に仕掛けていく。 ――コソ♥ コソコソ♥  慣れへの対処としてまずは触り方を変えてみる。  爪の先で引っ掻いていたのを指の腹で撫でる動作に変えてあげたり、人差し指ではなく中指や薬指でなぞるというやり方に変えてあげたりと、今までとは違う刺激になるよう変化を加える。すると…… 「ぶはっっはっはっはっはっはっはっっく!!? んくっっっ!!!! んぐぅぅぅぅぅっっっっ!!」  一瞬ではあったが玲の口から弾けるような笑いが飛び出した。  普段の彼女からはまるで想像できない明るめな笑い声……。恥ずかしくなったのかその後は俯いて無理やり声を押さえ込もうと口元を固く結び直してしまうが、私は見てしまった。あのクールな玲が目を垂らして口角を弛緩させて吹き出したあの顔を……。  正直……意外だった。玲ってあんな顔出来るんだ……そんな言葉が出てしまいそうになった。  彼女が笑ってしまう顔を……初めて見た。いつもツンとした表情で黒板を見ている彼女が……あんなにも可愛らしい笑い方を私に見せたのだ……。 私はこの笑顔を見て同時に2つの感情が湧き上がる。 1つは圧倒的な優越感……。恐らくクラスの誰も見たことがないであろう彼女の笑い顔を、一瞬でも目に収められたという痺れるくらいの優越感をまず味わった。 想像以上に可愛い……。小説の文章から想像だけで浮かべていた彼女の笑顔とは比べ物にならないくらい可愛い! それを見られただけで私は体がフワッと宙に浮くような高揚感を得てしまう。そして……  もうひとつの感情は、ごくごく当たり前な本能の欲求……。 “もっと……あの笑顔を見てみたい”“今以上の笑顔を……見てみたい!”  1度見られたのだったら……もう1度見てしまいたい。  いや……1度と言わず……何度も……何度も見たい! あの笑顔を……。 「うぅぅっっ…………」  玲は笑ってしまったことを恥ずかしがっている。顔を真っ赤にして横を向き……私に目を合わさないようにしながら恥ずかしがっている。  そんな羞恥心に苛まれている彼女も……凄くイイ♥  恥ずかしがっている彼女を見るのも新鮮だから……なお加虐心を刺激されてしまう。 「玲ったら……可愛い♥ そんな笑い方するんだ? 案外……豪快なのね?」  私は恥ずかしがる彼女に追い打ちの言葉を放つ。それがどういう反応を生むか……想像は出来ているが、それでも見たかった。彼女が更に恥ずかしがる姿を。 「っッ!? い、今のは……不意を突かれて変な声が出ただけです。笑ってなんか……いません!」  予想通り、玲は頬を真っ赤に染めながら強い睨み目で私をキツく見返し、声を裏返しながら苦し紛れの言葉を紡ぐ。 「あらぁ? そうだったぁ? 口がグニャ~って歪んでたんだけどなぁ~」 「くっっ!? し、知りません!」 「目だってタレ目になってたわよぉ? 目尻に涙も溜まってた♥」 「知りません、知りません、知りませんっッ!! そんなの……私ではありません!」  実際、爆笑したという程の笑いを見たわけではないが、私は彼女の羞恥心を煽るためあえて大袈裟に表現を付け足していった。  自分の笑い顔なんて見れるはずもない玲にとって私のその表現は痛烈に恥ずかしさを増してしまったようで……徐々に言葉尻の勢いが弱々しくなっていく。 「笑ったのを認めたくないの? クールな玲ちゃんっていうイメージを崩したくないてことかしら?」  私は攻勢を緩めることなく彼女の心の弱点を探るべく芯の部分にメスを入れ始める。 「べ、別に! クールなイメージなんて……他人が勝手にそう思っているだけで……」  「じゃあ、なんで普段から笑わないの?」  私の言葉に玲の体がビクリと反応を返す。 「ふ、普段は……別に……楽しいことなんて……別段……ありませんし……」 「それでも愛想笑いの一つくらいは誰だってやるわよ? 玲はそういうのもないじゃん。ずっと仏頂面ばっかで……」 「そ、それは! その……別に……愛想なんて振りまく必要性を……感じませんし……」 「私にもいつも不機嫌そうな顔を見せてたよね? 朝の挨拶ですらしてくれなかったし……」 「あ、挨拶ぐらいしてます! ちょっと……小声だったかもですけど……」 「本当は……わざとヤってるんじゃない? そのキャラ……」 「ふえっ!?」 「わざと不機嫌な態度をとって遠ざけていたでしょ? 周りの人を……」 「あうっっっ……そ、それは……」 「ねぇ……なんで? なんで……そんな風に周りに冷たくするの? 過去に何かあった?」 「うっ……うぅぅ……それは……その……」 「正直……あまりいい噂は立ってないわよ。あんたが……そんな態度とってるから……」 「………………」 「不気味だとか、根暗だとか……そんな陰口叩かれてるんだよ? それでいいの?」 「うぅ……私は……別に……気にしてなんか……」 「いいえ! 気にしてるでしょ!」 「んえっ!?」 「あんたの小説の中に出てくる被害者……というか加害者は、そういう陰口を叩いてる連中ばっかり登場しているわ! まぁ……私がその中に入っているのは意味わかんないけど……とにかく、あんたは意識してる筈よ! そういう子ばっかり登場しているわけなんだし!」 「うぅっっ……そ、それは……」 「言葉の強い子だったり……グループのリーダー格の女の子だったり……そういう“厄介そうな子”ばっかりがあんたを責めて虐めていたわ。しかも! 彼女達の陰口だってその小説にバンバン責め言葉として書かれてた! あんたは理解してやってるってことでしょ? 自分がそういう陰口を言われているって……」 「うぅぅ……ぅぅ……」 「ねぇ……なんで? なんで……陰口言われるって分かってて……そういう態度をとるの?」 「それは……うぅ……い、い、言えません! それだけは……」 「ふぅ~ん……やっぱり……自覚してたのね? 自分が裏でどう言われているかを……」 「……うぅぅぅ…………」 「じゃあ……その理由を教えてくれるようになるまで……あんたには、たっぷり苦しんでもらおっかなぁ♥」 「はひ? く、苦しむ?」 「小説とは設定やシチュエーションは変わっちゃうけど……そういう理由で責められるのも悪くはないでしょ?」 「ひっっ!? ま、まさか……これから私のことを……」 「そうよ♥ あんたが望んだ通り……苦しめてあげる♥ その無防備な体中を……くすぐり続けてね……」 「ぃひっっ!? い、嫌です!! も、も、もう勘弁してください!! 笑うのは……もう嫌です……」 「嘘おっしゃい! 本当は望んでいたんでしょ? 小説のように……私に虐められるのを……」 「あ、あれは小説の中だから良かっただけで……実際にヤられるのは……その……」 「まぁ、あんたがどう拒否しようが私はヤるんだけどね♥ 私の責めたい欲が高まりすぎて……我慢もできなくなってきたし……」 「ひっっ! や、やめてください!! もういいからっっ! この拘束を解いてくださいっ!!」 「どう足掻いても無~駄♥ あんたはもう私の成すがままよ♥ 笑いたくないんだったら……せいぜい頑張って笑うのを我慢することね……まぁ、無駄だろうけど♥」 「ひ、ひ、ひぃぃぃ!! は、背後に回らないでっっ!! いやっっ!! やめてっっ!!」 「ほ~ら♥ 口を閉じてないと……すぐに笑っちゃうわよぉ~? これからあんたのこの伸びきった綺麗なワキを……コチョコチョ~ってしてあげるんだ・か・ら♥」  私は責めの本能が促すままに彼女の背後に回り込み、脇の両サイドから手をニュッと出させ指の動きを見せつけるように彼女に手を晒す。 「ひっっ!!? や、やめ……やめっっ! 手をワキワキ……させないでっっ!!」  私の指は、全てがグネグネとランダムに動き、これからの責めを彼女に想起させる。  それと同時に私も脳内で彼女の笑い顔を思い起こす。  あの……可愛い笑い顔を……また見たい。  この指の動きで……もう一度あの顔を彼女に強要したい……。  私の頭の中はそのイケナイ責め欲に支配され、自分でも自制が利かなくなっている事に気付いてしまう。  言葉ではフェアだなんだと綺麗な言葉を並べてはみたが、そういうのは実質建前でしかない……。彼女を納得させるためだけの建前。 結局は私が責めたいという欲が強いだけだ。偽善を装って彼女の了承を取ったのも……自分がくすぐりたいという欲を満たしたかっただけだ。 最低だ……自分でもそう思っている。でも……最低だと分かっていても、この欲は抑えられない。  気付いてはいるが自制する手段が見つからない。だから流されることを静かに選択する。  私の指は、自分の意志とは関係なしに彼女のワキを責めたがっている……。  僅かに焦りの汗が滲んで光沢を孕んでいる……玲の美しすぎるワキを……。

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