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7:シナリオ通りの土曜日  土曜日の正午……1日の最後の授業が終わりを迎え、生徒はそれぞれ伸びをしたり談笑を交わしたりと授業から解放された緩やかなひと時を楽しんでいた。  そんな中一人いそいそと帰り支度を進める玲に、私は小さく折りたたんだ手紙を彼女の机に投げ込む。  一瞬ゴミでも投げられたのかときつい視線を私に向ける玲だったが、綺麗にたたんである紙が“手紙”である事に気づくと、それを開ける前からそれが何を意味するのかを悟った様子で徐々に顔を青ざめさせながら私の顔を怯えるような目で見つめ返した。  私は口笛を吹きながら席を立ちその視線を無視しながら、彼女より先に“約束の場所”へと向かうために教室をあとにした。  勿論、あの手紙にはこう書いてある。  “放課後一人で体育倉庫に来て”と。  小説の通りの展開……。さぞかし玲は焦っていることだろう。  まさか自分の書いた通りのシチュエーションに現実がなってしまっているのだから。 彼女よりも先に体育倉庫へとたどり着いた私は、バックをおろしそのバックの中から1本のロープを取り出す。 そう、彼女を縛るためのロープ……。私はそれも持参してきた。 そして天井にスクリーンか何かをかけるためであろうフックを見つけ、そこにロープを通して準備万端に彼女を待ち受ける。 丁度その時、私の入ってきた扉を勢いよく開け顔を真っ赤にさせながら玲が指示通りに入ってくる。その顔はいつものクールで冷静な表情ではなく、焦りや不安の入り混じった余裕のない表情。入ってくるなり私がロープを天井に掛けている姿を見て確信を持ったのか、赤い顔をさらに赤く染め掴みかかる勢いで私に歩を進めてきた。 「ど、ど、ど、どういうつもりですか!! これは、一体なんのつもりです!!」  私のすぐ横まで詰め寄った彼女は焦りからか呼吸は乱れ額に汗を滲ませている。私はその顔を見ただけで虐めたい欲が刺激され意地悪な口調で彼女に言葉を返す。 「ちゃんと来たみたいね? 偉いわ~~♥」  必死の形相で口を開く玲を私は茶化すような笑顔を向け彼女の睨み目を受け流す。 「の、の、ノートを……読みましたね? わ、私の……あのノートを……」  表情は睨みを利かせているが声は震え握られた拳もワナワナと震えている。 「ノートって何かしら? 何のこと?」  私はロープをピンと伸ばす仕草をし彼女の問いかけに口笛を吹きながら彼女の望まない返答をする。   「とぼけないで! あの手紙の出し方も……手紙の内容も……そのロープも! 全部私がノートに書いた小説通りじゃないですか!」  私はその言葉にピタリと動きを止め、口元をニヤつかせみるみる悪い顔になっていく。 「小説? へぇ~~玲ったら小説なんて書いてたんだぁ~~ふぅ~~ん?」  私は顔を青ざめさせ後擦さろうとする彼女の方を向き、1歩2歩と近づいていく。 「ところで……その小説ってどんな内容なの?」  体育倉庫の壁に向けて後擦さっていく玲を追い詰めるように私も歩を進めていく。そして意地悪な顔で意地悪な問いかけを彼女に被せていく。 「うっ……そ、そ、それ……は……」  今まで以上に顔を赤く火照らせ、地面の方に視線を落としていく玲。背中には壁が迫り彼女は逃げ場所を失ってしまう。  背の高い彼女をわざと下から見上げ、恥ずかしがっている表情を堪能していく私……。逃げ場をなくした玲は追い詰められた小動物のような目で私を見つめる。 「ね、教えて? あなたの小説には誰が出てきて、誰にどんな事をする小説なの? 詳しく……言ってみなよ、ほら……」  私は自分でも信じられないくらい冷徹な言葉を彼女に浴びせている。怯える彼女を見ているとますます虐めてしまいたくなりそういう言葉が次々に浮かんできてしまう。自分のことをサディストだとかドSだとかそういう視点で見たことはなかったが、今の私は間違いなくサディストの血が廻っている。秘密を知り圧倒的に優位な立場に立っているものだから、ますますその責めたい欲は強まって仕方がない。 「か、勘弁……して……。お願い……誰にも……言わないで…………」  玲は私の責め言葉に耐え切れず目尻から涙を溢れさせながら私に小声で懇願を始めた。  あの小説のことを秘密にして欲しいと。 「私は小説の内容を聞いているだけだよ? ほらぁ、教えてよ……。どんな事をしている小説なの? うん?」  泣き落としに入る彼女に情など一片も見せず壁際に追い詰めて片手を壁に当て責め立てる私。こんな姿を客観的に自分で見れたならさぞかし恥ずかしくて顔から火が出そうになることだろう。普段の私がこんなことをするなんて自分でも思っていないのだから。 「は、恥ずかしい……から……言わせないで……お願い……」 「恥ずかしい内容なの? エッチな事とか……しちゃうのかな? 彼女たちは……」 「うぅぅっっ!! な、なんで? なんでよりによって貴女がノートのことを知っているの? うぅぅぅぅ」 「ほらぁ~知らないから教えてって言ってるじゃん。ね? 彼女たち……ううん、私と玲はこれから何をするんだったっけ? こんな薄暗い密室で……」 「は、恥ずかしいっっ!! 恥ずかしいから言わないでっっ!! お願い!! あ、あれは……違うの! 一時の気の迷いで……」 「一時の気の迷い? 本当にぃ? だったら……他のクラスメイトの子にも同じことをヤらせているのはどういう事かしら? それも気の迷い?」 「うぐっっ!? も、も、も、もしかして……全部……読んだり……してる……の?」 「読んだわ。何度も何度も読み返してあげた……」 「ひっっ!? や、や、やだ!! 忘れてっっ!! 今すぐに忘れてよ!!」 「忘れても……写メっちゃってるからいつでも読めちゃうんだよなぁ~~」 「う、うそ!? い、いやっっ!! そんなの酷いっっ!! 今すぐに消して!! 今すぐに記憶も記録も消して!!」 「なんで? 折角掴んだ隣人の弱みなのに……なんでそれを消さなきゃならないのよ?」 「よ、弱み……?」 「そっ♥ 美人でクールで頭がよくてスタイル抜群のあんたの恥ずかしい性癖をやっと掴んじゃったのよ? 利用しない手は無いじゃない……」 「お、お金なら……払います。いくらでもバイトをして払いますから……だから、この事は――」 「お金なんて要らないわよ」 「えっ?」 「別にお金が欲しくてココに呼び出したんじゃないもの……」 「じゃ、じゃあ……私は何をしたら……」 「ここまでシチュを整えてあげたのよ? あとは何をしたらいいかなんて言わなくても分かるでしょ?」 「シチュを……整えた?」 「玲だって望んでたんでしょ? こういう風になる事を……」 「わ、私が……望んだ??」 「望んでなければ書かないわよね? あんなに濃密に……私に虐められる描写なんて……」 「そ、それは……その……」 「私ね、実のところ……アレを読んですっごく感情移入しちゃったわ……」 「えっ?」 「小説の中の私にすっごく興奮しちゃったの……感情移入しすぎて……」 「そ、それって……」 「何度も読み返すうちにね、私も実際にやってみたいって思うようになっちゃったの」 「やって……みたい……?」 「別にあんたのこと脅したりするつもりは毛頭無いわ……その代わり……」 「………………」 「私にもヤらせてよ」 「…………!?」 「小説のような……楽しそうなイジメを……」 「そ、そ、それって……本当にやるっていう……事? アレを……」 「だからそう言っているじゃん。ほら、ロープまで用意してあげたんだよ? 玲の為に……」 「わ、わ、私の……為に?」 「シチュエーションも同じでしょ? 手紙で呼び出して……私はこう言うのよね?」 「…………(ゴクッ)」 「服を脱いで両手を私の前に差し出しなよ……って」 「…………!!」  玲は私の睨むようなまなざしに目を左に右にと泳がせ戸惑いの表情を見せたが、おちゃらけていない私の真剣な眼差しを何度か見ると諦める様に1度だけ頷き、セーラ服のリボンに手をかけてそれをシュルリと外していった。  私は上から順番に制服のボタンを外していく同級生の姿を好奇な目で見つめ、計画通りに彼女を丸め込めたことに安堵の息をつく。 「は、恥ずかしいから……あっち向いててください……」 「やだ。あんたの恥ずかしがってる顔も見ていたいから、このまま私のほうを向きながら服を脱いでいきなさい」  スカートに手を伸ばした彼女は恥ずかしそうに顔を赤らめそう訴えかけてきたが、私は顔を横に振り即答でその要求を却下した。  私のあまりにも早い答えに意志の強さを見た玲は、その後は何も言わず淡々と身に着けていた衣服を順番に脱いでいく。  その細くてすらりと伸びた脚からまずは革靴が外され、膝までを覆っていた黒いニーソックスも片方ずつ脱ぎ去り靴の上に綺麗に畳んで置いていく。素足になった彼女の脚からは今度は紺色のスカートが脱がされ、彼女の引き締まったヒップを部分的に隠す黒いレースの下着がお目見えする。そしてセーラ服の下からは白いカッターシャツが現れ、そのシャツも脱ぎ去るとパンティと同じ色の黒くて大人っぽいブラが露になった。  体育や水泳の授業の時は別段気にすることも無い着替えの風景だけど、こうして密室で2人きりの状態で見せられる同性の素肌は何かこう特別な意識を向けて見てしまう。  特にこのように恥らいながら脱衣していく美人なクラスメイトの顔を見るだけで……まるでスケベなオジサンにでもなってしまったかのように鼻の下が伸びてしまう。 「ほら! まごまごしてないで下着も早く脱ぎなよ。小説の中のあんたは脱いでたでしょ? ぜ・ん・ぶ」  下着姿になった玲はそれだけで恥ずかしそうに身体をモジモジさせ、それ以上の脱衣を躊躇し始めた。だから私は小説の内容も絡ませて彼女に脱衣を促す。  玲は顔をりんごのように真っ赤に火照らせて恥ずかしがっているが、私の炊き付けの言葉には逆らわない様子でゆっくりとだが下着にも手をかけそれを脱ぎ始めてくれた。  黒いブラが外されると、その下からはマシュマロのように柔らかそうな乳房がプルンと揺れながら私の目の前に晒された。そして、その晒された乳房を片腕で隠しながら今度は最後の下着も片手で脱いでいく。  やがて玲は一糸纏わぬ生まれたままの姿を私の為に見せてくれた。  大事な部分は手で隠してはいるが彼女の身体は同性が見ても羨む位いに美しく……高い位置にある小窓から差し込む陽の光に照らされ陰影のくっきりしたその裸体のラインは何ともいえないエロティックさを醸し出していた。 「じゃ、じゃあ……次は、わかるよ……ね?」  あまりの美しさに目を奪われドギマギしてしまった私は、声を上擦らせながら玲に次の行動を促す。  自分で書いた小説に沿った展開であるから玲も次に何をされるか悟っており、股間と胸を隠していた手を渋々ながら前に出し、私がロープを掛け易い様にと手首を合わせてゆっくりとこちらに差し出してくる。  私の心音は異常とも思えるほど高鳴り、手も震えてしまっていた為この差し出された両手に中々ロープをかけられない。  閉ざされた空間で日常ではありえない行為を私は彼女に強要しようとしている。傍から見れば明らかに非社会的な行為を……これから彼女にしようとしている。  未成年の女子を裸にさせて手首を縛って抵抗できないように天井から吊るす……。これは犯罪を行っていると言われても否定は出来ない。だってほとんど強要して行っていることなのだから。  でも私は信じている。  強要というきっかけで誘いはしたけれど……玲もきっと内心は喜んでくれているはず……。こうされたいと心底想ってあの小説を書いたのだろうから、私にこうされるのは嫌ではない筈……むしろ悦んでくれている……いや、もしかしたら興奮してくれているかもしれない。そう思いたい。 「い、痛く……ない?」  私は時間をかけてロープを玲の手首にぐるぐる巻きつけ、痛みはないかと彼女に尋ねる。念のためロープと手首の間には痕が残らないようにと柔らかいガーゼを噛ませて巻きつけているため吊り上げても痛みは強くは無いと思う……。しかし、先ほどから俯いたままで何も喋ろうとしない玲の事が気になりすぎて、私もついつい小声で聞いてしまう。 「……大…丈夫……」  私の小声に合わせるように小声で大丈夫だと呟いてくれた玲だったが、その顔は俯いたままで私と視線を合わせてはくれない。 「じゃ、じゃあ……吊り上げるよ? 良い?」  手首をロープに繋がれた囚人のような格好となった玲は、私の問いかけに黙って頭を頷かせる。  私はその頷きをみてロープのもう片方を手に持ち壁際にあった巻き取り式の滑車にロープを通した。  倉庫の重いものを持ち上げる為に設置したであろうこの滑車に玲の手首と繋がったロープを通し固定し、滑車の横についていたハンドルをゆっくりと一回ししてみる。すると、女子である私の力でも簡単にロープを巻き取ることが出来、これを回せば玲の体を簡単に巻き上げることが出来る事を私は悟ることが出来た。 カチカチカチ! カチカチカチカチカチ…… 複数回ハンドルを回すといよいよ玲の手首がロープに引っ張られ天井へむけて引っ張られていく。縛られた後も大事な部分を隠そうと手を下にさげていた彼女だったが、ロープの引っ張る力には逆らえず手を頭よりも高い位置に持ち上げられていく。私はなおも手を緩めずにハンドルを回し続けていく。 ガリガリガリ……ガリガリガリ…… ハンドルが人の重みを感じ始め、思うように回らなくなり始めた頃には玲の手は天に向けて完全に伸びきっておりかなりキツめな万歳の格好を強いていた。手首で全体重を支えるくらいに引っ張り上げられ、爪先立ちしてようやく地に足指が僅かに着く程度まで巻き上げられた玲は身体の突っ張る感じが不快なのか苦悶の表情を浮かべている。 もはや隠すことも叶わなくなった彼女のたわわな胸は身体を捩るほどに悩ましく揺れ、その張りと柔らかさを存分に私の視界に入れてくる。 これが完全に無防備にされた玲の姿……。 何とも官能的で……何とも可虐心をそそってやまない。 今すぐにでもあの無抵抗な身体に触れてしまいたい……。そんな欲望が沸々と湧き上がってくるけれど、私は彼女にちゃんと要求を伝えなくてはならない。小説をなぞって強要しているのだから……ちゃんと小説の文言の通りに……。 「わ、わ、私は……その……。可愛い女の子が大好きよ!」  自分でも恥ずかしいくらいに演技掛かった台詞……。でも仕方が無い。私は女優でも演劇部の部員でもないんだから……。緊張もしているし慣れない悪役をやっているのだから用意された台本を棒読みしてしまうくらい仕方が無いことなのだ。 「と、特に! 可愛い子が笑っている顔が大好きなの! 玲ってばいつも私にツンツンした顔しか見せないじゃない? 私はそれが我慢ならないわ!」  緊張と恥ずかしさと期待感が入り混じり手と声の震えが止まらない。目の前には私の為に全裸になって無防備な姿を晒しているクラスメイトがいる。その恥ずかしそうな表情を見ているだけでダメだ! もう……衝動的に動いてしまいそう……。 「今から私の為に笑いなさい! 私にだけ貴女の笑っている顔を見せなさい!」   今すぐ触りたい衝動から演技にも熱がこもり始める。小説の台詞からも少しずつ外れ、私の気持ちも含んだ責め言葉を紡いでしまう。 「い、嫌です! 何で私が貴女の為に笑わないといけないんですか! そんな気分でもありませんし……そんな事したくありません! お断りします!」  玲も負けずと小説の言葉をたどって私に返答を返す。彼女もこの後の展開に期待してしまっているのか言葉は真剣そのものだが表情は口角が笑みの形を作ろうとしていて今にも笑ってしまいそうな顔になっている。今まで彼女のこんな笑みを含んだ表情を見たことがない。どちらかといえば生気の宿らない人形のような表情ばかりを目にしてきた……だから今の彼女の顔は私に新鮮さを与えてやまない。こんな顔も出来るんだ……と感心してしまうくらいだ。 「ふ~~ん、そう? 断っちゃうんだ……? じゃあ……仕方ないわね。貴女には無理矢理にでも笑ってもらおうかしら?」  巻き上げたハンドルが戻らないように固定した私は、ゆっくりと含み笑いを見せながら玲の正面へ歩み寄る。  玲の柔らかそうな素肌が迫るにつれ私の心音も呼応するように高鳴っていく。 「無理矢理? 何を言っているんですか? 私は笑わないって言っているでしょ? 可笑しくも無いのに何で笑わなくちゃいけないんですか!! そんな事より早くこれを外してください!」  私が玲の身体に密着するくらいに近づくと、玲は身体を左右にくねって拘束を外せと抵抗の意思を見せる。しかし私はそんな彼女の訴えを無視し、これから触ることになるであろう彼女の腕の付け根の部位に視線を合わせゴクリと期待の生唾を飲み込んでいく。 「可笑しくなくても笑えるでしょ? こういう事をされれば……」  声を低く抑え迫力を出しつつも右手をゆっくりと上げ、玲の胸横にその手を運んでいく。 「ちょっ! なんですかその怪しい手の動きは!! その手で私に何をするつもりです……? な、何を……」  右手を胸横に構えた後は左手も同じ高さに合わせて同時に指先をワキワキとわざとらしく動かしてみせる。  小説を書いた本人なのだから玲だってこれから自分の体に何をされるのか分かっているはずだが、彼女はかたくなに演技を続けて分からないフリを続ける。  小説通りのセリフを一言一句変えない玲の几帳面な演技……それに対して、私の演技はアドリブが入りまくった……ある種本能に忠実になりつつある野性的な演技……。でも物語の進行になんら問題はない。 「ほら……この手を見て? この指先の動きで……もう分かるでしょ? 腕を下ろせなくなって責めから無防備にしたココに……私がこれから何をするか……」  胸の横で怪しく指だけを蠢かせて玲の想像を掻き立てていく私……。緊迫したシーンのはずなのに玲はその指の動きを見ているだけで口元がどうしてもニヤついてしまい、演技をしないといけないと知りつつも笑ってしまいそうな顔を形作ってしまっている。 「わ、笑ってもらうって……まさか! う、嘘でしょ?」  私の手はゆっくりに玲の胸横を通り目的の場所へと近づいていく。主張するように瑞々しく見事に膨らんだ美しい胸を触らずに素通りしていくのは……なんだかもったいない気がするのだけど、でも今はそんな性的行為に走るよりも“こちら”の方を触ってみたいという欲求の方が遥かに強く、私の手は迷わず胸の付け根である“あの部位”へと向かっていった。 「やっと分かってもらえた? 私がこれからあんたに何をしようとしているのか……」  胸の丘陵のふもと付近……肩と腕の付け根と鎖骨の合流地点にたどり着くと私は柔らかそうで暖かそうなその肌にはまだ触れず、触れるか触れないかのギリギリの距離を保って玲の言葉を待つ。  彼女の口からアレを言わせたい……私はそう思ってしまった。   「こ、こ、こんな無防備な……わ、わ、腋……を……そ、その……えっと……」  言わせたい……と思っているが玲は中々あの言葉を出さない。  裸になった時よりも恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせ、焦る様に目を左に右にと泳がせ、あの言葉を出すのを躊躇してしまっている。  きっと彼女の中では恥ずかしいのだろう。あの言葉を実際に口に出すのは……。私たちが性的な言葉を口から出すのを躊躇うのと同じで、彼女にとってあの言葉は口に出すのも恥ずかしい言葉のだろう。  だからこんなに口をムニュムニュさせて言い辛そうにしているのだろう。もういいから察して次の段階に進んでよ! と言いた気な目を私に向けている。 「分かったんだったらあんたの口から言ってみなさいよ……。これから私に何をされるのか……」  少し宙に浮くぐらいまで引っ張りあげた細腕は綺麗にまっすぐ伸びきり玲を強制的に万歳の格好に仕立て上げている。そんな強制的に上げさせられた腕の付け根には普段制服を着ているため中々見る事も叶わない“腋”の部位がこれでもかと言わんばかりに堂々と晒されてしまっている。  普段意識なんて全くしていないこの“腋”の部位だけど……こんな風にその部位を晒すような拘束をされると嫌が応にも意識させられる。特にこれから自身に行われる行為がアレなのだから……。 「そ、そ、それは……その……うぅぅぅぅ……」  腋の処理をしていなければ見せるのは恥ずかしい。それは私だってそうなんだけど……玲の腋は信じられないくらいに綺麗で……まるで産毛すらも生えたことがないんじゃないかと疑わせるくらいにツルツルで毛を剃った後なども見受けられない。そんな腋を見せるのは恥ずかしいなんて思わないだろう? と普通の人は思うかもしれないが、あんな小説を書くほどに性癖の捻じ曲がった玲は恥ずかしいポイントも人とズレていてしかるべきだ。実際私だってあの小説を読むまでは今まで意識なんてしたことすらなかった部位に意識が向いてしまって仕方がない。特にこの部位は……ただの腕の付け根だと思っていたこの部位は、今では私の性衝動を刺激してやまない箇所になってしまっているのだ。こうして玲の腋を見ているだけで……なんだか淫猥な気分が腹部から湧いてきてしまって……イケナイと分かっていても私は彼女を虐めたくて仕方ない衝動に飲み込まれてしまう。 「ほら、言いなよ? 言わなきゃ……先に進まないよ?」  言うのが恥ずかしいのだったら、言うまで焦らしまくってやろう。私のイケナイ加虐心が恥ずかしがる彼女を言葉で追い詰ようとシナリオにない言葉を吐かせる。 「は、恥ずかしい……。うぅぅ……も、もういいですから……早く……やって下さい……」  玲は顔を真っ赤にして横を向き消え入るような声で私に嘆願する。 「だぁ~~め♥ 言うまでしてあげない。して欲しいんだったら……ほら、言いなよ♥」  玲の顔がますます赤くなっていく。 「べ、べ、別に……して欲しいだなんて……思ってなんか……」 「嘘つきなよ、自分で裸になったくせにぃ~。縛られる時だって抵抗しなかったじゃん」 「そ、それは! その……弱みを……握られてたから……仕方なく……」 「ノリノリで演技だってしてたじゃん。シナリオ通りに……」 「うぅ……だ、だって! そういう風にしないと……満足してもらえないかもって……思ったから……」 「へぇ……あくまで私のせいにする気なんだ~~玲ちゃんは……」 「うっ……うぅぅ…………」 「じゃあ、このまま何もせず縛ってるの解いて開放しちゃおっかなぁ~~」 「えっ!?」 「私は、玲が小説にまで書くほどにこうされたいって思っていたからその願いを叶えてあげよっかなぁ~って思ってたけど……そうじゃないんだったら辞めてあげたっていいんだよ? 何もせずに……」 「ま、ま、待って! 手を引かないでっ!!」 「何で?」 「そ、その……私は……その……」 「『私は』……なぁに?」 「わ、私は……うっ……うぅぅ……」 「ほら……こういう事されるのが……玲の望みなんでしょ?」 ――サワ♥  私は肌から離そうとしていた手を元に戻し、試しにと言わんばかりに薬指の指先だけで腋の窪みに触れ、爪の先でゆっくり引っ掻くように縦にツツツと動かして刺激してみた。 「んひゃんっっッ!!?」  柔らかい肌に僅かに沈み込んだ爪が下方向に少し引っ掻いた瞬間、玲の身体は電気を帯びたようにビクリと跳ねクールな彼女に似合わない甲高い悲鳴が口から零れる。  玲の肌は想像通り柔らかく、爪越しでも肌のその暖かさを感じることが出来た。   「アハ♥ おもしろ~~い♪ 玲の口からそんな情けない声が出るなんて思いもしなかったわぁ♥」  こんな触られ方をしたら私だって同じような悲鳴を上げてしまうだろうけど、まさかあの玲の口から悲鳴を聞く日が来るとは思いもよらず私は普段の彼女からは想像もできない大きな悲鳴を出させたことに悦びを感じ背筋にゾクゾクした快感を走らせた。 「突然何をするんですかっ!! そんなトコいきなり触られたら誰だってこんな声を出すのは当たり前で――」  玲は顔を真っ赤に紅潮させて自分がしでかした失態に言い訳を零そうとする。しかし私はその言い訳を途中で遮り、ジト目で彼女を追い詰める言葉を紡ぐ。 「こんな事されるって、あんたは当然想像できてたでしょ? 作者さんなんだしね……」  玲の身体が再びビクンと反応する。そして言葉を途中で遮られた玲は再び顔を横に向けモゴモゴと歯切れの悪い篭った言葉を零し始める。 「だ、だ、だって……私は……こんな事を実際にされるなんて……その……」 「“思わなかった”なんて言わせないわよ? だってあのエロエロな小説の原作者はあんたなんだから……」 「うぅっ!? エロって……そ、そんな……。あれはただの息抜きで書いてた駄文の集まりなだけで……それ以上の感情なんて……」 「息抜きの駄文にしては……あの図書館で随分なことしてたじゃない?」 「ひっ!? そ、そ、それも……見てたんですか? 私が……その……アレしてた事とかも……」 「当然じゃない。見てたわよ? 最後に椅子を拭き取るところまで……全部ね」 「っっっッ!!?」 「まぁ、私は小説の中のような酷い女じゃないから……それを見たところで脅すつもりは毛頭ないのだけど……」 「うぅぅぅ…………」 「あの小説は……あんたの願望そのものだって……私は捉えたわ……」 「……ち、違っっ! あんな恥ずかしいこと……私が望むわけが……」 「いいえ! 望んだはずよ! 私に虐められる事……望んだから書いたんでしょ? 私の章を設けて……」: 「そ、そ、それは……その……」 「いいわ。じゃあ少しだけフェアにするためにも……私の秘密も教えてあげる」 「へっ? ひ、秘密??」 「そう! まさか小説に書かれている私の特徴でココだけ合っているとは思わなかったんだけど……確かに私は好きよ!」 「……好き?」 「女の子! 可愛い女の子! 好きなのっ! それは……確かに……合ってる……」 「女の子が……好き?」 「えぇ。変に思うかもしんないけど……私は女の子が好きなの! 男子とかよりもね!」 「そ、それは……小説の設定とかではなく? 本当の??」 「そうよ。百合思考とでもレズ嗜好とでも呼んでくれて構わないけど……確かに私は女の子が好きなの! 悪い?」 「はひっ!? い、い、いえ……私は……その……適当に小説につけた属性だったので……まさかそれが本当だったなんて……そ、その……正直ビックリしてます……」 「私だってビックリしたわよ! そんな雰囲気を出したつもりもないし……クラスメイトをそんな目で見た覚えもなかったからね!」 「……ほ、本当に? 本当に……女子が……好きなんですか?」 「だから! そうだって言っているでしょ? それが私が隠していた秘密! 気持ち悪いでしょ? いいわよ……罵ってくれて……」 「あ、あ、あの……なんでその事を……私に?」 「そ、それは……」 「それは……?」 「あの小説を読んで……もう一つ変わった性癖が……追加されちゃったから……」 「性癖が……追加された?」 「あの小説……めっちゃエロかった……」 「っッ!? や、やめてください! は、恥ずかしい……」 「アレだけで……アレをやるだけの描写で……あんなに興奮できるとは思いもよらなかった……」 「こ、興奮……して貰えたんですか? あの駄文に……」 「駄文なんてとんでもない! 私は興奮したんだよ? あんたを責めてる私自身を想像してっ!!」 「責めてる……自分を……想像して?」 「そうよ! だから……私もヤってみたくなった! いつもツンツンしてるあんたを、小説のように笑わせて苦しめてみたいって……思ってしまった……」 「小説のように……私を……笑わせる……」 「あんたが嫌っていうのなら無理にはしないよ! だって……今は現実なんだし……。そんなことすれば……明日からほら……どんな顔してあんたの隣に座ればいいか……分からなくなるし……」 「…………」 「一方的に弱みを握るっていうのも……私の趣味じゃない……。だって……こういうのって……お互いの了承のもと楽しみながらヤりたいじゃん?」 「楽しみながら……」 「だから、私の秘密を言ってあげたの! これならおあいこでしょ? 私の弱みも知ったんだから……嫌なら断れるでしょ?」 「………………」 「ちょっ! なんか……言いなよ……。恥ずかしいんだから……コッチは!」 「あ、いえ……その……。優しいんだなぁ……って……思って……」 「や、優しいなんて……やめてよ!! ただフェアになりたいだけ! あんたの秘密を嗅ぎまわっちゃったっていう……私への罰も兼ねてんの! コレは……」 「……………………」 「っで? どうする? ここまで準備はしちゃったけど……やめる?」 「…………(ボソっ)」 「ん? なんて言ったの? 聞こえなかった……」 「……もう一回……あの責め言葉を言ってください……小説の通りに……」 「あの……責め言葉?」 「“笑ってもらうって……まさか! う、嘘でしょ?”のセリフの……後から……です……」 「っっ! え、え、えと……確か……」 「小説では『流石にもう気付いたでしょ? あんたを笑わせる方法が何か……』と書いていたかと……」 「あ、あぁ……じゃあ言うよ? コホン! 流石にもう気付いたでしょ? あんたを笑わせる方法が何か……」 「こ、こ、こんな……無防備な……私のワキを……その手で……」 「その手で?」 「く、くす……」 「……くす?」 「くすぐ……る……つもり……なのね?」 「うん? なんだって? 聞こえなかったよ? もう一回言ってみなよ?」 「うくっ! く、く、くすぐるつもりなんでしょ! 私・の・こ・と・をぉ!!」  玲は高熱を出したかのように顔を真っ赤に染めて言い出し辛かった言葉を途切れ途切れに口から出す。  それを口から出したということは……彼女は言葉にしなかったが私とのプレイをOKとしてくれたようだ。  その奥ゆかしい羞恥心が垣間見られる返答の仕方に……私は彼女がとても愛おしい存在に思えてならなかった。   「フフ♥ いいわ……タップリ虐めてあげる♥ あんたの望み通りね……」 「はひっ!? そ、その言葉は小説には……なかったんですけど……」 「あんたも楽しみなさい? 私も楽しむから……♥」 「ひっ、ひぃぃぃぃぃ!! ちょ、やっぱり待って! 心の準備ができてないっっ! まだできてないぃぃ!」 「あんただって……小説の演技が出来てないじゃない……。フフ♥ 現実ってこういうアドリブだらけがあるからイイのよね? 加虐心を高めてくれるわぁ~♥ とっても♥」 「ひぃ! ひぃぃぃぃぃぃぃっっ!!」

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