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2:彼女の秘密  普通の人が一生のうちに一度触れるか触れないか……と言うのは言い過ぎかもしれないが、とにかく彼女がいつもその図書館で読んでいる本はそう言った類の専門書。やたら分厚くて、ページなんてA3サイズよりも大きい……人をその角で殴れば簡単に大怪我を負わせられそうな程デカい本……  表紙の題名は日本語でなく何語かも分からない。そして中の文章も何語か分からない文字が横書きに並んでいる……  彼女の行動に興味を持った私は、学校の中だけでなく放課後も彼女をつけて回るようになった。そして彼女がこの市立図書館にほぼ毎日通っているというのが分かった。  学校からはかなり離れた町はずれの小さな図書館……子供かお年寄りくらいしか利用者がいないその寂れた図書館に、玲は毎日通っている。  最初は真面目な彼女だから図書館で勉強でもしているのだろう……と思い図書館の中には入らず帰っていたのだけど、毎日通っているという行動自体にも興味が湧いてしまい、とうとうついて行ってしまったのである。  その理解不能な言語で書かれた大きな洋書を広げている姿を遠目に見て、私は当然こう思った。 『語学か何かの勉強でもしているのだろうか』と。  完璧超人そうな彼女に何かしらの綻びがないかと期待して図書館までついていった私だったけど、結局真面目に勉強しているだけだったという結果を見て若干残念な気持ちに苛まれる。  しかし、勉強をしている筈の彼女の様子が……何やらおかしい事に徐々に気付く。  右手でペンを走らせノートに何かを書き取っているように見えるが、遠目に見てもあの大きな本の下にノートの大部分が隠れてしまっているのが見て取れる。  本かノートをずらさないと文字が書き辛いだろう……という事が誰の目にも明らかだが、彼女は本の下にノートを隠すように乗せ、上の方に文字を書く時にはわざわざ本をずらしながら書くという“書いている物を人に見られないようにしている”風な書き方をしていた。  そして彼女の左手……  本をずらしたりする時に忙しなく動いたりしているが、しばらくするとその左手は本をずらすわけでもなくノートを押さえる為に添えるでもなく……何やら机の下……太腿付近に移動させ“ナニか”を行っている。  遠目であり背後からしか彼女を見れない私は、その手でナニをしているのかまでは分からない。  分からないが……想像は出来た。  左手がゴソゴソと動くたびに身体がピクンピクンと反応を見せている。  その姿を見た瞬間、私はすぐに悟ってしまう。あの左手で何かいかがわしい事をしているのだろう……と。  人のほとんどいない図書室の長机の隅っこで、あの美人で人見知りで真面目が地をいくような彼女が……こんな公共施設のような場所でイケナイ事をしている。これはとんでもない秘密を知ってしまった……と、私は心を躍らせた。  別に自慰をする事を咎めるつもりはない。実際……私だって……したくなる事なんてたまにはある。でも、彼女が行っている事は明らかに常識の外にある行為だ。公共の施設で勉強をしながらしてるのだから……  見つかれば女だとしても公然わいせつとかわいせつ物陳列罪とかそんな罪に当たるだろう。そんな事をあの頭の良い玲が分かっていないはずがない。  だからこれは彼女なりにスリルを得ようとしているのだろう。人にばれたら社会的に殺されるかもしれない……というスリルを味わいたいがためにココでアレをするようになったのだろう。  普段あのすました顔の奥に隠していたであろう快感への欲求……その欲求にスリルという興奮の発火剤を加えて解放してあげているのだろう……この図書館で。  そのような事からは一番縁遠いだろうと思っていた彼女の本当の姿を見てしまった時、私の中で何かがガラガラと音を立てて崩れ去る。  彼女に対するイメージ……彼女に対する“こうであって欲しい”という脳内欲求……いや、“こうでなきゃダメでしょ”と勝手に決めつけていた彼女の人間像……そういうものが崩れてしまった。  例えるなら、純粋無垢で清楚可憐そうなアイドルが実は昔アダルトな映像作品に出ていたと分かってしまった時の様な……自分の理想の像が音を立てて崩れていった感覚。それをリアルに感じてしまった……彼女のその行為を見てしまって……  憧れであり嫉妬していたという思いが強すぎて幻滅した……というのは正直な自分の感想だけど、その気持ちはすぐにまた“別の興味”へと移り変わってしまう。  私の考えていた彼女の人間像は壊れたけれども、その常識を逸脱した行為自体や、壊れた後に再構築された玲の人間像自身に新たな興味を抱いてしまった。  彼女は何を考えて“あんな事”をしているんだろう?  何が彼女をそうさせているんだろう?  私の中に改めて芽生えた好奇心は、先程まで持っていた好奇心よりも遥かに強くなっていた。  そりゃあ……私だって性に関しての興味は人並みくらいにはあるつもりだ……  まぁ……私の場合は男女の絡み合う性とかよりも、同じ女の性生活の方に興味が惹かれる訳で……  百合思考だとか、同性愛者だとか言われれば何の反論も出来ないけれど……  とにかく私は、玲の行為に興味を惹かれてしまったのだ。  美人の同性が隠れて行う情事を見る事に……

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