閉鎖病棟体験その7 (Pixiv Fanbox)
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「……さい。起きてください」
「ンご……ッ? お、んおぉ……ッ!?」
不意に身体を揺さぶられ、麻乃はまどろみの中から目を覚ました。
なのに、視界は真っ暗のまま何も見えず、次に伝達してきた感覚は喉奥を埋め尽くしているシリコンゴムの異物感と乳首を抓りあげるニップルピアスの甘い刺激だった。
重度の統合失調を患った精神病患者という立場で麻乃が閉鎖病棟の研修を始めてから三日。
入浴が終われば、麻乃は研修が終わると思っていた。
しかし、どうしてか麻乃は、入浴で一度脱がされたはずの拘束衣を再び看護師さんたちに無理やり着せつけられてしまい、そのあと車椅子に乗せられて病室に戻された挙句。ベッドから動けないように抑制帯で磔にされたまま麻乃は病室に放置されてしまってる。
もう、意味がわからない。
「やっと起きましたか」
「んぅう……ッ!? ン~~ッ!」
看護師さんの存在を認識して、顔を圧迫するように締めつけている全頭マスクの内側で「外して」と喉を鳴らしながら、麻乃は胸の下に揃えた両手をギシ、ギチチッ。と苦しそうに鳴らす。
一体麻乃は、ここへ来てから何回意識を失ったのだろう。
「ン……ッ、ん〜〜〜ッ!」
まどろみの中に落ちてしまっていた麻乃には、そんなことさえわからない。
わかるのは、しばらく放置されていた。という事実だけ。
その間も麻乃を縛めている拘束に変化はない。
麻乃の力ではこの縛めから抜け出すことは不可能なのだ。
それならば、麻乃はただひたすらに拘束に抗いながら訴え続けるしかなかった。
麻乃を縛めている絶望的な拘束を外すことができるのは麻乃を精神病患者としてこのように拘束した看護師さんたちしかいないのだから。
「抑制帯に緩みはないみたいですね。昼食の用意ができてるので、流し込んで行きますよ」
「ンんッ!? ——ンッ!? んぅ〜〜〜〜ッ!?」
しかし、その訴えは通ることはなく、次の瞬間には喉の奥へ何かが注がれてくる。
匂いも味も感じない。
生温かい液状のものが食道を通って、無遠慮に胃の中へと蓄積してくる。
「~~~~ッ!?」
同時に思考がふわふわとグラついて、下腹部の奥が熱くなる。
この感覚に麻乃は覚えがあった。
それは今まで何度も飲まされてきた流動食に他ならない。
看護師さんは昼食と言っていた。
ということは、現在麻乃が強制的に飲まされているのは、朝、昼、夕、の三回分に分けて与えられる流動食のお昼の分なのだろう。
もしかしたら、コレが終われば麻乃は解放されるのかもしれない。
そう願って流動食を受け入れていくのだが。
「~~~~ッ、~~~~ッ!?」
喉の奥へと注がれてくる流動食は、今までと様子が違っていた。
朝のときみたいにマスク越しに口の中へ注がれているのではなく、口の中を埋め尽くしながら喉の奥に挿入されているシリコンの先端部から流動食は溢れ出している。
ゴクゴクと喉を動かして意識的に飲んでいるわけでもないのに、直接喉の奥へ注がれているからか、危険を察知した気道が勝手に閉じてしまって、呼吸をしようにも息を止めているしかなく、ましてや、声を上げることさえもできない。
「たくさん飲んでお腹いっぱい満たしてくださいね~」
なのに、看護師さんは手を休ませることなく流動食を喉の奥へ流し込んでくる。
「ぉ~~~~ッ、~~~~~ッ!?」
時間が経過するにつれ、麻乃の脳裏には、呼吸ができなくて苦しい。という感覚だけに支配されていく。
肺が悲鳴を上げ始め、下腹部から胸のあたりの筋肉がこわばって、身体を揺らすことさえ難しくなり、弓形に背筋を固めたまま動けなくなる。
「残り半分です。がんばって飲み干してくださいね」
「ッ~~~ッ!?」
けれども、耳元で告げられる言葉は、無慈悲なものでしかなかった。
一分か。二分か。
ここまでの「半分」という言葉までにどれだけの時間を要したのか。
麻乃は覚えていないし。わからない。
唯一理解できたのは、この息苦しさがまだまだ続くということだけ。
「~~~~ッッ!?」
そんな状況でも頭の中は酩酊したみたいにふわふわと意識が乱れて、下腹部の奥だけでなく、拘束具によって縛められた肌という肌が灼けるように熱くなっていく。
左右の乳首を抓り上げるニップルピアスの存在感を急に強く感じ始めて、おっぱいにムズムズとした切なさがこみ上げてくる。
そのせいで勝手に閉じていたはずの気道の入り口が無意識に開こうとしてしまう。
脳が情報処理をするための酸素を求めちゃってるのだ。
でも、そんなことになったら麻乃はどうなるだろう。
気道に流動食が流れ込んできたら、大変なことになってしまう。
なのに――もう、無理っ、耐えられない……ッ。
「~~~~ッ、ンぉ、お、おぉッ……!?」
我慢したくても、我慢しきれない疼きのせいで、空気を求めて勝手に活動を再開した気道へ流動食が足を踏み入れてきた。
「お、おごッ――ンごッ、ぉ〜〜おッ……ッ!?」
その異物を吐き出すために、喉が激しくえずいて、肺がさらに締めつけられる。
劈くような痛みが胸の奥から喉にかけて嵐のように襲いかかってきて、胃の中のものまで這い上がってくる。
「ンごぉ~~~~~ッ、~~~~ッ!? おッ、んぉ~~~~ッ!」
なのに、嘔吐物を吐き出すための口は異物によって塞がれてしまっている。
外に出ていくはずのものは、喉の奥に留まったままぐちゃぐちゃに絡まり、そこで排水口に水が詰まったようなンゴゴゴッという音を響かせるだけ響かせ続ける。
それが数回繰り返されて、一瞬頭が真っ新になると――
「――ぶほッ、ぼふッ……!? ぉ~~~~ッ!?」
喉奥の異物の隙間を乗り越えて、鼻の奥にせり上がってきた嘔吐物が鼻孔から外へと飛び出していた。
「あと少しですよ。頑張ってください」
それでも、看護師さんは手を止めることなく、シリンジのポンプを押し続けてくる。
「んごぉ、がッ……!? ――お、んぉおッ……ッ!? おぉ~~~~ッ!?」
全頭マスクに覆われた何も見えないはずの視界がチカチカと明滅し、あまりの苦しさに頭の中がまたも真っ白になる。
そして、思い出したように意識が戻ってくると、肺が締めつけられて、また思考がどこかへ飛んでいく。
——死ぬ……ッ、死んじゃう……ッ。
このまま流動食によって溺死させられるのではないか、という恐怖が否応なしに麻乃の思考を埋め尽くす。
だが、看護師さんの手は止まらない。
ただ、淡々と流動食は注がれ続けた。
それはもう、単なる拷問でしかなかった。
「――ンんっ、んんん~~ッ!?」
そうしているうちに、麻乃の股間の辺りから熱い何かがちょろちょろと染み出してきたのは必然だったのかもしれない。
じわ~っとした温もりが麻乃の股間を覆う黒いラバーの内側に溢れ出し、隙間から溢れ出した黄色い液体がベッドのシーツを濡らしていく。
「あら……? あらあらあら……せっかく飲み終わったところなのに……。あなた、おしっこ漏らしちゃう子だったの……?」
「ン、んっんふーーーーッ、ぅぅっ、ぶふッ!? んふッ、んふーーーッ! ううぅう……ッ!」
そこでタイミングよくシリンジの中身が空っぽになったらしい。
流動食を注いでいた看護師さんの手が止まり、麻乃はふすぅー、ふすぅー、と鼻を鳴らして必死になって空気に縋りつく。
呼吸ができることがこんなにも嬉しいことだなんて、麻乃は知らなかった。
「このあとはおしっこしてもらう予定だったんだけど……仕方ないですね。先におまんこの清拭を済ましちゃいますよ」
そんな麻乃の口もとのマスクに接続されていたチューブを片付けた看護師さんは、全頭マスクに覆われた麻乃の頭をぽんぽんと撫でてから、革マスクに銀色の蓋を戻し、黒いラバーパンツに誂えられているファスナーを開放する。
「ンフ……ッ、ん、ン〜〜ッ」
おしっこによって、アンモニア臭を漂わせるびちゃびちゃに濡れた麻乃の股間が露わになるが、看護師さんは動じることなく清拭用の布巾で桜色の内側から、透き通った綺麗な肌色の外側までまんべんなく、おしっこを清拭していく。
「ンぅ……ッ、うぅ……ッ、うぐぅ……ぅぅッ」
股間に冷たい布巾が触れるたびに、鼻の奥が熱く痺れてきて、気がつくと喉の奥から嗚咽声が零れてた。
「ん……ッ、ンん……っ、んぅ……ぅぅ」
どうして、自分がこんな目に合わなくちゃいけないのか。
なんで、研修を終わらせてくれないのか。
麻乃には、何もかもわからない。
ただただ無力で、惨めで、虚しい気持ちが胸のところを締めつけてくる。
だって、身体的な自由を完全に剥奪されている今の麻乃は、清拭されていく腰回りをただただ震わせることしかできない精神病患者でしかなかったのだ。
「そんなに泣かなくても大丈夫ですよ。このあとはマッサージに移りますから、嫌なことは全部忘れられますからね」
「んぅ……ッ、ン、ん……ッ」
看護師さんはそんな麻乃を見兼ねたのか、慰めの言葉を伝えてきた。
別に麻乃はおしっこを漏らしたことだけに泣いているわけじゃない。
訳の分からないこの状況が、淡々と続けられていることが恐くて、怖くて、たまらなくて泣いているのだ。
それなのに、嫌なことは全部忘れられます。という場違いな言葉を掛けられて、頭が混乱してくる。
よくよく考えてみると全頭マスクを被せられたときにも同じようなことを言われていた気がする。
「さぁ、気持ちよくなるクリームおまんこにつけますよ」
「ンッ……!? ン~~ッ!?」
清拭が終わると同時に、ぬめり気のあるドロドロの液体が麻乃の股間へと塗り付けられてきた。
ゴム手袋を履いたツルツルの手が液体と混ざり合いながら、割れ目を掻き分けるようにぐちゅぐちゅとアソコを撫でまわし、膣口だけでなく、クリトリスも一緒に擦り上げてくる。
「ンーーーーーーッ!? ん、ンーーーーッ!」
不意にアソコへ与えられる灼けるような刺激に麻乃は身体を硬直させて、声を上げた。
麻乃は入浴中に充分気持ち良くしてもらった。
これ以上の快楽は、もう求めていない。
そんなことする暇があるなら、早くこの拘束を解いてほしい。
とにかく、研修を終わらせてほしい。
「ふふふ、ただ気持ちよくなるだけですから、何も怖くないですよ。安心して身体を預けてくださいね」
なのに、看護師さんは、麻乃の割れ目に優しく手をはべらせて、ぐちゅぐちゅと一定の動作を繰り返し続ける。
「ん……ッ、んぉお……ッ、ぉぉおっ……ッ!?」
入浴のときのような激しさはなく、ただねっとりとしたほどよい刺激がアソコに送られてきて、腰が勝手にビクビクしてしまう。
「ほら、気持ちいいでしょう? このまましばらく続けますよ」
「ンぅ……ッ、うぅ……ッ、う、う~~~ッ!」
何も見えないせいなのか、入浴のときよりもその感触を鋭敏に感じ取ってしまってるみたいだった。
アソコが優しく一撫でされるたびに、頭の中がえっちな思考に書き換えられていくのがわかる。
それが嫌で、麻乃は全頭マスクの内側でうめき声を漏らして、マッサージをやめるように訴えるのだが……。
「ふふ、ここが気持ちいいの……?」
「ん、ん~~~ッ!」
「あらあら、いいんですよ〜? 遠慮せずに気持ちよくなっちゃいましょう?」
「ン、んん……ッ!? ンん〜〜〜ッ!」
拘束は解かれず、股間へのマッサージが淡々と続けられていく。
何度も何度もぐちゅぐちゅとアソコが掻きまわされて、めちゃくちゃに撫でられる。
「クリトリスも気持ち良くしてあげますからね~」
「ン、んっ……ッ、ン~~~~ッ!」
もう、嫌だ。
こんなの耐えられない。
はやく、終わって。
はやく、解放して。
「ン、んぅ~~~ッ、ん、ンーーーーッ! ン、んッ……っ、んんん~~~~~ッ!」
「はーい、そうですよ。すぐに気持ちよくなりますからね~」
「ンンッ、ん~~~~ッ!?」
喉を必死に鳴らして、麻乃は反抗の意志を示すように看護師さんのいやらしい手からなんとかアソコを逃がそうとする。
後ろに引いたり、右に避けたり、あえて前に押しつけたり、左に曲げてみたり。
けれども、ほとんど意味はなかった。
麻乃が腰を上下に揺らせば、その分看護師さんの手が強く擦れてきて、気持ちのいい刺激が背筋に伝達してきたり……。
逆にほどよい掠れ方をしては、今度は切なさがこみ上げてきたり……。
麻乃の行動のなにもかもが裏目にでてしまう。
「ほら、おまんこびくんびくんって震えてきましたよ……? このまま気持ちいいこと全部受け入れちゃいましょうね~」
「ン、んッ……ッ!? ん、ン~~~ッ、んんぅぅ~~~ッ!」
割れ目の内側にある縦筋を指の腹で擦られ、お腹の筋肉が玩具みたいに震えた瞬間に麻乃は悟った。
そもそも、ベッドに磔にされている麻乃が、他人から与えられる施しから逃げおおせることなどできるはずがないのだ。
クリトリスも、膣口も麻乃が「欲しい」と思う絶妙なタイミングで撫でられて、「もっと欲しい」という思考が勝手に浮かび上がってくる。
「ン……ッ、ん、ン~~~~、ん、ンッ~~~~ッ!」
気持ちよくなんかなりたくないのに。
はやく、解放してほしいのに。
麻乃の意志とは関係なく、身体は反応しちゃっている。
もっと、気持ちのいいことをしてほしいって、身体は求めちゃってる。
「余計なことは全部忘れて、気持ちいいことだけ考えましょうね」
「ン、んッ、んん~~~~~ッ!? ンぅ、んーーーーッ!?」
次第に脳裏を埋め尽くしてくるのは、ふわふわとした多幸感。
それが頭の中だけでなく、ベールを張るように背筋を通って全身を包み、もう、自分が何をしようとしていたのかも、わからなくなっていく。
ただただ、与えられる刺激に身を任せてしまいたくて、その奔流に身体の主導権を明け渡したしそうになって、それで……。
「ふふふ、このままず~っと、ず〜っと、気持ちいい~、気持ちいい~ですよ~」
「~~~~~~~~ッ」
――10分か。
――20分か。
――30分か。
どれだけの時間、そうしていたのか麻乃にはわからない。
ただただ与えられ続ける刺激に全身を震わせながら、まどろみの中を彷徨うように麻乃はずっと幸せの中を駆けずり回っていた。
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「……さん。川嶋さん……? 起きてください。先生の回診ですよ」
「ン……ッ、んん……ぁっ? んぁ……?」
身体を揺さぶられ、目を開けると麻乃に声を掛けてきた看護師さんとは別に、白衣を纏った女性がベッドの隣に立っていた。
ポニーテールに結んだ明るい髪とスレンダーな体格から感じる大人の女性特有の色気には、見覚えがある。
「あ、新井さん……? 新井さんですよね? って——あれ……私、喋ってる……!? やっと喋れてる……ッ!」
「はい、担当医の新井ですよ」
全頭マスクに覆われていたはずの麻乃の目も口もいつの間にか自由を取り戻していて、口の中を塞いでいたシリコンゴムの突起がついた革マスクやネックコルセットも取り払われていた。
ニップルピアスを着けられたおっぱいの先っちょや、散々弄ばれたアソコは熱に浮かされていて、ムズムズするけれども……。
永遠に続くと思われていた現実に大きな変化が訪れて急に希望が湧いてくる。
麻乃の研修担当を務めていた新井さんが目の前にいるということは——終わるのだ。
麻乃を苦しめ続けていた研修が――やっと終わりを迎える。
「あれ……どうして私、まだ拘束されてるんですか……? もう終わりなんですよね? 私、三日も頑張ったんですよ?」
そう思って麻乃は身体を起こそうとするのだが、両腕は拘束衣に縛められ、両足も変わらずベッドに磔にされたままだった。
「もう十分患者さんの気持ちは理解しました。だから、こんな研修もう辞めにしてください! いい加減解放してください! お願いです! あ、あの……! 聞いてますか? 新井さん……?」
だから、麻乃は拘束衣に包まれた両腕をミシミシと鳴らして、新井さんにとにかく訴え続ける。
隣にいる見慣れない看護師さんにも交互に目配せして、研修の終わりを待ちわびていることを何としてでも伝えようとする。
なのに、白衣を纏っている新井さんはそんな麻乃をかわいそうな動物を見るような眼で診ながら、手元のバインダーに目を通しつつ口を開いた。
「川嶋さん……あなた。自分がどうしてここに入院しているのか忘れちゃったの……?」
「え……?」
「三日前にも同じことを説明したはずだけれど……今後の治療のためにもう一度伝えておくわね……? あなたは研修でここに居るのではなくて、重度の統合失調症の治療のため強制処置入院という形でここへ連れて来られたのよ? お誕生日の前日にお母さんへ暴力を振るったあと自ら命を絶とうとしたこと覚えてない……?」
本物のお医者さんのように白衣を靡かせて、麻乃を病人扱いしてくるその言葉遣いに、顔の筋肉がこわばってしまう。
新井さんは、この期に及んでも、研修で決められた設定を貫き通すつもりらしい。
でも、そうはいかない。
麻乃は、この研修を続けるつもりはない。
もう、これ以上は付き合いきれなかった。
「な、何言ってるんですか? 私が統合失調症なのは研修の事例のことですよね? それにお母さんに暴力を振るうなんて……私がそんなことするわけないじゃないですか!? 私は、看護学校の研修を受けるためにここへ来てるだけですし、新井さんとだって待合室でお話しして、同意の書類にサインもしました……! そのあと私に拘束衣を着せて、この病室へ一番最初に連れてきのは新井さんでしたよね? ここに来る前のことも、来てからのことちゃんと全部覚えてますよ!」
「そう、そうよね。現実を受け止めるにはやっぱり、辛いお話しよね。大丈夫よ。ここではそういうことも時間を掛けてゆっくり解決していけるから、何も焦る必要はないわ」
なのに、新井さんから返ってくる言葉は、酷く同情に塗れた言葉で。
まるで、麻乃の頭がおかしくなっているというような口ぶりに、怖くて、不安で、押しつぶされそうな胸の痛みに襲われる。
「だ、だから違います……ッ! 私は、精神病患者じゃないですって……ッ! なんで!? なんで、そんな酷いこと言うんですか!? じょ、冗談……ですよね? 本気じゃないですよね?」
「……たしかに、酷いことよね。まだ若いのにこんな病気になっちゃうなんて……とても可哀想で、すごく痛ましいわ」
「だから、そんな演技はもういいです! と、とにかくコレ……ッ! これを早く外してください! この拘束衣脱がしてください……ッ! お風呂のときに脱がしてもらえたのに、看護師さんたちに無理やり着せられちゃって……乳首にも変なもの着けられちゃってるし、さっきの看護師さんなんて私のアソコを何度も何度も触ってきて、今も身体が熱くて変になっちゃってて……っ、――じゃなくて! もう研修を終わりにしたいんです! だから、お願いします! コレを脱がしてください!」
「えぇ、わかってるわ。川嶋さんの病気が治ったら、ちゃんとここから退院させてあげますから……。それまでは変な妄想を起こしちゃうこともあるかもしれないけど、大丈夫よ。ここの看護師さんたちは川嶋さんのような患者さんには慣れているから、嫌なことは忘れて、安心して治療に専念してください」
違う。
そうじゃない。
麻乃は病気なんかじゃない。
正常な健常者だ。
麻乃がここに来たのは、ただ、研修の単位を得るためだ。
妄想なんて起こしてない。
なのに、新井さんから放たれるその言葉が意味するのは、病気が治るまで麻乃を縛めている拘束衣を脱がさないってことだった。
病気でも何でもない研修で来ているだけの麻乃をこのままここに縛りつけておくなんて……。
そんなの絶対に許されるはずがない。
許していいはずがない。
「ふ……ッ、ふふふざけないでください! もう終わりですってば! こんなのやめてください! もう嫌……ッ、無理です……! 耐えられないんです……ッ! こんなの無理……ッ、無理だから……ッ、お、お願いします……ここでのことは口外しません……! レポートも単位ももう、どうだっていいですから、早く家に帰らせてください……ッ!」
麻乃は腹の底から湧きだしてくる憤りや悲しみを新井さんにぶつけるように声を荒げて精いっぱい訴えた。
自分が意思が本気であることを伝えるためにも、ギシッ、ギシシッ。と抑制帯の縛めにも反抗しながら、新井さんの瞳をじっと見つめてお願いした。
「ごめんなさい。今はまだ治療の最中だから、川嶋さんの症状が改善するまでは自由にさせてあげられないの。看護学校に通ってたんだもの強制処置入院がどんなものかわかるでしょう? これはあなたの人権を保護するための法律なの。その決定を途中で取りやめることなんて私個人にはできないわ」
しかし、その望みは容易く流されてしまう。
強制処置入院などという、人権保護の法律を持ち出してきて、新井さんは麻乃を無理やり納得させようとしてる。
ありえない。
こんなことあっちゃいけない。
「い、イヤ……ッ! やだッ……、絶対イヤですッ! だって、そんなの意味わかんない……! 私は病気なんかじゃない! ただ研修に来ただけなのに……っ!? なんで? なんでこんなッ――こんな場所居たくないッ! 早くコレ外してッ! いい加減家に帰らせてッ! もう、ここから解放してよッ!」
「大丈夫。大丈夫ですから、落ち着いてください」
「~~ッ!? ――いいから外してッ! 早く外してッ! こんな場所には居たくないって言ってるのッ! もう嫌なのおおおッ!」
落ち着けといわれて、落ち着けるはずがない。
だって、このままだと麻乃は本物の精神病患者としてここに入院することになってしまう。
今すぐ抜け出さないと、頭のおかしな病人にさせられてしまう。
だから、麻乃は必死になって身体を縛めている拘束から抜け出そうとする。
胸の下で両腕を縛めている拘束衣のベルトだけでもいい。
なんでもいいから、どこか一か所でも自由になれればそれでよかった。
「酷いパニックね……。看護師さん、彼女が落ち着けるようにマスクを装着してあげて」
「はい、わかりました」
「あ――い、いやッ!? そのマスクはダメ……ッ! や、やだああああ……ッ!? なんで!? なんでええ!?」
「大丈夫ですよ~これを被れば嫌なことは見なくて済みますから」
けれども、そんな願いさえも封じ込めるように、看護師さんが枕元へとやってきて、分厚い白い革で作られた例の全頭マスクを頭の上から無理やり被せてくる。
「――あ、かはッ、あ、んぁああああ、あぁああッ!? あがぁああああッ!?」
身体を暴れさせて抵抗しても、その行為にほとんど意味はなく、ぽっかりと開いた全頭マスクの口に頭が完全に呑みこまれ、あっという間に尊厳が剥奪されていく。
ジジ、ジジジジッ。とファスナーが締まり、さらには首元にある首輪のようなベルトがしっかりとバックルで留められ、後頭部に用意された編み上げ紐が一段ずつ、容赦なく、締め上がる。
「あ、あぁあッ!? えあッ! あぅあ、あういえッ! あうひえええッ!」
「革マスクも着けるので、喉の奥を開くようにして受け入れてください」
「あ、あがぁ……ッ!? ――おぁ、おッ、おぉおッ!? ンぉおッ……!? おごッ!?」
麻乃の暴れまわる紅い舌をシリコンの突起物が無理やり圧し潰してくると、それはたちまち喉の奥深くまで挿入されてしまう。
なのに、看護師さんは、うなじや顎の下。鼻の上から頭頂部。さらには額から後頭部にかけて一つ一つ丁寧に各所のハーネスベルトを留めていき、麻乃の顔から革マスクがずり落ちないように固定してしまう。
最後には首を固定するためのネックコルセットを宛てられてしまい、それが麻乃の首を完全に固定したあと、頭頂部をベッドに固定するための抑制帯が全頭マスクを縛りつける革マスクの各所の金具とネックコルセットにも連結された。
これで麻乃は、手足だけでなく、首から上の頭も動かすことができなくなった。
「あとの処置は看護師さんに任せますね。おしっこを漏らしてしまうらしいので、夕食のあとはこれも忘れずに装着してあげてください」
「はい、わかりました」
「んぉおおッ!? お、おごぉおッ、ンぉ、おぉおッ……!? ――ンぉおおおおおおおッ……ッ!」
全頭マスクに覆われた口から悲鳴をあげながら、それらの拘束に反抗する麻乃をよそに、新井さんは看護師を置いて病室をあとにしてしまう。
「それでは流動食、流し込んでいきますよ」
「~~~~ッ!?」
そして、次の瞬間には喉の奥へ生暖かい液体が注がれていた。
匂いも味も感じない。
お昼にも飲まされた液状のものが食道を通って、無遠慮に胃の中へと蓄積してくる。
「~~ッ、~~~~ッ!?」
思考がふわふわとグラついて、下腹部の奥だけでなく全身が熱くなる。
縛められた肌という肌が、拘束という締めつけに悦びを覚えてしまうほど、すべての感覚が鋭敏になって疼きだす。
それが意味するのは、麻乃はこんな状況になっていても性的な興奮を隠せていないということだった。
「~~~~ッ、~~~~ッ!?」
呼吸をすることも、声を上げることもできず、胃の中に流れ込んでくる液体を必死に受け止めることしかできない身体が、今度は苦しさから解放されたくて酷く暴れる。
けれど、抑制帯に抑えつけられた身体はわずかに蠢くだけで。
逆にその抵抗が拘束具による抱擁という快楽を麻乃に与えてくる。
「ぉ~~~~ッ、~~~~~ッ!?」
肺が悲鳴を上げ始め、下腹部から胸のあたりの筋肉がこわばって、微動だにできない身体がわななくように震えていた。
息ができなくて苦しいはずなのに、頭の中は幸せが溢れてるみたいにふわふわして、左右の乳首を抓り上げるニップルピアスの存在感がものすごく心地よく感じてしまう。
おかしい。
こんなの絶対におかしい。
自分の身が大変なことになりかけてるのに、気持ちよくなることしか考えられないなんて絶対に変だ。
「あと少しで終わりです」
「お、んぉおッ……ッ!? ぉ~~~~ッ!?」
そう思ったところで全頭マスクに覆われた視界がチカチカと明滅し、思考していたものが霧散して消えていく——。
そして、思い出したように意識が戻ってくると――
「はい、おしっこしていいですよ~」
「ン、ん~~~~~ッ!?」
いつの間にか股間に尿瓶が当てられており、膀胱の上あたりを看護師さんにぐりぐりと刺激されると、麻乃は何故かおしっこを漏らしてしまってた。
ふすぅー、ふすぅーっ、と呼吸を繰り返すぼーっとした意識の状態で放尿されていくおしっこの感覚に安心感が芽生えてくる。
そのおしっこは勢いを止めることなくすべて排出され、尿瓶の中に黄色い水たまりを作り上げていった。
「ふふふ、おしっこできてえらいですね~。次は清拭していきますよ~」
「ンッ、ん……ッ!? ん、んぅ~~ッ!?」
尿瓶が回収されてすぐに、湿り気を帯びた冷たい布巾が割れ目の内と外を撫で回してきて、麻乃は思わず声を漏らす。
熱を発しながら疼いているアソコが冷たい布巾で拭われていくのがものすごく気持ちいい。
いや、違う。
麻乃はこんなことしてる場合じゃない。
もっと大事なことをしなくちゃいけないのに。
否定しても否定してもさっきまで胸に抱いていた嫌な感情がたちまち消え去って、気持ちいいのがもっと欲しくて、看護師さんにアソコをもっともっと触ってほしくて、腰を振っておねだりしてしまう。
「さて、それではおしっこの穴に導尿カテーテル差し込みますね」
「ンぅうううッ!? ン、んんん~~~~ッ!?」
でも、次の瞬間には尿道も膣口も何もかも丸見えにするかのように割れ目が指で開かれて、尿道の周りに軟膏のようなものが塗布されてきた。
スースーとした感触にアソコが覆われて、訳もわからず、ふすぅー、ふすぅー、と呼吸を繰り返していると「入れますよ~」という掛け声と共に細長い何かが麻乃のお腹の中に入ってくる。
「ン、ん~~~~~ッ!?」
ヌプッ、ヌププッ、とヒリつくような熱い刺激を与えながら、それは尿道を逆流するように通り過ぎて膀胱のところにまで入り込んでくる。
すると、挿入されている部位とは反対側に位置する先端部からおしっこが流れ出していた。
「残りのおしっこも出てきましたね。膀胱内から抜けないように固定しちゃいますよ」
「ん、んぅ……ッ!? ン、んーーーーッ!」
看護師さんはそのことを確認し、麻乃の膀胱内へ挿入されている導尿カテーテルの風船部を膨らませ、簡単に抜けないように固定してしまうとベッドの足もとに用意してあった尿溜め用パックのチューブを導尿カテーテルの端と繋ぎ合わせてしまう。
「ンんーーーーーッ!?」
延々と残り続ける残尿感のようなものをなんとかしようと、いきんでみたりしてみるが、改善されることはない。
ただ、淡々と麻乃の尿道に挿入されたカテーテルのチューブを通って、体内で生成されるおしっこが尿溜め用パックへ移動していくだけ。
もう麻乃がおしっこを漏らす心配は無くなった。
いや、自らおしっこをする必要がなくなっていた。
「さぁ、寝る前に気持ちいいこといっぱいしてあげますね~」
「ンぅうううッ!? ン、んんん~~~~ッ!?」
カテーテルの存在に未だ動揺している桜色の割れ目にぬめり気のあるドロドロの液体が塗り付けられてくる。
ゴム手袋を履いたツルツルの手が液体と混ざり合いながら、割れ目を掻き分けるようにぐちゅぐちゅとアソコを撫でまわし、膣口だけでなく、クリトリスも一緒に擦り上げてきて、もう、意味がわからない。
「ン……ッ、ん、ン~~~~、ん、ンッ~~~~ッ!」
ただねっとりとしたほどよい刺激がアソコに送られてきて、腰が勝手にビクビクと跳ね回る。
何かを訴えたいはずなのに。
頭に思考が浮かぶたび、霧散するようにどこかへ飛んでいってしまう。
いつまでも、いつまでも。
ただ、永遠と思えるような看護師さんの気持ちのいい愛撫が、ず~っと続けられていく。
「ンん……ッ、ん~~~~ッ!? んぉ、ぉお~~~ッ!?」
「おまんこのここが気持ちいいんでしょう……? クリトリスの裏側もいっぱい撫でてあげますから、遠慮しないでくださいね~」
「ン、んん……ッ!? ンん〜〜〜ッ!」
――終わらない。
――終わってくれない。
ずっと、ず~っと――気持ちいいだけが頭を埋め尽くしてる。
「安眠できるように玩具もたくさんつけてあげますからね~、これからもっと気持ちよくなれますよ~」
「ンぅ……ッ!? んんーーーーッ!? ん、ン~~~ッ! んんぅぅ~~~ッ!」
そんな看護師さんからの長い長い愛撫が終わったころ。
「そろそろ就寝の時間になるのでクリトリスから玩具つけていきますよ」
ぐちょぐちょになっている麻乃のおまんこへ宛てがわれたのは研修初日に新井さんから装着されたクリキャップという玩具だった。
黒いラバーに覆われた人差し指と中指で上手に麻乃のクリトリスの包皮を剥いて、スポイトのような形状をしているクリキャップの先端を大きくなったクリトリスに被せてくる。
「ンッ――!?」
根っこから吸い上げるようにキュポっとクリトリスがバキュームされると、乳首に残り続けている甘い刺激と似たような感触が背筋のほうへと伝達してきた。
「んぅ……ッ、うぅ……ッ!」
麻乃の記憶が正しければ、この玩具はこれだけで終わらず、このあとは一定間隔で動き続けて、クリトリスにさらなる刺激を与えてくる玩具だったはずだ。
以前はイクにイケなくて苦しかった覚えがあるけれど、今はクリトリスを吸い上げられているという感触だけでも異常なほど気持ち良く感じてしまってる。
「おまんこの中には電気マッサージ用のローターも挿入しますからね」
「ンッ……ッ!? んンーーーーッ!?」
だというのに、看護師さんは銀色の輝きを備え持つ、ステンレス製のローターを二つ持ち出してきて、ヴヴヴヴヴヴヴッと振動するそれを全頭マスクで何も見えていない麻乃の膣内へ一つ、二つ、とあっさり挿入し、ローターが膣内から外に飛び出してこないようにカテーテルの管だけを残して、ラバーパンツのファスナーを閉じてしまう。
「ン、んッ……!? んぅッ……!? ンん~~~~ッ!?」
下腹部の奥でヴヴヴと振動しながら、コツコツとぶつかり合う異物感にどうすればいいのかわからず、壊れたお人形のように麻乃は思わず膣をぎゅっと何度も何度も繰り返し締め上げて、おまんこで玩具を咥えこんだ。
「ンぉ……ッ!? お、お……っ! ——ンぉ、おぉお~~~~~ッ!?」
すると、クリトリスを吸い上げているクリキャップもヴヴヴと振動し始め、麻乃は惨めにも腰を突き上げながら、悦楽に塗れたはしたない喉声を鳴らしてしまってた。
こんな酷い状況だというのに、骨盤を経由して背筋のほうにまで響いてくる経験したことのない新たな刺激が、気持ち良くて仕方がない。
「ふふふ、電極パッドもありますからね~」
そんな麻乃の内ももへ看護師さんは粘着シール式の電極パッドを4枚ずつペタペタと股間を囲うように貼り付ける。
そして、専用の端末で電源を入れると。
「んおッ!? お、お、おぉお~~~~~~ッ!?」
抑制帯に拘束されている麻乃の太ももが他人に揉みこまれているように勝手に震えだし、ぶるぶると痙攣を繰り返す。
筋肉そのものが揺さぶられているようなその訳のわからない刺激は、麻乃の太ももだけに留まらず、背筋を通っておっぱいの先端にも伝わり、悶々とした快楽に包まれた身体は、より一層強く拘束の縛めに抗いだした。
「んぉ……ッ!? お、おぉ~~~~ッ!?」
けれども、麻乃の両手は拘束衣の内側で革のグローブに覆われたまま握りこぶしを作るだけで、何一つ使い物にならない。
ベッドの抑制帯に磔にされている胴体も、両足も、ギシギシ音を鳴らすだけで似たようなものだった。
それどころか、キツく縛められている部位が不自由であればあるほど、肌から伝わってくる束縛感に謎の抱擁感を抱いてしまって、ますます身体が興奮していく。
おまんこだけじゃない。
乳首も、クリトリスも、異物を挿入されてる喉の奥さえも、肌という肌を縛めいるもの全てが苦しくて辛いのに、なぜか異様にそれら全部を気持ちよく感じてしまってる。
このままでいたら、気が狂ってしまいそうだった。
「朝までいっぱい気持ち良くなってくださいね~」
「ンッ!? ん、ンぉ……ッ!? ンぉ~~~ッ!?」
だから、病室をあとにしようとする看護師さんを麻乃は必死に呼び止めるのだが、数秒後に訪れたのは玩具が奏でる騒音だけの世界だった。
「ンぉおおおお~~~~~ッ!?」
麻乃にできることは、各部位で動き続ける玩具に身体を弄ばれながら、ベッドの上に寝転び続けることだけ。
「んぉ、お、おぉお……ッ!? お、おぉお~~~ッ!?」
三日も拘束され続けている麻乃の体力はもう限界なのに……。
クリトリスから膣内。さらには太ももまでもが延々と刺激に襲われ続け、それに悶え続けてると乳首のピアスが刺激されて、さらなる快楽が猛威を振るってくる。
気持ちいいと苦しい辛いが綯い交ぜになって、まともな思考ができない。
そんな状態がこれからも続いていったら、麻乃はどうなってしまうだろう。
そんなの壊れてしまうに決まってる。
「ンォおッ……ッ!? お、ぉおッ、お、お、お、おぉお〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?」
しばらくして、麻乃は当たり前のように腰をガクガクと震えさせて絶頂を迎えた。
全頭マスクの内側で涙を流しながら、声にならない声を喉の奥からあげて、絶頂した。
——ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴゔゔゔッ。
でも、玩具は止まらずに動き続ける。
麻乃が気持ち良さに悶絶しようと、意識をまどろみの中へ誘われようと関係ない。
クリトリスはただひたすらに吸上げられたまま根本から細かい振動によって擦り上げられ、膣内が収縮を繰り返すたびに肉壁を震わせる二つの異物はぶつかり合う。
挙句には、太ももが勝手に激しく揺れ動いて、自分の身体とは思えない不自然な感覚に見舞われながら、絶頂した。
もう嫌だ。
イキたくない。と思っても。
この玩具たちは、一定間隔で部位ごとの振動を変えて、麻乃を無理やり絶頂へと追いやってくる。
クリトリスのところが強く揺れるときは、膣内が弱まったり……。
逆に膣内のローターが強いときは、クリトリスの刺激が静かになったり……。
そのせいで麻乃は予測のできない刺激に常に襲われ、気持ちを休める暇もなく腰を突き上げて快楽に浸り続けていた。
それはある意味では、飽きることのないマッサージを永遠に受け続けているようなものなのだが、疲労困憊の麻乃にとっては拷問と言っても過言ではない仕打ちだった。
だというのに、時間は虚しくも経過し、まともな睡眠を取ることもなく次の日の朝を迎えてしまう。
「おはようございます」
ブーッ。というブザー音が室内に響き渡ると、重たい扉が開き、銀色のワゴンカート押しながら看護師さんが麻乃の病室へと入ってきた。
「昨日はよく眠れましたか?」
「ンん……ッ!? ん~~~ッ!」
看護師さんは何気ない風貌で、そう問いかけるが、麻乃は看護師さんの存在に気づくことなく、喉の奥から甘い声を漏らし続けていた。
理由は簡単。
――ヴヴヴッ、ヴヴッ、ヴヴヴヴヴヴヴッ!
「ンぉ、おぉお……ッ!? ん、ンぉ~~~ッ! おぉ~~~ッ!?」
クリストリをぐちゅぐちゅと吸い上げながら振動するクリキャップと、膣の中に挿入されたローターが今現在も休むことなく麻乃のおまんこを犯し続けているせいで、周囲に気を配る余裕などなかったのだ。
「抑制帯は緩んでないみたいですね。それでは朝食のほう流し込んでいきますよ」
それでも看護師さんは麻乃の全身を縛めている抑制帯の緩みを確認し、次の瞬間には麻乃の股間で動き続ける玩具の存在に一切触れることなく、革マスクにチューブを繋ぎ麻乃の喉奥へ流動食を流し込んでくる。
「~~~~ッ!?」
喉の奥へと入り込んでくる生暖かい液体に、麻乃は手足を暴れさせて声を上げるが、抑制帯がギチギチと鳴るだけで何一つ解決には至らない。
それどころか変に身体を震えさせたおかげで、乳首を抓り上げるピアスが拘束衣と擦れ合い、ジンジンとした熱い疼きがおっぱいの先っちょから背筋へと伝達して、股間の刺激と一緒になって脳を焼き焦がしてくる。
「んごッ!? ――ぉ、おぉお~~~~~ッ!?」
その快楽に酸素を求めてしまうけど、看護師さんが流し込んでくる流動食は、それを許してくれず、一瞬にして目の前が絶望に染まっていく。
だから、麻乃は涙と涎と汗塗れでぐちょぐちょなっている全頭マスクから苦し気な鼻息をふすぅー、ふすぅー、と漏らして、何とかその絶望を乗り越える。
けれども、次に待っているのは――
「上手に飲めてえらいですね~、次はおまんこのマッサージしていきますよ~」
閉じていた黒いラバーパンツのクロッチ部が開かれ、濃密な牝の匂いをまき散らしながら高揚する麻乃のおまんこが露わになると、膣内から銀色のローターがにょろにょろと飛び出してくる。
看護師さんはその二つのローターを取り除き、麻乃のクリトリスを吸い上げていた玩具と太ももの電極パッドも取り外す。
そして、ローションのようにぬめり気を帯びた液体を両手のラバーグローブへと馴染ませ、高揚した麻乃のおまんこのところでぐちゅぐちゅという音色を奏で始めた。
「ン、ん……ッ!? んん~~~ッ!?」
「玩具のおかげで随分ほぐれてますね~」
「ン……ッ、んん~~~~~ッ!? ンぉ、おぉお~~~~~~ッ!?」
「このままいっぱいイカせてあげますからね~」
「ン~~~~~ッ!?」
麻乃が反射的に腰を逃がそうとしても、看護師さんの手は離れることなく、左の指先でクリトリスをくりくりと擦り上げ、右の人差し指と中指で膣内の肉壁をぐりぐりと弄り回してくる。
昨日からずっとあそこを刺激され続けているせいで、頭の中がふわふわのまま、考えがまとまらない。
ただただおまんこに与えられる甘い刺激が気持ち良くて、麻乃は腰を震わせてしまう。
このままじゃダメなのに。
こんなことしてちゃ、いけないのに。
おまんこをぐちゅぐちゅと扱かれてしまうたびに、えっちなことしか頭に浮かんでこない。
看護師さんだけじゃなく、自分の手でもおまんこを触ってしまいたくて、両手を動かそうとする。
「んふッ……、ン……ッ! んん~~~ッ!」
なのに、麻乃の両手は、ギギッと拘束衣に阻まれて動かせない。
麻乃が気持ちよくなるためには、看護師さんに頼るしかない。
だから、麻乃はわずかにしか動かせない腰を必死に突き上げて、もっと、もっと、とおねだりする。
もう、麻乃の頭の中に浮かぶ欲求はそれだけしか浮かんでこない。
「あらあら……自分からおまんこ押しつけてきて可愛い子ね」
「ん、ンッ……! ん、ん~~~ッ!」
「ふふふ、大丈夫ですよ。ちゃんと気持ちよくしてあげますからね」
「ンん~~~~~ッ!」
そうやって気持ちのいい時間を堪能しているうちに、眠気が限界に訪れて意識が暗いところへ呑み込まれていく。
まどろみに落ちたぼーっとしたぼやけた感覚のまま、おまんこのところでは延々と何かが振動していて、眠っている間も、頭の中はずっとふわふわしていた。
そして、気がつくと。
「流動食流し込みますよ~」
「~~~~ッ!?」
また喉の奥へ流動食を飲まされていた。
息もできない苦しさを味わいながら、お腹の中がたぷたぷに満たされて、ふわふわしていた思考がさらにぼーっとして、自分が何をしていたのかもわからなくなる。
「次はおまんこのマッサージしていきますね」
「ンぉ、おぉお……ッ!」
何かを考える暇もなく、ドロドロのおまんこが弄られて、玩具とは違う甘い刺激に脳が蕩けていく。
「ン……ッ、んぅ……ッ! ンぉ、おぉお~~~~~ッ!」
全頭マスクに覆われた視界が明るくなる瞬間は一向に訪れることはなく、何も見えない暗闇の中でただ同じことが繰り返されていく。
——次の日も。
——その次の日も。
ただひたすらに同じ日常が繰り返されていく。
ずっと、ずっと。
気持ちいい日だけが、ず~っと続いていく。
麻乃は逃げられない。
この訳の分からない状況から、環境から抜け出すことを許されていない。
これはきっと、いつまでも、いつまでも続いていく。
これからもずっと永遠に――――
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