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「ンム……っ、ん、ンンッ……?」  顔半分を覆い尽くす汗ばむ不快感が気になり、麻乃は口の中のシリコンを噛み締めて目を覚ました。  天井から白いライトに照らされている現状に違和感を抱きながら、口元の不快感を拭おうと、両手を動かそうとする。 「――ッ」  けれども、その両手は胸の下——みぞおちの辺り——で腕を組んだまま帯状のものに固定されていて、動かすことができなかった。 「ングッ! ん、ンんぅーーッ!?」  その異様な状況に、麻乃は半ばパニックに陥りながら、寝ぼけまなこで身体を起こそうとする。  しかし、足首から肩にかけても、帯状のものが身体中を這いまわっており、仰向けのまま身体を起こすことができない。  それがますます麻乃の精神を蝕んでいく。 「ンむ、むぅうううっ!?」  麻乃はさらに声を上げながら激しく身体を暴れさせ、口の中のシリコンを噛みしめる。  ――ギシ、ギシシッ。  藻掻けば藻掻くほど帯状のものと肌が擦れ合い、全身が強く締めつけられていく。   「んッ、ングッ……! うぅ……っ」  身体を包み込む無慈悲な抱擁感に、抵抗する無意味さを感じて、麻乃は、ふすぅー、ふすぅー、と鼻で呼吸を繰り返す。  ――麻乃は、どうしてこのような状態に陥っているのだろう……?  胸の奥で高鳴る不思議な高揚感を拭い去りながら、自分の現状を理解しようと麻乃は周囲に目を凝らしてみる。  六畳ほどの真っ白い部屋には、白いクッションの壁だけが広がっており、麻乃以外の存在は何一つ感じられない。  一応、出入口のようなところはあるにはあるが、内側から開けられないように一面は白いクッションで埋め尽くされている。  なのに、麻乃の身体はキャンバス生地の拘束衣に覆われて、幾つものベルトによって縛められてしまっており、さらには足首や太ももなどにも幅広の革枷のような抑制帯が巻き付けられ、股を中途半端に開いたままベッドに磔にされてしまってる。  口の中には舌を包み込むような円筒形の突起物が押しこまれていて、それを噛みしめるように顎の下や頭頂部、頬にかけてハーネス式のベルトに締めつけられているから、まともに声を出すこともできない。 「ん、ンんッ、んむ……ッ!? ――ンっ!」  それでもどうにかできないか、と麻乃が拘束に抗おうとしたところで、脳裏に昨日の出来事が思い浮かぶ。  麻乃は昨日、山奥にある閉鎖病棟へ二泊三日の研修を受けに来た。  でも、その研修は重度の統合失調症患者を体験するという研修で、いくつかの同意書にサインをした麻乃は患者さんが身につけるものと同じ拘束衣に袖を通し、研修担当の看護師である新井さんに従うまま、この病室へと連れてこられ、本当の患者さんと同じようにベッドへ磔にされた。  それからなんだかんだと夜になって、麻乃はベッドに拘束されたまま眠りについてしまったのだ。  ブーッ。  ——ガチャッ。ガララッ。    「おはようございます」  麻乃が自分の現状を思い出すのに合わせて、三十路くらいの看護師さんが病室の扉を開けて中へと入ってくる。  銀色のワゴンカートを押しながら入ってくるポニーテール姿に麻乃は見覚えがあった。  けれども、白いナース服に一昔前のタイトスカートを身につけている黒髪の看護師さんは、麻乃をここに拘束した看護師さんとは声も顔も違っていた。 「んぅ……ッ!?」  初対面の看護師さんの登場に麻乃は緊張して身構えようとするものの、キャンバス生地の拘束衣を着せられた両腕は、相変わらず幾多のベルトに抑えられてしまっていて胸の下から動かせない。  さらに全身に張り巡らされた抑制帯が、足首や太もも、ウエストや肩に至るすべてをガッチリと掴んで放さないから、身構えるどころか身じろぎすることさえ難しい。  結局のところ。麻乃はただベッドの上で仰向けに寝転がりながら看護師さんの動向を伺うことしかできなかった。 「失礼しますね」 「……っ」  初対面の看護師さんから何をされるのかわからず、麻乃は口の中のシリコンを噛み締めながら、身を縮める。  そんな麻乃を軽く一瞥しながら、看護師さんは銀色のワゴンカートをベッドの隣に揃えると、麻乃を磔にしている抑制帯の留め具をチェックしていく。  一つずつ丁寧に、僅かな緩みさえ逃さないように、看護師さんは慎重にそれらの抑制帯にしっかりと触れて、ベッドをぐるりと一周した。 「どこも緩んでないみたいですね」  すべての抑制帯のチェックを終え、そうつぶやきながら麻乃の枕元へとやってくる看護師さん。 「夜はよく眠れましたか?」  麻乃の顔を両手で挟み込むように優しくホールドしてから、逆さまになった顔で覗き込んでくる。 「ンむ……ッ」  まじまじと見つめられる看護師さんの瞳に麻乃は恥ずかしくなって、唾液塗れのシリコンをぐちゅりと噛み締めた。  麻乃の脳内に浮かぶのは、性的興奮を隠すことができずに股間を拘束衣のベルトに擦りつけながら眠りについたことだった。  昨日は、患者として扱われることに慣れておらず、拘束されてしまったことも相まって、被虐的な思考になり、麻乃は完全に囚われのヒロインの気持ちに陥ってしまっていた。  あれから一度眠りにつき、意識を失ったおかげか、そういう気持ちは若干落ち着いている。 「ん……ッ、んふ……っ」  けれども、どうしてだろう。  看護師さんにまじまじと瞳を見つめられているとお腹の奥がムズムズと疼いてきて、昨日と同じ欲求が再び目覚めていくような気がした。  自分がただ一方的に看護師さんに支配されてしまっているという事実を突きつけられれば突きつけられるほど、麻乃の胸の鼓動は早まって、呼吸が乱れてきてしまうのだ。  だから、このままじゃいけない、と思って、紅く染まった顔を看護師さんの視線から麻乃は反らそうとするのだが、黒いラテックスの両手でホールドされていては、反らすことができない。  麻乃が頭を動かそうとしていることをわかっているからなのか、看護師さんも先ほどより両手に力を加えて、ガッチリと頭を抑えつけてくる。  こうなってしまったら、麻乃は視線を右往左往にずらしながら、淫らな熱気に蒸気していく体温を何とか抑え込むしかない。 「目のクマもないですし、ちゃんと眠れたみたいですね。お腹も空いてることでしょうから、まずは朝ごはんにしましょう」  数分ほど麻乃の瞳を見つめ続けた看護師さんは、汗で乱れた麻乃の黒髪を軽く整えたのち、一度ワゴンカートへと戻り、台の上に用意してあるシリンジの中へ流動食を吸い上げていく。  それから麻乃のそばへと戻ってくると、口を覆っている革マスクにある銀色の蓋を捻ってからカポっと外し、シリンジのチューブの先端をマスクの溝へ装着した。 「では、流し込んでいきますね」 「んむッ!? んッ……ッ、ンんッ……ッ、ん……ッ、ン!」  合図のあとすぐに看護師さんはシリンジのポンプを押して、流動食を流し込んでくる。 「ん……ッ、ん、ンッ……っ、ンんッ」  そうなれば、手足を拘束されている麻乃は、口の中に注がれてくる甘い液体をただ飲み込むしかなくなる。 「んぁ……ッ、ン……ッ、ふぅ……ッ」  次々と口腔内を満たしてくる流動食。  マシュマロを溶かしたような甘さが口いっぱいに広がり、飲めば飲むほど頭がぼーっとしてくる。  次第に身体は熱を持ったように火照ってきて、その熱は、お腹の奥を滾らせるような感覚へと変化していく。  それが性的な高揚感だと麻乃が気づいたころには、下腹部に変な力が入って、アソコがむずむずと疼いてしまってた。 「はい、あと半分ですよ」 「んむっ、ん、ンッ……ッ!?」  それでも看護師さんは、シリンジの中身が無くなるまで麻乃にその液体を飲ませ続けてくる。  拒むにも、その行為さえ封じられてしまっている麻乃は、抑制帯に囚われた下肢をギシギシとベッドに擦りつけて耐えるしかない。 「あと少しです」 「んッ……ッ、ンんッ……ッ、んぅう……ッ!」  だから、麻乃は次々と口腔内を満たしてくる流動食を頑張って飲み続けた。 「はい、全部飲めました」 「ンぅ……ッ」  一分か。二分か。  いや、五分くらい掛かったかもしれない。  ついにシリンジの中身が空になり、マスクからチューブが抜き取られ、銀色の蓋が戻される。 「よく残さずに飲めましたね。えらいですよ」  それから看護師さんは、満腹感で吐息を漏らす麻乃の頭をあやすように撫でてくる。 「〜〜ッ」  正直なところ。どうして食事を終えただけで褒められるのか麻乃にはわからなかった。  頭を撫でられるとものすごく胸がドキドキして、恥ずかしい気持ちが湧き上がってくる。  それが、変わり替わって性的な高揚感さえも生み出してくるのだから、困りものだった。  今すぐにでも敏感になっているアソコを自分の手で弄り回してしまいたい。と思ってしまうのだ。  でも、拘束されている身体ではそんなことはできないし、ましてや麻乃がやろうとしていることは俗にいうオナニーに当て嵌まることだから、看護師さんがいる前でそんなことはしたくない。  だから、麻乃は深呼吸を繰り返して、自分の身体を落ち着かせようとする。 「次はおしっこですね」  しかし、そこで看護師さんが、迷うことなく麻乃の近くへと寄ってきて、股間を覆っている黒いラバーパンツのファスナーをジジジと開けてしまう。 「――んむッ!?」  ベッドの上に仰向けで寝転がる麻乃のクロッチ部がぱっくりと開き、黒いラバーの隙間から覗き出たのは、とろとろになった愛液を溢れさせながらメスの匂いをむわぁーっとまき散らす桜色の割れ目。  外気に触れたことで何かを期待しているのか、その割れ目は内側から外側にかけてヒクヒクと震えてしまっている。 「あらあら、朝からこんなに濡らしちゃって……あなた、すごいお盛んな子なのね……?」 「ン……ッ!? ん、んンッ!?」  言い逃れのできない状況に麻乃は首を横に振って、否定するが、その間にも桜色の割れ目はとろとろの蜜をさらに溢れさせてしまう。  自分の恥ずかしい姿を見られていることに、さらに身体が反応する。下腹部の奥からグツグツとした熱気が湧き上がってきて、麻乃は拘束衣に束縛された両腕を忙しなく動かす。 「ふふ、大丈夫ですよ。このことは秘密にしておいてあげますから。まずは、朝のおしっこしましょう……?」 「ンムッ……!? ん、ンンっ!」  なおも首を横に振り続ける麻乃だったが、看護師さんはそんな麻乃にニコっと微笑みかけてきて、メスの匂いを撒き散らす桜色の割れ目へと尿瓶をあてる。   「さぁ、おしっこしていいですよ」 「————ッ」  その言葉は、完全に患者さんへ向けられた言葉だった。  川嶋麻乃という個人へ向けて発した言葉ではない。  看護師さんはあくまでも業務の一環として麻乃に排尿を促している。  患者として扱われている麻乃にできることは、股間へあてられた尿瓶へおしっこをすることだけ。  ここで麻乃がおしっこをしなければ、あとで苦しくなるのは麻乃自身。  研修を受けている最中は、何が何でも看護師さんの言うことに従うしかない。  すべては、学校を卒業する単位を得るためのこと。  それはわかってる。わかってるんだけども……。  ――ちょろ、ちょろろっ。ちょろっ。シャーーッ。 「上手におしっこできてえらいですね」 「~~~~っ」  やっぱり、人前でおしっこするのは恥ずかしかった。  心臓の鼓動がありえないくらい大きくなって、自分が一体何をしているのか、わからなくなってくる。  拘束を外してくれたら。  せめて、トイレに連れて行ってくれたら。  自分でおしっこくらいできるのに。 「おしっこの他にお便はありますか? 出せるならうんちもしちゃいましょう?」 「――ッ、んンッ!? んむうッ!」  麻乃は尿瓶の中へおしっこを垂れ流しながらも、全力で首を横に振った。  ベッドに拘束された状態でうんちなどできるはずがない。 「そうですか。うんちはでないんですね? でしたら、おしっこのあとすぐに清拭しちゃいますね」 「ん……ッ、んんぅ……っ」  看護師さんの言葉に一安心して、麻乃は緊張していた全身から力を抜いていく。  それに合わさるように桜色の割れ目からぴゅっ、ぴゅっ、と残りのおしっこが排出された。 「外しますね」  排尿が完全に途切れたところで看護師さんは、麻乃の股間から尿瓶を外し、黒いラテックスに覆われた手で清拭用の布巾を手に取る。 「それでは、おまんこ拭いていきますよ」 「……ッ」  看護師さんの左手が麻乃の股間に触れ、桜色の割れ目をくぱぁっと広げる。  アンモンニア臭を漂わせる割れ目が露わになり、とろとろになった愛液が糸を引く。  そこに、白い布巾を携えた右手を近づけて、看護師さんが桜色の割れ目を、ふわっと一撫でする。 「ン……ッ!? ん、ン……ッ、ぅぅ……ッ!」  ひんやりとした湿った布がアソコに触れた瞬間――ピクピク、と麻乃の腰が大きく跳ねた。  ただ一方的に与えられるくすぐったい刺激。  それがものすごく気持ちよくて、腰が勝手に動いてしまう。 「ふふ、おまんこ拭いてもらえて気持ちいいですか?」  麻乃にそう問いかけながら、看護師さんは繰り返し陰部の清拭をおこなっていく。  その布巾の扱い方は実に医療的で、事務的な行為に他ならない。  なのに……。 「んふッ……ッ! うぅ……ッ! ン、んぅぅッ……ッ!」  麻乃はその清拭を受けるたびに、腰を浮かせては、甘くせびるような声を漏らしてしまう。 「そうですか。気持ちいいですか。それはよかったです」  看護師さんはそんな麻乃の様子を見て、嬉しそうに微笑みながら、ヒクヒクと開いたり閉じたりする割れ目を、下から掬いあげるように優しく清拭していく。 「ん、ン〜〜〜〜ッ!」 「うふふ、はーい、あと少しですよ」 「ンッ、ん、ンむ……ッ、んん~~ッ!」  先ほどまでの恥ずかしさが嘘のように掻き消えて、もっと、欲しい。  もっと、もっと、拭いてほしい。  もっと、触ってほしい。  それだけが麻乃の思考いっぱいに溢れてきて、麻乃はさらに大きく腰を動かして、清拭を受け入れていく。 「はい、終わりましたよ」 「……ッ」  なのに、看護師さんの清拭は、途中で終わりを告げてしまう。  ——あと、少し。  あと少しだけ拭いてくれたら、もっと気持ち良くなれたのに……。 「では、これで失礼しますね」  ガラ、ガララッ。――ガチャンッ。  麻乃の股間のジッパーを閉じると、看護師さんはすぐに病室を出ていってしまった。  そうなれば、ベッドの上に磔にされた麻乃だけが病室に取り残される。 「ング……ッ、ん……ッ」  一人になった途端に訪れるのは、――静寂。  麻乃に構ってくれる人がいなくなれば、必然的に退屈な時間がやってきてしまう。  拘束衣を着せられ、ベッドに抑制帯で縛りつけられている麻乃にできることは何もない。  研修一日目のときに麻乃はそのことを嫌なほど理解している。  残りの二日間が終わるまで、麻乃はこの退屈な時間をただ耐えるしかない。 「ん……ッ、ん、ン……ッ」  なのに、アソコがムズムズと疼いてしまってる。  ただでさえあちこち汗を掻いてて、身体中気持ち悪くてしようがないというのに、それ以上に身体が変に火照ってしまって、無性にアソコを触りたくて仕方がないのだ。  だから、麻乃は両手を動かそうとするのだが……。    ――ギシ、ギシシッ。  拘束衣の中で腕を組むように固定されている両手は、抑制帯に締めつけられるだけで、動かせない。  敏感なところに手を伸ばそうにも、今の麻乃には叶わないのだ。  でも、普通に考えてみれば、こんなふうに股間へ手を伸ばしたいと考えることは明らかにおかしなことだ。  この研修を受けるまで、麻乃は性的な快楽を欲したことなどなかった。  誰かと性的なつながりを得たこともないし、自ら陰部を弄ったりしたこともない。  だから、今の自分の考えが、確実におかしいってことくらい麻乃にもわかる。  なのに、それでもあそこに手を伸ばして、気持ち良くなりたいと考えてしまう。 「ン……ッ、ん、んむ……ッ、んぅ……ッ、ング、んッ……ッ!」  だから麻乃は、昨日の夜と同じように腰を上下左右に動かして、鼠蹊部にある拘束衣のベルトに自分の股を擦りつけてみる。 「ん、ンッ……ッ!? ん、んッ……ッ!」  すると、少しだけだがアソコのむず痒さが軽減されるような感じがした。  けど、腰を動かすのをやめるとすぐにムズムズと疼いてきてしまう。  それがすごくじれったい。 「んふッ……ッ、ン、ん~~ッ、んむッ……ッ、んッ!」  ――もっと、刺激がほしい。  今よりも――強い刺激が欲しい。  たったそれだけの理由で、麻乃は何度も拘束に抗う。  とにかく、一番敏感になっているアソコに刺激を送り込みたかったのだ。 「ン……ッ、ん、んむ……ッ、ん……んッ」  ――ギシ、ギシッ。 「ん、ンッ……ッ!? ん、んッ……ッ!」  ――ギ、ギギッ。 「んむ……ッ、んぅ……ッ、ング、んッ……ッ!」  ――ギチッ。 「んふッ……ッ、う……ッ、ン、んぅぅッ……ッ」  ――ギギ、ギシッ。 「ン……ッ! ん、ン……ッ、ぅぅ……ッ!」  だけど、やはりと言うべきか……。  その程度の刺激では麻乃が抱いている欲求には全くもって届かない。  麻乃がどれだけ快楽を求めても、拘束されている身体では、麻乃が強く求めている欲求は満たすことができないのだ。   「ン……ッ、ん、ンむ……ッ、ん……んッ!」  それをわかっていながらも、麻乃は抑制帯の縛めに身体を擦りつける。  研修が終わるまでの間は、麻乃にできることはコレしかない。 「ン……ッ、ん、んむ……ッ、んぅ……ッ、ング、んッ……ッ!」  繰り返し繰り返し陰部にベルトを擦りつけて、そのうち身体が疲れてきたら、瞼を閉じて休憩する。  そして、ふすぅー、ふすぅー、と呼吸を繰り返し、疲れが引いてきたらまた腰を動かしてアソコに刺激を送り込む。  麻乃はそれを機械のように、何度も、何度も、繰り返して、ただ時間を潰していく。  そうしているうちに麻乃の意識は曖昧になってきて、まどろみの中へと落ちていった。    ――――――――――  ――――――――  ――――――  ――――  ――  ブーッ。 「――ッ」  耳障りな音が室内に鳴り響き、ガチャンッ、という解錠音のあとにガララッと扉が開かれる。 「こんにちは。お昼ご飯の時間ですよ」  何事かと思って入口のほうへ視線を向けると朝のときとは違う初対面の看護師さんがワゴンカートを押して病室に入ってくる。  麻乃はそんな看護師さんの様子をぼーっと眺めながら、自分がいつの間にかうたた寝をしていたことに気づいた。  股間にベルトを擦りつけているうちに眠ってしまったらしい。 「チューブ繋げますね」 「ンんッ……ッ」  病室に入ってきた看護師さんは、そんな麻乃に構うことなく、シリンジにたくさんの流動食を吸引して、麻乃の顔半分を覆っているマスクに流動食用のチューブを繋げてきた。  看護師さんにとっては当たり前の作業なのかもしれない。四回目にもなると麻乃もいい加減慣れてきた。 「はい、注入しますよ」 「んむッ……ッ!? ん、ン……ッ! んぐッ……ッ、ンんッ……ッ!」  看護師さんがポンプを押し込むと口の中を満たしてくるのは、甘くて濃厚な流動食。  一分……。 「ん……ッ、ん、ンッ……っ、ンんッ」  二分……。 「んむッ……っ、んッ……ッ、ンんッ……ッ、ん……ッ、ン」  三分……。 「ン~~ッ、ん……ッ、ん……!」  強制的に注がれてくる液体をただ受け入れているだけでお腹はいっぱいになり、頭がぼーっとしてきて、身体の芯が熱くなる。 「んぅッ……、ん、んむ……ッ!」  それでも流動食は遠慮なく流し込まれて、やっとの想いで全部飲み終えると革マスクの蓋が閉じられた。  もう、このときには下腹部の奥でマグマが滾るような熱気が溢れかえり、アソコを弄り回したい衝動に駆られていた。 「次は、おしっこですね」 「んむぅ……ッ」  ぼーっとする頭で麻乃がふすぅー、ふすぅーと鼻から吐息を漏らしている間に、黒いラテックスの手によって股間のファスナーが開かれる。  むわぁっと熱気が立ち込めるようなメスの匂いが室内に広がり、とろとろになった桜色の割れ目が空気に触れてスースーする。  看護師さんは問答無用でそこに尿瓶を宛てると。 「はい、おしっこしていいですよ」  麻乃に排尿を促してきた。 「ン……ッ」  だから、麻乃は恥ずかしさを我慢しながら、下腹部に力を込めた。  お腹の奥にある熱を外に出してしまいたかったのだ。  ――ちょろ、ちょろろっ。ちょろっ。 「んッ……ッ、んぁ……ッ、あ、ぁ……っ」  膀胱に溜まっていた老廃物が尿道に擦れていく感覚に麻乃は喉を鳴らす。  尿瓶の中には着々と麻乃から排泄されたおしっこが溜まっていき、そして―― 「おしっこするの上手ですね、偉いですよ」 「〜〜ッ!?」  すべてが終わってから、看護師さんに褒められたことで、自分が何をしていたのか麻乃は理解する。  今、麻乃は、生理的欲求のみを求めておしっこを排泄していた。  それも、看護師さんに促されるまま。何一つ疑問を抱くことなく排泄してしまった。  そのことに気づいて、顔がのぼせるように熱くなる。   「はい、おまんこ清拭していきますね」  なのに看護師さんは、そのことを指摘することなく、熱を帯びてとろとろになっている桜色の割れ目を優しく撫でるように清拭してくる。   「ん、ンッ……ッ、ンんッ……ッ!? んふぅ……ッ、ン……ッ!?」 「ふふ、気持ちいいですか?」 「んッ、ン~~ッ!」 「この辺が気持ちいいんですね」 「ん~~ッ!」  先ほどまでの恥ずかしさはどこへやら、看護師さんから与えられる気持ち良さに、麻乃は自ら恥部を押しつけて悦びを表現してしまう。  そうすることで麻乃が求めている部位を的確に清拭してくれるから、ムズムズとした痒いところがくすぐられてきて、すごく気持ちがいい。  もっと……。  もっと、拭いてほしい……。  そう思って、麻乃は腰を浮かせながら甘い声を漏らす。   「はい、終わりましたよ」  でも、そんな至福の時間は、すぐに終わってしまう。 「ん……ッ、ン、ん……ッ! んぅ~~!」  麻乃はもっとアソコを触って欲しくて声を上げる。  拘束衣に包まれた両手も動かして、ただをこねる赤ん坊のように看護師さんへおねだりした。 「ごめんなさい。他にも対応する患者さんがいるので、これくらいで失礼します」  なのに看護師さんは、黒いラバーパンツのファスナーを閉じると、すぐに病室を出て行ってしまった。 「んふぅ……ッ、んむぅ……ッ、ん、ングッ……」  まだ、何も満たされていないのに。  また一人だけで過ごす退屈な時間がやってきたことを知り、麻乃は何もできない空間で、腰を前後左右に動かしながら天井を眺めてぼーっとする。  自分の呼吸や、動いたときの衣擦れの音以外は何も聞こえない無音の世界。  天井の照明にただただ照らされて、時間の感覚もわからないまま放置されるだけ。  昨日は新井さんが玩具をクリトリスに装着してくれたけど、今日の看護師さんはそういったことはしてくれない。  ただ、事務的に最低限の作業を終えるとすぐに病室を出ていってしまう。  ――触りたい。  ――あそこを触りたい。  ――いっぱい触って気持ち良くしたい。  何も刺激のない空間で、麻乃の頭に浮かんでくるのは、そればかり。  それでも、時折自分が馬鹿なことを考えてることに気づいて、早く研修が終わらないか。と思案する。  今日を乗り越えて明日になれば、おかしなこの研修も終わる。  ベッドの抑制帯から解放されて、拘束衣も脱がしてもらって、自由になったあとは研修についてのレポートを纏めることになるだろう。  どういった内容をまとめるべきか悩むところだが、そのレポートを学校に提出さえすれば、麻乃は無事に学校を卒業できる。  だから、あと少し――。  あと少し我慢すればいい――。 「ン……ッ、んぅ……ッ」  なのに、――アソコを触りたい。  ――アソコを触って気持ち良くなりたい。 「ん……ッ、ん、ンっ……ッ!」  麻乃はわずかな刺激を求めるように抑制帯に抑えつけられた腰を再び上下左右に動かし始めた。  そうすれば、鼠頸部に食い込んでいる拘束衣のベルトがアソコの近くを刺激してくれる。  そうやって、何度も何度もアソコをベルトに擦りつけているうちに、麻乃はまたしても意識を失うように瞼を閉じてしまうのだった。  ――――――――――  ――――――――  ――――――  ――――  ――    ブーッ。  耳障りな音が室内に鳴り響き、ガララッ。と扉が開く。 「んふッ、ん……ッ!? ん、ンんッ……ッ!」  ベッドに磔にされたまま意識を失っていた麻乃は、それに驚くように目を覚ました。 「こんばんは。夕食の時間ですよ」  午前に引き続き、正午からも、うたた寝してしまってたらしい。  こんなにも惰眠を貪ることなんて、初めてだ。  銀色のワゴンカートを押して入ってきたのは朝のときとも、昼のときとも違う三十路くらいの看護師さん。  台の上で食事の用意を済ませると、麻乃の口を塞いでいるマスクの蓋を外してシリンジのチューブを取り付けてくる。 「はい、注いでいきますよー」 「んむ……ッ!? ん、ンッ……んっ!」  看護師さんの合図と共に、喉の奥に甘く絡みついてくる流動食。  麻乃はそれを、ただ受け入れるしかない。 「ん、ンんッ……ッ、んむ、ん……ッ、ん……ッ!」  ただ一方的に、注がれてくる流動食によって、麻乃のお腹はあっという間に満たされていき、そして当然のように頭がぼーっとして、思考があやふやになってくる。  下腹部の奥もなんだが熱くなってきて、アソコを掻きまわしたい衝動に駆られるけど、両腕は拘束衣のせいで動かせない。 「はい、終わりですよ。全部飲めてえらいですね」  シリンジのチューブが抜き取られ、マスクに蓋が戻されてから、看護師さんに頭を撫でられた。 「次はおしっこですね」  それから股間のファスナーが開け放たれ、メスの匂いを撒き散らす桜色の割れ目が露出したところで、そこに尿瓶があてられる。 「はい、おしっこしてください」 「ん、ン……ッ」  ――ちょろ、ちょろろッ、シャーーーッ。  研修が始まってから5回目になるベッドの上での排尿。  昼食のときと同じように、麻乃は恥ずかしさを我慢してそれを済ましていく。  これは、あくまでも研修……。  だから、気にしたら負け。絶対に気にしたらいけないのだ。 「上手におしっこできてえらいですね。次は、おまんこ清拭していきますよ」 「~~~~ッ」  でも、看護師さんから告げられる言葉で麻乃はやっぱり顔を真っ赤に染め上げていた。  今日の看護師さんはみんなして、麻乃の陰部を清拭するときにあえてなのか、おまんこ。と明言してから清拭してくるのだ。  それが、本当に恥ずかしくてたまらなかった。 「んッ……ッ、んふッ……ッ、ん、ンんッ……っ!」 「ふふふ、ここが気持ちいいんですか?」 「ん、ンんッ……ッ、ン~~~ッ!」 「はい、たくさん拭いてあげますからね」  そして、やってきたのは、至福の時間。  冷たく湿った布で、とろとろになっているアソコが清拭されていく。  朝と昼の看護師さんよりも上手なタッチで今回の看護師さんはアソコを優しく清拭してくれる。 「んぁ、ンん~~~ッ! ンムぅ、んぅう~~~ッ!」  そのあまりの気持ち良さに、麻乃は腰をビクビクと揺らして、悦んでいた。  アソコを清拭されるのは、すごく気持ちのいいことなのだ。  だから、もっと欲しい。  もっと、時間をかけてあそこを拭いてほしくて、よがるように腰を動かしては、看護師さんの手にアソコを押しつける。  あと、少し――  あと、もう少しだけ拭いてくれるだけでいい――  そうしたらきっと満足できる――  けれど——   「はい、終わりましたよ。今日はこれで失礼しますね。おやすみなさい」  清拭を終えた看護師さんは、ささっと股間のファスナーを閉じて、就寝の挨拶を告げると、病室をあとにしてしまう。 「んぅ……ッ、ん……ッ」  何も満たされていないのに……。  もっと、気持ち良くしてほしいのに……。  どうして、すぐにやめてしまうのだろう。  対応してくれる看護師さんが新井さんだったなら、きっと――   「ン、ん……ッ、んふ……ッ」  ぼーっとする頭でそんなことを考えているうちに消灯時間がやってきて、病室の照明が薄暗くなる。  ほぼ完全な暗闇の中。  麻乃は、満たされることのないむず痒さに抗うように腰を上下左右に動かしては敏感になっている身体に少しでも刺激を与えるべく抑制帯に肌を擦りつける。  何度も、何度も、身をよじらせ、鼻でふすぅー、ふすぅー、と呼吸を繰り返して、快楽を貪り続ける。 「ん、ンんッ……ッ、んむ、ん……ッ、ん……ッ! ん~~~ッ!」  その様子を捉え続ける監視カメラの存在に気づかずに、麻乃はまどろみの世界へと落ちていくのだった。  ――――――――――  ――――――――  ――――――  ――――  ―― その5 https://style-freya.fanbox.cc/posts/4819386

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