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美術解剖学を短期で勉強する人と長期で勉強する人がいます。それぞれの違いについて簡単にたとえると、短期学習タイプは目的地までの最短ルートを検索する感じの勉強方法で、長期学習タイプは地図を埋めていく感じの勉強方法です。それぞれ考え方や立場の違いなので、それについて紹介します。


私は興味があることは時間をかけて勉強するタイプです。わからないことがあっても、勉強し続けていればいつかわかるかもしれないと思って保留にしています。私にとってはわからないことがたくさんあったり、終わりがない方が楽しめるからです。


私が教えていた大学院生は趣味のように時間をかけて勉強するタイプの人が多かったように思います。反対に社会人や就職活動をしている学生さんは短期間で必要最低限のスキルを身につけようとする傾向がありました。


普段抱えている仕事の合間に勉強したり、今やっている作品に活かすためには、負荷を少なくして手早く覚えたい、という短期学習の気持ちはよく分かります。私も日常生活であまり興味のない物事は極端に時短していく傾向があります。


手早く学ぶ方も時間をかけて学ぶ方も、最初にやるべきことは同じです。内容全体をおおまかに把握することです。本を読む時に最初からじっくり読むのではなく、パラパラと最後まで見る。この時に一つ一つを覚える必要はありません。流れを把握する感じです。その後趣味のようにじっくり読むなり、仕事のように必要なところを読むなりすると効率良く勉強できます。


教科書を読むよりもさらに短期間で学びたいと思っている方は、授業を受けるのがおすすめです。授業を聞かなければならないという時間的な拘束は発生しますが、教科書を読むよりも圧倒的に素早く全体を知ることができます。


私が受けた医科大学の解剖学の授業は、骨や筋の運動器、内臓、神経、血管など系統ごとにまとめられていました。授業時間は90分、その時間内で一通りの情報がまとめられています。


独学をする際にかなり時間がかかるのがまとめ作業です。なんども繰り返し覚えないと知識と知識がなかなかつながらなかったり、自分なりに要点を抽出して整理できません。授業では、整理された内容を聞くことができます。


趣味のように勉強できる方は、知らず知らずのうちに「寄り道」ができます。時間をかけて勉強していくとだんだんと興味の範囲が広がっていきます。最初は肩甲骨をしらべていたのに、だんだんとヒト以外の動物の肩甲骨にも興味が出てくるなど、よくあることです。


仕事のように勉強する方は、知識や興味の広がりは少ないですが、制作に使える実用的な知識が蓄積されていきます。イラストレーターが執筆した美術解剖学の書籍を見ると、実用的な描き方が載っていることがありますが、こうした意識の表れかと思います。


短期学習と長期学習のどちらの勉強方法が合っているかは本人の性格によります。自分のライフスタイルと合わせて勉強スタイルを選ぶと良いでしょう。


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