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習い始めには、できないことにぶつかることが多く、その時に性格に応じて拒否反応が出ることがあります。「こんなの出来るわけがない」と投げやりになったり、「私にはまだ早い」と腰が引けてしまったり。

練習を重ねて慣れるまで使いこなせるようにならないので、こうした拒否反応は普通のことだと思います。拒否反応は一時的な感情なので、余裕がでたら治ります。勉強中に拒否反応が出たら、お茶でも飲んで落ち着いてください。

 物事に取り組むときには、自分の中でやる気があるかどうかを探ってみるのも良いかと思います。自発的に取り組んでみたい気持ちがある場合は、勉強にのめり込んで取り組めます。「やりたくないけどノルマだからやってみる」や「やれと言われたのでやってみる」という他発的な場合は、あんまりのめり込めませんし、吸収できる内容も少ないように思います。

 ところが、勉強が長続きするかどうかで言うと、「なんだかわからないけどやった方がいいと言われてやってみた」という他発的で、あまり成果等を期待してない人のほうが長続きしやすいように思います。

 私も当初から美術解剖学の教員になろうとしたわけではありません。いつかファッションデザイナーになりたいなぁと思っていましたが、ファッションに人脈もなく、仕事に就かなきゃなぁと思って引き受けたのです。教員を引き受けて、だんだんと教えているうちに「これはもっと詳しくならないと責任持って教えられないな」となっていろいろ調べていきました。

 反対に「やってみたい」と強く言う人ほど、気持ちも熱しやすく冷めやすい傾向があるように思います。無理を重ねて疲れてしまうのかもしれません。美術解剖学の学習は長続きすればするほどよいので、肩の力を抜いて余裕を持って対応してください。


 私はたまたま教員になり、学生さんに教える立場になりましたが、人に教えたり伝えるというのは自分の中で情報を整理する機会が得られます。相手に伝えようとすることで、自分がわかっていないことが見えてくる感じです。

 学生に教えた初年度に、第1肋骨が第1胸椎を超えて第7頚椎に連結するのか質問されて答えられませんでした。肋骨の先端は第11、12肋骨を除いて、上下の背骨の間に連結しています。では第一肋骨はどうなっているのかという質問でした。ちなみにその答えですが、通常、第1胸椎の椎体には肋骨窩と上肋骨窩があって、第7頚椎には連結していません。さらに後年には、下位の頚椎には頚肋(けいろく)という短い肋骨がたまに生じることも知りました。最初にわからなかったときの反省で、より詳しい内容を調べたのだと思います。

 間違いは成長のきっかけになります。間違えて恥をかくと、わからなかったことを調べます。必要に迫られて調べると次からは間違えにくくなります。調べずに想像で適当なことを伝えるのはうそになるのでよくありません。見栄を張らず、わからなかったらわからないと素直に振る舞う姿勢が大事です。

 仲間内で情報交換が出来る場合は、話し合ってみると良いでしょう。知識の補完ができます。これの繰り返しで知識が増えていきます。私は解剖学の現場で学んだので教員間の情報交換が出来ました。もし周囲の友人、知人で美術解剖学を勉強している人がいたら、情報交換会を開いてみると良いでしょう。友達と親睦を深められるし、勉強も楽しめます。

地方に住んでいて周りに同好の士がいない場合は、練習したものをSNSに投稿してみてください。きちんと作品に向き合ったら、下手でも間違っていても構いません。間違っていたり、よりよくできるところに気づいたら直せば良いだけですし、続けていると同好の士が集まってくると思います。


 アップした作品に対して厳しい指摘をする人がたまにいます。いわゆるアンチやヘイト、煽りです。私も何度か言いがかりをつけられたことがあります。今は相手にしないようにしているのですが、最初の頃はきちんと説明責任を果たそうと思って対処していました。しかし、いずれの場合も話し合いにならず、火に油を注ぐ感じになってしまって、結局は無視した方が良いとなりました。相手の頭の中にはすでにしっかりした答えができていて、言い分を変えることができなくなっているのかもしれません。

 そうした方々は私から見ると専門家が内容をよりよくするために指摘する態度ではないように思います。少なくともSNS上で私に指摘した人は実際に解剖して自分の目と手で構造を確認している人はいませんでした。おそらくですが、当人たちは何らかの事情で生活や人生がうまくいっておらず、機嫌が悪かっただけなのではないでしょうか。

 人からの指摘の内容も、言いがかりなのか、適切なのかは、知識をつけていくと判断できるようになります。作品を作らず、頭の中の考えで議論しようとしている理想主義者や完璧主義者は周囲の人を楽しませるような作品を作る腕前を持っていないことが多いです。普段から作品を作っている方なら、想像上の完璧さが、作品に反映できないことをよく知っているはずです。理想で議論してくる人は、スポーツ観戦をしているときに応援している選手やチームが思い通りのプレーをしなかったときに文句を言っている人と同じなので、相手にしなくて良いと思います。

 向上心を持って作品をアップし続けている人の方が立派な姿勢なのは自明のことです。丹精込めて作った作品は、周囲の人にやる気や勇気を与え、その人たちの人生を少し豊かにしてくれます。縁のない人に嫌なことを言われたら、怒らず、落ち着いて自分の作品の価値を信じてください。


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