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この記事のまとめ:美術解剖学の勉強方法は、時間をかけて繰り返し覚える反復学習です。時間をかければかけただけ知識と技術が習得できます。勉強がわからなければ美術解剖学に長く触れるでもかまいません。まずは動機と目標を考えます。何のために勉強するのか、どういう表現に至りたいのかをイメージしてみましょう。次に勉強する対象の何に興味があるか探ります。結果を考えたり、興味を維持すると長続きしやすいです。


 「勉強ってどうすればいいかわからない」

 私が美術解剖学を学び始めた頃にまず直面した壁はこれです。

 学科の試験勉強のように、試験範囲を丸暗記するという方法ならわかりやすいのですが、何かをクリエイションするための勉強は試験がありません。何かを作れるようになるための技術を習得する職業訓練といった方が近い。

 美術系の人は高校を卒業して美術大学の入試を終えると、学科試験がなくなります。就職した人にとっては就職面接の試験が最後でしょうか。

 私は学科の試験が苦手でした。試験は本来、教えられたことを学習できているか確認するためのものだと思いますが、順位づけがなされて自分を値踏みされるような感じがしたり、誰かに優越感を感じたりあんまり気分が良くありません。敬遠している理由は、テストの結果で卑下するのも自慢するのも居心地が悪いからかなと思います。大学に入学して、やっと試験勉強から解放されたときはとても気が楽だったのを覚えています。

 ところが、美術解剖学に触れてみると、学科の授業のように解剖学用語が並んでいて、どうやらそれらを暗記する必要がある。

 私のように試験が苦手で美術の世界に足を踏み込んだという人は、何かを作ったり技術を習得することは得意だけれど、経験を通さずに理解したり、本を読み込んで暗記することが苦手なのではないでしょうか。私のようなタイプの人は、人体の膨大な情報量をどうやって勉強すればいいかわからなくなってしまうのです。

 わからなくなってしまったときに勉強方法がわからず闇落ちてしまうと、「美術解剖学は暗記だ」と愚痴をこぼしたり、どこから手をつけていいかわからなくなって放棄してしまいます。

 勉強の方法がわからなければ、まずはなぜ勉強しようと思ったのかどういう結果を望んでいるのかを考えてみましょう。動機と目標は、勉強に疲れて迷ったり、やる気を失った時に復帰するための指標になります。

 私の場合は、ファッションを勉強していたときに「衣服デザインの基礎は人体構造である」という強い確信を得たことがきっかけになりました。洋服は人が着て初めてその役割を果たします。土台となっている人体が理解できれば、自在に服の造形やデザインをすることができるようになる、と考えたのです。もちろんこれは私の勝手な思い込みなので、そうでない意見もまた一つの答えだと思います。私の当時の目標は、とりあえず「人体の構造をすみずみまで覚えること」でした。

 イラストレーターさんなら同期は「人体を自在に描けるようになりたい」で構いません。目標は、現実的なものを想定するのがいいでしょう。具体性がないものは、目標に至る過程がわかりません。小さなステップでかまいません。私の場合の「人体の構造をすみずみまで覚えること」は、過去の芸術家も勉強していたし、お医者さんや看護師さんなど医療従事者の方々も勉強しているし、時間はかかっても無理な目標ではないだろうと思いました。


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