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※SKEBにてオリジナル作品のリクエストを頂きました!

 PIXIVの方でやっている「ルズワーレ王国史」シリーズの流れを汲む作品をというご依頼でしたので、それに連なる三作品の要素をミックスしたセルフパロディ的な作品となっております!

 勿論、単体でも読めるようになっておりますので、どうぞ下記よりお楽しみください!




 ──年若く、美しい少女たちであった。

 一人は赤い髪の下に動揺の見えない燐とした表情を称え、もう一人は青い髪の下に瞑目しているような落ち着きが見える。このミズニフェイム王国に限らず、国と言う者にとって宝というべき若い命が今、立たされているのは処刑台の上だった。

 首には太い縄がかけられ、足元の床が外れれば忽ちに脛骨が折れて即死する……そう言われているが、実際にはつま先が嵌め板が堕とされると同時に薄い木床がスライドして、ちょうどつま先を限界まで伸ばせば足が届く程度の隠し床が出来る。その安定を求めて、罪人は自ら首を深く吊り、長く苦しんで死んでいくのだ。

 これほどの残虐な刑罰がうら若い乙女に下されることに、旅人や一部の商人は眉根を顰めて不快の念を示しているが、それを取り巻く聴衆のほとんど……ミズニフェイムの首都イオキスの住民たちは、声も発することなく興奮と歓喜に満ちた気配を放っている。異様な光景……そう言わざるを得ない。

 処刑台の上に、銀色の髪の乙女が姿を現す。それまでは静かに乙女たちが罰されることを望んでいた観衆が、抑えきれない黄色い声を上げた。

多くは男からだったが、中には女性の声も混じっている。

 処刑人というのは、多くの国においては激烈な差別に晒され、表の職業を持っていた場合はその来歴が明かされると、一切の客が入らなくなるなどと言うことも珍しくはない。

 だがミズニフェイムにおいて、多くの場合は処刑人はある種の英雄のような扱いを受け、国の守りであるミズニフェイム騎士団と並んで賛美される。

 特に今回のように、少女たちを罪人として捉えた由縁により、処刑台にミズニフェイム騎士団の若き団長、オルシア・レモイーサが立った場合など、熱狂と言ってもよいほどの興奮が広場に渦巻いている。

 狂ったように騒ぐ聴衆たちに向けて、オルシアは静かに、しかしよくとおる声で語り掛け、宣告を行う。


「──この場に吊るされし二人の乙女は、この国において……いいえ、人間と言う存在そのものにとって、最も重く邪悪な罪を犯しました。そして、その更生の機会として“ヒトヒナ”に堕とされることを拒否し、自らここへ上ることを望みました。これは何を意味するか、賢明なるミズニフェイムの民ならばわかるでしょう」


 少しだけ芝居がかった様子で、オルシアは処刑台の上から聴衆を見渡す。

 本来は腹芸を好まぬオルシアだが、史上最年少の騎士団長として猛者の中で揉まれ、この程度の演技は可能となっていた。


「そう、彼女たちは心の底より悪徳に染まり切ってしまったということです! 同性趣味という、猛毒に! これに犯され、生命活動の維持すらも放棄する、まさに“人の雛”ともいえないような所業! もはや彼女たちの命は死によってしか救済されません!」


 すらりと国王陛下より賜りし聖剣ルスナサニアを引き抜き、朗々と宣言した瞬間、ミズニフェイムの民からは一斉に「吊るせ! 吊るせ! 吊るせ!」の大合唱が巻き起こった。

 旅人たちは足早に広場を離れ、良識ある商人たちは早々の商売を畳み、そして……彼女たちと違い、死ではなく“更生”の名目で酷使奴隷に立場に堕ちた“ヒトヒナ”の男女たちは、自分たちよりも勇気があり、互いへの感情に誇りを持っていた同胞の最後に目を伏せた。

中には、主人から見届けるよう強制されるものもいたが。

 “ヒトヒナ”──それはこのミズニフェイム王国における、独特な制度が生み出した奉仕奴隷である。

 ミズニフェイムは絶対的な異性愛の信奉国家であり、同性愛者は勿論のこと、両性愛者も無性愛者も許さない、若いが生殖能力が無い者も激烈に差別するという国風である。

 これらの少数者の性的嗜好が判明すると、彼ら・彼女らは“ヒトヒナ”と呼ばれる立場に堕ちるか、公開処刑に晒されるかを迫られる。

そして多くの場合は命を惜しみ、自らの愛を貶められる形で酷使奴隷に堕とされるのだ。要するに……国家を上げた、性矯正政策である。

 この国では異性愛者であるというだけで、他国では考えられないほどの特典や補償を受けることが出来る。

 しかし、それによって生まれる負担や負債をすべて“ヒトヒナ”へと押し付け、彼ら・彼女らは激烈かつ劣悪な労働環境に置かれるうえ、こうして主に犬のように連れ回されることもザラだ。

 そして当然ながら、異性に限ってではあるが“ヒトヒナ”は自由に犯すことが“救済措置”として許されている。

この広場の“ヒトヒナ”たちにも、まだ淫水焼けしたての肉棒を持つ少年や、ぼたぼたと股間から精液を零す妙齢の女性などが混じっている。

 ただ異性を愛するという、当たり前のことと考えられがちなそれの実践だけで、上級国民になれる国にも関わらず、旅人や商人がいつかないのは、この根源的な忌避感を産むような情景の数々が原因であった。

 もっとも生まれつきミズニフェイムで暮らす者たちにとって、それらは日常の点景に過ぎぬものであるし、罪人が裁かれることに何の痛痒があると、そう考えているものが多数であるが。


「(……如何に罪人が相手とは言え、この熱狂は少々、行き過ぎています。本来の公開処刑の趣旨とは、自分たちの正しさを再確認し、己の中に巣食う悪徳を見返すことなのに)」


 そんなミズニフェイムの国風に、深く従いながらも馬鹿騒ぎに胸を痛めている者もいた。

誰あろう、騎士団長オルシアである。

 オルシアはその卓越した剣技と実直さ、そしてミズニフェイムの真理の実践者として在り方を示し、十四歳で保護者であったゲラウス・ギールと婚約し、十六歳で騎士団長に就任したが、ミズニフェイムの出身者ではない。

 元はこの国の最大の敵対国であり、同性愛と退廃が蔓延すると言われている邪教国家“西国”からの避難民であった……らしい。幼いオルシアはあまりにも過酷な“西国”での日々と、苛烈を極めた脱出口によって記憶のほとんどを失ってしまっている。

 今の彼女の信念や思想は婚約者であるゲラウスが与えてくれたもの……その正しさについては疑う余地もないが、同時にそれらを“真剣に”信奉しているオルシアからすれば、民の熱狂やその時だけ気持ちよくなる為に命を消費する姿勢には、疑問を呈さざるを得ない。


「(……いえ、このような迷いはミズニフェイムの重職にある者として、不急にして不要。私は信念と生きる理由と、そして清らか異性愛を教えてくれたゲラウス様と、そしてこの国の陛下の為に御旗として振舞うのみ。個人の心情など、国の在り方という大義の前では大きな意味を成しません)」


 そういう意味では、個人的な欲求の元に国の在り方を乱し、これほど多くの者が処罰されたり“ヒトヒナ”に堕ちたりしているのに、なお総括と学習を行わない罪人たちには、憎しみはともかく強い怒りを覚えることはある。

 銀色の髪の下には、一見すると優しげですらある美貌があるのだが、そこに怒りが加わると途端に苛烈な気配が漂い、射竦められた少女たちもびくりと肩を震わせた。已む無きことだろう、彼女たちは誤った“恋愛もどき”の悪徳によって暴走しているだけ、それは愛でも勇気でもなく依存の結果……病巣なのだから。


「ここまた一つ、悪徳の種が摘まれました。これは我らミズニフェイムの民の正しさの象徴! 男は女を護り、女は男を立てる、これ以上の正義は世に存在しません! すべての清らかなる愛に祝福あれ! そして、悍ましきソドミーの罪に呪いあれ!!」


 力強いオルシアの宣言と共に、剣を振り上げるのを合図として、遂に処刑台の嵌め板が外された。

 少女たちは、首に縄をかけられた状態でも互いをじっと見つめ合っていたが、その体がガクンと高度を下げると流石にその余裕もなくなり……。

 ──直後、飛来してきた刃の閃きが、正確に少女たちの首の縄を引き裂いた。

 隠し板は吊られた状態で足先が届く程度では破損しないが、流石に少女二人とは言え人間の全体重がかかれば、底が抜けて処刑台の下へと落下していく。

 咄嗟に罪人を切り捨てるべきかと迷ったオルシアであったが、複数方向から飛びかかってくる刺客の対処に専念し、愛剣ルスナサリアを一閃する。

 正確に細いロープを切るような投擲術を持つ刺客であったが、その手腕を以てしてもオルシアの剣戟には敵わない。

一刀の下に胴体を両断されて、その勢いで四肢が回転しながら吹き飛んでいく。

 刺客の背後からもう一人、決着の隙を突くべく飛び掛かってくる影があったが、こちらは自分から血色の斬撃の中に飛び込んでしまい、まったく同じ軌道で両断されて処刑台の上に転げた。

 ルスナサリアは宝具と呼ばれる神代の時代より伝わる武器であり、血や脂を弾くことで切れ味が永遠に鈍ることは無いとされる宝剣だ。オルシアほどの手腕があれば、相手を切った際に刃が弾いた血や脂も数秒ほど“滞空”させておくことができ、設置する斬撃として使用することができるのである。

 素早く視界を巡らせば、善良なるミズニフェイムの民が戦きながら距離を取る先、処刑を免れた罪人たちを連れて逃走する影があった。

 この国に潜む反乱分子……異性愛を称え、健全なる血の継続を否定する、同性愛者の権利を訴える者たち。最近になってその活動は活発化しており、オルシアがこの場に現れたのはミズニフェイムの真理を啓蒙する意味合いも勿論あったが、最近になって活動を激化させている反乱分子による、処刑阻止への牽制もあった。


「私を前に、堂々と罪人を連れ出すとは。いいでしょう、衆目に吊られることで後続の礎となり、罪を少しでもあがなうことすらも拒否すると言うのなら……“ヒトヒナ”しか蠢くもののない町の陰で、斬獲されて屍を晒しなさい!」


 風のようにオルシアは罪人たちを追っていく。

 処刑場を襲った混乱に動揺していた人々も、反乱分子を一刀の下に切り伏せたオルシアの武勇と、彼女が罪人を追ったことに安堵して、歓声を上げてミズニフェイムの真理の勝利を謡うのだった。



 ──ミズニフェイムの陰の部分。“ヒトヒナ”たちの中でも病にかかって撃ち捨てられたり、年を取り過ぎて労役を果たせなくなったり、あるいは主と定められた男女の元を逃げたしたり、そんな“はぐれ”の蠢く路地裏を、オルシアは迷うことなく駆けていく。

 本来の役目から逃げ出したり脱落したり、生きていても仕方ない同性愛者の成れの果て……両断して慈悲深き神の裁定に任せた方がいっそ楽なのではと思う浮浪者たちに目をやりつつも、オルシアはひたすらに罪人たちを追っていく。

 この国で最高の戦力の持ち主であり、健脚においては男にも勝るオルシアは、罪人たちを追い詰め、ルスナサリアを突き付ける。


「──もはや命乞いさえ聞く気はありません。元とは言えミズニフェイムの民として、大人しく断罪の刃を受け入れなさい」

「……あたしを置いて逃げて」

「嫌っす! 離れないっす!」


 罪人たちはこの段にも依存に過ぎない同性愛ごっこを演じており、オルシアは酷く憐れみを感じる。

 だが助命して確かな教育を施すべしという、その段は疾うに過ぎている。過つ命ならば絶たれるべしと、むしろオルシアは慈悲として刃を振り上げ──ここまで罪人たちを連れて逃げてきた相手が、見当たらないことに気が付いた。

 背後で蠢いたものに向かい、確認もせずに斬撃を放つ。

 黒いローブに全身を追っていた相手は、外套を切り裂かれて、その容姿を露わにした。

 黒髪の、美しい乙女。ローブを脱ぎ捨てた彼女は、ミズニフェイムの貴族なのかと思うほどに、整った容姿と確かな身分を感じさせる外観をしていた。

このような相手が、よりにもよって反乱分子として協力しているとは……ミズニフェイムの真理の信奉者としては、目を伏せたくなるような光景だ。


「……わかりませんね。あなたほどの器量よしならば、殿方からは引く手数多のはず。どうして、女性同士で慰め合う必要があるのです?」

「ああ、そういう考え方な訳ね。あなたはこの国の中ではまだ“マシ”な方だと見て取っていたけれど……その根本的な部分がズレているんじゃ話にならない」


 反乱分子の女は罪人たちから「レジスさん!」と呼ばれ、軽く手を振って見せてから、短い刃を逆手で以て構えた。

 そうしてから、オルシアに対して淡々と言葉を重ねてくる。


「本当に心から同性を魅力的だと感じ、時に体を重ねたいと思う熱情は依存でも妥協でもない。男にモテないから女に走る、女に相手にされないから男に走る……それが全てはあり得ない。友情と愛情の境界線なんて、年若い頃ならあやふやになることも多いだろう?」

「何を馬鹿なことを。同性に抱くのが友情、異性に抱くのが愛情です! これは世の真理でしょう!」

「ほとんど雌雄のある生物において、同性愛は確認されている。高等な知性を持つものほど、この習俗を持つというよ。例えば、キミたちが必死になって否定しているものが、この世の理の一部だとしたら……その時、キミたちはどうするつもりかな?」

「ひ、人を禽獣の類と同じにするのですか!?」


 オルシアの心に、ほんの僅かな漣が立つ。

 そもそも異性愛者に対する基礎教育レベルは高いミズニフェイムだが、専門的な教育というものを受ける者は少ない。それらは最終的に「効率的な社会」を形成する為のものであり、その労力を“ヒトヒナ”で補っているミズニフェイムの民は、爵位を持たぬ者でも精神の貴族であるからだ。

 オルシアもまた、同性愛傾向を動物のほとんどが獲得している性質だという言葉、その真偽を判ずる為の知識を持ち合わせず、そして「そんなことは絶対にありえない」と盲目的に信じ込めるほど愚かでも無かった。

 レジスの技はオルシアも見たことの無い、異様なほどの冴えと速度を持った近接戦闘術であり、オルシアの方が素の実力なら上だろうが、騎士団内でも上位に入るものと考えていいだろう。

 しかし、ただでさえミズニフェイムの民の本能的な……もっと言えば動物的な野蛮ともいえる一面を見てしまった後だと、レジスの言葉は想定以上にオルシアの胸に食い込み、柔らかい部分をじくじくと突き刺してくる。

 それでも剣の冴えは殆ど鈍ることがないのは、オルシアが体技だけでなく精神的にも無敵と名高いミズニフェイム騎士団の長に相応しいものを備えているからだ。

 罪人たちのすがるような視線は、レジスをミズニフェイム最強の騎士相手にも粘らせたが……遂に聖剣ルスナアサリアが、レジスの手にしていた短刀を破壊した。


「(これほどの腕前のもの、正しき真理を解すれば、きっと良い同胞になれたことでしょう……せめて、一刀の下に逝きなさい!)」


 オルシアは敢えて、全力で大上段に構える。

そのまま突くなり裂くなりすれば、一撃で決着する可能性もあったのだが、実力者への敬意が必殺の剣戟をオルシアに選ばせた。

 ……レジスの狙い通りに。


「ひぅぅっ!? あ、あなた、何を……あぁっ!? あ、くぅぅぅぅっ!?」

「ようやく組み付けた……キミの優しさにつけ込んだ形になって気分は良くないが、生き残る為には何でもする主義なんでね」

「な、何を言って……はうぅぅぅっ♥」


 レジスのやったことは単純だ。

剣を振りかぶって無防備になった下半身に、素早く手を伸ばして股間に触れて、相手の攻撃を中断させると共に組み付く。後は動揺している間に、思い切りお腹を押して見せたのだ。

 オルシアの子宮が体外から刺激されて、優しく赤ちゃんを抱くような手つきなのに、無敵の姫騎士の喉からは「ほぉぉぉぉっ♥」と間抜けな喘ぎ声が漏れてしまい、手からは賜り物であるルスナサリアを取り落してしまう。

 それでもオルシアの膂力と格闘術があれば、レジスを撲殺することは可能だったのだが…ずりゅっ♥ と耳の中に舌を挿入されて、片手で子宮を優しく撫で回されながら、豊かな胸を揉み上げられると……もう、ダメだった。

 自慰すら知らないオルシアの体は、同性から与えられる快楽に完全に屈してしまっており、腰をヘコ♥ ヘコ♥ と前後させながらガニ股となり、涎を垂らしながら舌出しのけぞりを決めてしまう。


「ほあぁぁぁっ……♥ な、なん、ですか、これぇぇ……♥ こ、こんな……戦いを、穢すつもりで……ひぃぃぃっ♥」

「反応が少し良すぎるね、もしかして……レズなんじゃないの、キミ」

「なっ……わ、私と婚約者であるゲラウス様を侮辱して……いひぃぃぃぃぃっ♥ そ、そんなところを摘まんでは……ひゃふぅぅぅぅぅっ♥ ちゅこちゅこダメですぅぅぅぅぅぅっ♥」


 レジスの容赦ない攻めに、ぷっくらとオルシアのクリストリスは勃起してしまい、そこを摘ままれて押し潰され、それから優しく開放されて前後に扱きあげられる。

すると粘っこい潮を噴いて、オルシアの股間は体と意思を裏切って絶頂を繰り返してしまう。

 どうして、同性相手に感じている? まさか、本当に私はレズビアン?

 危うく堕ちそうになる意識を、しかしオルシアは奮い立たせ、クリコキ快楽にもポルチオ刺激にも耐えきり、思い切り組み付いているレジスを弾き飛ばす。


「──! へぇ、このまま堕とせると思ったんだけどね!」

「……!」


 オルシアは言葉を発することなく、聖剣ルスナサリアに向かって手を伸ばす。愛剣を手にすることが出来たのなら、そのまま逆袈裟にレジスを切り上げて決着を……!

 この時、オルシアは無自覚に自身へ快楽を与えたレジスから目を逸らしていた。

 故に彼女が、自身の下穿きをするりと落とし……普段はしまっている、彼女の“武器”を開放したことに気付かなかった。

 べちんっ♥ とオルシアの鼻先を叩く、肉の感触。むわぁぁぁつ……と男と女が混ざった濃密な匂いが鼻腔を支配し、あと僅かで聖剣に届く手を止めさせる。

 ゆっくりと、オルシアの視線が下がる。その目が、己の鼻先を叩いているものの正体……即ち、レジスの股間から生えている肉棒を確認する。


「あっ……♥ あぁぁぁぁぁぁぁっ♥ おへぇぇぇぇっ♥」

「やっぱり……キミは、オルシアは“西国”の人間だろう? 初めて見る雌チ〇ポにここまで反応するノンケなんて、そうは居ないよ。数年前にミズニフェイムへ送られた“和平使節”が皆殺しにされ、年若い少年少女だけが行方知れずになった事件があった……その生き残りか」


 雌チ〇ポを夢中で嗅ぎ、軽く潮を噴きながら、オルシアは全てを思い出してしまっていた。

 そう、オルシアは“西国”からの避難民などではない。同性愛者も、両性愛者も幅広く受け入れ、生殖能力を失った者や老人への福祉も安定して行っていたののが、真の“西国”の姿。

ミズニフェイムから一方的に敵視され、当時の“西国”の女王はオルシアたち和平使節団を送ったのだ。

 しかし入国した瞬間に、目の前で育ての親だった同性愛者の叔母婦婦が乱暴された上に殺され、出来るだけ多くの性の在り方を知ってほしいと編成されていた使節団は、異性愛者とまだ性嗜好が定まっていない若い少年少女だけが生き延びたのだ。

 そして、オルシアは自分よりもずっと年上のゲラウスによって組み伏せられて……。


「あぁぁぁっ……わ、私は……私はぁぁぁ……! な、なんてことを……! 叔母さんたちの仇を、真理の追求者と賛美していたなんてぇぇっ……!」

「……キミが悪いんじゃないよ。この国の巧妙で悪辣なやり口、異性愛というステレオタイプな形の後ろに隠れた搾取と差別のシステムのせい」

「そんな風に、割り切れません……! わた、私は……同性愛者の人たちを……同じ“西国”民も、この手で……んむぅっ♥」


 ひたすらに自虐の沼へと沈んでいきそうなオルシアの唇に、レジスの肉竿の先端がちゅっ……♥ と触れた。

 自分が本当は、自由の国で生まれ落ちたという事実、“普通”の尖兵として圧制者に堕ちてしまっていたこと、それを消化しきれない状態で、それでも長く信奉した異性愛が間違っているようにも思えない……。

そういう今のオルシアにとって、レジスの中間の性の形は、ひどく心を安らがせるものだった。


「んちゅっ……じゅるるっ……♥ ん、あぁぁ……♥ これ、すごひぃぃ……か、体が、熱くなってぇぇ……♥ あっ……あぁぁっ……♥」

「挿入れるよ……辛い思い出は、私が塗り替えてあげる……んっ♥」

「あぁぁぁぁっ♥ えっ……♥」


 レジスの気遣うような言葉に、自然と股を開いてしまっていたオルシアは、種付けプレスの姿勢で一気に挿入を受けたのだが……その股間から、ぽたぽたと破瓜を示す血が落ちていた。

 それは、初めての証。純潔だった証明。

 そう、ゲラウスは幼いオルシアの反撃で肋骨を折るほどに傷めつけられ、従順な異性愛の使徒として教育しながら、騎士団員と育成してきたのだ。彼女が異性愛至上の国の御旗となった時……それを妻帯し、更なる権力を得る為に。


「んあぁぁっ♥ あはぁぁぁっ♥ わ、私の体が……んんっ♥ あ、あなたのことを、受け入れていますぅぅっ♥ あ、あなた、一体……あんっ♥ あぁぁっ♥ ど、どうして、初めてなのに……んんっ♥ こんな、気持ちいい……あうぅぅっ♥」

「男とか女とか、大切だけど絶対視すると面倒になるだけだよ。本当に大切なのは、相性だけ……私は両性愛者だけど、キミに夢中になりそうだ♥」

「あ、へ……んんんっ♥」


 告白の言葉に、思わず絶頂してしまう。初めての挿入でイッてしまった……チ〇ポが生えているとはいえ、女の人相手に。

 それで軽蔑されないかと怯えるオルシアだが、レジスはむしろ嬉しそうに、キスをしたまま腰を深くに沈めていく。


「キミは、色々な考えをまず知るべきだと思う。この国を、その上で選ぶならそれでもいい。私たちの元で、一旦別の考えを学んでほしい」


 情熱的なレジスの誘いに、懸命にうなずくことしかできないオルシア。

 そんな彼女の体を抱きしめながら、レジスが囁いた。


「私はレジス、レジス・スタン……ようこそ、オルシア。私たちの“組織”へ……あらゆる愛の形を開放する為の嚆矢──“ヨツンセスク”へ」


 ……これが後に、他国人でありながらミズニフェイムの最年少騎士団長に上り詰め、しかしそこから反乱組織“ヨツンセスク”に協力して国の真の開放を成し遂げた“真愛剣姫(=しんまけんき)”、オルシア・レモイーサの“本当の始まり”だった。



 ──禿頭の男が、玉座に腰掛けた荘厳な空気を纏う人物へと、語り掛けている。


「時期に“西国”の生き残りの娘も、完全に私の手の中に納まります。そうなれば、我らの理想の為の進撃を始める頃合いかと」


 玉座の人物は、禿頭の男──ゲラウス・ギールに向かって、軽く手を向けて見せる。続きを申して見よ……そう言っているように思われるその人物の全身からは、キチキチキチキチ……と歯車の噛み合うような音がしている。


「この世を、完全なる異性愛者の楽園へと変え……その上で“ミズニフェイムを踏み台”として、真の意味での平等国家──女どもなど狗の死骸ほどの価値すらない孕み穴だと知らしめ、優れた男たちの支配する“男人雌畜”の楽園を築き上げるのです。無論、あなたを頂点として──“魔王様”」


 キチキキチキチキチキキチキチキチキチキチキチキチキチ──。 


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