『別式』で描いたこと、描けなかったこと(9) (Pixiv Fanbox)
Content
〈第3巻・第拾七話〉
・ふたつのニアミス回
あと十数秒の差で運命が変わっていたかもしれない。
・台風の向き
日本においては逆なんだな。
こっちは合ってる。
・歳の差
この時点で九十九は26で、刀萌は23。刀萌が女衒について村を出たのは19。
〈第拾八話〉
・島田初登場
源内とどう切鵺と決闘させるかを考えた時に「源内を売る」役割のキャラを考えた。切鵺と源内の決闘は私闘ではなく、史実どおりに公の場で行わせたかった。
そのギミックの説得力を膨らませているうちに存在が増していった。
・可愛い刀萌
グループ行動の帰り道になんとなく好きな女の子と二人だけ並んで歩いちゃって、その子の顔がほどよい疲労感と微笑みを携えて夕日に照らされてたらキュンキュンしちゃうじゃないですか。
・オジコン
まったくもって何があったんでしょうねえ。
・酔いも醒める
わかるよ…わかるよ魁。
グループ飲みが跳ねた直後に好きな人がイチャついてるの見たら死ぬよね。
〈第拾九話〉
・気まぐれ
刀萌が源内との対決を前に類を訪れたのはほんの気まぐれ。
待ち伏せにはまだ時間があったのもある。
この戦いに際しては例の手紙も準備していた。
負けるつもりはなかったが嫌な虫の知らせはあったのだろう。
それに類相手なら予行演習もできるし、虎踞位に自力で辿り着いた類にならその先を教えておきたかった。
・鏡斬り
漫画の技としては非常に地味な仕掛けなんだけど、この地味さが良くないですか。
・剣の軌跡
効果線をズラして空間ごと斬り裂いたような表現。気に入っている。
・致命傷
この一撃で大腸が損傷している。まず助からない。
〈第4巻・第弐拾話〉
・貫通
源内の剣先は刀萌の内臓を下に抉りながら子宮と膣を破壊して会陰から抜ける。
源内の余裕の無さ・残虐性もあったが、刀萌が抗わなければこのトドメの刺し方はなかったと思う。
源内には「果たして本当に走馬灯は見られるのかを知りたい」願望があるので、可能なら相手を即死はさせない。それなら他に殺し方はある。
結果的にこのトドメの傷が九十九の憎しみをより強くする。
・眼の輝き
死んだ生き物の眼からは急速に輝きが失われる。
飼い猫が目の前で息を引き取るのを見たから知っている。
・検死
九十九は直接には臨んでいない。死因や傷については役人から聞いただけ。規則上立ち入れなかったというのもあると思う。
その後、勝利経由で手を回してもらい、無縁仏である刀萌の亡骸を火葬し、遺骨を金木犀の咲く野原に極秘に埋葬した。
江戸初期は庶民は土葬が一般的だと思われるが、刀萌は火葬された。
・ボウリング
こっからこれはちょっと。虚無を感じながら作画した。
・金木犀
その後刀萌と九十九の死を巡って何度となく登場することとなるアイテム。
・眼が気に入らない
僕は眼付きが悪く、そのせいで二度ほど理不尽な目に遭ったことがある。それを重ねながら描いた。
・旅立つ斬九郎
折り畳まれた紙片には女衒の男への言付けが記されている。
〈第弐拾壱話〉
・巴の刻印
刀萌が刻み遺したもの。
・刀萌の手紙
どこか言い訳や自己憐憫があるとは思うが、信じてやりたい。
・性根
他人の出来事の心配より、わざとらしいリアクションをしてしまったり、自分がどう感じたかという事を優先的に考えてしまう自己嫌悪に喘いでいる。
〈第弐拾弐話〉
・刀萌の配慮
九十九が刀萌から直接聞いていたことになると魁が気を揉むから。
・刀萌のタイプ
なんてこった。
・嫉妬
半勃ちしてます。
・イケメン
作中一イケメン。
・初顔合わせ
うっかり赤面しちゃってる。
これまで源内は切鵺の素性を探ろうとはしてこなかった。
防衛網としての用心棒を雇うに留まっていたのは切鵺を避けていた部分がある。嫌でも津重を思い出すから。
用心棒の網にかかって処理されることを願っていた。
切鵺の幼少期を知らないわけではなかったが、男児がここまで母親似になるとは思ってもいなかった。
このことから一気に切鵺への関心が高まる。
・源内の狙い
状況を察した類がこちらを振り向くだろうと踏んで最初から眼を狙っていた。
それも九十九の声で動揺した類が緩慢な動きを見せていたからで、無かった場合は首を狙っていたかもしれない。
また類も切鵺の様子から察して不用意に振り向くだけの行動を取らなかった可能性はあるが、なんとも言えない。
尚、この時源内が使ったのは「小柄」と呼ばれる刃渡り数センチの小刀で、太刀の鞘の鯉口の脇に装着されている。また小柄の反対側には「笄」という髪の手入れをする道具が装着されている。小柄と笄が無い鞘もある。
一般的な鍔に空いている穴はこの小柄と笄を抜くためのもの。のだが源内の鍔に穴は無い。
それもさることながら、本作では小柄や笄の描写はオミットされている。ちゃんと描かれているのは第1巻のカバー絵くらい。
というわけで、源内の小柄が何処から取り出されたのかはあまり深く追求しないで欲しい。
ひょっとしたら懐や腰帯や袂に忍ばせている場合もあるかもしれない。
〈つづく〉