Home Artists Posts Import Register

Content

第1巻から順繰りに思い出したことを書いていこうと思う。


『別式』を終始筋が通った物語として読めた者は幸いである…。

実は決してそうではなかったという裏側を暴露するので心して欲しい。

連載作品はナマモノであり、往々にして話の筋が変化し、それをコントロールした末に完結した物語を読んでいただけたのだということ、これもひとつの物語制作の在り方だということを理解してもらえたら幸いである。


〈冒頭4頁〉

やがて訪れる類と切鵺の対決。その対峙シーンから物語は始まる。


この4頁には本当に苦しめられた。自業自得なのだが。事細かなプロットを準備せずの見切り発車、作画を始めてからプロットに無かった変更点もある。更にその後の本編の展開が流動的であったため。


・類の眼帯

どのように隻眼になるか一切考えずに作画の段階で付け加えた。

これはほんとに作家の勘。

類はキャラデザが地味であり、初登場の絵面としてパンチが弱いと感じた。

また物語を膨らませる要素がもう一つ欲しいと思った。

この冒頭シーンの直後、時は数年遡って隻眼ではない類が登場する。それだけで読者の想像を膨らませることが出来る。

そして何故そうなったのかという逸話を創作する漠然とした自信があった。

その自信がなければこの時点でそれを考えただろうが、考えない自分がいたので大丈夫だと思えた。

ただ実際に必然的な展開を生み出すにはそれなりに苦心した。


・切鵺の類に対する呼称

冒頭シーンでは切鵺は類を「あんた」と呼んでいる。

しかしその後というかそれ以前はずっと「お前」だった。このことに終盤まで気付かなかった。

苦し紛れに、切鵺が心変わりして類に対して剣呑な態度を取るようになった時に「あんた」を混じえさせた。


・切鵺の台詞

あたしが仲間だなんて

思っていなかったことに

あんたさえ

気づいてくれてたら

魁や九十九とも

仲良くやれてたかもね…


この台詞には本当に苦しめられた。当初のプロットでは、類を愛し始めた切鵺が九十九を嫉妬心から殺し、またそれを知った魁を決闘の末に自死に追い込んだという事実を類が知る…という展開を用意していたからこの台詞があったわけである。

だが本編はそうはならなかった。

またこの時点ではまだ類に愛を告白しておらず、「あたしが仲間だなんて思ってなかったことにあんたさえ気づいてくれてたら」というのは「あたしがあんたを愛していることに気づいてくれてたら」という意味の台詞だった。

類が切鵺に向かって走り出す合図となったこの台詞こそ、類に愛を告白しようとした台詞だった。


全体的にこの冒頭シーンの台詞は本編の流れからだと再確認のような会話になっておりやや不自然に思えるが、そこは見逃して欲しい。


・類の袴の帯

帯だけが色替えになっている。これは僕に和装の知識が不足していたため。このような袴はまず無い。


・二色刷り

冒頭シーンは古い少年漫画っぽい二色刷りのスタイルで見せたかったのでこのような配色にしている。が、実際には4色分解で印刷されている。


・作画環境

僕にとっては初のフルデジ連載作品となる。CLIP STUDIO PAINT と液晶タブレットを使用。試行錯誤の連続で慣れるまでは相当時間がかかった。

第1話は60頁のボリュームがあったので本当に苦労した。

またアシスタントは使わず全て一人で作画した。


・背景

当初は『四畳半神話大系』などの湯浅政明監督作品のような大胆に歪んだパースとよれよれの線の背景を目指していたがセンスと技術の無さに挫折している。

それでも背景はほぼフリーハンドで描いた。『宇宙賃貸サルガッ荘』『変ゼミ』などもそうである。

サルガッ荘といえば、勝利の掛け軸に書かれている「沙流我」は言わずもがなのそれ。



〈第壱話〉

・十三人の刺客

切った張ったの名作時代活劇のタイトル。


・堀出梅子

知人のハンドルネームが由来。


・ポニーテールはふり向かないのっ

その昔『ポニーテールはふり向かない』という大映ドラマがありまして。


・魁の影

その後第七話。



・類の道場の広さ

小さくない。広すぎである。それなりの広さに見えるように初めて描けたのは最終回直前…。

尚、類の道場及び居住部分はサザエさんハウス並に構造が謎。


・剣術アクションの絵及び頭身

本編では最初の剣を振る絵。

ただの素振りさえ描くことに難儀して前途が危ぶまれた…。

更にアクションシーンなどこれまでロクに描いてこなかったので、デッサン・効果線・擬音の多さに泣く。

雑魚キャラの数に泣く。


そして頭身。最初は類たちは4頭身を超えないように留意して描かれていたが、物語がシリアス化するにつれ伸び、ディティールも細かくなっていった。


・切鵺の仕込み刀

ごちゃごちゃ考察したラクガキがあるので添付する。


・早和初の人斬り

やはり開き直りが早い。


・名シーン


第壱話だけでもまだ拾える小ネタや裏話はあるけど、この辺で一旦筆を置く。


〈つづく〉

Files

Comments

No comments found for this post.