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いつもご支援ありがとうございます。一つ前のイリヤから引き続き、個人的に納得いっていないのでお蔵入りさせていたものです。

と言ってもこっちの納得いっていない部分って、全員出すことができなかったなーという部分だけなのでボリュームはあります。大体2万6000字くらいで、メインの狂三パートはかなり満足な感じに出来たので、納得いっていないといいながらそこそこ自信があります。結局は読んでくださる皆様の感想次第ですが、本当にボリュームだけはあると、思う!


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 世界の裏側にある隣界に存在し、現実世界へ顕現する特殊災害指定生命体・精霊。中でも悪名を馳せるは最悪にして美しき少女。識別名〈ナイトメア〉・時崎狂三。


(わたくしとしたことが……このような失態は、生まれて初めての経験ですわ)


 そんな彼女は今、とある基地の最深部で囚われの身となり、自らの醜態に恥の色を微かに頬へ浮かべていた。

 とある精霊を討滅するため、その精霊を生み出した元凶であるデウス・エクス・マキナ・インダストリー、通称DEMの動向を裏から探っていた狂三だったが、彼女は囚われの身になる前にDEMの子飼い組織と言える対精霊部隊(アンチ・スピリット・チーム)、通称ASTの基地を襲撃していた。

 ASTは精霊を狩るために生まれた超人の集まりだ。とはいえ超人では怪物に叶わず、最新鋭の装備もDEM社からの供給がなければ成り立たない。彼らは狂三の敵になり得ない――――――はずだったのだ。

 しかし巡り合わせの悪さか、はたまたASTにあるまじき独自兵器の出処に気を取られたせいか、ASTの基地を襲撃した狂三が逆に囚われの身になってしまった。よりにもよってDEMの下位組織に等しいASTにオリジナルの狂三が敗北し、捕獲される彼女らしからぬ失態を犯した。

 捕獲された狂三は厳重な拘束の元、AST基地の奥へと輸送され、実験施設の大型のカプセルの中に再度囚われた。手首と足首から先をカプセル内のアームに吸引収納され、身体でX字を描くように磔に。

 さらに精霊の鎧、難攻不落の城である霊装。狂三は血を想起させる赤と黒のドレスを身にまとっていたはずだが、今の彼女は扇情的な下着でガーターベルトというランジェリーを思わせる姿まで霊装を剥ぎ取られてしまっていた。

 カプセル内は霊力を抑制する特殊な随意領域(テリトリー)で満たされ、精霊の権能たる天使どころか、このように霊装や狂三が使役する〝影〟すら満足に展開できない。このような技術を下位組織のASTがどこで手に入れたのか、狂三は気にかける必要がある。

 けれど今は、カプセル内部で無様な装いの狂三をじっくりと眺める不埒者たちを殺戮する手段を模索するのが先決であろう。


「きひ、きひひひひ。いたいけな少女をこぉんな大人数で囲って……プライドはありませんの? 恥ずかしい方々ですわねぇ」


 自らが無様で情けない姿でも、狂三は冷静に周囲を囲った男たちを挑発する。彼らがどう反応するかを探るための露骨な言葉だ。

 あらさまにしないように、という明け透けな彼の意図は見えている。いっそ裸に剥かれていれば純粋な研究目的だと切って捨てられるのだが、このように扇情的な霊装姿にされ、彼らが精霊をどう見ているかを察せられない狂三ではない。

 反応はある意味予測通りだ。狂三を見やる視線の色が濃さを増す。研究者は魔術師(ウィザード)たちは、美しい狂三の破廉恥な装束に興奮、欲情、劣情、嘲笑、肉欲……兎にも角にも、ASTが未知の怪物である精霊に向ける者とは思えない邪な視線を狂三へぶつける。


(ここまであからさまですと、驚きより呆れが勝りますわね)


 AST所属の人間たちに与えられる精霊の情報はほんのひと握りだ。通常、彼らASTは精霊を〝人とは思わない〟。人の形をした怪物だと考え、言葉を交わす価値がないと切って捨てている。根本から、種族が異なると考えているわけだ。

 故に狂三は彼らもそうだろうと思っていたのだが、まさか精霊に恐れではなく情欲を抱くASTの一派がいるとは、ナイトメアと呼称された夢魔の化身たる彼女ですら想像もできなかった。人間の欲求はかくも正直で、そして想像以上に愚かだ。


(となれば、エレン・メイザースがここへ現れる可能性は、ほとんどゼロに近い、ということになりますわ)


 ASTの基地であるここの場所に、エレン・メイザース含む狂三と浅からぬ因縁を結ぶDEM上層部は現れない――――などという単純な因果関係ではない。最悪の精霊を捕獲したと聞けば、それがASTの手柄だろうがいの一番に奴らは飛びついてくるのだ。

 その気配がないということは、彼らはDEMの息がほとんどかかっていないAST。ある種の独立部隊ということ。

 狂三には不思議な納得があった。エレンは狂三から見ても最低で最悪の女だが、さすがに彼らのように〝下品〟の一言で一緒くたにし、片付けるのは憚られる。襲撃に事情があったとはいえ、時崎狂三はある意味で最も面倒なやぶ蛇を突いた形だ。

 エレンが現れたら、その首を撃ち落とす算段だったのだが、これでは骨折り損だと狂三は辟易する。さらにAST如きに捕獲される醜態は、狂三からすれば耐え難い屈辱だった。


(ともあれ、脱出の目処は立てておく必要がありますわね。外から『わたくしたち』が手を出すか、それともわたくしが……はぁ。『わたくし』なら余計なことをあの方には伝えないとは思いますけれど、不安ですわ)


 とはいえ、想定外の敗走に予想外の霊力抑制と、最悪の精霊をして危険な状況であることに変わりはない。早急に脱出の案を頭の中で組み立てながら、狂三は外に残した分身たちが余計な口を割らないかを不安視する。過去の〝時間〟から切り取られた自分とはいえ、彼女たちが狂三であることにも変わりはない。自分自身の醜態を彼に伝えることはしないだろうが。

 と、狂三は敗北した身でまだ慢心をしていた。DEMすら、物理的な戦闘力が低い精霊すら思い通りにはできなかった存在が自分たちだ。たかがASTに如き、このように厳重な拘束を施していようと、手出しなどできはしないと。彼らが邪な考えから狂三へ浅ましく手を伸ばした時こそ、本来あるべき終わりの刻を刻むと。


「動作チェック、終了しました。頭部ユニットを射出します」

「よし。相手は精霊だ。出力を想定の10倍まで引き上げておけ」

「?」


 狂三の優れた眼は、外部と一方的に音が遮断されたカプセル内でも彼らの唇から言葉を読み取る。真紅と異形の金色は、狂三に対する何かの準備が整ったことを彼女に伝えていた。

 拷問か何かだろうか。侮られたものだと狂三は唇に弧を描いた。しかし、彼女が慌ただしく動くAST職員の会話を盗み見れたのはそこまでだった。


「きゃっ!? ……ヘルメット? うふふ、風情のないプレゼントですこと」


 カプセル内上部から下ろされたヘルメットによって、鼻梁から上をすっぽりと覆われ、狂三の視界は硬い機械の裏地に閉ざされた。自分の美貌を隠す不躾で無骨な機械のメットに狂三は気分を大きく害したが、もちろん動揺となるそれをおくびにも出さない。彼女の言う風情のないプレゼント、眼を模したレンズが表面についた特殊なヘルメットを被った貌は、それでもなお美しさに満ち溢れている。


「装置を稼働領域まで引き上げる。カウントダウン開始」

「了解。カウントダウンスタート。60、59、58、57――――――」


 だが、狂三(精霊)の余裕は段々と剥がれ落ちていく。彼女が観測し得ない領域外、男たちがカウントをゆっくりと重ねていく。

 狂三に彼らの数字は知覚できないが、ヘルメットから脳髄に伝わるものは確かにあった。


(……なに? 何かが、わたくしの頭に……く、あっ。気持ち、いい……? っ、奇っ怪なものを、用いてくれますわ……)


 狂三が得たことのない感覚が脳を揺らし、彼女の優れた思考力を掻き乱していく。正確には狂三が感じたことのないと思い込んでいるもの。その正体は、元々人間の精霊なら当たり前に知っているものだ。


「3、2、1」


 それが脳を浸す。狂三の吐息は荒くなり、白磁の肌に艶めかしい玉の汗がじっとりと浮かび上がる。実験開始のカウントダウンが進むにつれて、装置から狂三の脳に伝わる〝何か〟は肥大化していった。


「待ちなさ」

「0」


 奇しくも、狂三が反射的に零した声はカウントの終わりと重なった。思わず制止を発しかけた口は、最後の一区切りに至ることはなかった。その一文字を形にする一瞬のうちに、何かをじっくりと注がれ酩酊した狂三の脳髄を叩き起す〝モノ〟が炸裂した。



「イグッ♥♥♥♥」



 絶頂を宣言した。ショーツを愛液が突き抜け、舌がだらしなく突き出され、ヘルメットの中で不揃い色の両眼が寄り目で上擦りを揃えて――――時崎狂三はみっともないマジイキ顔を晒した。

 下品と見下した相手に、自分から下品な貌を晒すのは、エレンに劣らずプライドの高い狂三からすれば耐え難い恥辱だ。


「イクッ♥♥♥♥ イクッ♥♥♥♥ イクイクイグゥッ♥♥♥♥ う゛ッホォォ!?♥♥♥♥ まだイグーーーーーッッ!!?♥♥♥♥」


 しかし訂正がされることはない。扇情的なランジェリー霊装を纏った身体を怪しく情けなく痙攣させ、鼻水と涎を噴きながらカプセル内部に雌汁を撒き散らかす。喉を引き絞った声は、普段の彼女が発する男を誑かす蠱毒の艶声ではなく、成人男性顔負けの野太く下品な雄叫び。無論、カプセルは外からの音を遮断するが内側からは外へと漏れる。狂三は、自分に欲情する不埒な男たちに、女として終わっている品性下劣な雌豚声を聴かれてしまう。

 けれど嬌声は止まらない。電気信号による性感のコントロール、想定の十倍の出力を以て行われた洗脳装置による強制絶頂は、狂三の蠱惑的な微笑みをみっともないアヘ顔に変えた。


「拒絶思考の低下を確認」

「このまま続けろ。用意した機能は全て試せ。せっかく手に入れた〈ナイトメア〉、我が部隊だけに従わせるんだ」


 中枢神経を快楽によって停止させ、人格を擬似的に変更する。これは暴力的な拷問によって精霊を〝反転〟させようとDEMとは全く異なるアプローチであり、精霊を反転させるどころか、その姿のまま手に入れようとする邪な考えがなければ、馬鹿馬鹿しくて発想に至らない。女の尊厳を徹底的に踏み躙る形は同じなれど、無様を極める快楽を与えるなどという考えから洗脳装置を造り上げるはずがないのだ。

 しかし、その馬鹿馬鹿しさが突き抜けた発想は、奇跡としか言いようがない形で精霊に効果を発揮した。

 彼らの装備で敵うはずのない怪物を何故か捕らえることに成功し、あまつさえふざけているとしか思えない洗脳装置が効果を発揮したのだ。奇跡と言わずに何と表現しようものか。

 痛みは拒絶できる。だが快楽を脳は受け入れる。気持ちいいという悦びを拒否する神経は存在しない。それは精霊ですら同じことだ。今、時崎狂三の中枢神経は普通の人間なら一瞬でショック死するエクスタシーが与えられ続けている。精霊の身体は人間より遥かに強靭だということを、その無様で惨めなイキ狂った姿で証明していた。


「お゛お゛ぅ゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ッッ!♥♥♥♥ イグイグイグ――――オ゛ホーーーッッ!!?♥♥♥♥♥」


 強制絶頂による思考拒絶の停止は進み、狂三の穴という穴に電気信号を脳へ円滑に伝え、快楽を増幅するチューブが挿入される。

 美貌を支える鼻梁の穴、鼓膜の間際、処女膜の瀬戸際、意外なほど脆弱な尻穴の奥底。様々な場所への挿入を受け入れざるを得ないほど、狂三の脳は快楽一色に染め上げられる。


「う゛ぉ゛ッ♥♥♥♥ ぶぎょおぉぉ゛♥♥♥♥ ぬ゛ぉ゛ぎぃぃぃ゛ぃ゛ぃ゛ィ゛ッ♥♥♥♥ ン゛ホーーーーーーーーーッッッ♥♥♥♥♥」


 カプセルを覆う強化ガラスをビリビリと震わせる大きく、惨めで、下品で、マヌケな咆哮を狂三は叫ぶ。頭部ユニットの下にある左右不揃いだった眼は白目を揃え、悲鳴を聞くために敢えて開けたのだろう口から彼女は涎を溢れさせる。

 快楽というモノに最悪の精霊が翻弄される。全身から体液という体液を噴出する狂三は、もはや彼らにとって恐るるに足らない存在だ。否、初めから彼らは狂三を恐れてはいなかった。怪物でありながら美しすぎる少女の形をした精霊を、是が非でも物にしようという欲望を貫いた。それがこの奇跡を生んだのだ。


「ん゛ッほお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?♥♥♥♥♥ イグ、イグ、イグゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッッ!!♥♥♥♥♥」


 最悪の精霊が味わう最悪の奇跡。あまりにも淫乱無様な姿を晒す狂三は、そのまま何十時間と洗脳装置を浴び続けたのであった。









(……? わたくしは、一体何を……)


 不意に意識を取り戻した狂三は、自分の置かれた状況を精査した。

 これは睡眠意識の浮上というよりは、ボーッとしていたという表現が正しい。事実、狂三はしっかりと自らの二の足で立っているのだから。

 周囲を見渡すと、ここは襲撃をかけたAST基地の内部通路であることが分かった。


(そうでしたわね。わたくしの醜態、誰にも知られるわけにはいきませんわ)


 狂三は思い出した。ASTに慢心して捕まったこと。このような失態が誰か、特に士道に知られる前に目撃者を消してAST基地を脱出するため、行動を起こしたことを。

 その道中、思考の疲労から迂闊にも通路で休息を摂っていたと自己解釈する。


「――――ん? なんだ、見ない顔だな。新入りか?」

「っ!?」


 その時だ。通路の角を曲がり、ASTの魔術師が狂三の前に現れた。聞き方からして、狂三と戦った部隊の一人だろう。

 ここでAST職員に脱出の考えを悟られるわけにはいかない。狂三は鋭い視線を男へ向けると、即座に機敏な行動を起こした。


「ハッ! わたくしは時崎狂三。本日付けで、AST第313基地に配属されました、下級戦闘員ですわ!」


 狂三は身につけた黒と赤で彩られた機械の鎧、CR-ユニットとワイヤリングスーツの煌めきをビシッとした整列の直立姿勢で露にし、AST職員へ忠誠心が灯った真紅の右眼と時を刻む金の左眼を向けた。

 基地から無事に脱出するために、狂三は自らに与えられた【AST直属の下級戦闘員】のフリをすると決めた。そのことを〝思い出した〟狂三は、自分が何十時間と受けた惨めな洗脳のことなどすっかり〝忘れて〟、ASTへ演技とは思えない忠節を見せつけたのだ。

 霊装の代わりに纏った魔術師用のCR-ユニットは〈アトラナート〉。ただし、本来積み込まれていた戦闘用の機能は大部分がオミットされ、着ている限り霊力を著しく制限する事実上精霊用の拘束具だ。もちろん狂三は承知の上で、ASTを騙すために着ている……と思っている。ただでさえ元々から肌にフィットし卑猥に思われかねないワイヤリングスーツが、紅い生地に白磁のように透き通った狂三の肌が完全に透けて見えるシースルー仕様に変更されていようと、狂三は気に留めることはない。少なくとも狂三の中では、彼女の聡明な頭脳が拘束具になったCR-ユニットと、いやらしいワイヤリングスーツを最も偽装に適した効率的な衣装であると結論付けた〝ことになって〟いるのだ。

 完璧な変装、完璧な演技だと勝ち誇った魔術師の真似をした精霊を男はニヤニヤと笑って見下ろす。


「なるほどな。通りで見ない顔なわけだ」


 上手く騙し通すことができた。戦闘員のフリをしただけで、戦った狂三を見ない顔と表現するのはおかしな話ではある。彼女の美貌を見たら一月は忘れられない。その矛盾を狂三は気にせず、そう確信した。


「だがな……」


 しかし、男のニヤついた笑みは止まらない。彼は姿勢を正した狂三の背後に回ると、際どいハイレグのスーツからまろびで出た生尻を『べちぃんっ♥』と手のひらで引っぱたいた。


「んひィッ!?♥♥」


 姿勢こそ何とか崩さずに済んだが、狂三は目を剥いて情けない悲鳴を上げた。霊力を制限されているとはいえ、精霊がスパンキング程度で痛みを覚えるはずがない。蚊に刺されたくらいの感覚に留まるはずなのだが、狂三は何故か嬌声に似た悲鳴を漏らしてしまう。

 狂三の生尻に赤い紅葉を作った男は、悪びれもなく手のひらを揺らして言葉を続ける。


「下級戦闘員ってことは、要するに俺たちASTの最底辺ってことだろ。上司に向かってその口の利き方はどうかと思うんだが?」

「た、大変申し訳ありませんでした!」


 狂三は直ちに指摘された部分を訂正する謝罪を行った。表情は僅かに悔しげだが、それは己に向けられたものだ。


(わたくしとしたことが。目上の人間に使う口調を忘れるとは……これは当然の罰ですわね)


 人を超越した精霊という種族であるが故に、狂三の口調は淑女の物でありながら、どこか不遜にも感じる。それは精霊としては正しいが、狂三が演じる【AST所属の下級戦闘員】としては落第もいいところだ。このAST基地に所属する全ての人間が狂三の上司であると考え、彼女は言葉を選ぶ必要があった。


「ふん、仕方ない。新入りのために、俺が訓練に付き合ってやろう。下級戦闘員の自覚がない貴様の不遜な言葉遣い、すぐに矯正してやる」

「ハッ。ありがとうございます!」


 ASTを歯牙にもかけない精霊の意識が抜けずに言葉を誤ったせいで、男に目をつけられてしまった。狂三からすれば演技の時間が増えて厄介だが、己の過失であるため仕方がないと感謝を示す。狂三がどう対応しようと、彼は難癖をつけて同じ光景を生み出していたことは露ほども想像しない。

 狂三の背中に回った男は、ニヤついた笑みに見窄らしい欲まみれの表情を加える。当然だが、彼に失礼がないように〝演技〟をする狂三の眼は真っ直ぐに正面を向き、彼の顔も手の動きも知り得ない。

 極薄に加工され白い肌が透けたワイヤリングスーツは、当たり前のように狂三の恥部も透過する。生地の赤色より薄い桜色の乳輪や乳首は言わずもがな、射干玉の陰毛が茂った陰裂をもスーツは表面に浮かべてしまっていた。肌を隠す服としては全く成り立っていない。

 そんな恥ずかしい格好の狂三へ背後から手を伸ばした男は、迷うことなく彼女の秘部を指でつついた。


「あぁんっ♥」


 スーツ越しに膣口を僅かに触れられただけで、狂三は艶めかしい官能の吐息を零した。スパンキングもそうだが、狂三はAST職員の手が触れた場所で、感じるはずのない快感に身を捩っている。

 狂三が忘却した洗脳時、その脳に行き渡る快楽物質の増幅とある感情を紐付けした――――それはASTに従軍、忠誠を誓うこと。彼らから与えられたモノはなんであれ狂三の悦びに変わる。今や彼女にとっての快楽とは、ASTに従順な態度を示し、被虐だろうが構わずありとあらゆる対価をもらうことに起因するものとなった。

 狂三は次第に疑問をなくし、ASTに従うことこそが第一であると考えるようになっていく。洗脳装置が作動した時点で、時崎狂三という精霊はASTの下級戦闘員へ堕ち往く運命なのだ。


「新入り、ここは何という名称だ?」

「そこは、お、おまんこですわ♥ いいえっ、おまんこですっ♥」


 そうとも知らずに狂三は、指で弄ばれる膣口の快感に身悶えしながら卑猥な単語を用いて問いかけに応える。

 ちなみに洗脳の際、必要となるだろう知識も植え付け、変換がなされている。この点は教育するまでもなく、自然と狂三の口から狂三の声で発せられる。


「口調を気にして声が小さいぞ! もっとハキハキと応えろ!!」


 ぐちゅぐちゅぐちゅっ♥


「ん゛お゛っ♥♥ おまんこ、オマンコですっ♥♥ おまんこ気持ちいいです!♥」


 スーツをズラした指が膣穴に潜り込み、膣内を掻き回し出す。狂三はたまらず自身の快楽を返答に付け加えた。


「おまえの感想は聞いていない! だが良い心がけだ、続けろ!!」

「ハッ! おまんこ気持ちいいです!♥ おまんこ気持ちいいです!♥ おまんこ気持ちいいですっ!♥♥」


 理不尽な叱責だが、応じた狂三の無様な言動が気に入ったのだろう。彼はマンコを弄る指を止めず、彼女に感想を連呼させる。非常にマヌケな光景だ。


「おまんこです!♥ おまんこです!♥ おまんこ気持ちいいです!♥ おまんこ、おまんこっ♥ オマンコォッ!♥」


 だが、精霊を優秀な女体と美貌の持ち主としか考えていないような部隊の男だ。淫語を恥知らずに連呼し、マンコをずぶ濡れにする狂三の姿に興奮を露にして指の動きを早めた。

 敏感な膣への刺激と、ASTから与えられたという感情の快楽変化。必然、狂三は官能の頂点に苛まれた。


「オマンコォッ!♥♥♥ イクッ!♥♥♥♥」


 果てるの際、その部位の名と共に絶頂を宣言すると刻まれた脳は、訓練中だろうと構うことなく狂三を卑猥に叫ばせる。声に負けず劣らず、理知的な夢魔の美貌は鼻の下が伸びて目が白目ギリギリまで上擦った下品なアヘ顔を描いた。一体誰が、時崎狂三が卑猥な叫びを上げてイキ顔を晒すなど想像できただろう。


「ここはなんだ!?」

「お゛っ♥♥♥ おっぱいです!♥♥ おっぱいイクゥッ!♥♥♥♥」

「この穴は!?」

「んほーッ!?♥♥♥ ケツ穴です!♥ ケツ穴イグゥゥッ!!♥♥♥♥♥」


 少なくとも、狂三がよがり狂おうが彼女の恥部を嬲り倒す彼は、多少なりとも想像していたのだろう。そして、実物は男の妄想を遥かに超える甘美で無様極まる味わいだ。

 男の指は狂三の性感帯を30分以上弄り回した。その間、狂三は声が枯れんばかりの声量で恥部の卑猥な名前と下品な絶頂宣言を叫び続けた。



「はぁ……はぁ……ご教鞭、ありがとうございました……ッ!!」


 全身が汗に塗れた狂三が、満足気に笑う男に向かって敬礼する。傍から見れば散々イカされ倒されただけなのだが、ASTの下級戦闘員という視点を持つ狂三は、誠心誠意の感謝を述べるのが当然の感覚だ。


「理解できたか? 下級戦闘員ごときが、二度とあのような口を利かないようにな」

「ハッ! 肝に銘じます! わたくしはASTの下級戦闘員です! 二度とふざけた口は利きません! 無能な戦闘員らしい振る舞いを心がけます!」


 人が変わったように狂三は大仰なまでに丁寧な言葉遣いで応じる。狂三の不遜な性格を知る人間が見れば、驚きのあまり卒倒しかねない姿だ。

 ともあれ、これで狂三は男の目から逃れることができる。改めて脱出の機会を探る――――――


「怪しいな……反省の意味を込めて、この場でさっきの復唱をしろ! そうだな、朝までやれば無能な貴様でも身体に染み付くだろう」





「おまんこ気持ちいいです!♥ おまんこ気持ちいいです!♥ おまんこ気持ちいいです!♥ おまんこ気持ちいいです!♥ おまんこ気持ちいいです!♥ おまんこ気持ちいいです!♥ オマンコォッ、イクイクイクーーーーーーーッ!♥♥♥♥」


 こともなく、狂三は朝まで棒立ちのままマンコでオナニー絶頂し続けた。再びイキ続けることになった狂三の思考に、ASTに対する〝演技〟の建前が残っているかは定かでなかった。



 ASTにとって限りない幸運は密かに、しかし大胆な形で起きていた。

 それは洗脳絶頂中の出来事。狂三が無意識に分身体の脳内へ絶頂を共有。分身が本体へ脳内の情報を共有することは個体数の差で避けられているが、逆に本体が数千は下らない分身へ洗脳絶頂を共有することは容易く、それでいてASTにとって最良の結果をもたらす。同時に、狂三一人で抱え込むことを脳が避けた行動は、現存する分身体全てが彼らの仕組んだ洗脳を共有する考え得る限り最悪の結果をもたらした。

 洗脳前の狂三が懸念していた一点。精霊に関わる存在の特異点であり中心点。【AST所属の下級戦闘員】としての演技という名の洗脳情報は狂三の分身体に伝えられた――――――よりにもよって士道と接触を果たしたそのタイミングは、ASTからすれば行幸以外何物でもなかった。



 一介のAST基地でしかなかった場所に、次々と物語を揺るがす存在が囚われていく。精霊というヒロインに続き、精霊を救い出す少年(しゅじんこう)。


「被検体名・五河士織。拘束完了」

「洗脳装置の出力を調整。システムを再起動します」


 カプセルの中で、少女の顔をした少年が拘束される。忠実な戦闘員の〝フリ〟をした狂三と繋がった分身体、彼女たちが偶発的に実行した彼の捕獲作戦。その成果はこうして無事にAST基地へ運び入れられた。彼という存在は精霊ではないが、狂三を除く他の精霊捕獲の根幹を担うことは間違いない。この予測は忠実な戦闘員の〝フリ〟をした狂三が、ハキハキと全てを丁寧にAST職員へ教えた成果だ。

 これによって狂三はより疑われることなく脱出の機会を得られる。


「クソ、放せ! ここから出せぇ! 狂三! おまえ一体何してるんだ! おまえに何があったんだ、狂三ィ!」


 士道が被検体・五河士織と呼ばれ、女装を施された顔なのは誰かの趣味か、あるいは男の格好で洗脳するより遥かに良いからという邪な理由か。どちらにせよ狂三は、自身へ呼びかける士織を嘲笑うように唇の端を歪めた。


(申し訳ありません、士道さん。わたくしには為すべきことがありますの。ここで朽ちるわけにはいきません……たとえ、あなたを生贄にしようとも)


 狂三の声は届かない。仮に口を開いて言葉にしたところで、あのカプセルの中にその声が届くことはないのだ。

 そんな彼女に士織はなおも必死に呼びかけているが、かつての狂三と同じく、否、みっともなくペニスを晒した女装男子の言葉などに狂三は耳を傾けない。AST基地から脱出するための演技継続のため、己の悲願たる計画に欠かせない少年を犠牲にする。それが本末転倒な答えであり、時崎狂三の心を裏切る行為でもあると彼女は気づきもしない。

 士織は身を捩り、カプセルの拘束器具から手足を引き抜こうとする。だが、霊力を抑制されていたとはいえ、精霊の膂力で破壊できないものが人間の彼にどうにかできるはずがない。徒労に終わり、剥き出しのペニスがみっともなく『ぷるんっぷるんっ♥』と揺れるだけに留まる。

 彼のペニスは仮性包茎でパイパン。まるで子供の思わせる可愛らしい竿だ。傾国の美少女たちを口説き落とした男のチンポとしては非常に情けないが、士織という少女の顔があれば途端にお似合いに見える。


「うわっ!? く……こんなの被せて、何する気だ! いや、何されたって、狂三は絶対に俺が助ける……!」


 士織を洗脳するための設備が稼働する。ヘルメットを被せられた士織は、チンポを丸出しにしながら少女の声で憤る。絶対に言いなりにならない。狂三を救い出そうとする純粋な心を持つ少女のような少年の姿に、研究員や警護役の魔術師たちが嗜虐心を唆られたように笑った。


「っ!? ……あっ♥」


 目を塞がれ音も遮断された士織がそれを感じる術はなかったはずだが、性別を問わずに向けられる彼らの欲望を肌で感じた彼は総毛立つ。

 しかしすぐに官能の声がグロスが塗られた唇から零れた。狂三に見られる気恥ずかしさで萎んでいた仮性包茎チンポがじわじわと勃ち上がり、亀頭の半分ほどを『ぴょこっ♥』と出した。開いた鈴口からとろりとろりと透明な汁が染み出し、士織の興奮をより露にした。ペニスがある分、狂三に比べてわかりやすいかもしれない。


「あっ、あ……♥ なんだよ、これっ♥ やめ、ろ♥ こんな時に、勃つな……っ♥」

「3、2、1、0」


 だが、僅か60秒の過程に違いが起きようとさしたる意味は持たない。


「イグッ!!♥♥♥♥」


 びゅくびゅくびゅぐっ♥ ぶびゅるるるるる〜〜〜〜〜♥


 電気信号による強制絶頂で可愛らしい声音を引っ込め、太く喘いだ士織が腰を振り抜いて半端に剥かれた包茎ちんぽの先端から精液を噴射する。大量のザーメンがカプセルの内側にぶちまけられ、無駄打ちに終わった。


「イクッイクッイクッ、いギュゥゥゥぅうぅうぅうぅうぅうぅぅ〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥」


 びゅるびゅるびゅるるるっ♥ びゅくびゅくっ、ぷぴゅるるるるうぅぅぅぅぅぅ〜〜♥♥


 ひたすら電気信号による強制絶頂が行われると、士織の包茎ちんぽは上下にみっともなく揺れながらガラスに向かって無駄打ち射精をキメていく。


「お゛っ、イグッ♥♥♥♥ でにゃ、でにゃいっ♥♥ もう゛っ、でにゃっ♥♥♥ ああぁぁぁぁぁぁぁぁっ♥♥」


 短期間で無尽蔵と思えるほど精液を射精し続けるが、さすがに陰嚢からの供給が間に合わず言葉の端々に限界が滲み始めた。竿も萎えだして、亀頭が再び皮の内側へと戻っていく。


 ぬぷぷっ♥


「んひっ!?♥ やっ、これっ、あったかいのぉ゛♥♥♥♥ ひうぅぅぅぅぅぅぅっ!!?♥♥♥♥」


 ところが、そうはさせまいとアームが士織の萎えちんぽを掴み、床から飛び出してきたピンク色の筒へ挿入してしまう。


「あっあっあ♥♥ イグッ!♥♥♥♥ またイクッ♥ き、きもちいい!?♥ なにこりぇ♥ ちんちんきもちいい〜〜♥♥♥♥ イグゥゥゥゥゥッ♥♥♥♥」


 洗脳処理と強制絶頂で言語機能が一時的に破壊されながらも、ピンクの肉筒に放り込まれた萎えちんぽは『へこへこっ♥』と無意識の腰振りピストンによって勃起の機能を取り戻していく。


「お゛っ♥ お゛っ♥ お゛ぉ゛っ♥♥ い゛う゛っ♥♥ ん゛オ゛ッ♥♥♥♥ いぎゅッ♥♥♥♥」

「あら、あら♥ 士道さん、あんなに気持ちよさそうに腰を振って……うふふ♥ 情けないですわ♥ 愛らしいですわ♥」


 腰振り自体は情けないながらも、オナホのクッションにバコバコと音を立てる勢いのあるピストンと、唇を尖らせて疑似膣の心地良さを表現する顔を垣間見た狂三が、蠱惑的な嘲笑を零した。狂三がASTに隠すように振る舞った本心の発露は、士織が無意識かつ本気の交尾をもとめた疑似膣穴(オナホ)が、彼女の膣内を再現したものであることに起因しているのだろう。

 あの彼が、狂三の膣に挿入したらあんなオナ猿のようになるのか。情けなくて愛おしい姿に、狂三は慈愛のような感情を抱いた。無論、彼を助ける理由にはなり得ない、ただ士織のマゾイキを嘲笑うだけの笑みだったが。


 ずりゅ♥ ずりゅずりゅずりゅりゅ……♥


「ひいぃいぃいいぃいいいんっ!?♥♥ お、おしり、おひりぃ!?♥ やだっ♥♥ いやだぁ♥ 入って、はいってくるにゃっ♥♥♥」


 さらに精液が底を尽きても絶頂が可能な『メスイキ』を味わわせるため、ローションがたっぷりとマブされた極太ディルドが士織のアナルに差し向けられた。太さで言えば士織のペニスの優に2倍か3倍はある。士織が小さいのかディルドが大きいのかはさておき、尻穴が裂けて使い物にならなくなる可能性すら予感させた。

 当然、尻穴に異物感を覚えた士織は必死に穴を締めるが、強制絶頂の最中にあって括約筋を硬くする力など残っているはずがない。


 ずりゅうぅぅぅぅぅぅぅぅ♥


「あぁぁぁぁんっ♥♥♥♥」


 アナルへの挿入が完了すると、士織は圧迫感に声を詰まらせるどころか、オスイキでは出なかった情けないメスのイキ声を仰け反り舌出しアクメ顔で響かせてしまった。


「あんっあんっ、おっ♥♥ んぁっ、あぁぁんっ♥♥♥♥ イクッ♥♥ イクゥゥゥゥゥッ♥♥♥♥」


 ディルドのピストン運動で尻穴を拡張される士織が、女の子のような嬌声を張り上げ続ける。洗脳の効果か、あるいは彼にはメスイキの才能があったのかもしれない。裸で隠すものがないのに少女の見た目に違和感を持たせない才能を持っているのだ。何ら不思議なことでは――――――


「おい、いつまでそうしているつもりだ。さっさと任務に戻れ!」

「ハッ! 時崎狂三下級戦闘員、哨戒任務に当たります!!」


 と、士織のあられもない姿を堪能していた狂三の思考は叱責により遮られ、彼女は【下級戦闘員】の顔になり、ビシッと敬礼をしてから踵を返した。

 洗脳装置にかけられた士織に背を向けて、哨戒任務に当たる狂三。彼には悪いが、自分にはやるべきことがあるのだと。


(……あら? わたくしは、AST基地を脱出して、こんなことをして、何をするつもりなのかしら……?)


 その脳裏に彼への好意と、自らの存在意義が僅かに浮かぶ――――――


(きひひ。まあいいですわ。AST様に従っていれば、わたくしは満足ですもの♥)


 何事もなかったように、狂三はASTの下級戦闘員の使命に心を踊らせた。




 後日、ASTに所属する下級戦闘員が一人追加で配属された。〝演技〟で忠実な下級戦闘員となった隊員は共に並んだ同僚と共に整列し、凛々しい顔で忠誠心に溢れた瞳を彼らに向ける。


「下級戦闘員、時崎狂三! AST様のお役に立つことが喜びです!!」

「下級戦闘員、五河士織! AST様の手足となって働きます!!」

「「AST様に絶対の忠誠を誓いますッ!!♥」」



 この直後、洗脳した士織を〈ラタトスク〉と呼ばれる精霊保護の秘密組織へぶつけることで、彼女たちが保有していた精霊や技術は全てASTの手に堕ちた。

 さらに洗脳された精霊たちを手に入れんと接収を図ったDEM本隊すら、洗脳戦闘員を利用し一蹴。欲望に塗れたただのAST一部隊(モブ)がDEM社すら壊滅させた。


 こうしてAST313基地は名実ともに、そしてありえない歴史の勝利者となったのだった――――――




 その男は間違っても有能とは言えない人間だった。基地の人間が彼を部隊長に任命したのは、その方がまだ大人しくなると思われたからに過ぎない。

 おめでたいことに男は部隊長就任を実力と勘違いしさらに思い上がった。当然彼は周囲から煙たがられるも、関係ないとばかりに増長を続けた。

 今回は、そんな無能部隊長を大人しくさせる意味も兼ねて、三体もの洗脳戦闘員が男の部隊へ配備された。もちろん無能の増長を許すことに変わりはないが、下手に我が儘を散らされるより、優秀な玩具で遊んでいてもらった方が平穏だと言う考えだった。

 配置された三体の下級戦闘員の名は夜刀神十香、崇宮澪、エレン・メイザース。精霊の中でも極めて特別な二体と、DEMが誇った最強の魔術師。特別の中の特別である彼女たちでさえ、今やASTの下級戦闘員にして、無能部隊長に貸し与えられた奴隷娼婦に過ぎないのだ。


「整列しろ!!」

「「「ハッ!!」」」


 豚のような恰幅をした部隊長が号令を下すと、野外訓練場にあまりにも美しい痴女たちが素早い整列を行った。

 シースルー改造がされた紫紺、無色に迫る白、銀色のワイヤリングスーツを着た眩いばかりの美少女たち。十香、澪、エレンの三人は互いの持つ全ての因縁を捨て去り、ASTに忠実な下級戦闘員を〝演じる〟。


「貴様らはなぜここにいる! 十香、応えろ!」

「ハッ! AST様の偉大なる部隊長ニートル閣下を守るためなのだ!」


「貴様らはなぜ生きている! 澪よ!」

「ハッ! AST様、ニートル閣下の勝利が私たちの喜びだから!」


「貴様らはわしの所有物! そうだな、エレン!」

「ハッ! 私たちは下級戦闘員。AST様とニートル閣下に忠誠を誓う存在です」


 部隊長である自分を閣下と呼ばせ、わざわざ言わせる必要のないことを言わせ、自尊心を満たすつまらない行為だ。

 ASTへの忠誠心を本物だと思わせるため、十香たちは暴力的な美貌をマヌケなほど生真面目に凛々しく引き締めて応えた。一見してニートルの求めるものにしか思えなかったが。


「貴様ら、ふざけているのか!?」

「「「ひぃ!?♥」」」


 ニートルが肉腹を揺らして十香たちを一喝する。まるで迫力などない豚の叫びだが、ASTから与えられるあらゆるものを快楽に変える喜びを知る三人は、彼らの怒りを買うことを最も恐れている。その怒りで快楽を得ても、満足してもらえなければASTに捨てられてしまうからだ。

 怪物が羽虫を恐れる異様な光景だ。三人は頬をひきつらせ情けない悲鳴を上げ、股間から愛液を失禁の如く噴射した。


「十香、言葉遣いを直せと言っただろう!」

「んほぉ!?♥♥ も、申し訳な、申し訳ありません!」


「澪、貴様も同じだ! その貌があればいつまでも許されると思うな!」

「あひぃんっ♥ ご、ごめんなさ……すみませ……も、申し訳ございません!!♥」


「エレン、貴様は……えぇい、とにかく気に入らん! 貴様はわしへの敬意が欠けておる! もっと心を込めんか馬鹿者!」

「お゛びょびょびょッ゛♥♥ しゅ、しゅみましぇ、申し訳ありませ、んがががっ!?♥♥♥」


 十香、澪は鞭で股間を叩かれて情けない喘ぎ声を上げ、エレンは鞭に搭載された体罰用の高圧電流を浴びせられ、無様に白目を剥いて痙攣する。それでも、十香たちは一人残らずニートルへの謝罪を完遂した。


「まったく、無能者に付き合う時間はわしにはないのだ。もう一度やり直す! いいな!?」

「「「ハッ! 無能な私たちへの寛大なお慈悲に感謝を! 慈悲深いニートル閣下に絶対の忠誠を!」」」


 十香たちはニートルの遊びに付き合わされ、何度も何度も彼の自尊心を高め、その度に理不尽な叱責と罰を受けた。


(いかん……ニートル閣下の機嫌を損ねてしまった。シドーたちと無事に帰るためにも、ASTの戦闘員を演じきらねば♥)

(人に従うことは『私』が慣れていたはずなんだけど、怒らせちゃった……もっとちゃんと、弱っちい戦闘員らしくしないと♥)

(この私が叱責を買ってしまうとは。そのようなことはありえない……いえ、閣下の判断が間違っていることこそありえません。DEMからの出向魔術師として、恥ずかしくない振る舞いをしてみせます♥)


 しかし三人の心は全く揺るがず、ASTへの忠誠心で動き続ける。


「貴様らのために戦闘訓練をしてやろう。有難く思え!」

「「「ハッ! 至らぬ私たちへのご教授に感謝します、ニートル閣下!」」」

「これは弱点を鍛え上げる訓練だ。貴様の最も弱い部分をわしの前に差し出せ!」


 いちいちオーバーなリアクションはニートルの虚栄心に火をつけ、無能な彼が思い描く馬鹿馬鹿しい訓練へと連鎖した。

 ニートルの呼びかけに応えた三人は素早く背中を向けると、両脚を限界まで外側へ開いて腰を落として突き出し、尻にくい込んだワイヤリングスーツを手でズラす。

 弱点は露になった少女たちの美しい媚肉……ではなく、その上でヒクつく不浄の穴だ。


「ケツ穴です!♥ 私たちはケツ穴が弱いです!♥」

「精霊はケツマンコが致命的な弱点……ニートル閣下の知識がなければ、私たちは今頃無様ケツアクメで敗北しているところでした!♥」

「ありがとうございます、ニートル閣下♥ そして、我々のクソ雑魚ケツマンコを鍛える厳しい指導をお願いします!♥」


 尻穴を差し出した十香、澪、エレンが声高に弱点を答えた。もちろん事前にニートルの事前の仕込みがあればの返答だ。アナルは唯一鍛えることができない絶対的な弱処。精霊や最強の魔術師も例外ではないと、彼女たちが配属された日から言い含めていた。


「よし、今から貴様の貧弱なケツの穴をわしが攻撃する! 備えろ!」

「「「はい、ケツ穴硬化! ふんごぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」」


 備えろと言われた十香たちは、素っ頓狂な声を上げて肛門を締める。歯茎が剥き出しになり鼻水が噴くほど、菊門は硬く閉じられていく。これならどんな凶悪なディルドすら通さない。


「馬鹿者、わしが怪我をしたらどう責任を取るつもりだ!!」


 バチィンッ、バチィンッ、バチィンッ!


「んッお゛おぉぉぉぉん゛♥♥♥ も、申し訳ありませんんんっ♥♥」

「お゛ほォッ!?♥♥♥ か、考えが、無能極まる私たちでは考えが足りていませんでしたぁ♥」

「あぎゃあぁぁぁぁッ!♥♥ は、はひっ、ケツ穴緩めます!♥ 肛門軟化させます!♥ どうか御勘弁くださいませ、閣下ぁ♥」


 ところが備えろと言った口で、ありもしない責任の所在を追求、尻を鞭で叩かれた三人は慌ててアナルに込めた力を緩めた。美少女とそのアナルが無様に百面相をする様は、ニートルのような嗜虐心だけが秀でた男には垂涎ものの光景だろう。


「どこまでも無能な奴隷どもめ。いいか、声を決して我慢するな。やられたら無様に叫べ! そのくらいは無能な貴様らでもできるはずだ!」

「「「ハッ!!」」」


 三人は尻臀を掴み、極小の菊門を無理やり左右に拡げた。弱点とされる場所を、攻撃してくださいと言わんばかりに大きく拡張したのだ。

 暴力的な美貌を歪ませて、並べて突き出したケツの穴を自ら開く情けない少女たち。かつては世界の命運を左右した者たちも、ニートルが愉しむ生きて動く玩具でしかない。


 無能な部隊長は、無能な上に子供のような癇癪を持つ。そして遊び方もどこか子供のようで――――――立ち並んだ見惚れるほど綺麗な尻穴に、躊躇いなく指を突き立てる。


 ズプゥゥゥゥゥゥゥッ!♥


「ンホーッ!?♥♥♥♥ か、カンチョーイぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ!♥♥♥♥♥」


 尻穴にカンチョーを受けた少女が、悶絶のアヘ顔になって命令通り無様に叫ぶ。それは暴力的な美貌の少女か、窮極の力を持つ原初の精霊か、最強の魔術師か。

 誰であれ無様であることは同じであり、誰もが同じように無様に叫ぶことにも変わりはなかった。




 下級戦闘員たちはAST基地の各所に散らばり、特定の宿舎を持たない。これは精霊が肉体的な疲労が薄く、人間が行う適切な美容の保持さえ自動的に保たれるからである。

 もちろん就寝等はあった方が霊力や魔力の消費は効率的だ。が、ASTの下級戦闘員を本気で演じる彼女たちからすれば非効率でもある。シャワー等で身体を洗い流すことはする。それもAST職員に身体の汚れで失礼がないようにという配慮のためだ。彼女たちは自身の身体ではなく、ASTのことを第一に考え行動する。肉体的疲労は精霊故になく、精神的な疲労はAST下級戦闘員を〝演じる〟という確固たる意思の力で失われている。

 下級戦闘員たちはほぼ不眠不休でAST基地にて自分たちの役目を遵守していた。そんな彼女たちが、数少なく自主的に動く必要のある〝生理現象〟があった。

 基地の一角、通りかかった研究員を見かけた二体の下級戦闘員が素早く、凛々しく敬礼する。


「失礼します!」

「……お時間をいただいてもよろしいでしょうか」


 キビキビと動く小柄な身体と特徴的な赤い髪を左右で括った少女と、どこかぼんやりとしていて目に深い隈が刻まれているが十香や澪に劣らぬ美貌と、彼女たちすら上回るとてつもないグラマラスな肢体を持つ美女。

 五河琴里と村雨令音は、人を呼び止める際も決して失礼がないように振る舞う。当然、彼女たちも裸身が透けるワイヤリングスーツを着用し、ASTのために忠義を尽くす奴隷だ。


「何の用だ?」


 研究員は琴里の幼い身体が赤いシースルーから透ける様と、令音の爆乳がミチミチと白いシースルーに締め付けられる様を笑って見やる。ついでに言えば、彼女たちの要件など最初からお見通しだ。その上で意地悪く問いかけた。


「ハッ! 五河琴里、おしっこ許可証の申請を願います!」

「……村雨令音、おしっこ許可証の申請を願います!」


 これのためだ。琴里は元より、声が穏やかでぼうっとしている印象が強い令音ですら、そのマヌケな申請を生真面目な顔で願い出た。

 下級戦闘員は生理現象も許可制。もし尿意を催したら、近場にいるAST職員に監視を頼む必要がある。先述の通り、その気になれば生理現象も内側で処理してしまえる彼女たちがわざわざ尿意を催すのは、つまりそういうことだ。


「ふん。私は今忙しい。納得させられるだけの理由はあるんだろうな?」


 研究員はわざとらしく許可を渋る。もちろん手は空いている。というより、精霊とDEMの両方を手にした彼らが忙しなく動く仕事などあるはずがない。そもそも、生理現象に許可を求めなければならないのは、人としての尊厳を著しく損なうものだ。


「「申し訳ありません! 直ちに尿意の理由を提出いたします!♥」」


 しかし彼女たちはASTの下級戦闘員。職員の言葉には何の疑問も抱かず、ハッとした表情で尿意を〝アピール〟し始めた。


「お忙しい皆様の手を煩わせないよう、一週間膀胱におしっこを溜め込みました♥」

「……ですが、私たちの緩い膀胱はもう耐えられません♥ このままでは、偉大なAST基地の床を私たち下級戦闘員のくっさいマンコ液で汚してしまいます♥」


 二人は頬を赤らめて下腹の辺りを両手で押さえた。年齢より幼く見える琴里はともかく、大人びた美女の印象が強い令音が尿意を焦らされ、へっぴり腰で内股をもじもじと擦り合わる姿は強烈なギャップ、倒錯的な興奮をもたらした。


「偉大なるAST社員様!♥ どうか私たちのゴミ尿道の解放をお願いいたします!♥ 精一杯惨めで無様な姿をお見せするとこを約束します!♥」

「おしっこ許可証の申請を願います!♥ おしっこ許可証の申請を願います!♥ 年増クソババアの小便垂らしをお許しください!♥ 膀胱が破裂してしまいそうです!♥ 濃縮されたくっさいおしっこ出しますぅぅ!♥」


 それから数分間、股間を押さえて限界尿意のアピールを続ける少女といい歳の美女を眺めて男は楽しむ。


「まあいいだろう」

「「ありがとうございます!」」


 充分に楽しんだ、と言わんばかりに許可を出した研究員だが、彼の許可など始まりでしかない。

 彼女たちはたった一度の放尿を求めて恥の上塗りをさせられる。

 空気椅子で尿意を堪えたまま『なぜおしっこがしたいのか』という理由を立てる必要のないことを報告書に直筆で記載し、許可証を作成。

 ガニ股腋見せポーズになり『おしっこさせてくださいお願いします』と腰振りダンスを踊りながら100回宣言。

 専用の女子トイレに入るべく身体検査。身体の隅々まで愛撫され、放尿のためにしっかりと準備を整える。

 監視係を頼まれた職員の嗜好にもよって規則は増減するが、概ね数時間は許可から放尿まで時間を要する。許可証は何度も書き直しを要求され、腰振りダンスは理不尽な追加回数を重ねられ、身体検査に関しては監視が満足するまでという曖昧な条件だ。

 いくら精霊でも、生理現象を霊力で止めず人力で我慢するのなら、忍耐力は人間のそれと同じだ。


「ふっ、ふぅぅぅ……♥ ひ、ひぃっ♥」

「……はぁ、はぁ……んひっ♥ ひぃぃぃぃんっ♥♥」


 全ての規則を超える頃には膀胱が破裂しそうなほど尿意を求めて、琴里と令音の下腹部をガンガンと叩く。二人は股間を押さえ、床に漏らしてしまわないよう必死に堪える。

 余裕のない引き攣った顔に脂汗が玉になって流れ、腰を引いて内股を擦り合わせる仕草にガクガクと怪しい痙攣が加わった。言葉を発する余裕は当然なく、情けない悲鳴が二人の震えた唇から零れた。


 なお、ここまで耐え忍んで手に入れるトイレは、彼女たち下級戦闘員のために新設されたものだ。

 グレーチングという網目状の排水溝が均等な幅で並び、柵や敷居らしいものが何一つない全面公開トイレ。野外排泄やお漏らしと何の差があるかと疑問を抱かずにはいられない代物だった。


「五河琴里、おしっこ許可願いますっ♥」

「……村雨令音、おしっこ許可願いますっ♥」


 だが下級戦闘員はASTからの不興を買わずして与えられるものならば、なんであれ悦びの感情を露にする。

 見窄らしい排水溝同士の隙間に爪先を立てた足を置き、しゃがんだ琴里と令音が同伴した男へ放尿許可を求めた。


「許可する」

「「おしっこ許可感謝します♥ 下級戦闘員、おしっこ開始っ♥」」


 脳に刻まれた下品な語彙を存分に使いこなす琴里と令音は、数時間堪えた尿意を排水溝という名のトイレにようやく解放する――――――


「あっ♥ あんっ♥♥ はぁ、ん……い、イクッ♥♥ まんこイクッ♥♥♥♥」

「……ふっ、お゛っ♥♥ おまんこ、イグッ♥♥ おまんこイグゥッ♥♥♥♥」


 そのはずが、琴里と令音はスーツをズラして露にしたマンコを指でぐちゅぐちゅと弄り、どういうわけかオナニーでイキ始めてしまう。幼い少女の口から卑猥な絶頂宣言が飛び出し、憂いを帯びた美女の瞳が蕩けて歪む。


「はっ、はぁぅ♥ だめ、失敗しちゃった……もう一回、イク♥ まんこイク、まんこイク……あぁっ、イクゥッ♥♥♥♥」

「……くっ♥ んンッ♥ おまんことおしっこのタイミングを合わせて……んおっ♥ だめだ、また無駄にイクッ♥♥ おしっこ出ないっ♥ おまんこイグッ!♥♥♥♥」


 何度もマンコを擦ってイク二人から、潮吹きが排水溝へと吹き出す。だが肝心の放尿は一向に始まらず、美少女と美女がマヌケな爪先立ちで美尻を震わせながら絶頂する光景だけが続いていた。

 これも放尿に必要な最後の規則だ。下級戦闘員は『イッている間だけおしっこを許可される』という厳命を受けているため、必然彼女たちはオナニーでイキながら放尿しなければならない。

 しかし絶頂宣言と放尿宣言は同時に行えない。彼女たちの口は一つしかない。どこでイッたかを必ず下品に宣言する命令と、放尿の瞬間を察しておしっこ宣言する命令。これらが上手く噛み合うまで、彼女たちは放尿しにきた場所でひたすらマンコ絶頂を繰り返す羽目になる。

 イッた瞬間は必ず絶頂を宣言する。その間、おしっこを出してはならない。膀胱が破裂しそうな尿意があるのに、イッているのに出せない。


「くぅぅぅぅぅ……あ、まんこイクッ♥♥ イクッ♥ イクッ♥ ……ひぅっ♥♥ まんこイクイクッ♥♥♥♥」

「……ぅお゛♥♥ おまんこイッぐぅ゛ぅぅぅ♥♥♥♥ おまんこイグ♥ イグイグイグ♥ う゛ほお゛お゛お゛お゛っ、おまんこイグゥッ♥♥♥♥」


 この矛盾を解消するには、一度の絶頂を長く引き止めるしかない。だから琴里と令音はひたすらマンコオナニーを続けているのだが、敏感すぎる膣穴が逆にアダとなって単なる連続絶頂になってしまっている。これでは絶頂の回数分宣言することになり、いつまでも放尿宣言の隙間が見つけられない。

 絶頂と放尿の両立に踏ん張り蕩け顔で苦戦する琴里と令音だが、彼女たちはまだ時間がかからない方だ。士織はペニスで放尿しなければならない都合上、射精機能が一時的にショートするまで出し尽くしてからメスイキ放尿しなければならず、四糸乃は尿道改造で極太放尿が可能になった代償でイキ宣言を終えるまでに失禁してしまい、よく監視役の叱責と罰を受けている。


「おいおい、いつまで時間かけてるんだ? こっちも暇じゃないって言っただろ」

「はひっ、申し訳ございませぇん♥♥ 上手くイけなくて、本当にごめんなさい♥ あ、まんこイクイクイクッ♥♥♥♥」

「……年増ババアのオナニー絶頂をいつまでもお見せして、面目ありませんっ♥ 上手におしっこできなくて……ん゛お゛ぉっ、おまんこイグイグゥッ♥♥♥♥」


 琴里と令音も監視役の叱責を受けてしまう。ただ、男の顔に苛立ちはない。数時間かけて彼女たちの放尿タイムを焦らしてきた彼からすれば、琴里のような可憐な少女や令音のように若く大人びた美女がトイレ如きに苦心する様は、無駄な仕事に向き合うより遥かに充実した時間だ。


「仕方ない。手伝ってやる」


 とはいえ下級戦闘員は彼だけの所有物ではない。時間は他の連中にも分けてやらないとな、と男は絶頂と放尿が両立できない精霊に助け舟を出した。

 しゃがんだ令音の背後に立った男は、彼女の膝裏に手を入れて抱き上げ、剥き出しでずぶ濡れになったマンコに勢いよくチンポを叩き入れた。


「ん゛ッほお゛お゛お゛お゛お゛っ!?♥♥♥♥」


 ASTにマンコを〝使ってもらえる〟というあまりの快楽に、30年守り抜いてきた大事な膣をあっさりと明け渡したばかりか、仰け反り舌出しアクメをキメる。絶頂宣言すらできない凄まじい快楽に令音の起伏の薄い顔面が崩壊し、ブサイク手前のマジイキ顔になりながら水柱を立てた。

 そんな令音を抱き上げピストンしながら、彼は琴里の前に立つ。


「これなら上手く出せるだろ? ちっちゃな元上司様にたらふく浴びせてやれ」

「お゛っ♥♥ ほォッ♥♥♥ 無能戦闘員のためにっ♥♥ おちんぽご使用ありがとうございますっ♥♥ おまんこご利用感謝しますっ♥♥ おまんこイキますっ♥ おまんこイク、イグ、イグーーーーーーッ!♥♥♥♥♥」


 AST職員の手で身体に触れられるだけでオナニーの数倍快楽を得られる中で、セックスに使っていただけるという破格の扱いに令音すら頭が真っ白になる。

 単なる連続絶頂ではない本当の深イキに白目を剥きかけたアヘ顔を再度仰け反らせた令音は、勢いに乗せて叫ぶ。


「おしっこデルーーーーーーッ!♥♥♥♥」


 じょろろろろろろろろろろ〜〜〜〜♥♥


 シンプル故に振り切れた下品な宣言と共に、令音は絶頂放尿を遂に成功させた。美女の恥毛を濃紺に湿らせながら、真っ黄色の放尿がアーチを描いて飛び出す。それは必然、抱き上げられた令音の下半身から正面にしゃがんで放尿我慢イキする琴里のブサイクな顔面に直撃した。


「お゛ッほ〜〜〜〜♥♥♥♥ 令音のおしっこっ、イクッ♥♥ イクぅぅぅぅぅ〜♥♥♥♥ 令音のおしっこでおしっこデルーーーーーッ!!♥♥♥♥♥」


 憧れと尊敬の念を持つ令音から顔面放尿をキメられた琴里は、それが間接的にASTから与えられたものと判別してアヘ顔を浮かべて絶頂した。快楽で歪んだ可憐な面に真っ黄色のアンモニア臭が広がって滴り、同じものが琴里の尿道から太く長く排水溝へと落ちていく。


「おしっこデルー!♥ おしっこデルー!♥ おしっこデルー!♥ おしっこデルー!♥ おしっこデルー!♥」

「おしっこイクー!♥ おしっこイクー!♥ おしっこイクー!♥ おしっこイクー!♥ おしっこイクー!♥」


 破裂寸前まで膨らんだ排尿が膀胱から尿道を走り抜け、凄まじい勢いと音が響き渡る中、琴里と令音が下品無様な叫びを上げる。美しい女たちが生真面目に『おしっこ』『イク』など品性のない言葉を叫ぶ。

 激しい放尿と奇っ怪な下品な声が公開トイレから基地全体へと響く。彼女たちは尊厳どころか羞恥すら剥奪され、男たちの下劣な欲望を叶える存在としてのみ生きていた。





 彼女たち精霊ですら生理現象は避けられないと定義した場合、魔術師にも同じことが言える。エレンはともかく、ASTに所属する真っ当な人間の男ならば、だ。

 当然ながら彼らは精霊と異なり、まともに処理をする権利がある。というより、ここまで無様に生理現象を処理する者はこの世界で彼女たちしかいない。


「ふぅ、危ねぇ危ねぇ。訓練に夢中すぎて漏らすところだった」


 男は勤勉に聞こえる言葉を零しながらトイレに入った。訓練が、洗脳した精霊たちを弄ぶものでなければ本当に真面目だと言えただろう。

 床や壁がキラキラと輝いて見える。トイレの中は異様なほど綺麗に保たれていた。彼は清々しい気分で【便器】たちを吟味する。


「お、今日は君らか。相変わらず仲が良いねぇ〜」

「ふ、ふしゅうぅぅぅ♥ んふっ、おっ、ほぉっ♥」

「んんっ……♥」


 【便器】たちはそれぞれ返事をした、ように見えた。実際には開口器の極太ディルドを口内から取り出さなければ、くぐもり声しか聞こえてこない。

 男子小便器の内側に【便器】として固定された二体の下級戦闘員、氷芽川四糸乃は彼の呼びかけに瞳をニコリと笑わせ、鏡野七罪は気恥ずかしげに目を逸らす。

 二体とも、小便器の内側で後ろ手に拘束され、両脚を下部に埋め込まれた正しく便器少女なのだが、自分たちの扱いには一切目もくれない。ASTの下級戦闘員として、彼らの生理現象をサポートするのは当然と言わんばかりだ。


「和式の方は……ああ、こりゃ無理だな」

「っ……っ……♥♥♥」


 不意に個室である和式便座をチラリと覗いた男は、早々に使用を諦めて扉を閉じた。中には和式便器の中に身体を組み込まれ、口に便所ブラシを突っ込まれて白目剥いた八舞耶倶矢の姿があった。

 掃除も自動化がされておらず、組み込まれた胴体が浸かるほどひたひたに尿が染み渡っている。さすがにここまで汚れたモノを使う気にはならず、視線は自然と四糸乃たち小便器組に戻された。


「さて、なら今日は四糸乃ちゃんを使わせてもらうか」

「んごっ、お゛ぉぉぉぉぉぉ……♥」


 口蓋の役目を果たすディルドがズルズルと引きずり出され、四糸乃が目を剥いて嗚咽を漏らす。ディルドが抜ければ大量の唾液がダラダラと滴り落ちる穴が開く。その穴目掛けて、男はペニスから放尿を行った。


「んぶっ、ごぼ、がぼぼぼぼぼっ♥」

「よく飲めよ。大事な水分補給だからなー」

「おぶっ、お゛ぇ゛え゛♥ ごきゅ、ごきゅ……♥」


 開口器で飲まざるを得ないし、飲まないという選択肢がない。抑えきれないアンモニア臭に顔に見合わず汚い嗚咽を吐きながら、四糸乃は【便器】として喉の奥へ男の小便を流し込んでいった。

 四糸乃のように愛らしく、性処理などと無縁そうな少女を便器代わりにしている興奮か、放尿中もペニスがビクビクと跳ねて回って彼女の顔面だけでなくワイヤリングスーツを汚す。だが、どれだけ汚れようが自分の知ったことではないとばかりに男は最後の一滴まで放尿し続けた。


「あースッキリした。汚れた分はこっちで……」

「んぶっ、ん、んっ……♥♥」


 出し尽くした男は、跳ねてペニスが汚れたという名目で七罪の顔面に擦り付けて行く。それで汚れが取れるかと言えば、少女の顔にチンポを擦り付ける興奮で逆にカウパーがねっとりと絡まり、顔面が悲惨なことになる。そこが使えないと見るや七罪の髪を絡ませて拭い……結局、汚し合うだけ汚しあった男は、満足気に頷いてズボンを上げた。


「さあ、さっさといかないとあの部隊長様に叱られる……まあ、あの子たちと訓練するのに夢中だし、それはないか」


 ピッ♥


 隊の無能指揮官を小馬鹿にしながら、男は壁のボタンを押して気分よくトイレから立ち去った。このように、AST隊員は当たり前のようにトイレを使い、当たり前のように退出する。


 ざばぁぁぁぁぁぁぁぁっ♥


「「ん゛っぶごお゛お゛お゛ん゛っ♥♥♥♥」」


 小便を引っ掛けられ、塗りたくられた身体を洗い流す媚薬の洗浄に野太い嬌声を吐き出す【便器】たちなど、もはや見慣れて愉しむ価値もないという乱暴なものだった。








 備品にされる下級戦闘員もいれば、生身の身体の利点を活かして使われる戦闘員もいる。


「収入を報告しろ」

「「「ハッ!」」」


 下級戦闘員は十香たちのように部隊に振り分けられている。状況が状況だけに、大半は指揮の意味を無くしているが、ニートルのように訓練と称して遊び倒す者や、彼のように私腹を太らせるための売春に使う部隊長もいた。

 本条二亜、星宮六喰、誘宵美九たち下級戦闘員は、命じられるがままに外部のスポンサー、権力者たちに自らの身体を売り捌いた。二亜や六喰は言わずもがな、特に美九は美しい容姿を持つだけでなく元トップアイドルという経歴が尾ひれになり、法外な取り引きが成立する。

 私用とは思えない金入りを得て、いざとなれば彼女たちの力で少し脅してやればいい。都合のいい部下を手に入れた彼は今日もふんぞり返りながら彼女たちの報告を聞き流していた。


「まず私は……わたし、まず……む、く……は……?」

「報告……しな、きゃ……なに……あ、やだっ。だーりん以外に、そんな……!」

「あたし、あたしは、ん、ぁ……AST、さま、ほうこく……それから……ちが……」


 だが、敬礼して売春の報告を行い始めた矢先、少女たちの歯切れが極端に悪くなる。演技を続けるでも、演技を止めて元来の口調で服従するわけでもなく〝本当の〟精霊たちの人格が顔を見せる。


「ちっ、またか。……分かった、報告はもういい。黙って俺様について来い」


 万が一にも面倒事は避けておきたい男は報告を強制的に中断させ、負担のかからない命令に留めて私室を出た。

 精霊たちには何十時間、何百時間とかけた強制絶頂による洗脳処理が施された。六喰たちも例外ではないからこそ、無様な発狂の後にも奴隷のような扱いに甘んじている。

 だが、狂三や士織を経由し、一斉に捕獲された精霊の中には、連続した洗脳処理の影響もあり状態が保持しづらい個体が複数存在する。美九、二亜は過去の記憶から、六喰は己の能力で心を閉ざしていた経験があるためか、洗脳に僅かだが脆弱性が現れる。無理をさせるとさっきのように洗脳処置が緩んでしまうのだ。


 そういった時のためにあるのが【再調整】の装置だ。六喰たちのように厄介な能力を持つ精霊が反逆しないよう、ASTへの忠誠心を刷り込んでいく。

 調整ルームに入った男は、ちょうど使われた形跡のある三枠の立ち台を目にした。


「あの無能野郎が片付けていかなかったな」


 大方、ニートルがあの三体に使用したのだろう。十香たちは六喰たち以上にかなり入念に洗脳処置を施してあるはずなのだが、使い方が乱暴すぎるあまりよく洗脳が緩んでいる。この調整室の常連は間違いなくニートルで、お楽しみの時間を邪魔され、苛立たしげに装置を使って片付けもせずに戻っていった、という背景が見て取れた。

 そんなどうでもいい男のことは頭から追い出し、都合よく三枠用意された立ち台に六喰たちを立たせる。洗脳が解けかけた状態でも姿勢よく並んだ彼女たちへ、彼は調整用の装置を取り付けていく。

 洗脳装置のように頭部全体を覆うのではなく、顔に軽く取り付ける簡易的なヘルメットだが、形状自体にほとんど差はない。苦もなく慣れた手つきで六喰たちの鼻梁から上をメットで隠した部隊長は、ニヤリと笑って装置のスイッチを押した。


 バチッ♥ バチバチバチバチッ♥


「「「お゛おおぉぉんっっ♥♥♥」」」


 電流が流れるような音が散り、立ち竦んだ少女たちの身体はビクンビクンと跳ねた。六喰、美九は精霊の中でも豊満な乳房の持ち主だ。ブルンブルンと跳ねる爆乳は、再調整中の待ち時間をも心地の良い鑑賞の時に変えた。

 洗脳が緩んだのなら、再度洗脳処置を施して強固にすればいい。単純明快な理屈によって開発された洗脳調整装置は、以前の洗脳で脳が受け取った情報を〝思い出させる〟ものだ。


「あ、あ、あっ♥ ん……だ、だーりん、たすけ、てぇ……いやぁ♥」

「ぬしさま♥ いやじゃ♥ 頭が、おかしくっ♥」

「う、うぅ……また、こんな……頭、へんに、なるぅ♥」


 洗脳の解放が進んでいるのか、うわ言を並べる美九たち。調整装置は、本家の洗脳装置ほどの出力はないため強制絶頂に到達させるものではない。


「あんっ♥ え、えーえすてぃー……AST……♥」

「んっ、あっ♥ AST、に……♥」

「忠誠を、誓う……忠誠、を……♥」


 その代わり、強烈な洗脳音波の機能が搭載され、最初の洗脳で歪んだ思考能力に刷り込みと再生が行われる。


「イッ……忠誠、誓う♥ 忠誠を、誓います……イク……イク……!♥」

「忠誠を誓うのじゃ……あ♥ 忠誠を誓います♥ イクッ♥ イクッ♥」

「忠誠を誓います忠誠を誓います忠誠を誓います♥ 忠誠を誓います……イクゥ♥」


 洗脳音波に浸された脳が抵抗を止め、思い出す。自分たちの存在意義を。強制絶頂で覚えた果てしない快感を。

 ASTに忠誠を尽くす悦び。奉仕する奴隷精神。絶対服従の心が最大まで高まれば、その悦びが頂点まで達すれば。


「「「AST様に、絶対の忠誠を誓います!!♥ イク、忠誠アクメイクイクイグゥッ!!♥♥♥♥」」」


 自ずと絶頂という形が現れる。忠誠を尽くすだけでイケるほどの隷属心を取り戻す少女たちは、いずれ本当に〝演技〟など忘却するであろう。

 鼻の下を伸ばして舌を突き出した顔は、目元が覆われていてもイッて蕩けていることがよく分かる。ピピッと大きな電子音が鳴り、装置の固定が解除された。


「また生まれ変わった気分はどうだ」


 現れになった少女たちの美貌。宝石のように煌めくその瞳には、応える代わりにすらなり得る忠誠心が顕著に溢れていた。乳首がスーツに皺ができるほど鋭く勃起し、余韻で飛沫を上げる股部を隠すことさえしない。


「ハッ! 再調整ありがとうございます! おかげで、無能なだけのゴミに戻ることなくAST様のために働くことができます!」

「感謝の言葉もございません! この御恩は、戦闘員として忠誠を尽くし、全身全霊でお返しいたします!」

「下級戦闘員としてこれ以上の悦びはありません! おまんこが濡れてまたイッてしまいそうなくらい嬉しいです!」


 身体で充分だろうが、彼女たちは求められたものを絶対に言葉で返す。美九の美声すら意味を無くす無個性な忠義の言葉を聞き、部隊長は定期的な再調整に対する不満などすぐに忘れ去った。


「それでいい。おまえらにはまだまだ稼いでもらわなきゃならん。装置を片付けて帰るぞ。二亜、おまえは馬になって俺を運べ」

「「「ハッ! 部隊長様の仰せのままに!」」」


 部隊長は二亜を四つん這いにして跨ると、無能とは違うとばかりに装置を片付けさせて、美九と六喰が爆乳を揺らして歩く様を眺めながら、優雅に私室へ戻っていったのであった。






「下級戦闘員、集結!」

『ハッ!』


 ズラリと立ち並んだ絶美の少女たち。煌びやかな容貌と対照的に、肌が透けた滑稽なスーツを着て敬礼を行う無様な姿だ。

 士織以外は皆、際どいハイレグから零れ出るほどに剛毛を生え散らかし、それも酷く惨めで下品なのだが、当人たちは全く気にすることはない。

 ASTへの絶対の忠誠――――演技ということさえ、彼女たちは忘れているのかもしれない。崇宮澪も、村雨令音も、鳶一折紙も、八舞夕弦も、誰も彼もがASTへの忠誠を生真面目に誓って止まない。全てを忘れた者たちへ、AST職員がニヤリと笑って指示を出す。


「これからおまえたちに〝コールサイン〟を与えてやる。下級戦闘員には過ぎたものだ。光栄に思えよ」

『ありがとうございます! AST様から過ぎたる栄誉を与えていただき、それだけでイキそうです!♥ 精霊イクゥッ♥』


 真面目な顔で馬鹿なことを口走るブザママヌケな精霊たち。

 彼女たちのコールサインが刻まれる――――と言っても、太いペンで美尻にデカデカと落書きされた数字をコールサインと呼べるのかは怪しいが。


「コールサイン『00』崇宮澪、ASTに絶対の忠誠を誓います!♥」

「コールサイン『BBA』村雨令音、ASTに絶対の忠誠を誓います!♥」

「コールサイン『バカ』エレン・ミラ・メイザース、ASTに絶対の忠誠を誓います!♥」

「コールサイン『01』鳶一折紙、ASTに絶対の忠誠を誓います!♥」


 そんな馬鹿馬鹿しいコールサインに秘めたる忠誠心の底から悦びを露にする。精霊たちの価値に見合わぬ安上がりな贈り物に感極まった忠誠の声を上げる。


「コールサイン『メスホモ』五河士織、ASTに絶対の忠誠を誓います!♥」

「コールサイン『03』時崎狂三、ASTに絶対の忠誠を誓います!♥」


 その中にはあまりにも悲惨なコールサインを与えられた短小包茎メス兵士になった主人公の姿があった。

 その中には使命を忘れ、悲願を忘れ、夢魔の手管を忘れ去ったヒロインの姿があった。


 どちらがどうであれ、無個性な下級戦闘員と化した彼女たちの存在が〝個〟として認知されることはない。彼女たちは一生端役としてASTにこき使われる運命を背負った。その事実さえ、己の悦びとしながら――――――


Comments

タコよっちゃん

>「おしっこデルー!♥ おしっこデルー!♥ おしっこデルー!♥ おしっこデルー!♥ おしっこデルー!♥」 >「おしっこイクー!♥ おしっこイクー!♥ おしっこイクー!♥ おしっこイクー!♥ おしっこイクー!♥」 これマジでたまらんですわ。

いかじゅん

我ながらここのマヌケ具合は傑作だと思ってます……この二人が真面目にやってるの本当にたまらん