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いつもご支援ありがとうございます。本日はちょっと特殊というか、前にチラッと話をした書きかけ多すぎねぇか問題を少しでも解決すべく、進捗という形でお出しいたします。物は言いようですね。

その上で、続きを読みたいものに票を入れて貰ってある程度の優先順位みたいなものを作れたらいいな、という感じです。

大量の書きかけなので今回の五つを出してもまだあったりしますが、それは機会があればということで、今回は五作の中からお選びいただければと思います。導入だけだったりガッツリ書いていたり様々ですが、暇潰し感覚で読んでアンケートに答えてもらえれば幸いです。



【原神/雷電将軍の言いなり常識改変調教】


 四方の海に囲まれた六つの島を持ち『永遠』の成就を翳す雷神バアルを崇め奉る国、稲妻。

 彼は稲妻城で雷電将軍に仕えるしがない男だ。とはいえ、この稲妻の神である将軍との接点が深くある訳ではない。

 彼女は神として『永遠』を目指す強く鋭い意思を持つ。彼は雷電将軍、そして稲妻城に仕える歯車。ある意味では機械的なまでに義務を貫く彼女と同じである。が、神と人の身でも何もかもが異なる。視点も、価値観も、考え方でさえも。彼女は途方のない時間を生きている。おいそれと将軍の心は読み取れず、彼には『永遠』が何を指すのかさえ曖昧なものだった。

 稲妻のあらゆる事柄を監督する三奉行に属するわけではない。武将、その与力でさえない。彼らですら謁見が容易でない雷電将軍と接点などあるはずがなく、男は稲妻城の勤務でありながら全ての事柄と関わることなく生を終えるはずだった。


 そんな彼の全てが変わったのは、稲妻城の宝物庫を整理していた時のことだ。


「……なんだこの指輪は。どこにも記載がないじゃないか」


 この時点で、変質の自覚を男が持っていたわけではない。彼は宝物庫の中で見つけた指輪を手に取って掲げ、訝しげな表情を浮かべていた。

 宝物庫の整理を任される程度には生真面目な、言ってしまえば毒がなく真面目な男だと周りから思われている。実際、彼は記載されていない正体不明の指輪を見て、雑な仕事をしてくれたと微かな憤りしか感じていない。今この時は、だが。

 雷電将軍が統治する稲妻城に奉納されるような宝は、すべて徹底的に管理される。神のお膝元で宝の盗みに勤しむ愚か者が稲妻人の中にいるはずもない。仮にいたとしても、証拠を残すような地位ではないだろう。

 だからこそ、その逆である見知らぬ宝が保管されていたこと自体に首を傾げざるを得ないわけだ。

 偶然ガラクタが混ざっていたというなら捨てればいい。けれど、男が指で挟んで持つ指輪は決してくだらないモノとは言えないような、奇妙な魅力を発していた。

 雷を彷彿とさせる紋様が浮かんだ宝石は美しく、されど怪しく煌々と輝く。紋様といい雷元素を思わせる輝きと言い、これではまるで。


「――――そこで何をしているのです」


 雷電将軍のようだ、と考えた男は驚愕と緊張で呼吸すら忘れた。

 仮に何の思考をしていなかったとしても、彼は思案と呼吸を止めざるを得なかった。彼の全てが焼かれたのは、考慮の相手だからという理由だけでないのだ。

 もし人形が口を開いたのなら、きっと彼女の声が一番の理想と思える。美しくも冷たく、凛々しくも無機質な声音。

 呼吸すら忘れた男が無意識に振り向いて、彼女の姿を確かに目で捉えて傅く。一秒も見ていられなかったが、その容貌は閃光の如く彼の瞼に焼きついた。

 編み込んだ紫紺の髪をたなびかせた絶世の美女。左右の均等が調和を成した肉体は、およそ人の身とは思えぬ美貌を持つ。その美貌に見惚れる余裕がないほど彼女の雰囲気は超然として、人という存在を凌駕している。

 稲妻を統べ、稲妻の人々から信仰を得る神。彼女こそが雷神バアル、雷電将軍その人だ。男が恐れ怯え、頭を垂れるのも無理のない話であろう。


「将軍様…………も、申し訳ございません。宝物庫の整理を、任されて……け、決して、怠けていたわけでは……!」


 しまった、と自ら墓穴を掘った自身を男は呪った。なぜ扉を開けっ放ししていた。なぜ将軍がこのような場所を通りかかった。言い訳をするくらいなら、見つけた怪しい指輪を将軍に渡すべきだった。

 彼は何かやましいことをしていたわけではないのだ。それが盗っ人めいた、あるいは怠慢の言い訳を並べ立てる無能な男になってしまったのは、それだけ雷電将軍の放つ重圧に耐え兼ねたのだろう。三奉行や彼女の腹心たちならいざ知らず、謁見の機会すらまともにない男が彼女と相対し、己に非があると思い込んでしまうのは何らおかしな心境ではない。


「なるほど〝あなたがそう仰るのなら〟、問題ありません。己が為事に努めることです」


 だが、男が恐れるような罰則はない。そもそも、あの雷電将軍が稲妻城に仕えているだけの平々凡々な男を意識するという考えが間違っている。将軍からすれば男の価値など、羽虫よりは使える程度のもの。

 男の中での将軍像がそう思い込んだが故に、彼は将軍が己に対して〝異様なほど気にかけた〟言葉を手厚くかけたことに気づかない。身体が潰れると錯覚する重圧が解けた頃、彼はようやく呼吸をすることが叶った。


「……生きた心地がしねぇ。この城の偉い方々は、よくあの方の前で平然としていられるな」


 遜ると言葉にするのは容易だが、その容易であるはずのことさえ男はできなかった。呼吸と思考を忘れ、ただ要領を得ない無様な言い訳を並べることが精一杯。

 雷電将軍の命じた『目狩り令』もそうだが、彼女は必要と感じたことなら一切の容赦をしない。たとえ彼女が命じたことでなかろうと、永遠を阻害しないのなら人の心のない所業でさえ黙認する。

 将軍が不要と考える怠慢によって処罰されることを恐れるのは、男が小心者だからというわけではないのだ。それだけ神が、将軍の存在が稲妻に住まう者にとって絶対ということだ。


「さっさと仕事に戻るか」


 彼は将軍の意図を注意深く考察する気にはならず、精神的な疲労を誤魔化すべく業務へ勤しんだ。将軍の意図を人が理解することはできないから、将軍の告げた通りの行動をする。

 考えずに行動したが故に、彼は無意識に自分の持ち物にした雷の指輪の存在を忘却した。活性化した電流を走らせる指輪を見ることなく、この時は運良く将軍の禁則に触れなかった、という程度の認識で、今度は扉をしっかりと閉めて宝物庫の管理に努めた。今日この日は、否、この先も彼の無個性な仕事は変わることはない。

 雷電将軍と関わりさえしなければ、変わることはなかったのだ。


 しかし、偶然か必然か。彼はこの日を境に雷電将軍の姿を目にすることが多くなった。時には言葉を――一言二言、会話ですらないものだが――交わすこともあった。

 そうして言葉を交わすうち、彼は違和感を覚え始める。神が持つ人との価値観の違いではない。雷電将軍という人物そのものに生じた〝違和感〟だ。

 特に違和感が顕著に現れたのは、仕事が長引き夜も拭けた頃、稲妻城の片隅で男が雷電将軍とすれ違った際だ。


「あなたですか」

「ハッ、将軍様……!」


 幾度か言葉を交わした程度では緊張感は解けないが、どうにか分相応に頭を垂れることを覚えた。仰々しく跪いた男に対し、雷電将軍は無機質な眼を向ける。

 遜った彼の忠誠心を評価しているというわけでもない。彼の名を覚えるどころか、そもそも下働きの顔を覚えて認知していることが奇跡に等しい。


「夜分になろうと変わらぬ働き。あなたは生真面目な人間のようですね」

「も、勿体なきお言葉です。将軍様も、御身をどうかご自愛ください」


 一介の人間が神に意見することは、三奉行の長ですらそうそうまかり通らぬ。まして休息、隙を他者に見せるかどうかも怪しい神が、人の価値観からくる気遣いを受け入れるなどありえない。彼の言葉は雷電将軍に何ら響くことなく、意味もなく潰える。


「ええ。あなたがそう仰るのなら、休息を摂るとしましょう」

「……え?」


 そのはずが、雷電将軍は休息を受け入れた。永遠を愚直なまでに目指し、人間的な考えなど捨て去るよう〝作られた〟。怠慢という裏切りを許さない神の機械が、僅かとはいえ信念を捻じ曲げた。

 無論、男が雷電将軍の意味を知っているはずがない。彼が呆然と吐息を発し、神の御御足から豊満な乳房、冷徹な無表情を浮かべた麗しい貌を思わず見上げたのは、もっとシンプルな理由からだ。

 あの雷電将軍が、名前も知らない男の気遣いを受け入れた。御身には不要とさえ思える。何百年と動き続けているのではないかと考えてしまいそうな〝完璧な神〟が、まさか自分の戯言を易々と受け入れるなどありえないと。

 雷電将軍が自愛のために男の前から立ち去ろうとする。彼は咄嗟に声を発した。


「お、お待ちください。休息ならば、当方の門屋にてお過ごしになられるというのは、如何でしょう」


 言いながら、あまりにも不敬な進言に男は冷や汗を流した。この国で最も高貴な者を、下々の屋敷に招くなど片腹痛い。彼女を持て成すなら豪華絢爛な歓迎になる。将軍が好むものではないにしろ、立場上そうなるという話だ。

 つまり男の提案は、即刻首を跳ねられても仕方のない狼藉である、と言っても過言ではなかった。


「……で、出過ぎた真似を」

「今すぐには難しいですね」


 反応の無さからそう判断した男が口を開いた。被せるように雷電将軍は応えた。

 再び顔を上げた男が見たのは〝待て〟と言われて立ち止まり、顎に手を当て彼の提案を生真面目に思案する美女の姿だった。


「稲妻城で為すべきことが残っています。明日の夜、休息のために伺います。ですが、あなたに不都合があるようなら、休息を優先いたします」

「え、あ……? いえ、将軍様の都合が良い時に……?」

「わかりました。では、そのように事務を調整します。明日、あなたの屋敷へ休息に伺います」


 確かめるように繰り返す将軍の声色は無機質なれど、態度はどういうわけか丁寧で礼節、ともすれば彼に〝遜っている〟と見えかねないものだ。

 当然、男が態度の豹変に対応できるはずがない。咄嗟に発せられた呆れるほど意味のない進言は、彼が一番驚愕するという意図せぬ形で受け入れられた。

 立ち去る将軍の後ろ姿を見つめても、その滲み出る美しさに変わりはない。だと言うのに、男の瞳に映る雷電将軍の姿は邪に歪み、彼の性根に〝何か〟が明確に芽生えようとしていた――――――




 翌日、滞りなく業務を終えた男は己の屋敷へと帰宅した。稲妻城に仕える以上、それなりに裕福な暮らしはしている。だが妻子どころか小間使いもいない。

 多少広めの門家に一人寂しく住まう。たったそれだけの価値しか見出せない場所に、あの雷電将軍が訪れると言うのか。男はそう、今さらながらに深い疑問を抱いていた。

 何か大それた理由があるのではないか。自分が稲妻を揺るがす野望を抱き、それが雷電将軍に悟られたのではないか。全能感を持つ童が抱く妄想の方がまだ現実味のある想像と疑念が湧き出て、時間すら忘れるほど重苦しい気分に晒される。


「失礼します。……こちらで間違いはないようですね」


 ――――その暗く淀んだ空気は、雷電将軍の来訪によって一変した。

 本当に来た。稲妻城で見せる神々しく、畏敬を抱く御身の姿は一切不変。永遠を志す彼女こそ、永遠の象徴だと思わせられる彼女は、男の家の扉を開いて現れた。

 如何に彼女が無双の武人とはいえ、夜分にたった一人で下人の家に赴くなどあってはならないことだ。しかし将軍は人間のように、されど目上の存在として遠慮なく男の屋敷に上がり込んだ。

 〝休息〟を摂るためという名目に従ったのか、将軍は場所を示される前に屋敷の寝室へ歩いて向かう。男が慌てて付いていき追いつく頃には、雷電将軍は寝室に正座で座っていた。両手を膝の上に置き、背筋は気持ちがいいほどピタリと真っ直ぐに制止している。


「将軍様?」

「この身に休息は必要ありません。あなたの言う〝休息〟、つまり静養に該当する行為を再現しています」


 神の権能たる雷電将軍に休息は不要。だが休息を進言――――否、彼に〝命じられた〟以上は摂らねば嘘になる。故に雷電将軍は正座をして目を閉じ、静養の真似事をしているのだ。

 事の半分も男には理解ができなかったかもしれない。


「でしたら、将軍様……より静養を取りやすいよう、お召し物を脱がれては?」


 ただ僅かでも理解できていなければ言葉は出てこない。己の言葉を雷電将軍が聞き入れる。その確信がなければ、不敬にも程があろう脱衣の提案など、彼の口からおいそれと発せられるわけがなかった。


「わかりました――――〝あなたがそう仰るのなら〟」


 まただ。男が既視感を覚えるほど、雷電将軍は同じ言葉を返す。無駄を行わない彼女だから均一な返答を好むのか、あるいは自動的にそうなる命令であるのか。

 将軍の返答に反して男には理解できない。確かなのは、彼の網膜に彼女の白磁の如く透き通る肌が眩しく映ったことだ。

 彼女ほどの美貌なら、色気など掃いて捨てるほど露になる。その意思がなく、ただただ衣服を脱ぐという行為すら扇情的だ。

 将軍が和装を脱いで畳むと、豊満な乳房が完全に露出する。当たり前のことだが、衝撃的でもある。恐れ崇めるあまり、和装から零れそうだった爆乳の淫猥さに男は唾を呑むことすら忘れた。

 将軍が下着を抜けば媚肉が露になる。全く使われた形跡が見当たらず、薄らと生えた紫根の陰毛と薄桜色の陰裂がピッタリ一本の筋を描く秘部。美しくも卑猥な鼠径部の内肉に、男の陰茎が生殖本能を刺激される。


「座るより、立っていた方が楽なのでは?」

「効率的ですね」


 再度正座になろうとした全裸の美女が立つ。長身で豊満、細身という女の持つ魅力全てを注ぎ込んだ裸体は、やはり畏敬が先立ち、けれど90cmは下らない卑猥に揺れるバストを見ると劣情が上回る。

 畏怖の神々しさと性的な情欲が綯い交ぜになる。完璧な左右均等の取れた裸体を前に複雑な感情を抱く男だったが、手の動きは感情を如実に表した。


 むにゅっ♥


「はぁ、はぁ……!」

「…………」


 息を粗げた男は、雷電将軍の豊満な乳房を両手で鷲掴みにした。そして手に余り、指が深く沈み込む極上の乳肌を揉みしだき始めた。

 揉むだけで多幸感に包まれる至極の爆乳に男が感涙を覚える中、雷電将軍は立ったまま冷たい目で彼を見やる。しばらく男の好きにさせていた彼女が、おもむろに口を開いた。


「理解できませんね。この行為に何か意味はあるのでしょうか」


 彼の行動は計らずして〝確かめる〟ことができた。雷電将軍が、男の行動をどこまで黙認するか、遵守するかどうかのだ。

 今男は無言で雷電将軍の爆乳を揉みしだいた。彼女はその行動に疑問はあれど、拒絶はしなかった。将軍に羞恥の感情があるとは思えないが、他人が身体に無断で触れることを許す者ではないというのは誰でも分かることだ。


「わかりませんか? 男女なら当然の行動ですよ」

「男女……繁殖行動のことを指しているのであれば、この身の機能は封じてあります」


 信念を通すため作り上げた『雷電将軍』は、人の身にあるべき機能を封印している。恥じらいは元より、性欲や生殖欲求などあるはずがない。だから雷電将軍は男の行為に意味はないと言った。


「なら、俺がこうするのに都合が良いくらい、その封印を解いてください」

「わかりました。機能を解放します」


 封印というなら解いてしまえばいい。どれだけ堅牢な作りだろうと、本人が解放するなら力技は必要ない。

 厳密には『雷電将軍』を生み出した者が封じた機能だが、男の命令に首肯した将軍は禁則事項を独自に処理してしまう。


「……あっ♥ あ、あ♥」


 傍目から封印が解かれた瞬間を判別はできなかった。しかし、解かれたという確証は容易に得られた。

 男が爆乳を乱暴に掴み、下から上に撫でて愛撫し、執拗に揉みしだく行為は変わっていない。変化したのは雷電将軍の反応だ。頬に赤みが差し、唇からか細い官能の吐息が零れ出す。

 それを機能が、性感が封印されたままだと思うのは、未熟な童でもなければ出来ぬこと。そして童ではない彼は、先の行き過ぎた妄想を忘却し、目の前の現実に酔いしれた。


「気持ちいいでしょう?」

「え、ええ♥ ん……これ、が♥ 繁殖行為♥ なるほど、こうして身体の熱を高め合うことが、求愛なのですね♥ あ、んっ、あぁっ♥」


 起伏は薄いが紅葉の色を帯びた雷電将軍が、男の行為に意味を見出す。乳房から脳髄に行き着いた痺れが、不足した知識を補った。


「少し違いますね。将軍様と俺が恋仲になるなど恐れ多い――――将軍様は俺の雌奴隷になりたがっているんです」


 その上から知識をさらに補ってやるのが男の言葉だ。

 雷電将軍は彼の言葉に従い、行動を都合よく解釈する。これはもはや疑いようのないことであり、同時に他者へ秘するべきもの。

 彼の頭は混乱の渦中にある。そうでありながら、雷電将軍という絶世の美女を前に本能で走り続けていた。崇められし神、そして無慈悲で恐ろしい将軍を見る目が、噴出した欲求不満を満たせる〝都合のいい女〟へと変わる。


「雌奴隷というのは決して口外してはならない関係です。将軍のように地位のあるお方なら、なおのことです。あなたはこれから【絶対服従の奴隷】として、俺に【淫らな姿】を見せつける。それが雌奴隷というものなのです」


 神格を失った者を下等な雌として見て、意味を定めるのに苦労などあるものか。男は本能が命じるまま雷電将軍に行為の意味を植え付けた。

 将軍は瞬きの間に微かな戸惑いの感情を見せたが、それは知識にない命令を受け入れる僅かな時間のためにあるもの。


「承知しました♥ 私はこれからあなたの忠実な雌奴隷です♥ あなたが命じたことならば、淫らな姿で従います♥ どうか都合よくこの身を辱めてください♥」


 知識はないが聡明な将軍の機能は、男への態度を明確に表す。言葉遣いは完全に目上の人間を見る者、奴隷が主人に媚びへつらうものになる。辱めてくださいなど、将軍の身でありえない言葉を言い放つ。

 状況に疑問はある。怪訝ではある。だが状況は惑わされたものではなく、偽りでもない。

 この瞬間、稲妻を統べる厳格な神は、ただ一人平凡な男の冷徹で無垢な雌奴隷に堕ちた。




 機能の封印ということは、性感自体は神である雷電将軍の身に存在し得るものだ。即ち、将軍の身体は欲求が溜まりに溜まった状態であると推察できる。

 無駄な機能を禁則し、性欲を解消せず放置した身体が都合よく不感であるわけがない。むしろどの雌より不純な快感を望むはずだ。

 そんな欲望に塗れた考えが男にあったのかは不明だが、少なくとも胸を揉みしだかれただけで喘ぐような美女を前に、数刻の我慢ができる人間でないのは確かであろう。


 パンパンパンパンパンッ♥


「おっおっおっ♥♥ あぅ♥ はぁっ♥♥ うぅぅぅぅ……あぁぁぁんっ♥♥♥」


 肉と肉がぶつかり合う音と、淫らな女の嬌声が寝室から屋敷内に響き渡る。

 男は寝かせた美女の片足を背後から持ち上げ、後側位で魔羅を膣内の奥深くまで捩じ込み、激しく出し入れする。時に蕩けた声を上げる将軍の唇と口付けを交わし、瑞々しい薄紅の味を楽しみながら、何度も何度も抽挿する。


「将軍様、これが男女の交尾……セックスです。気持ちいいでしょう」

「あっ、んんっ♥ 交尾、セックス……魔羅に突かれた女陰から、脳に不思議な感覚が……さっきより激しい、快楽♥ おっ♥♥ おぉっ♥♥♥」


 数百年の封印から放たれた感覚は、無機質から無垢に変化した雷電将軍の感性にとって完全なる未知。淫らな姿を晒せという命令と相まって、将軍の美声があられもない嬌声に変貌することを容認してしまう。


「まずは雌奴隷らしく、全ての快感を受け入れることを徹底しましょう。特に言動です。いつものように格式ばったものは必要ない。雌奴隷らしく、俺を喜ばせる言葉を心がけてください」


 神たる女と恥部を結合した生ハメセックスに興じるだけで不敬極まりないが、その背徳感が回りきった頭はもう止まらない。肉棒から精液がいつ破裂してもおかしくない快感に包まれながら、耳元で囁くように命令する。


「あぁっ♥♥ おっおっお♥ ちんぽ♥ ちんぽ強いです♥ ちんぽはげしっ♥♥ まんこ、おまんこ突かれて♥♥ ふーっ、ふうぅぅぅぅ♥♥♥ 一番深い場所、まんこを突かれてぇ♥♥ おっ、ほ♥ おぉぉぉぉぉ♥♥」


 命令の優先度は雷電将軍の持つ無機質な理知を奪った。あるいは、定められた願いのために極端な思考を持つ将軍だからこそ、惜しげもなくドスケベな振る舞いを披露したのかもしれない。

 淫らというより下品。片足を上げさせられ、魔羅が入りやすい体位でのピストンセックスで、性感が発露した肉体はその快楽を雷電将軍の脳髄に行き渡らせる。


「あぁぁんっ♥ 気持ちいい、ちんぽでおまんこ突かれて気持ちいいですっ♥ 正しいことなのに、頭が真っ白になってぇ♥♥ 知らないモノが、溢れて……っっ♥ い、いけません♥ ちんぽ強すぎて、はて、果ててッ♥」


 理知的な思考や言葉を不要と断じた時点で、雷電将軍は与えられた卑猥な言葉をめちゃくちゃに並べ立て、雌が最も無防備になる瞬間に戸惑いつつ、男が教えていなかった部分だけは独自に言語化してみせる。

 もちろん男はその感覚をどう言葉にするかを〝正しく〟教えてやった。


「イクッ♥♥ おまんこイクゥゥゥゥゥゥッ♥♥♥♥」


 尖らせた唇から舌を突き出した雷電将軍が、絶頂を愚直でマヌケに宣言する。布団すら敷かずに行為を始めたため、座敷に雌のイキ汁が染み込む。それが万人の美女が霞む将軍の絶頂液なれば、むしろ箔が付くと男は気に留めない。

 絶頂はその達する部位を〝正しい名称〟で叫び報告する義務が雌奴隷にはある、などという戯言をあの将軍が本気で実行した。その無様なイキ恥に男の興奮までもピークに達しつつあった。


 パンパンパンパンパンッ♥


「おぉぉっ♥♥♥ イクッ♥ おまんこイッていますッ!?♥♥♥♥ ちんぽとめっ♥ ちんぽヤベッ♥ い、イキながらイクッ♥♥♥ おぉぉぉぉ♥ ほおぉぉぉ♥ おほおぉぉぉぉ〜〜〜っ♥♥♥♥」


 舌を突き出したままでは上手く言葉を紡げず、将軍は舌を噛み覚えたての言葉を断続的に発して、絶頂を重ねがけされた膣穴を怪しく痙攣させながら汚い嬌声を響かせた。

 快感が未知、絶頂が未体験。欲求不満な生娘と化した将軍を抱きしめながら、より深く魔羅を捩じ込みたいと男が彼女のさらなる反応に期待を抱く。

 しかし、新品の膣内にキツく締められ、されど包み込む極上の快楽に酔った魔羅の限界はすぐそこだった。


「射精るぞ! イキながら、精液受け止めろ……! 神様のマンコに、無責任な中出ししてやる!!」


 より深くと願った魔羅の亀頭はとっくに子宮口を押し込み、快楽で蹂躙していた。蕩けて開いた胎内目掛けて陰嚢から上り詰めたザーメンが弾け飛ぶ。


 どぴゅどぴゅどぴゅっ♥ どぴゅるるる♥ ぶびゅるるるるるるるうぅぅぅぅぅっ♥


「う゛お゛ッ、ほおぉぉぉぉぉぉ♥♥♥♥ イクッ♥♥ イクゥッ♥♥♥♥ 中出しまんこ♥ いくっいくっイグゥゥゥゥゥゥゥッ♥♥♥♥」


 本当に中出しだけでイッたわけではないだろう。絶頂の余韻どころか、絶頂自体が冷めやらぬまま性感を責め立てられて雷電将軍はアクメ声を張り上げた。

 それでも良い。今はまだ気にすることではない。雷電将軍が中出しで果てたと思える光景を噛み締める。そうすることで、男は天にも登る射精の快感を将軍の膣内で味わえる。

 稲妻に仕える彼の人生で、間違いなく比肩し得るモノのない狼藉だ。ドプンドプンと生々しい音が将軍の下腹から聞こえる。己の魔羅が行っているのだから当然の感覚も、彼にとっては比類なき快感だ。

 何十秒を優に超える射精は人生で最も長く、同時に最も心地の良い時間になった。一滴残らず叩き込んだ膣内からドロドロになった肉の棒を引きずり出すと、将軍が力を失ったようにゴロンと仰向けに倒れた。


「お゛……♥ ぅん゛お゛♥ ……ほォォ……♥」


 いや、失ったようにではなく、本当に意識の大半を喪失していた。慣れていない絶頂を二度連続で叩き込まれた無双の武士は、畳の上で股を開いて愛液を垂れ流しながら失神したのだ。

 四肢を無造作に投げ出した彼女は干からびたカエルのように哀れで無様だ。イキ果て、鋭さのない蕩けた瞳は虚空を見つめて酷くマヌケだ。


 本能のまま隷属を求めた男が、理性でもそれを求めるのには充分なほど淫猥な光景だった。




 雷電将軍を【雌奴隷】にしてから数日後。何ら不備なく回る稲妻城での日常の最中、男はあるものを探し回っていた。正しくは〝あるかもしれない〟ものだ。

 将軍に自在な命令を下せる立場になった彼はそれを見つけることができた――――――雷電将軍を操った宝具の正体だ。

 如何に無知でも気づくだろう。彼が宝物庫から持ち出し、何の因果か肌身離さず持ち歩いていた雷の指輪。それを手にしたあの瞬間から、雷電将軍の応答は〝今の彼女〟になっていたと。

 単なる宝物が『雷電将軍』という神を操れるはずがない。そう考えた彼は指輪の効果を深く知るべく関連する書物を求め、発見した。


 ――――かつて『影(えい)』が雷電将軍を作り出した際、先代との変容に気づいていた極一握りの者たちが生み出した【雷電将軍】を制御する反逆の指輪。その指輪は将軍の『永遠』を目指す徹底した機能、システムを狂わせ、強制的に従わせることができる。しかも人格を持つ将軍自身、そのことに気づくことはできない。


 見つけ出した書物は古びており、読み取れる部分がほとんどなかった上、彼の知識によってさらに引かれてしまう。

 だが、遙か過去に生み出された禁忌の指輪であることはわかった。将軍の本来の人格である『影』が作り出した『雷電将軍』の権を略奪する。どれほど危険な道具であるか、逆に裏側ですげ替えられた神に対してどのような事態が想定されていたのか。少し考えれば分かることだ。

 そして、この忘れられた雷の指輪を手に入れた男は、そのどちらにも当てはまらない。雷電将軍という神の機能が悪しきことに使われ国が滅びる。もしくは暴走した将軍を諌めることに使われる。

 彼の使い方は幸か不幸かどちらにも属さなかった。私利私欲ではあるが己の住む国を滅ぼす気はなく、将軍が暴走しているかどうかの判別が可能なほどの地位や知恵はない。


 ただ、機械的な人格の『雷電将軍』を都合と反応がいい雌奴隷に育てる計画を企てることに、何ら躊躇いを覚えない程度には下衆な人間であった。






【FGO/カーマのアナル特化エロトラ】


 薄暗い洞窟めいた〝ダンジョン〟を女が闊歩する。彼女は妖艶な肢体と妖しい美貌で人を堕落させる神。他者を愛し、己を愛さぬ愛の女神。

 名をカーマ。道行く敵を焼き払う女神は、億劫で仕方がないとため息を吐いた。


「はぁ、マスターさんにも困ったものです。私をこんなにも苦労させるなんて……後でたっぷり、理解をさせてあげないと」


 嗜虐的な笑みを零すカーマは、とても主の救出に乗り込んできたとは思えない。しかし、彼女とマスターの関係を知る者ならば、カーマの言動が建前に過ぎないことを容易く読み取れるであろう。

 カーマがこのダンジョン――――特異点『トラップダンジョン』という安直な名が付けられた場所を単身訪れたのは、当然理由があってのことだ。

 突如として行方不明になったカルデアのマスター。一度失われた反応をスタッフたちが三日三晩かけて追跡した結果、発生したとある特異点の中心にあると発覚した。ただちにサーヴァントを派遣するカルデアだが、マスターと絆が深い霊基を一つレイシフトさせるのが精一杯だと新たな問題が判明した。

 そこで白羽の矢が立ったのはサーヴァント・カーマ。今ダンジョンを攻略する女神その人だ。元ビーストの女神級のサーヴァントで、本人は否定するがマスターとの信頼関係は厚い。カーマ自身は捨て置いても平気だろうとか、後で相応の対価をなどと憎まれ口を叩きながらも、特異点攻略に迷いなく挑むことを誰一人疑う者はいなかった。無論、話を拗れさせないためにカーマの態度に口を挟むことはなかったが。

 かくして様々な〝トラップ〟が仕組まれていること以外、何の情報もない危険な特異点攻略に繰り出したカーマ。


「それにしても、随分手応えがない。多少は抵抗してくれないと、私、貴方たちを倦んでしまいそう……さあ、もっと頑張ってくださいね?」

【カーマ/レベル120・HP16595/装備『霊基第三段階』/状態異常・無し】


 カルデアが誇る最高戦力のカーマを疑う者は確かにいない。しかし〝ダンジョン〟の危険性に誰も、カーマ自身すら気づかない。

 そこは、恐ろしいほど美しい女神を辱めるある仕掛けが大量に施されたおぞましいトラップダンジョンであると。かつて彼女が広げた大奥さえ及ばぬ品性下劣な責め苦の数々が、愛の女神に襲いかかろうとしていた。


 足元すら危うい夜闇の道を自らの蒼炎で照らし、カーマは悠然と歩みを進める。表情こそ気怠げではあるが、迫り来る魔獣やホムンクルスに対しては触れることさえ許さない。


「進めど進めど矮小な相手ばかり。この程度じゃ、マスターさんを助けても賞賛はいただけそうにありませんね」


 狭い道を進む中、既に片手で足りない量の敵を殲滅している。が、敵の質は彼女が予想したものをかなり下回っている。未知の特異点で、自分一人しかレイシフトができない。警戒して然るべき前提条件ではあったが、逆に警戒度を上げすぎていたかもしれないとカーマは嘆息した。


「本当につまらない。拍子抜けです。さっさと寝坊助なマスターさんを見つけて起こして」


【トラップが発動した! カーマを【悶絶快楽カンチョー拳】が襲う! 当たれば最大強化サーヴァントでもひとたまりもないぞ!】


「あら」


 その気の緩みを狙ったのか、トラップダンジョンの名に恥じぬ罠が突如として作動した。

 狙いはカーマの背後。単独行動の際、最も警戒しなければならない場所へ巨大な手が迫る。カルデア側の認識としては、特殊エネミーである『黎明の神腕』が拳を握り、重ねた人差し指を立てた状態と言うべきものだ。

 確かにその剛腕が突き刺さればカーマに少なくないダメージが発生するかもしれない。


「それで不意打ちのつもりです?」


 舐められたものですね、とカーマは即座に炎の防壁を展開した。否、彼女を背後から狙う敵が現れた時、自動で発動する仕掛けだったのだ。

 背後は最も警戒すべき場所。そのようなこと、言われずとも承知の上でカーマは立ち回っていた。読み切られた不意打ちは、不意に該当しない。当たり前の攻撃に〝うっかり〟もない。

 剛腕の刺突はカーマに届くことなく、彼女の炎に焼かれて燃え尽きる。


「……な!?」


 はずだった。しかし予想に反し、剛腕のトラップは炎をものともせず直進した。マスターからあらゆるリソースを注がれ、全盛期ビースト時ほどではないにしろ凄まじい権能を持つ英霊であるカーマの防御があっさりと抜かれ、さしもの彼女といえど余裕を失う。


(く、油断しました。これじゃあマスターさんを笑えな――――――)


 不意打ちとはならずとも、剛腕はカーマに回避の手段を取らせないほどの速度だ。要の防御が抜かれた以上、カーマは甘んじてトラップを受け止める他ない。

 そして、女神は己の認識が甘かったことを知る。彼女の想定する背中の弱点と、トラップダンジョンが想定する後ろの弱点は全く異なるものだった。


 ブッスゥゥゥゥゥゥゥゥッ!♥


「うほォ♥♥」


 彼女の背中に突き刺さった剛腕が刹那の思考を遮った。背の下に備わったある穴に巨大な爪先が突き刺さった瞬間、カーマの口から零れてはならないモノが零れた。

 もしマスターに聞かれていたら、一ヶ月は姿を見せなくなることが想像に難くない。そんな聞くに絶えない野生動物の雄叫びじみた嬌声が、驚愕に目を見開いたカーマの口から溢れたのだ。


 ずぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ♥


「ぬ゛う゛ほお゛ォ゛ーーーーーーーーッ!!??!♥♥♥♥」


 それが序の口に過ぎなかったと知った時、カーマは爪先仰け反り舌出し〝ケツアクメ〟をキメて、露出が激しい股間部から濃厚な魔力のイキ潮を噴射した。愛の女神が両手でデカケツを抑え、飛び跳ねる醜態を晒したのだ。


「お、おぉ゛おおぉぉぉ、お、おけ、おケツぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!?♥♥♥♥♥」


 剛腕の指先が割って入ったのは丸見えで隙だらけのケツの谷間。下に眠る不浄の穴。どんな英霊だろうと決して鍛えることが出来ない急所・アナルだ。

 カンチョートラップに見事引っかかったマヌケ女神の尻穴から、サーヴァントの霊基を揺るがす凄まじい快楽物質が注入され、カーマは瞬時に数回の絶頂を味わった。愛の化身たる彼女がケツ穴を穿られて『おケツ』などと口走り、鼻水を噴き出して悶絶する醜態。今すぐ退去を選びかねない愚行。


「ぬけぇ゛♥♥ ぬ゛げなざい゛♥♥♥ わだじのおじり゛♥ ほじるのやべぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?♥♥♥♥」


 だがカーマは逃れられない。カンチョートラップが事を終えるまで、彼女は尻穴を己の身体より太い指で穿たれ、開いた大口から野太く下品な声を張り上げることを強要される。それがトラップに引っかかった者の〝ルール〟なのだ。


「か、かか、カンチョーキクう゛ぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥」


【カーマのカンチョー敗北宣言! カーマはケツ穴処女を失った! カーマはカンチョーで七回ケツアクメした! 悶絶快楽カンチョー拳の権能が発動し、カーマに因果逆転の呪いが付与された!】



【カーマ/レベル120・HP16594/装備『霊基第三段階』/状態異常・『クソ雑魚アナルの呪い』】

【雑魚アナルの呪いによって因果が逆転し、カーマのケツ穴は生まれながらの弱処になった! さらにアクメエネルギーによって霊核が僅かに損傷してしまった……】






【アズールレーン/イラストリアスの洗脳調教】


 海の略奪者セイレーン。対抗するはキューブという未知の物質から生み出されたKAN-SENと呼ばれ、艤装による圧倒的な戦闘能力を持つ人型兵器。

艦船は美しく、気高く、凛々しく、儚く、人と同じ言葉と姿でありながら、人以上に美麗で鮮やかだ。KAN-SENの在り方と容貌は人を惹きつけて止まない。

 そんな艦船たちを指揮する者は、彼女たちから全幅の信頼を置かれている。そうでなくとも一目を置かれ、誰しもが指揮官に興味を抱く。


「状態良好……問題なさそうです。お疲れ様でした」


 男はそんな指揮官――――ではない。指揮官と同じ人間でありながら、立場は近くも遠い『整備士(メカニック)』であった。彼に与えられた職場は母港の片隅とはいえ広々としたもので、何の不自由もない。ただ、その広さは彼に与えられたものではなく、彼が調整を任された艦船が不自由をしないために誂られた設備の恩恵を受けているに過ぎない。

 彼は母港で唯一の整備士になる。艦船は人とほぼ同じ姿、カタチを持つ。故に整備と言っても既存の技術では何ら役に立たない。指揮官同様、彼の才能はKAN-SENにとって唯一無二だ。

 しかし、だからこそ男と指揮官は近くて遠い。同じ人間で、同じ母港に所属する男でありながら、彼と指揮官では向けられる者に差がありすぎた。

 思想性格本能、全てがバラバラな艦船を纏めることが出来る人望を持つ指揮官と、あくまで艦船に秘められた能力を調整、改良する整備士とでは残酷なまでの〝格差〟を生んだ。彼女たちが人でなければ、美しくなければこのようには思わなかった。彼も人類を救う希望の力になれていると、誇らしく考える時があった。

 だが、この差は何だと彼の嘆きは膨れ上がるばかりだったのだ。指揮官はあらゆる艦船から信頼を寄せられ、守られている。指揮官はそうだ。整備士はまるで違う。

 地味な仕事だ。信頼関係を築く前に身体に触れるという意味でも、艦船の中には無条件で警戒や嫌悪を抱く者がいた。男は、彼にしかできないことを必死にやっているだけなのに。


「ありがとうございます、整備士様」


 無論、分かってくれる艦船も多い。労いの言葉が決してないわけでも、対価を得られぬわけでもなかった。

 イラストリアス。純白のドレスにキャペリンハットを被る。大仰なまでの装いが誰より似合う貴婦人の如き艦船は、彼に大きな感謝を述べる。調整終了の合図で動き出し、スカートを摘んでぺこりと頭を下げる。ニコリと微笑んだ彼女の美貌のみならず、下方に垂れたPカップのバストに男は目を奪われた。


「私たちが聖なる光で争いを諌めることができるのも、あなたの真摯なお力添えがあればこそですわ。改めて、お礼申し上げます」

「いえ、そんな――――――」


 彼も若い青年だ。母港住まいで女と身体を重ねることがなければ、イラストリアスのような爆乳美女に目を奪われるのは仕方のないことだった。

 それでも、イラストリアスの賛美に心が満たされたのは嘘ではない。


「イラストリアス」

「あ……指揮官様」


 そして、突き落とされた。僅かばかりの心の安らぎは、彼と同じ人間でありながら彼にはないカリスマを持つ男によって踏みにじられる。


(またかよ。いつもいつもタイミングが良いこって)


 無論、KAN-SEN整備室に現れた青年にそのような悪意がないことは分かっていた。分かっているから、やるせない。指揮官がイラストリアスに言葉をかけた途端、その笑みは全く別のものになる。美しい笑みに、愛情深さが現れる。

 その格差が、あまりの残酷な〝位〟付けが彼の心を掻き乱した。


「ちょうど君に用事があってね。突然で済まない……もう整備は終わったのかな?」

「……ええ。たった今。お疲れ様です、指揮官殿」


 感情の乱れや悪意はおくびにも出さない。自分の地位を無意味に下げることになると、彼は知っているからだ。

 当たり障りのない労りの言葉を返し、イラストリアスに寄り添って整備室を立ち去る指揮官の後ろ姿を男は見遣る。睨みつけることはしない。けれど、握った拳には浅ましい感情の力が込められていた。


「ああ、クソが」


 男がそれを吐き出し、解放したのは自室に戻ってからだ。十二分に上質なものが設えられたベッドに拳を叩きつける。

 広い部屋だ。これだけは、整備室とは違い彼の価値が認められたが故のもの。ただし、こんな場所を一人で使ったところで彼の心は満たされない。艦船の、あのイラストリアスの笑みが自分に向けられでもすれば話は変わってくるのだろうが。


「クソ、クソクソクソクソ……同じなのに、なんでこうも違う? 指揮官と整備士……はっ、主役と脇役の違いか。認めたくはねぇが」


 認めざるを得ない。彼は拳を叩きつけたベッドの上に倒れ込む。程よい反発が彼の疲労を癒す。荒んだ心までは癒してくれなかったが、欲求を持て余した若い男が寂しくベッドに横たわったところで、癒されるはずがないことは彼が一番理解していた。

 どうしようもないことだ。人類を救う使徒たちに手を貸すのは同じはずなのに、指揮官と整備士はあまりにも違う。いいや、指揮官は彼女たちに寄り添うが、整備士は彼女たちに手を貸すだけだ。それ以外はない。関係が深まることもない。

 何度もチャンスがあればそうした。身なりにも気を使って、当たり障りのない会話は進んだ。そこまでだった。どう足掻いても、あの指揮官のようにはいかなかった。世界が、艦船が彼を選んでいるかのように、整備士(モブ)に好意は向けられない。


「いつまでやるんだ、これ」


 もちろん、セイレーンを倒すまで。彼の呟きは疑問足りえないが、セイレーンを倒して終わりなのか。本当に、それだけで元に戻るのか。

 戻るわけがないと誰もが知っている。艦船たちは世界に根付いている。常識となっていた。彼女たちは陣営を違えながら、人間のように生きているのだ。ならば指揮官は求められ、艦船のコンディションを整える特殊な整備士も自ずと一生の仕事になるだろう。

 要するに、艦船に囲まれた充実の人生を送るか、艦船を間近にしながら触れられもしない奴隷のような人生を送るかだ。


「ふざけんな」


 ポツリと呟かれた言葉には、呪詛の如き暗い感情が乗せられていた。

 彼が地位や名誉、金品を求める人間ならば良かった。しかしながら彼は、人畜無害な指揮官と違って確固たる欲求を持つ。若い女の姿をした艦船を見てきた彼は、もうとっくに我慢できなくなっていた。

 それは妄想だろうとリアルな人間の女をあてがわれようと、解消されることは決してない。今知っている顔と先ほどの微笑みを思い浮かべ比べでもすれば、その残酷さが理解できよう。

 彼の目は肥えすぎていた。彼の欲求は膨らみすぎていた。外へ逃げるのも、ましてやこのまま慈善事業を続けようと救われないほどには。


「…………マジで、やっちまうか」


 もうかなり集まっているしな、と整備士は類稀な記憶力に保存した艦船たちの〝データ〟から、欲望の可否を判断する。

 結論から言えば、恐らくは可能だ。特に、今日調整したイラストリアスは十分すぎるリュウコツ、KAN-SENの根源に関するものが揃っていた。事彼女たちの肉体となれば、男は鉄血のような高度な科学技術を持つ陣営にも劣らない。むしろ、艦船に関しては上回ると言っていい。

 彼が何を企んで、何を欲しているか。鬱憤が欲求と重なり合う。美貌とそれを思うままに出来るカリスマに渇望する。

 それらを彼なりの力で形にするというのなら、人としての努力が無意味に終わるというのなら、行き着く答えは下劣にして醜悪なものでしかない。


「ヤッちまうか……俺の、俺だけの奴隷造り。あの女共を、全部イメージ通りに」

 ――――何か一つでも異なれば、彼は無欲な整備士のままだった。だが彼は努力をしてしまった。少しでも艦船に近づきたいと男として努力し、視線の差異に気づき、もっと根本的な雄としての差に癇癪を起こした。

 諦められたのなら良かった。けれど、彼が指揮官との差を感じる原因になったその立場は、その望みを叶えられる可能性を秘めていた。

 KAN-SENの内側を暴く。彼だけに許された特権にして、善意と信頼によって成り立つものを利用すれば、あの笑顔を自分のモノにできるかもしれない。

 一度反転したモノは元には戻らない。彼の中に芽生えた嫉妬という悪意は急速に膨れ上がり、己に目を向けないKAN-SENへの欲望となる。

 醜悪な欲望と良心が試される力と、それらを存分に振るうことができる環境。指揮官に出来ることを、彼以上に醜く下品なカタチで成し遂げられるものが、揃ってしまった。


「何も手に入らないくらいなら、ヤッた方が楽になる。ああそうだ。そうに違いない。今まで通りやれば絶対にバレねぇ。真面目に、ゆっくり、丁寧に、じっくりと――――――俺だけのコレクション造りを、始めればいいんだ」


 彼の中で、如何にして彼女たちを己のものとするかの計画は練り上がっていた。

 KAN-SENに触れ、KAN-SENを飾り、KAN-SENを喰らう――――性奴隷(コレクション)計画が母港の片隅でひっそりと、欲望のベールを脱いで現れた。





 KAN-SENは整備士である彼から見ても大きく謎を残す。いくら身体の内側を探れると言っても、いきなり彼女たちの思考や常識を書き換えて自分のものにする、というのは現実的ではない。

 だが壮言大語に終わらぬ場所が、設備と時間が彼にはあるのだ。そして、指揮官に比べれば深みに程遠いとはいえ、言葉を交わす上で問題にならない信頼関係を築いた相手ならば、その二つをじっくりと用いることが可能だ。


「先日に続いて調整にお呼び立てして申し訳ない。少しですが、気になる点があったんです。大きな戦いの前に、そちらを潰しておきたくて」

「構いません。ふふ、整備士様は生真面目なのですね。あなたが納得なされるまで、イラストリアスの身体をお貸しいたしますわ」


 整備室にイラストリアスを呼び出し、定期メンテナンスを行う。彼女は快く応じてくれた。相変わらず、無自覚に整備士の淫欲をくすぐる物言いは、結構の日となっては戒めではなく助力となるだけだ。

 メンテナンスは基礎的かつ、念の為であると説明し、いつも通りただ立っているだけで終わると警戒心を必要以上に紐解いていく。


「先日、新しいご友人ができたようで。とても喜んでいて、つい私まで喜びを露にしてしまいましたわ」

「へぇ、ユニコーンちゃんに。調整中に見た時は引っ込み思案な子だと思ってましたけど、勘違いだったみたいですね。まあ俺が嫌われてるのかもしれないですけど」


 もっとも、イラストリアスほど温厚な淑女なら、念を入れすぎたと言わざるを得なかった。彼女は何の疑いもなく立ち、男との無駄話に応じる。

 彼は空中に浮かぶコンソールを叩き、彼女の意識へ慎重な操作の手を伸ばす。ゆっくりと、その意識の輝きが光のない深淵へと向かうよう仕向けた。


「うふふ、誤解させてしまったなら、あの子に変わって謝罪いたしますわ。恥ずかしがり屋なんです。あまり気を悪く、なさらない、で……」

「ええ、別に。気にしてはいませんよ。嫌われることを、これからやると思うので」


 ――――程なくして、イラストリアスの言葉が途切れた。


「…………」


 立ったまま微動だにしなくなる。碧眼の色彩が怪しく、虚ろなものへと変貌していた。整備室の壁を背にして、豊満極まる胸を張って虚ろな目で立つ姿は一見して奇妙、あるいは恐怖を感じる。

 男からすれば、奇妙でも恐怖でもない。彼の中にあるのは、上手くいったという高揚感だ。

 表面意識の喪失、言わば【トランス状態】にイラストリアスを落とした。整備の干渉を工夫すれば、相手の意識をスムーズに奪うことは造作もない。

 こうなれば、もはや豊満な身体の淑女は彼の思うがままだ。


「急がず、慌てず、確実に……」


 と、彼はそう簡単に気は抜かない。

 艦船は未知の部分が多数を占めるのだと慢心を戒め、乾いた喉を唾で濡らして指を動かす。大丈夫、ここには自分と無防備なイラストリアスしかいない。指揮官の予定を把握している。作業は集中させて欲しいと普段から言って、人払いの仕込みもしていた。誰も来るはずがない。艦船たちの己への無関心を今日この日ばかりは感謝をし、イラストリアスへ【改竄】を加えていく。


「……あっ♥ あ……ぁ……あぁ……♥」

「深層心理領域へのアクセス。イラストリアスが自覚できない範囲で、色んな癖をつけておく。それ以外は、まだ早い」


 肉体への直接的な改造は避けて、イラストリアスの思考に集中させる。無意識下で行動を抑制する、暗示のようなものを仕込む。


「そうだ、まだ早い。焦るな、焦るな……!」


 だが、イラストリアスは「あっ♥」や「んんっ♥」と無表情で吐息を零す。鼓膜を震わせる僅かな吐息すら、イラストリアスが発していると思うと官能的で、彼は欲望が誘う限り指を止めることができなかった。言葉に反して、彼の指は今日想定していなかった暗示にまで伸びていってしまう。


「……んぎあ゛っ♥♥」


 が、その行為が彼の想定を超えてしまったのは言うまでもない。


「ん゛お゛っ、んぉおぉぉぉぉぉっっ♥♥」

「っ!?」


 突如イラストリアスが目を見開き、あられもない声で悲鳴を上げて仰け反り、激しく痙攣をする。目に見えた異常が無様な声と共に加速し、彼女のスカートの下から『ぢょろろろろろ♥』と溢れてはならない音が発せられた。

 過剰な【改竄】にリュウコツが抵抗したのだ。彼が慌ててコンソールを操作して改竄範囲を縮小すると、イラストリアスは人形めいた元通りの姿へと戻る。


「…………」

「あっ、ぶねぇ。焦りすぎた、な」


 心臓の鼓動が煩わしくて、男は言い聞かせるように途切れ途切れの言葉を紡ぐ。イラストリアスは、再び沈黙を保った。異常は起きたが、問題はない。

 無機質な立ち姿に彩りが加えられる。純白のドレスをぐっしょりと濡らす濃厚な染み色と、アンモニア臭が広がった。それは失敗の証であり――――――本来の想定が正しかった証左。


「範囲は、間違ってなかった。イラストリアスの抵抗力は、計算の範囲に留まっている。焦りすぎな以外は、完璧だ」


 理論は正しい。倫理的な過ちを問いただされようと、彼は艦船の肉体と精神を思い通りに掌握できると確信した。


「こいつが、俺の思い通りになるんだ」


 垣間見えたイラストリアスが無様に悶える姿に、溜まりに溜まった鬱憤が歪な支配欲へと変わっていく。早く欲しいとイラストリアスに手を伸ばし、半分以上まろびでた凄まじい乳房を目にせんとした。

 以前耳にした足元が見えないという話が、嘘ではないと確信する爆乳だ。白いドレスに映える透き通るような白磁の肌は、ぷるりぷるりと揺れて激しい痙攣の爪痕を露にしている。谷間を出した胸部の装甲に指をかけるのは、もはや必然の衝動だった。


「や……だ、め……っ!」


 が、イラストリアスは彼の手を拒絶した。明確に、彼の手を両手で握って止めにかかる。

 男が眉根を顰め、コンソールを叩いて調整してやることで抵抗は収まったが、もう一度同じことをしても今は同じだと彼は暴力的なバストに心惹かれながらも指を引いた

 表層意識の喪失だけでは、対象への生理的嫌悪は拭いきれていないのだ。イラストリアスは、自分の局部へ触れられることを無意識に拒絶した。そもそも、イラストリアスから男への印象に関する暗示を後に回した以上、そうなることは目に見えていた。

 それでも確かめたかった。そして実際にイラストリアスの反応を目の当たりにして、もしこれが指揮官ならば、と嫉妬心が再燃する。


「いいや、必ずだ。必ず、俺のモノになる」


 彼は焦るなと、今は待てと己を戒めることができた。

 仕込みは叶ったのだ。今までは辿り着くどころか考えもしなかった自分の理想が、着実に近づいている。男はそれを確信することで、流行る気持ちを抑え込むのだった。

 今まで通り真面目に仕事に励めば良い。それが美点と言われているのだから、活かさない理由がない。疑いの目が絶対に向かない環境の中でじっくりと、誰にも悟られないように静謐に、彼はイラストリアスへ繰り返し暗示を仕込み続けるのだった。






【クロスオーバー娼館】


 気づけば〝青年(あなた)〟は見知らぬ場所、見知らぬ土地、見知らぬ建物の前に立っていた。

 戸惑う青年は辺りを見て回るが、行先の手がかりになりそうな場所は初めに立っていた建物にしかないようだ。

 見るも立派な外観だが、同時に普通の人間が立ち寄ろうとは考えない見た目と名前をしている。豊満な裸の女を模したオブジェクトが、ガニ股で腋見せポーズをしている卑猥な看板。そこには【多元娼館】という不可思議で怪しい名前が書き記されていた。

 そんな名前の娼館は聞いたことも見たこともない。困惑する青年だが、記憶も定かではない中で他に頼る場所が見つからない袋小路の事実と、僅かな期待が入り交じった不安に耐えかねて扉を叩いてしまった。

 扉は青年を待っていたかのように開いた。すると、現れた女の姿にギョッと目を見開くことになった。


「お客様、ようこそお越しくださいました♥」


 入口で、娼館と言っても限度があるだろう恥知らずな姿で青年を出迎えた少女。年端もいかぬ子供に見える容姿だが、理知的な顔はどこか大人びた雰囲気も感じさせた。

 隠すべき場所が反転した〝逆バニー〟のコスプレ衣装で現れたピンク髪の女は、青年を微笑と共に歓迎した。初めて見るはずなのに、どこか見覚えのある顔。


【プリンセスコネクト!Re:Dive/ネネカ】


 ふと、青年の頭の中でピタリと合致する名前が浮かんできた。知っていた気がする。知らなかった気もする。

 そのどちらであろうと、青年の頭に【プリンセスコネクト!Re:Dive】という世界のヒロイン・ネネカの存在が刻まれた。目の前で恥じらいもせず恥部丸出しのエロ衣装を着た少女が、別世界の女であることを今知ったのだ。


「私の説明は不要であると判断し、この娼館のご説明をさせていただきます」


 どうしてこんな知識が浮かぶのか、という青年の疑問に応えることなくネネカは歓迎の言葉を重ねた。あくまでも、青年を客人としてしっかりともてなすという強い意思が感じられた。


「ここは【多元娼館】。簡略化した表現を用いるなら、ここはあらゆる世界から集えた娼婦に足る存在を、お客様に〝使用〟していただくためだけの施設です♥」


 だが、ネネカが語った内容に青年は酷い頭痛を覚えて額に手を当てた。あまりに荒唐無稽な内容と、現実離れした光景に処理が追いついていないのだ。


「難しいことは何もありません。お代も必要なく、時間の制限もない。ありとあらゆるニーズに応えることのみが、この【多元娼館】の使命なのです♥」


 そう言って、満面の微笑みを浮かべるネネカ。改めて見て、とんでもなく卑猥な格好の美少女に誘惑的な言葉を並べ立てられると、青年の困惑は甘言による誘いに取って代わられそうになっていた。

 慌てて首を振った青年は、至極真っ当な疑問をネネカに投げかけた。どうしてこんな娼館に、自分が呼び出されたのかと。


「その理由はお客様が一番ご存知なのでは? 普通の暮らしでは満足できない。普通の女では満たされない……そんな欲望をお持ちだからこそ、お客様は当店に招かれたのだと♥」


 ネネカの言葉に青年はドキリと胸を弾ませた。確かに彼女の言う通り、青年は一般的な倫理観では褒められない性癖の持ち主だ。加えてぶつける相手がいない以上、毎日することと言えば事務的な処理だけ。

 彼女は言っている。ここは、そんな鬱憤を本当の意味で晴らすことができる娼館だと。〝様々な世界〟という言葉にするのは易くも、青年の想像の遥か上を往く理屈が成立した素晴らしい場所なのだと、ネネカは微笑で語り尽くしていた。


「納得していただけましたか? では、当店を末永くお使いください……と言っても、世界から集えた娼婦たちは膨大。私にガイド役をお任せいただいても、よろしいでしょうか♥」


 青年は一も二もなく頷き返した。残った疑問など、娼館の誘いに比べれば何ら意味のないものだと青年は察した。ここは〝都合がいいだけの場所〟という、理外に存在する空間であることを彼女に教えられた。

 迷いのない首肯にクスリと笑ったネネカは、客である青年を先導するべく手を取って身体を寄せた。華奢な手と小ぶりながら女の膨らみを感じさせる生肌が身体に当たり、ズボンの内側から膨らむ肉棒がいきなり破裂しそうになる。特級の案内人(美少女)が、破廉恥な格好で組み付いて来たともなれば、多少の粗相は致し方ないことだ。

 ネネカは娼館に慣れない戸惑いを笑うことなく、客人に対して丁寧に対応する。案内人とはいえ、ネネカも娼婦の一人であることが深く伝わる振る舞いだ――――――となると、ネネカも〝使用〟の対象になるのではないかという当然の理屈が頭に浮かんだ。


「ええ、その通りです♥ 私はあくまで娼館の案内人として振る舞う〝立場〟に従っているのみ。御所望なら、この場でハメ穴としてご使用いただいても構いませんよ♥」


 ネネカは丸出しの秘部を指で『ぐぱぁ♥』と開いて青年を誘う。鮮やかな膣穴からドクドクと愛液が滴る光景は、股間の欲を実に唆られるモノだった。

 今すぐに犯してみたい。そんな欲がズボンのテントになって表れる。だが、青年は冷静に頭を振った。折角なら、とびきりの娼婦がオススメする娼館を楽しんでみたいと考えたのだ。思いのままネネカを犯すのもやぶさかではないが、娼館が評価したという青年の性癖。本当にそれを満たしてくれるのかに強く興味を引かれていた。


「ふふ、お客様ならそう仰ると思いました♥ さあ、こちらです♥」


 娼館は青年の興味を引きながら、無駄に待たせることはしなかった。

 まず初めに案内された部屋、否、娼館の通路。壁にズラリと並ぶ高貴な花弁の列。プルプルと揺れる淫靡な肌肉たち。色艶な陰裂たち。濃さがそれぞれ独特の菊門たち。

 壮観のあまりに言葉を絞り出すことすら難しかった。青年の視界に映り込んだ豪華絢爛な模様の壁が、引き立て役にしかなり得ない美の肉の数々――――壁尻。壁から女の下半身が飛び出すという、普通では味わえない特別な光景に青年は目を奪われた。


「どうぞご自由に、見て、触れて、お使いください♥」


 道を開けたネネカに背中を押されて、青年は壁尻の前に立つ。

 菊門と媚肉を兼ね備え、しっとりと汗ばんだ女の肌肉。両脚は壁の高さに合わせてガッツリと開き、非常に下品なガニ股だ。もちろん、美しい女の〝そういう〟姿に興奮した肉棒が滾って仕方がない。

 期待を煽られてそそり勃ち、期待以上の光景に射精寸前の肉棒をズボンから取り出す。挿入れる相手がおらず、ただ虚しいだけだったカリ高つよつよペニスが、この娼館では絶対的な存在の象徴として輝いていた。

 いきなり壁尻とは、普通の娼館らしさは一切ない。女の顔と言葉ではなく、女のケツと穴で客を歓迎する。それは、とても素晴らしいことだと青年は感じた。

 隙間を開けつつ壁に連なった尻たちの菊門の上には、艶めかしい尻の持ち主であろう娼婦の顔写真が張り付けられていた。

 【BLEACH】の四楓院夜一は得意気な顔写真と裏腹に、ビラがはみ出たみっともないマンコをヒクつかせている。【ラブライブ!】の近江彼方は眠たげな容貌でえげつないケツ毛を生い茂らせている。【BLAZBLUE】のレイチェル=アルカードは、舌根を突き出したアヘ顔ダブルピースの写真で尻より目立っていた。

 様々なニーズに応える。その謳い文句に偽り無しの〝想像〟の余地を残した壁尻と写真たちに青年の笑みは深まっていく。

 当然眺めているだけではいられない。青年は何の遠慮もなく、視界に入って気に召した壁尻に肉棒を突き立てた。


 ぱんっ♥ ぱんっ♥ ぱんっ♥ ぱんっ♥


「壁尻娼婦の使い方も心得ているとは♥ 流石ですね♥ そう、壁尻娼婦に人権などありません♥ 彼女たちは一刻も早くお客様にチンポを扱いてもらうための道具♥ 壁に立てかけられた雌穴♥ 気遣い、配慮、遠慮や許可は全く必要ありません♥ オナホを使うように、パコパコハメて無責任生射精してください♥」


 ネネカの言う通り、壁尻の真髄は〝使う〟ことにある。どれだけ声を上げても決して抵抗することができない。ただ犯されることを下品なガニ股で待つだけ。拘束における無様の到達点が一つ。

 許可なくして使うことがマナーまである。青年は【ソードアート・オンライン】のアドミニストレータを犯した。元の世界で最高司祭、支配者だったようだが、壁尻になれば全く関係ない。いいや、使われるだけの尻に彩りを加えるスパイスのようなものだ。

 アドミニストレータで射精寸前まで温めた肉棒を【NARUTO】のうずまきクシナのマンコにぶち込み、人妻の垂れ気味デカ尻を鷲掴みにしながら一気に中出しをキメる。

 クシナの膣内を精液で満たした後は、射精直後で敏感になった膣穴を休めるように【Fate/】のマリーアントワネットの英霊マンコを広げてゆったりとしたピストンを行う。

 そして【五等分の花嫁】の中野五月に再度射精のための挿入を開始した。射精準備と中出しと休息をそれぞれ別の雌穴で使い倒す豪快なやり方に、見守っていたネネカがクスリと微笑んだ。


「なんて素晴らしい娼婦の扱い方……感服してしまいます♥ 私も微力ながら……んちゅっ♥ れろれろぉ♥ ちゅぱちゅる、ぢゅるるるっ♥ ん゛お、お客様のケツ穴うめっ♥ マンコイきそ、いぐっ♥♥♥♥」


 微笑を浮かべたのは青年の勘違いだったようだ。ネネカは壁尻を使う青年の背後にしゃがむと、アナルを舌で舐める献身を見せながら自らも無様な行為に感じてマゾイキする。

 言葉を発しない壁尻の甘美な味わい。ネネカの汚い嬌声を伴う下品なアナル舐め。とても射精を堪えられるものではない。


 どぴゅ♥ どぴゅどぴゅどぴゅるるるるっ♥ ぶびゅりゅりゅりゅりゅ♥


 濃密な射精汁が五月へと無遠慮に注ぎ込まれる。尻がビクビクと跳ねてガニ股が爪先立ちになったところを見るに、中出しでイッてしまったのかもしれない。表情が伺えないが故の想像も、壁尻の楽しみ方の一つだろう。

 その後もネネカのサポートを受けながら壁尻娼婦を無造作に使い倒し、何人もの尻から夥しい量のザーメンを滴らせる結果をもたらした青年は、そろそろ別の形で娼婦を使いたいとネネカに言い出した。


「承知しました♥ 今のご気分に合わせた娼婦部屋をご紹介しましょう♥」


 嫌な顔一つせず、アナルを舐めてべっとりと唇を濡らした下品な姿でネネカが青年を別室へと案内する。

 ネネカに連れられた部屋はホテルのスィートルーム顔負けのこれまた豪奢な寝室だった。無論、寝室の装飾が霞むほど、青年を出迎えた少女たちも煌びやかだった。


「おかえりなさいご主人様!♥ だいだいだ〜いすきなご主人様のために♥ どんなことでもしちゃうからね♥」

「ハニー♥ ハニーのために、オナホ穴ぐちょぐちょに濡らしてずっと待ってたんだから♥ ふふ、こういうの♥ 好きなんでしょ♥」


 出迎えはバニー衣装に身を包んだ【ブルーアーカイブ】の一ノ瀬アスナが100センチを優に超える長乳を揺らし、同じくバニー衣装を纏った【アズールレーン】のニュージャージーがヒップラインをこれみよがしに突き出してくる。

 生唾物の歓迎に青年は手を突き出して応えた。アスナの勃起乳首が衣装に浮かぶ長乳を鷲掴みにし、ニュージャージーのタイツに包まれたデカケツを思いっきり撫で回す。


「ん゛お゛ぉ゛っ゛♥♥♥♥ ご主人様、いきなり激しい……っ♥♥」

「あひっ、くふぅぅぅぅ♥♥♥ ハニーの手でケツ撫でられるのキくっ♥♥ 子宮震えてガチイキしちゃうぅぅぅぅぅ♥♥♥♥」


 訓練された娼婦は胸を揉まれただけで汚ったないオホ声を上げ、尻を撫でられただけで子宮を痙攣させて官能の声を張り上げた。客である青年を誠心誠意に愛し、雌の穴という穴を使ってもらえるよう心身共に屈服した証左だ。

 極上の雌肉を揉んで撫でて、しかし青年は不意にアスナたちから離れた。同じ部屋の別の場所に、彼女たち以上に意識を割く相手と光景があったのだ。


「「お客様♥ ようこそお越しくださいました♥」」


 【魔法科高校の劣等生】の司波深雪と【お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件】の椎名真昼が、優等生揃えの艶めかしい髪を床に擦り付け、素っ裸で土下座をキメていた。彼女たちの隣には脱ぎたての制服と下着がきっちりと畳んで添えられており、全裸土下座の基本とも言える相手へ尊厳を明け渡す意思表示が明確に現れていた。


「このお部屋に在る娼婦は、フリーマンコスタイルを採用しています♥ 私たちを含めて、自由気ままにチンポケースにしてください♥」

「全員、お客様のチンポのためにマン汁垂らしてハメ待ちいたしております♥ 使い捨てマンコをよろしくお願いします♥」


 頭を垂れた深雪と真昼の股座からは、尻肉を押す踵を伝って地面に垂れた愛液が際限なく染み出しているのが分かる。両人とも、元の世界のことなど何一つ気にも留めず、娼婦として青年に尽くすことで頭がいっぱいのようだ。

 それは全裸土下座した二人だけでなく、部屋のあちこちから青年に情熱的な視線を向けた娼婦たちからも感じ取れた。

 【魔法少女リリカルなのはViVid】の高町なのはとフェイト・T・ハラオウンが、ネネカと同じ逆バニーを着て糸を何本も引くマンコをヘコヘコと前後に振り乱している。【グランブルーファンタジー】のソーンと【メトロイド】のサムス・アランは、染み出た本気汁を股に塗りたくりながら「ん゛ほぉ゛♥」と酷い声でオナニーをしている。【RIDDLE JOKER】の在原七海と【ダ・カーポII】の朝倉由夢は制服のスカートを摘んでたくし上げ、むわぁと雌臭い剛毛マンコで濃密な交尾を求めている。

 皆が皆、青年だけを想ってドスケベなアピールを続けていた。誰一人怠慢者はおらず、誰一人想いを折る者はいない。見た目、年齢、出自など些細なこと。世界を跨いで集められた娼婦(ヒロイン)たちの姿に、青年のペニスは凄まじい勢いで勃起した。


「お゛っお゛っ、いぐっ、いぎゅうぅぅぅぅ♥♥ おっほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ♥♥♥ まんごっ♥♥ まんごしゅひぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛♥♥♥♥」

「んひっ、しゅぎっ♥♥ 手マンでいくっ、おっ、いぐっ♥♥ いぐいぐいぐいぐいぐ〜〜〜〜〜♥♥♥♥」


 用意された天蓋付きのベッドへ気に入った雌を放り込んだ青年は、真昼にタイツだけを履き直させて正常位でセックス。その隣に暇潰し用の四つん這いマンコもとい七海を添えて、手マンをしながら腰をピストンさせた。

 天使様とまで呼ばれた真昼の美貌がカリ高ペニスの荒々しいピストンで、白目を剥きかけ鼻水を噴き出したお下品なアヘ顔に変わり果てる様を。その隣で負けじとエグい嬌声でアクメをキメる七海の声を楽しむ。


「いぐっ、いぎゅっ♥♥ ほぎゅっ♥ んぎょお゛ぉぉぉぉぉ……イッぐ!♥♥♥♥ ひぎゅっ、いん゛ぎゅう゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ゛♥♥♥♥♥」


 一度射精するまでに鼻の下を伸ばし、唇を尖らせ、寄り目を上擦らせ、中々立派な隆起のおっぱいをブルンブルンと真昼が揺らす。青年を悦ばせようと必死に媚びるようにアクメをキメ、恥じらいのない品性下劣なオホ声を腹の底から響き渡らせた。

 青年に媚びたいのは真昼や七海だけではない。部屋中の娼婦たちが、青年のために身を粉にして働いた。

 【機動戦士ガンダムSEED】のラクス・クラインが少しでも精液の循環を良くしようと、青年の尻に顔面を下敷きにして睾丸へ『ぶちゅうぅ♥』とディープキス。【恋姫無双】の華琳は、射精の直後で休みが欲しいと見るや否や己の顔面を竿と玉置き場にした。





【デート・ア・ライブ/誘宵美九の枕営業】


 少女の歌声で全てが煌めく。ドームを埋め尽くす光の草原が。ステージの上でしか浴びることのできない万雷の喝采が。巨大なドームを斡旋し、反響し、天使の如き歌声を操る少女にだけ感じることのできる喜びとなって降り注ぐ。

 並大抵の努力では行き辿り着けないアイドルの領域に少女は立っていた。人は彼女を歌姫と呼ぶだろう。あるいは妖精のように美しい。精霊の如く艶やかだと。

 弱冠17にして少女はトップスターの道を歩み続けていた。並大抵の努力では辿り着けないと表現した領域に、しかし少女の歌声にはそこへ辿り着けるだろうという確信を抱かせる力がある。

 可愛らしい衣装が似合う抜群のスタイル。腰に烟るほど長く、その一本一本を摘んでもサラリと艶めかしい紫紺の髪に、薄化粧が映える元来から美しい面。しかし、やはり少女を語る上でもっとも欠かせないのがその声音。深みがあり、それでいて人の心に染み渡るかのような美声が、激しく凛々しく煌びやかで荘厳に踊る少女の唇からマイクへと伝わり、ドーム内に集った全ての脳へと攪拌されていく。


 空気が震える。天にも登る熱量が少女を、誘宵美九を幸福の絶頂へと導いて――――――


「……ッ!」


 ほんの一瞬、美九の表情が歪み、喉から痛みにも似た吐息が迸った。マイクを離していた。カメラは美九の貌を遠くから映していた。きっと美九の動揺は、ドームの誰にも伝わらなかったはずだ。

 天宮アリーナの関係者席。ここからでは人の細かな表情など分かるまいと断言できるはずが、その席に座る人間ならばと思ってしまう。それだけ目を合わせた男と美九は〝繋がっていた〟。無論、興奮の絶頂にあるはずの美九が痛みを覚えるような繋がりは、家族や恋人といったものであるはずがない。元より、アイドルには許されない。美九のように年若く、そして一度はあらぬ嫌疑を投げかけられ破滅しかけた〝あの名〟を思い出させるものを、美九が手にすることは二度とない。


 少女の声は万雷の喝采を生む。少女の声は世界を掴む。だが、芸能界というものは美しく見えても、全てが流麗なわけではない。清濁を併せ飲む、否、むしろ濁の一面が大きい。少なくとも少女を今の誘宵美九たらしめた大半は、濁の部分であると少女は認めざるを得なかった。

 そうまでして立ったステージで、少女は望んでいた幸福を感じていた。少女の歌を認め、少女の歌を求め、少女の歌を愛してくれる人々――――――そんな彼らを〝今度は〟自分が裏切っていることに痛みを覚えながら、美九は誤魔化すように歌い続けた。



 芸能界は綺麗なばかりではない。表から見れば充分に美しく見えるものでさえ、念入りに舗装された外面に過ぎない。歌声だけは紛れもなく本物である美九でさえ、それは変わらなかった。

 超高級ホテルの最上階。並大抵の金持ちでは届かず、庶民ならばなおのこと一日ですら借りることが困難なフロアが丸ごと貸し切りにできる一人の男のために、美九はその美声を張り上げていた。


「ん゛お゛っ♥♥ お゛っ♥ お゛っ♥ お゛っ♥ んオ゛っほぉぉぉぉぉっ♥♥♥」


 いいや、それを美声と言い張るのは少々難題になるか。万人を魅了する天性の才に恵まれた美九の美声でさえ、その下品な喘ぎ声を美しくすることは不可能。

 ドームを歓声の絶唱で埋め尽くしたその口で、その大切な喉を潰しかねない濁声を美九は発する。パンパンとリズミカルに尻を打ち付けられる。膣穴に剛直が勢いよく出し入れされる。気持ちがいい汗を流した身体から、快感と不快感が綯い交ぜになったいやらしい発汗が飛び散った。


「今日のライブも素晴らしいものだった。流石だな、美九」

「お゛っお゛っお゛ぉ♥♥ あ、ありがとう、ございますぅ♥♥ ん゛おぉぉぉっ♥♥ おひっ、うひぃぃぃぃぃんっ♥♥♥」


 美声の片鱗が覗いたのは、すっかり癖になった感謝の言葉を発する一瞬。男に媚びへつらう悪癖が発露した瞬間だけ、美九は透き通り鼓膜が蕩ける声を発した。けれど、両手を背後に立つ男に引っ張られ、美尻を覆う白いタイツが破れていくほど激しく腰を打ち付けられ、肉棒で膣内を貪るようにハメ倒され、美九の声はあっさり下品な汚声に戻る。

 脳天を貫くような快楽に美九は何もできない。ステージの上で昂った快楽とは全く異なる、けれど強く鋭く何もかもを忘れさせる快楽に全身の細胞が燃える。認めたくないのに、子宮から立ち上る絶頂がステージに立つ快感と同じか、それ以上だと雌の肢体が認めるようによがり踊る。

 天宮市の夜景、街を包む輝きの全貌を見下ろせる分厚い窓ガラスの前で、美九は反射した己を鑑みる。ガラスという鏡に映った美九は、自身が認めるほど酷い姿だった。

 ドレスのような衣装は〝誘宵美九〟として再出発した時、初めてライブをした思い入れのあるものだ。ともすれば〝別のカタチ〟で美九が身に纏ったであろうモノにそっくりのドレス。それが今や男が気に入って、セックスの際に着せる卑猥なコスプレ衣装に成り下がった。

 今日のように純白のタイツを破られ挿入され、自分の愛液と汗でベトベトにする。一年足らずで成長した美九の身体をトップスは受け止めきれず、零れた100cm間際の爆乳がバックで突かれる度に『ばるんっ♥』『ぶるんっ♥』と乱れて暴れる。

 月を模した髪飾りを輝かせた面は、声に劣らず醜い。瞳が快感で蕩けあらぬ方向を剥き、鼻の下が心地良さでだらしなく伸びて、気持ち良さを吐き出す口がみっともなく半開きになって舌を突き出している。元から歌以外が秀でているとは思っていなかった美九だが、目の前に映る下品な顔はその域では無い。オスのチンポに躾られたバカメス。マンコで物を考えていると言っても否定しきれないアヘ顔。歌と同じくらい秀でている女体を無理やり自覚させられ、男のモノにされ、快楽に漬け込まれたマゾ女。

 年若い身体に叩きつけられた〝雄〟の権化。染み付いた癖はもう元には戻らない。


「お゛ぉっ♥ ほォッッ♥♥ んッヒィ♥ お゛ぉ゛ぉ゛♥♥ おちんぽ♥ グリグリっ♥ されっ♥ うほぉぉぉぉぉぉ♥♥♥♥」


 白目を剥きかけて雄叫びを上げる。子宮口が柔らかい癖に凶悪な圧迫をもたらす亀頭にゴリゴリ、グリグリと押し潰されて、美九は額に玉の汗を浮かべながら汚い嬌声を上げた。鮮やかな黄色カラーの衣装に淫猥な汗がじっとりと滲んでいく。

 数時間に及ぶライブ終わりにも関わらず、いくら懇願してもシャワーを浴びさせてくれない。気持ちいい汗をかいたまま、こうしていやらしい汗を吐き出させられる。美九の身体と少なからず思い入れのある大切な衣装が雌臭くなっていく。それを男は余裕のある笑みで見下ろし、美九をハメ潰さんと剛直を突き立てた。


「いつハメても瑞々しいマンコだが、やはりライブ終わりは一段と反応が良いな。ファンの前で色狂いの身体を披露して、一層興奮したか?」

「いやぁっ♥ ふーっ、ふーっ♥ おっお♥♥ ステージのことはっ♥ 口出ししないでって♥ んおぉぉぉっ♥♥」

「はは、そうだったな。ライブは君の好きにさせる。望むものを与える。そういう契約だった。だが、ここでは私が望んだものを君が与える約束だ――――もっと私のために声を張るんだ」


 美九の尻を男が引っぱたく。タイツ越しとはいえ、薄い布地はあってないようなものだ。


「ひあああああああんっ♥♥」


 声を張れという命令に従っただけではない。豊満な尻肉が波を打つほど激しく、子宮に響くほど強く、何よりその振動で官能の声を上げてしまうくらいマゾスティックな性感が美九の中にある。

 芽生えさせられた。下品に浅ましく、変態のように喘ぐことを余儀なくされた。いつからその癖が付いたのかは覚えていない。でも、キッカケは忘れられなかった。選択が過ちだったのかどうかの答えを、少女は未だ出せていないからだ。


 それは、ほんの一年ほど過去の話だ。誘宵美九という本名ではなく、忘れ去られたある芸名を使っていた頃。

 あのプロデューサーと仲良くすれば仕事が貰える。在り来りでくだらない枕を断った少女が、歌の生命すら断たれかけた時。

 語るまでもない下劣な話の顛末は声を失った悲劇となる、はずだった。

 男は美九の前に現れた。ステージに立てば歌を失い、生きる意味を失うほど絶望する〝もしも〟が待ち構えていた美九を男は拾い上げた。

 どこかの社長で顔が広いと言っていた。男がどういう立場であるかなど美九は興味がなく、知ろうとは思わなかった。ただ好きで歌いたかった。それが恐れになり代わるおぞましさ、感じたことのない不安と恐怖が美九を男との〝関係〟に誘った。一度は拒否したモノを少女は自暴自棄にも似た失望と絶望から、受け入れてしまったのだ。

 結果だけ見ればその選択は過ちではなかった。男の権力は某局のプロデューサーなど及びもつかない圧倒的なもので、否が応でも目についた凋落の兆しは瞬時に取り払われた。現実感の無さから、その時は驚愕し流されるままだったことは美九の記憶に新しい。それほどまでに男の権力は圧倒的だった。

 社長の手腕で返り咲く条件の一つ、名を変えた再デビュー。それによって過去の名が忘れられ、誘宵美九というトップアイドルが喝采を浴びるのに半年と要らなかった。美九の天性の才は、絶対的な権力で押し上げられていった。

 一時は心無い言葉ばかりを浴びせられた握手会やサイン会、何よりライブがファンの笑顔が満遍なく咲いた幸福なモノへと昇華された。美九の心は救われたのだ――――ただ一つの代償、男に飼われる雌になる致命的な裏切りが起きた事実が秘められる形でだが。


「射精すぞ。子宮で受け止めてイけ」


 ハメ潰しで朦朧としていた美九の意識が覚醒する。身体はガラス窓に手をつきながら、暴力的な色気を醸し出す爆乳を背中を反って窓に押し付ける。命令通り中出しアクメ待ちのマゾメスポージングを無意識のうちにキメている。


 どびゅどびゅどびゅっ♥ ぼびゅるびゅるびゅるびゅるびゅるっ♥ ぶびゅぶびゅぶびゅりゅりゅうぅぅぅぅぅぅ♥


「お゛ほお゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ゛っ゛♥♥♥♥♥」


 胎内へ殺到したザーメンは美九の子宮という〝居場所〟を蹂躙する。仰け反った美九の背中から中枢神経を焼く快楽物質は、少女から言葉を奪いケダモノの如き絶頂声を命じた。中出しイキが癖になっている。避妊薬など意味がないんじゃないかと錯覚するくらい男のザーメンは粘り気が濃く重たく、美九の子宮をゾクゾクと悦びで満たした。


 そういえば初めて抱かれた時も同じだったと、美九は絶頂で再び薄れ行く意識の中で想起した。

 男に抱かれる前、取り返しがつかないことをしたのだと後悔の念に抱かれたことを覚えている。だがその夜、美九は後悔を忘れるほどの快楽を味わった。身体を雌にされた。誰が飼い主であるかを骨の髄まで理解させられた。

 あの肥えただけのプロデューサーではこうはならなかったはずだ。痛みと嫌悪に抱かれて、後悔だけが美九の心に残る。そうして少女は心を閉ざしただろう。

 男はこじ開けた。幼くも魅力に溢れた豊満な肢体の全てを、一匹のマゾメスに変えた。あのグロテスクな逸物を膣内に受け入れた瞬間、あるいはそれより前から美九は雌として、雄との格差を思い知らされたのだ。


「美九、起きろ」

「……ん、ぁ……♥♥」


 ペチンと頬を熱いモノが叩く。ぼんやりとして薄い視界の中でも、美九はそれが何なのかを理解していた。

 失神した少女の身体はベッドの上にある。男と関係を築いた頃から随分寝慣れた巨大なベッドで、美九はひっくり返ったカエルのように股を開いていた。いつものこと、そして男が肉棒だけでなく雌に対して強烈な〝嗜好〟を持ち合わせていて、洗っても落ちないその癖を美九に染み付けた。


「ん、ちゅ♥ ちゅる♥ ちゅるるる♥」


 惚けた目を頼らず、美九は顔面に差し出された熱気を頼りに唇を窄めた。自分の頬を叩いて起こした肉棒の先端にキスをして、マンコで搾り出しきれなかったさらに粘り気の強いザーメンを吸い上げ、舌で絡め取り、丹念に掃除をしていく。

 ノーハンド掃除フェラで空いた手は自然と秘所へ向かった。スカートがはだけ、破られたタイツの下からまろび出た美九の膣。アイドルとは名ばかりで、毎日男のザーメンを受け止めてゴポリと吐き出す淫乱マンコ。


「んっ♥ お゛っ♥♥ ちゅっ、ぢゅる♥♥ んん゛っ♥ ふお゛っ♥♥ ん゛ん゛〜〜〜〜♥♥♥」


 美九は中出しされたマンコを手袋を付けた指で掻き回す。髪がグロテスクな竿に絡まることも厭わず、チン臭でいっぱいになった鼻腔をピクピクと痙攣させながら吸引掃除をする。

 己の膣内で暴れ回って射精した肉棒を商売道具の口で掃除させられながら、それをオカズにオナニーをする。アイドルという偶像を穢す不浄な魔羅をしゃぶりながら、浅ましくも得難いマゾの快感を少女は求めていた。


(はぁ……♥ 大きい♥ くっさぁい♥ でも美味しい……なんで、ああ、全部忘れちゃう……また後で、後悔するって分かってるのに……おちんぽしゃぶってマンコいっちゃう♥♥)


 少女の淫らだが幼い身体の許容を遥かに超えた快楽で、正常な思考が掻き乱されている。だが、それだけではない。雌として優秀な雄に屈服しろと本能が、女体の細胞が囁いてくる。それに決して抗えない。〝もしも〟が起こらなかった今、美九は雄に従って煌びやかなステージと淫らな夜を得る小娘でしかないからだ。

 どうしようもなく暴れ狂う快楽をもたらす雄の前で雌ができることは、彼の嗜好に適した癖を染み付かせることと、彼のために浅ましく下品によがり狂うこと。そして正気に戻り、淫らに染まる身体を抱いて少女として後悔と恥じらいを覚えることだけだ。


「ふぅ……掃除も無意識でやるようになったか。歌以外でも物覚えが良くなったな」


 男が残精を吸い上げ、丹念な掃除を行う美九の口を恍惚とした表情で味わっている。あれだけ射精したというのに、男の肉棒は硬さがまるで衰えていない。相手を雌に堕としながら、雄としての底を見せない絶倫チンポの力強さに少女の子宮がキュンキュンと啼いた。

 情事においては理性より子宮で物事を考えるようになった。少女は掃除を終え、二度目の生ハメ交尾もあると考えている。そんな少女の髪を男は手のひらで撫でた。マゾメスの身体は乱暴に扱われることに悦び、時に優しさを見せられることにも歓喜する。取り返しのつかないほど雄の虜に、雄のマゾペットにされた美九。


「そういえば、ライブの対価を教えていなかったな。今回は大きなライブだったから、二人で旅行がいい。……最低でも三日は空けておけ。だらしのないメスをたっぷり躾てやる」


 ニヤリと笑った男の言葉に、美九はビクッと肩を揺らし、フェラの口とオナニーの手を止めた。

 アイドルとして活動する上で男の助力は欠かせない。美九の声があればこその人気でもあり、男の地位があればこその活動でもある。

 特に大きなライブの後は対価を求められる。いつものようにハメ犯されるだけの躾ではなく、数多の癖を身体に教え込む躾だ。

 今度はどこで何をされるのか。偏った知識が詰まった少女の頭では想像もできない。


「……んちゅ、ぢゅるる……ん゛お゛っ♥」


 フェラの口とオナニーの手を再開した。マゾメスアイドルの返事としては、これ以上なく上質で理解しやすく、少女の立場を顕著に表すものであろう。




 ライブから一週間後、その熱気が世間で冷めやらぬ間に美九は休暇をとった。社長の一声があれば、お抱えのアイドルである美九のスケジュールは空き、学校は男の命令があれば休学もさして気にならない。私服で構わないという指示を受けた美九は、旅行という名の対価の支払いへ、正気に返った脳裏に一抹の不安を感じながら旅立った。

 仕事柄長距離の移動には慣れていた美九だが、男の膝元に置かれてからは慣れたというより、移動が負担にならないようなものに乗せられるようになった。

 そうして美九が男に連れられて来たのは、どこともしれない超高級ホテルのフロントだ。恐らくこれも男の膝元。これだけの移動距離と設備なら、スキャンダルの心配も無縁だろう。セレブを名乗れる美九でさえ想像し兼ねる世界に呆れると共に、ここまで来てホテルの中でいつもの行為を求められるのかと考えた。


 その浅はかな女の尻肉に指がくい込んだ。


「ん゛っヒィッ♥♥♥」


 スカートの上からでもハッキリ分かるデカ尻を鷲掴みにされ、美九は挿入でもされたような嬌声を上げた。ここが男の管理下になければ、美九のアイドル生命は終わりを迎えていた。マゾメスを完全に晒した下品な喘ぎ声だ。

 アイドルとしても雌としても優秀な張りのある肉尻が揉みしだかれる。これは雄のモノだと主張する。これからたっぷり躾てやると宣言するように。


「部屋で着替えてきなさい」

「やっ、あっ♥ は、はい♥」


 外の〝ビーチ〟で待っている、と男は美九の尻を尻を揉みしだき、卑猥な形に変えながら命令を下す。

 くびれた腰を弱々しく、雌らしく振る美九が男の命令に逆らえるはずがなかった。



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多い上に長いし、一体何人がこのアンケートに付き合ってくれるんですか感あるな……よろしくお願いします。




Comments

トキハ

アンケートはアンケートで解答済みですが。 長いです。 【原神/雷電将軍の言いなり常識改変調教】 シンプルイズベストというべきか、この中だと一番良かったと思います。雷電将軍を言いなりにして調教するだけで無限に美味しいですからね。 ここからアナルなり無様なりいくらでも料理できそうなのが特に良いかなと。 汎用的に言いなり改変ができるならアイテムなら原神キャラなら誰でもシリーズ化できる拡張性があるのかなと思ったり。雷電将軍特化の指輪だからこそのシチュではあるのでトレードオフではあるのですが。 【FGO/カーマのアナル特化エロトラ】 分量的にコメントが難しいですがカーマ+アナルは鉄板ですね。 散々アナルを虐め抜いたあと、スクワットアナルオナニー強制トラップで自分で自分に止めを差してほしいです。 【アズールレーン/イラストリアスの洗脳調教】 これから本番シーンがどうなっていくのかというところでしょうか。 シチュ的には汎用的にKAN-SENに対して使えそうなのでイラストリアスを起点にロイヤルを裏から支配していって…みたいなこともできそうですね。 無様方面よりかは調教して奉仕させる感じの内容で見たいと思いました。 【クロスオーバー娼館】 キャラを多数登場させるシチュエーションはキャラ毎の描写が薄くなってしまうので難しいイメージがありますが、書きかけの状態でもエロかったですね。 ただこういったシチュは短編よりかは、今回の内容をベースにした導入にある程度キャラを絞った話でシリーズ化して読みたいなというのが正直なところです。 ただこういうキャラを使い捨てるようなシチュだからこその背徳的なエロさもありますし、キャラ単体だと書き上げるのが…というキャラも出演させられるのはメリットですよね。 十分読みたい気持ちになりましたが、こういう作品は書き上げるのが大変そうなイメージです。 あと真昼はやはりエロい(確信)。 【デート・ア・ライブ/誘宵美九の枕営業】 軌跡シリーズと並ぶ伝家の宝刀、デアラですね。 催眠だったり脅迫だったり嫌でも従わないといけないようなシチュとは違い、権力とテクでシンプルに屈服させられるエロス。 美九というキャラと枕営業というシチュのシナジーもあってか内容的に筆が一番乗ってそうな印象でした。 観客不在のステージで懇願させて犯すみたいなシチュがあったら最高です。

いかじゅん

大変貴重なご意見ありがとうございます!全てが参考になります。しっかり筆の乗りまで見抜かれちゃってる……。 特にクロスオーバー娼館のご意見はとても参考になりました。アンケート結果を含め、次に繋げさせていただきます。本当にありがとうございます!!