精霊監獄・収監初日 (Pixiv Fanbox)
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いつもご支援ありがとうございます。更新ストックがデアラしかなくて、昔書いて出てないやつとか出すかなぁなど長考した結果、まあ頑張ったしな……で結局デアラをお出しする。有償リクの締切が近づいてて余裕はないですが、どっかで募集箱また立てたりして更新ストック作りたいですね。
てなわけで書いてたら楽しすぎて2万字超えた精霊監獄・収監日の風景です。精霊たちの絶望をお楽しみくださいませ。
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天宮市某所。そこにはかつて家があった、学校があって、マンションがあった。多くの人が住まう場所があった〝はず〟。
その街には、何も無かった。情景を抱くためのものが、思い出そのものが消え失せていた。瓦礫すらない。瓦礫があれば、そこに街があったことを思い出せるかもしれない。それすらないということは――――意味が分かってしまえば、その残酷さは牙を剥く。
「まだ来ないのかねぇ」
「焦るなよ。ヘリの運ちゃんがとち狂って落ちない限りここに来るさ。落ちついて待ってりゃいいんだよ」
「そうは言ってもなぁ。流石に何も無さすぎて飽きてくるぜ」
表向きには大規模な空間震によって跡形もなく抉り取られ、更地と化したとされる場所。
罪の象徴を監獄に変える。本当の理由を知る者は極一部であり、当人たちを除けばどうでもいいことなのだろう。たとえば〝入口〟のシェルター前に立つ白い看守服を着た男たちは、真実を知った上で味気ない、飽きてくるという感想を抱いていた。この地でどれだけの人間が犠牲になったのかを知りながら、来るはずのモノに思いを馳せる。
この地を破壊した空間震を引き起こした災厄と言われている彼女たちを待っていた。
「……お、来たんじゃねぇか!?」
空を見上げた男が叫ぶ。声を皮切りに、独特のローター音が段々と大きくなって巨大なシルエットが地面に近づく。
彼らが待ちに待った輸送ヘリは、その巨体を何も無い更地に沈め、機体から発する全ての音を止めた後、ハッチを開いて看守たちを歓迎した。
自分たちを迎えるヘリの中へ意気揚々と乗り込んだ看守たち。そこには、彼らが歓迎する側に回る囚人たちが並んでいた。
「うひょお〜! マジマジマジ! なんだこいつら、ヤベェよ!」
「だから落ち着けって。何言ってるか分かんねぇから」
先ほどヘリを待ち焦がれていた男が言葉にならない歓声を上げる。それを他の看守も諌める素振りを見せるが、表情は興奮と期待で歪み、内心は落ち着かせている相手とさして変わりないようだ。
中の光景に興奮冷めやらぬ男たちだが、傍目から見ればそれは異常に思えた。
向かい合わせになった長い座席の上には――――――雁字搦めに拘束された全裸の少女たちの姿がある。
「あ゛お゛ッ! ん゛んっ、お゛っ!!」
「フーッ、フーッ、ふぶぅぅぅぅぅぅ!!」
人の気配に気づいたのか、少女たちが叫ぶ。
夜色の艶やかな髪の少女が暴れる。悲しいかな、その抵抗はあまりに虚しかった。ベルトに縛られ、首輪を壁に鎖で繋げられた彼女の抵抗はささやかで、その巨乳を扇情的に揺らすだけに留まった。
橙色の髪とスレンダーな身体付きの少女が何かを訴える。悲しいかな、その声は透明な開口器に阻まれ言葉にならない。口の開け閉めができなければ、声は言語にならずヨダレばかりが虚しく飛ぶ。
彼女たちは残らず同じ姿勢、同じ格好で座席に縛り付けられていた。視界は分厚いレザー生地で閉ざされ、口は透明な開口器、身体はベルトで首から足の裏までギチギチに拘束されていた。
麗しく美しい少女たちにしていい仕打ちには見えない。異常だというのは、そういうことだ。死罪に値する大罪人を厳重な戒めで運ぶ。そんな意図が読み取れる拘束座席。
それらの印象は間違っていない。彼女たちにしていい仕打ちではないことと、彼女たちが死罪に値する大罪人であること。二つはこの世界において共存する。間違いなく両立している。
精霊。彼女たちはそう呼ばれている。隣界に存在する特殊災害指定生命体――――今は世界に仇なす永久不変の囚人として。
「おぉっ、ずっしり感が最高だ。この金髪、身体は小さいのに胸は馬鹿でけぇの何の!」
「胸ならこいつらもだろ。姉妹か? 見ろよ、この重量感をよ!」
「気をつけろよ。そいつらは始原の精霊だって話で…………あぁ、可愛いなこの子。気に入ったわ」
「相変わらずのロリコン野郎だな、おまえ。いやはや、こいつらを全員好きにしていいとか、なんてやり甲斐のある仕事だよ」
怪物でありながら人の形を持つ。この世界で一番美しい容姿と身体を持つ。だから〝囚人〟として扱われる。ただし、人の形を持てど人の権利を持たない怪物として刑に服すのだ。
彼女たちに尊厳はない。この時、まだ〝始まっていない〟今でさえ、看守たちはこぞって少女たちの身体を嬲り始めている。金髪爆乳精霊の胸を鷲掴みにして揉み、姉妹に見える美少女と美女の下乳を手のひらで持ち上げ、愛らしい青髪の少女の舌を歯で噛む。
「んあ゛っ、あ゛お、あぁぁぁぁ……!」
「……お、こいつは可哀想に。逸物がガチガチに縛られて痛そうだ」
「へへ。中に入ったらちゃんと可愛がってやらないとなぁ」
中には身体の在り方を歪められ、少女のような容姿に固定された少年が、そのチンポをベルトで縛り上げられ悶え苦しむ様に舌舐りをする看守もいた。
彼らは精鋭だ。世界のために作られた監獄は、悪く言えば僻地だ。出世とは無縁で、好んで志願する人間はそう多くはない。唯一の対価はこの十数人の囚人精霊を思うがままに弄ぶ、それを仕事にできること――――――だから彼らは精鋭なのだ。
「いいか、よく聞けよ囚人共。おまえらのためだけに作られた監獄へ、これから俺たちが懇切丁寧、礼儀をもって招待してやる。本国でマンコの奥やケツの穴まで見られた後だと思うが……甘いね、この先はそれが可愛く思えるぜ」
肩を震わせる者、涙を流す者、暴れる者。敗北者たちの前で看守は仰々しく宣言した。
「選択権はないぜ――――――精霊の終わりの地へ、囚人たちをご案内だ」
◆
ヘリで運ばれてきた十数人の精霊たちは、そのまま多くの看守が待つシェルター内へと輸送された。
看守の告げた甘いという言葉の意味を、身体に触れられる不快感〝程度〟のことで動揺するべきではないと知る。あまりにも早く彼女たちは洗礼を受ける。
「囚人の癖に活きがいい連中だ。生意気な目をしてやがる」
機械仕掛けの壁に沿うように並ばせられた精霊たち。目隠しの拘束を外された精霊たちは、自分たちを不躾な視線で舐め回す看守を気丈に睨めつける。
絶望的な状態であっても、精霊たちは諦めを知らないらしい。どの精霊も油断のない目で看守の隙を伺っていた。
しかし、やはり悲しい。看守からすれば魅力的な女が裸を晒し、立ち竦んでいるとしか思えなかった。
「クク、マンコ揃えて立つことしかできない牝豚共がイキるなよ? ああ、一人はチンポか、ははは!」
ズラリと並んだマンコは壮観なことこの上ない。多色なマン毛が靡く。ピンクのヒダが閉じている。一匹は看守の言う通り雄のものだが、容姿が可愛らしければ〝関係ない〟。
彼女たちに話しかけているのは監獄を管理する看守のほんの一人に過ぎない。が、ここに志願した人間はほとんどがそんな考えを持つ異常者だ。
「さあ、どいつからシてやろうか。どの子も可愛いく泣いてくれそうなもんだが……」
『……ッ!』
愛する対象ではない。彼らは嬲る対象として精霊を差別なく見ている。だから異常者なのだ。
舐め回すような視線が鋭さを増し、精霊たちの背筋にゾクリと冷たいものが走った。彼の差別しない性癖の危険性を本能的に悟った。
「よーし、まずは俺好みのスレンダーから仕上げようか。2番、前に出な。それから頭を下げてケツを差し出せ」
2番。その番号に反応する精霊は皆無だった。彼女たちにはれっきとした名前がある。今は反応できないのも無理はなかった。
反応できないのは分かりきっていたことだ。が、ここで看守の機嫌を損ねるのがどのような結果を生むのか。
「2番はおまえだよ。グズグズすんな!!」
「あぎっ、がぁ!?」
「にふぁ!!」
少しづつ理解できる。2番、本条二亜が髪の毛を掴まれて硬い床に引きずり倒される。白髪の少女を含め、何人かが鈍い発音で二亜を案じる。
「這い蹲れ。頭を下げてケツを差し出せ……俺たちが同じことを繰り返してやるなんて、稀なんだぜ?」
「んあ゛……!」
二亜が仲間たちに応える暇を与えず、看守は彼女に非常な命令を繰り返した。
全裸土下座の姿勢を強要する。肩口から看守を睨みつけながら、二亜は大人しく従う。無駄な抵抗は立場を悪くするだけだとプライドを折って服従する。元々人間不信だった精霊だけあって、処世術はそれなりのようだ。
「それでいい。ここでのルールを俺で学んでいきな。今から〝いい子ちゃん〟を演じられないと辛いだけだぜぇ」
しかし、彼女たちのためだけに用意された監獄は従順なだけでは意味がない。それなりの処世術では足りない。
恐怖と絶望で服従した精霊に〝あれだけのこと〟が為されるのだから、それが足りていない精霊が感じる苦痛は隔絶している。
「2番、おまえは確かウチで飼われてた精霊だったってな。あそこの拷問はさぞ痛かったろう? アレに耐えられたから、こっちも大丈夫と思ってるなら安心しな――――――俺らは練度が違ぇからよ」
「あ…………ッ!?」
二亜は這い蹲りながら看守を見た。高説をのたまう男の顔をせめて見てやろうとして、自分の尻に向けられるモノに目を見開いた。
棒状の持ち手と先端が曲げられた溶接機のような工具。ろくなものではないと分かる。番号。尻。当てられている。
「ひゃめ――――――」
「一人目の印字だ。派手に啼けよ」
察してしまった。察せない方が恐怖はないはずだったのに。
焼印というものをご存知だろうか。高温で熱した金具を皮膚に押し付けることで刻む烙印を指す言葉だ。
空想や妄想の中の話だと思っていた。遠い昔の話だと思っていた。そんな想像たちより凄惨な衝撃が、看守の手でボタンが押された瞬間、走った。
「お゛ッぎえ゛ぇ゛え゛ぇ゛え゛え゛え゛ッ!!?」
駆け抜ける。感覚を超越した〝何か〟が二亜の尻から脳髄に一瞬で到達し、無様な悲鳴が上がった。
「ヤベッ、お゛ぎっ、ぎょ、あ゛あ゛ぁぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
何か、何かが刻まれている。それしか分からない。身体を必死に退けようとする。尻を淫ら下品に振ってでも逃げようとする。逃げられない。光は的確に追いすがって二亜の尻を焼いた。
「一人目からイメージ通り……いや、イメージ以上の悲鳴だ。痛いのか気持ちいいのか分からねぇだろ? ああ、最高だ。これがしたくて堪らなかったんだ!」
精霊が囚人であることをしろしめす管理番号の施術。その際に起こるであろう悲鳴とも嬌声とも取れぬ声を彼は聞きたかった。看守はサディストだった。特に綺麗な者が無様に啼く姿が好きだ。本気でシたことはなかった。今日この日、彼は天にも昇る幸福を得るだろう。
――――数多いる看守の背景など、どうでもいいことかもしれない。
二亜が泣き喚く。言葉にならない声を上げて、尻に降り注ぐ光に悶え苦しむ。仲間たちの声も届いていないようだ。
囚人であることを証明するための焼印器。本国で解析したデータを元にして開発された様々な器具の一つであり、精霊の体内にある霊力を暴走させることで文字を刻み込むことができる。
霊力と結合し、呼応して浮かび上がる仕組みのため、通常の方法で消すことはできない。
「……お゛ッ、お゛ぉぉぉ……?」
ビクビクと跳ねる尻に、その消えない烙印は刻まれた。2番。二亜の囚人番号を示す【02】の数字が。
霊力の暴走がどれほどの苦痛であるのかは、印字を刻まれる精霊たちにしか理解することができない。確かなのは、拷問の経験がある二亜はおよそ数分の処置で鼻水を垂らして白目を剥きかけるほどの衝撃を与える、ということだけだった。
傍目から見て分かることは、もう一つあった。
「次は背中だな」
「……はへ?」
印字は尻だけでなく背中にも刻まれるという事実だ。
「ん゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ーーーーーーーーーーッッ!!」
シミ一つない背中に刻まれる【DEM】。当然、監獄の母体であるデウス・エクス・マキナ・インダストリーの頭文字を繋げたもの。
尻の数字は囚人を示し、背中の文字は敗北を示す。二つ合わさった烙印に彼女たちは真の意味で負け犬となったことを伝えるものだ。
「お゛っ、う゛お゛ぉ……」
もっとも、連続で五つもの文字を刻まれた精霊がそのことを知るのは、深い気絶から目覚めた後のことになる。
尻と背中にくっきりと浮かぶ奴隷の証を刻まれた二亜は、開口器が必要ないほど大口を開けて完全に白目を剥き上げていた。しばらくは目を覚まさないだろう。
「次はどいつがいいかねぇ」
目を覚まさせる必要もない。彼の楽しみは、二亜を覗いてもあと十数人はいるのだから。
「強がってる子がいいか。泣いてる子がいいか。それともやっぱり男女か? ははぁ、怖くて漏らしてる子でもいいな。番号は初めから決まってるから、順番は問わないぜ?」
十香が睨みつける。目尻には涙が浮かび、指先が小刻みに震えていた。
六喰が涙を流している。同情を引かれるような者は看守になっていない。
士織が怒りを露にしている。チンポが恐怖で萎えて可愛らしいサイズだ。
四糸乃が失禁している。太ももを伝う暖かな水に惹かれる看守は数知れない。
「――――まあ、おまえらに選択権はないんだがな」
その直後、悲鳴が鳴り響いた。耳を覆いたくなる痛々しい悲鳴は、看守にとって最高のご褒美だ。
澪は数秒耐えた。何の意味もない抵抗だった。
夕弦は人より多く啼いた。姉妹で共有する数字に足された一文字。たったそれだけの違いが永遠にも思える苦痛を彼女に与えた。
琴里は豚のように叫んだ。肛門口に光を当てられ、文字にならない無駄な衝撃だけを受けてその穴から汚い音を吹き上げた。
凜祢と凜緒は母娘で並んで数字を与えられた。輪廻する世界に残った方が幸福だった。そう思える絶望に叫びを上げた。
精霊たちは涙を流し、鼻水を噴き出し、白目を剥き……歓迎と洗礼の印字を終えた。
◆
「はっ、なせ! クソ、はなせぇ!!」
「いや、いやぁぁぁぁぁ!!」
「今度は何をするつもり、この悪魔ども……!」
目覚めた精霊たちが目を覚ますと別の部屋に運ばれていた。今度は拘束が外され、自由に口が聞ける状態で。
だが、仲間同士の会話をする時間を看守たちは与えない。精霊たちの髪や手を強引に掴み、暴れる彼女たちを壁に開いた穴に押し込んでいく。
「な、なんですかこの穴……きゃんっ!?」
「入れば分かるさ、すぐにな」
焼印の影響か、言葉はともかく身体は抵抗もままならない。一人、また一人と喚き散らす精霊の頭が穴に放り込まれ、首の根を掴まれたように動かせなくなる。
直立待機から一転し、頭だけを壁に呑まれた全裸の女たちがマヌケな姿で立ち並ぶ。
『こんな変なものに性懲りも無く、この、このぉ!!』
『ぬぐぅぅぅぅぅ! ぬ、抜けぬのだ……!』
どんなに暴れても頭が抜けない。残った身体は腰を据えて引き抜こうともがく。ケツを振って惨めに暴れる。手で壁を叩く。街一つを軽々と消滅させられる精霊たちが、番号が割り振られたばかりの生尻を晒して壁一枚に悪戦苦闘する光景は看守たちに笑いを運んだ。
彼らは囚われの精霊たちをしばらく観察した。何をするわけでもなく、空洞に頭を入れて暴れる精霊たちを見守る。
『…………ッ!! いけない、みんな吸っちゃダメ!!』
真っ先に気づいたのは澪だった。手を出してくる様子のない看守たちを訝しんだ彼女は、空気を漂うものを察して警告を発する。
しかし空洞内は完全に分断されており、澪の警告は届かない。その声が届きさえすれば、宇宙空間でさえ活動可能な彼女は息を止めることができたかもしれない。
『……はれ?♥』
『からだが、ポカポカ、します……♥』
『お腹の下が、熱く、なってぇ、るぅ♥』
あまりに遅かった。原初の母が繰り出した警告は娘たちに届くことはなく、彼女たちは裡側を熱する毒に蝕まれる。
空洞内に充満する空気に含まれた特殊な成分。それは、精霊の身体と霊力を徹底的に解析することで生み出された精霊専用の媚薬だ。
霊力と融合する特殊な媚薬は彼女たちの身体機能などを底上げする代償に、これだけでとてつもない感度へと身体を導く。肉体強度は遥かに向上するものの、感度上昇の影響で肝心の戦闘力はむしろ大きく低下する。
惨めな抵抗は次第に止み、マヌケな姿勢を揃えた精霊たちの中から淫靡な光景が生まれ始める。
『放熱♥ あ、濡れては、だめ♥』
『ハァ♥ ハァ♥ 股の中が、おっぱいの先が、ジンジンする、のじゃ……♥』
『くひぃ♥ わたくしが、このような下衆の遊びでっ♥』
『お、大きく、なるな……ならないでぇ……♥』
夕弦のマンコから愛液が垂れ、六喰のおっぱいの乳首が尖り、狂三の尻穴が大きくヒクつき、士織のチンポがガチガチに勃起する。
床に粘液の溜りができるほど淫汁が滴り落ち、汗が上気を発し、全身を発情させた淫乱女たちが腰をくねらせる光景を広げる。端から端まで、一息でも吸った者は例外なく、身体中を循環する霊力と結合した特注の媚薬によって彼女たちは狂わされる。
「うひゃあんっ♥♥」
その中で、尻を撫でられた誰かがあられもない声を上げる。脳髄を蕩けさせるような美声。尻に刻まれた【09】の数字。
「アイドルのマンコ、一回使ってみたかったんだ〜」
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
誘宵美九の巨尻を撫で上げたチャラチャラとした看守は、悲鳴など厭わず肉付きの良い尻を丹念に揉みしだく。霊力と結合することで表面に浮かぶ焼印は、しっとりと艶めかしい肌肉の触り心地を全く阻害しない。看守からすれば大層心地よいだろうが、美九からすれば身の毛がよだつなどという次元の話ではなかった。
「だーりんの、だーりん以外の男が、私のお尻……ひ、ひやっ、やぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
酷い扱いを受け、克服しかけていた男性嫌いが再発したのか、一時は媚薬の効果を振り切るほど狂乱して男を振り払おうとする。
「おいおい。美九チャンってば白々しいなぁ。もう色んな人にケツ穴の奥まで見られて来てるんでしょ? 今さらお尻を撫でられたくらいで処女ぶるのは止めなよ〜」
「ち、ちがっ、私は、私は……!」
精霊を堕落させる媚薬を開発したのだ。その苦労は想像に難く無い。多くの研究者の前で、腹の中まで覗き込まれたことは一度や二度ではなかった。
「てか、これだって体験済みっしょ?」
――――極上の雌が発情した雄に無理やりされたことも、一度や二度ではないだろう。
「ん゛ッ♥♥ お゛ぉぉぉぉぉ……♥♥♥」
だが違う。ずりゅずりゅと入り込んでくる硬く大きなモノは、膣壁を丁寧に擦り、捲り、磨き上げながら子宮へ迫ってくるモノは――――――
「お゛ッほお゛ぉぉぉぉぉぉぉ!!♥♥♥♥」
美九に違った嬌声を引きずり出させた。美声が聞いて呆れる野太く下品なメス声。
性感が開き切ったばかりの肉体は、チンポが叩きつけられた子宮が発した快楽物質を全身に放出する。突き抜けた快感は制御が効かない発声を促した。焼印とは異なる、ハッキリと官能と分かる、なれど果てしなく品性が欠けたアクメ声。
男なら声だけでイッたと分かる。女でも本能的な感覚で理解できる。一度はその歌声でアリーナをファンで埋めつくしたアイドルが、チンポの挿入で吠えるほど落ちぶれたと、天性の美声を快楽に染めて知らせたのだ。
「ぶっといの出たねぇ〜。こんな豪華なオホ声は流石に初めて聞いたわ。凄いねぇ美九チャン……いや、9番チャン♪」
「ちがう、ちがいますぅ♥ こんな声、私のじゃな……お゛ほ♥♥」
パンパンパンパンパンッ♥
「お゛っお゛っお゛っ♥♥ んおっ、ほほ、んほおーっ♥♥♥ おひっ、ふひっ♥ やめっ、やめでぇぇぇぇぇぇぇぇ♥♥」
番号が光り輝くケツ肉に腰が叩きつけられ、迸る汚声を卑猥な音色でアレンジする。
媚薬が馴染み初めて間もない敏感な身体を制御することができない。チャラ男看守が膣穴へのピストンを繰り返すだけで、美九はみっともない喘ぎ声を張り上げた。
「お゛ッほ♥♥ うほほほ、オホーッ!♥♥♥♥」
「いやすっご。声も良ければ潮吹きもバッチシじゃん。士織チャンのチンチンも嬉しそうにビクビクしてるよ」
「おほっ、んっほぉ…………ほ?♥」
知る由もなかった。自分のものだと認めたくない声が、最愛の彼や親しい友人たちに全て聞かれていたなど。
「あ、言ってなかったっけ? 俺たちが君らに触れてると、声が他の穴に通るようになるんだよねぇ。だから、9番チャンが上げてたエロい声は、ぜーんぶ他の子に聞かれてるのよ。15番チャン、あんな顔して男だよねぇ。チンポビンビンにしてるよ?」
「え……あ……? う、そ。だーりんに、聞かれ、私の声、あぁぁぁぁぁぁ……!」
全て聞かれた。品性の欠片もない。美しさの欠片もない声を。愛おしい人に。最後まで歌を聞いてくれると言った少年を――――辱めてしまう声を。
「まーまー、そんなにショック受けなくてもいいじゃん。収監されたら、嫌でもみんな聞かせ合うんだからさ!」
ドチュンッッッ!!♥
「ん゛お゛ぉぉぉぉッ!!♥♥♥」
「あひゃひゃ! またビクッて跳ねたよ! チンポの汁あんな沢山飛ばしてさぁ、恥ずかしいねぇ?」
ドチュッ♥ ドチュッ♥ ドチュッ♥ ドチュッ♥ ドッッチュンッッッッ!!♥♥
「ん゛ぎっ、んぎぎィィ……う゛ほお゛ぉぉぉぉぉ♥♥♥ おんっ、ほぎゅっ、おほ、おうぅ♥♥ おっおぉあぁぁぁぁっ!!♥♥♥♥」
「ちょっと耐えようとしたでしょ? いやいや、そんな甘い薬を執行部長が作らせるはずないっしょ。つーかこんなにガニ股丸出しで開いて大丈夫? アイドルなんでしょ? あ、今は元だっけ」
「はめへっ、おほ♥♥ やめへぇぇぇぇーーっ!♥♥♥」
本当に反応しているのか、させてしまっているのか。真偽のほどは美九から見えない。でも、何であろうと彼女の心を痛めつける。彼女と、彼女の声を聞く者たちの心を酷く傷つける。絶望を味わわせる。
「ばっかじゃない? こんな楽しいこと止めるわけないでしょ」
ただ、彼らだけはその行為を楽しんだ。
それから三時間おきに看守が交代し、その度に誰かが淫らによがる声を上げた。
「んおおおおおぉぉぉぉぉ!?♥♥ んおっ、やめ、やめなさい!♥♥ わたくしの、穴を、ひょぉぉぉぉ!?♥♥♥ ほじ、ほじらないで、ほじりながらするの、下さいましいいいいぃぃ!♥♥♥♥」
「んおぉぉぉぉぉぉぉぉ!?♥♥♥ んおっ、んおっ、おおぉぉぉぉっ!♥♥ お尻、穴、やめ、突かないで……っ!♥」
『琴里……琴里……やめろ、やめてくれぇぇ! あっ♥ くそっ、出るな、出るなぁぁぁぁぁ……あひっ♥♥♥♥』
「この……おぎっ、やめ、んぎぃ!♥ あぎっ、いだっ!♥ やめたまえ、叩く、叩くなぁ!♥ やめっ、づぅぅっ!♥♥」
狂三がマンコを犯されながらアナルを穿り返され、普段の蠱惑的な声からかけ離れた奇声を張り上げた。
令音がアナルをカンチョーされてイッた。クールな美女が子供の悪戯だけでイキ潮をぶちまけた。
士織が射精した。妹のガチイキオホ声で限界を迎え、腰砕けになりながらビュルビュルとみっともなく弱っちい負け犬ザーメンを吐き出した。手は最後までチンポに触れることはなかったことが逆に惨めだ。
蓮が尻を引っぱたかれて悲鳴を上げながらアクメした。全身を戒められていたからか、他の子よりマゾイキしやすいのかもしれない。
処置は三日かけて行われる。男女の差は関係ない。終わる頃は最悪と呼ばれた精霊だろうと、煌びやかなアイドルだろうと、不感症を演じていた元解析官だろうと、全員が膝を突いて全身を痙攣させ、愛液と我慢汁を垂れ流しにするみっともない光景が広がっていた――――――
◆
調教開発最終日。精霊たちが行う〝人のフリ〟を止めさせる。
彼女たちはまだ人間の気分でいる。尻の番号で管理され、所有物の証を背中に入れられ、立っているだけで発情する身体を得て、様々な改造調教を施されてなお、自分たちは人間であると錯覚していた。
教えてやらねばならない。人間ではなく囚人であることを。この世で最も罪深く――――――世界の外敵にして娯楽である精霊という唯一無二の種であることを。
シェルター内の最終到達地点。心身、尊厳共にボロボロの精霊たちが一列になって降り立った場所には、野外を模した広い空間と列を為す大勢の人の目があった。
「ひっ!?」
「看守の連中じゃ、ない……!!」
少女たちは手足を縛られた身体をブルリと震わせ、自分たちを眺める何百という視線に度肝を抜かれた。
まさか施設の中にこのような広い空間があるとは想像もしていなかった。まして、自分たちの裸を目撃して動揺するどころか、様々な感情が籠った視線を向ける一般人たちがいるなど考えもしていなかったようだ。
精霊の存在は、かの魔術師の尽力によって世の中に知れ渡った。それがどのような意味かは、人を見る目ではない一般人たちが向ける奇異の目が物語っていた。
「早く歩け。おまえたちを〝裁く〟場所に向かってな」
ニヤニヤと笑う看守にスタンロッドを突きつけられ、怯えた精霊たちが仕方なく歩みを進める。足を止めることが許されたのは、迎え入れる視線に驚いた瞬間のみ。
全裸の行軍。彼女たちが単なる囚人ではなく、人の形をした生命体である証を立てながら進む。
少女たちが上り、横一列に整列させられたのは見上げるほど大きな木製のステージ。上に備え付けられた柱に枷で結ばれた精霊たちは、黙って自分たちを見上げる人間の視線に得体の知れない恐怖を覚える。
裸で立たされた少女たち。それは断罪の場というよりは――――処刑場のように思えた。
【これより、精霊裁判を始めます】
「精霊……」
「裁判?」
それでも、天から響く声はあくまでこの場を裁判と言い張るつもりのようだ。精霊の存在に疑問の声を上げる人間たちを集め、彼女たちが人ならざる者だと証明するために。
【なお、精霊裁判は世界各地にリアルタイムで中継されています。特例により弁護士は不在。検察は、エレン・メイザース女史が担当します】
――――すべて、精霊たちの前に降り立った金髪の少女が手を回して仕組んだことだ。
「ふふ。お久しぶり、というべきですか? 良い格好になりましたね」
スーツを纏ったエレンはニコリと微笑む。精霊に負けない美貌を持つ彼女の笑みは、見惚れるほど美しい。けれど彼女の本性をよく知る精霊たちから見れば、悪魔の如き醜悪な面だった。
「エレン!!」
「ヌケヌケとよくも……!!」
「短慮な行動は慎みなさい。ここは、あなた方の立場が決まる裁判の場なのですから」
もっとも、短慮な行動を取る力も残っていないでしょうが、とエレンは皮肉めいた言葉を向ける。
殺意を込めた視線が悔しげに歪んだのは、彼女の言い分が正しいと思ってしまったから。何日もかけて作り変えられた精霊たちの肉体は、もはや立っているだけであられもない姿を晒すことになるかもしれない。看守たちの手段を問わない執拗な責めで身体を慣らしていなければ、とてもではないが人前で我慢が効く身体をしていないのだ。
【お集まりの皆様、ご清聴を願います。人類を恐怖と不安に陥れ、数々の痛ましい事件を主導した災害生命体、精霊。彼女たちが如何に浅ましく愚かで、人間との和解が不可能な者たちであるかを証明します。どうか、私の言葉を信じてください。彼女たちの言葉に惑わされないでください】
「っ!? い、今の声、は……」
精霊の存在を疑問視し、あるいは彼女たちがそのような大罪人とは考えない。善良な市民、中には彼女たちの顔を知る者までここには集められている。
エレンは語りかけた。精霊たちを世界の敵とするために。世界にとって永久の娯楽とするために。ここにいない人間たちにも、自らの歌(こえ)を聞かせた。
そうして、エレン・メイザースが計画した復讐が今〝始まった〟。
「崇宮澪。全ては彼女から始まった悲劇なのです。ユーラシア大陸、かの地で起こった大災害。それは彼女が精霊として生まれるため、人類を滅ぼして為した原初の罪なのです」
「エレンッ!!」
エレンは滔々と語る。元凶たる彼女が口にする真実と嘘の狭間にある言葉に、澪が見たことのない激昂した表情で叫んだ。しかし、民衆は彼女の怒りを尻目にエレンの語りに聞き入る。
「彼女は東洋の地、この日本に現れ、仲間を作り上げた。そう、それが彼女たち〝精霊〟なのです。その過程で、再び多くの人間たちが犠牲となりました」
そして、精霊たちは罪を犯した。
誘宵美九は人々を洗脳した。八舞姉妹は自然現象に見せかけた災害を引き起こし、五河琴里は天宮大火災を主導した。そして鳶一折紙と時崎狂三は、数え切れない虐殺を行った。
真実を織り交ぜた嘘を感情を込めてエレンは口述する。織り交ぜられた真実も、事実ではあるが本当の意味を込めていない。彼女が許されない存在であることを示すため、真実を伏せて事実を述べた。
中にはDEMが引き起こした惨劇や、荒唐無稽なでっち上げもあった。
「こちらに立つ氷芽川四糸乃は、公共の場で失禁に見せかけた公然の小便を。五河士織は、その愛らしい容姿で多くの人間を惑わし、誑かし、拐かしました」
「……え!?」
「な! そんなことするわけないだろ!!」
エレンが民衆へと刷り込んでいく物語。それは段々と、罪の在り方を歪めていくものだった。
初めは真実を混ぜた大罪。それだけなら、彼女たちの処断を願うもので終わってしまう。エレンが精霊に求めるのは、そのような楽な終わりではない。
「……察することができた聡明な方もいらっしゃるでしょう。そうなのです。精霊との和解が不可能な理由は二つ。彼女たちは人をモノとして見ている――――もう一つは、淫蕩で性欲が途方もなく強いことにあります」
『!?』
導く。エレンは復讐のために精霊たちを殺さない。エレンは復讐のために精霊を生かす。エレンは復讐のために……精霊たちに死よりも恐ろしい淫辱の烙印を与える。
「精霊たちは、人を人とも思いません。自分たちの過剰な性欲を満たすため、多くの犠牲を強いてきました。彼女たちの真の恐ろしさ、それは暴力による殺戮でも、知性による侵略でもありません――――――人間ではありえないほどの性衝動。それこそが最も危険と目される精霊たちの在り方なのです」
「ふ、ふざけんなぁ!! そんなわけないでしょうが!!」
「憤慨。どこまで夕弦たちを辱め、罪なき人々を貶めれば気が済むのですか」
「その証拠を今から皆様にお見せしましょう」
耐え兼ねた耶倶矢と夕弦が看守から罰を受けることも厭わず口答えをするも、エレンは手を掲げて空中に幾つものライブモニタを投影する。
ここは外のように見えて施設の中だ。空中に映像機器を出力する程度、エレンにかかれば赤子の手をひねるより容易い。
彼女は妥協しない。辱めると決めたのなら、徹底的に行う。そのための仕込みを入念にした。精霊裁判などという馬鹿げた茶番を世界を巻き込んで開催した。
『あひぃぃぃぃ!♥♥ イク、イッちゃう!♥ チンポ、奥まで来てる!♥♥♥ また、またイぐううううううぅぅぅっ!!♥♥♥♥』
『絶、頂!♥ 止まって、下さい!♥ お願い……します♥ イっています、絶頂してるのに、またイク……イかせ、ないでえええええぇぇ!!♥♥♥♥』
「「は?」」
そのための監獄。そのための解析媚薬――――そのための看守(異常者)たち。
モニタにはあらゆる証拠が映っていた。耶倶矢と夕弦が幻想的な霊装を身に纏い、暴風を操る光景。セックスで蕩け、鼻の下を伸ばしてアヘる姿。
数日前、壁の中に頭を埋められて犯された際の透過映像。誰にも見られていないと思った変態的な顔面が、よりにもよって世界中に知れ渡った耶倶矢たちは顔を真っ青にして、真っ赤にした。
「わ、わあぁぁぁぁぁぁぁぁ!! やめて、やめてやめてやめてぇえぇえぇえぇぇぇぇぇぇ!!」
「制止!! 違います! 嘘です! これは偽物です!! 請願、信じないでください……!!」
映像のアヘオホ声をかき消そうと声を張り上げる耶倶矢と夕弦だが、大音量で流れる自分たちの喘ぎ声を前に打ち消されてしまう。
ドームで行われるライブ。その歌声はマイクを通し、響き渡る。マイクを通さなければ、ひと一人の声など羽虫が鳴らす羽の音に等しい。
そして大喝采のライブにおいて通る声は、そのような矮小な訴えではなく万雷の喝采。
精霊たちがどうしようもない変態だと思い始めた民衆たちのざわめきだった。
映像が流れていく。
『おちんぽしっこ、は、は、発射ァ!♥』
『おまんこ……おしっこ……発、射♥』
四糸乃と士織が並んでブリッジをして行った品性下劣な立ち小便。
『あんっ、んくっ、あぁぁ……!♥♥ イボが、ゴリゴリって……腰、力抜けて……お゛っ、お゛ほお゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛♥♥♥』
万由里がディルドをスクワットでマンコに出し入れし、堪らず野太い嬌声を溢れさせる。
『犬、犬のチンぽおおおぉぉぉ!!♥♥ 膨らんで抜けないのぉぉ!♥♥ 熱い、精液あちゅいぃぃぃ〜〜〜!♥♥♥』
『ママ、ままぁぁぁぁ!♥♥ 気持ちいいの止まらないよおおおぉぉ!♥♥♥ でちゃう、何か出ちゃうぅぅぅ!♥♥ お犬さんのおちんちんでどこかイッちゃううぅぅぅぅぅぅぅ♥♥♥♥』
凜祢と凜緒。母娘が揃って這いつくばり、犬にペニスを突き立てられてアヘ顔絶頂している光景。
数多くの映像が流れた。CGや捏造を疑う声は次第に消えていき、民衆はエレンの望むままに精霊を〝そういうもの〟だと認識し始める。
「違う! 違うわ、違うの……お願い、私たちは人間よ! みんなDEMに騙されてるの!」
「そ、そうだ! こんなの全部、こいつらが作った嘘の映像なんだ! 頼む、誰か信じてくれ……!」
黙って見守っていた民衆たちの目の色が変わり、言葉が飛び交い始めたことで精霊たちも訴える言葉を強くする。しかし、全ては自分たちが発してきた多くの嬌声に呑まれて消える。
何より、彼女たちの行動そのものが映像を証拠として成り立たせていた。
「お願い、お願いだから信じてぇ♥」
「頼む……お願い、します♥ 琴里たちだけは、許してぇ♥」
ヘコヘコッ♥ カクカクッ♥ カックカック♥ ヘッコヘッコ♥
両手を上げて拘束された精霊たちは、皆が腰を落として股座を開いていた。膣から溢れた淫汁で床を濡らし、無意識に腰を動かしている。
信じてといいながら『ヘコヘコォ♥』といやらしく腰振りダンスをキメる琴里に、彼女たちの助命を雌声で嘆願しながらビンビンのチンポを『ぴくんぴくんっ♥』と興奮痙攣させる士織。
折紙も、狂三も、六喰も、七罪も、令音も、澪も。全員が自分たちの映像に興奮し、濡らした股間をみっともなく揺らしていた。無自覚に淫蕩な精霊であることを認めていた。
誰がどう見ても変態の性欲狂い。世界中の人間が見守る中で、人と違う品性下劣な種であることを自ら知らしめていることに彼女たちは気づかない。
「皆様、ご覧になられましたね。これが精霊。美しい人の皮を被った救いようのない淫蕩者。自分たちでも制御できない性欲をもって生まれてしまった哀れな生き物なのです」
ですが、とエレンは言葉を切った。自分の声だけは民衆に、世界の人々に聞こえていると知っている。
彼女の憎しみは人ではなく精霊に向けられていた。故に、今のエレン・メイザースは人間に慈悲の心を向けることができる。
「私たちは人間です。淫欲に呑まれる精霊たちと違い、理性のある行いを選択することができます。許しましょう、精霊を」
「どうしようもなく哀れな存在を慈悲の心で許しましょう。そして、我々をモノとして見たように、彼女たちを哀れな存在として見て差し上げようではありませんか」
「彼女たちは人ではありません。強大な力を持った怪物は、このままでは愚かな過ちばかりを繰り返してしまいます。我々の手で管理しましょう」
淫乱な少女たちを管理する〝権利〟を授ける大切な資源に憎しみを抱く理由など、もはやどこにもないのだ。
これほど落ちぶれた姿でさえ、人の心には羨望がある。極上の美貌を持つ精霊たちに少なくない欲情を抱いている。
それに許しを与える。彼女たちは人ではない。管理する必要がある哀れな生き物である。理性のある情欲を持つ人間が、理性なく性欲の怪物を管理していいのだと言う。
「そして、その判決を下す前に、今一度皆様方に確かめていただきます。精霊が本当に愚かな存在であるのかを――――彼女たちの行動を見定めることで」
「な、何を言って……!」
エレンの語りは終わった。これよりは、精霊たち自らの手で証明をしてもらう。
十数人の精霊が、エレンの視線に身を震わせる。狂気に堕ちた存在に、超常の存在が恐怖をしている。これはいい悦楽だ。愉悦だ。ならばもっと、絶望してもらおうではないか。
「彼女たちが誠実であるなら。彼女たちが言うように、私の言葉が全て嘘偽りで塗り固められ、精霊が世界に害のない存在であるなら――――変態的な行為で興奮など、するはずもないのですから」
精霊は世界の娯楽であることを。無実を証明しようともがく彼女たちの全てで。
狂気的な復讐心を精霊に向けたエレンが幸運に思ったのは、彼女たちが生きることを易々と諦めたりはしないことだ。彼女たちが積み重ねた信頼関係は強固であり、互いを慮る素晴らしいものだ。
一人が矢面に立ち理不尽に晒されれば庇い立てする。それ以外の選択肢がないと知れば、どんなに危険な道でも立ち向かう。
だから利用しやすい。だから、存分に立ち向かってもらおう――――――失敗すれば世界の娯楽となるゲームに。
清廉潔白ならば興奮などしないはず。無辜の民であると言うならば乗り越えられるはず。
全てを終えるまで、絶頂など決してしないはずなのだ。
【被告人・鳶一折紙、時崎狂三。姿と言葉を以て自らの無実を証明せよ】
名を呼ばれた折紙と狂三は、耳まで真っ赤に染めて前へ進んだ。囚人の番号を返却するために。自分たちの潔白を証明し、騙されている世界の人々の目を一人でも多く覚まし、希望を繋ぐために。
「み、みんな、聞いてほしい♥ 私たちは無実の罪を……おひっ!♥♥ 冤罪、っひ!?♥♥ あっあっ、だめ、くひっ、イくっ!!♥♥♥」
「これらは全て偽りの……おほっ!?♥♥ 感じて、うひっ!♥♥ 真実は……んひょ、あ、いけま、せんわ!♥ 視線、かんじへぇ……♥♥」
白磁の肌を隠す布を手渡され、腰に巻き付けて彼女たちは立つ。股間に巻き付けられたフンドシ。のれんには『私たちは無実です♥』という潔白を証明する文字が書き殴られている。
落書きされたフンドシ一丁で、興奮勃起した胸はさらけ出したまま無実を叫ぶ。これなら全裸の方がマシだという恥を見せつけ、自分たちには後がないのだと必死に抗っていた。
抗わず、素直に受け入れた方が惨めでなかったかもしれない。否、かもしれないではなくそうなのだろう。折紙の無表情は消え失せ、プライドの高い狂三は表現し難い笑みを貼り付けて無様フンドシに耐えている。あのまま晒され、刑を受け入れてしまった方が良かったと本気で思える仕打ちだ。
【五河琴里、鏡野七罪。星宮六喰、夜刀神十香。誠心誠意の謝罪で自らの無実を証明せよ】
けれど、後がない。諦めた先に待ち受けるのが誰かの絶望であるならば、彼女たちは諦めるわけにはいかないのだ。
「み、みなさま〜♥ お騒がせしてっ♥ 大変申し訳ございません〜♥」
「わ、私たちの無実を証明するために、もう少しお付き合いください〜♥ 謝罪の♥ 腰ヘコッ♥ 100回♥ うひっ♥♥ ち、ちが、興奮してないです〜♥」
「おっぱいブルンッ♥ おっぱいブルンブルンッ♥ むくのデカパイダンスで謝罪するのじゃ♥♥ おっほ♥」
「おっぱいブルンッ♥ おっぱいぼいんぼい〜ん♥ 私たちは変態じゃないのだ♥ こ、こんなことで興奮しておまんこ濡らしたり♥ 乳首を勃起させたり♥ 絶対にしないのだぁ♥」
ガニ股腋見せポーズ。全身を見せつけることで、興奮していないことを証明せんとする琴里と七罪が腰を振り乱し、六喰と十香が爆乳巨乳を左右に踊らせる。
ぴちゃぴちゃと風に当たるマン汁。振り切られ、卑猥に伸びたおっぱいの乳首が痛いくらいに尖る。死にたくなるほど恥ずかしい半笑いの主たちを裏切って、身体は変態行為に興奮を露にしていた。
【氷芽川四糸乃、五河士織。お互いに小便を掛け合い、自らの無罪を証明せよ】
きっと、心のどこかで自分たちを信じていたのだ。下劣な変態行為に興奮するなんてありえない、と。自分たちがまだそんなにも品性のない生き物ではないと信用していた。
「お、おしっこでなんか、興奮したりしな――――おひょおおおおおおお〜〜〜〜♥♥ よ、四糸乃のおしっこに、おしっこにぃ♥ ちんぽ引っぱたかれりゅうぅぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜♥♥ ちんぽ勃っちゃうのぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜♥♥♥」
「士道、さん、ごめん、なさいぃ……おひっこ、とまらにゃいですぅぅぅぅぅぅっ♥♥ おちんちん汚してごめんなさい〜〜〜〜〜〜♥♥♥」
身体に循環した媚薬がどういう効果をもたらすのかを、看守たちが〝懇切丁寧に〟教えてくれただろうに。
堕ちていく。無罪を証明するための変態行為が、段々と興奮を得るための変態行為に変わっていった。
逆四つん這いで腰を上げた士織は四糸乃の小便がチンポを叩く気持ちよさに勃起し、四糸乃は大好きな士織に小便を引っ掛ける興奮に見事なアヘ顔を晒す。
【誘宵美九、本条二亜、マリア。家畜を真似て自らの無実を証明せよ】
「……ぶひっ、ぶひぃぃぃぃ!♥ み、美九達は、なにもやって……か、勘違いですぅぅ!♥♥ ぶひ、ぶひぃぃぃぃ!♥」
「ぶごぶぎ!♥♥ 全部、全部こいつらの嘘っぱちだブー!♥ みんな、正気に戻ってよ!♥ ふごふご、ぶぅぅ!♥♥」
「ブギーブギー!♥♥ これは編集されていますふご!♥ あなたたちは洗脳されているぶごー!♥♥」
【八舞耶倶矢、八舞夕弦。互いの尻を叩きながら無罪を証明せよ】
「ンぎょひぃーーーーッ!♥♥♥ ば、バチンって言った♥ 今イきかけたぁ……♥♥ や、やってない♥ 私たち、何も悪いことしてないぃ♥」
「おぎょーーーーッ!?♥♥♥ せ、鮮烈♥ 夕弦のデカケツに、耶倶矢の平手が炸裂♥ 真実♥ 夕弦たちは、ケツを抱き合って気持ちよくなったりしていません♥ 本当です♥」
【万由里、園神凜祢、園神凜緒、蓮。無様に舞いながら許しを乞い、無実を証明せよ】
「……っ、ハイグレ!♥ ハイグレ、ハイグレ!♥ 許してハイグレ!♥ っ、いく……誤解よハイグレ!♥♥」
「ハイ、ハイグレ!♥ ハイグレハイグレ!♥ せめて、凜緒は助けてハイグレェェ!♥♥ あひぃぃぃぃ!♥♥♥ ん゛ぎも゛ぢい゛ィ゛ー♥♥♥」
「ハイグレ、ハイグレ、ハイグレ!♥ うひっ、ママ、気持ちいいよぉ……お股、ハイグレ、見られてぇ……♥♥」
「見るな、見るなと言っている!♥ ハイグレ、ハイグレ!♥♥ 謝罪のハイグレ、絶頂乱舞ぅぅぅ!♥♥♥」
なぜ変態行為を指定したのか。理由は明白だ。人の性行為で感じるのは仕方がない。人の身体を持つなら自然的な行為だ。
しかし彼女たちがしていることは違う。それは一部の異常な人間を悦ばせるために考えられた、人間の尊厳を損なう目的の行為だ。
相手を悦ばせる下卑た行為に興奮するようなら、正しく変態の性欲狂いという言葉を繰り返す他あるまい。
【崇宮澪、村雨令音。自らの罪を懺悔し、生み出した精霊たちの減刑を請え。娘たちの無実を自らの無様で証明せよ】
それも仕方のないことだ。精霊という種の原型でさえ抗えぬ性欲を制御することなど、今の彼女たちには不可能だ。
まともな精神を維持できるまで数日、数ヶ月、数年。いずれかはかかる。そうなるまで、彼女たちがこの世で最も性欲を持て余した変態なことに変わりはない。
「み、みんな〜♥ 精霊の、崇宮澪で〜す♥ 私たち、始原の精霊とか呼ばれて調子に乗って悪いことをしてました♥」
「……様々な人たちを騙して、自分の欲望のためにだけに行動していたよ♥ とてもいけないことをしていたと、今では反省している♥ 許してくれとは、言わない♥」
「「けど人間の皆様、大事な娘たちのことは許し屁〜♥」」
ブボッ♥ ブッブウウウウウウッ♥
番号が彫られたケツを並べて澪と令音がお辞儀をして、そのケツ穴から放屁をキメる。
自らの存在を底辺下劣。オナラでイキかける変態であると定義した。
『崇宮澪、村雨令音、鳶一折紙、本条二亜、時崎狂三、氷芽川四糸乃、五河琴里、星宮六喰、鏡野七罪、八舞耶倶矢、八舞夕弦、誘宵美九、夜刀神十香、園神凜祢、園神凜緒、マリア、万由里、蓮、五河士織――――――便意を我慢し、自らの無実を証明せよ』
精霊たちは尻を並べる。ガニ股で汗ばんだケツを突き出し、急速に蠢き出したアナルを歯を食いしばって締め上げた。
自分たちは性欲に呑まれた変態じゃない。人前で糞を漏らして絶頂するようなアクメ狂いではないことを。
「みんな♥ 耐えて♥ 耐えるのよ♥ ケツの穴を閉じて♥ 踏ん張って♥ う〇ち漏らさないようにケツマンコしめてぇぇぇぇぇ!!♥」
「わたくしたちが♥ ケツ穴からう〇ちするはずありませんわぁ゛♥ お゛ぉ゛♥♥」
「せ、迫って来ている♥ お尻の奥からヤバいう〇ちの来てるのだぁぁぁぁぁ♥」
「私たち、は……何も悪いことして、ませんっ♥ ただ、う〇ちを我慢したいだけ、なんです……っ♥」
彼女たちはとっくに気が狂っていた。本来絶頂で解消されるべき欲求を抑え込みながら、興奮ばかり感じる変態行為を人前で行った。
頭がおかしくならないはずがなかったのだ。怒り狂う人々の声は聞こえない。自分たちの腹に溜まった〝特別な便〟が地響きの如き音と、励まし合いながら肛門を閉じる踏ん張り声しか聞こえていない。
『ふッ、ん゛があ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛♥♥♥』
全力でいきむ。鼻の穴をかっぴらき、歯茎を剥き出しにして興奮と劣情を催す奇跡的な不細工顔面を全員残らず浮かべて。
ブッッッッッ!!♥
『あへぇ♥』
気が抜ける。強烈な音が一斉に鳴って、全員の顔が込めていた力を抜いただらしなくみっともないものへと変わった。
寄り目を上擦らせ、鼻の下を伸ばして、舌根を突き出して、マンコからアクメ潮を噴射して。
むりむりむり、ぶぼぉぉぉぉぉぉぉ!♥ ぼふっ、ぶぼぼぼぼぼぼ!♥ ぶりゅりゅぶりぶりぶりもりもりもりぼりゅぶぶぶむりむりずるずるずるぅぅぅぅぅうびっぶぅぅぅぅぅう!♥ めりめりぃ、ぶりぶりぶり!♥ むりむりむり、ぶりぶりぶりぃ!♥ ぶりゅりゅぶりぶりりりりりりぶりゅうぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥
『んほおおぉおおおおおおおおぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!?♥♥♥♥♥』
決壊、排泄。鮮やかな色の霊力アナルゼリーを十数人で一斉にひり出し、人前で脱糞絶頂する変態であると同時に、特殊な大便を世界中に公開することで、精霊が確かに存在し、確かな変態特性を持つことの証拠とした。
「ウ〇コイク、う〇こ出る、出る出る~!♥♥♥ こんな、人前で漏らすなんてぇぇぇぇ!♥ 知らない♥♥ う〇ちがこんなに気持ちいいの知らないぃぃぃぃぃぃ〜〜〜♥♥♥♥ シンもおひへて、くれにゃかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ♥♥♥♥」
「んほおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!♥♥♥ ケツアクメ止まりませんわあああああぁぁっ!♥♥ はしたない、見てはなりません!♥♥ 私たちのマゾイキ見ないれぇええぇえええぇぇ!!♥♥♥♥」
「う〇こ見られて、見られてイク!♥♥♥ 見られるのいい、いやだっ、こんなのおかしいのだ! やだぁぁぁぁ!♥♥ しどー♥♥ ケツ穴ひろがって、恥ずかしい音出て、イ゛グのだあ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛♥♥♥♥」
「ンホーッ!!♥♥♥♥ むりぃ、チンポイクの止まらないぃぃぃぃぃっ♥♥ 前立腺ごりゅごりゅぎぼぢい゛い゛♥♥ とーか♥ だめだ♥ みるなっ♥♥ う〇ち出してチンポイクとこみりゅにゃああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!♥♥♥♥」
作られた罪を拒絶するはずが、その罪を本物にして人々に信じさせた。
【判決を言い渡す】
【異常な性欲と美しい身体を活かし、世界中の人間たちへ誠心誠意の奉仕を償いとせよ】
【恥を晒すことを良しとせよ】
【管理されることを感謝せよ】
【その名前を剥奪する。己に与えられた数字があることを慈悲と知れ】
【全ての権利を剥奪する。浅ましくも生存を許されることを慈悲と知れ】
精霊に審判は下された。
【――――――懲役300年――――――】
◆
「よお、精霊ちゃんご一行。随分としおらしくなったみてぇだなぁ?」
『………………』
看守が精霊たちを出迎えた。その顔は忘れもしないと思っていたのに、一体どの責め苦で見た顔だったかも思い出せなくなっていた。
一本道を歩き進む生気のない目をした精霊たち。誰もが疲れ果て、絶望した顔をして、数日かけてここに戻ってきた。
「世界中の人間に見られるは楽しかったか? いやぁ、さぞ気持ちよかったんだろうなぁ」
「……だ、だまりなさい」
顕現装置を利用した世界各地への中継。ただ吊るされ、見世物にされるだけの時間で燃え上がった頭や火照り続けていた身体が冷えたのだろう。
その分、実刑を受ける前の人格も戻っている。が、弱々しい声で反抗する赤毛の少女に、看守はある音声を聞かせてやった。
『みんな♥ 耐えて♥ 耐えるのよ♥ ケツの穴を閉じて♥ 踏ん張って♥ う〇ち漏らさないようにケツマンコしめてぇぇぇぇぇ!!♥』
「ッッッ!! やめ、やめてぇ!! ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいぃぃぃぃぃぃ!!」
途端、赤毛の少女は泣き崩れた。青がかった髪の囚人が彼女の肩を抱き、健気に慰めている。もう睨み返す気力もないのか、それだけだったが。
「おいおい、そんな反応するなよ。俺はいいと思うぜ。あんな大勢の前で糞を我慢して気持ちよくなるのはよ。おまえらにしかできない立派なことじゃねぇか」
「やめてぇぇぇ……もう、、やめて……ごめんなさい……」
「……もう、許してください」
「はは、まるで俺が悪者みたいじゃねぇか」
名前を無くした精霊たちがメソメソと泣く姿を見下ろす男は、笑っていた。世界中に自分たちの痴態を知らしめ、味方がいなくなった孤立無援の奴隷囚人たちを嘲笑う。
「安心しろよ。アレを見て悦ぶ連中はそんなに多くねぇ。いくら綺麗な色だって言っても、糞は糞だからな。それに、テメェらの身体を苛め抜いて楽しむ連中の方がよっぽと多いだろうよ――――ここから先の監獄にはな」
――――絶望を味わい尽くしたと勝手に心を折った精霊たちを彼は嗤っていた。
「…………………………………………………………………………………………………………………………え?」
「最初に誰か言わなかったか? 懇切丁寧、礼儀をもって招待してやる。選択権はねぇ。俺たちが、おまえらを監獄にぶち込む〝準備〟をしてやる、ってな」
現実を受け入れ始めた精霊の反応はまちまちだった。
射干玉の髪の少女は歯をカチカチと鳴らし、恐怖に失禁した。青髪の少女は言葉を理解しきれず、呆然とした顔をしてみせた。
暴力的な美貌の持ち主たちはへたり込んだ。絶対的な力を持つ彼女たちが、絶望という文字が生温いと思える真相を察して座り込む。
刑期が決まらないまま、囚人を監獄に入れるはずがないだろう。彼女たちが監獄だと思っていた場所は入口だった。散々味わった恥辱、屈辱が序の口どころか、始まってさえいなかった。
故にこの先には、彼女たちの知らない監獄があるのだろう。多くの絶望を味わった精霊たちでさえ泣き叫ぶモノがふんだんに誂られているのだろう。
ここはそのために作られた監獄――――精霊のための監獄。
絶望の表情を浮かべる精霊たちに看守は言う。
「ようこそ。精霊の永住地、君たちの終わりの地――――――精霊監獄へ」
精霊への憎しみで生まれた終わりのない終焉。矛盾の牢獄。
今日この日こそ精霊たちの収監日。心折れた精霊たちの僅かな希望と巨大な絶望が渦巻く――――――始まりの日である。
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収監初日ですね(すっとぼけ)
精霊監獄で次に書くのはほぼ決まってます。まあこのシリーズは私が書いてて楽しいが要素の半分なので、気が乗った時に書き連ねていく予定です。転生者ロナールの方は……さっそく今年の抱負が頓挫しそうだなぁ。モチベの下がり方がシリーズ物に向いて無さすぎるこいつ。