精霊監獄(デート・イン・ディストピア) (Pixiv Fanbox)
Content
いつもご支援ありがとうございます。新年一発目のデアラは新シリーズ始動!!!!めっちゃ気合い入れたのでいいねと感想あると嬉しいです!!!!
まあいただいた同人ゲームをプレイしたらバッドエンド用のダンジョンにインスピレーションがバリバリ〜ってされた結果です、はい。随所に影響が漏れてますが大体いつもの私です。
あと最後にアンケート置いてます。今回の話を読んで気に入って貰えたら気軽に答えてもらえると嬉しいです。
*注意。今回の士織ちゃんはガッツリ男にヤられてます。てかこのシリーズは慣れるために積極的にヤって貰う予定です。前も何回か書いてますが一応注意書き。
今更ながら今年の抱負的なものを打ち立てますが、ズバリシリーズ物を作ってしっかり続けること、です。気分屋でモチベが変わりまくる悪癖を少しでも矯正しようと考えてます。これに助けられる時はありますが、かなりやるやる詐欺してる部分もあるので。クヨウ様はそもそも初めから連載なので
目下、このデアラの精霊監獄シリーズ。ブルアカのミカの異世界ライフ。軌跡の転生者ロナール辺りは続けたい。シリーズってわけじゃないですが、織姫の淫道も完結させる予定。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
世界から危機が去った。およそ三十年前から続いていた世界を揺るがす災害・空間震が切除されてから、人々には平穏が訪れた。そう、人々には、だ。
そうでない者には罰を。世界を騒がせた真の黒幕とその協力者たちには、人の身では償い切れない罪と罰が下ったのだ。
天宮市。そこはかつて大空災の中心地であり、空間震に対する防衛を強いた街であり、物語の中枢でもあった場所。
シェルターが撤去された地下。数百メートルもの遙か地層に、数キロ以上の広大な土地が張り巡らされた堅牢極まる牢。人ならざる者たちを罰し、戒め、人々に安寧と娯楽を齎すためだけに生み出された怪物たちにとっての原初にして終焉の地平。
人々は牢をこう呼んだ――――――【精霊監獄】と。
◆
暗雲が立ち込めるような薄暗い牢屋。汚れたベッドと灯りとなる蝋燭と日誌が置かれた机。前時代的とさえ言えない家畜以下の監禁部屋。そこが精霊たちの居場所だった。
僅かばかりの物音、吐息が入り交じる牢屋の中から声が発せられる時間は決まっていた。朝五時、起床の時間に嬌声が響き渡った。
「んひぃぃぃぃぃッ♥♥」
そのうちの一人――――五河琴里は小柄な身体をベッドの上で反り、のたうち回った。彼女の乳首に取り付けられた【封淫具】のリングが振動し、途方もない快感を与える。浅い眠りに入っていた琴里は、いつイッてもおかしくない快感によって覚醒を促された。
「はぁ、はぁ♥ 起きる、起きるから、止まって……ッ!♥」
吐息を荒く吐きながら、琴里は両サイドに結い上げた赤毛を揺らして立ち上がる。ボロボロになって肝心な部分が隠れていない和装を引きずり、左右の手足を鎖で繋いだ枷を掛けられた少女が歩き出した。
不自由極まりない枷と裸の方が余程羞恥を振り切れそうな霊装。前者はまだマシな方と少女は考え、後者のことを【残骸霊装】と名付けていた。もっとも、名付けたところで意味のないものだが。
外は灯りが転々とした薄暗い道が広がっていた。もちろん、囚人である琴里が勝手な行動はできない。看守の前に立ち、残りを待つ。
程なくして部屋から現れたのは、飛び出した陰核に妙な装着を取り付けられた夜闇色の髪の少女。全身余すことなく拘束された射干玉の髪の少女。股間の逸物を厳重な貞操帯で戒められた少女のような少年。
〝今日の初め〟はこの四人であるようだ。薄汚れた囚人たちと違い、清潔感のある白い看守服に身を包んだ男ができる限りの足並みを揃えた琴里たちに声をかける。
「遅いぞ! 貴様らが浪費する一秒がどれだけ罪深いことか分かっていないのか!?」
「「申し訳ございませんでした!!」」
身体に装着した淫具に叩き起されて無理な起床をした直後、毎日のように顔ぶれが変わる看守に罵倒される。慣れているのか、琴里と夜闇髪の少女が謝罪を口にした。あとの二人は〝喋れない〟ため、誠心誠意の心で頭を下げた。
「ふん、まあいいだろう。点呼を始める!」
どうにか理不尽な罰だけは免れた四人が朝礼整列した状態で、看守の点呼が始まった。
「囚人番号【05】!」
「はい!!」
最初は琴里だった。点呼の順番は看守の気まぐれで決まる。もちろん遅れれば罰が待ち受け、時には身体に付けられた淫具、琴里で言えば乳首リングの妨害によって返事が行えない場合もある。
この不規則な点呼は琴里たちの隷属意識を測るためのものであり、辱めの意図を込めるものでもあった。理不尽、不条理。それが【精霊監獄】における精霊たちの常であり道理。琴里はハッキリと返事をした。勝気な司令官だった少女は、尻に大きく焼入れられた忘れられない囚人番号を名前の代わりに呼ばれ、ハキハキと返事をするまで堕ちぶれていた。
「【10】!」
「はい!!」
夜刀神十香。崩れかけた紫紺のドレスが彼女の残骸霊装。暴力的な美貌は看守への恐怖で歪み、剣を握るための両手はミトンのような手布で封じられ、股間には機械の管が吸い付いていた。
琴里が乳首なら、十香は陰核。本来なら小粒ほどの陰核は、今や立派な刃の如くありえないほど尖っていた。
「【15】!」
「おぶぉ!!」
五河士織。透明なハイレグスーツに鞭で打たれた痕を残し、後ろ手に戒められた少女のような少年。髪は背中まで烟り、ボールギャグによってくぐもった声はハスキーな少女のものだが、彼は間違いなく男であり琴里の兄である。
その股間には金属の下着……貞操帯が取り付けられていた。陰嚢を包み込む布、竿を小さく戒める銀の枷。先端から零れる大量のカウパーが士織の〝封印〟が何なのかを物語っていた。
「【03】・《ガバ穴豚女》!」
「う゛ぼォ!!」
時崎狂三。局部が丸見えのランジェリーが洗練された霊装の果て。ボールギャグだけでなく、分厚い目隠しと小顔の鼻孔に下品な様を齎す鼻フックによって、彼女の返事はどうしようもなく豚のように醜く歪む。両手は首の後ろに回され、腋の下を見せつけるような形で固定されている。真っ当に自由だと言えるのは両脚くらいなものだが、その美脚には踵に至るまでドロドロの淫汁が滴り落ちている。
彼女は特別だった。収監後に犯した罪の重さ、危険性を鑑みて他の精霊以上の封印が施され、不名誉な名まで授けられた。大きく広がったケツ穴には四方向からフックを取り付けられ、霊力吸収機能を持った専用サイズのディルドを挿入。首には常人なら一瞬で廃人まっしぐらの薬品入りの試験管が付けられた首輪。超然とした振る舞いと蠱惑の甘言を操った最悪の精霊は、今や喋るどころか意思疎通さえ困難だった。
以上四名が早朝勤務の囚人となる。早朝勤務と言うように、これから三十分、一時間と刻んで残りの囚人たちも勤務に旅立つ。
何の勤務かは言うまでもない。大罪を犯した精霊が少しでも罪を償うため、不安にさせた人々に堕ちた姿を見せつけるため、娯楽となるための刑に服す。
如何に自分たちが危険な犯罪者かを知らしめ、贖罪とする――――そんな建前を呑み込み、受け入れ始めてからもう数ヶ月ほどになるだろうか。
少なくとも琴里は諦めたつもりなどない。人間以下の存在、世界に仇なした悪鬼羅刹、人の形をした災害。謂れのない罪を受け入れたりしたくなかった。
だが、琴里たちは敗北した。巨悪に立ち向かい、敗北者となった。敗者に口はない。故に琴里たちは醜悪な監獄に囚われ、世界の敵として晒された。明快な弱肉強食の理論は、精霊という人ならざる種である事実によって受け入れられてしまった。
ここはそういう施設だと教えられた。顕現装置で作られた陽の光しか届かない地下深くで、抵抗がどれほど無意味なことであるかを教育された。
幸せな記憶が拷問の記憶に塗り替えられた。初めは活発だった反抗の言葉が、目に見えて数を減らしていった。
――――そうして生まれたのが、囚人番号【05】。減刑に勤しむ恥知らずな精霊は、今日も数多の人の目に愛らしい容貌を見せつけた。
『被告人、前へ』
「はい」
精霊監獄・第二区。そこは精霊たちの命運を決める収容された区画であり、地上で言う裁判所・法廷を模した施設に送られた琴里は、着の身着のまま証言台に立たされた。
裁判官や傍聴席に座る観客がクスクスと笑っている。当然、彼らは正式な裁判の関係者ではない。琴里の刑期は決定して、こうして服している。つまりはこの【裁判もどき】こそ、琴里が今日為すべき刑期短縮の手段なのだ。
順を追って話せば簡単なことだ。琴里たちが【精霊監獄】に収容される直前、DEM社と呼ばれる組織が彼女たち精霊の存在を世界に公表した。秘匿にされていたモノを公表し、彼女たちこそが空間震の元凶であり大罪人であるとしろしめた。
紆余曲折はあった。けれど、結果として世界は精霊の存在を認知した。恐怖した。あのような怪物を野放しにはできないと考えながら、美しすぎる彼女たちを捨て置かなかった。
【精霊監獄】はそのために完成した。市民の溜息を下げる。有り体に言えばガス抜き――――誰もが見惚れるほど美しい少女たちを弄ぶために生まれた施設。精霊たちはここにいると宣言し、辱められる程度の存在だと認知させ、世界の災厄を共通の娯楽であると思い込ませた。
世界全ての悪意が集約化し、精霊に降り注ぐ場所。世界のどこにも逃げ場などありはしない。精霊の居場所は監獄にしかない。それを理解させられる中心にいながらも、琴里は微かな希望に縋って生き恥を晒す。
『罪状。囚人番号【05】は、人間『五河琴里』に擬態し、人々を不安と恐怖に陥れた』
「はい、間違いありません」
とんだでっち上げだ。裁判もどきで告げられる罪状は、ほとんどが嘘で塗り固められたもの。五河琴里という人間はこの世でただ一人彼女だけ。
けれど少女は返答を躊躇わなかった。躊躇った先により酷い目に遭うことを彼女は知っている。恥ずかしくないのかと問われれば。
『おまえたちは私利私欲のために人間社会に寄生し、裏から掌握しようと企てた。その上で空間震を引き起こして人間社会に被害を及ぼし、その傲慢たる暴力を短慮に振るった。そうだな?』
「っ……はい、全て仰る通りです」
恥ずかしくて死にそうだ。琴里はそう答えるだろう。
罪状を告げる裁判官はどこかの企業の高官。琴里の背中を、焼印が入れられた尻を嬲るように見る観客たちは、恐らくアングラに近しい一般人だ。
看守が口を滑らせた情報から察するのは簡単だった。この裁判もどきは一般公開、要するに減刑という名の【精霊監獄】運営用の小遣い稼ぎにもなっている。
『さらには畜生以下の理性で肉欲を満たすため淫蕩に耽り、持て余した性欲で幾人もの廃人を生んだ。遂には近親相姦を行い、人間の財産を湯水のごとく使って乱交、人身売買などを行った。その全ての証拠はそろっている。この罪も認めるのだな?』
「は、い……認め、ます!」
アングラに知れている程度ならマシかもしれない。世界中に精霊の存在が公表された以上、映像が一般的に漏れていてもおかしくはない。たとえば知人、たとえば家族、もしくは見ず知らずの人間に自らの痴態を見られている。それを想像し、羞恥に震え上がる琴里は言葉を詰まらせながら罪を認め続けた。
ありもしない希望だと分かっているのに、目の前に吊り下げられた餌を喰らわずにはいられない。
『被告人・囚人番号【05】。貴様の罪を述べよ』
「はい! 私、囚人番号【05】は……精霊という性欲しか頭にない下等生物の分際で人間様に多大なご迷惑をおかけした、馬鹿で間抜けな精霊です!!」
琴里の恥が誰かの減刑に繋がるのなら。その気持ちは、心が折れかけた幼い少女の確かな希望だった。
『反省の言葉を繰り返せ。五時間耐え続ければ、貴様の減刑を認めよう』
「んふぅぅぅぅ……ッ!?♥♥」
乳首リングが振動を始める。急速に勃起した琴里の乳頭から脳髄にかけて腰が砕けそうな快感が駆け抜ける。リングは振動だけでなく、その空気を利用した吸引機能を持ち合わせている。
一瞬油断すればイキ狂う。霊力を吸い上げる封印装置。両手をワキワキと蠢かせ、爪先が立ちかける官能を得た琴里が、叫ぶ。
「私は馬鹿で間抜けな精霊です!♥ 私は馬鹿で間抜けな精霊です!♥ 私は、馬鹿で、間抜けな、精霊です!♥ ふーっ、はーっ、ひーっ♥ わ、わたひは、馬鹿でマヌケな精霊ですっ!!♥」
叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ。これより五時間、琴里は己を卑下にする言葉を叫び続けなければならない。それが刑期の短縮、待遇の改善に繋がる道だから、彼女は乳首を責め立てられながら叫び続けた。
「ひっ、はひっ、イクッ!♥♥ イクぅぅぅぅぅぅぅ――――私は馬鹿で間抜けな精霊ですぅぅぅぅぅぅ!!♥♥♥♥」
イキ潮を吹き、鼻水とヨダレを垂らして少女は証言台に立ち続けた。乳首を吸引されるために自分を卑下にしている。絶頂の度にありもしない錯覚に苛まれながら、彼女は微かな希望に縋って声を枯らしていった。
精霊監獄・第八区。琴里が裁判もどきで減刑を乞う頃、時を同じくして二人の精霊がとある戦いに参加していた。
そこは古来より伝わる闘技場、アリーナのような場所だった。巨大な観客席がステージを囲む闘争の舞台。夜刀神十香と時崎狂三は、第八区画に連れられ戦っていた。
勝てば刑が軽くなり、負ければ刑の加重。明快なルールにして、精霊きっての戦闘能力を持つ十香と狂三なら十分に勝算のある交換条件だ。
無論、戦って〝いた〟という時点で結果は出ているが。
「や、やめろっ! はなせ、はなしてぇぇぇぇぇぇ!!」
「ぶご、ほんぎっ、おへっへぇぇぇ!!」
無様に泣き叫ぶ少女たちは、戦う前から敗北していた。
彼女たちの相手は動物だった。特殊な改造教育が施された猿を相手に、馬に跨って戦う。
勝敗は十数秒でついた。勝負にならなすぎて、観客からは罵倒やブーイングが飛んだ。しかし、両手が使えない十香が暴れる馬から落ちるのも、その馬の振動でイキながら狂三が振り落とされたことも、結果の想像が容易すぎたと言わざるを得ない。
振り落とされた十香は無数の猿に群がられ、両手と両手を押さえつけられた。暴れる十香だが、試合の直前まで霊力吸収装置を付けられていた彼女に改造動物を振り払う力はなかった。
「は、はなしてくれ! お願いだ……いやだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
プルンッ♥ ブルンッ♥
それでも、加刑の先にあるモノが余程トラウマなのか、みっともなく泣け叫びながら十香は暴れた。しかし、見事な美巨乳と士織と対比するように肥大化したクリトリスが揺れるだけで、猿の拘束は揺るがない。
十香が暴れる度に卑猥に揺れる細長クリを見た一匹の猿が、むしろそれを面白がって鷲掴みにした。
「ふひんっ♥」
泣き叫んでいた十香がマヌケな嬌声を上げる。暴力的な美貌がみっともないアヘ顔を見せつけた。
カリッ♥ カリカリカリカリッ♥
「おひょっ、おひょおぉぉぉぉひぃぃぃぃぃ〜〜♥ やめ、やめてくださいっ!♥ やめてくださいぃぃぃぃぃ〜〜〜〜♥♥」
鋭い爪でクリの先端を引っ掻かれ、十香は喘いだ。看守相手に癖となった敬語が反射的に飛び出したのか、猿に向かって媚びへつらうような態度で彼女は懇願する。
使われず矮小化する士織のチンポと違って、十香のクリトリスは常に使われることで肥大化と鋭敏化が続いていく。風に触れただけでイキそうになる敏感な弱点を遊び半分でカリカリと引っ掻かれるなど、十香からすればたまったものではない。無論、敗者を嬲ることを目的とした猿たちからすれば、彼女の心など嘲笑う以外の使い道はない。
ゴリュッ♥ ゴリュゴリュゴリュッ♥ ドチュンッドチュンドチュンッッッ!♥
「お゛ッげェ!♥♥ ほんげっ、おほぉぉぉぉ……ん゛おおおおおおおおッ♥♥♥ はへっ、はへへぇぇぇぇッ♥♥」
一方の狂三は、跨っていた馬に反逆される形でアナルを犯されていた。
本来乗るべき馬に跨られ、人の手より太い馬チンポを易々と受け入れてしまえるガバガバアナルをピストンされる。反逆され、あまつさえ白目を剥いて馬チンポアクメをキメる精霊の敗北姿を観客たちは嘲り笑う。中には惨めすぎる狂三をオカズにオナニーするものまでいた。
「ひっ、んひぃ♥ しこしこらめっ、しこしこするにゃッ♥♥ クリトリス、感じすぎて……イグゥッ!!♥♥♥♥」
肉棒を扱くようにクリトリスを扱われ、十香の中枢神経が絶頂一色になる。射精の代わりに潮を吹き上げ、暴力的なエロスのアヘ顔を晒す。
「ぶごっ、お゛げぇ、ん゛ぶお゛ッ!?♥ ……や、や゛べでッ♥♥ わたぐじのお゛じり゛、おがずのヤベッ♥♥♥ ほん゛ぎょお゛お゛ぉ゛ぉ゛、げづあ゛な゛め゛ぐれ゛る゛ぅ゛ぅ゛〜〜〜〜♥♥♥♥ 堪忍しへっ、ご勘弁ぐだざい゛ま゛じい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ッ゛!♥」
馬の全体重を乗せた荒々しいピストンの拍子にボールギャグが外れ、狂三の悲鳴がアリーナに響き渡る。超然とした彼女の雰囲気はなりを潜め、濁った声で情けを求める浅ましい雌が現れた。
先が平たい馬チンポに直腸を抉られ、ぽっかりと開いた肛門でケツアクメする狂三の悲鳴に興奮はあれど同情はなかった。すり減らした人間の時間の贖いは、この程度では終わらない。
監獄唯一の雄囚人より立派な雌チンポを扱かれてアヘ顔になる十香と、精霊随一のゆるゆるガバガバなケツ穴を馬チンポに掘られてオホ顔白目で鼻水を噴き出す狂三。
今日のアリーナは戦いより敗北の時間が長いようだ。響き渡る下卑た歓声は、獄中より悲惨な光景を延々と包み込んでいった。
精霊監獄・第十区。通称【ご奉仕部屋】とされるその区画は、名称通り精霊が相手を奉仕するための区画だ。
煌びやかな装飾。天蓋付きのベッド。VIP客を迎え入れ、精霊たちを奴隷娼婦のように振る舞わせるための部屋。
だが今、そこは愛し合う男女のためには使われていない。カメラが少女のような少年に殺到していた――――男のチンポをしゃぶる少年を映し出していた。
『さあさあさあ、バキュームパフォーマンスも佳境! 百本のチンポが残り二本! たった一人のメス男子に吸い付くされようとしているぅー!』
「ずびっ、ずぼぼぼぼっ♥ んちゅっ、ぢゅるるるるるっ!!♥」
『美しかった顔がみっともなく歪んでいるぅー! 下品で不細工になっているぅー! そんなにチンポが恋しいのか!? そうなんだなぁ!?』
違う。士織はそう言いたい口で男の肉棒をしゃぶることを止めなかった。
裸になって後ろ手に縛られ、鉄のパンツを外して竿と陰嚢だけを塞がれた股間をエロ蹲踞ではしたなく広げた姿。男なのに、雄臭いチンポをしゃぶって精液を喉に流し込んでいる姿。嫌に決まっている。精霊たちを吸ってきたその唇は、そのキスの数を鼻で笑える本数のチンポを吸った。
今日だけで98本。頬を窄めて唇を竿に吸い付かせ、三方向から鈎に引っ張られた鼻穴で呼吸をする士織が射精を導いたチンポの本数だ。そしてたった今、その数は99本となった。
『素晴らしいぃー! これで99本、クリアまで残り一本となったぁ!!』
「けぷっ♥ ……はぁ、はぁ、はぁ……」
『一日でしゃぶったチンポの人数にギネスがあるとしたら、間違いなく彼女、いえ失礼……彼が世界一に違いありませんねぇ!』
品性の欠片もないナレーションに士織は眉根を顰める、暇もない。
彼に課せられた百本フェラの最後の一本が目の前に差し出された。戒められているとはいえ、士織の矮小なモノとは比べ物にならない巨大な逸物だ。
「俺が最後の一人だな。丁寧に頼むぜ、士織ちゃんよ」
「……はい。あなた様のおちんぽを、しゃぶらさせていただきます♥ どうか、私の口にザーメンをびゅるびゅる射精してください♥」
雄が戒められ、射精を禁じられる。少なくない好意を抱く少女たちの姿を見て、興奮から痛みが走るようになった。その度に罪悪感が士織を押し潰しそうになった。
一人称が〝私〟に矯正された。雄への言葉遣いを丁寧に教育された。尻穴で逸物を受け入れたのも、もう一度や二度ではない。
――――精霊たちに罪悪感を向けなければ直視できない現実が苦しくなり、雄のモノを見ている方が気が楽に思えてきたのは、一体いつからだったか。
「ちゅっ♥」
呆れ果てるほど強靭な精神で精霊たちを救おうとした士織も、監獄内で終わりのない淫獄には叶わなかった。その心は既に、堕ち始めている。
ちゅっちゅっちゅっちゅっちゅっちゅっちゅっ♥
亀頭に何度もキスをする。繰り返されるバードキスで、彼は精霊たちの唇を忘れて亀頭の味を覚えた。男の自分に興奮する性癖のチンポに口付けをして、カウパーの糸を丹念に繋ぐ。
「じゅるぢゅる♥ ちゅぱちゅぱぶちゅるるる♥」
そしてフェラチオ。口付けで楽しませた逸物を口内に案内し、ドスケベな口マンコで奉仕する。ここで射精をしてくれれば、士織は助かるのだが。
『さあ残り時間が迫ってきているぞ! 一生懸命フェラをする15号ちゃんの健闘はここで終わってしまうのかー!?』
間に合わない。軽快で無慈悲なナレーションに士織は鼻息を整える。空中にカメラが漂って、その視線が全て自分に向けられていることも知っている。
「――――ずびっ!♥ ずびずばぁぁぁぁぁぁぁ!!♥」
『出たー! 15号ちゃんのお家芸にして必殺の不細工バキュームだ! これで一気にペースアップ! 同時に不細工女顔も再び参上ー!』
それでもする。ただでさえ屈辱の女装姿に慣れた士織であっても、死ぬほどの恥辱が避けられないひょっとこ不細工フェラ顔。
「ずぼっ!♥ ずびびびびび!♥ じゅちゅぅぅぅぅ!♥ むぼおおおおぉぉぉぉ!!♥ フーッ、フーッ……んぼっ!♥ のぼぉぉぉぉ!♥ んんんんっ、ぽぉぉぉぉぉぉ!♥」
早く射精させないと。鼻フックで開いた鼻孔をヒクヒクとさせながら、精液を一滴残らず吸い込むことで汚れを知らない顔面が、ここに来てさらに歪む。
口は顔の三割以上に伸びて筒状になり、金玉さえも呑み込んだ。鼻の下も伸びに伸び、寄り目はしゃぶるチンポだけを見て射精の瞬間を待ち焦がれている。
『な、なんと!? ここで可能性を広げた! 顔面が完全に崩壊! 馬よりも面長のモザイク必須の顔面崩壊だ! そうまでしてチンポが欲しいと乞い願う15号ちゃんの不細工顔! 生中継だからこそ見られる光景だー!!』
「うおっ、やっべぇ……射精ちまう!!」
ドピュドピュドピュッ、ドプドプドプププゥ♥
「ずっびぃぃぃぃぃぃ!♥ んぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!♥」
『100本目ぇぇぇぇぇ!! 時間内にチャレンジ達成ぃぃぃぃ! 凄いぞ! 15号ちゃんおめでとう! 君はもう立派なメス男子だぁ!!』
ザーメンすら限界不細工顔で吸い上げる。せめて精霊たちには見られたくないと願う下品が極まった面を世界中の見知らぬ誰かの嘲笑に晒され、オナネタにされる。
これこそ士織が地下監獄で得た技術。彼のフェラチオは人を超えている。そういう意味では、彼を精霊と判断するのも難しいことではない。世界を震撼させた精霊だからこそ世界一のフェラ技術を持つ……そんな与太話が信じられる世界ならば、だが。
会得した不細工ひょっとこフェラでチンポ100本射精を果たした士織は、戻りきらない緩んだ口で安堵の息を吐く。その息から香るザーメン臭に顔を顰めることもしなくなった。慣れすぎた彼だからこそ勝ち得た減刑だ。
ブビッ♥
「ひゃひんっ!?♥」
しかし、油断した士織を更なる困難が襲う。その尻穴から出たあられもない音は、企画解説の男にしっかりと拾われた。
『おおっと!? これは……15号ちゃんの可愛いお尻からザーメンが溢れかけているぅー! これはいけませんねぇ。口から零したら失格のルールに乗っ取るなら、下の口から零しても失格!』
「そ、そんな!?」
こんなにも必死にチンポをしゃぶってクリアしたのに、番外ルールで失格になるわけにはいかない。翻弄されながら、士織は尻穴を閉めた。
「ん、んんん……あぁんっ♥」
ぶびぶびぶびぃ♥
収まらない。ケツ穴は音を立て、ザーメンを吐き出そうとする。
士織の身体は様々な調整がされている。精霊にも言えることだが、彼の体内は普通ではなくなっている。
消化器官を改造されたことで排便の必要がなくなった。その結果、空の腹には100本分のザーメンが溜まり、士織も気付かぬうちに直腸の出口まで差し迫っていたのだ。
士織は両手を封じられている。おあつらえ向きにエロ蹲踞となれば、尻穴が排泄を求めるのは自明の理。いくら肛門を閉めたところで限界は来る。なぜなら、士織のアナルはとっくに緩んでいるのだから。
『さあピンチの15号ちゃん! 残り二時間、果たして漏らさず耐え切れるのかぁ!?』
つまりは、そういうことだ。配信が必要なら、そうした設備が整っている第九区画で良かったはず。わざわざ奉仕を意味する第十区画が当てがわれた。その意味を察した時点で、伸びた時間に文句を垂れる暇があるなら自分にできることをするべきである。
士織の肛門は単なる尻の穴ではない。モノを出し、モノを挿入れる――――
「お願い、します♥ 私のメス穴をあなた様のおちんぽで塞いでください♥ ザーメンう〇ちが出ないように、奥の奥まで蓋をしてください♥ ゆるゆるケツマンコ、おちんぽでいっぱい犯してぇ!♥」
少年はガニ股ハメ乞いポーズで名前通りの番号が振られた美尻を男に向け、ザーメンが漏れかけたメス穴を差し出した。
「へへ、やっぱりこうでなくちゃなぁ!!」
ドチュンッ!!♥
「あ、あぁぁぁぁぁぁぁッ!!♥♥」
拡張された尻穴をチンポで穿られ、溢れかけていたザーメンが押し戻された。その分降りかかる快感は、士織の甲高い嬌声として溢れた。
「く、これよ。ガチガチの前立腺が気持ちよくて、そんじょそこらのマンコじゃ満足できなくなっちまう! さすがの名器だぜ、士織ちゃん!」
「あんっ、あんあんっ、んはぁぁぁぁぁっ♥♥♥」
パンパンパンと腰肉と尻肉が打ち合う音が響く。士織が求めても得られず、忘れようとしたものを男は容赦なく彼のメス穴に注いでいく。その射精の度に士織は禁欲を思い出し、ガチャガチャと音を立てて上下する貞操帯の隙間から淫汁を飛ばした。
セックスを繰り返すことでアナルは開き、セックスを繰り返すことでチンポが縮む。今は思い出して求める射精の感覚も、いずれは全く別のものになる。
その言葉遣いに違和感を感じなくなった。番号と士織という名で呼ばれることに違和感を感じなくなった。いつの日か本当の意味で、彼は望まれる〝メス男子〟となるだろう。
「あっあっあ♥ ちんぽ、おちんぽすごい、ですっ♥♥ 私のケツマンコ、おくっ♥ 響いて……あぁんっ、んあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ♥♥♥♥」
けれど、その日が終わりではない。来るべき時間は彼の終焉ではなく、始まりに過ぎなのだから。
精霊監獄・第三区。精霊たちを収容する独房も組み込まれたエリア――――その反省室。
「んぎゃぁぁぁぁぁぁ!♥♥ やめ、やめりゅのらぁぁぁぁ!♥♥♥♥ クリ、クリトリスが千切れ、取れっ、りゅうううぅぅぅぅぅ!!♥♥ やべで、やべでくだざいぃぃぃぃ!♥」
「うぎょぴぃぃぃぃぃ!♥♥ うぎ、おぼお゛お゛ぉぉぉぉ!♥ もげるっ、けつあにゃもげてしまいまずわあ゛ぁぁぁ!!♥♥ あだま、おがじくなるぅぅぅ!♥♥ じぬ、じぬぅぅぅぅぅぅ!♥♥♥♥」
機械的な作りの部屋には数十の立台がズラリと並び、その一つ一つに両手を入れる拘束用の機器が天井から垂れ下げられていた。
十香と狂三は台の上に立たされ、両手を封じられたまま無数の剛毛ブラシで陰核を擦り上げられ、肛門内をピストンで抉られていた。
泣き叫び、懇願する。爪先立ちでガニ股イキ腰、鼻水を垂らしてみっともなくアクメする二人の鼻穴に、細い剛毛ブラシが突き刺さった。
「「ぶぼびぃぃぃぃぃぃぃ!!♥♥ ぶぎょお゛お゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉぉぉッ!!?♥♥♥♥」」
彼女たちはここで罰を受けている。拷問じみた扱いで調教されている。与えられた減刑の機会をみすみす取り逃した、大罪人の慈悲を蔑ろにした反省をまずは調教開発という形で命じられた。
僅かな減刑と凄まじい加刑。希望と絶望に釣り合いはない。どんなに心が強靭だろうと、失敗して恥を晒した後に待つ苛烈な調教に耐えられる者はいない。最初は大きかった希望は風前の灯火となり、目の前に立ち塞がる絶望に十香と狂三は泣き叫び許しを乞う。最も敏感な部位を責め立てられながら、美しい顔面の二穴を奥底までこそぎ落とされて絶頂していた。
「ん、ちゅっ♥♥ ちゅぱ、ちゅるっ♥ んちゅう♥ こひょり、ことり♥ あひっ、んあっ、あぁぁっ♥」
「おにいひゃん゛、ずきっ♥ お゛っ♥ ほっ♥♥ 一番、しゅき♥ しんじへっ♥♥ ん゛お゛ぉ゛っ♥」
そして姉妹、いいや兄妹は犯されていた。背後から犯されながら手を枷で繋ぎ合い、顔面を互いの唾液でベトベトにしながら口付けを交わしていた。
かつての美しいキスの姿は欠片も見受けられない。姉は100本分のフェラで口臭がチンポになり、妹はのべ七時間にも及ぶ反省の言葉に潰した喉で喘ぎながらそのチンポ臭いキスを受け取る。尻穴とマンコをそれぞれ激しく犯されながら、品性下劣なベロチューで兄妹の絆を確かめ合う。
「はっ、盛ってやがる。いくら何でも変態すぎんだろこいつら!」
「仕方ねぇよ。性欲しかない精霊様だからな。仲良し兄妹ってんならチンポハメられて盛りつくのが当然ってな」
メス穴を使われて見下され、調教開発される仲間たちを尻目に淫行。最低な行為だと分かっている。分かっているのに、士織と琴里は互いを求め合った。
精霊同士の会話は原則禁止されている。彼女たちが言葉をかけ、へりくだる相手は〝人間様〟だ。精霊同士で馴れ合う意味はない。それは大それた希望だ。
だから二人は限られた時間で求め合う。互いが犯される中での余興だとしても、愛している証を互いに刻む。どんなに汚れても絆は永遠だと。
堕ちた兄妹の涙ぐましい愛情だ。皮肉なことに、調教で開花した性感は二人の間にあった家族の壁を砕き、発情した獣じみた行為を躊躇わない肉欲の兄妹に変えた。
たとえ兄のチンポが使い物にならなくなろうと。妹のマンコが数え切れない見ず知らずのチンポにハメ倒されていようと。この時間だけが唯一無二だと。
「こひょり、ことりの口、甘い♥ 私の鼻水でしょっぱくて……舌、かりゃめてぇ♥」
「おにいひゃんの鼻の中、おいしぃ♥ もっと、奥までほじってあげりゅ♥ んちゅ、きしゅしてぇ、きしゅぅ♥」
士織が琴里の頬を舐め回す。琴里が士織の拡がった鼻穴に舌を挿入れる。鼻水だらけの舌を口に戻して味わえば、士織の舌が縋り付くように琴里の口を割って入り、絡まり合う。
淫靡で品性のないキスがセックスの代わりだった。開発され続けた身体はセックスで理性が溶ける。その溶けた理性が無我夢中で愛する相手と口マンコセックスを望む。
「――――おやおや。少し見ない間に、随分とはしたない兄妹になりましたね」
「「ッ!!?」」
二人が我に返ったのは、仇敵の声が鼓膜を震わせた瞬間のことだった。
目を見開いた二人がベトベトになった顔で第三区画の入口を見る。古びた牢獄と相反する機械的な扉をくぐって現れたのは、ノルディックブロンドの髪を結い上げたスーツ姿の少女。
忘れるはずがない。彼女たちを【精霊監獄】へ収監した張本人が一人の顔は、地獄に堕ちても忘れない。
「え、れん……様……」
士織か琴里か、あるいは両方かもしれない。忘れられない名前を崇める敬称を付け、言葉にした。
地獄に堕ちても忘れないほど憎い相手に敬称を付けなければならない理由は、この監獄を見てきたのなら分かるはずだ。
「ふふ、これも変化ですね。以前のあなたたちなら、私の顔を見るなり喰ってかかってきていたでしょう。囚人に必要な態度が多少は根付いた……そんなところですか」
そう言ったエレンが下がりなさいと命令を付け加えると、二人のメス穴を気分よく突いていた看守たちが慌てて身なりを整え、退出した。エレンに逆らえないのは看守たちも同じだ。彼女はDEM執行部長にして、この【精霊監獄】の最高責任者が一人。
そんな人間に誰が逆らえようか。淫行に耽ることで絶望を忘れていた士織と琴里でさえ、彼女の顔を見た途端に萎縮し、恐怖で全身が震え上がっていた。
「拘束解除――――囚人番号【05】、【15】。楽になさい」
エレンの絶対命令権によって枷が外される。その瞬間、兄妹の時間は終わった。
「「エレン様、ありがとうございます!!」」
二人は愛し合う歪な兄妹から、絶対的な権力者に頭を垂れる最底辺の敗北者、囚人精霊に成り代わる。
愛液と我慢汁が垂れた地面に頭を擦り付け、二人は並んで媚びを売った。こんな場所に収監されたことへの恨みつらみを皮肉にして吐き出す。番号呼びに怒りを露にする。
「エレン様のおかげで、私たちは自分たちの罪深さに気づきました。心を入れ替え、罪を償う覚悟に目覚めることができました……! 数々の御無礼をお許しください!」
「二度と人間様に逆らうことはいたしません! 馬鹿で間抜けな精霊に、こんなにも分かりやすく教育を施してくれたこと、感謝いたします!」
「毎日気持ちいいことをしてくれてありがとうございます! 性欲管理してくれてありがとうございます!」
「愚かで愚図な精霊である私たちに、贖罪の機会をいただけて感激です! 心の底からお礼申し上げます!」
――――そんな繰り返しはとっくに終わっていた。
反抗で得ていた希望は服従という希望へと変わった。憎しみは恐怖。怒りは隷属心。強靭だった彼女たちの心は、傍から見れば希望にも満たないものを残して堕ちていたのだ。
勝利者と敗北者。その差はかくも残酷だった。強がることすらできなくなった兄妹が、因縁の女に浅ましく尻を振って裸で土下座をする他ないまでに。
「〝兄妹〟にはほとほと手を焼かされてきましたが、それも終わりですか……それとも、心にはまだ秘めているのか」
「っ、め、滅相もございません!」
「冗談ですよ。そんなに怯えることはありません。素直で従順な囚人には褒美を与える。私が決めたことです」
ただし、その褒美すら快楽なのは語るまでもない。直前の兄妹淫行のように気持ちがいいものか、エレンが上げた視線の先にいる精霊たちのように苦しさすら伴うものか。違いはそれだけのことだ。
「当然、あの二人には罰を。そうですね、あと100時間ほど加算しましょうか」
「ッ、そんなことしたら……」
ただでさえ厳しい刑に重ねがけされる。どれだけ必死に減刑しても、誰かが加刑されては何の意味もない。
「エレン様。卑しい身分で浅ましくも、お願いがございます」
「あの二人の……囚人【03】と【10】の減刑を、ご一考お願い申し上げます!」
士織と琴里が媚びへつらう理由の一端。それは最高権限を持つエレンの機嫌を取るためでもあった。
生意気だが理解が早い。この監獄で欠かせない隷属の心で慈悲を引き出さんと屈伏する。
「ええ。今の私はあなた方の態度で機嫌が良い。そうですね……あなた方が今日手に入れた減刑を差し戻し、あの二人の減刑に当てるというのなら、考えなくもありません」
「「ありがとうございます、エレン様!!」」
その理知に尊厳を捨てていく姿がこうもたまらない。愉悦が唇に弧を描く。美しい心を踏み躙って汚す下劣な行為に嗜虐心が満たされる。
「ですが、それでも相殺には少し足りない。あとは……15番、あなたは明日が射精日でしたね?」
「は、はいっ」
射精日。文字通り、士織が射精を許される日だ。精霊たちに邪な目を向けてしまうほど欲求が暴走した士織が、雄の禁欲を解放できる数ヶ月に一回切りの時間。
これも儚い希望の一つ。その射精があればこそ、士織は心をメスに堕とさずにいられた。自分は男だという自尊心をくすぐられ、未だ縋り付いていられる。
士織がまさかと震え上がった。エレンはさも熟考したと言わんばかりの表情で残酷な命令を下した。
「三ヶ月。それを差し出すことが恩赦の条件です」
「ッッ……!」
「お、おにいちゃ……」
嫌な吐息がヒュッと喉を駆け抜ける。思わず口を出そうとした琴里が咄嗟に口を噤んだ。今答えを持っているのは士織だけということを察してのことだ。
あと三ヶ月、禁欲。考えただけで頭がおかしくなる。兄妹で愛し合うほど性欲のタガが外れた士織だ。忘れようとしても〝まだ〟忘れることができない絶頂射精。ご褒美の時間を少なからず期待していた士織がいる。
それが今、目の前で取り上げられようとしていた。十香と狂三の減刑という、意味のない行為に。あまりの刑期故に、誤差となるような減刑のために、士織は大切な射精を三ヶ月も差し出さなければならない。
「ハッ♥ ハッ♥ ハッ♥」
無意識に腰を振っていた。滂沱のような我慢汁が貞操帯の口から垂れ、思い出したかのように勃起が始まりギチギチと戒めの激痛を士織にもたらす。
射精したい。射精したい射精したい射精したい。隣で自分と同じように頭を垂れる琴里に跨って、小さくなったチンポをマンコにぶち込みたい。よがり狂う十香と狂三のマンコを味わって、最高に気持ちよくなりたい。
そのくらいは許されたい。たった一度の射精だ。永遠に等しい罪業を償えというのなら、そのくらいの褒美がいる。射精がしたくてヨダレが止まらない。射精がしたくてカウパーが滴り落ちて匂い立つ。射精がしたくて前立腺が凝り固まって膨張している。
もう一秒だって耐えていたくない。最愛の妹にザーメンをぶちまけたいと考えるほどに頭が射精欲でおかしくなっていた。十香と狂三に怒り狂ったピストンをしたいほど欲情していた。
「……差し出し、ますっ!!♥ 私の使わないチンポの射精ごときが対価となるなら、いくらでもお使いください!!♥」
刹那に芽生えた邪な葛藤を士織は押さえつけた。この選択を彼は明日、否、数分後に後悔するだろう。それほどの性的思考に士織は犯されている。実際、勃起を諦めたチンポは滂沱どころか失禁のように汁を垂れ流し、射精を求めていた。
それでも見捨てられない。自分より大事なものを士織は見捨てることができなかった。どんな苛烈な調教で仇敵に屈しようとも捻じ曲げられない本能。もちろんそれが士織を苦しめ続ける。
「よろしい。では5番は……ふふ、兄に免じて優しくしてあげましょう。過去の自分、その全てを自ら踏み躙りなさい。所属、信念、家族、愛する者、全てです。そして犬のように媚びなさいな。今し方罪を受け入れたあなたなら、そう難しいことではないでしょう?」
「はい、エレン様……!」
愛する兄がこれほど苦しんで出した結論を蔑ろにすることなど、できるはずもなかった。
「囚人番号【05】が宣言します!♥ 私が所属していたゴミ組織、ラタトスクは公衆便所のような場所でした!♥ 部下も上司も同僚も、クズばかりで尻を拭く紙以下の存在価値です!♥ 私の両親も、ゴミカスの私を産み落としただけで刑務所行きの馬鹿夫婦です!♥ 家も学校も、この監獄と比べたら何の価値もありません!♥ ここは……この監獄は私たち精霊の楽園で、地獄で、終焉です!♥」
もっとも野望の障害となっていた忌々しい兄妹が、性欲に支配されかけた姿で自分に媚びを売る。
自分でもはしたないとは思っている。唇が描く月が大きく醜くなる――――そんな自分を詰る不快な存在は牢獄(手の内)に在る。
「……いいでしょう。減刑の差し替えを認めます。その慈悲に免じて、あなた方を相部屋にもしてあげましょう。以前から約束していた待遇の改善です、嬉しいでしょう?」
ああ、ああ。大変に愉快だ。飴を舐めさせてやろう、存分にだ。やっと一緒になれたのに、引き剥がされたくない。そう願う二人は、二度とエレンに不快な思いをさせないだろう。
そして二人は口にする。決まりきった心地の良い屈伏を。
「「嬉しいです、感謝します!♥ 私たちにさえ慈悲深きエレン・メイザース様!♥」」
彼女たちの平伏を以て、今一度宣言しよう。
ここは精霊監獄――――精霊たちの終わりの地。終焉を迎えた戦争の果てにある絶望の世界だ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ちなみにいつもみたいに原作設定や背景と擦り合わせとかはあんまりしてないです。バッドエンドシリーズにおいては散々やってきたので、こういう時は細かいことはいいんだよの精神。
ただ監獄の設定は色々考えてるので、小出しにしていく予定です。そんなこんなでアンケート。精霊監獄で次に読みたいお話の数字でここのコメント欄に投票お願いします。
1.収監初日のお話
敗北した精霊たちが収監された初日のお話。焼印や器具装着、監獄の洗礼をまだ生意気な態度のみんなが受ける。
2.監獄ドキュメンタリー
TV番組風に監獄内の紹介、精霊の毎日を流したり、看守や精霊にインタビュー。クイズを出したり、一般人ゲストが調教された精霊を弄んだり抱いたりのコーナーなど。完全に娯楽として楽しまれる尊厳破壊。
3.飼育教育
学校に貸し出されて、精霊がどれだけ愚かかを生徒たちが飼育しながらお勉強。ショタおね風味。歪な教育を受けたショタたちに容赦なく飼育される精霊たち。
大体こんな感じです。基本的にはどの子も出演機会がありそうなシチュを取り揃えました。
反応薄かったら悲しいので答えてもらえると感涙。よろしくお願いします!