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*公開から2ヶ月経過したため、通常プランで閲覧を可能にしました。


いつもご支援ありがとうございます。タイトル雑すぎワロタですけど当方ほぼ初のガチガチのNTRものです。あと上位プランなのに書きたいから書くわの禁術使って2万4000字フィニッシュしました。その尺をほぼ全部令音さんに使ったのでオリリンを出せなかったりもしました。


個人的大傑作です。私情九割で書いた上位プランというなの今の性癖ぶっ刺さり全力NTRデート・ア・ライブ……私の原作知識と解釈の本気、受け取れぇぇぇぇぇぇぇぇ!!


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 天宮市の大通り、街中の人混みを歩く一組の〝カップル〟の姿があった。

 その男女は対照的だ。片や軽い口の減らない見るからに軽薄な笑みを浮かべた長身の男。彼はファッションも明るく派手で、まさに若い『チャラ男』という容貌だった。

 女の方は落ち着いている。白のワンピースにコートの組み合わせは、迂闊に肌を晒さず、けれど彼女の魅力を引き出していた。結い上げられた銀の髪と、薄く化粧が施された面は元々が美女と呼ぶに相応しい。目元の深い隈も、彼女の憂いを帯びた美貌に一役買っていた。

 彼女のような美女とペアを組むというのは、男からすればさぞ鼻が高いであろう。しかし男はそれを当たり前のように享受し、くだらない話を続けていた。女は能面の如き表情、ともすればいつも以上に無表情で彼の言葉に相槌を打つ。


 歳は両者ともに二十歳くらいに見えるが、その雰囲気の差は歴然と言えよう。悪く言えば、軽薄すぎる男に女が付き纏われている……という印象を抱かせる訝しいカップルだ。

 年齢は近いというのに異色さを感じさせるカップルは、ビルの中に入りエスカレーターを登って三階、ランジェリーショップへと赴いた。


「ねー令音サン♪ 下着はどの色が好みっすかぁ?」

「……では、黒を」

「ひゅ〜、おっとなぁ〜。じゃあこれでよろしくお願いしまーす」


 一々チャラチャラした態度でランジェリーショップの下着を手に取り、令音と呼ばれた女に渡すチャラ男。彼女は応答から下着の受け取りまで無表情でこなすと、近場の試着室に入った。

 チャラ男が場違いな雰囲気をものともせず、口笛を吹いて待つこと十数秒。令音は引いたカーテンを開き、手渡された下着のみを身につけた姿を彼に見せつけた。


「……これでどうかな?」


 黒いブラジャーとショーツは、所謂『エロ下着』と言うもので、乳頭や女性器の部分に細い切れ込みが入り、扇情的な割れ目として機能していた。

 しかし、令音はそんなエロ下着を見せることに躊躇いはしない。そして、彼女の美貌はエロ下着が霞むほど美しかった。

 豊満な身体には無駄が一切ない。きめ細やかな肌の殆どが晒され、大きすぎる乳房がささやかに抑えられた姿は、いっそ神々しいとさえ感じられるだろう。本当に人として生まれたのかさえ疑問に感じる美しさ――――だが、男はその暴力的な美貌を見慣れていると言わんばかりの態度を見せる。


「お、いいねいいね〜。年増の割に結構いけるじゃん! いやマジで、もっと若けりゃ完全にストライクなんだけどなぁ。ちょっと歳が行き過ぎてて、マジ勿体ねぇって感じだわ」

「……すまないね。そればかりは変えようがない」


 恐らく、この神々しいまでの美貌と若さを持つ令音を〝年増〟などと侮辱できる愚かな勇者は、世界の隅々を探してもチャラ男くらいなものだろう。

 それほどの蛮勇、その若さで鍛え上げたことだけは評価しよう。しかし、それ以外は好感度が下がる要素しかない。もっとも、令音から見た彼の好感度など常に最下層、最底辺に位置しているのだが。


(……今のところ特別なものは見いだせない。いや、見た目通りと言うべきか)


 〈ラタトスク〉解析官、村雨令音。特殊災害指定生命体、通称『精霊』をデートでデレさせ保護する秘密組織の構成員である彼女。そんな令音が、なぜチャラ男と『デート』をすることになったのか。


(……こんな男に――――あの子たちが、堕ちるとはね)


 その理由は単純明快。五河士道がデレさせ保護した精霊たちを――――このチャラ男がデレさせてしまったから、だ。


 チャラ男自身に特別な力はない。それは令音の〝眼〟がハッキリと見抜いている。精霊が惹かれる特別な能力や、彼女たちのような霊力、ましてや士道が持つ霊力封印の術も一切持ち合わせていなかった。

 ただ彼は目敏い男だった。日に日に増えていく見た目麗しい精霊たちを見逃すはずもない遊び人、百戦錬磨のチャラ男。そんな彼が『本気でデートしてデレさせようとした』結果、精霊たちの半数以上が男に心酔していた。

 令音がその事実を知り得たのは、男が堕とした女を記録するためのエロサイトのURLを、令音に送り付けてきたつい先日のことだった。


『あっあっあっ!♥ 気持ち、良いです……!♥ もっと、そこ、触って、下さい!♥ きゃぁん!♥♥』

『んちゅ、れろぉぉ♥♥ こんな不細工な女のフェラなんひゃ、ひもちほふひゃいへしょ……へ、可愛い……?♥ ……馬鹿♥』

『んひゅぅぅぅ!♥♥♥ ふ、深いぃぃぃ……♥ 青年のチンポ、奥まで届いて……ううっ、いま、あたしの顔、見ないで♥ は、恥ずかしいからぁ♥』


 そのサイト内にはチャラ男とセックスし、デレさせられた精霊たちの姿が鮮明に映し出されていた。令音がもっとも驚いたのは、その中に精霊であり〈ラタトスク〉の司令官でもある五河琴里までも映っていたことだった。

 琴里の偽装工作にまんまと出し抜かれた形になった令音は、精霊の大半を喪失し、このままでは『計画』に支障をきたすと判断。琴里の息のかかった〈ラタトスク〉は頼らず、事を士道に知らせないためにも単身でチャラ男との交渉に赴いた。

 ――――チャラ男を密かに排除するという手段も考えたが、力ずくで事を進めては堕ちた精霊たちの精神が危うくなる。それこそ令音の『計画』が頓挫してしまう可能性があったため、彼女一人が矢面に立つ形で精霊解放の交渉に望んだのだ。


 令音と対面したチャラ男は、恋人にした精霊を解放する条件にある願いを提示した。


・現在男の恋人となっている精霊を解放する条件として、残りの子たちとも一度ずつデートをさせてほしい。


 もちろん、そんな条件が飲めるはずがない。それこそあの琴里をあっさりと堕とし、手駒のように扱う男に、守る対象の精霊を近づけるなどナンセンスな選択だ。

 男も自身のデレさせテクニックを自覚し、その条件が意味のないものであることを知っているのだろう。にべもなく却下した令音と言葉巧みに渡り合い、折衷案を組み立てた。


・一定期間、男と恋人関係になる

・期間終了後、対象の精霊が恋人関係続行を望まなければその時点ですべての精霊を解放する。

・仮に期間を過ぎても男と恋人関係を続行したい、というのであれば次の精霊へ。その際に期間を縮小する。


 要するに精霊が一人矢面に立ち、デレなければ精霊の勝ち。デレたとしても、残りの精霊たちに使う時間は段々と少なくなっていく。お互いの条件を擦り合わせ、極力公平にした最低限の条件だ。

 チャラ男にはあるのだ。少ない時間であろうと精霊をデレさせる自信が。半数以上の精霊をデレさせた実績から、その自信は過剰なものではないと令音は分析していた。

 故に、この条件でも令音は精霊を表に立たせるつもりはなかった。一人目が耐えられればそれ以降の者は犠牲にならずに済むが、場合によっては残りの精霊が全員餌食になってしまうという賭け事。だがこれ以上はチャラ男も引き下がらない――――そのために村雨令音が『一人目』の恋人として参加するのであれば、この条件を認めると彼女は告げた。


 令音が提示した条件をチャラ男は意外な顔をしながらも、楽しげに呑んだ。残りの精霊を手に入れる前の前座、これだけ綺麗な女ならたまには年増もいいか、というあけすけな態度は目に見えていたが、引っかかってくれたのならそれでいいと令音はため息を下げた。

 自分の身体のことは自分がよくわかっている。羞恥や感度共に低く、自分をコントロールして平静を保つこともできる。何より〝この姿〟なら、彼の好みに引っかかることもないようだ。

 自身が一番手で長期間を耐え抜けばそれで終わり、残りの精霊に触れられることなく解決する。精霊たちも彼から解放されれば、洗脳じみたチャラ男への心酔も解けるはずだ――――――


「じゃ、さっさと入っちゃおうか、令音サン♪」

「……ん」


 適当な相槌で素っ気ない態度を貫きながら、何とか取り纏めた契約を思い返していた令音は男の声に顔を上げた。敬称は使っているが、それは尊敬や敬意からは程遠い。令音を面白い賭けの相手、そんな風にしか考えていないチャラ男が提示したのは、看板に宿泊費と休憩料金が書かれた城のような建物――――要するにラブホテルだ。

 精霊攻略の段階で何度か示唆されたことはあった。が、それはあくまで直前の効果を期待したものであり、中でする本番の行為は当然だが想定されていなかった。

 初回のデートで迷いなくラブホテルを選ぶ厚かましさと、己の情欲を隠さない下劣な思考。チャラ男への好感度が地の底まで落ち行く中で、彼は令音の細い腰を手で寄せて言葉をかけた。


「うおっ、腰ほっそいなぁ。身体はめちゃくちゃ良さげだし、ちゃんと楽しまさせてもらうよ?」

「……ああ、好きにしたまえ」


 彼と比べて全く紳士的でない態度に、手に、言葉に、何も感じるものはない。

 皮肉を投げかける価値も見いだせないチャラ男を前に、令音の頭は冷え切っていた。思い浮かぶのは、誰より愛おしい少年の顔だった。


(待っていて、シン。すぐに、終わらせるから)


 彼のためにも、さっさと済ませて欲しいものだと令音は目を閉じた。









「おーい、令音サーン? 起きてるー?」

「…………あへっ?♥♥」


 不意に目を覚まして、おかしな声を令音は上げた。

 目を覚ましたという表現は適切ではないはずなのに、目を覚ましたとしか言えない感覚。数十年感じることのなかった惰眠、否、意識の完全喪失、あるいは思考能力の一時的なクラッシュ。


「ん゛っ、あぁぁ、あひっ……♥ なに、なんで……やめ、待て、やめて……あっ、あっあ……?♥♥」


 脳髄が著しく混乱して、令音はマヌケな表情でチャラ男の顔を見上げていた。そこで幾つか思い出した。ラブホテルに入り、服を脱げと言われてエロ下着姿になり、年増もたまにはいい、身体は最高などと相変わらず心ない賞賛を貰って、それから、それから、それから。


「ぶはは! アホ面かまして頭バカになってるじゃん。そら、もう一発どうぞ〜!」


 ドチュンッッッッ!♥


「ん゛ほお゛ッッ!!?♥♥♥♥」


 そう、それから、このペニスとセックスをして、即座に意識を刈り取られた。挿入された瞬間に頭が真っ白になり、喉笛をひけらかして白目を剥きかけながら気絶アクメをかました。

 正常位で奥に突き立てられるチャラ男のペニスは、全長20センチを優に超える雌殺しのカリ高チンポ。それでも、令音が感じることは〝ありえない〟。そう思って受け入れた。が、それを〝ありえない〟と定義した令音は、チャラ男のことを、雄のことを何か一つでも知っていただろうか?


「いやー、たまにいるんだよねぇ。あんたみたいなバカな女って」

「お゛っ♥♥ ほ……お゛ぉお……オォンッ!?♥♥♥」


 チャラ男は単に腰を振って、膣を使っているだけ。それだけのはずなのに、令音は瞼の裏から情熱とは程遠い快楽だけの火花が散り、十数年ぶりの眠りと覚醒を野太い声を上げながら行き来する。言葉を語る余裕がないのは令音で、あるのはチャラ男だった。


「自分は感じませーん。私は不感症なので余裕です〜、って顔してさぁ。ほんっとバカだよねぇ。それ、自分の身体のことなーんにも知らないって触れて回ってるだけなのに」

「う゛、ぎィ゛♥ ふォ゛……おぉっ♥ ふーっ、ふーっ、ふぅ゛ーッ゛♥♥ お゛ッ、ん゛ひぃ〜〜〜〜……っ!♥♥♥」

「そういう女がさぁ、いざヤられると必死に我慢すんのよ。ちょうど今のあんたみたいな顔でね」


 身体の奥底からせり上がって、中枢神経に叩きつけられる物質が令音の意志を無理しして絶頂を煽る。本来の〝力〟で制御しているはずなのに、令音の身体から快楽という物質が消えてくれない。だから、彼の言うように歯を食いしばった我慢顔をしてでも耐えようとするが、鼻水を噴き出しても快楽は全く止まらなかった。


「まあでも、あんたはマジで分かりづらかったよ? 巧妙に隠してるつーか、無意識で封じてるって感じ。けどちょいと探ってやればこんなもんよ。自分でも知らなかったってことは、前の男はヘッタクソだったみたいだね〜」

「っ……!!」


 しかし、それを聞き逃すことはできなかった。チャラ男は適当な予想を口にしただけなのだろうが、令音からすれば『彼』への侮辱は禁忌だ。

 鼻水を噴き出してアヘりかけた顔を怒りに任せたものへと変え、見下ろすチャラ男を睨みつける。


 ドチュンッ♥♥


「う゛っひあ゛ぁ゛ぁ゛あぁ〜〜〜〜ん♥♥♥♥」

「お、今怒ったっしょ? でも意味ないでーす。年増のメス声アヘ顔いただきました〜〜!」


 それも男の一突きで霧散し、令音は信じられないほどみっともない嬌声を響かせながらイキ潮を飛び散らせた。股はとっくに下品なまでに全開で、両足の爪先が『ピピーッン♥』と情けなく尖っている。

 ベッドの上でよがり狂う村雨令音。彼女を知る者であれば、信じられない艶姿だ。が、チャラ男を知る者、特に彼の一際お気に入りである恋人(精霊)たちからすれば、当たり前の光景だった。

 令音自身が不感症だと思い込んでいたそれは、単に雄というものを知らない無垢な引きこもりマンコというだけのことだった。男の手によって、一度も使われていなかった快楽に目覚めた。少年少女の恋愛ごっこでは感じられない、本物の雄と出会ったことで彼女は覚醒した。


 精霊たちを落としたチャラ男の実力は本物だ。特に性技術は一級品――――雄に対して不感なのではなく、単に雄を知らなかった村雨令音が太刀打ちできるはずがない。


「ほら、ここがいいんだろ? 年増マンコしっかり使ってやるから、たっぷり気持ちよくなれよー!」

「ふんぉ゛おぉ……い、ぐ……イグ……ッ!♥♥♥♥ ん゛ッ……イ゛い゛ぃ゛イ゛♥♥ ごれ゛、やべッ、て……♥♥ やめっ、そこ、そこはダメ……♥♥ 押し付けては、弱いぃぃぃ……こんな、なんで……おかしい……やめ、てぇっ……♥♥♥」

「やめるわけねーだろ、バーカ」

「ふぎゅ゛ィ゛ぐぉ゛お゛お゛ぉ゛〜〜〜〜っ……♥♥♥♥」


 イかされる。チャラ男は瞬く間に令音の知らない令音の弱い部分を見つけ、雌殺しのチンポで責め立てる。それは膣口のヒダ、愛液を分泌する肉壁、ポルチオと呼ばれる子宮の奥底、どこであろうと関係なくチンポで突く。


「イってる、イってるから……突くの、やめてくれ!♥♥ イってるのにまたイく!♥♥ そこっ、イグッ!♥♥♥♥ あひぃぃぃぃぃ〜〜〜〜♥♥♥♥」


 それだけで令音は嬌声を上げるしかない。だらしなく伸ばした鼻の下に照りつける鼻水。憂いを帯びていた瞳は、快楽という底なしの沼に沈んであらぬ方向を剥き上げている。喉笛は仰け反り、口は大開きで舌根をみっともなく垂らしていた。

 本物のメス顔、下品なアヘ顔で生娘でもしないような品性下劣な喘ぎ声を張り上げる。


 結局、チャラ男がイクまでに令音は片手では足りないほどのマジイキを経験した。


「ふぅ〜、今までで最高の年増だわ。はー、マジでもうちょい若けりゃなぁ……ま、とりあえず記念撮影っと」


 要求しないのもおかしいだろうと、装着を義務付けたコンドームが令音のくびれた腹肉に打ち付けられた。

 ガニ股を広げ、腋を見せつけるようにバンザイをして仰向けに転がった令音は、その潰れたカエルのようなマヌケな姿を写真に収められた。


「……ぉ゛♥♥ あ゛ぉ〜〜っ……♥♥♥」


 無論その顔に浮かんでいたものは、白目一歩手前で言葉にならない声を上げる、理知的とも儚げとも程遠い卑猥に歪んだ美貌だった。





「……先生。村雨先生!」

「……っ」


 ボーッとしていた令音がハッと目を見開いで見たのは、心配げな童顔を向けた岡峰珠恵教諭。職員室、つまり令音の同僚である彼女がぼんやりとしていた令音に声をかけた姿だった。


「大丈夫ですか? 何だか、いつも以上にボーッといてらっしゃいましたけど……」

「……ええ、大丈夫です。……問題ありません」

「そうですか……十香ちゃんたちも最近は休みがちですし、村雨先生も無理をしないで、流行り病には気をつけてくださいね?」


 その十香たちが休む原因の相手をしているから、令音にも疲労が溜まっている。とは何も知らない岡峰教諭には言えるはずもなく、令音は当たり障りのない返事をして彼女を見送った。

 令音の担当授業は彼女の次だ。少しばかり時間が空く。令音は椅子の背もたれに身を預け、思案をした。

 と言っても考えることはない。ただチャラ男の手管に惑わされず〝耐える〟だけ。彼との恋人関係が始まって一週間近くが経つが、初日のデート以来は令音へ間接的な干渉をするに留まっている。


「……ん」


 噂をすれば、スマートフォンにチャラ男からの着信が入った。

 それを見た令音は僅かに眉根を顰めると、スマホのカメラを股間に翳し――――彼に送る画像を撮影した。


 令音が事態を知ることになった原因であるエロサイトは、彼個人の趣味で始めたもののようだ。初めは危ない橋を渡るような行為だったそれも、琴里という幼いながら絶大な権力と相応の知略を持つパトロンを得て、表の組織では処罰できない半合法的な課金サイトと化していた。


「いやー、持つべきものは可愛い恋人(セフレ)だよね〜」

「…………」


 チャラ男が――〈ラタトスク〉の手で学校の拠点となった――物理準備室に入り込み、令音がいつも座っている椅子を我が物顔で占拠しているのも、琴里の巧妙な手回しがあればこそだ。部下に慕われている彼女の一声があれば、多少不自然な命令でも後腐れなく実行されてしまう。

 令音にそれを阻止する権限はない。今だって、先ほどの写真を送った傍から『さっさと物理準備室に来いよ、淫乱ババア♥』などとふざけ倒したメッセージを受け、ある刺激に耐えながら命じられるまま彼の前に来てしまったのだから。


「それにしても健気だよね、令音サンってば。自分だけさっさと逃げちゃえばいいのに、顔に似合ってお綺麗って言うか? いやぁ、精霊でもうちょっと若ければマジ口説きしてたんだけどなぁ」


 相変わらず憎たらしいくらい快活とした笑いだが、チャラ男の言葉には不思議な魅力があった。

 行為に持ち込むにしても口先の上手さがなければ出来ないことだ。交渉の際にも思ったことだが、彼は性技だけでなく口が異様に上手い。


「へへへ、写真みせてもらったよ。だらしないところもあるって言うか、やっぱ毛が濃いっすねぇ。あ、油断してました?」

「けど、形や細かい所は手入れしてあってやっぱり女の子って感じがするわ。それに良い匂いもしてたまんねー」

「年増年増って言ってるけど、身体のバランスは文句なしに上等だし、天然の物と、誰かを想って整えてるのがよくわかるっすわ。意外と一途で乙女だよな、令音サンって」

「表情は冷静を装ってるけど……マンコは赤く染まってるぜ。照れ隠しだな……おっ、顔も染って可愛いねぇ〜」


 半分は本音でないだろうに、令音を口説き褒めるその言葉には魔性の色があった。それこそ快楽の影響もあるのか、彼の本質をわかっている令音でさえ聴き入り始め、僅かだが嫌悪感が薄れてきていた。

 初心な小娘のように頬を染め、矢継ぎ早に放たれる彼の口説きに顔を背けたくなってしまう。もちろん、令音が想いチャラ男が彼女の受け答えから想像する『彼』には遠く及ばない、ということがわかった上でだ。


「相変わらずフラフラして大変そうだねぇ。あれから体調大丈夫? かなり無理やり〝開け〟ちゃったから心配でさ、ちょっとマンコ見せてみてよ。診断してあげるよ」


 最終的に、その口の上手さは下劣な行為にしか使われないのだ。如何に嫌悪感が和らいだところで、それ以上にはなり得ない。

 己に芽生えつつある感情に見て見ぬふりをし、令音が言われた通りスカートをたくし上げた。


 むわぁ♥ と鼻を摘みかねない雌臭が物理準備室内へ一気に拡散する。股部が切り取られたオープンクロッチタイツ。丸見えのマンコには奇っ怪な音を立てるピンクの淫具が突き刺さり、淫靡な水音を奏でている。


「うわマジかー、学校の教師でこれはやべーっすわ。つか写真より濡れてね? これでよく素面保ってられるわ。無駄な努力おつって感じだけど」

「……んっ♥」


 散々な風に揶揄された令音は、ほんのりと赤みを帯びた頬を揺らして吐息を漏らす。しっかりと官能の色を帯びたそれは、突き刺さり蠢くバイブに淫汁をダラダラと流す自身のマンコに、無表情の壁を破られた確固たる証拠だった。

 あの日〝目覚め〟させられた令音の中の雌は、忘れられることなく確実に根付いていた。以前なら表情筋を欠片も動かさずにいられたであろうマンコのバイブも、意識していなければ声が漏れてしまうほど感じる。羞恥が欠けた不感症というチャラ男への対策は、いつアヘ顔を晒すとも限らない敏感体質へと一転してしまっていた。

 そんな令音にチャラ男は深みを増した嘲笑と、いくつもの命令を与えた。彼が恋人にする命令は、ある意味で令音へ興味を繋ぐために引き受けなければならないものだ。本来なら挑戦される立場だった令音は、チャラ男の気を引かなければ精霊に手を出されかねない、という立場にまんまと追いやられ、先のようなエロ自撮りを要求された。


 新しい恋人の記録でもアップするつもりなのだろうか。チャラ男はリアルタイムでバイブが唸りを上げる令音のずぶ濡れマンコと、画像として残った記録マンコをまじまじと見比べていた。以前なら羞恥を覚える必要のなかったそれも、今の令音を蝕む毒だ。

 いつまた〝アレ〟を味わうことになるのか。令音の心に確かな羞恥と恐怖が生まれていた。そして、おもむろにバイブを引きずり出したチャラ男は、立てた二本の指を淫猥な糸を垂らした雌の住処に伸ばす。


「っ……」


 訪れる快楽という恐怖は、また令音の想像を絶するものなのだろう。そう考えた時、令音の腰は自然と後ろへ引いた。スカートが捲り上げられ、みっともなく開かれた股がチャラ男から逃れようと足掻く。


「おい、逃げんな」

「ッ〜〜♥」


 だが、止まった。単なる人間の男に凄まれ、令音の顔が硬直して腰の動きがそれに連動した。

 単なる人間。令音がその気になれば、一瞬で塵に出来る存在。そんな矮小な者に指先をたった二本突きつけられ、睨まれた。それだけで令音は蛇に睨まれた蛙の如く、全く身動きが取れなくなったのだ。

 人はそれを恐怖と呼び、恐怖の先にあるものを服従と言う。ほんの僅かな時間でも服従した雌を雄の指は逃さず、白磁色の肌と鮮やかに対比する乱れた陰裂に指を咥え込ませた。


「ふ、ン゛……っ♥♥」


 まだ指先が触れただけだ。なのに、令音の深い海を思わせる瞳はバチバチと音を立てるように歪み、上擦り、雌の片鱗をその吐息に覗かせた。

 チャラ男の指が秘部を弄る。少し遊んでやるかとばかりにヒダを擦る。それから膣内に入り、指を引っ掛けながら壁を本格的に壁を擦り始めた。簡単な前戯のはずが、令音は度々喘ぎを我慢したおかしな吐息を零していた。


「……ン゛ン゛ッ♥♥ ん゛っ……っ♥ ぅふ……ぐっ……♥♥♥ ……ふーっ、ふーっ♥」

「ぶはっ。令音サン、やっべぇ顔してんじゃん。てかまーた逃げようとしてるし。無駄な抵抗おつおつー」


 顔を真っ赤に染め、力を注ぎすぎたあまり歯茎を見せる不細工な我慢顔で令音は耐える。耐えているつもりなのだろうが、彼女の秘部からは淫らな水音に混じって『ブシッ♥』『ブシュッ♥』の弾け飛ぶような汁の音が聞こえてきていた。

 全くもって話にならない。力関係はチンポとマンコだけではなく、指とマンコにもある。令音は圧敗している。

 歯茎を剥き出しにしたマヌケ面で耐えるだけでは事足りず、セックスで見せた足ピンで爪先立ちになる。少しでも指から逃れたい身体の判断だが、問題の先延ばしどころか下手をすれば快楽が倍加する諸刃の剣。いつその爪先が力尽き、腰が滑り落ちてマンコが串刺しになるか見物な光景だった。


「つか、ただでさえ年増なのにそんなブッサイクな顔すんなし。ほらよ」


 ぐりゅっ、ぬぢぬぢぬぢぢぢぃ……♥


「ん゛にょへぇ゛……?♥♥♥♥」


 もっともそれを待つ必要はなかったようだ。チャラ男の指は令音の致命的な弱所、Gスポットを的確に削ぎ突く。その快楽物質が脳髄に行き着くと、令音の表情は思考より先に蕩けて歪む。

 鼻の下をめいっぱい伸ばし、上擦り目で艶やかな唇を鋭く尖らせる。見事なアヘ顔をキメた令音にニヤリと笑った顔を近づけたチャラ男は、彼女の卑猥な美貌を眺めながら本気の手マンを始めた。


「お゛っ……♥♥♥ お゛っお゛っオ゛ッ♥♥ ぴぎょッ!?♥♥♥♥ ほんぎょィ゛い゛ぃ゛ィィ〜〜〜〜〜♥♥♥」

「探るのはそこそこ苦労したけど、見つけた後の弱点丸出しっぷりがやべーのよ、あんた。ていうかマンコが丸ごと弱点。どこ擦ってもイかせられるくらいだわ。よくこれで男とか知りませ〜んみたいな厚かましい顔で生きてこられたねー」

「お゛ぎっ、オ゛ん゛ッ、お゛ほォん゛♥♥♥ ふっ、ふっ、ふひっ、ひィィんッ!♥♥ あ゛っあ゛っあ゛っア゛ァ゛ーーーーッ!♥♥♥♥」


 チャラ男の軽口に相槌を返すどころか、およそ人間の言葉ではないよがり声を令音は響かせることしかできない。

 タイツが愛液で透けた両脚は惜しげもなくガニ股を開き、限界を超えた爪先は足裏を向かい合わせるように立ち、それが標準であるため指の刺激からどこにも逃げられないでいる。逃げられない分は余すことなく快楽に変わる。反り返った背中を駆け抜け、舌根が天井を突く顔面の脳に行き着き、潮吹き絶頂を令音に強要する。


「あ゛っ、う゛ォんっ!♥♥ そこ、そこっ、駄目だ!♥ 気持ち、良すぎて、感じて、あひっ、すぐイって、しまう!♥♥ あっ、そこも、気持ちいい!♥♥ だめっ、そこもだめ、らめぇぇぇ♥♥♥」


 その姿は〈ラタトスク〉の解析官としての立場を、何よりも数十年間忘れられない想いをアクメという感覚で上書きし、忘れ去った無様な雌の姿そのものだ。


 恋人期間最終日まで、村雨令音のあらゆる時間はチャラ男の采配に委ねられた。それは彼女にとって心の休まらない、しかし途方のない快感を身体に覚え込まされ、頭が真っ白になるほどイかされるある意味では幸福な時間だった。

 何も考えられなくなる。それは、令音が心のどこかで欲した救い。それでも、令音は無くすわけにはいかない。〝それ〟は村雨令音という『モノ』にとって、欠かしてはならないものなのだから。





「うひょー、ババアアナルやっべ、吸いついて離れねえや。琴里のクソキツアナルとはまた違って面白いったりゃねぇ……お、令音チャンの弱点み―つけた! アナルセックスできるように、しーっかり解してあげるからな」

「……おっほ、ほぉぉぉ!♥♥♥ ンホーッ!♥ ……こ、琴里のことは、言わないでくれ……!♥ これ以上手出しは……わ、私に、集中するんだ♥」


 学校の最奥に位置する男子トイレ内で、壁に手をつき丸出しで突き出した巨尻の尻穴を嬲られる。

 そこは令音にとっても完全なる未知の領域。排泄を必要としない種の令音は、尻穴という知識のみを持つ穴の〝初体験〟をチャラ男に捧げてしまった。『彼』も知らない令音の肛門。毛が深い秘部と違い、くっきりとそのピンク色をひくつかせたアナル。

 それを指で穿られた途端、令音の背中をゾクゾクも言いようのない感覚が突き抜け、恥知らずな嬌声が溢れた。ここが学校のトイレであると頭では理解しているのに、新品のアナルから迸る快楽の熱をコントロールできなくなる。それを制御しているのは令音ではなくチャラ男。彼は令音が発する懇願を聞いているのかいないのか、皺を窄めて吸い付くアナルから、わざと指を引っ張り出しながら声を発した。


「りょーかい。おっほ、流石大人なだけあって胸でっかいなぁ! 美九もブルンブルン揺れる最高のデカパイだったけど、あんたのは乳首もビンビンだわ。ここでもイケる様にしてやるよ。せっかくだ、いつでもフル勃起発情淫乱デカ乳首になれや」

「んおぉぉぉぉ!♥♥ 乳首、やめ、て……おふおおぉぉぉ〜〜っ……♥♥ アナルも、ほじらないでくりぇぇ、ひっぱらないれっ、お願い、しますぅ゛お゛ぉんっ♥♥♥」


 自分だけに集中しろ。けれど、それ以上弄らないで欲しい。全くもって矛盾も甚だしい懇願を、快楽でぐちゃぐちゃになった頭から何も考えずに発しながらよがり狂う。




 令音はチャラ男と着実にデートを重ねていった。その内容は、よりにもよって令音の身体が快感に抗うことが難しく、表情すら取り繕えなくなり始めてからより過激になっていった。

 ドームを万雷の喝采が包み込む。その中心には紫銀の髪を華やかな衣装と共に揺らし、万人が聞き惚れる歌声を奏でる少女に向けられていた。

 心を奪う極上の歌声。だが、彼女の向ける笑みも今や一点に注がれているとファンの人々は気づいているのだろうか。その対象であるチャラ男は、令音を隣に一般席で立ち見しながら、誘宵美九(デレさせた精霊)が最高のパフォーマンスを披露する場を楽しんでいた。


「笑顔でライブやってるだろ。信じられるか? あの女、今ケツ穴にどぎついバイブ咥えて歌ってるんだぜ。ファンの前でニコニコ笑いながらな。こうやって動かしてやれば……」


 チャラ男が手に持ったボタンを令音に見えるように掲げ、押す。その動作に待て、の一文字目さえ令音は言うことが叶わなかった。


『〜〜〜〜〜〜〜〜ッ♥♥♥♥』

「……んほぉぉぉ!?♥♥♥♥」


 流麗な歌声が途切れた間奏の数秒間、美九は奥歯を食いしばりショーツの中にイキ潮をぶちまけた。大舞台でケツ穴でイキ、アクメ顔を晒したのだ。中にはアイドル誘宵美九のスケベなイキ我慢顔に気づき、動きを止めてズボンにテントを張っている者がいるかもしれない。何万人という観客が見ているのだ、ありえない話ではない。

 しかしよく顔だけで我慢できたと思う。なぜなら令音は、ケツの中で蠢くイボバイブの衝撃にみっともないオホ声を上げてしまったのだから。不意打ちは同じだったというのに、令音だけが耐え切れず震える臀部を抑えてケツアクメをキメた。その尻にチャラ男の手が伸び、いやらしく撫で回していく。


「あ、いっけね。令音チャンのも動かしちゃったわ。そんなに気持ち良かった?」

「……んふっ、こんな、ところで、触らないでくれ……!♥ バイブ、止めてくれ……!♥ た、たのむ……んほっ、ン゛ッぉ゛♥♥♥」


 頼む、止めてくれ。そうして下から物を請う惨めな行為を躊躇わなくなったのは、果たして何日目からだったか。その尻を撫で回す手に不快感を覚えなくなったのは、そう最近のことではなかった気がしている。


 ライブの熱が冷めやらぬまま、令音はラブホテルでチャラ男に激しく抱かれる。美九が用意した無人の控え室で、というチャラ男の提案を〝我が儘〟で拒否したために、令音の発言権は著しく低下する。

 ベッドの上では令音の仮面は剥がれ落ち、『自分』が垣間見える小娘が如き官能の声ばかりが響き渡る。四つん這いで尻肉を鷲掴みにされ、絶倫の肉棒を弱い部分にこれでもかと叩きつけられ、髪を乱し汗を弾けさせて淫らな姿を晒す。


「あんっ、あんっ、あぁぁぁんっ!♥♥♥ もっと、も、っと、優しく、してくれ……!♥ でないと、もたない……もう、十分射精しただろう♥ ゴム、足りなくなる……っ♥♥」

「まだまだこれからっしょ! てか全然ヤリ足らないわ。ゴム買ってこさせるついでに他の娘たちと合わせて3Pしようぜ! ロリ上司と年増部下とかどうよ。4Pでもいいけどなー」

「……だめ、だっ♥」


 しかし、他ならぬ『娘』たちを引き合いに出されては、令音も『母』の貌を覗かせて拒絶をする。

 膣からチンポを引き抜き、四つん這いのまま振り返ると、何枚目かのコンドームを引き抜き、自分のマン汁が染み込み濃厚な性臭に酔いそうなチャラ男の剛直をその唇で呑み込んだ。十数年待ち望んでいたキスを、よりにもよってチャラ男のチンポにディープなもので捧げてしまう。


「ん、ちゅぷ……他の子たちを呼ぶのは、ひゃめだ♥ ちゅる、じゅ♥ 私が、その分、あなたを奉仕するから、私だけを相手してくれ……♥」

「だったら、もっと愛想よくしてくれるよな? せっかく可愛い顔してんだからさ、俺も楽しんで恋人扱いしたいわけよ」


 彼の言葉に、頭を優しく撫でる安易な行為に令音はドキリとした。娘を言い訳にチャラ男にデレいる。いいや、そんなわけはない。令音は己を否定する。けれど、令音の顔はチンポをしゃぶって細長くなりながら縦に振られていた。


「素直で可愛くなってきたじゃーん。おら、もっと吸えよ。喉奥までマンコにしてやんよ」

「ん、ぶぅぅぅ♥♥ じゅぽじゅぽっ、ずちゅぅぅぅぅ♥♥♥」

「ぷははっ、なんだその顔! バキュームで年増が馬面になっててやべー。はははっ!」


 ――――そうして我を失う濃密な時間を過ごすうちに、『彼』のことを思い出す時間は、知らぬ間に少なくなっていった。





「……うお、今の女やばくね?」

「あ? ……すげぇ格好してんな」

「な。あの顔でビッチだぜ、ビッチ。隣のチャラ男くんが羨ましいねぇ〜」


 すれ違う男たちがヒソヒソと揶揄する声を零していく。初日は見られても言葉にはされなかった、街中での人混みを歩くカップルのデートに令音は頬を染める。それも初日の令音にはなかった味のある羞恥顔であり、すっかり〝雌〟が表に出た女をチャラ男は肩を抱いて引き寄せた。


「令音チャンの格好言われてるねぇ〜。最終日だからハンデをくれたってことかな、俺好みのデートコーデは」

「……♥♥」


 言葉は返さないが、素手で触れられるほど露出した下腹部に熱が籠り、令音は茹で上がったように思考が停止した。

 恋人期間の最終日。チャラ男は口では焦っている風を装っているが、余裕は如実に見て取れた。対して令音は、己の行動に甚だ疑問を感じざるを得なかった。

 初日のデートコーデとは真逆を行く、チャラ男のために派手さを極めたようなエロ衣装。エナメルのホットパンツは令音のムッチリとした尻の形をいやらしく見せ、脚の曲線に沿った網タイツが女肉をさらに強調する。シャツは地味な灰色に見せかけて、臍や横乳を大きく出して下品な乳袋を作っている。そこに申し訳程度のジャケットを羽織り、せめてもの変装として髪を下ろしている。

 その深い隈がなければ、彼女を村雨令音と断定できる者はいないかもしれない。そのくらい今の令音のコーデはかつての彼女と離れており、それでいながら絶対の美貌が雄の目を確実に引く完璧なエロコーデだった。


 なぜそんなことをしたのか、令音にはわからなかった。迎えた最終日までの期間は、認めたくはないが毎日のように与えられる快感のおかげで一瞬のように感じた。『彼』を待ちわびる時間が長く長く待ち遠しく、苦痛を伴うものだったのもあって、チャラ男との時間は鮮烈に過ぎた。

 認めよう。確かにこのチャラ男ならば、精霊たちを巧みな手管で堕とすことができる。が、令音は精霊たちのようになるつもりはない。彼女たちの『母』として、何より己が絶対の目的のために日が変わった瞬間に、チャラ男へ〝NO〟を突きつけ恋人関係を解消する。


 故にこの格好は、恐らくはチャラ男への敬意だ。逃げずに自分へ立ち向かった彼へのご褒美だ。令音は無意識に『始原』の存在として、勝ち目のない雄へのプライドという名のマウント行為をしていたのかもしれない。


「じゃあ行こうか、令音チャン♪ 最終日のデート、思いっきり楽しもうぜ」

「……んっ♥」


 それを知ってか知らずか、今日のチャラ男は令音のことを年増とばかにしたりせず、その心地いい口説き文句で令音の腰を抱いてデートへ赴いた。

 それが狂気的な悦を伴い、いつになく心臓が高鳴る――――まるで『彼』を想っていた時のように、令音の心臓は言語を覚えたばかりのあの頃のように、高く、若く、強く、激しく……高鳴り続けていた。


 服を見て、買い物をし、映画を見る。普遍的なデートであり、令音の装いからさぞお似合いのカップルに見える仲睦まじい時間を彼女はチャラ男と過ごした。


「いやぁ〜、こんなまともに遊んだのひっさしぶりだわ。付き合ってくれてありがとね、令音チャン」

「……いや、構わない、よ♥」


 しかし、手は出されない。あんなにも軽々しく伸ばされていた手は、令音の肩や腰、腕に絡まる〝程度〟で済まされていた。嫌悪どころか、好意的な感情さえ抱く。けれど、本当にそれだけで止まっていた。

 あんなにもねちっこく責め立てた乳首がノーブラで勃起しているのに。

 あんなにも丹念に撫で上げ、アナルまで目覚めさせたデカケツを振っているのに。

 あんなにも強靭な雄のモノを突き立てたマンコが、発情の匂いを醸し出しているのに。


「最近は他の子が暇を見つけた傍から遊びにくるからさぁー。美九とか、もっとアイドルとしてのプロ意識持った方がいいと思うんだよねー。琴里がフォローしてくれてるから全然何とかなってるけどさ〜」

「……んくっ♥♥」


 その癖、他の〝雌〟と仲睦まじい様子を仄めかされ、令音は無意識に生唾を呑み込んでいた。

 心臓の鼓動が激しいだけでなく、子宮が疼いて仕方がない。散々弄ばれた膣内が、マンコが下着の中に汁をドクドクと染み込ませている。このまま終わればいい。何も考えなくていいはずなのに、玲音の聡明な思考が無駄なことにリソースを割き始めた。

 チャラ男が最後に何を企んでいるか読めない。彼ほどの雌好きが、煌びやかな娘たちを野放しにするはずがない。必ず何か仕掛けてくるはずだ。だがやはり、何を企んでいるかわからない――――ならばこちらから打って出る。


 令音はチャラ男の手を引いた。男の手を自分から望んで取るなど、あの浜辺以来かもしれない。あの時よりも男らしく、そして自分を何もかも心地いい快感に浸してくれる手に令音は唇を端が吊り上がったことを、嫌でも自覚させられる。


「おいおい令音チャーン。エッチなことする場所に自分から連れてきたりして、一体どうしたのさ」

「……ッ!♥♥」


 初日とは違う。今度は令音がチャラ男をラブホテルの中に連れ込んだ。チャラ男はあの時のようにリードはせず、意図せず連れて来られたという態度で肩を竦め、ニヤニヤと笑っていた。

 令音は何も言わず奥歯を噛み、この日のために拵えた衣服を目の前で脱ぐ。汗でへばりつき、乳輪までくっきりと透けたシャツや、マン汁が染み込んで変色したあの日と同じエロ下着まで床に打ち捨て、汗が滲む肌を余すことなく見せつける。

 玉の汗が雌の臭いを醸し出す。開かれた股座から猥りがましい糸が垂れる。それは天使の如き神が神性を失い、淫乱な雌に堕ちた姿。その完璧な裸身に畏敬や神々しさを覚える前に、纏う淫気が興奮と扇情を煽る。


「うわ、汗とマン汁やっば。ガチ発情期じゃん。こりゃあ男も振り返るわ」


 しかし、チャラ男は我を忘れて襲いかかりなどしない。彼にとって、神々しさすら覚える令音の裸身もストライクゾーンから外れた裸に過ぎない。そういう意味では、令音は『娘』たちに劣っているのだろう。

 能力では彼女たちを一蹴できる『母』たる女が、彼の前では一歩劣る雌になる。それこそ本来の姿を晒せば全て解決することなのだが、令音はこの後に及んで自分が堕ちていないと理性を残していた。

 そう、今は恋人期間。終わったら、その理性でチャラ男を打ち捨ててしまえばいい――――だから今は、ベッドの上で股とマンコを開いて雄を誘い出す。


「うっひょう、令音チャンのハメ待ちポーズとかマジ? こりゃあ据え膳食わぬは何とやらって感じ……なんだけどさぁ。今日はゴム持ってきてないんだよねぇ。だから生ハメになっちゃうけど、そこんところどう?」

「……♥」


 コクコクと頷いて、指で広げた淫猥な穴肉をヒクヒクと動かして、あくまで言葉ではなく行動でチャラ男を誘い出す。

 ゴムなど所詮、人間の女らしく振る舞うためのもの。いくら中出ししようと、令音が望まなければ子を為すことなどない身体なのだ。故に令音はゴムの有無は状況変化に関わらないと切り捨てた――――それが未熟な雌の選択であることは言うまでもない。


「おっけー。それじゃ、遠慮なくヤらせてもらうわ」

「ごくっ♥」


 全長二十センチ後半に迫るフル勃起生チンポが掲げられる。軽薄な態度とは裏腹な、誰より男らしい雌殺しチンポに、令音は生々しく唾を呑み込み喉を鳴らす。

 キュンキュンと疼いてうるさい子宮も、これならば黙らせてくれるはず。知らぬ間に緩んだ頬と唇は、村雨令音らしからぬにへらとした蕩け顔を彼女に浮かばせている。

 膣口をカリ首が押し退ける――――瞬間、チャラ男は笑って言葉を告げた。


「てか、最終日だしマジでヤるわ」

「へ?♥」


 ずっっっっっぢゅんッ♥♥♥♥


「お゛ッッッッッ!♥♥♥♥♥」


 瞬間、村雨令音は吹き飛んだ。それは蕩け顔が白目を剥き、仰け反り舌出しアクメをキメた意味でもある。村雨令音、正確には令音を『彼女』たらしめるモノ、理性を繋ぐ楔が粉々に粉砕された意味でもあった。

 どうであれ、令音はどうしようもなく吹き飛んで砕け散った。生で挿入されたチンポがその子宮を穿った瞬間、『彼女』が頼りにしていた『令音』の理性が穿ち貫かれ、すり潰され、こそぎ落とされて消え去った。


「お゛っ!♥♥ お゛っ、お゛ォ゛っ!♥♥♥ おごっ、ほぉっ、んお゛っ、あ、お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛〜〜〜〜〜〜ッ゛!?♥♥♥♥」


 それだけの衝撃がたった一撃の挿入で令音の身体中を駆け巡り、彼女の中にあったセックスの最大快楽があっさりと上書きされた。


「なに゛、これ……!?♥ ちが、知らない!♥♥ こんなの、知らない!♥♥ なんで!♥ イ゛ぎぃ゛ぃ゛〜〜っ……♥♥♥」


 今までのセックスが、全て遊びに思える。ともすれば手マンや乳首弄り、アナル責めで更新されかけていたセックスの快感が、たった今はそれ以外を突き放した。

 わけも分からず叫びを上げる。首の根を反り、爪先をイキ立たせる。同じはずなのに、違う。令音が守っていた『彼女』が浮き彫りになって、大人の美女のはずがどこか幼さすら感じさせる雰囲気へと変化していた。


「いや、本気(マジ)でヤるつったじゃん。まさかババア相手に本気出してると思ってたん? 心外だわー。まあ正直なかなか新鮮で楽しかったけど、そろそろ時間だからしゃーねーのよ。おら、イけよ」

「いぐぅぅぅぅぅぅぅ!!?♥♥♥♥」


 その雰囲気の変容を感じ取ったのかどうかは定かでないが、チャラ男の本気(マジ)は本物だった。令音からすれば何気なく子宮口を小突かれたに過ぎないはずなのに、瞼の奥から閃光が一気に弾け飛ぶ。


「いっでるぅ!♥♥♥♥ とまって、待って!♥♥ イってる、イってるから待ってぇぇぇぇぇぇ!♥♥♥♥」

「いや待つわけねー。急に可愛くなるじゃん。初めからそういうの見せて欲しかったわー」


 グリッ♥ グリグリグリィ……♥♥


「おっ、お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉ!♥♥♥♥ あお゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉ!!!!♥♥♥♥♥」


 弱い部分を押し込まれる。全然違う。薄皮一枚がないだけでチャラ男のチンポを深く感じる。彼の本気の前で如何に無力で弱々しい存在なのかを、令音は理性が砕かれた野太い叫びの中で味わう。


「あっ、駄目!♥ 尻、今尻穴はダメ!♥ お願い、待って!♥♥」


 ずぷ♥ ずぷずぷずぷぅ……♥


「んほおおおおおおおぉぉぉぉ!♥♥♥♥ 待ってて♥ 待ってって言ったのにぃィぃ!♥♥」

「だから待たないって何回言えばわかるんだよ。いちいちチンポいらいらさせてくれるなぁ……尻穴にチンポハメられて可愛こぶれるのマジ推せるわー」


 カリカリ♥ カリカリカリッ♥

 ずぽっ、ずぼぢゅちゅずぽぽぉ♥


「はぁっ!♥ はぁぁ、ひぃぃぃ!♥♥ 乳首、駄目!♥ カリカリ、いやっ、お尻もっ、アナルもぉぉぉ!♥ めくれりゅぅぅ!♥♥♥ 両方は駄目ええええぇぇ!♥♥♥♥」


 宣言通り常に勃ち上がってジクジクとした熱を彼女に与えるデカ乳首を引っかかれながら、勢いに任せて二穴を出し入れ、行き来する生セックス。令音はイク、イクと泣き喚きながら愛液を吹き散らすことしかできない。その優れた思考を放棄し、彼に褒められるマンコとアナルを差し出しながらアクメする他なかった。

 能面のような素の顔は、とうの昔に染め上げられた。誰でもない、物語に関わらぬ端役の男の手で、令音と『彼女』が持つ二つで一つの顔は、どちらも偽りとなって砕け散った。

 ここにいるのはただ雌とその淫らな表情だけだ。マンコに肉棒が深々と突き刺さり、射精間近の脈動に令音が震えた。恐怖ではなく、歓喜した。一体これを受けた時、自分はどうなってしまうのか。


「……ぁへ?」


 だから、その直前でチャラ男が腰を止めた時、令音は吐息を呆然と吐き出すことしかできなかった。

 津波のような快楽が引いても、令音の思考は回復しない。粉々に砕け散ったものをすぐに掻き集めるなど、たとえ令音でも不可能だ。


「あっあっ、んん、あ……♥」


 故に彼女は自ら身体を揺すった。射精して、膣内に注いで欲しい。何も考えていない雌の浅ましい腰使いで、彼女の暴力的なバストが卑猥に揺れる。

 しかし緩やかな腰使いで満足できる令音ではなく、それはチャラ男側も同じことだ。彼が必要としている残り僅かな刺激は、令音の爆乳の揺れではない。

 衝動が身を焦がす。令音はチャラ男の顔から目を逸らせない。その顔がゆっくりと近づいてきても、逸らすどころか心臓をありえないほど高鳴らせてしまった。


「射精して欲しかったら……わかるよな?」


 一瞬、ゾクリと背筋が凍りついた。何を言いたいのかがハッキリとわかるからこそ、令音の思考は完全に止まった。

 目の前に迫る軽薄な顔にときめいている。自然と彼の目を――――唇を追いかけていた。

 『彼女』の中にある分水嶺。それを選んだら、令音は令音でなくなってしまうだろう。三十年前、交わらずにいたモノ。それを全く別の人間に捧げる。自分と『彼』の邪魔をする人間に捧げる。それは『■■■』という存在を根本から覆す愚かしい選択だった。


 しかし――――それを愚かと断ずるだけの思考と理性はとうに消え去っていると、令音の中で宣言したばかりではないか。


「……んちゅっ♥」


 目を瞑り、顔を近づけ、キスを交わす。

 それだけで令音の三十年は無に帰した。生まれて初めて感じた、彼女の生きる意味だった全てをチンハメキスという性を貪り喰うための下品なポーズで塗り潰した。


「んぶ、ちゅ……♥ ん゛ぢゅ♥♥ ぢゅうぅぅぅ♥♥ ぢゅっ、ぢゅっ、ぢゅっ、ずちゅぅぅ……♥」


 しかも、かつての瞬間が成就していたとしても、こんな下品な光景にはならないというディープキスを令音はチャラ男と交わす。鼻の下を伸ばして突き出した唇で相手の唇を啄み、唾液が泡立つ舌を絡ませ合って品のないキスをする。

 特別な意味で為されるはずだった口付けという行為は、快楽を貪るための一つでしかないものに令音の中で成り下がった――――崇宮真士と崇宮澪が交わすはずだったキスは、こうして永遠に交わらなくなったのだ。


 ドピュドピュドピュ♥ ドピュブビュブビュルルルルル♥

 どちゅっどちゅっどちゅんっ♥ どぢゅんっっっっ♥


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥♥」


 そのことに悲しさは感じない。キスで射精のトリガーが引かれ、令音が守り通してきた子宮に精液が流し込まれる。しかも男らしい彼は、射精をしながら腰を振る異次元の力強さを令音に味わわせた。

 以前なら自制ができない猿のようだ、とでも思ったかもしれない。だが今は、途方もない魅力を覚えて止まない。

 子宮から迸る熱は『彼』を孕んだ時とは比べ物にならない。否、あれを情熱と呼ぶなど烏滸がましいと考えてしまうほど、彼女を彼女たらしめる者を塗り替える熱をチャラ男のザーメンは帯びていた。


「……ベッドの上なら素直になってもいいんだぜ?」


 長いキス射精で上の口も下の口もべっとりと汚れている。濃厚な唾液の糸を令音の唇との間に引きながら、ささやくようにチャラ男が言う。

 何を馬鹿なことを、とはもう思えない。令音は生まれ変わった自身の素直な気持ちを口にした。


「……好き♥」


 ドクン♥ 跳ねた。令音の心臓と、射精を終えても熱を残した肉棒が、そのいじらしい告白に跳ねた。


「……好きだ、君が……あなたが、好き♥ 気持ちいいのも、好きなんだ♥ だから、もっと優しくして……ほしい♥」


 自分の告白に彼が興奮していると知ってしまっては、もう止まらない。自分の『娘』たちに無自覚に向けていた妬ましさ。彼への隠し切れない愛情を、ようやく解放することができた。


「いいぜ。ただし、今日から俺の恋人(セフレ)に決定な。恋人の条件は、俺の言うことを何でも聞くこと。他の子との恋人契約も取り付けとけ。それでいいなら優しくしてやるよ、令音」

「……はい♥」


 絶対服従を条件とした恋人(セフレ)の関係。しおらしく頷いた令音の貌は、雌がデレた淫猥な微笑みそのものだった。


「あんっ!♥ あんっ、あぁぁ、ひゃっ、んっ!♥♥ こんな、声、恥ずかしい……♥」

「優しくしてほしいんだろ? なら、唆る声を出し続けろよ」


 約束通り、令音は初めて優しく抱かれた。少し物足りない恋人の生ハメセックスは、令音に愛らしい羞恥顔を浮かばせ、本当の意味で生娘を思わせる嬌声を溢れさせた。


「そこ、良い、気持ちいい!♥ もっとグリグリして♥ 抜かないでぇ♥♥」


 豊満な身体を持つ理知的な美女が見せる甘えた顔と声。柔らかく細い芸術的な美脚がチャラ男の腰に絡まり、より甘えたセックスの体位になる。


「あんっ、好き♥ これ好き!♥ あひっ、ひゃん、あぁ、きゃっ!♥♥ も、もっとぉ……してぇ……ん、ちゅう♥」

「いや、変わりすぎでしょ。こんな可愛いの相手に我慢できねぇわ。お、射精るっ!」


 ドプッ、ドプドプドプ♥ ビュル、ブピュルルルル、ブピュッ、プピュッ♥


「ひぁぁぁぁぁ……で、でてる♥ なか、でてるぅぅ……♥ い、いくっ、イッちゃうぅぅぅ……♥♥」


 最奥に深々と捩じ込まれた鈴口から、孕ませ液が注ぎ込まれる。精子が胎内に満ち満ちと溢れ、精子が口に蓋をして、令音が何であろうと妊娠させるという支配の意志が彼女を染め上げていく。


「あっう、いくっ♥♥ いく、イク、イくぅぅぅぅぅ〜〜〜〜っ…………♥♥♥♥」


 チャラ男の腰で交差した足の先が限界まで尖り、躾られた乳首がビクビクと勃ってアナルがキュッと窪みを作り、蕩けた顔が暴力的な美貌でアヘ顔を描く。

 素顔をさらけ出した令音は原初の母としての貌など忘れ、男の恋人(セフレ)として至福の表情を浮かべ続けた――――――





「はぁ、はぁ……んあっ♥ ふぅぅ、んんんんっ♥♥」

「いや、やべーわ。年増にこんな勃ちっぱなしとか初めてなんだけど。幾ら美人つってもこんな勃つとかマジありえねー」


 数時間後、ラブホテルの延長を繰り返しても甘く蕩ける生ハメラブラブセックスは未だ続いていた。

 さしものチャラ男も動くことに疲れたのか、胡座をかいた上に令音を乗せ、抱き合いながら彼女に動いてもらっている。が、その肉棒は衰えることを知らず、ストライクゾーンから外れた彼女に興奮しっぱなしなことに困惑を露にしていた。

 確かに胸板に押し付けられる令音の爆乳は凄まじい。尻肉は鷲掴みにし、所有権を主張する価値がある。そう、まるで精霊たちの身体を楽しんでいる感覚だった。

 適当に満足させ、さっさと残りの精霊で楽しむか、集中して味わえなかった恋人精霊たちと戯れるか。その考えは、いつの間にか年増だババアだと小馬鹿にしてきた令音に執着するうちに消えてしまっていた。


 彼の困惑は無理もない。だが、彼の執着は必然だった。何せ彼は、この世界に紡がれる物語を彼にとって最良の終幕へと導く鍵を、知らずのうちにその肉棒で貫いていたのだから。


「……愛してる♥ 愛して、好き、好き……♥ あなたのためなら、なんでもする……可愛い娘たちも……私の心も……精霊の力も、あなたに捧げます……♥」

「は?」


 ――――その時初めて、彼は自分が抱いていたのが『始原の精霊』という全ての精霊の生みの親であることを知ったのだ。


「は、じゃあなに? 令音が精霊を作って、そのシンジとかいうガキを生き返らせようとして、この年増の姿で暗躍してたってこと? 何それまじウケるわ」

「ん、あっ♥♥ ……はい、そうです♥ 全部、私が、仕組んだこと、あっ、だから、もう、意味がない、から……♥」

「かー、マジかー。わかってたら最初から回りくどいことしないで本気でヤってたわ。いやぁ、勿体ないことしちまった〜」

「……あの、『私』の方が、好み、です、か?」


 抱きついてセックスをしながら破綻した『計画』を語る。その彼に比べればもはや眼中に無い、とまではいかないものの崩れ去って優先できない計画より、令音には問いかけたいことがあった。

 真の姿。この世に顕現した『澪』の姿であれば、きっとチャラ男の好みに違いない。今は別れているとはいえ『澪』とは文字通り一心同体。その気になれば、村雨令音の姿を『澪』に変えてしまうなど造作もないことだった。

 彼がそう望むのであれば、令音に躊躇いはなかった。が、チャラ男は不安げな令音にニヤリと笑って声を返した。


「いんや、俺さ、令音は令音でチンポぶっ勃つ良い女だって気づいちまった。どうせ二人いるんだろ? なら片方は興奮できるクッソ美人な年増ってことで置いておきてーし、絶対老けないってわかったらギリゾーンって考えてイけるわ。あ、口調も今まで通りでいいからさ。セックスしてる時限定の方が燃えるっしょ」

「……ん、了解した。あなたの言う通りにしよう」


 膣に収まった彼の肉棒から気持ちが伝わってくる。都合のいいモノを手に入れた。令音を利用すれば、もっと自由に立ち振る舞う場を手に入れられる。ついでに令音の機嫌を取っておくのも悪くない。

 愛情とは程遠い、道具を一方的に使役する支配の欲求――――けれど、令音は全く構わなかった。

 彼が自分を都合のいい道具のように見ていることと、自分が彼を愛していることは関係ない。だって、セックスをして気持ちよくしてくれる事実に変わりはないのだから。ならそれでいい。村雨令音はチャラ男の恋人(セフレ)として身を粉にして働くだろう。

 朽ち果てることのない永久不変の肉欲。いずれ全ては彼の元に集まる。その時彼は、子供のように無邪気な笑みを見せて、手に入れた雌を抱く。

 彼の全てに心酔する。妄執を抱く相手が変わっただけ。捧げるべき物事が変わっただけ――――狂おしいまでの愛情の行き先が、少し変わっただけなのだ。


「……大好き♥」


 そう思えば、この言葉を捧げることに何一つの躊躇いも必要ない。


 物語の根幹に在る者は、こうして人の手に堕ちた。





 後に残るもの。後語りを僅かばかりに映し出すとすれば、それは何も変わらない、堕落の物語だ。


「質疑。令音は、どうなったのですか?」


 デザイナーが丹精込めて生み出した高級フロアに位置する部屋は、散々たるものだった。少なくとも、八舞夕弦という気怠げな半目と大きな乳房、橙色の髪が特徴的な少女は、性臭がこびりついたものや汚れが散乱した部屋の惨状を先に問うか、真面目に検討したほどだ。


「ん? いやいや、せっかく二人きりなのに年増のババアのこと気にしてどうするのさ。リラックスリラックス。これから夕弦ちゃんは、俺と恋人になるんだぜー。もっと嬉しそうにしてくれよ〜」

「唾棄。あなたと話していると吐き気がします。不快。今すぐ、夕弦たちの目の前から消えてください……あなたに渡す心は、木の葉の一枚も持ち合わせていません」


 そう啖呵を切る夕弦が、次に彼と恋人関係を結ぶ精霊。即ち、令音が賭けに負けた後に残された契約を利口するために現れた少女だ。


 夕弦(新たな雌)にチャラ男が相変わらず流暢な語り口で言葉をかけている。その傍で、設置されたパソコンの画面がチカチカと点滅していた。

 サイトの更新にしか使わないというのに、手に入れたツテで最高級のスペックを用意されたPCは、高画質のモニタに様々な映像を出力していく。


『あぁぁん!♥ あっ、もっと、もっと虐めて!♥ 悪い子の琴里にお仕置きしてください!♥ あへ、へぇぇぇぇ!♥♥』

『きゃふっ、ふふふ♥ 新しいだーりん……ううん、マイだーりん♥ 大好きです!♥ アイドルおっぱい、堪能してくださぁい♥』

『五河士織……性別は男♥ だけど、心はご主人様のメスです♥ 私の子供チンポのオナニーショー、たくさん見てください♥』

『おひょっ、ふひぃぃ!♥ 世界最弱のクソ雑魚マンコを虐めてくだしゃい!♥ 馬鹿なメス豚を躾してくださいぃぃ!♥♥』

『低脳低能バカオナホのぉ、アルテミシアにぃ、おチンポぶっこんでええぇぇ!♥♥ ガバガバになるくらい、壊してくださいぃ!♥♥』


 そこには極上の雌たちが裸身をよがらせ、豊満な胸を揺らし、淫靡な微笑みを浮かべる、男であれば垂涎もののお宝映像がこれでもかと記録されているのだ。


 勝気な少女上司が激しくお仕置きされる光景。

 今をときめくトップアイドルがチャラ男をマイだーりんと呼び、愛する光景。

 令音が一番に愛していた少年の器足る者が、その心を染め上げられて雌に堕ちた光景。

 手に入れておいた方が都合がいいからと進言され、会員たちの生ハメオフ会用補欠肉便器に魔術師たちが落ちぶれた光景。


 八舞夕弦が映るのは、少し未来のこと。その直前に、一握りの会員たちがモニタに齧り付く中、新たなページがアップロードされた。


【♥村雨令音♥/年齢・2♥歳/スリーサイズ・B95、W63、H89/身長・164cm/役職・万能恋人(セフレ)♥/性感帯・子宮とアナル♥/好きな体位・正常位♥/好きなプレイ・中出しキスアクメ♥】

『……ん、撮れてるかい? そうか……ふ、やはり恥ずかしいな、これは♥』


 新人の自己紹介PV。サイト経営者の恋人(セフレ)になった証拠として、一糸纏わぬ姿と詳細なプロフィールを出す。欠かせない恒例行事をリアルタイムで見届けられた幸運な男たちは、握った竿を画面内で微笑む美女に向かって扱き上げる。


『……もう知っているかもしれないが、私は村雨令音。ご主人様の新しい彼女(セフレ)になりました♥』


 彼の用意する雌は例外なく美しい。その上今回は、彼女たちに勝るとも劣らない美貌の女が、彼女たちにはない大人の魅力を引っさげて現れたのだ。

 きめの細やかな身体は見惚れる曲線美を描き、濃いめの恥毛が双眸を彩る深い隈と共に得も言えぬ雌の香りを画面越しに伝えてくる。遅れた者たち、どこからか噂を聞きつけた新規会員も、全て令音という雌の虜になっていた。


『……最初は嫌悪感を抱いていたけが、毎日を過ごしていく内に、だんだんとあの人の良さが目に入ってきて……優しくしてくれて、好きになってしまったんだ♥』


 この画面に映る女は皆、同じことを必ず口にする。最初は嫌いだった。けど、今は心から好きになっている。


『……それに、セックスの気持ち良さも、教えてくれた♥』


 あんな男の何がいいのか。触れることすらできない負け犬たちの醜い嫉妬と情欲は、令音を止めるに至らない。決して届くことなく、彼女に言葉を滔々と綴らせる。


『……知識だけで知っていたセックスの本物を、あの人が教えてくれた♥ 本当の気持ち良さを、快楽を……幸福な気持ちを、私は教えてもらった♥ だから、彼の為なら、何でもする。どんな恥ずかしいことだって、やって見せる♥ こうして君たち知らない雄の前で裸を晒すことも、恥ずかしいが、できてしまう♥』


 本当なら彼女はこんなことをする女ではないはず。だが、している。彼の魅力に堕ちたことで、裸を見ず知らずの男たちに気恥しげに晒す姿こそ、村雨令音の本当の形だと、言っているのだ。


『……私をこんな女にした責任、取ってくれたまえよ、ご主人様♥』


 チュッ♥


 ご主人に向かっての投げキッス。それを自分たちに向けてのものであると変換し、負け犬たちは肉棒をシコシコと惨めに扱き続ける。


「お゛ッ♥ ほォ゛♥♥♥ ん゛、ぬぉ゛ぉぉぉぉ♥♥ ぎぼぢい゛っ、どべで♥♥ せいがん♥ ごれ゛、どべでぐだざい゛お゛ね゛がい゛じま゛ずぅ゛♥♥♥♥」

「無理無理。令音に時間めいっぱい使ったからさ、あんま夕弦ちゃんに使えないんだわ。似非クールよりガチクールな折紙ちゃんの方が気になるしさー、八舞ちゃん堕とすのは姉だか妹だかで堪能するから……最速で堕ちろや、夕弦」


 彼らがかぶりつく映像の背景で、圧倒的な勝利者が新たな雌を生み出し、味わっているとも知らずに。


 そして令音は最後に言葉を紡いだ。それは、ご主人様にでも、ましてや視聴者にでも伝える言葉ではない。

 生まれ変わることができなかった愛しい恋人へ告げる、最初で最後の別れの言葉だ。



『……大好きだよ、シン――――ただし、ご主人様の次に、ね♥』




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美しい……この人のNTRでこの台詞で〆ない選択肢はないでしょう……おかげで夢オチ挟めんかったわ。いやこの美しいエロスをひっくり返せる茶番は生み出せねぇ。無理だ……マジで全力を賭した。感想といいねめっちゃ欲しい承認欲求モンスターになりそう。


なんでこんなに刺さったのか。私精霊のNTRそんなに指がそそられないタイプだったしチャラ男書いたのもほぼ初なんですが。やはりシチュが良質だったんでしょうね。たまにある天才か?と言うリクエストのぶっ刺さり。熱があるうちに絶対書くって決めてました。今でも間違いじゃないと思ってます。でも上位プランでここまで暴走できるの多分ぶっ刺さったデアラだけだと思う。他も頑張るけど期待はしすぎないでください、申し訳ない。


ちなみに士織ちゃん編もノリで書くつもりでしたが巡り巡って頓挫しました。他の子編なら思いついたり新しいシチュが送られてくれば趣味で書くかもしらん。チャラ男伝説が私の中で流行ってるうちは楽しい。

Comments

タコよっちゃん

>『……大好きだよ、シン――――ただし、ご主人様の次に、ね♥』 あっあっ(脳が破壊される音) 凄まじい破壊力でした。これはヤバイ。 催眠とかじゃなくて、純粋な心の変化で寝取られるのが美しい。 他キャラ・・・十香とか破壊力ヤバそう お疲れ様でした!

いかじゅん

脳が破壊される気持ちよさで達する達する!! これだけ直球なNTRは初書きですが、滅多にやれないやべぇやつでした……他キャラは、良いものが思いつけば衝動で書いちゃう、かも?

kannagi1209

採用ありがとうございました! 数日に別けてじっくり読ませていただきました、バカにされながらもがっつり弱点掴まれて堕とされてる過程がめちゃくちゃ良かったです クールキャラが堕とされるシチュが好きなので最後にチラっと出てきた折紙がチャラ男にどう攻略されるのか気になりますね…

いかじゅん

こちらこそ素晴らしいリクエストありがとうございました! ご満足いただける作品になっていたのなら幸いです。クールキャラが堕ちるのいいですよね……折紙は令音とはまた違った乱れ方をするんだろうなぁ、という妄想。