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8月6日





 二段ベッドの上段で、育人はタオルケットを投げ出しくうくうと寝息を立てていた。そのたびに寝巻のTシャツが膨らむ胸に引っ張られて上下する。今身長163㎝の育人からすればSサイズの服はぴったりに思えるが、元々超高校級の筋肉を持っていたこともあって生地に案外余裕はなかった。特に胸や肩は生地が引っ張られピンと張り、腕周りはほぼパツパツになっている。


ググ……


 何かがきしむような音が、育人の体の中から響く。育人が息を吸えば胸が膨らみ、吐けばしぼむ。だが少しずつ、膨らみ方が大きく、しぼみ方が小さくなっていく。すると次第に寝ている育人も胸の頂点の位置が上へ上へと上がっていく。それに従い元々きつめだった布地は引っ張られて、大きな横じわを作っていく。


ミシ……ズズ……


 大きくなっているのは胸だけではなかった。呼吸とともにゆっくりとTシャツの裾が、ずりあがるように上へ上へと引っ張られ、育人のヘソとボコボコの腹筋があらわになる。短パンの裾も同じように膝頭まであったものが少しずつ太腿の方へ移動していく。あくまで一般的なSサイズの短パンは、野球部特有のぶっとい大腿四頭筋にその余裕をなくしていく。もちろん服が縮んだわけではない。


ギシッ……ミシミシッ……


 育人のかかとがシーツを滑りながらベッドの端に向かって動いていく。だが枕にある育人の頭は逆方向へと動いていた。それは育人の背が伸びていることに他ならない。脚が伸び身体が大きくなり、二段ベッドはかすかだがきしんでいる。


ビチッ……


 そして育人の体の成長に、服の方が耐えられなくなってくる。伸縮性の高いTシャツとはいえ、元々袖回りなどはあまり余裕がなかった。だが育人の体が大きくなり、腕周りが今まで以上に膨らんでくると、袖の繊維がブチブチとちぎれていく。


「ん……」


 そしてその限界は寝ている育人が腹を掻こうとしたときに訪れた。腕を曲げたことで力こぶがボゴォと盛り上がり、耐えきれなかった袖がビリッと裂ける。Tシャツは既に育人の身体に対して小さすぎ、服の上からでも隆々とした育人の筋肉のラインがボコボコと浮き出ていた。そしてそれは上半身だけではない。短パンの中心はもともと緩やかに膨らんでいたが、それがまるで山を作るかのようにその布地を上へ上へと押し上げていく。まるで中で小さな生き物でもうごめいているかのようにむぐむぐもごもごと股間の中心から左に向かって膨れ上がり、それがだんだん育人の腹の方へと向かっていく。そうして短パンとパンツのゴムを押し上げるようにして現れたのが、育人のチンコ、その亀頭だ。既に子供の手首ほどもありそうなほどの太さを持つそれは、まだまだといわんばかりにぐいぐいと伸びあがっていく。短パンの中から亀頭が全容を表し、段差のあるカリが見え、太い血管を張り巡らせる竿までが見えてくる。亀頭がヘソを超え、その上の腹筋のこぶを超えようというところでびくっと震えながらチンコの伸びあがりが止まる。


「すー……すー……」


 いまだに健やかに寝息を立てている育人だったが、その姿は異様だった。袖がはちきれるほど太い腕に、Tシャツの上からでも大胸筋のラインがくっきり見えるほど膨れ上がった胸。胸が押し上げた上に短くなった裾は腹筋のほとんどを隠しきれなくなり、ヘソを覆うように伸びあがる巨大なチンコ。その根元が隠れている短パンも筋肉質な太腿で余裕がなくなっており、それに長くなった脚が続いている。育人が目を覚ましたのは、それから2時間後のことだった。



***



「お、まえ……育人か……?」

「はいっ! ……いや~、宮田先輩、小さくなったっすね!」


 食堂で会った育人を、宮田は口をパクパクさせながら見上げて、そう、わずかだが見上げていた。つい先日までずいぶんと見下ろし、見下していた育人をである。対する育人はこれ以上ないくらい上機嫌だった。もちろん起きた時は自分の身体の変化に戸惑いもしたし、締め付けるほど小さくなった自分の服や踵の入らない靴にイラつきもしたが、それでもデカくなった喜びの方が勝った。台風一過で枝葉が舞い散りしっとりと濡れている裏林で思いっきりぶっぱなした後、服はさすがにきつかったので身長の近い康生の服を借りて着替えた。もちろん康生は腰を抜かすほど驚いていた。


「な、なんでそんなでかく……」

「いや~なんでっすかね?」


 そうやって嬉しそうに後頭部を掻く腕は、力こぶがぼこっと盛り上がりシャツの袖をズリ下げている。今の育人と康生は身長こそそこまで変わらないが、筋肉の量は段違いだ。育人から借りたTシャツは破れるまではいかないが既に余裕がないぐらいには張り詰めていた。宮田はもう、ガタイでも完全に育人に負けていた。流石に違和感や勘違いで済ませられない育人の急成長に、部員たちは困惑した様子でそれをうかがっている。


「おーい! 静かにしろ!」


 だがそれも、今部員たちの一番の関心ごとではなかった。食堂に入ってきたキャプテンの声に一同がバタバタと着席する。調理カウンター近くで部員たちに向かうように対峙したキャプテンがこほん、と咳払いをする。


「さて、台風の被害について説明する。まずネットが繋がらない件だが……」


 今部員たちが一番気にしているのは、台風が過ぎてから外部と連絡が取れないことだった。ネットも電話もつながらない。大人たちはタイミング悪くいない。そんな中キャプテンが有志とともに調査した結果、台風による被害が思ったより甚大であることがわかった。屋上から見える基地局の塔は倒れており、街へ降りる道は土砂崩れで通れなくなっていた。電話線もどこかで破断しているのだろう。すなわち、総勢50名近い野球部員たちはこの山奥の学校に閉じ込められたのだ。不安でざわざわと騒ぎ出す部員たちをキャプテンが一喝する。


「幸い電気ガス水道は生きているし、食料も一週間分はある! 監督たちも連絡できないのは知っているだろうから、助けが来るまでせいぜい数日のはずだ! それまで俺たちはいつも通り練習していくぞ!!」


 おっす! と、野太い声が食堂内にこだました。この統率力は体育会系の強みだ。まずは腹ごしらえと言わんばかりに朝食が準備されていく。元々夏の合宿中は二軍以下の部員で用意していたので料理については特に問題がないのも安心なところだ。


「は~まさか台風でここまでなるとはな~」

「でもこういうのちょっとワクワクしねえ?」


 一年部員で集まりながら朝食をかき込んでいく。数日前までギリギリ育人の脚がとどくサイズだった椅子も、今じゃその発達した大殿筋をなんとか収めながらギシギシと呻いている。


「てかマジで育人なんでそんなでかくなったの?」

「いや~マジでわかんないんだって」


 育人は吸い込むようにご飯を食べながらそれにこたえる。身長が伸びるとともに筋肉も発達しているのか、今やその腕の太さはプロと比べてもそん色がない。育人はそのまま向かいに座る誠二の方を向いてニヤッとする。


「明日には誠二の身長を追い越しちまうかもな~?」

「はっ、生意気な!……って言いてえけど、マジでやりそうで怖いんだよな……」


 流石に誠二も、育人がたった数日で150cmから176cmまで成長されると、自身のアドバンテージを脅かされそうでヒヤヒヤしている。今だって、体重では育人とほとんど変わらないのだ。そんなことをしてる間に育人ががたっと椅子を引いて立ち上がる。


「お代わりしてくる」

「えっ」

「まだ食うのか?」


 周りの者が驚くのも無理はなく、そもそも育人の飯は最初から他の部員の飯の1.5倍の量が盛られた超大盛なのだ。野球部員は身体を作るため元々の飯の量がかなり多く、その1.5倍となるともはや常人には食いきれない量でもある。だが育人はあっさりとそれを完食してさらにお代わりまでするというのだ。


「あ~なんかたんねえんだよな。成長したからか?」


 ほかの部員がぽかんとするのを放っておいて、育人は配膳カウンターの方にずしっと重い一歩を踏み出した。



 ***


 いつも通り練習とはいってもすぐにグラウンドは使えなかった。何せ土砂崩れが起きるほどの台風だ。グラウンドも土砂降りの雨で大きな水たまりができ、飛んできた大きな枝やら何やらですさまじく散らかっている。今日は部員総出でグラウンド整備に駆り出されることになった。

 その中で育人は水を吸って重い枝をひょいひょい持ち上げてグラウンドの外に放り投げ、給水ローラーをライン引きのごとく軽々引き回し、他の部員を驚かせた。ほぼ一日中動き回ったのにもかかわらず、育人は日が暮れた後も元気いっぱいで、夕食も変わらずお代わりをした。




続く

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Comments

フキ

どんどん少しずつですが着実にデカくなっていく描写がたまらないです!! もっとデカくなったら育人くんはどんな感情になるのか...楽しみです!! バイバインみたいにどんどんデカくなるって事だったんで、どんだけデカくなるかもめちゃくちゃ楽しみにしてます!!

ichiarrow

コメントありがとうございます!もう着実にでかくなってます……!!そしてでかくのがうれしいのか育人もどんどん上機嫌になっています~!もうここからはどんどん成長スピードが上がりそうです!

曹達(ソーダ)

台風で大人がいない間にどんどん成長してますね育人君……(*´Д`) バイバインみたい……となると、いつかシャレにならない規模までデカくなっちゃうのかなぁと気になっちゃいますね^q^

ichiarrow

コメントありがとうございます! そうなんです大人がいない間に…… もうあっという間にでっかくなりそうです!