(SSあり)EX005_恋人の浮気を見つけた巨大野球部青年 (Pixiv Fanbox)
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EX005_恋人の浮気を見つけた巨大野球部青年
「ん……ふっ……」
「ぅ……」
旧校舎、薄暗い階段の踊り場で、くちゅくちゅという水音が響いている。制服を着た男二人が、互いに向かい合い、背中や腰に手をまわしながら身体を密着させ、唇を重ねている。舌を絡ませながらの深いキスに、さすがに息が続かなくなった少し背の低い方がのけ反って顔を離す。
「ぷはっ…………志乃くん……がっつきすぎ……」
「そうか?」
志乃と呼ばれた男はぺろりと舌で唇を舐めた。暑くなったのか夏服のボタンをはずして胸元を緩くする。その色気のある姿を直視できず、見上げていた方は顔をそむける。
「でも……いいの?」
「何が?」
「遼河くん……」
「ああ、いいんだよ」
とある男の名前を出されて志乃はまた相手の口をふさぐ。今度は離れられないよう、後頭部に手を添えて、だ。相手の口内を十分に堪能した後に唇を離すとつう、と銀の糸が垂れて切れる。
「ちょっと、志乃くん……!」
「いやあ、歩夢も悪いだろ。こんな時にあいつの名前出すなよな」
「だって」
「それに……」
志乃が歩夢の腰に回していた手を滑らせて、相手のズボンの前に持っていく。小さく膨らむそれを撫で上げると歩夢の肩がびくっと揺れた。
「んっ……」
「お前だってやる気じゃん?」
顔を赤くする歩夢と、してやったりの志乃。二人がもう一度キスをしようとしたとき、突如志乃がその動きを止める。
「……志乃くん?」
「…………いや、まさか……」
動きを止めた二人の横で、踊り場の窓枠がカタッっとなった。歩夢はばっとそちらを見た後志乃の方に視線を戻す。
「ねえ、もしかして」
「違うって、だってあいつまだ練習……」
志乃がそう言い切る前に、足元に確実な振動が伝わる。建物の中まで届く、大きな揺れ。その揺れで確信した二人は目に見えて慌てだす。地震ではないことはわかりきっていたが、場合によっては地震よりよっぽど怖いことを歩夢はもちろん志乃は痛いほど知っている。二人がわたわたしている間にも揺れはどんどん大きくなり、ズシン、ズシンという地響きまで聞こえてきた。
「ど、どうしようっ!」
「落ち着けっ! ここは三階の踊り場だぞ、こんなとこあいつには……」
ズシンッ!!!!!!
ひときわ大きな揺れが、旧校舎ごと二人を襲った。元々薄暗かった踊り場が、さらに暗くなる。その原因はわかりきっている。二人が振り向いた窓の先。そこには、巨大な脚があった。所々が土色に染まった白い野球のユニフォームパンツ、それをビチビチにしてしまうぐらいぶっとい太腿。それが窓から差し込む光のほとんどをふさいでいたのだ。
「ひく、すぎ、る……し……」
そういった志乃の声はかすれていた。その脚の主は、この旧校舎を通り過ぎることなく、この階段の前で止まっている。なんで、どうして、と固まる二人。だがズズズとまた地面が揺れだして、脚の主がしゃがみ込んできたところで志乃はようやく我に返った。
「隠れろっ!」
「えっ」
「早くっ、見つかったらヤバイ!」
その志乃の切迫した表情に歩夢は顔を青くする。隠れようとするも既に揺れがひどくて階段を降りることなどできない。とっさに窓と窓の間の柱に背中を張り付け、声を出さないよう手で口をふさいだ。窓の外ではユニフォームを引き裂きそうなほどパンパンに張り詰めた太腿から、もっこりと膨らんだ股間、ベルト、大きいサイズにもかかわらず余裕がなく身体のラインが浮き出ている練習着のシャツと、しゃがむにつれて映る体の部位が変わってくる。窓の向こうのアンダーシャツに包まれた巨木のような腕が上がったと思ったらドゴン、とひときわ大きな揺れが旧校舎を襲う。窓ガラスにはビシビシとヒビが入り、パラパラと壁が振動で剥がれ落ちる。
「うわっ……」
志乃もさすがによろめく。本人からすれば校舎に軽く手をかけただけなのだろうが、中にいる人間からすればたまったものではない。事実、ミシミシと建物がきしむ音は続いている。そうしている間にも胸、肩と窓の向こうの男は体勢を低くし続け、ついにその顔が大樹のような首とともに窓の外に現われた。
「――――よう、志乃」
大きな声が、ビリビリと窓ガラスを震えさせる。窓ガラス一枚ほどもありそうな大きな顔。3階の階段の踊り場を外からのぞき込んでいたのは、そこをのぞき込むのにしゃがむ必要があるくらい大きな、巨人だった。緑がかった黒髪は短く刈られているが、坊主の多い野球部としては長い方だろう。つり上がった眉とは対照的に少し垂れさがった目はやわらかい印象を与えるはずなのに、今はその片鱗も見られない。笑みのように見える口角は時折ひくひくと震え、怒りの中無理やり表情を取り繕っているのは明白だった。もちろん、志乃もそれはわかる。なにせ―――その男、遼河は、志乃の恋人なのだから。
「よ、よう、遼河っ……部活じゃないのか?」
志乃が慌てるのも当然で、遼河はこの時間、巨人野球部の練習に出ているはずなのである。だからこそ志乃もこうやって歩夢と逢引きできたわけで、遼河がここにやってくるのは完全に予想外だった。冷や汗をかきながらごまかそうとする志乃に、遼河はじっとその大きな目を向ける。
「今日はなくなったんだよ。それより志乃、なんでこんなとこにいるんだ?」
旧校舎の名の通り、古い校舎はめったに使われることはないので遼河の問いは至極まっとうなものである。そのめったに使われることのない旧校舎にいる志乃を見つけた遼河も遼河なのだが、今の志乃にそれを指摘するような余裕はなかった。
「あっ、いや~……ちょっと一人になりたいな~って思って……」
「へえ~……誰かと会う、とかじゃなくてか?」
柱に隠れた歩夢が、びくっと肩を震わせる。窓の外からは見えない位置にいるため、歩夢も遼河の姿は確認できないが、校舎についた手から伝わる振動も窓からの光を遮る影もガラスを震わす声も、すべてが遼河がそこにいると示している。
(りょ、遼河のやつ、知って……?)
ピンポイントで当ててくる遼河に志乃の額から汗が垂れる。遼河と付き合っている志乃だが、巨人と人間の違いはサイズ以外にもいろいろあって、不満がたまっていたところに出会ったのが歩夢である。自らより低い背、掌に乗らなくてもキスできる大きさ。――もちろん、バレたらとんでもないことになるのはわかっていたから、細心の注意を払ってきた。
「ち、違うって。本当俺一人だよ!」
「へえ……」
遼河が目を細める。とにかくこの場だけでもごまかせれば、と志乃は笑顔を張り付ける。数秒見つめ合った後、にっ、という擬音が似合いそうな顔で遼河が笑った。
「そうか。…………ちなみさあ」
遼河の声が一気に低いものになり、ギロリと目がつり上がる。
「隠れてるみたいだけど影が床に映って丸わかりなんだよ」
遼河が校舎に置いていた手を、志乃のいる方とは離れた、既にひび割れていた窓に突っ込んだ。窓は窓枠ごとグシャガシャバリバリとすさまじい音を立てて破壊され、人の体程もある手が踊り場に突っ込んでくる。
「うわぁ!」
「ひぃっ!」
その手に一番近かったのは柱に隠れていた歩夢である。頭をかばいながら離れようとするが、それよりも遼河の手の方が早かった。ガラスに突っ込んだのに傷一つついていない指で歩夢の胴を摘まみ、まるで人形のように持ち上げて割れた窓から外に引っ張り出す。
「あああああああああああ!!」
「あっ……あっ……」
遼河の手に摘まみ上げられる歩夢を志乃はただ見ているしかできなかった。歩夢はバタバタと暴れているがそれでも人の太腿を超える太さの節くれだった太い指はびくともしない。遼河はその様子を冷たい目で見下ろし、そのまま志乃の方を向く。
「……お前さあ、こんなのが好きなワケ?」
「ちっ、ちがくて……!!」
「……まだ言うか」
眉間のしわを深くした遼河は再び摘まんでいる歩夢の方に顔を向ける。既に泣きわめいて歩夢の顔は涙や鼻水出ぐちゃぐちゃだ。
「おいお前」
「ひいいいい!! いやだっ! いやだっ!」
「黙れ。すり潰すぞ」
「ひっ……あ……」
「お前さあ、ここで志乃と何してた?」
嗚咽を漏らしながらも何とか悲鳴を抑えた歩夢だったが、そう遼河に問われたときは視線をさまよわせた。が、遼河が歩夢を摘まんだままその指をこするように動かすとその圧力に恐怖して、先ほどまでの出来事をすべて白状した。その内容を聞いた遼河は無意識のうちに指の力を強めてしまう。
「うぐっ……く、苦し……」
「ふーん……」
今にも腹がすりつぶされそうな歩夢だったが、急に指が離され地面近くから放られる。荒く息をしながら見上げると、車ほどもありそうなスパイクが目に入り、そのすぐ上にしゃがみ込みながら自分をごみのように見下ろす遼河の姿が見えた。
「消えろ」
「ひっ……ひぃっ……!!」
遼河としてはもちろんあのまますり潰してやりたいところだったが、さすがにそれをやってしまえば人間といえども怒られるだけではすまない。部活動禁止は確定、下手すれば停学だ。もしどちらかが突っ込んでいる現場を見ていたら流石に遼河も怒りを抑えられなかっただろうが、今回はまだそこまで行っていなかったので何とか、耐えた。
歩夢は震えながら立ち上がると、腹をかばいながらよろよろと旧校舎から逃げていく。そしてそれを見ていた志乃もそろりと階段を降りて逃げようとしたが、その前に遼河がぐるんと顔を向ける。
「逃げんな」
「うわっ!」
無事だった方の窓をぶち抜いて、遼河の手が今度は志乃をわしづかみにする。ギリギリと締め上げられる強さに志乃は苦悶の表情を浮かべるが、当然とばかりに遼河は旧校舎から志乃を引き抜き、立ち上がる。旧校舎の倍近い身長の遼河が立つと、その高さは15mほどにもなる。落ちれば間違いなく死ぬ高さだ。握られたまま顔の高さまで持ち上げられ、ギロッと遼河ににらみつけられる。もう志乃は完全に意気消沈していた。
「……さて、まだ言い訳はあるか?」
「……ない、です……ごめんなさい……」
「許すかよ。バカが」
遼河が志乃を握った手を口に近づける。しゃべるたびに開閉する口は人一人なら簡単に飲み込める大きさだ。
「え……おい遼河……?」
「……」
遼河が口を開くと、生臭い息とともに巨大な舌がぬるりと現れ、志乃の顔を丸ごとべろりと舐める。一瞬でよだれまみれになった志乃だが身体を握られているため拭うこともできず、されるがままにべろべろと舐められ続ける。まるで上書きでもするかのように。
「お、い、りょう……!」
ようやく舌が引っ込んだが、志乃が文句を言う間もなくその顔が片方で枕ほどもある唇に押し付けられる。そのまま頭がすっぽり飲み込まれてしまいそうな強さだが、隙間から出てくる舌が押し返すようにしながら顔を舐めていく。それがしばらく続いて、ようやく口から離された時にはもう志乃は息絶え絶えだった。
「はぁ……はぁ……遼河……勘弁……してくれよ……」
「……ダメだ」
遼河は手を下ろし、志乃を握ったまま器用に練習着のベルトを外していく。ユニフォームパンツのジッパーが開かれると、押し広がるようにスライディングパンツが現れた。白に青のラインが入ったそれはコンプレッションタイプのはずなのに、その圧力をものともせず股間部分がもっこりと膨れ上がっている。それをほぼ目の前で見てしまえば、志乃にもさすがに察しがついた。
「お、おい遼河……まさか……」
遼河はそれに答えず、志乃を摘まみなおすと反対の手でスラパンのゴムに手をかける。むわりとした熱気とともに姿を見せたのは、きついパンツの中ででろんと横たわる、抱き枕ほどもありそうな巨大なチンコ。むくりむくりと少しずつ膨れだすそれが、最終的に人間並みにでかくなることを志乃は実際に見て知っている。遼河は志乃を摘まんだ手をパンツへと近づけていく。
「りょ、りょうがっ」
「そこで反省しとけ」
ぱっと手を離すと、重力にしたがって志乃はパンツの中へと落ちていく。チン毛をクッションにしながらどむっとチンコの上に落ちた瞬間、ぶわりと汗とアンモニアの匂いが志乃を襲う。それにひるんでいる間に、バチン、と志乃の上から音がして周りが薄暗くなる。遼河がゴムから手を離したのだ。志乃が叫ぶが、遼河はそれを無視してユニフォームを上げ、カチャカチャとベルトを締めなおしていく。光が遮られ真っ暗になる中、スラパンに締め上げられながらチンコの熱気、運動部特有の匂いに全身を浴びて志乃の意識は朦朧としていく。
(あ……やべ……)
頭がくらくらしていく中、志乃の全身が熱くなっていくのを感じる。そして――ぷ吊り戸糸が切れたかのように、熱いチンコの上に崩れ落ちた。
遼河
野球部の巨人、身長約15.3mで巨人としてはかなり大きい方。巨人である自分にも臆せず話しかけてきた志乃を不覚にも好きになってしまい付き合い始めたのだがこの志乃というマジで誰にでも臆さないせいで浮つき加減が尋常ではなく遼河は色々と締め上げるのに苦労している。そんな人間潰しちまえよと仲間から言われるもののそれは惚れた弱み。
志乃
身長175cm。人の壁をすり抜けるのがうまくてよく言えば誰とでも分け隔てなく関われる人間、悪く言うと節操がない。巨人と付き合うだけでも珍しいのに巨人と付き合っておきながら他の人間と浮気できるのなんてこの男ぐらいである。多分脳のどっかがバグっている。何回かこういう事件を繰り返したら流石に相手の方から警戒されすぎて浮気自体ができなくなる。自分では認めたくないが、遼河にお仕置きされるのが少し快感になってしまっている。
おまけ
アンダーと半裸差分