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「霧島雄太様ですね。……お待ちしておりました」


 とてつもなく広い空間。ドーム球場が何個も置けそうな広さに、高層ビルを二つ重ねてもまだ届かなそうな高さの天井。その一角にその空間と比べれば小さな、といっても雑居ビルなどは優に超える大きさと高さの白くのっぺりとした直方体があり、その上にはまるでホテルのカウンターのような設備が設置されていた。そこにいるのは一人の店員と、名前を呼ばれた男、霧島。カウンターで名前を確認した店員が、霧島の方にタブレットを差し出す。その画面には今日の予約の詳細が映し出されている。


「本日のサウナのご予約ですが、こちらでお間違いありませんか?」


 霧島は差し出された画面に目を滑らせる。指名はタクミ、時間は90分、場所は……。大丈夫だと霧島が言うと、店員は礼とともにタブレットを手元に戻した。


「タクミは今サウナの準備中ですので、お部屋でお着替えになってお待ちください。ただいま案内の者をお呼びいたします」


 そう言うと店員は防水バッグに入った着替えを差し出して、インカムに何やら話しかける。バッグを受け取った霧島がしばらくスマホをいじっていると、ズン、ズンと重いものが地面に下ろされる音が響いた。霧島のいる場所は免振装置が入っているからさほど揺れないが、下の地面はもし人間の家具があれば背の高いものは倒れるような揺れが起きている。その音がだんだんと大きくなって、一度止まり、大きな音を立てて遠くにある、高さが100メートルぐらいはありそうなドアが大量の空気を押しながら開いた。ドアの向こうにいたのは、霧島ら人間と同じ姿かたちを持ちながら、その大きさは人間の50倍近い生き物。……巨人である。


(……新人さんかな)


 そこそこの回数このサウナに通っている霧島でも、見たことのない巨人だった。ドアが押しのけた空気が、風となってようやく霧島のもとに届く。カウンターへと歩いてくる巨人はまだ若く、下手すれば十代もありえそうだ。サウナ担当ではないらしく、今はすっきりとした黒のカジュアルシャツと細身のストレッチジーンズを身に着けている。だけれども服の上からでもそのガタイの良さははっきりと見て取れる。


(陸上……水泳……いや、バスケ部もありかな)


 ラグビー部や野球部のようなどっしりとした体つきではないが、均整の取れた筋肉が過不足なくついているイメージだ。背も普通の巨人より頭一つは高く、その体と相まって着ている服をタイトなものにしてしまっている。その巨人が近づいてくるにつれ、霧島は首を上げて視点を上へ上へとあげていく。近くまで来たその巨人の顔ははっきりとしたイケメンというよりかはちょっと厳つめの、立ち上げた黒の短髪が似合うハンサム系。犬で言うならシェパードとかドーベルマンがしっくりくる顔だ。眉間にしわが寄っているのも相まって、その迫力は並みの巨人の比ではない。


(……ちょっと怖いな……)

「アオトのやつ、緊張してますね。すみません、新人なんです」


 気持ち一歩下がった霧島に、カウンターの店員が困ったようにフォローを入れる。緊張。そういわれた霧島がもう一度アオトと呼ばれた巨人を見上げる。眉間のしわや固く結ばれた唇は健在だ。


(そういわれると、なんだかかわいく見えてくるな……)


 アオトがカウンターの前に立つ。霧島の立つ床の高さは地面からは40メートルを少し越えるほどで、人間からすれば10階建てビルの屋上並みの高さだが、巨人からすればせいぜい股下、ちょっとしたデスクほどの高さしかない。しかもアオトは普通の巨人より背が高く脚が長いため、今霧島の目の前にはジーンズの股間部分が視界いっぱいに広がっている。その股間部分は大きく前に張り出して盛り上がっており、生地の下の部分に影ができている。


(すげー……勃ってないだろうに……)


 中のモノの大きさを想像して、霧島はごくりと喉を鳴らす。そのまま顔を上げていくと、シャツの間から見え隠れする、太さだけで人間の身長を超えるベルトが眼に入る。少し小さいサイズなのか、ジーンズとシャツの間からはちらちらと割れた腹筋がのぞいている。その上は発達した大胸筋がゆるくシャツを張らせながら影を作っている。それより上を見上げるには、もう霧島は真上を向くしかない。首を思いっきり反らすと、直立したまま霧島を見下ろすアオトの顔が視界に入った。逆光で影になった顔からは表情が読みづらいが、その鋭い目に霧島は先ほどとは別の意味でごくりと喉を鳴らす。いうなれば突然隣に高層ビルが建って、それがこちらに傾いているようなものだ。


「……お部屋まで、ご案内します」


 空気をびりびりと震わせる低い声が、はるか上から霧島のもとに降りてくる。案内のためにアオトが屈んでいく。その動作はゆっくりとしたものだが、人間からすれば地上90メートルより上の場所にあった顔がものの数秒で50メートル近く降りてくるのだ。その動きで圧縮された空気が風を生み、霧島の髪や服を大きく揺らしていく。気圧すら変わっていくようだった。高層ビルが倒れていくような振動と共に、アオトの身体が降りてくる。アオトが片膝をつくと、ちょうど霧島の視線の先はシャツが張ったアオトの胸だった。顔が近くなって、アオトの息遣いが霧島にも鮮明に聞こえてくる。アオトが右腕を動かすと、タイトな生地に力こぶが浮き上がった。アオトは手を広げると、カウンターのある床の端にゆっくりとくっつけた。巨人からすれば触れただけだろうが、その瞬間霧島の立つ地面は大きく揺れる。霧島は何とか踏ん張って尻もちをつかずに済んだ。


(……確かに、まだ慣れてなさそうだ)


 慣れている巨人だと揺れをほんの少しにするすべを心得ている。それは今後の経験次第だと思いながら霧島はアオトの手へと近づく。下手なワンルームならそのまま入りそうなほど大きな手のひら。店員が開けた転落防止用の柵の先から、少しジャンプするようにしてアオトの手に飛び乗った。そのまま手の中心へと歩いて座り込み、霧島はアオトを見上げる。


「丁寧にご案内してください」


 店員からアオトに指示が飛ぶ。アオトは小さく頷くと、ゆっくりと立ち上がった。もちろんそれはアオトにとってのゆっくりで、手のひらにいる霧島には少しばかり強い重力がかかる。ただ動いたことによる揺れは少なく、霧島がアオトの手のひらに転がることはなかった。


(体幹はいいのかな)


 アオトの手のひらは上昇し、アオトの胸の少し下あたりで止まる。そこは地面から50メートル以上離れた高所で、もし人間がここから落ちようものなら即死だろう。霧島はアオトの方を見上げる。手が揺れないように体の近くで固定しているため、分厚い胸は突き出た岩肌のようだ。それ以上上はその胸板が多くを隠してしまっていたが、なんとか霧島にも手のひらを見下ろすアオトの顔が見て取れた。


「お部屋は七番です」


 アオトが一声かけてから歩みだす。巨人のストライドは大きく、たった一歩が30メートルを軽く越える。三歩歩けば100メートル。最速の人間が全力で走ってようやく10秒を切る距離でも、巨人にとってはたったの三歩。数秒で追いついて追い越してしまう。そんなものだから、霧島にとっては広大なこの店舗も巨人が歩けばあっという間だ。まるでオープンカーで爆走しているような風を手のひらの上で受けながら、一分もしないうちに霧島とアオトは目的の部屋の前についた。霧島が見上げたドアは、100メートルはあるだろうか。もうほとんど高層ビルのような高さだ。霧島が視線を下げると、霧島が何人乗っても一ミリも動かないだろう、バスのようなサイズの巨大なドアノブが目の前にある。ただアオトはそのトラックより大きな手で事も無げにドアノブを押し下げて、ビルのようなサイズのドアを開ける。吸い込まれるような空気の流れが生まれて霧島は引き込まれないよう身構える。


 ドアの先は八畳ほどの広さのフローリングの部屋だった。ベッドとデスク、それとオフィスチェアに、申し訳程度に観葉植物が置いてある。もちろんそれらはすべてが巨人に合わせてあるサイズで、その縮尺から霧島の感覚で換算すれば八畳ほど、というだけだ。実際には人間用サッカーコートが二つ並べて入ってしまうほど広大な部屋で、天井の高さだって地方都市のビルぐらいなら問題なく建てられるぐらいに高い。


(いつ見てもすごい部屋だよな……)


 霧島はその広さに圧倒されているが、霧島を手に乗せているアオトからすれば、何の変哲もない普通の部屋だ。アオトが部屋に入ると、手にいる霧島にも少し暖かい部屋の空気が風として吹き付けてくる。


「机の上にお乗せしますね」

「あ、待ってくれ!」


 デスクへと近づくアオトに、霧島が上を向いて大声を出す。気づいたアオトは足を止めて、霧島が話しやすいように手を顔の近くまで持ち上げた。少し強めのGが霧島の体にかかる。


「……なんでしょうか」

「あの、机の上じゃなくて、床の上に下ろして欲しいんだけど」


 霧島がそういうとアオトは片眉を上げる。通常、部屋に人間を案内するときは、デスクの上、もしくはベッドの枕元に下ろすのが原則だ。その一番の理由は巨人が気づきやすいことだ。あらかじめそこにいるとわかれば新たに入ってくる巨人にもわかりやすいし、なにより間違えて足で踏みつぶしたりすることがない。そのようにアオトも店から教育を受けているため、霧島の希望を受けるかどうかは迷った。それが顔に出ているのに気づいた霧島が続けてまくしたてる。


「大丈夫! タクミとは何回もそうやってるし、何なら、部屋出た後受付の店員さんとタクミに伝えておいてくれればいいから」

「…………わかりました」


 アオトはしばらく考えていたが、部屋を出てすぐ連絡すれば危険はないだろうと霧島の要望を受け入れた。部屋の真ん中へと移動して片膝をつき、霧島を乗せている手のひらを床へとゆっくり押し付ける。それだけでも霧島にとっては大きな揺れで、転ばないようアオトの手のひらの上で必死にバランスをとる。アオトが屈むことで照明の光が遮られ、霧島の乗る手のひらがすっぽりと大きな影に覆われる。霧島の視界はもうどんなに見上げてもアオトしか見えない。振り落されそうな速度で手のひらが下がっていき、霧島の視界はゆっくりとアオトの胸、腹と下がっていく。途中アオトが膝をついた振動で手のひらが大きく揺れる。続いて見えてきたのは膝を曲げたことでジーンズがパンッパンに張り詰めた太腿と同じように股関節が開かれ直立していた時よりはっきりと、しかし歪に盛り上がっている股間のふくらみ。永遠に見ていたくあった霧島であるが、急降下の最中ではそうもいかない。自分の体勢を維持するだけでも一苦労だ。そのままアオトの足元まで近づくと、スエード素材のチャッカブーツが眼に入る。片足だけで10tトラックよりもでかいはずのそれは傷や汚れ一つなく、おろしたて特有の皮の匂いが霧島のもとへと届いた。サウナ担当は裸足であることも多いから、おそらく室内履き用として用意したのだろうと霧島は当たりをつける。


「っと」

「あっ……申し訳ありません」


 アオトの手が床へとつき、その衝撃に耐え切れず霧島はアオトの手のひらの上に転がってしまった。謝るアオトに大丈夫だと言って、霧島はアオトの手の上で立ち上がる。見上げる景色は圧巻だ。霧島に覆いかぶさっているアオトは、都会の高層ビルが崩れてくるような圧迫感がある。霧島は比較的厚みの薄い小指の方から、それでも自身の腰ほどはある高さからバッグを持って飛び降りる。手のひらから霧島が離れたことを確認するとアオトは膝に手を置いて立ち上がった。それとともに膨大な空気が上空へと引っ張り上げられ、霧島は一緒に吹き上げられないように身を低くする。立ち上がったアオトは一歩下がり、霧島を見下ろして頭を下げた。もちろんそれでも、アオトの頭ははるかはるか上だ。


「それでは、しばらくお待ちください」


 霧島がそれに礼を言うと、アオトは踵を翻して部屋のドアに向かう。巨人が歩くことで起きる振動がダイレクトに霧島に伝わる。大木を何十本も束ねたような脚が空気をかき回して、室内のはずなのにごうごうと風が吹き荒れる。ドアが開いてまた風が起き、アオトが出てドアが閉じると、ゆっくりと風は収まっていった。


「ああいう子のサウナもいいかもな……」


 人間の扱いに慣れていない巨人とのサウナは色々と危ないことも多いが、そういうスリルも一つの楽しみ方だ。霧島は一度周りを見渡して、持っていた防水バッグを開ける。中に入っているのはタオルと薄型の青いリストバンドだ。霧島は部屋のど真ん中で自分の服を脱いでいく。


(んー……やっぱ薄いんだよなあ……)


 霧島はもともと肉のつかない体質だった。社会人になってからはジムに通って筋トレに励んでいるが、なかなか満足のいくカラダにはならない。


「まあ、いつも見てるのに比べたら……」


 霧島が裸になりリストバンドをつけ、服をバッグにしまった頃、ずん、と地面が揺れた。霧島は慌てて振り返り、100m近くあるドアを見上げる。規則的な揺れは少しずつ大きくなって、そしてその揺れの発生源がドア一枚隔てた向こうへ移動して、止まる。ごん、ごんと分厚いドアを叩く音。「失礼します」という低すぎない声が響く。一拍置いて巨大なドアノブが下がり、ビルのようなドアが開いた。その瞬間、ドアによって押し込まれた空気が風となって霧島に襲い掛かる。


「わっ!」


 思わず腕で顔をかばう霧島。だが腕では防げない、むせ返るような匂いが風と共に霧島を包む。部屋の匂いとは全く違う、有機的な匂い。霧島はもう何度も嗅いだことのある、汗の匂い。それに混じってさわやかな柑橘類の香りもする。鼻孔の刺激がまるでパブロフのように霧島の股間に熱を送りだす。風がやんで霧島は腕を解き、開いたドアの先を見上げた。


「お待たせしました~。タクミです」


 見上げた先にいるのは、巨人だ。先ほどのアオトよりも少し高く抑揚のある声が部屋中に響く。タクミは、霧島がもう何度も指名している巨人だ。巨人としても高い部類に入る身長は、90m以上あると以前霧島は聞いていた。高層ビルのような大きさだが、その姿や形は人間と変わりない。天井のライトを反射するつやのある濃い目の茶髪に、人懐っこい爽やかな顔立ち、その割にバレーで鍛えられた体躯は分厚い。服装はアオトと違い、ラフな水色のTシャツと膝近くまである白のショートパンツだ。


(すっご……)


 ただ、今その体躯以上に目に入るのが、タクミの状態だ。今タクミは、まるで湯気でも出そうなほどに上気し汗をかいていた。額からは汗がだらだらと垂れ、ぐいとそれを拭う筋肉がついた腕にも同じく汗が玉のように張り付いている。Tシャツは滴る汗で所々が濃いブルーに染められており、腕を上げたときに見えた腋の下は真っ青だった。太い腕が占有して狭くなった袖の隙間からちらりと見えた、黒々とした腋毛の空間が目に入って霧島はドキリとする。スパイクを打つために鍛えられた大胸筋はTシャツの記事を引っ張り上げて大きなカーブを作っており、反対に締まった腰は服との間に大きな隙間を作っている。さらに目線を下げると、ハーフパンツはあまり汗で濡れている様子は見られない。が、そこから突き出ている毛の薄い足には飛び上がるために鍛えられた筋肉がバランスよくついており、そこを汗がジェットコースターのように流れ落ちている。タクミは靴も靴下も履いておらず、くるぶしを越えた汗は足の甲を今度は血管に沿ってゆっくり流れていく。足は足で汗をかいており、足の周囲のフローリングが熱と湿気で曇っていた。一言でいうなら、タクミは汗だくだった。そのタクミが部屋の中を見渡して首をかしげる。


「あれ……雄太さんどこだ……?」


 そこで霧島はその言葉の意味を理解してさっと血の気が引いた。タクミは霧島が床にいることを把握してないのだ。慌てて霧島は大きく手を振ったり、大声を出してタクミの気を引こうとしたが、タクミにとって人間は指の先ほどしかない生き物だ。90mの高さからならただの点程度の小ささにしか見えない。霧島のアピールには気づかない様子で「机かな~」とタクミが一歩を踏み出す。ずごん、という揺れが霧島を襲う。ドアと机との間の床の上に霧島がいる。このままでは霧島は踏みつぶされてしまう。


「おーい! タクミ!! おーい!!」


 霧島は必死で声を上げるが、タクミの視線は机に向いたままだ。一軒家すら簡単に蹴とばせる巨大な足が、あっという間に霧島に迫る。巨大な右足が空気を引き裂きながら、霧島をその影ですっぽりと覆い隠す。その行為に何の意味もないとわかっていたが、霧島は頭を抱えてしゃがみこんだ。


(……!!!!)


 一秒、二秒と過ぎても、霧島に衝撃はなかった。そのあとで霧島の前の方の地面が揺れる感覚がして、霧島は恐る恐る目を上げる。目の前にあったのは二本の巨大な足だ。霧島がそれをずーっと見上げていくと、そのてっぺんに、霧島を笑顔で見下ろす影があった。


「……ほーら、こんなところにいると踏みつぶしちゃいますよ、雄太さん。危ないから机かベッドにいてっていつも言ってるじゃないですか」


 タクミが霧島に覆いかぶさるように、ゆっくりとしゃがみこむ。タクミの身体で空気が下に押し付けられ、気圧で霧島の耳が圧迫される。タクミはしゃがみこむと、右手で霧島をそっと摘み上げて左手に乗せる。ここでようやく霧島も、タクミが最初から気づいていたことを理解した。


「も、もう……びっくりしたよ……」

「へへ、これに懲りたらもうやめてくださいね。アオト困ってたんすよ」


 タクミの手のひらは汗でじっとりと濡れており、その高い体温と相まって岩盤浴のようだった。事実、巨人の手のひらを使った岩盤浴もプランとして存在する。霧島が手のひらに座り込むと、タクミは慣れた様子で立ち上がる。手のひらを持ち上げると、霧島は首を思いっきり上げなくてもタクミと視線が合うようになる。それでも、視界のほぼ全てはタクミの顔だ。顔や体から発散した体温がタクミの匂いと共に霧島へと伝わる。


「アオトくんは新人?」

「そうです。先週から入って……もしかして気に入りました?」

「あ、いや……」


 少しばかり好みだった霧島は図星を突かれて口ごもってしまい、それを察したタクミはいたずらっぽい笑みを浮かべる。


「ええ~雄太さんひどいなあ~」

「えっと、いや、その」

「ちょっとお仕置きしちゃいますか」


 タクミは右手でひょいと霧島をつまみ上げると、左腕を上へと上げる。すると濡れてブルーとなったTシャツの腋の生地が姿を現す。いまだ熱を持つその場所に、タクミはゆっくり霧島を近づけていく。


「ほーら、雄太さん腋も好きでしょ~」

「うわっ、ぷっ……ふっ……」

「雄太さんのために走って汗かいてきたんだから、しっかり味わってほしいなー」


 霧島はぐりぐりとTシャツ越しにタクミの腋に押し付けられる。タクミはサウナ担当として、きっちり体を洗ってから走って汗をかいたが、それでもやはり若い男性特有の匂いというものはするものだ。タクミにされるがまま、押し付けられたり腋に挟まれたりした霧島はようやく解放され、タクミの手のひらの上に倒れ込む。既に霧島の小さなモノは硬く勃起していた。


「雄太さん、どうでした俺の腋?」

「……さ、さいこう……だった……」

「はは、ですよね! ……じゃあ、本番いきましょうか。今日は……ここ、でしたよね」


 タクミはそういうと、ハーフパンツに包まれている自身の股間をゆっくり撫でまわした。



続く



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