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宇崎月の不倫日記


 若い男の子の性欲を侮っていたつもりはないけれども、その日のSくんが私に向けてくる血走った目は、日ごろにも増して獣性を感じた。彼に強く求められるのを感じて、自分の女としての価値を再確認できたことが私を喜ばせた。


 Sくんは娘の恋人だ。高校の水泳部で知り合い、大学に入ってから付き合い始めた。娘はSくんを追って進学先を決めたようだ。


 そこまで娘に懐かれていながら恋人の母親である私にも、男子の性欲丸出しな視線を投げてくるSくんに最初は戸惑い、情熱的にアプローチされても流されてはいけないと抵抗していたが、あるとき彼の家で二人きりになる機会ができてしまった。


 なんとなくいけない予感はあった。その日のSくんはいつにも増して目つきが鋭く、思い詰めたような険しい表情をしていたからだ。娘はSくんを目つきが悪いとかコミュ障とか弄っているが、じっくり付き合ってみれば彼が見た目の印象に反し、物腰穏やかで年長者への礼もしっかりした好青年であることが分かる。そういうところに娘も惹かれたのだろう。だが、その日のSくんは様子が違った。


 しきりに話している最中から私の胸をチラチラ見てくる。私の胸は、その……一般的に言って大きいほうで、昔から男の人にジロジロ見られることがあった。胸の大きさは遺伝したようで娘も大きい。


 Sくんは娘の胸を見たことがあるだろうか。まさか揉んだり、吸ったり、それ以上の経験もこの部屋で?


 私は彼の部屋をさり気なく見回す。なんの変哲もない、一人暮らしの学生によくある部屋だと思っていたそこが、とんでもなく淫靡なセックスルームに感じられた。気のせいかピンク色のモヤが掛かって見える。


「Tさん」


 Sくんが真剣な表情で言った。


「なにかしら」


 私は大人の女として余裕がある振りをしていたが、その実は心臓がバクバクで口から飛び出そう、次に何を言われるかハラハラしていた。


 Sくんは「あー」とか「うーん」とか言いにくそうに呻き、目の前に置いた麦茶で口を湿らせる。空になったコップをしばらく二人して見詰めていた。私から水を向けるべきだったかもしれないが、こちらにも余裕はなかった。まさか、という予感に心臓が早鐘を打つ。


「Tさん好きです」たっぷり時間を置いてからSくんが決定的な一言を放った。「初めて会ったときから好きでした。一目惚れです。分かってます。彼女の母親にこんな想いを抱いちゃいけない。許されることのない道なき恋だって。それでもTさんのことが好きなんです」


「いけないわSくん。私たちは娘の恋人と母親。年齢だってそれこそ親子ほど離れてるのに」


「関係ありません。愛に年の差なんて。Tさんには俺が子供にしか見えませんか」


「そんなこと……」


 はっと私は気がついてしまった。年齢差を理由に彼の真剣な気持ちを一蹴するのは、Sくんに対して失礼なことではないか、もっと私も正面から向き合うべきなのでは。だけど正面から向き合うといってもどうすれば? 私は人妻。娘の恋人であるSくんと付き合うことはできない。最初から答えは決まっている。それでも彼の揺らぎない真剣な眼を見ていると、どうにかして想いの何分の一かでも遂げさせてやりたいと母性が湧いてくる。


「Sくんのことは好ましく思っています」


「だったら!」


 身を乗り出してくる彼を片手で制しながら「だけど、それは娘の恋人として、適度な距離がある知人としての好意です。この気持ちがより親密な相手への好意になることはありません」と突き放す。


 あってはならない、がより正確なところだが、自分で自分に言い聞かせる意味でも「ない」と宣言した。


 そうですかとSくんは肩を落とす。膨らんだ風船から空気が抜けて一気に萎んだように元気がなくなる。先ほどまでのギラついた若い雄とは別人のようだ。それを可愛そうに思った私は代替案を示した。


「Sくんとは付き合えないけど、こんなオバさんを好きになってくれて真剣に告白してくれたことは嬉しかったわ。ねえ? Sくんが嫌じゃないなければ手でならシテあげてもいいわよ」


「嫌なはずないじゃないですか!」


 若い男の子は現金なもので即座に目を輝かせる。人妻の手コキに期待してテキパキ準備を始める。


「言っておくけどエッチはダメよ。最後までは絶対しないからね」


 急いで蒲団を敷く彼の背中に言った。


「分かってます」と答えるが本当に分かっているのだろうか。


 間もなく蒲団の上に両脚を投げ出し、下半身裸のSくんと向き合うことになった。彼のおちんちんは既にヘソを打つ勢いで勃ち上がっており、人妻の手戯を期待してピクピク脈打っている。


 私は彼のおちんちんに顔を近づけ涎を垂らす。涎と彼自身のカウパーとを手で混ぜながら全体に伸ばしていく。それらの混合液を潤滑剤にしてSくんのおちんちんを扱いた。


「Tさん♡ 上手です♡ これが人妻の経験値♡ Fさんにもしてあげたんですか」


 ニチャニチャと粘り気のある水音が立つ。雄茎を扱きながら私は反対側の手で陰嚢を揉んだ。手の中でウズラの卵ほどのコリコリした物体を弄ぶ。ときおり強く握ってやるとグニッ、グニッと弾力ある手応えが返ってきた。


「おぅっふ♡ Tさんの玉捌き上手すぎて♡」


「精子出ちゃいそう?」


 追い詰められた様子でSくんは頷いた。


 いけないことをしている。最後までシテないからセーフなんて言い訳にならない。世間の通念に照らし合わせて考えれば、娘の恋人のおちんちんを手でシテあげるのも道理から外れた行いだ。こんなことはやめるべき。


 頭では分かっているのに手を止められない。彼のおちんちんは大きい。夫のおちんちんも大きくて、初めて見たときはこんなものが入るのかと驚いたが、Sくんのおちんちんも負けないくらい逞しい。ガチガチに硬く勃起して天を衝く。


 四十過ぎたいまでも夫は情熱的に求めてくる。冗談半分に「四人目も作るか」と誘ってくる。子供の前ではやめてくださいと言いながらも嬉しい。夫とのセックスに不満はない。世間で言うセックスレスとも無縁だ。それでも夫とは違うペニスが自分を女として認めていることに喜んでしまう。


 あさましい雌の本性を隠しながら私は彼の肉棒に涎を追加する。早くイッて、お精子出して、そうじゃないと私……。


「Tさん」


「なにSくん?」


「口でシテもらってもいいですか」


 彼の提案に私は驚いて手を止めた。制止した状態で握っていると彼のイチモツの太さ、硬さ、表面に走った血管のゴツゴツ具合がよく分かる。こんなの入れられてナカを掻き混ぜられてしまったら。いけない妄想が膨らむ。


「口でなんてダメよ」私は欲望に負けまいと言った。「手だけって約束よね」


 Sくんは首を振って切なげに目を伏せた。


「やっぱり手だけだとイケないみたいです。あと一押しあれば出そうなんですけど」


「それでもダメよ。口でなんて」


 手だけだからセーフと最初に決めたラインを動かせば、以降は彼に押し切られてしまう予感があった。一度自分にそれを許せば私は際限なく言い訳を見つけてしまうだろう。己の弱さへの自覚がそう思わせた。


「お願いしますTさん。このままだと帰りが遅くなってTさんもまずいんじゃないですか」


「それは、そうだけど」


 Sくんは的確に私の弱点を突いてくる。帰宅が遅くなってどこへ行っていたか聞かれたら、私はうまく誤魔化せるだろうか。自慢ではないが嘘をつくのは苦手だ。まして大きな秘密を隠し通せる自信はない。もしSくんとエッチなことをしていたことが娘に知れたら。彼女の悲しむ顔は見たくない。


「本当に口でシタらすぐにイケる?」


「はい!」


 それなら、と私はSくんのおちんちんに顔を近づける。濃厚な雄汁のにおいを肺いっぱいに嗅ぎながら舌先で裏筋をなぞる。おちんちんがピクンと跳ねて私の鼻に当たる。ただでさえクラクラしてしまうほど濃い獣臭を鼻先で感じた。じゅんっと身体の中心が熱を持つのが分かった。


「きもひぃひいい?」


「最高です。これならすぐにイケそうです」


 おちんちんに舌を絡めながら聞くと彼は嬉しそうに答えた。素直に喜ばれるともっと気持ちよくしてあげたくなってしまう。私は限界まで口を開き、彼の大きなペニスを口に含んだ。


「んん、じゅぷ、じゅぷ、じゅぶううう」


 口を窄めて頬の肉を彼のおちんちんに押し当てる。舌でカリの溝を掃除しながら口に入りきらない部分は手で扱いた。


 感に堪えない様子でSくんが快感を訴える。彼の気持ちよさそうな顔や声、仕草で私の中にあった嗜虐心に灯がともる。若い雄の精液を搾り出してやれと激しく頭を前後に振った。


「んっ! じゅぶ、じゅる、じゅううう、じゅぷ、じゅるるる、じゅぽっ!」


「むぐっ♡ うっっ♡ Tさん、おれ、もう……」


「んぶっ、んじゅっ、じゅぶっ、んんっ、じゅぶっ、ん、んん、じゅぼっ、ちゅぽんっ♡ イッちゃいそうなのね」


 口から出したおちんちんを手で扱きながら聞く。激しく扱き立てて射精を促すとSくんのおちんちんはパンパンに膨らみ、精液の出し場所を求めて私の手中で跳ね回った。


「いいわよ。お布団汚れちゃうから口に出して」


 痙攣する彼の肉棒を頬張る。全部受け止めてあげるからお精子出しちゃいなさい。口内発射の許可を得たSくんは一気に高みへと登りつめていく。


「ダメですTさん。口の中に出る!」


「我慢する必要ないのよ。射精しなさい」


「あ! 出る♡ でる♡ 出る♡ う!」


 彼の先端から熱いスペルマが放出される。水鉄砲のように勢いよく飛び出た生臭い液体を私は口で受け止めた。喉を打たれる息苦しさにも耐えて飲み下す。


「ふぶ♡ んぶぅ♡」


 彼の雄汁は粘度が高くて、胃の中に落としきれなかったぶんが口や喉に絡まってる気がした。んべぇーと彼の前で口を開いて見せつける。


「どう? 全部飲み込めてる?」


 ザーメン臭い吐息をむわぁっと吐き出しながら彼に問う。Sくんは私の口の中を確認して頷いた。


 ここに彼の子種が収まったんだ。私は自分のお腹をさすった。ぴちぴちと泳ぎ回る精子は胃酸で死滅してしまっただろう。口内射精で妊娠することはあり得ない。それを惜しい、別な場所に出して欲しかったと思うことなどあり得ない、あってはならない。


宇崎藤生の寝取り返しセックス


「なんやこれ」


 宇崎藤生はスマートフォンを凝視しながら呟く。スマホの画面は上から下までびっしり活字で埋め尽くされている。そこに書かれているのは、ある主婦の不倫体験手記だった。


 娘の恋人に告白されて情に絆された人妻が、彼の性器を手と口で射精に導く。年下の男の子から情熱的に求められたい熟女の妄想日記と読めなくもないが、藤生には書かれた内容に思い当たる節が多すぎた。


 Sくんとは桜井真一くんのことではないか? Sくんと付き合っている娘が花? 二人はまだ付き合ってないんとちゃうんか? Sくんは花だけでなく月さんも狙っていた?


 そんな男の子ではない、と桜井の人となりを知る藤生は否定してみるが、本当にそうかと重ねて自問すれば自信がなくなってしまう。


 宇崎月は今年四十三歳と思えぬ若々しさで、抜群のプロポーションも未だ維持している。二十代のころに比べれば腰回りに多少は肉もついたが、それだって抱き心地のよさに貢献しているし、生々しい人妻熟女の身体で逆に興奮する。


 手記にもあったが藤生は四十代になったいまでも月を抱く。奥さん大好きな彼は月の肉体に飽きることがない。いまでもタイミングが合って妻がその気なら四人目を仕込みたいと狙っていた。妻も同じ気持ちでいてくれると思っていた。それがなぜ。


「セックスには満足してる書いとんな」


 それなら自分の勃ちが弱くなったとか、物足りなくなったとかではないのだろう。単純に夫に飽きて若い男のチンポをつまみ食いしてみたくなった? そんな馬鹿な。月さんに限ってそんなこと。しかも桜井くんだぞ。花のこと大好きやん。否定の言葉を連ねてみてもすべてが自分の願望に感じられる。長文で綴られた手記の説得力に比べて弱い。


 藤生がこの文章を見つけたのは偶然だった。ソファに座ってスマホを操作している月の背後に立ったとき、チラッとTwitterの画面が見えた。彼女がSNSの類いをやっているとは知らなかった。どんなことを書いているのだろうと気になり、内緒で記憶を頼りにユーザー検索した。


 彼女のアカウントを見つけた藤生はスマホを落としそうになった。彼女のTwitterはいわゆる裏アカというやつで、そこには下着姿の写真とともに扇情的な文章が添えられていた。顔は写さないようにしているが、結婚前もしてからも数え切れないほど抱いてきた肉体だ、首から下だけでも判別できる。


 彼女の豊満な肉体に欲望丸出しの男たちが群がり「エロい!」「おっぱいに吸い付きたい」「オフパコ希望です」「中出しして旦那に俺の子供托卵したい」などのリプライを投げつけていた。


 藤生は怒りの余りスマホを握り潰しかけた。手の中で小型端末がミシミシ悲鳴をあげる。


「月さんは! 月さんはなんて返信しとるんや」


 画面をスクロールする。だが月は個別の返信を行ってないようだ。男たちの言葉巧みな称賛にもリプライはつけていない。表では行わず、ダイレクトメッセージでこっそりやり取りしているだけかもしれないが。


 嫌な予感と想像に|苛《さいな》まれながら月の過去ログを遡る。


『昨日は夫が激しく求めてきて一晩で三回もしてしまいました。この歳になっても毎週セックスしてるなんて私、淫乱なんでしょうか』


『夫は身体を使う仕事なので普段から身体を鍛えてるんです。力強く抱かれるとアソコが疼いて何でもしたくなっちゃう』


 月は藤生とのセックスに満足アピールをしているようだ。ちゃんと妻を満たしてやれてることに男の自尊心が高まる。


 さらに遡っていくと『ちょっとした日記です』の文言と共にURLが貼られていた。何が書かれているのだろうとタップする。リンク先が開くとフォロワー限定で一四〇文字では収まらない長文を公開できるサイトだった。


 藤生は月の秘密ブログを覗きたいがためにアカウントを作り、彼女の裏アカをフォローした。そして、開いた先のブログに書いてあったのが桜井との不倫手記だった。


「藤生さんまだ起きてたんですか」


 後から声を掛けられ慌ててスマホを隠した。振り返ると風呂上がりの月が立っていた。白い肌に朱が差し、ぽーっとのぼせたような表情が色っぽい。月さんに限って絶対そんなことはないと最前まで己に言い聞かせていた藤生も、艶めく彼女の美貌を見ていると桜井くんが惹かれても無理はないと思えてしまう。


 だが、そんな馬鹿な話あってたまるかと藤生は自分の考えを否定する。月さんが美しいのは言わずもがなだが、花だってチョー可愛い自慢の娘だ、花に好かれていて月さんにまで手を出すなんてそんなこと。


「藤生さん?」


 沈思黙考していると月が訝しげに顔色を窺ってくる。いかんな、このままでは怪しまれる、例の日記を読んだことは秘密にして平常心で接しないと。


「い、いや、なんも、あらへんよ」


 人生直球勝負の男・宇崎藤生、腹芸は苦手である。


「そうですか? それならもうお休みしませんか」


「お休みしましょう、お休み、いや今日も疲れたな」


 これ幸いと彼女の誘いに乗って席を立つ。さあ行こうと彼女の手を握って寝室に連れ立った。


 薄暗い部屋の中で寝る準備を進めていると、常夜灯に照らされた月のシルエットが艶めかしく思えてくる。陰影に縁取られた肉体を見ていると改めて、自分の妻は男を誘う卑猥な体型なのだと気づく。未だに街を歩いていれば、藤生の目を盗んで月に邪な視線を送る男が出てくる。大抵は藤生が一睨みすれば退散する軟弱者で歯牙にも掛けてこなかったが、もし月のほうも桜井に惹かれているとなるとどうだろう。


 あの日記にも書いてあったではないか。若い男の子に女として見られて喜んだと。同年代の男に性的な対象と見られる以上に、年下からのアプローチは女性をときめかせるのかもしれない。


 それに俺が対抗するためには……。


「月さん」


 彼女を後から抱きしめて耳元で囁く。「今夜は口でシテくれへんか」


 桜井くんに口でシタなら同じことさせたる。俺も現役や。小僧に負けるかいな。男としての格の違い見せたらぁ! 年下の情熱的な攻めがなんだ。こちとら月の身体のことなら上から下まで、手前から奥まで把握済みなんじゃ。


「口で、ですか?」


「頼むわ」


 月は藤生の誘いに戸惑い気味だったが、やがて彼の腕の中で身を翻し、跪くとズボンごと下着を引き下ろした。既に藤生の肉棒は妻に咥えられることを楽しみにして硬くなっている。


「もうこんなにして♡」


「すまんな」


 月が舌先でペニスを舐める。


「れる、ちゅぷ……♡ ちゅ、ちぅ……♡」


 藤生が月の肉体を把握済みなように、月も夫の気持ちいいところは熟知している。熱が籠もった調子で舌を肉棒に絡める。わざと大胆なチュパ音を響かせて涎ごと肉棒を啜った。


「じゅりゅ♡ ぢゅ、れじゅ……♡ じゅりゅじゅじゅじゅるぅ~……♡」


 大人しい顔して大胆な口淫奉仕。見た目と舌技の巧みさとのギャップに藤生は身悶えする。月の年季が入ったフェラテクに長年ご奉仕を受けてきた藤生でも長持ちしそうにない。彼女の大きな胸に手を伸ばし、手の平に感じる重さを楽しみながら撫で回し、乳首を指に引っかけ楽しむことで気を紛らわす。


 桜井にしたフェラも、自分にするのと同じくらい熱心なものだったのだろうか。ふと生まれた疑問が淫らな妄想に成長する。他人の肉棒を舐め回し、尿道口を舌先でほじり、喉奥まで咥える月。これを他の男が味わったのか、俺が何年も掛けて仕込んだフェラテクで昨日今日会ったばかりの若造を喜ばせたのか。


 嫉妬の炎が渦巻き、藤生の中で暴力的な性衝動に変わる。月の頭をつかんでXLサイズのイチモツを根本まで捻じ込んだ。


「んふっ、んんっ、んっ、んふっ、んんっ、んぅ、ふうぅっ、んふっ!」


 息苦しさに喘ぎながらも彼女は夫のペニスを吐き出そうとはしない。乱暴にされることを愛情表現とでも受け取っているのか、亀頭が喉奥の行き止まりに触れるたび目元を綻ばせる。


 妻の|濫《みだ》りがわしい姿に興奮した藤生は彼女を立たせ、片足を持ち上げて立位で挿入する。


「ん、うッ、うあ、あッ、あっくう、ううッ」


 壁に背をもたせかけながら月は両手で口を塞ぐ。子供たちが寝ているのだ、あまり大きな声は出せない。彼らも何も知らない歳ではない。月の嬌声が聞こえれば両親の仲良しタイムはバレるだろう。日ごろ子供たちの前でもイチャついている宇崎夫妻だが、実際の声を聞かれるのは恥ずかしいのか月は奥歯を噛みしめて我慢する。


 藤生は月の太ももに手を回し、地面についていたほうの脚も掬って持ち上げる。


「あっ」と驚きの声を漏らす間に月は駅弁体位で抱えられてしまった。


 こうなると月は藤生の首に手を回して抱きつかねばならない。両手が口から離れて守りが薄くなる。彼女は涙目になりながら藤生に向かって首を横に振る。やめて、ダメよ、子供たちが気づいてしまう。無言の訴えを無視して藤生は月と位置を入れ替える。背中を壁につけて二人ぶんの体重を支えながらピストンする。


「藤生さん……やだあ、ん、やっ……」


「こないグチョグチョにしてやだもあるかい」


 自分の体重も利用して奥深くまで刺し貫かれる体位に月は翻弄される。身体を支えてくれるものがなくなった彼女は、ますます藤生から手が離せない。震える腕に力を込めて彼に縋り付く。


「あ、あっ、あ、い、い、イイ、あっ、あっ、あああァ――!」


「これやったら月さんナンボでもイケるなぁ。昔から駅弁で奥突かれるの好きやったもんな」


「好きっ♡ 好きっ♡ 藤生さんに持ち上げられて奥ドチュドチュッてされるの好きっ♡ 男の人の力強さ感じながら奥いっぱい突かれるの好きなのぉっ♡」


「ほれ、ほれ、ほれ、ほれ」


「はっあ、あっ、あっ、ふ、ふじおさんの、ふじおさんのおちんぽっ♡ すきっ♡ 奥っ♡ こちゅこちゅすきっ♡ そこイイっ♡ おまんこっ♡ きもちいっ♡」


 桜井くんとどっちが好きや、と思わず聞きそうになって藤生は飲み込んだ。まだその時ではない。


 もし仮に手記の内容が事実で月と桜井の間に肉体関係があったとしたら、法的にも倫理的にも道理は藤生の側にある。大人の話し合いでも拳でも戦って負けることはないだろう。だが物事は単純な勝敗だけで語れない。


 藤生が恐れているのは、万が一にも月の心が自分から離れ、桜井に傾いていた場合だ。このケースでは桜井に社会的な制裁を加えたとしても、月は自分のもとを離れて行く可能性がある。それに事を表沙汰にすれば、母親の浮気相手が自分の恋人だったと花に知られてしまう。一家がバラバラだ。これでは困る。勝ってもなにひとつ得られないどころか失ってばかりだ。


 若造のチンポなんか忘れさせたる。俺が月さんを一番気持ちよくできるんや。よく馴染んだ旦那チンポが一番だって思い出させたる。


 自分とのセックスで満足させて桜井とは気の迷いだったと思い直させる。月から桜井に別れを告げさせる。内密に事を運ぶにはこれだ。


「あっ♡ あっ♡ ふじおさん……わたし、もっ……イクッ♡」


「よっしゃ! ラストスパートや」


 藤生は月をベッドに下ろすと上から覆い被さって腰を動かした。身体が自由になっても月は口で手を塞がない。子供たちに喘ぎ声を聞かれることなど忘れて藤生に抱きつく。


「あっ、あっ! あっあっあっ! あっあっあっ♡ あっあっあっあっあっあっあっあっあっ! あっあっあっあっあっあっあっあっあっ♡ あぁ~~~~~っ♡♡♡」


 糸引く絶叫を残して月の手足から力が抜ける。感電したようにピクピク震えながら膣を締める。中出しを求めてしゃぶりついてくる媚肉に包まれ、藤生も妻のナカに精を解き放った。


新たな不倫日記

 夫とのセックスは無我夢中で楽しんでしまうほど気持ちがいい。身体の相性はもちろん、三人も子供を設けた愛する人なのだ、彼の腕の中で果てるときは涙が出るほど幸せな気持ちになれる。だけど私は意地汚い女だ。夫に抱かれながらもSくんのおちんちんを思い出してしまう。Sくんのおちんちんでも、こんなに幸福な気分になれるのかと考える。


 初めて彼のおちんちんをシテあげてから一カ月経った。私は久しぶりに彼の部屋を訪ねた。その日は誰も来る予定がないとあらかじめ確認していた。花には実家に行くと伝えてあるらしい。


 家に呼び出された時点で彼の目的は明白だった。断らなかったのは、私も同じ気持ちだったからだ。


「胸で挟んでください」


 まどろこい手順や駆け引きは無視して私たちは服を脱いだ。あまり時間は掛けられない。一分、一秒でも早く始めなければ、それだけ使える時間は減る。


「いつも私の胸をチラチラ見てたわね」


「気づかれてましたか」


「気づかないと思った? 意外と女の人は見られてること分かるのよ」


 参ったなとSくんは鼻頭を掻いて照れくさそうに笑う。その顔が可愛くて母性を刺激された。


「おっぱいで挟んで欲しいのね」


 言いながら私はブラホックを外す。重力に従って乳房が自然に下がる。垂れてるわけじゃない。歳のわりには頑張って維持してるほうだと思いたい。もともとが大きいので、どうしても重力の影響には逆らえないのだ。


 今日は立った状態でシテあげる。彼の前にひざまずいてまずは涎を垂らす。早くも滲み出していたカウパー液と唾液を混ぜながら塗り伸ばす。手で触れるとSくんのおちんちんがピクン、ピクンと喜んだ。こんなに期待されたらこっちまで嬉しくなってしまう。


「Tさん」


 Sくんが切なげに催促してくる。我慢できないようだ。手だけで全開になったおちんちんを胸で挟んだ。


「すごい。Tさんのおっぱい柔らかくて、いままで感じたことない気持ちよさです」


「あの娘のおっぱいとは違うでしょ。若い娘には張りや弾力で負けちゃうけど人妻には包容力があるんだから」


 えいっ、えいっと左右の胸をクロスさせながら彼のガチガチに勃起した肉棒を捻り挟む。彼の腰が痙攣する。気持ちいいという言葉に偽りはないようだ。


「娘さんとはこんなことしてないから分からないです」


「そうなの? てっきり私は済ませてしまったものだとばかり」


「まだそういう雰囲気にならないというか、お互い踏ん切りがつかないというか。付き合いが長いぶん、まだ完全に関係性が切り替えられてないのかもしれません」


「焦らずやっていきましょう。こっちの処理は私でいいなら付き合うから」


「はっ♡ はい……よろしく、お願いします♡」


 手で持った乳房を弾ませながら刺激を加える。叩くような攻めにも彼のおちんちんは敏感に反応した。


「Sくんのおちんちん本当に大きいわね。私の胸から先っぽが出るのは夫くらいだと思ってたのに」


 谷間から覗く先端部をチロチロと舐める。舌先を尖らせて尿道にねじ込む、鈴口を丁寧にしゃぶる。


「そんな先っぽばかり」


 亀さんの頭をぱくりと咥えて漏れ出したカウパー液を吸い出す。ちゅーっと音を立てて吸引すると「あっ♡ あっ♡ あっ♡」と彼が女の子のように鳴く。大きな身体で逞しく見えても、おちんちんいじめられたときの声は可愛いものなのね。親子ほど歳が離れた男の子を、パイズリフェラで翻弄する快感に酔いしれた。


「Tさんダメです俺……もう出そうです」


「我慢しなさい男の子でしょ」


「そんなこと言ってもTさんが上手すぎて」


「応援してあげるから。ほーら、がんばれ♡ がんばれ♡」


「それ逆効果~~~~♡♡」


 応援に合わせて左右から寄せたおっぱいで上下に扱く。人妻の生乳ホールにおちんちん気持ちよくさせられ、Sくんの我慢は長くもたなかった。


「んっ! んっ♡ くっ♡ でるっ♡」


 びゅるるるるっとSくんの先端から白く濁った液体が噴き出す。飛び散った精液で辺りが汚れないように、私は咄嗟におっぱいを強く押しつけて彼のおちんちんを封じ込めた。胸の中で彼の肉棒が跳ね回る。心臓に近い場所で彼の脈動と精液の熱さを感じた。


「――――ん、いっぱい射精したわね」


 おちんちんの動きが止まったのを見計らって私は胸を放す。左右の乳房を結ぶ精液の糸が伸びる。胸を左右に大きく開いていくと、やがてぷつりと切れて蒲団に落ちた。あとで調べたところによれば、ザーメンブリッジと呼ぶらしい。近くにあったティッシュで胸を拭っていある間も、Sくんの視線はそこに釘付けだった。


 ごくりと生唾を飲む音が聞こえた。手コキ、フェラ、パイズリと経験して彼の興奮は最高潮に達していた。早く女を犯したくて仕方ない様子。夏の猛暑で参っている犬のようにカッカッカッと息を吐く。


 私は仰向けに寝て彼の前に雌穴を差し出した。自分で淫裂に手を当てくぱりと開く。恥ずかしくはあるが未経験のSくんを私がリードしなくては。


「これが女の人のおまんこで、ここがおちんちんを入れるための穴よ。よく見えるかしら」


「はい。触ってもいいですか」


「優しくね」


 恐る恐る彼は手を伸ばす。性体験がないなら女性の生おまんこを見るのも初めて。初めて尽くしの彼の相手になれたことが嬉しい。これから何人の女の人とセックスすることになるか分からないが、そのすべての女が私を基準に比べられるのだと思うと暗い喜びがあふれる。娘に悪いことをしているなとは思うが、それさえも官能のスパイスだった。


 いけない母を許して。心の中で娘に謝る。


 彼の震える指先が陰唇を撫でる。言いつけどおり優しく、触れたか触れないか程度の浅いタッチ。それが余計にもどかしい。


「……ふっ、うん、あっ……もっと大胆に触っても大丈夫よ。慣れたら指も入れてみて」


 本当にいいんだろうか。視線で問いかける彼に私は笑みを浮かべて頷いた。彼の指先に少し力が入る。さっきよりも大胆に割れ目を上下になぞる。


「上のところにある、ぷくっとしたお豆が見えるかしら。これがクリトリスよ。触ってみて……はうっ♡ そうよ、優しくね、ここは女の人の身体でも特に敏感な場所だから」


 私が包皮を剥いてあげるとSくんの指が肉真珠に当てられる。彼は指を左右に小刻みに震わせながらクリトリスを刺激した。


「ああ♡ あっ♡ くううんっ♡ そうよ上手。才能あるわね。私は直接触られても平気だけど、人によっては刺激が強すぎて苦手な人もいるから、いきなり包皮はめくらないようにね。まずは上から優しく撫でてあげるの」


「ナカから水が出てきます」


「おまんこが、おちんちん入れてもらいやすくするために濡れるのよ。男の人も興奮すると先っぽから透明なお汁が出るでしょ。今度は指を膣孔に入れてみて」


 くぷりとSくんの中指が入ってくる。


「ああっ、はぁぁぁ、はぁっ……どう?」


「熱くて、ぬるぬるで、柔らかいのに締めつけてきて、硬いところやザラザラしているところもあって……一言じゃ言い表せないです」


「そうね。おまんこは複雑な造りをしているの。そして、とってもデリケート。乱暴にしたら簡単に傷ついちゃうからね。エッチなビデオの真似して激しく引っ掻いたりしないこと。女の子に逃げられちゃうわよ」


「分かりました」


「それじゃ好きなように動かしてみて」


 Sくんは慣れない手つきで指を出し入れする。テクニックなんかない稚拙な抜き差しだけど、初めて自分の身体で感じるおまんこに興奮している様子が伝わってきて、私まで彼の熱気に当てられた。感化されて身体が火照る。


「いいわよ。そのまま指を曲げて、円を描くように動かして……ああ、そう、そこ……そう……んんっ♡ それでいいわ……あっ♡ そう、そう……上手……少し激しくして……あっ♡」


 私は自分のGスポットがある場所を口頭で伝え、Sくんの指でそこに触れてもらう。彼の手が敏感な場所に触れると、腰から下が爆発してなくなったと錯覚するほどの衝撃が走った。


「ああっ……すごい、すごいわSくん……本当に初めてなのっ♡ こんなに上手いなんて信じられない」


「上手くできてますか。気持ちよくなってますか」


「あっ、あっ、ああっ……ん、ああん……♡ ふあ、やあっ、これすごい……こんなの……んんあっ♡ あああ……だ、だめえ……感じちゃう♡」


 童貞と嘘をついてるのではと疑うほど彼の攻めは的確だ。喜んで収縮した膣が彼の指をギチギチ咥え込んでしまう。もし本当なら天性のセックスセンスの持ち主だ。


「うう、もうだめえ……我慢できない……ああああ、もうイっちゃう!」


 彼に教えてあげるどころではない。あっさり彼にイカされ、私は肩で息をしながら全身を強ばらせた。


「大丈夫ですか」


 指を引き抜いた彼が心配そうに見つめてくる。やめて、そんなに優しい目で見られたら、勘違いしちゃう。娘より私のほうが好きなのかしらなんて思わせないで。


「大丈夫よ。それより」私は自分で自分の膝を抱えて持ち上げた。「いま指を入れた穴におちんちんを入れて。それがセックスよ。Sくんの童貞もらってあげる」


 避妊だけは忘れないでね、と言い添えると彼は急いでコンドームに手を伸ばす。経験はないが着脱の練習をしたことはあるらしく、多少手間取りながらも大きなタイムロスなく準備を整えた。


 挿入は一回で決まらず何度か入り口で亀頭が滑った。私は彼のおちんちんに手を添えて導いてあげる。


「そのままよ。真っ直ぐ来て」


 ぐっと彼が腰を突き出すと亀頭が埋まる。やっと入ってきた大きなおちんちんを逃すまいとナカが収縮した。


「うわっ、締まる」


「あ……あああっ!」


 彼のモノが奥まで入ると私は仰け反った。浮いた腰を下からSくんの手が支えてくれる。


「そんなに締められたら俺……」


「ああんッ! そう言われてもSくんのおちんちん大きくて、私のいいところに当たるの♡」


 入れられただけでどうにかなってしまいそうなほど気持ちいい。


 Sくんは慎重にペニスを引き抜き、抜いたときと同じくらいゆっくりと入れ直す。一往復の間に何度も彼の腰が震える。その振動は膣を通じて私にも伝わった。彼が熱っぽい瞳で私を見る。きっと私も同じ眼をしている。


「ふっ♡ ふっ♡ ふっ♡」


「そうよ……その調子で、慌てなくていいわ……上手く動かなきゃと思わなくていいから、いまは女の身体を感じて」


 余裕が出てきたのか彼の抽送が一定のリズムを刻み出す。Sくんのおちんちんは、私の最深部まで易々と到達した。何度もそこを叩かれて止めどない愉悦があふれ出る。


「んっ! んっ! くっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」


 彼のカリ首に愛液が掻き出される。だが淫らな汁は次から次に出てきて止まらない。枯れない泉から湧き出た淫水が蒲団に飛び散った。


 Sくんの手が私の胸に伸びてくる。敏感な部分を二点攻めといえる余裕はない。快感に負けてあっさり射精しそうになるのを我慢するため、藁にも縋る思いで目の前で動き回る胸に縋ったと言うほうが正確だ。


「あっ! あっ! あっ! いい~っ! いいわよSくん。その調子で突いて」


 返事も忘れて彼は腰を動かす。初めて女を知った童貞くんの限界は近そうだ。眉間に皺を寄せ、顔をくしゃっとさせながら少しでも長持ちさせようと必死で耐えている。


「イキたかったらイッてもいいのよ」


「でも俺、まだTさんのこと気持ちよくさせてあげられてないのに」


「いいのよ」


 私は彼の手に自分の手を添えた。「初めから全部上手くやろうとしなくていいの。まず今日は女の人を知って、次から徐々にね」


 自分だけではなく女の人も気持ちよくしてあげなきゃいけない。彼らしい気遣いだが、筆下ろしが済んだばかりの男の子にそこまで期待するのも酷だ。


 射精許可を与えると彼の抽送がワンテンポ速くなる。


「ああっ、ん、んぁっ……イイっ、気持ち、イィっ……」


「う、うぅ――――ッ!」


 一鳴きしてSくんのおちんちんがビクンッと震えた。抽送が止まり、なにかが終わるのを待っている。祈るような神妙な面持ちでSくんは射精の荒波を耐え忍んだ。


 出し終えた彼の肉棒が小さくなるのを待ち、私は声を掛けた。


「お疲れ様。これで男の子から卒業したわね」


宇崎家オーダーメイドセックス


 夫が私の日記を読んでいるようだ。インターネット上に書き記した妄想日記。娘の恋人と秘密の情事を重ねる主婦の物語。モデルは言わずもがな桜井くんと私だ。


 いつからだろう。桜井くんがときおり私に向ける獣欲を込めた視線が忘れられなくなったのは。花とは意外と清らかな付き合いをしているらしいが、その反動だろうか私を見る目には二十一歳男子の性欲が宿っている気がする。


 視線で犯される、その感覚に私の身体は熱くなった。いけないインモラルな関係の妄想が溢れ出して止まらない。澱のように溜まった妄想を吐き出して解消するためSNSに投稿し始めた。切れ切れに思いつく言葉を二、三行で綴っていただけだったが、次第にフォロワーが増えて固定読者とでも呼ぶべき存在が付きだした。


 注目度が増して感想をくれる人も増えると、次第に私は妄想を吐き出すだけでは満足できなくなり、フォロワーからの反応が欲しくなった。投稿する内容は過激になり、フォロワーに勧められるまま下着姿の写真も添え始めた。


 みんなが私の身体をエッチだと言った。犯したい、孕ませたい、全身くまなく舐め尽くしたい、そんな言葉で欲望を直接ぶつけてくる。実際に顔を合わせて目の前で言われたら嫌悪感しか抱かないだろう言葉の数々が、不思議とインターネットを介したやり取りでは私を興奮させた。


 みんなが私を待っている。もっと期待に応えたい。これまでとは違うことも始めなければ。そんな気持ちから、ノンフィクションを装った妄想日記を開始した。


 エッチな人妻と娘の恋人の道ならぬ恋。モデルにしてしまった桜井くんに申し訳ない気持ちはあった。一方で、広いインターネットで、たまたま彼の目に私の妄想日記が入ることはないだろうと高を括っていた部分も否めない。


 違和感を覚えたのは妄想日記の三回目を更新した夜だ。その回では、お風呂場で浴槽に手をつき、お尻を突き出した私が後から犯される。密会を重ねてセックス経験も増えた桜井くんは自信に満ち、私を初めてイカせることに成功する。


 その日の夜に藤生さんから「久しぶりに一緒に」とお風呂を誘われた。気恥ずかしく思いながらも一緒に入ると、彼は私の身体を求めてきた。バスルームでの情事は、浴槽に手をつき、藤生さんに後から犯される立ちバックでフィニッシュした。


「あっ、あっ、あっ、い、い、イイ、あっ、あっ、す、凄くイイ」


「月さんの弱いところは全部知ってるからな。負けてたまるか」


「イイ……凄くいいわ♡ こ、このまま、このまま続けて」


 藤生さんはなにかに対抗意識を燃やして私を抱いた。彼の気持ちがどこへ向けられているか、抱かれている最中には分からなかった。お風呂から上がって蒲団の中で眠りについているときだ。妄想日記を更新した日に同じシチュエーションで抱かれたのは、果たして無関係だろうかと疑念が湧いた。


 その後も何度か妄想日記を更新した日に、藤生さんが同じシチュエーションで求めてくることが繰り返され、私は確信を持った。


 夫が私の日記を読んでいる。


 日記はTwitterのフォロワー限定で読める仕様だ。私はフォロワー一覧を開いた。その中に投稿数、フォロー数、フォロワー数すべて〇のアカウントがあった。妄想日記を見るためだけに作られたアカウント。


 私は冷や水を浴びせられて目が覚めた。現実感が希薄だったインターネット上での活動が、現実の人間と繋がっている――このアカウントひとつ一つが、実在する一人の人間なのだという実感が急に押し寄せてきた。


 アカウントを消してしまおうか。削除ボタンを押す寸前まで行った。そうしなかったのは妄想日記の使い途に気がついてしまったから。


 この日記に書いたシチュエーションどおり藤生さんは私を抱きに来る。日記を通してなら恥ずかしくて直接は言えない、あんなプレイや、こんな道具を使って欲しいと間接的にお願いできる。


 それからというもの、私はSくんを利用しながら、藤生さんに抱かれることを想定して書くようになった。


 Sくんにクンニを教えたらハマってしまって、おまんこがふやけるまで舐め回されたのと書けば、藤生さんはクンニと指だけで私を気絶させるまでイカせた。


 飛び散った愛液で持ち手が滑って握れなくなるまで電動バイブでイカされたと書けば、藤生さんは電動バイブを買ってきた。


 シテ欲しいプレイを書けば実現する。いつしか私の日記は単に妄想を書き連ねる場所から、藤生さんに宛てたオーダーメイドセックスの注文票になっていた。


 今日も昼間に日記を更新した。きっと藤生さんは読んだことだろう。


 ぎしりと廊下で床板がなる。足音が近づいてくる。寝室のドアノブが回った。お風呂上がりの藤生さんが顔を見せる。


「今日はこれを使おう思っててんけど」


 彼はベッドの近くに置いてあったバッグから縄を取り出す。


「それ用の痛くない縄やから」


 今日のオーダーは縛りプレイ。両手首を縛られ、目隠しをされて視覚以外が鋭敏になった状態で、気絶するまで何度もイカせて中出しされる。


 自分で書いた内容を思い出して私は息を呑んだ。このあとのことを想像して始まる前から濡れる。


 彼が私の両手首に縄を掛ける。痛くないかと聞きながらも手は止めない。私は頷いて大丈夫だと答える。彼が「これも」とアイマスクを取り出した。私は不安な|表情《かお》を作って見えなくなるのは怖いと訴える。本心は不安よりも期待が上回っている。


 藤生さんにアイマスクを着けられた。なにも見えない中で彼の息づかいが聞こえる。吐息に震えが混じる。興奮している。


 暗闇の向こうから彼の気配が近づいてきた。


宇崎月の不倫日記を見つけてしまった夫の気持ちを答えよ


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