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あなたside 「うっひょ~wエロトラップダンジョン様様だぜ~www」  エロトラップダンジョンというものは、あなたも知っている。  女騎士や女魔法使いや女天使──主に、ファンタジー的な世界観の女の子が入り込む迷宮であり、そこに存在するモンスターは命に危機を及ぼすのではなく──  ただ、女の子の恥辱を煽って陵辱をするのだ。  積極的に好き、と呼べるほどではないが、それでも嫌いだと言う男が少ないのも事実。あなたの隣を歩く猿山ケンイチなどは、わざわざ、学校内にゲームを持ってくるほどだ。結城リトにこれを渡すことで、触発されたララに発明品を作らせて──彩南高校をまるごとエロトラップダンジョンにすることでも考えていたようで── 「だってよぉ!エロトラップダンジョンになったとき、そこに配置されるモンスターって誰だよ!?俺だろ!?俺達みたいな、モテない男子高校生だろ!?」  彼は、エロトラップダンジョンの怪物になりたがっていたらしい。  ララや古手川や西蓮寺のような美少女には、ゴブリンよりも醜く見えるのかもしれないが──同時に、エロトラップダンジョンのルールにおいては納得も行く。バカだバカだ、とは思っていたが──こと、エロ方面においては彼の知識も相当なものであるらしい。  あなたは、猿山と共に歩きながら彼の説明を聞いていく。  曰く── 「エロトラップダンジョンは、入り込んだ女冒険者を陵辱する以外の機能は一切無く──  そこにはゲームとしての体裁はなく、ただ、雌が敗北するだけ」らしい。  元々は、男性の欲情を煽って自慰行為のオカズにするためのエロゲー。通常のRPGのように、敵を倒して、レベルを上げて、武器を見つけて戦って行く話なぞあるはずもない。  その上で、エロトラップダンジョンにおいて男というのは無敵だ。  触手やミイラモンスターも、先ほどから幾らすれ違っても、自分達を無視していくばかり。  だが──  猿山曰く「男だからって無事なわけじゃねえぞ?」らしい。 「いいか?今、俺が何を考えているかわかるか?  ……このダンジョンをクリアしたい、ではない!  このダンジョンを利用して、女達とエロいことをしたい……だ!」  彼の発言は、一見すると最低。  だが── 「お前が無事なのはな、俺と一緒にいるからだぞ?  エロトラップダンジョンで男なんていらないからな、本当ならすぐに殺されてゲームオーバーなんだが……  今! 俺は!  ララちゃんや古手川とドスケベなことがしたいと思ってる!」  どうやら──  猿山ケンイチの欲望は、今、エロトラップダンジョンのモンスターにまで昇華されているらしい。  例えば、壁尻というシチュエーションがある。  女の子が壁に空いた穴に、上半身と下半身を分断されて拘束されるシチュエーションだ。  あなたであれば、そんな下半身を見つければ、真っ先に声をかけてしまうだろう。助けを求める彼女の声に呼応して、何のメリットもなく、助けた後での「ワンチャン」すらなく、それでも彼女達の腰を掴んで──助けたとしても「腰を掴む手つきがエロかった」と不信感を煽るだけなのかもしれない。  だが──  猿山ケンイチならば、違うだろう。  それはまるで、一流のスポーツ選手が度重なるイメージトレーニングを繰り返して、不測の事態でも完璧なプレイを魅せるようなものであり──  彼は、壁尻の下半身に声もかけずに撫で回すだろう。  それが──  御門涼子であれば、どうなるか。  どれだけ抵抗をしても、絶対に逃げられないことを確かめれば──スカートを脱がせることだろう。男子生徒を誘惑するような、ミニのタイトスカート。肉厚で真っ白な太腿を露出するくせに、尻肉の大きさも強調したいドスケベなそれは、仮に、強引に背後から襲いかかって腰をかくかくヘコヘコと振っても、彩南高校の校長は「うっひょ~w悪いのは御門先生ですぞ~!」と不問にもみ消してくれるだろう。猿山ケンイチが目の前にしているのは、そういう尻であり──彼は、不器用な手つきで苦戦しながらもスカートのホックを外して、御門のショーツを目の前にするだろう。  その下着がどんなものなのか、あなたは見たこともないが──まるで、女子中学生のように3枚で1500円の、真っ白な木綿パンツを履いていないことだけは、確信に近い予感で答えることが出来る。御門涼子の下着は、おそらく、黒のレースが施された高級品であり──大都会の夜景を一望できる高級ホテルの上層階で、その格好を露わにしても何ら恥じることがない──普通のサラリーマンならば、一ヶ月働いた給料を丸々つぎ込んでも、御門涼子のあのデカパイの片方を覆う布だけしか買えないような代物のはずだ。  そんなショーツが──  猿山の目の前に、無防備に突き出されていて──  彼は、何の感慨もなく──  まるで、オナホールを包装しているパッケージを破るように、下着を脱がせるのだろう。 御門涼子が、全校集会──体育館の壇上で就任の挨拶をした瞬間から一目惚れをして──それ以来、彼女でしかシコっていないあなたには理解が出来ない──「顔と身体が良い女なら誰でもいい」と思っている猿山ケンイチの価値観だ。彼は下着を脱がせて、秘部を露わにして──あなたならば絶対にするであろう、尻を指先でこちょこちょと撫で回したり、激しくスパンキングをしたり、分厚い尻肉の谷間を割り広げて、そこに鼻を挿入して深呼吸をすることも全くせずに──彼女の膣に肉棒を埋めて、それから、好き勝手に腰を振り続けることだろう。  御門涼子の膣肉というものは、確かに世界規模で極上であることだろう。  実際に見たことはなくても、あなたは確信にも似た予感を抱いている。  だが──  折角、御門涼子が抵抗できない壁尻で目の前にいるというのに──  彼女をオナホ扱いするというのは、余りにも勿体ない。  性欲を我慢できない雄猿の──御門でなくても、ララでも古手川でも西蓮寺でもいいという態度は──、一々、あなたの不快感をくすぐってくる。  だが── 「俺がエロいことを考えている限り!女の子に仇なす存在である限り!俺達はエロトラップダンジョンを構成するモンスターの二匹だ!そんな俺達が、ダンジョンに追い出されるわけないだろ?」  不快を抱くほどに、猿山ケンイチの言葉は正論であるのだ。  日和ったあなたは、モンスターに襲われて意識を失ったり、壁尻をしている美少女を見つけても「単体ならば彼女達を助け起こすが、猿山ケンイチが『バレないから平気だ』と言えば──まるで、集団万引きをする少年のように乗せられてしまう」という存在だ。自分自身の倫理観が普通の日本人相当であり──同時に、性欲は激しく強いことを理解しているからの評価なのだが──  つまり──  あなたは、今、猿山ケンイチに身を守られているのだ。  ミイラのようなモンスターとすれ違っても、奴らはこちらに一瞥もくれることはない。  あなた単独ならば、彼らはエロトラップダンジョンに不要な、雌を犯す度量もない男の首を簡単にひねって殺すことだろう。猿山ケンイチはどうやら、こうしてゲームの中に放り込まれることに多少慣れている様子だが──あなたは、違う。ララの発明品である以上、悲惨な結末を辿ることはないと思いながらも──どうしたところで、くたばれば現実の命も終わるデスゲームに感じてしまうのだ。  そうして、上機嫌な猿山と──  どうか、どの女達とも出会わなければいいなと思っていると── 「──はっ!?この匂い……くんくん……っ……間違いねえ!少しきつめのローズの香り……だが、ベッドの上で身体を重ねて汗をかくと、柔肌に鼻を埋めて嗅ぎたくなる香り……間違いねえぞ……!」  猿山は──まるで、動物のような嗅覚を働かせて──  それから、ミイラ型のモンスターの腕を掴んで、引っ張る。  皮膚が存在しない、干からびた彼らであるが──その肩幅の広さから、既に、あなたのような凡人を遥かに超越した身体能力であると察せられる。そもそも、この場所はエロトラップダンジョンだ。ララのような身体能力に優れた女が、一蹴りで退治出来るモンスターであっては意味が無い。このミイラ達は、雌を前にしたときにのみ最大の出力を発揮するのだろうが──雄である猿山を前には、無抵抗なのだ。  そうしていると、彼はまるで── 「うわああああ!助けてくれええ!!」  プロレス技でもかけるように──  いや── ”プロレス技でもかけられるように”──ミイラと絡み合うのだ。 「み、御門先生!助けて!そこに、そこにこいつを退治するアイテムがあるんだ……!」  猿山は通路の向こう側に、大声で叫ぶ。  あなたにとっては死角の位置であり──それは、向こう側の人物にも同様なのだろう。  そこに存在するのは、猿山ケンイチがミイラ型モンスターに襲われている光景だけ。  あなたの存在が見えなければ、彼女には疑う道理もなく──  更には── 「名指しで助けを求められた」という状況で、逃げ出すわけにはいかなかったのだろう。  同じように巻き込まれた西蓮寺や古手川ならば、互いに無力な身だ。逃げ出したところで、誰に責められる言われもなく、猿山の逆恨みのような愚痴を吐きかけられるだけで済むが──  彼女は、仮にも養護教諭の身だ。  これがエロトラップダンジョンというゲームの中であっても──少なくとも、その場で踵を返して逃げ出すことは出来なかったのだろう。彼が口にした「退治するアイテム」というのも、すがりたくなる命綱としては上手いなと──こと、アダルト方面に関しては、この猿のような男にあなたは学ぶばかりだ。  そうしていると── 「くっ……猿山くん!今行くわ!」  彼女は──  白衣姿の御門涼子は、猿山達へと向けて駆けていく。 「御門涼子に助けられる」というのは、すごく良い響きだなと考えながら、あなたは通路の影からそれを見守る。御門が目当てにしているのは、猿山が足下に落としたスマートフォン。現実世界ならば「スマホで怪物を退治?」と疑問符が浮かぶが、こと、エロトラップダンジョンというゲーム内では「そういうシステムなんだからしょうがないだろ」と言われれば、信じる他にない。このゲームを持ち込んだ猿山自身の言葉は、疑うには十分に値するが──しかし、信じなかったところで解決策は存在しないのだから卑劣だ。  御門涼子は、スマートフォンを手に取ろうと前屈みになり──  そうして── 「おらぁ!!」 「きゃっ!?」  猿山ケンイチは、自分に覆い被さっていたミイラを──  御門涼子へと向けて、押しつけた。  警戒態勢をどれだけ取っていたとしても──その程度では、雌の選択ミスを許容しないのが「エロトラップダンジョン」という空間であるらしい。ミイラの動きは、一瞬だけ閃光のように眩しく、早く──  御門涼子を、正面からぎゅ~っとベアハッグで拘束をする。 「んん~~っ!?あっ……かはぁ……っ♡……んぐ……っ♡うぅ~……っ♡」  あの大人びた、極上の美女の口から──  まるで、幼子のような苦悶の声色が放たれるのだ。 「ひひっ!ひひひっ!やったぜ!やってやったぜ!!」  猿山ケンイチは、ただでさえ醜い笑みを更に歪めて──  それから、べらべらと御門涼子に説明をする。  このエロトラップダンジョンは、女だけしか生き残ることが出来ない──  自分のような男は、ダンジョンに迎合してモンスター側になるしかない──  これは言わば正当な緊急避難であり──  御門先生なら、生徒を許してくれますよね?  と──  先ほど、あなたに告げた言葉を、どや顔で説明するのだ。  これが対等な立場からギャンブルで勝利した、優秀なポーカープレイヤーであるならば格好良いのかもしれないが──目の前には「エロトラップダンジョン」という知識量に差があり、最初っからハンデを手に入れている、卑劣なイカサマ師だ。鼻の下を下品に伸ばしている、その顔は本物の猿にそっくりだなと思いながら── ”むにゅっ♡”  と──  彼は、御門の乳房に手を伸ばす。  白衣越しのそれは、どれほどに豊満で極上の乳房を誇っていたところで、柔らかさは感じられないはずだが──それでも「規格外」や「常識外れ」というのは、存在する。  御門涼子の乳は案の定、柔らかく歪み──猿山の掌を悦ばせていく。 「うっひょ~wあの御門先生のおっぱい……やっべえ~w柔らかくて……うっおw掌に収まんねぇ……このデカパイで教師は無理だろ……w」 「猿山くん……こんなことして……どうなるか……んんっ!?」  御門涼子は、今、ミイラ型のモンスターに背後を取られている。  ベアハッグから反転した姿勢は──猿山ケンイチというモンスターを、彼らが同士として扱っている証拠。雌猫の恥辱を煽る為だけに存在する彼らは、自分の興奮よりも、彼女を辱めることだけを優先するらしく──  だから、猿山が白衣を脱がせられるように、僅かな余裕までを持たせるのだ。 「どうなるって……しょうがないでしょ~、先生w俺達、このモンスターに脅されてるんだから……w御門先生を襲わないと……俺達が殺されちゃうんですよ……っw」 ”達”というのは、おかしいだろ──と、内心で憤りを抱くのだが──  通路の影から、その光景を覗いているだけのあなたには、反論をする術も持たないのが事実だ。  猿山は御門の白衣を脱がせて──内側の、ノースリーブのシャツを露わにさせる。御門涼子の95センチHカップという、豊満な肢体のラインが浮かび上がるようなピチピチなシャツ。胸元のボタンは三つ外して、谷間をざっくりと見せつけているそれは──裁判官が男性であれば「でも、そんな格好をしたら、男は誘われてるって思うよ」と強姦魔に情状酌量の余地を与えるような、淫靡な情婦の格好だ。   彼は── ”ばふっ♡”と、その谷間に顔面を埋める。  男として生まれたからには、一生に一度は夢に見るようなぱふぱふを──  彼は、御門涼子の同意もなしに行っているのだ。  底知れない優秀さを常に漂わせている彼女は、本来、策略を弄した強姦すら成功させることは出来ないのだ。御門涼子を狙って、本気で強姦を企んで──失敗に終わって停学処分を受けた男子生徒が二桁いるという、風の噂まで聞いたことがあるのだ。(退学にならなかったのは──校長がアレだからだ)  そんな中で、猿山は── 「うっお……♡雌の臭い、やっば……っ♡」  脂ぎった顔面をぐりぐり~っ♡と擦りつけながら、御門涼子の体臭を堪能しているのだ。  あなたがそこに抱く感情は、純度100%の嫉妬だ。 「御門がかわいそう」であるとか「卑劣な男め」という感情は、少しも存在しない。  ただ、悔しくて、嫉みと妬みを抱くのは──御門涼子が、雌としてはあまりにもレベルが高すぎるから。遵法意識を貫いて御門に指一本触れられないのならば──その後に、十三階段の絞首台が待ち受けていたとしても──御門をレイプしたいのは、道理だ。  それから──  猿山は、御門涼子に全身を擦りつけていく。  ミイラモンスターを拘束具の代わりにして、彼女の身体に腰をぐりぐりと擦りつけながら──”ちゅ~っ♡ちゅっぱっ♡”と下品なリップ音を響かせて──唇を蛸のように窄める彼の姿。醜悪なモンスターに、極上の美女が襲われる──というのがエロトラップダンジョンの定義であるならば、猿山ケンイチは、今、このダンジョンのどの怪物達よりも”エロトラップ”だろう。  あなたは──  気がつけば、掌から血が滲みそうなほど──  強く、握りこぶしを作っていた。  御門への同情ではなく「羨ましい、クソ猿──今すぐ変われ」という、嫉妬まみれの感情。ズボン越しの股間は、バッキバキに屹立している。我慢汁で先端に染みが出来ているのは、最高に最低な代物で──ボス猿の交尾を眺めることしか出来ないというのは──およそ考え得る限り、霊長類の中で最も無様な光景だろう。  今すぐ、猿山ケンイチと自分の立場を変えたい──  自分の方が、御門涼子を傲慢にレイプ出来るのだ──と── ”さわっ”  考えた途端に、壁の位置で、何かに触れた。  そこにあるのは、一つのボタン。  赤く丸いボタンは、まるで、バラエティ番組のチープなセットのような代物。  もっと小さければ、見落とした可能性もあったのだが──握りこぶしでぶん殴って押すタイプのボタンを、まさか、見誤るはずもないので──  それは、唐突にそこに現れた、ということだろう。  現実世界ならばあり得ないことが起きるのが「ゲームの世界」というものだ。  エロトラップダンジョンに紛れ込んだ雄の決意に混ざって、迷宮が姿形を変えて、ボタンを生やすというのは──何も、あり得ない話ではないのだろう。   あなたは── ”がんっ!”  苛立ちのままに、そのボタンを力強くぶん殴ってやると── ”ぱかっ” 「──へっ?」 ”ひゅ~~~っ”  猿山ケンイチの足下の床が、パカッと開き──  それから、彼は遥か奈落へと落下していった。  まるで、出来の悪いコメディの一幕のようなものだが──猿山ケンイチの悲鳴が遠ざかり、やがて聞こえなくなった頃に──床は、再度閉じて、元通りになり──  顔を向けると、ボタンもすっかりと消えていた。  雌を陵辱するためならば、雄の欲望を叶えることもやまないエロトラップダンジョンならでは──あるいは、そこにいるのがララや古手川であれば、猿山に勝てるはずもなかったのだろうが──  御門涼子であれば、話は別だ。  あなたは──  ぐっと息を呑んで、その場で御門涼子を観察する。  何も、襲いかかる勇気がなかったわけではない。  御門涼子の膣に肉棒を挿入して、避妊具なしで中出しをするという最高の快楽よりも、優先する感情──  御門涼子が、あの醜悪なモンスター達に──  エロトラップダンジョンの被害者として、襲われるところが見たくて、しょうがないのだ。  だから──  あなたは、猿山ケンイチがいなくなり──  純粋にエロトラップダンジョンが、その機能を果たすことを祈りながら──ミイラ型のモンスターが、彼女を再度、正面から抱きしめ返したとき──  内心で、小さくガッツポーズをした。 ──── 御門side  猿山くんが、何かを企んでいるのはわかっていた。  こと、男女関係においては百戦錬磨の私にとって──彼の態度は、どこまでもわざとらしく、下心が丸見えのもの。彼が襲われているのは、偽の演技だとわかっていたし──本当であれば、知らない振りをして逃げ出すべきだったのだけど──  もう一人、男の子がいたのだ。  それは──  保健室のベッド下に隠れていた、男子生徒だ。  彼がどんな意図でそこに隠れていたのかは知らないけれど──邪な思いを抱いた少年が、保健室に入れないように張った結界をくぐり抜けてきたので、怪我や体調不良は本物に違いない。例えば、私が椅子の背もたれにかけてきた白衣を嗅ぐのに夢中になって、罪悪感から逃げ込んだとするならば。雑な推測ではあるが、やむを得ない理由はあると思っていたし──そこに悪意がないのならば、私は、見逃してあげるのが優しさだと思っていたのだけど──  猿山くんではなく、その、名前も知らない彼が見ているというのは厄介だった。  彩南高校の養護教諭という立場は、私にとって”命に換えても”で固執するようなものではない。  就職先は無限にある。「デビルーク星のお姫様を中心にして、様々なトラブルが巻き起こる毎日」というのは後ろ髪を引かれる思いはあるのだが──それでも、自分の身と引き換えに守るほどの立場ではない。  だけど──  同時に、居心地の良い今の環境は── 「たかがゲームの勝敗」で、失うことが憚られるものだった。  だから、私は駆けだしていく。  警戒態勢は万全。荒事は得意ではないが、それでも、地球人の弱っちい男の子を手玉に取ることくらいは、生まれ持った生命としての価値の格差によって容易だ。  だが── ”がしっ!”  このエロトラップダンジョンにおいて──  例え、異星のお姫様であり、地球人の最強格闘家集団を10秒で倒せる力を持っていたとしても── ”メス”としてこの世に生を受けた時点で、無力であるらしい。  あとは、案の定だ。  ミイラ型のモンスターが私を、背中側で拘束をする。猿山くんは下品に鼻の下を伸ばした、最低な顔で私の身体を愛撫してくる。長い人生の中で、様々な屈辱を受けてきたこともあり──私の身体を狙ってくる、下品な雄というものは余りにも日常茶飯事。全てを撥ね除けてきた私には、この程度、大したことではないと思いながらも──必死に耐えるのだが──  それでも、目の前の彼の醜悪な姿は、耐えられるものではない。  醜さというのは、顔面の造形の良し悪しではない。  魂の形であり──そういう意味では、猿山くんのそれは、世界中の誰よりも醜く歪な形をしている。あの校長と同じ種族の生き物であり──そんな彼の舌で、頬をべろ~っと舐められて、乳房を揉みしだかれるというのは、まあ、良い気持ちではない。  犬に噛まれたと思って我慢をする──というのは使い古された古典的な表現だが、今の私の感情はそれだ。  彼の脂ぎった鼻先が、私の乳房の谷間に挟みこまれる。  大きな乳房というものは、頭の悪い雄を籠絡するに際して重要な武器になるが──それにしても、私のはあまりにも大きすぎる。毎日二時間の運動を欠かさずとも、肩は勝手に凝ってしまうし──更に、全身運動になると乳が揺れて痛みを訴えるのだ。乳房を小さくする切除手術を考えていた時期もあるし(ティアが泣きながら止めてくるので、やめたけれど)今となっては、良き親友として付き合うことが出来ているが──  私は、自分の乳房に、彼らのような雄が思うほどの価値を感じていなかった。  大きな乳房は代謝良く汗をかき、そうすると、谷間で蒸れてしまう。毎日、宇宙通販人気一位のケア用品を取り寄せて、私は自分の乳房のフェロモンを抑制しなければいけない。大きな肉饅頭である乳肉を持ち上げて、その裏側の汗を拭うというのは──きっと、その光景を眺めるだけで童貞の男子高校生は簡単に射精してしまうことだろう。  私は、メスとしての才能を誇っているが──  くびれたウエストや、大きく、しかし、引き締まった臀部というものは自然に作り上げられたものではない。  ティアならば、好きな物を好きに食べて、たまにはウエストにお肉がついて、それを後悔しながらダイエット──なんて、自由奔放な、少女漫画の主人公のような生活を送れば良いのかも知れないけれど──  あいにく、私はブロンドの彼女のような才能を持っているわけではないのだ。  食事制限にジムでの運動──この身体を最高級に維持し続けるために、相応の代価を払っており──「宇宙中の雄が、私と一発ヤりたい」と思わせるに値する、この身体を作り上げたことで──様々な特権を手に入れられたのだが──  今── 「うっほ~w御門先生の身体……やっべえ……っ♡乳の谷間……すんすんっ♡ふがふが……げほっ♡メスくっせ~……っwす~……っ♡うっわ……ちんぽバッキバキになる……っw」  私は──  地球人の、名前通りの猿顔男子高校生に、その身体を弄ばれているのだ。  エロトラップダンジョン、という響きに相応しい、竿役モンスターとしての彼の役割。  校長にこの身体を貪られるとして、その不快感が──そっくりそのまま、現状なのだろう。  緊急避難の正当行為として、彼を蹴り飛ばすことも出来る。だが──このエロトラップダンジョンにおいて、モンスターへの抵抗が無意味であることは、理解させられた。猿山くんの股間を蹴り飛ばそうとすれば、足を掴まれて──私は、Y字開脚の恥辱を受けながら、彼の肉棒を挿入させられるのだろう。  だから、無駄な抵抗をせずに、彼を睨むだけだ。  そうして── ”誰か、助けて”と──  子供のように、心の中で思った直後に── 「へっ?」  猿山くんの、足下が── ”ぱかっ”と開き──  彼は、悲鳴をあげながら奈落へと落ちていった。  小児科の医師が、幼児に見せるカートゥーンアニメのように、滑稽でコミカルな動きだが──それは目の前で見せられると、中々の異質な存在感を放っていた。彼を奈落に叩き込んだ落とし穴は、すぐに元の床に戻り──先ほどまでと、少しも変わらない形を残している。  エロトラップダンジョン、というものの仕組みを、私は知らない。  男の子を図に乗らせて、調子にこかせた後で──宝物を奪い取るのが、このダンジョンの正常な仕組みと言われたならば、信じる他にないのが無知な私なのだ。  それでも、目の前にあるのは──  私の前から、危機は立ち去ったという事実。  ──迷っていられる、時間は無い。  肘に力を込めて、肘鉄を食らわせようとするのだが──  ミイラ型モンスターは、俊敏な動きで、掌を重ねて攻撃を防ぐ。  彼の腕を掴み、そのまま、一本背負いを食らわせようとするのだが──私の抵抗を防ぐ力を持っている、モンスターだ。その筋繊維は高密度を誇っているようで、見た目からは想像も出来ないような質量を持っている。グッと、私が全力で力を込めても──まるで、大木を相手にするような代物。結局、私は抵抗出来ずに──いや、”全ての抵抗を防がれて”── 「あぐっ……♡ぐっ~……っ♡か……はぁ……っ♡」  ミイラ型モンスターに、再度、ベアハッグを食らう。  正面から抱きしめる、というだけの簡単で単調な動きだが──  それが、格闘技の技名を付けられる代物ということは──  圧倒的な体格差で受ければ、致命傷ということだ。  恋人同士の力強いハグが、どれほど「メスを傷つけないように」と加減をされていたのか、理解させられる。私の腕は、ぴくりとも動かすことが出来ない。身体がきつく抱きしめられているので──肺の空気も吐き出されていき──  私は、呼吸をすることすら出来ないのだ。 「首絞めセックス」が気持ちいいのは、首を絞めるという行為の倒錯的な背徳感だけではない。  酸欠というものが、そもそも、脳にとっては刺激的な快楽なのだ。  医者としては認めたくはないが、「死は救い」というのは、何も「決して避けられない死と向き合うための宗教的な価値観」だけではない。酸欠において、脳細胞がぶちぶちと潰れて、肉体が終わりを迎えるとき──その脳内からは、ヘロインやモルヒネの数億倍の快楽物質をドバドバと放出をするのだ。人体の神秘と言ってしまえば、まさにその通り。希に、死の際から蘇った人間が超常現象を引き起こすというのは──銀河中の天才科学者喧々囂々と、額を突きつけ合わせて議論を繰り返したところで、未だに明確な答えが出てこない代物なのだ。  だから──  エロトラップダンジョンという、宇宙とはまるで異なる物理法則の隔離された世界では── 「首絞めセックスが、世界で一番気持ちいい行為」として、プログラミングされているのだろう。  ミイラ型モンスターに、強く抱きしめられるだけで酸欠になり──私は、「か……はぁ……っ」と無様な断末魔を漏らすばかり。いっそ、そこで殺してもらえれば、ゲームオーバーで現実世界に戻れたかもしれないが── ”ゆる……っ”と、私は酸欠寸前で、解き放たれる。  ぜえ、はぁと、色気も何もない荒い呼吸をするのは──このモンスターの目的が、理解できるから。私が肺に酸素を取り込むと──即座に、ベアハッグを再開してくる。私が窒息死する寸前に、解き放ち──酸素を吸入すれば、また、彼は私を抱きしめてくるのだ。  拷問と、何が違うというのだろうか。  エロトラップダンジョンに屍姦の趣味を持ったモンスターがいないことに、賭ける他にない。猿山くんが持ち込んだゲームだ。グロテスクなものよりも、頭の悪いエロを彼は好むのだろうから──命の心配はしなくていいのだが──  それが故に、私はこのモンスターに、いいようにされているのだ。  生きていれば逆転のチャンスがある──と思えば、酸素を吸うことをやめられるはずもない。私は、彼に翻弄されながら──やがて、六回目のベアハッグで── 「ぐぅ……っ♡はぁ……♡あぁ~……っ♡」  間違いなく、快楽を感じてしまっているのだ。  脳が何度も、死の寸前まで叩き込まれることで──大量の脳内麻薬を分泌させている。  銀河の全ての星で違法の、単純所持で最低でも終身刑の危険なドラッグを服用したキメセクよりも──遥かに、衝撃的な快楽は、私を引き戻せなくなる代物だ。   やがて──  私に、すっかりと抵抗の意思が失せたところで── ”べっろ~~~っ♡♡♡”  ミイラ型のモンスターは──  私の頬に、舌を突き出して──舐めてくる。  舌肉の表面積を全て、私の頬に触れさせるような──男女の行為の前戯とは異なる、動物が捕食する時に行うような舌なめずり。彼の唾液は、にちゃあと粘度を持っている。人間の唾液が咀嚼や喉の保護に重大な役割を果たすのとはまるで異なり──ただ、女体を貪るためにだけ存在する生き物の唾液は、おそらく、媚薬かローション──あるいは、その両方の役割なのだろう。私の頬にねっとりと、ゼリーのようにぷるぷると震える粘液がへばりつき──その異臭に、私は思わず眉をしかめてしまう。  顔面をべろべろと舐め回してくる、ミイラ型のモンスター。  口臭は──鼻が曲がりそうなほどに、臭い。  吐き気を催すのだが──実際に、嘔吐することがないのは、その臭いが癖になる代物だから。一部の干物やチーズと同じで──悪臭を放つが故に美味しい、という食べ物と同じなのだろう。このエロトラップダンジョンに生み出されたモンスターの、悪臭を放つ口臭は脳を麻痺させて──嗅ぎ続ければ、やがて私は彼のげっぷまでを待ち望むようになるのだろう。  そのまま──このモンスターは、私の唇を狙ってくるのだが── ”ふいっ”と、私は顔を逸らして抵抗してやる。  圧倒的な実力差において、それは「無駄な抵抗」と呼ぶことすら憚られるほどの”無駄”だが── ”…………”  彼は、私の唇ではなく、首筋を狙ってくる。  それが──私には、不快で他ならない。  問答無用でメスを陵辱する、このエロトラップダンジョンのプレイヤ─、─―神の視点の男を満足させるためのモンスターのくせに、このレイプを──  こいつは、一丁前に合意の上のものだと語っているのだ。   女が嫌がることはしない、という紳士的な振る舞いを、強姦中の暴漢者にされることほど、腹立たしいものもない。私が不快と嫌悪のオーラを露わにすると──それが、彼には喜ばしかったのだろう。”ぶちぶち~”と、乱暴に私の服を引き裂いていく。  私の身体は、大きく日本人離れをしている。  菜食主義者の、農耕民族の血を受け継いで育った彼らに比べると──肉付きがまるで違う。背は高く、足は長く、胸部と臀部の発達は言うまでもないだろう。  日本のブランド品では、私の身体には不釣り合いであるので──  わざわざ、海外から自分用の服をオーダーメイドで輸入しているのだ。  白衣だけは身体のラインに関係なく、それに、日本製のが一番質が良かったので既製品だけど──それ以外のコーデは全て、私が、私の為に選んだ特注品。雌としての価値を高めるためのそれは、上下一式で、数万ドルは優に超えるものなのに──  ミイラ型のモンスターは──  それを、邪魔な布きれとして──  まるで、避妊具のパッケージを破るような手つきを見せてくるのだ。  私の身体は簡単に下着姿になり──彼は、それも乱暴に引きちぎってくる。アダルトビデオの、「脱がせるため」にぼろ布きれで作られた衣装とは違うのだ。一針一針、職人が魂を込めて縫ったオーダーメイドのそれらは、力尽くで引っ張ったところで布が伸びることすら無いのに──男の子が憧れて大好きな「ブラのホックを自分で外す」「女のショーツを脱がせる」というロマンすら解さない獣に──  私は、全裸にひん剥かれるのだ。 ”じゅるるる~っ♡ぶっちゅっ♡むちゅっ♡ちゅぱっ♡れっろぉ~~♡♡”  モンスターは、そのまま私の身体を舐め回してくる。  ベアハッグで抱きとめられて、抵抗が出来ない状態で──彼の醜悪な舌肉が、全身を這いずり回り──更には「ぶっちゅ~~っ♡」と、肌に吸い付いて、キスマークという名の内出血すら起こしてくる。  彼の目当ては、私の乳房に集中してくる。  先ほどの猿山くんのとはまるで違う──私の柔らかなそれを、捕食対象の肉塊だと思い込んでいる歯の立て方──  私は、びくっと身体を震わせて、それに反応をしてしまう。   目の前にいるのが、意思の疎通の不可能な怪物であると教え込まれて──私は身をのけぞらせようとするが、抵抗をすることは出来ない。彼の醜悪な唇が、私の乳首の十センチ前。息が荒く、それだけで熱を感じて──やがて近づき、五センチ、三センチ、一センチ──そして── ”べろぉ……っ♡” ”ぴちゃっ♡ちゅぷ……っ♡れろれろ……っ♡にちゃぁ……っ♡”  彼は、私の乳房に舌を這わせてくる。  ナメクジやカタツムリのような粘性動物を彷彿とさせる、気持ちの悪さだが──猿山くんや校長を相手に強姦をされる妄想だと、いつもよりも深く濡れるように──「嫌悪している相手からの奉仕」というものは、頭の悪いメスに刺激を与えてくるのだ。  私の乳首には、電流のような刺激がびりびりと走ってくる。  その場に、立っていることすら困難になるが──身体の支点は、彼に抱きかかえられた腰にあるのだ。倒れることすら許されない状況で──ミイラ型モンスターは、口を大きくぐぱぁ♡と開ける。口の中には、唾液の糸が何本も引いている、醜い光景。  彼は、私の豊満な95センチHカップ──片乳三キロのそれを── ”がぶっ♡”と、口の中に咥えてくる。  ねろねろと、舌先を動かしながら私の乳首を舐め回して──それと同時に、乳房に吸い付いてくるのだ。醜悪な怪物に襲われかけたことは多々あっても、ここまで、直接的なのは初めて。私の身体は、先ほどのベアハッグで感度を高められて── 「んん……っ♡」  と──  ついに、喘ぎ声を漏らしてしまう。  唇を固く結んで、男を悦ばせないことを矜持にしていたのに──  蟻の一穴でも、防波堤を決壊させるには十分だ。 「はぁ……んんっ♡あ……っ♡やだ……っ♡か……はぁ……っ♡やめ……てぇ……っ♡」  私は──  涙を流しながら、赦しを懇願する。  直接的な命の危機というわけではないのに──この醜悪なモンスターに、命を支配されているという状況が、どうやら、プライドの高い私にはどこまでも屈辱的であるらしい。感情とは乖離した涙だが──そのモンスターは、私の腕をあげさせて──腋に、べっろ~っ♡と舌を這わせてくる。熱を帯びて、汗ばんで、じっとりと湿ったワキ汗──くすぐられると弱い、というのはすなわち、性感帯という意味であり── 「ああ……っ♡んっ♡……んきゅ……っ♡はっ♡んっ♡……んん~……っ♡」  私は、もう、抵抗をすることが出来ない。  恋人同士の甘い夜でも、これほどまでに乱れて喘いだことはない。  ミイラの舌が這わされる度に、彼の粘液が触れたところが熱く火照って、たまらなく快楽を得てしまうのだ。逃げだそうと、身体を前後にひねると、拘束の力が強くなり──あるいは、私はそれにすら快楽を感じているのかもしれない。 「御門涼子が、ミイラ型モンスターに拘束されながら、全身を舐め回されたり、吸い付かれたりしながら興奮をしている」という状況──  観測者がいるならば、彼はたまらなく興奮をしているに違いない。  先ほど、猿山くんと行動を共にしていた彼は──と、意識が傾くのは、そんなことでも考えてないと正気を保てないからだ。私を包んでいた分厚く硬い殻が破られてしまえば、そこにいるのは無力な子猫が一匹だけ。  いつの間にか── ”ぼろんっ♡”と、ミイラ型モンスターは肉棒を隆起させている。  硬く逞しいそれは、まるで鉄杭を彷彿とさせる代物。  医者という立場がある以上、彩南高校の女生徒のように、きゃあと可愛らしい悲鳴をあげたりはしないが──息を呑むのが精一杯で──喉を鳴らすと、このモンスターの唾液の苦い味が広がってくる。  私の膣に、ぬりぬりと亀頭を擦りつけてくる彼に── ”ぐっ♡”と、私は腰を突き出して──  彼の肉棒を、太腿で挟んでやる。  そこで更に抵抗を返されれば終わりだったが──  どうやら、それで十分すぎる快楽であったらしい。  太腿が太く、肉厚で、デニム系のパンツが似合わないという今までの人生は──このためにあったのか、なんて、巫山戯たことを考えながら私は腰を振ってやる。  上半身は彼に抱きすくめられていても、腰は自由自在。  彼の肉棒は灼けるように熱く──硬く、太く、大きい。私が今まで、枕を共にしてきたどの男性よりも大きなそれは──「優秀」というよりも「スプラッタ」の方が似合うだろう。エロトラップダンジョンを好きな男にとっては、自分のそれとは比べものならない巨根をハメられて、メスがひいひいと泣き喚くのがいいのかもしれないが──私は、それに易々と踊らされてやるつもりもない。  彼に──  上半身を舐め回されながら、下半身は素股でピストンをしてやっているのだ。  仮に、ラコスポのような宇宙人に銃を突きつけられたり、生徒を人質に取られたりしても──私はここまで、無様な態度を見せることはないだろう。「エロトラップダンジョン」という状況に適応した、クレバーな選択肢──子供達には出来ないことだと、思っているのだが──  それもまた、貪られるだけの、頭の悪いメスが自己を正当化するための言い訳なのかもしれない。  彼の肉棒は、徐々に、硬く隆起をして──びくびくと太腿の内側で脈動をしてくる。言葉が伝わるのかは、わからないし──このエロトラップダンジョンにおいて、誰に媚びを売るべきなのかはわからないが── 「ねっ……私の身体……美味しいかしら……?」  私は、彼の耳元で囁いてやる。  ここがゲームの世界であり、プレイヤーがもしもいるのならば。 「観測者に媚びを売る」という選択肢を取れば、間違いなく「この女のエロを次も見たい」と思われて、私の寿命は、少しは伸びるだろう。さっさとゲームオーバーになればゲームから出られる、という確証さえ取れれば──と、唇を噛みながら──  私は、彼の耳元で囁いてやる。 「毎日、肌のケアは欠かさないのよ……?ジムで毎日汗を流して……肌つやは健康を保って……っ♡ぬるぬるでとろとろ……あなた達が大好きな、ローションみたいなお風呂に二時間浸かって……♡こっちでは、香油って言うのかしら……?全身の肌に……男の子を誘惑させちゃう……いっけな~いメスのフェロモン、むわむわって増幅させるの塗りたくって……んふふ……っ♡  あなたが、今、舐めしゃぶってるの……っ♡  銀河の中でも、一二を争う……極上のメスの肌なのよ……っ♡」  私の言葉に、彼は、ビクビクと震えを激しくする。  意思の疎通が不可能であると思っていたのだが、あるいは、こちらの言葉は聞き取っているのかも知れない。  それとも──  ただ、耳が性感帯であり、生暖かい吐息の温度に反応をしただけかも知れない。  私には、どちらでもいいことで──  この場の主導権を握って、逃れられるのならばそれでいいのだ。  全身は、すでに狂いそうなほどの快感を得ている。膝が震えて、立っていることが困難になり──私は、彼の首に腕を回して、太腿を叩きつけてやる。ここぞ、とばかりに、私の顔面をべろべろと舐め回してくるミイラ型モンスター。犬や猫であっても、顔を舐められることは好きでないのに──そこにいるのは、私のことを陵辱するつもりの怪物なのだ。 それなのに──  顔面を、くっさい唾液でべろべろと舐めつくされて、私は激しい興奮を抱いてしまっている。 「あっ♡んっ♡イ……く……っ♡」  太腿の間で擦られる肉棒に、私の身体は陥落寸前。  彼の肉棒がビクビクと脈動をしていく内に──私は、浅い絶頂を何度も、小刻みに迎える。しがみつかなければ、腰砕けになってしまいそうだが──これを挿入されるよりは、ずっといい。積極的な腰振り素股に、気持ちよくなったのだろう。それはまるで、射精の時にぎゅ~っと全身に力を込めるような──「どこまでも、男っぽい仕草の一つ」として──私の身体を、今までで最大の力で抱き寄せてくる。  全身が圧迫されて、骨がギシギシと軋み、一瞬で視界がブラックアウトしそうな状況で──私の脳味噌は、その苦痛から逃れるための快楽物質をドバドバと放出をしてくる。ミイラの肉棒は、天を穿つ角度で隆起していて──私の膣に擦りつけられるそれに、私は、もう、耐えられることが出来ない。最後に一度、”ばちんっ♡”と腰を叩きつけたところで── ”ぶっしゃ~~~~♡♡♡♡” ”びゅるるるる~~っ♡♡どぴゅどぴゅっ♡びゅるるっ♡びゅくんっ♡” 「んんん~~~っ♡♡♡」  私は、潮を噴いて絶頂をして──  ミイラは、その場に激しい射精をした。  今までの人生で行ってきたセックスが、所詮は、お遊びであったと感じさせるような──サバンナでライオンが、インパラを一方的にいたぶって貪るような陵辱行為。それなのに、私の身体は素直に快楽を抱いてしまい──膣は、とろとろのぬるぬる。そこらに落ちていた、木の枝ですら挿入出来そうで──更には、感じてしまいそうな状況で── 「──きゃっ!?」 ”がばっ!”と、ミイラの彼は私を押し倒して、股を開かせてくる。  圧倒的な力の差は、ほんの一瞬で、抵抗する気すら損なわせる代物。  私が相手にしてきた男とは違い、一度の射精では、回復に到る時間すら必要のない性欲であり──  彼の隆起した肉棒が、私の膣に”くちゅりっ♡”と押し当てられる。  絶対に抵抗が不可能な状況──違う、嘘だ、ここでゲームオーバーなはずがない──「誰もクリアできなかったら、私たちは永遠にゲームの中に閉じ込められて、犯し尽くされる」なんて結末があるはずない──と思いながらも、私は必死に足をジタバタと振る。「やだ!やめてっ!お願い……やだぁ……!」と、まるで、生娘のように情けない命乞いだが──エロトラップダンジョンの彼に、通用するはずもない。顔の皮が剥がされて、表情もないはずなのに──彼は、にやぁ、と嗜虐的な笑みを浮かべて──  腰を前に突き出してきて──  そして、敗北するという寸前に── ”がつんっ!!” 「~~~~!?」 「御門先生!こっち!走って!」  私を──  庇ってくれる男子生徒が現れたのだ。  顔は見たことがあっても、名前までは知らない彼は──  おそらく、保健室のベッドの下にいた彼だろう。  猿山くんと行動を共にしていたはずの彼は、きっと、私の痴態を望む側であったはずなのに──と、考えながらも、冷静な考えを持てるはずもなく──  私は、彼に手を引かれて、そのまま駆けだして行き、だから── 「このエロトラップダンジョンで、モンスターに襲われて敗北するよりも──  プレイヤーが満足する光景が待ち望んでいる」  ということに、意識がいくはずもなかった。

Comments

谷澤晴夫

天から与えられたモノじゃなく、努力で得たモノを凌辱する快感がエロかったです。