①ToLOVEるの御門涼子がエロトラップダンジョンに放り込まれる話 (Pixiv Fanbox)
Published:
2021-09-03 09:00:00
Imported:
2022-06
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「だからね~♪この”もぐもぐゲームくん”にゲームを食べさせると……なんと、そのゲームの世界に入れるんだよ!」
ララ・サタリン・デビルークは今日も上機嫌に、声色を弾ませている。
保健室──
彼女以外には西蓮寺春菜と、古手川唯と、モモ・ベリア・デビルークに──
結城リトの五人が、歓談に花を咲かせていた。
授業中や昼休みであるならばともかく──時間帯は放課後であり、部活も終わりかけの頃。生徒達の健全な日常を守るのが養護教諭の役割であるならば、休んでいる生徒もいない今は、彼女達のたまり場になっても、何もおかしな話ではない──と──
御門涼子は、そう、考えているのだろう。
椅子に座りながら、脚を組んでいるので──
あなたに見えるのは、彼女のあまりにも長い脚だけ。
女性にしては高身長の彼女であるのだが──”スタイルの良さ”という言葉を体現するように、彼女は、脚が長すぎるのだ。
普通の日本人女ならば「むしろ、バランスが悪くて気持ち悪い」と言われるような体躯なのだろうが──黒髪でありながらも、どこか地中海的なオーラを漂わせる肉厚の唇に──デカすぎる乳と尻を湛えていれば、その驚異的な脚の長さは「スタイルが良すぎてやばい」という感想に繋がるのだ。
御門涼子の、少し高めのヒール。
爪先が見えるオープントゥタイプであるので、足の指に塗られた、真っ赤なペティキュアが艶やかだ。その光沢だけで、普通の男子高校生は射精をすることが出来るだろう。脚しか見えない、という状況にがっかりすることがないのは、彼女の脚がたったの一本で──全ての雌を凌駕する魅力を放っているから。
そこからは、涼子の表情を伺うことは出来ないが──
「ふふっ……結城くんは、どんなゲームがご所望なのかしら?」
彼女の上機嫌な声色から──
おそらくは、穏和な笑顔を浮かべているのだろうと察することは出来る。
一度だけ──
あなたは体育の授業中に膝を擦りむいたとき、涼子に手当てをしてもらったことがある。
「乳がデカすぎるので、白衣のボタンを締めると、身体のラインが浮き出てしまうので──まだ、胸の谷間を晒していた方がましだ」という思惑で、煽情的な桃色のシャツを丸出しにしている御門涼子。普通の学校ならば、間違いなく、PTAが黙ってはいないだろう。(彩南高校は、普通の学校ではない──そもそも、校長があれだ)御門涼子がエロすぎて、男子生徒がそれをオカズにシコりまくるので──男子生徒の偏差値や大学進学実績が下がると言われてしまえば──それは「フェミニストの歪んだ性思想」ではなく「的確に的を射った正当な批判」であるのだ。
話が逸れたが──
御門涼子が、椅子に座ったあなたの下に跪いて、膝に包帯を巻いている光景。
彼女の胸の谷間を視姦すれば、あなたは一生涯のおかずを手に入れることが出来ただろう。
95センチのHカップ(猿山ケンイチが、教職員用の身体測定資料を手に入れたと騒いでいた時、彼から1000円で手に入れた情報だ)を誇っている御門涼子の胸の谷間。乳を凝視する相手が古手川唯や籾岡里紗であれば、嫌悪感を露わにされても道理だが──「普段から谷間を丸出しの女」であれば、そのいわれはない。だから、後々になっての冷静な判断であれば「一生使えるおかずのために、涼子の谷間を凝視すべきだ」と言えるのだが──
御門涼子が、自分の前で跪いている状況で──
冷静を保てる頭を持っている男は、古今東西、世界広しと言えども結城リトくらいだろう。
あなたは必死に、視線を逸らす。どれだけ、御門涼子を前に紳士を気取ったところで──彼女との”ワンチャン”すら存在しないことを知っていても──御門涼子を思ってシコシコ自慰行為をするときに、彼女から不快感を抱かれていない──という事実が、大事であるが故の行動だったのだが──
”くすっ♡”
と──
涼子は、あなたの童貞丸出しの態度を笑ったのだ。
同級生の男子高校生や、あるいは年下の女に女性経験のなさを笑われれば苛立ちの一つも湧き上がるはずだが──
御門涼子に、胸の谷間から視線を逸らすそれを、からかわれて笑われるというのは──
一生涯の性癖を、決めつけるのに十分すぎる代物だ。
あなたが知っている、御門涼子の最高の笑顔は、そのときのからかいの笑みだが──
ああ──
きっと、今の御門涼子は、それよりも遥かに素敵な笑顔をララ達に向けているのだろう。
それを見ることが出来ないのは、悔しいなと思いながら──
あなたは、保健室のベッドの下で──
彼女達が早く、外に出てくることを祈りながら、身を小さくして震えていた。
[newpage]
「御門涼子に、性的欲情を抱かない彩南高校男子生徒はいない」
と、断言をすることが出来る。
保健室の前には、いつも、芳しい香りのアロマが焚かれている。香道の家元を親に持つ男子生徒ですら「何の匂いか、まるで見当が付かない」「自分が嗅いだことのない種類の匂い」「おそらくは、地球外物質の何かをアロマにしているのだろう」と支離滅裂なことを言わせるような香りであり──海外から自家輸入をしていそうな涼子のムードには、ぴったりだなとあなたは感じていた。
それと同時に──
一つの、都市伝説まで巻き起こった。
「保健室に用事がないものは、御門先生の顔を見ることが出来ない」というものだ。
御門涼子というのは、その美しさから多くの男子生徒の好奇の的であり──彼女の容姿を網膜に焼き付けてシコりまくりたいと思ってしまうのは、童貞男子高校生には健全な発想であるのだ。
だが、それをすると保健室の正当な運用が出来なくなる。
なので御門涼子は「用がないのに保健室に来ようとするものの、やる気を削ぐ香りのアロマを常に焚いていて──本当に怪我や腹痛を訴える生徒だけを選別する──言わば、アニメや漫画の【結界】を敷いているのだ」
──という噂だ。
意味がわからないのは道理だし、この地球の技術でそんなことが出来るはずもないのだが──
やけに信憑性があるのは、そもそも御門涼子の美しさが、人間離れしているから。
彼女ならば、あのララ・サタリン・デビルークやモモ・ベリア・デビルークのような、特別な宇宙人達と同じ種類であったとしても──そこには、何の違和感も存在しない。
あなたは、健全な童貞男子高校生。
ヤリチン男子のように「女子に嫌われることも厭わずに、強引にぐいぐいと口説きに行き、十回失敗しても一回成功すればいい」という考えを抱くことは出来ない。「怪我をすればいいなぁ」と思いながらも、体育の授業も真面目に受けたし──御門が赴任するまでは風邪や腹痛も多々あったのに、彼女が養護教諭になって以降は、その肢体を懸想した自慰行為で肉体の細胞は嬉々として、健康は保たれ続けていたのだ。
だから──
普段は、保健室に自分から行くことはなかったし──
その日は──
「おいおい、早く保健室に行け。一人で大丈夫か?」
体育の授業中、足首を挫いてしまったのだ。
奇しくも六時限目のことであり、後は帰宅するだけという時間帯。あなたは、片足を庇いながら保健室へと向かう。他の男子生徒に補助を頼まなかったのは、怪我をした自分の役得はともかく──「怪我をした奴の付き添い」というだけで、おこぼれのような幸福を味わい──御門涼子の谷間を視姦して、匂いを嗅ぐ奴がいるという事実に耐えられなかったから。その代わり、痛みに耐えながらあなたは保健室に行くのだが──
【現在・養護教諭不在】
とだけ、マグネットが貼られていたのだ。
アロマの匂いを超えてきたご褒美が何もないのは、ただ、悔しさでしかないのだが──
「この後に待ち構えているご馳走」が奪われたとあれば、脳は一気に落胆をして──
足首は、ジクジクと痛みを訴えてくる。
せめて、テーピングだけでもと思い、保健室に足を踏み入れた途端に──
圧倒的な存在感を湛えた──
御門涼子の白衣が、そこにあったのだ。
椅子の背もたれに掛けられていた白衣。おそらく彼女は、何らかの用事で急遽、不在にしているのだろう。と、いうことは──帰ってきた彼女は、白衣を羽織っていないわけだ。女子生徒の噂で聞いていた「白衣の内側のシャツはノースリーブで、腋や肩が丸出しであり、大胆でめ~っちゃ綺麗」という噂を確かめることが出来るチャンス──そうだ──テーピングというのは、素人が適当にやってはいけないのだ。御門涼子が帰ってくるまで、大人しく座って待って──扉から入ってきた、彼女の、白衣を脱いだ姿を網膜に焼き付けることは、何一つとして罪にならず──更には、御門涼子に不快を抱かせることもない、最高のオナネタを手に入れるチャンスが──
目の前にあるとわかっていながら──
”すぅぅぅ~~~~♡♡♡♡”
「~~~~!?!?!?」
あなたは──
御門涼子の白衣を掴み、そこに顔を埋めたのだ。
汗や体臭、というものはどれだけの美女であっても、結局の所は悪臭だと言われている。
男が興奮する香りは、ボディソープやシャンプーや香水によって人為的に付けられた代物。汗というのはただの分泌物であり、そこに容姿の良し悪しは関係が無く、一日、着用していた白衣に染みこんだ匂いは、男女問わずに悪臭であるはずだと──
あなたが抱いていた理屈は、木っ端微塵に打ち砕かれた。
御門涼子のシャツの匂いというものは──
ああ、どれだけの言葉と筆舌を尽くしたところで、語れる代物ではない。
鼻腔から通った香りが、直接、脳に響き渡り──あなたの瞼の裏側に染みこんでくる。こめかみを触れば、血管がビキビキと激しく脈動をして──控えめな甘さの内側に、どこか、雌の酸っぱさを感じされるそれは──例えるならば、イチゴを使った上質なスイーツだ。
本能的に匂いを嗅ぎながら、あなたの股間はバッキバキに隆起をする。
今すぐ全裸になりたい。
素っ裸になって、御門の白衣にペニスを擦りつけたい。
願わくば、御門が白衣にこびりついた白濁の液体を見つけてから「これは何かしら?」と疑問符を浮かべて──おそらくは経験豊富である彼女が、見当を付けた後、動揺を隠せずに「きゃっ!?」と──まるで生娘のような声をあげながら、驚いて腰を抜かす姿が見たい──と──
あなたの本能に、彼女の白衣が訴えかけてくるのだ。
勿論、する気は無い。
いや、犯罪をしないというわけではなく、御門を怖がらせる気はないだけ。
この白衣は──
この白衣を持ち帰ることは、どうにか、出来ないだろうかと策略を巡らせるのだが──
「ねーねー!御門先生!次の発明はほんとにすごいんだからね!」
と──
廊下の向こうから、喧噪が響いてくるのだ。
慌てて、あなたは白衣を椅子の背もたれにかけて、周囲を見渡す。
今ならば、証拠も何もない。
あなたはただ、体育教師の指示の下に保健室に来て、養護教諭の手当てを受けようとしただけの一男子生徒であり──椅子に堂々と腰掛けていれば、いいだけなのだが──
繰り返すが──
御門涼子の色香を前に、冷静を保てるはずもない。
慌てて、あなたは逃げ場所を探して──ベッドの下に潜り込んで行く。一番奥まで逃げ込めば、そこから見えるのは、誰かの足の先っぽだけ。偶然、ペンを落として屈み込みでもしなければ、視線が合うことはなく──少なくともベッドの布団の中や、机の下に隠れるよりはよっぽど勝算がある場所であり──ララやリトが、御門涼子と合意の上で歓談に花を咲かせている間──あなたは、まるで犯罪小説の矮小な主人公のように、ベッドの下の奥底で身を縮めて、息を潜ませているだけだった。
そうして──
「ねっ!ねっ!リトがこの前買った、ドラゴンファンタジーってゲームあるでしょ!あれ、プレイしてみない!?」
と──
ララは、冒頭で説明したもぐもぐゲームくんとやらに、ゲームを食べさせようとしていた。
あなたには意図も何もわからない代物ではあるのだが──彼女達が、ここから出て行ってくれるならば僥倖。御門涼子がトイレにでも出れば、その一瞬の隙で逃げ出すことが出来るのだ。唾を飲み込む音すら響かせられないので、あなたは、自分の袖に溢れる唾液を垂らしていて──その屈辱から逃れることが出来るのだが──
「お~い!リト!この『エロトラップダンジョン!唇お化けに襲われる女騎士』ってエロゲー!最高だぞ~!」
がらがらがらと勢いよく、保健室の扉が開いて
声色とがさつな態度から察するに──
同じクラスの、猿山ケンイチが保健室に入ってきた瞬間に──
「わっ!ちょ、ちょっと!ゲームくん!?」
もぐもぐゲームくんとやらが──
まるで、蜜に誘われた虫のように、猿山のそのゲームに飛びつき──
やがて──
真っ暗なベッドの下にも届くほど──
眩く白い発光が瞬間的に広がり、あなたは目を開けることが出来ず──
ぎゅ~っ、と硬く目を瞑って──
次に、目を開けたとき──
”ぴょこぴょこ”
”ずず……っ……ずず……”
あなたは──
エロトラップダンジョンの世界に召喚されてしまったのだ。
[newpage]
御門涼子side
”ずず……っ……ずず……っ”
引きずるような足音を感じて、私は通路の影に隠れる。
目の前には、人型の怪物だ。
人間と同じ体躯ではあるけれど、皮膚には生者特有のハリや潤いというものは存在しない。ゾンビ、というよりはミイラと言う方が適切かもしれない。宇宙には様々な生物がいて、ああいった外見であっても、会話をすることは可能であるかもしれないけれど──
この状況では、そんな楽観的な思考が出来るはずもなかった。
目を覚ました私がいたのは、地下迷宮の入り口だった。
地下で、かつ迷宮だとわかったのは──律儀にここが「スタート地点であること」と「地下の迷宮であり、踏破しない限り抜け出せない」と説明が書いてあったから。
ゲームの世界だと、考えるのは簡単だった。
ララ姫の科学技術力は、宇宙規模でも遥かに優れている代物。彼女が作り出した発明品と、ゲームの世界に入れるという説明──そして、猿山くんが持ち込んできた「エロトラップダンジョンのゲーム」ということで──
大体の推測くらいは、簡単に付くのだ。
エロトラップダンジョン、というのが何を指し示すのか、私には理解が出来ない。
地球産のテレビゲームは優れているものが多く、ティアも悦んでプレイしていたのだが──私はあまり、それに触れてこなかった。「ローグライク系で、ダンジョンを踏破して脱出するゲーム」という推測は付くのだが、そこから先の大した情報は持っていない。
だが──
「エロトラップ」という言葉が、多分、そのまま答えなのだろう。
あの場に結城リトがいなければ、私は考えることもなかったかもしれないけど──ラッキースケベの大家のような彼が、そこにいたのだ。エロトラップというのは、文字通りのエロのトラップ。私たちはこれから、ラッキースケベに苛まれながら、このダンジョンを踏破しなければいけない、ということであり──
だから、私の足取りは重たく、鼓動はいつもよりも一割増しで激しく、暴れているのだ。
ララ姫の発明品である以上、脱出の条件は私にはわからないが──「クリアすれば元に戻れる」と仮定をして、私は歩を進めていった。勿論、その確証なんてものはないけれど──「とりあえず、そういうこと」として置かねば、一歩として歩き出すことは出来ないのだ。それに──エロトラップにハマって、ゲームオーバーになることで脱出出来るならば──それはそれで、悪くはないのだから。
そうして、ダンジョンを探索していく内に──
このダンジョンには、人型のモンスターがいることに気がついた。
先ほどの、ミイラのような──足取りの遅いモンスターだ。
戦って倒せる相手なのかは、わからない。倒して、経験値を手に入れてレベルを上げていくことが勝ち筋なのかもしれないけれど──もし、そうでないのならば。今の私は、一切の武器を持っていない。もしかしたら、その武器はこのダンジョン内で現地調達をするのかもしれない。ティアがゲームを貸すと言ったとき、素直に受け取っていればよかったなと後悔をするが、舌打ちも出ない。「後々、エロトラップダンジョンの世界に単身で放り込まれるかもしれないから」を考えられるならば、世界中の全ての災禍を人々は免れることが出来るからだ。
それに──
ティアが好むタイプのゲームに、きっと、「エロトラップダンジョン」を攻略する術は書いていないのだろう。
私はダンジョンを探索しながら、思考を巡らせる。痩せ細った亡者のようなモンスター以外に、花畑のような部屋もあった。花の花弁が、唇のような形をしている部屋。勿論、それが罠でないはずもないので、足の一歩も踏み入れないのだが──所々に触手の粘液や、拷問車輪のような仕掛けも存在していて──
私は、緊張の糸をピンと張り詰めることしか出来ないのだ。
猿山くんが好むタイプのゲーム──
きっと、Rー15の甘い代物ではなく、本番まで行くことは間違いないだろう。
いい趣味をしている、と皮肉が浮かぶが、ドラゴンカーセックスのような特殊性癖に比べると十分に理解が及ぶので、カウンセリングは必要ないし──愚痴を言ったところで誰が聞いてるわけでもないし──
そもそも、結城リトという存在も考えてみれば、一般女生徒にとってはエロトラップダンジョンの罠のような子なのだ。
私が考えるのは、このダンジョンを踏破することだけなのだが──
「あっ……ああ~っ……♡やめ……なさい……っ♡♡」
通路を曲がった先で、声が聞こえた。
聞き覚えがある声に、私は慌てて駆け出そうとするのだが──
グッと、足を止める。
本能よりも、理性を優先させねばならないのは──
今の私には、対抗する武器の一つもないから。
生徒の危機に無鉄砲で駆けだしていくのは、教師としてあるべき姿なのかも知れないが──私は、地球に馴染む上で養護教諭の職を選んだだけだ。教師失格と揶揄されるかもしれないが──無策で立ち向かってどうにか出来るほどの、身体能力を持っていないのだから仕方が無いのだ。
私が、こっそりと現場を覗くと──
「うぐ……っ♡んあっ♡やめ……てっ♡おね、がい……っ♡」
黒髪ロングを棚引かせた美少女が、先ほどの、ミイラのような怪物に組み伏せられていた。
壁に身体を押しつけられながら、後背立位で──肉棒を挿入されている光景。
怪物が、彼女の首筋や背中にキスをする度に──何らかのエネルギーが吸収されているのだろう。ここがゲームの世界であることを思い出しながら──そのキスの度に、彼女の身体が徐々に鳥肌立ち──声色に艶が混じり──
「感じている」のだと察することが出来た。
両手は頭上。ぬめぬめの触手によって拘束されているので、逃げ出すことも出来ないのだろう。”亡者”と呼べる彼らに襲われているのは、彼女にとって不幸であるのか。ゲームでの身体への影響は、現実世界には適応されないだろうが──如何せん、相手はララ姫が発明した代物だ。ここで起きた出来事が精神的なトラウマになるのか──それとも、結局はゲーム内のお遊びで、悪い夢を見た程度に済まされるのか。規格外のお姫様が相手であるのだから、今までの常識は通用しないなと思いながらも──
「あっ♡んんっ♡あ゛……ぐぅ……っ♡んんっ♡あっ♡はぁ~……んっ♡んんっ♡」
彼女──
古手川唯の声色には、艶が混じってくる。
乱暴に、気に入らない雄に組み伏せられて犯されるときに、自己防衛の為に身体が感度を上昇させて、膣を濡らして、裂傷を防ぐというような──そんな陳腐な代物とは違う。
最愛の恋人と愛を囁き合って、肉体の感度が最高まで上昇して、指先一本でもじんわりと快楽を抱くような──
高級ホテルの最上階で、夜景を眺めながら、バスローブでワインを楽しむような──
あの心地よさを、古手川唯は感じているのだ。
彼女は確かに元々、淫乱の素質があると思っていた。
彩南高校の校長が目を付けている女生徒達だ。雌としての素質は優れていて、宇宙犯罪のように、学校をまるごと、権力と地位のある雄専用の娼館にでもすれば、途端に銀河一の風俗店になるとは思っていたが──
それでも、あんな怪物に犯されて快楽に喘ぐというのは不自然だ。
となると、考えられるのは先ほどから行っているキスだろう。
あの怪物は、雄としての本能のみが存在するのかもしれない。肉棒の快楽を求めるだけではなく、女体の柔肌を愛撫して、唇や舌を這わせて、目の前の雌を征服したいという獣欲まみれの感情も含めて本能と呼ぶものであり──
だから、そうして全身を舐め回して、口付けをするというのは──
このエロトラップダンジョンにおいて、何らかの儀式的な効果を果たすらしい。
古手川唯の感度を高めることで──強制的に、快楽を注ぎ込んでいくのだ。亡者の腰振りは激しく、彼女の膣をえぐっていく。大きな臀部に、力強く腰が打ち付けられていき──彼女の腰には、亡者の両腕がぎゅ~っと抱かれている。
その間──
私は、ただ、それを眺めているだけだ。
触手型の拘束がなく、一対一ならともかく──
今、無防備の私が飛び込んでいっても、彼らの拘束に捕まって、二人共々に媚肉を貪られて終わりなのだ。
飛び出していくのならば、助ける算段が付いてからだ。エロトラップダンジョンというジャンルは知らないが、おそらく、このダンジョン内のどこかに、彼らに通用するための武器が置いてあるのだろう。ゲームというのは、そういうものだ。まさか、「エロトラップダンジョンは、入り込んだ女冒険者を陵辱する以外の機能は一切無く──そこにはゲームとしての体裁はなく、ただ、雌が敗北するだけだ」なんてこと──ゲームの見識が薄い私でも、あるはずはないと理解できる。
私は、歯を食いしばりながら──
引き下がり、別の道を進む。
古手川さんを救出出来ないことは忸怩たる思いだが──「ここはゲームの世界」「命まで取られることはないはず」「そもそも、助ける術を持たずに飛び込んで、二人とも無駄死にすることはない」という様々な理屈が、私の背中を押してくるのだ。掌に血が滲みそうなほど、力強く指を食い込ませて握りこぶしを作るのだが──出来るのは、それだけ。他の生徒達が、ああして被害に遭うのを見る前に──私は、彼らを助ける武器を手に入れねばならないのだと──このエロトラップダンジョンを一刻も早くクリアするために、決意を新たにして──それから、歩を進めた。