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「あっ、ケンイチさん……いらっしゃ~いっ♪」  玄関に足を踏み入れた瞬間に、ぱたぱたと小走りで出迎えてくれる――  エプロン姿の美少女。  毛量が多く、天然の癖っ毛ではあるのだが――生まれついて、120点の容姿を持っている美少女であると、その髪はとんでもない加点要素に繋がる。「ああ、あの髪と一緒にお風呂に入りたい――普段は隠れているうなじを、ぺろぺろと舐めたい――お風呂上がりにドライヤーで乾かして、ふかふかのもふもふになった髪を抱きしめながら、彼女と一緒に布団に入り――紆余曲折あった挙げ句に、彼女の顔面に精液をぶっかけて、自身の分身である白濁液でべっとりとマーキングをしてから、芯を失って柔らかくなり、半勃起状態になった肉棒をその髪で拭き取りたい――彼女の髪はくるくると天然の癖毛である分、精液がひっついて、自分が征服したという所有欲が満たされるだろう」と――  猿山は、そんなことを考えながら――  目の前の、結城美柑を見つめた。 「……んっ?ケンイチさん……どうしたの?そんなにジロジロ見て……  あっ……  こ、今夜はね……だめ、だよ……?……お母さん、来てるし……っ♡  ……で、でも……  ケンイチさんが夜這いにくるなら……私……っ♡」 「さ、猿山ぁ!よく来たな!ほ、ほら!上がれよ!」  結城美柑が、勇気を振り絞って自分にお誘いをしているというのに――  彼女の兄の結城リトは、いとも容易く、その空気をぶち壊すのだ。  兄としては「エロいことばっか考えている同級生の友人と、自分の妹が良い空気になっている」で心配をするのはわかる。自分に、美柑のような美少女過ぎる、家事も料理も万能の妹がいれば――まず間違いなく、余計な虫が付かないように必死になるし――結城リトがラッキースケベをすれば銀河の果てに追放させるかもしれないが――  結城リトと猿山ケンイチの最大の違いは――  結城美柑という妹がいて、手を出すか否か――ということだ。  美柑にすれば、とんでもない兄だろう。彼女が昔――子供過ぎて判断能力が伴っていなかった時期は、結城リトのことを本気で好きだったのだ。猿山ならば、まだ小学生であっても「小学生だから」を理由に、女として見れないなんてことはまるでない、結城美柑の雌としての最上級の魅力を無視し続けた挙げ句に――さあ、美柑が別の雄に尻を振ろうとした瞬間に、結城リトはその邪魔をするのだ。  まるで、ハーレム漫画の優柔不断な主人公のような態度。連載を続けさせるためだけに、その場しのぎで自分の考えを二転三転させるのだ。気に入った雌がいれば、宇宙トップの権力と知力と戦闘力で、絶対に自分のものにする――ハーレム計画に賛同している猿山にとっては、結城リトのそれは――最早、殺意すら呼び起こすほどの害悪なのだ。 「も~!リト!今、ケンイチさんとは私が話してるの……!リトはお風呂でも洗っといて!」  一方で美柑は、リトに一歩も引かずに語気を強める。  家の家事を一手に担っている結城美柑は、結城家において最大の権力者。  リトは、まだ何かを言いたがっていたが――美柑が”キッ”と睨むと、すぐに風呂場へと引っ込んでいき―― 「美柑~……そんなにカリカリしちゃだめよ?  ストレスは……女の子の一番の敵なんだから……っ♡」  奥から、ワイングラスを片手に――  美女が、現れた。  結城リトを彷彿とさせる、橙色の髪質の美女。  大人びた顔立ちの裏側に、幼さも隠れているという――まさに「年齢不詳」と呼べるような存在。彼女があと、20年も歳を重ねれば「美魔女」と呼ばれるような存在になるのだろう、と猿山は直感で理解をした。  頭の上にはサングラス。白内障の老人が着用するような、100均の安物とは違う。趣味が悪いとまで感じる、フレームとグラスが大きなそれは――他ならぬ彼女が着用しているのだから、普通のサラリーマンの初任給程度では、レンズの一枚も購入出来ないのだと猿山にわからせるのだ。  後ろ髪の跳ねた子供っぽさがありながらも――タンクトップで、胸の谷間や二の腕を露出しているそれは、適度に熟成されて、最も美味い味をしていそうだ。古手川唯やララ・サタリン・デビルークの、指が反発するような、小生意気な乳房を力一杯に揉みほぐして征服するという楽しみもあるのだが――目の前の美女の乳房は、既に、他の雄に屈服した”だらしない柔らかさ”を湛えているのだ。旦那に何度も吸われて、二人の赤子に母乳を与えて――雌としての役割ではなく、母としての役割を持った――そんな、乳房だ。  御門涼子やティアーユ・ルナティークのような、子を孕んだことのない雌の乳房とも異なるそれに夢中になってると―― 「ほっほ~♪  ……中々、噂通りのハレンチさんなようで……っ♡」  彼女は――  するり、と猿山の背後に回り込む。  猿山にとって、それは想定外の速度。  デビルーク星の宇宙人や、宇宙最強の殺し屋と関わりを持ったことで、少なくとも「平々凡々と生きていた――昔までの猿山ケンイチのような高校生」が経験することのない修羅場を、何度も、くぐり抜けてきた。勿論それは、宇宙規模の身体能力を持った美女に守ってもらって、恐怖で失禁をしたときには、柔らかく暖かなベロで肉棒に”いいこいいこ”をしてもらって、慰めてもらえる――なろうアニメの主人公よりも贅沢な代物だが――  それでも、多少の反射神経はついていたはずだ。  だが――  彼女もまた、その道のプロなのだろう。  ララやヤミを相手にしても、不意をついて背後に回り、その乳房を揉みしだけるような――間隙を突いてくる速度に対抗が出来ず、猿山はいとも容易く背後を取られて――  彼女の両手が、自身の肩や胸に触れてくる。 「も~、お母さん!お客さんに失礼なことしないでよね!」 「あらあら~?嫌なら……やめるけどぉ?……ふふっ、ケンイチくん……どうする……?」  彼女の手つきは、まるで、全身を極上の心地でマッサージされているような代物だ。  自分の肉体がさほど、疲労を抱いているとは思わない。   だが毎日、二桁を容易に超える射精を行って――その度に、全身の筋肉は酷使されているのだ。彼女達に騎乗位で腰を振ってもらえばいい、と簡単に言えるのかも知れないが――「ララの豊満な乳房を揉みしだいて、背後から覆い被さって犬のように腰を振る」のも「古手川唯と正常位でキスを何度も繰り返して、唾液を交換しながら膣奥に精液を注ぎ込む」のも――「ティアーユ・ルナティークに彩南高校の制服を着せて、学校の教室、放課後、自分の席で対面座位ラブラブ先輩イメージプレイで愛の言葉を囁いてもらいながら、耳を舐めてもらう」のも――今の猿山ケンイチには好き放題に出来るのだ。全身骨折級のダメージならばともかく、十代半ばの男子高校生には本来無縁であるべきの「ヤりすぎて、腰がいてえ」程度では――セックスの快楽を損なう選択を取ることなど、出来るはずもなく――  故に、身体の疲労を感じて、それがマッサージでほぐされているのだろう。 「あっ、ケンイチさん……言ってなかった?  うちのお母さんね……世界的なファッションデザイナーなんだよね……っ  だから、そうやって……男の子でも女の子でも、気に入ったら身体べたべた触って……えっと……嫌じゃなかったら、好きにさせてあげて……?」 「あらっ?自己紹介してなかったっけ?  ……結城林檎で~すっ♡  美柑とリトの母親でぇ……長期出張で旦那とも離れててぇ~……  けっこ~……ムラムラしてる人妻でぇ~す……っ♡」  結城林檎の最後の言葉は、猿山の耳元で囁かれる。  他の女がやれば、美柑は頬を膨らませて「距離が近いんだけど」と拗ねるのかもしれないが――相手は、自分の母親であり、彼女が大勢の女体や男体を相手に触りまくるのを、間近で見てきたのだろう。猿山の耳元に捧げられたその言葉がなければ、美柑が疑う道理もなく――それを聞いたところで、未だ、娘の”いいひと”を相手にからかう代物だと感じているらしい。 「あっ、美柑……そういえば……」 「――お父さんなら、仕事だって……  単行本作業と、表紙作業と、増刊掲載分の執筆で当分帰れないって……もう……  今日くらい戻ってくればいいのに」 「あっら~……それじゃ、夫婦水入らずは出来ないわね~っ……  久々に……あの人に抱きしめてもらえると思ったのに……っ♡」  結城林檎の声色には、余裕がたっぷりと詰まっている。  今まで、自分の雄としての優秀さには”屈服”をする女しか、周囲にはいなかったが――  猿山の背後にいるのは、その女どもとは一線を画す―― ”経産婦”という、最強の称号持ちなのだ。 ”経産婦”――ああ、なんて良い響きだろうか。  思えば、ハーレムに所属する最上級の美女と美少女を全て”経産婦”にするために、猿山は毎日ちんこを磨いているのだ。それを一足先に、経験をしたこの極上の女。ハーレムに入れることが出来れば、出産や育児において随分と役に立つことだろう。  雄が生まれて、結城リトになれば困るが――雌が生まれて、結城美柑に育つというのは、万々歳。  雄と雌の交尾において、「メスが絶頂すれば女の子が生まれて、しなければ男の子が生まれる」という都市伝説が存在する。勿論、世の中に存在する男女比を考えれば、そのまんま「都市伝説」に過ぎないのだが――  しかし、ロマンはあるなと感じていると―― ”むくむくっ”と、股間の肉棒が膨らんでくる。  雄として成長したな、と猿山は感慨に浸る。以前は、家に上がり込んだ瞬間に、玄関に置かれた、美柑の小さな足を支える学校用のローファーと、プライベート用のゴテゴテしたスニーカーだけで勃起をしたというのに――今は、背中越しに、人妻の母乳排出保証済みの乳房を押し当てられて、全身を愛撫されて、ようやくなのだ。  なぞと、考えていると―― 「あらっ?美柑?お兄ちゃんが呼んでるわよ?」 「えっ?も~……リト~!なんかあったの~!?」  猿山にも美柑にも聞こえなかった――  いや――  最初から存在しなかった声に、林檎だけが気がついた。  慌てて、美柑が背を向けて、パタパタと駆けだしたところで―― ”むんずっ♡” 「あらっ……  中々の悪い子じゃない……っ♡」  林檎は――  猿山の股間を、むぎゅっと鷲掴みにする。  既製品の適当な服を量産する、ファッションデザイナーとは意味合いが違う。海外を飛び回っている彼女のような天才は、一流ハリウッド俳優やメジャーリーガーの服も仕立てているのだろうし「股間の膨らみ」というものを、エロスの意味合いとしてではなく、ボディラインとして捉えられるのだろうが―― ”かり……っ♡くにくに……っ♡もみ……っ♡”  股間を、ズボン越しに撫で回されて――  爪で引っかかれて、指で押されて、掌で揉みしだかれるのは――  完全に、優秀な雄のつまみ食いをする雌の手つきだ。 「んふふっ……♡    これは中々……楽しめそうね……っ♡」  林檎が、蠱惑的に囁いた言葉に――  猿山の海綿体に、血流が集中する。  肉棒が勃起をするのだが―― ”ぱたぱた” 「も~!リト、呼んでないって~!」  美柑が――  廊下の角から、こちらへ向かってくるのだ。  彼女の実母に乳房を押し当てられて、肉棒を隆起している光景を見せてはならぬ――と、猿山は――  慌てて、林檎を振り切って玄関を向く。  せめて、この股間の隆起が収まるまでは――心配をして追いかけてきた美柑に「今夜はお預けなんて言われたから、辛くて」と適当な嘘をふっかければ。  そう思いながら、勃起が収まるまでの、一時的な逃避行のつもりだったのだが――  丁度、その瞬間に―― ”がちゃりっ”  と――玄関が、開いて―― 「あらっ?美柑さん……インターフォンが壊れていたようなので、無作法ですが勝手に――ひゃあ!?」  猿山は、来訪者の胸の中に、突っ込んだ。  モモ・ベリア・デビルークが客として招かれているのは、知っていた。  結城家の一家団欒に猿山が招き入れられたのも、元々は「モモが来ることになり、折角なら人が多い方がいいから」という代物。彼女は、結城リトが寝静まっている隣の部屋で、美柑とともに猿山を犯すという背徳感のおこぼれが目当てだったのだろうが――  それならば――  モモの胸に、猿山の下品に鼻の下が伸びた顔が突っ込まれて――  バッキバキに勃起した逸物が押しつけられれば、十分にご褒美だろう。  だが――  違う、のだ。 ”どぷにゅん♥♥”と、顔面に押しつけられる柔らかさ――  小柄なモモならばヘソの位置だが――167センチと女性にしては高身長であり、更に、脚が長すぎる女であるが故に――太腿の隙間に肉棒は挿入されて―― 「――――きゃあ!?」  顔を上げると、彼女の顔がヴェールの下から見える――  目の前には――ああ――  言葉では、形容を出来ない美しさの美女が立っていた。  元より猿山は、自分の言語センスが他人より優れているとは思っていなかった。  語彙力を極めるために辞書を娯楽小説のように読む人間は奇人だと思っていたし――「現代文のテストは答えが書いてあるから気楽だ」と言える、賢い同級生を宇宙人だとも思っていたのだが――  目の前にいる女は、違う。  例え、自分が宇宙の歴史に残る大文豪であったとしても――  この宇宙の全ての言語に精通していたとしても――  その女の美しさは、言葉では表すことが出来ないと――直感で理解が出来たのだ。  あるいは、”その直感”というものを、美しさの根源と呼ぶのかもしれない。宇宙中の辞書を引いても、美しさを讃える言葉は出てこずに──新たな単語を開発する必要性のある美女。どこか、ララやモモと似た雰囲気を漂わせているが――幼く、可愛らしく、肉棒を勃起させる魅力に満ちあふれた彼女達とは異なり――  目の前の造形は、あまりにも”美”が強く際立っている。  本屋のエロ漫画では肉棒を勃起させても、それより圧倒的に優れて高尚な美術館の裸体の彫像では、肉棒がピクリとも反応をしないのと同様であり――  本来ならば、猿山は目の前に女に、僅かな性的興奮も抱かなかっただろう。  それは――  後から聞いた話だが、チャーム人の魅力に耐えられる雄の、共通点であるらしい。  宇宙広しと言えども、デビルーク王と、結城リトと――  それから、猿山ケンイチにしか発現しなかった症状。  強すぎる男と、性欲がなさすぎる男はともかく――自分は不本意だと猿山は思っていたが、同時に、それを「性欲の強さかも知れない」と御門に言われて納得をした。性欲が強すぎるが故に――目の前の美女を「ヤれない」と肉体が判断をして――性的興奮を鎮めたのだろう。「ヤれない女の尻を追いかける」というのは、雄にとって、最も無駄で無益な時間だ。「あるいは猿山くんが童貞だった頃ならともかく――何人もの女の子を泣かせてきて、おちんぽ様に余裕が出てきたからこそ、この勝ち目のない女を追っ掛けてはいけないと肉体が防衛本能を働かせたのだろう」と御門涼子は推測をして――  それでも、勃起をしたのは――  彼女の92センチのHカップが原因だ。    圧倒的な質量と体積を持っている乳房からは、おそらく、地球上には存在しない花の甘い香りが漂っている。  愛娘であるモモがあるいは、彼女専用の香水を作ってプレゼントをしたのかもしれない。今よりももっと、乳房が小さく、幼い容姿のモモが――母親に無邪気に愛情を捧げて、彼女もまた、それを受け止めて頭を撫でて――あるいは、悦びに感涙までしたかもしれない光景。  想像をすると、心がほっこりと暖まるものなのだが――  肉棒がバッキバキに勃起した雄には、そんな感傷は、犬に喰わせるような代物だ。  目の前にあるこのデカ乳を征服したい――俺のものにしたい――この乳房に馬乗りになって、肉棒をパイズリでシゴいて、宇宙中の全ての雄を虜にする顔面にこってりと精液をぶっかけて――顔面を白濁で埋め尽くすことで、誰に気兼ねすることもなく――風俗街を、腰を抱き寄せて歩きたい――と――  彼女の肉体だけで、猿山はそう感じてしまうのだ。  結城林檎と同じように――、三人の愛娘を育て上げた、目の前の乳房。くたびれてはいないが、しかし、生娘の張りを失っている――「メス」ではなく「母」の乳房。猿山の脳が、一気に理性を損なって、腰をヘコヘコと振らせるには――その、極上の肢体だけで十分であり―― 「んっ……♥なに……を……っ♥あんっ……♥」 「……ケンイチ様~……っ♡手加減……してあげてくださいね……っ♡  お母様……メスとしてはクッソザッコ~い女なので……っ♡」    ララとモモとナナ――  宇宙規模の三人の美少女を、その子宮から産み落とした――  セフィ・ミカエラ・デビルークは――    猿山が腰をへこへこと打ち付けるそれだけで、腰砕けになるほど――  男性経験がない、男ウケする存在であった。 ”ごくりっ”と、生唾を飲み込んだと気がついたのは、音がしてからだ。  今、この家にいる四人の美女と美少女―― 「結城リトに気がつかれないように」だけでも、普段は興奮をするのに――「結城美柑とセフィ・ミカエラ・デビルークという――まだ、未調教の女ども」を相手に、行為に至るのだ。それはまるで、監視の視線から逃れる寝取りエロゲーのようだなと思いながら――猿山はワクワクと興奮をして、セフィの乳房の谷間で深く呼吸をして、肺一杯に、宇宙一の美女の匂いを吸い込んで――危険ドラッグよりもよっぽど脳細胞を壊し、前立腺に響く乳の谷間の体臭を堪能してから――起き上がって、謝罪をした。 ―――― 「へぇ~……猿山くんって、性欲強いんだぁ~……wやっだ~、もう……お姉さんを口説くなんてぇ~……人妻なんだぞ~っ♡」 「ちょ、ちょっと……猿山!流石にそれは……」 「リト?どうしたの?ただの冗談じゃん」 「そうですよ、結城さん……冗談に怒るのって……ダッサ~いですよ……?」  食卓を囲みながら、猿山は彼女達との歓談に花を咲かせる。  別に、卓越したトークスキルがあるわけではない。「エロくて下衆な話を、男友達と」ならば何時間でも繰り広げる自信はあるが――どれだけの美女と身体をかわして、緊張と萎縮というデバフがなくなったところで、別に、話がうまくなるわけではない。  それなのに―― 「も~、やだ~。ケンイチさんったらぁ……っ♥」 「ふふっ……ケンイチさんは……本当に面白いですね……っ♡」  美柑とモモは、猿山のことを――  まるで、世界一話術が上手い男のように、褒め称えてくるのだ。  事情を知らないリトにとっては、ただ、疑問と不快が膨らむばかりだろう。自分の友人が、自分の母親を口説いているときに――それを止めることすら、咎められるのだ。  男子高校生というものは、多かれ少なかれ「マザコン」の気質を持っている。  それは「母親に性的欲情を抱いている」という代物ではなく――母親を独占したい、という稚拙で幼稚な感情。  勿論、それを否定するわけではない。母親の子宮で羊水に包まれて、母親の乳房に抱かれて、母乳を飲んで育つという刷り込みを受けた上で――マザコンになれないのならば、そっちの方がおかしい。猿山にとって自分の母親は、彼女達のような美女とは異なり「もしも他人であったとしても、わざわざ口説くような女ではない」のだが――  それでも、自分の母がそうして、友人に口説かれていれば――  理屈を超えた、本能的な嫌悪感を抱くことだろう。 「……ふふっ♥……本当に、愉快ですね……っ♥」  と――  小さく、声を漏らしたのはセフィ・ミカエラ・デビルークだ。  彼女は今、顔の布を外している。  お忍びでの来訪であり、今、宇宙船ではララが発明した身代わりロボットが代役を務めている。気が付かれれば、即座にここに手先がやってくるのだから――アクシデント(失敗、とは言いたくないし、アクシデントと言えばララが上機嫌になり、その日の夜は熱心にちんぽをしゃぶってくれるので、この言い方をしている)ばかりのララにしては珍しく、大成功を迎えているのだろう。  彼女は、今――  顔のヴェールを、外している。  宇宙中に存在する雄を狂わせるのが「チャーム人」という存在。  地球の人間が知りもしなかった、宇宙規模の銀河大戦は――この女を争って行われた、と聞いたことがある。自分の美しさのせいで大勢の人間が命を落としたというのにも関わらず――威風堂々と、まるで「美しいことは罪ではない」とでも思っているのならば――性悪女として、簡単にオナホに出来るのだが――  彼女は、その罪を背負っているのだ。  だからこそ、普段から顔面をヴェールで隠して――宇宙中の雄が「一目、その姿を見たい」と懸想しているのだ。顔の一つも見られたことがないのに、搾り取った精液量ならば、宇宙一だろう。  そんな彼女が――  今は、くすりと笑顔を浮かべているのだ。  女性にはチャームは効かないらしいが――この場には、二匹の雄がいる。  そして――  宇宙に三人しかいないチャーム無効の雄の内、二匹がここにいるのだ。  文字通りの「天文学的確率」の二乗であると考えると、「奇跡」と呼ぶよりは「神様の悪戯」と呼ぶに相応しいだろう。あるいは――結城リトしか、そのチャームに耐えられる雄がいなければ――彼女は、リトに好意を抱き、膣を濡らし、子宮を疼かせて、メスの顔を見せていたのかもしれないが―― 「……ケンイチ様……  もう少し、お話を聞かせていただけますか……?」  今――  宇宙一の美女であるセフィ・ミカエラ・デビルークは――  猿山ケンイチという、性欲以外に取り柄がない雄に夢中なのだ。  鼻の下をうっひょ~と伸ばして、下品な顔で、彼女の肢体をジロジロと見回しても――セフィは少しも臆した様子を見せない。箱入り娘と呼ぶよりは「厳重な金庫に閉じ込められた娘」のような存在であり、そうした、直情的な雄の欲望に気がつかないのか――あるいは、チャームが効き過ぎるが故に「チャームが効かないのに、性的に興奮している雄」の存在を理解していないのかもしれない。 「ふふっ……ケンイチさん……?  お母様……ほんっと……チョッロ~いメスですからね……っ♡  女の子同士だと……すっごい強くて、逞しくて……私が考えてることぜ~んぶ見透かされちゃうような……まさしく、銀河を制覇したデビルーク星王妃に相応しい存在ですけど……っ♡  チャームが強すぎるが故に……性欲うっす~い雄しか相手に出来なくて……♡  お母様から口説き倒して、よーやく子作りしてもらえた……っ♡  経験人数たった一人……経験回数一桁のザコまんこ……っ♡  ……ケンイチさん……っ♡  お膳立ては……私たちがしておきますから……っ♡」  モモは――  猿山の耳元に顔を寄せて、内緒話。    男としては、これ以上にないほどの幸福と言えるだろう。  モモは今、薄着のタンクトップであり、胸の谷間が露出している。デビルーク星のお姫様たるもの、常に新品の宝石じゃらじゃらの服を着て、一度着用すれば、捨てても問題はないほどなのに――わざとらしく、今、彼女の胸元はダルダル。「これは貧乳が巨乳を唯一……上回れる、チラリズムですから……っ♡」と、モモが語っていたことを思い出すが――  ちらちらと、彼女の乳首が見えているのだ。  桜色の突起を、思いっきり抓ったとしても、モモは不満の一つも口にせず――それどころか、雄に媚びるような嬌声を奏でることだろう。それなのに――結城リト、というしょうもない雄がいるせいで、それが出来ない。結城林檎やセフィ・ミカエラ・デビルークならば顔を真っ赤にしたり、囃し立てるだけの――「ハーレムの中の一匹のメスと、食事中にラブラブする」というそれを――たった一人、西蓮寺春菜すら満足させられない結城リトには出来るはずもなく――それどころか、彼は「宇宙人の存在が明らかになり、新たな価値観が地球に到来していく中で――未だに、老害が如く一夫一妻制度を信奉している男」なのだ。そうして、極上の果実に好き勝手に、唾を付けていく猿山ケンイチの態度は――友人とは言えど気に入らないのだろう。   彼の視線が、まだ「優秀な雄への嫉妬」であり 「羨ましい、俺だって~」ならば救いはあったのだが―― 「ねっ……ケンイチさん……っ♥  モモさんに、お薬用意してもらったんだ……っ♥  リト、私のことは信頼してるから……だから……任せてね……っ♥  そして……  ちゃんと出来たら……ご褒美、ちょうだいね……っ♥」  美柑もまた――  同様に、猿山の隣でひそひそと耳元に囁く。 「み、美柑!モモも!何の話してるんだよ~!」  と、リトは、冗談めかした口調で尋ねるのだが――最早、坊主憎ければ袈裟まで。深く踏み込まずに、出血を避けるリトの態度すらも――今の二人には、不快を催す原因になるのだろう。猿山に更に身体を密着させて――美柑とモモは、なおも耳元で言葉を囁く。  猿山の下半身を元気にさせて、海綿体に血流を集中させて、雄をたっぷりと悦ばせる言葉の羅列であり――  その距離に、リトは更に狼狽をして――  だから――  猿山だけ、だ。  セフィが、リトの小鉢を――  林檎が、リトの味噌汁を――  それぞれ、モモと美柑のものと交換していることに――気がついたのは――

Comments

谷澤晴夫

最高の入り!林檎とセフィへの期待がこれ以上なく膨らんでしまいます。

wws2jsh7

ありがとうございます!!