Home Artists Posts Import Register

Content

 集団憑依のお話です。

 小中高一貫のお嬢様学校にある声楽部部員、初等部三年生から高等部三年生の女の子たちがコンクール参加のためバスで移動中にまとめて人生を乗っ取られる話です。

 描写の経糸として高等部三年生の日本美人部長、中等部二年生のおっぱいでかい金髪碧眼アメリカ人、初等部三年生のロリを中心として、旅館での様子をお話にしています。

 本作はえっちシーンはあるものの、どちらかというと『乗っ取られた女の子達とその様子』に文字数を割いており、新しい身体への不満や各々の立場のあれこれ等、集団ものとしての趣を強くしています。

 ギミックとして楽しかったので、こういう集団系はまたやりたいなーとか思っています。


 それでは、以下本編どうぞ。


==============================================================


 紅葉と夕焼けに染まる山間の道を、一台のバスが走り抜ける。

 バスに乗っているのは、私立アルテミス女学園の声楽部の生徒たち。白いワンピース制服がトレードマークの小中高一貫のお嬢様学校で有名な学校だ。

 乗車しているのは初等部三年生から高等部三年生まで15名。今回はコンクール参加のため、隣県を訪れていたのだった。

「はい今ウノって言ってない~」

「お姉ちゃん、こっちもクッキーちょーだい」

「負けちゃいました……ふえぇ……」

「こらこら、あんまり初等部の子に意地悪しちゃだめですよ」

 お嬢様学校とはいえ、年頃の少女達であるのも間違いない。年齢に幅ははあるものの普段から交流があり関係も良好。コンクールを明日に控えていながら、皆がリラックスして思い思いの時間を過ごしていた。


 騒がしい中、前方に座っている顧問の年若い女性教師はひとり黙々とスマホをいじっている。運転手以外の男性がいないためか、タイトスカートを穿いた脚はやや開いていた。

 しかし、すぐ後ろの席から生徒が話しかける。顧問は反射的に脚を閉じた。

「先生。あとどれくらいかかるでしょうか?」

「あら、優呼さん。そうねえ……あと30分くらいかな」

 話しかけたのは、声楽部唯一の高等部三年生にして高等部の部長兼総合部長である優呼《ゆうこ》。物腰柔らかくまさにお嬢様然とした人物で、腰まで伸びた黒髪がつややかな日本美人だ。

「わかりました、ありがとうございます……あら、何見てるんです? 人生リセット……何でしょう?」

 優呼は身を乗り出して覗き込む。女教師の手の隙間からちらちらと見えたスマホの画面が気になったのだった。

「こらこら、人のスマホを見ちゃだめよ。なんでもないから」

「……はい。失礼しました」

 教師にスマホを隠されてしまい優呼はおとなしく引き下がるものの、自分を含めた生徒たちの名前に並んで男性らしき名前が羅列されていたことが引っかかり、もう一度覗こうとしてみる。

 しかし、教師は既にスマホをしまっていた。

 もやもやした気持ちが残る優呼は、納得できそうな理由を探してみるが、もっともらしい答えには辿りつかなかった。何より、人生リセットという文字には不審が募る。

(小説か何か……でしょうか。私達をモデルにされているとか……)

 それはそれで、無断で使用するというのも気が悪い。優呼自身は構わないのだが、他の部員達には一声掛けてほしい。どうしても心のざわつきが落ち着かない優呼は、顧問に直接尋ねようと身を乗り出す。

 そこで彼女が目にしたのは、バックミラー越しに運転手の男へ目配せしたうえ、スカートの中身を見せてにやりと笑う顧問だった。いつにない下卑た顔の顧問を見た優呼は言葉を失い、そのまま座席へ崩れるように座り込む。

「どうしました、部長?」

「いえ……」

 目を疑うとはまさにこのこと。恐怖と不審で頭が凍りついた。後輩に声をかけられたが、生返事となってしまった。

 ――自分が一番の年上。部長。何かよからぬことを企んでいるなら、止められるのは自分しかいない。

 いくつかの言葉で自分を奮い立たせた優呼は、一度席を立って顧問の隣に座る。

「あの……先生。少しお話よろしいでしょうか」

「なあに?」

「私の思い込みだったら申し訳ありません。先程、先生のスマホの画面が見えたのですが……私たち声楽部員の名前と、男性らしき方の名前が名簿のように併記されているように見受けられまして……」

「……ああ、さっきのね」

 一瞬だけ、顧問の目が鋭く光る。しかし俯いていた優呼がそれに気づくことはなかった。

「うーん……どういう風に言えばいいかな」

「やはり、私達の名前だったのですか?」

「ちょっとまってね。誤解を生まないような言い方を考える」

 顧問が話をはぐらかしている間に、やがてバスはより山奥へと進んでいく。標高が高くなり、車窓から覗く木々が増えていくにつれて、バスの周りには深い霧が立ち込めていった。

「ねえ、なんか霧? すごくない?」

「先生、これ大丈夫なんですか?」

 後方から質問を投げかける部員たちにも、顧問は耳を傾けない。

 しかし、窓の外を見た後に口元を歪める。その表情は、隣に座っている優呼のみならず多くの部員たちが捉えた。

「さて……そろそろ到着かな」

 顧問がそうつぶやくと、バスは停車する。しかし駐車場でもなければ建物も見当たらない。ただ、薄ぼんやりとした木々が霧の中で浮かんでいた。

「到着……? ここ、森の中ですよ?」

「冗談やめてよ~、せんせ」

「先生? 皆さんが不安になっています。あまり冗談は……」

 流石に様子がおかしいと感づいた部員たち。優呼も少々語気を強め、顧問に詰め寄る。

 しかし――

「なに……いきなり、眠く……」

「ふわぁ……んっ……すやぁ……」

 一斉に、部員たちのまぶたが下りていく。座席にもたれかかるようにして眠りに就くもの、昏倒して通路に倒れ込む者など、皆が意識を失っていった。

「……みなさん? 先生、みんな……が……」

 異変を察知した優呼も、脱力していく。彼女が最後に見たのは、笑いながらバスの中を見渡す顧問の邪悪な笑顔だった。

「みなさん、おやすみなさい――」


 ――数分後。バスは発車しているようで、ゆりかごのような振動に目を覚ます優呼。

「……ここは……お」

 周りを見回したあと、呆けたまますらりとした手を閉じたり開いたりした。その後、白いワンピース制服の裾をパタパタと仰ぎ、中に手を入れてしまう。

 徐々によだれが垂れていく、そのだらしない表情もはしたない行動も、先程までの凛とした優呼とはまるで別人のようだった。

 優呼は感動しているかのように声を震わせながら漏らす。

「ははっ、本当に……!」

「わあ、ボク外人さんの女の子になってる!」

「わしが女だ……女だぁ!」

 他の部員も同様だった。

 己の豊かな胸を鼻の下を伸ばして揉む部員。ストッキングに包まれた華奢な脚をさする部員。はたまた、勢いよくスカートをたくし上げて純白のショーツ越しに穢れのない股間を乱暴な手付きで揉む部員。

 次々に起き上がっていった生徒たちは、自分の身体を確かめるように触り、黄色い声を上げていた。

「こいつ……小学生じゃん。おっぱいもねえし……下も生えてねえ」

「メガネかー……嫌いじゃないけど面倒だな」

 中には、ガラスに映った自分の顔を見たり、平坦な身体を撫で回してがっくりと肩を落としているものも居た。

「――はーい、みなさん、周りにまだ気を失っている人はいますか?」

 その奇妙な光景を見渡した顧問は、車内マイクを通じて部員たちに呼びかける。部員たちは一斉に前を向いて、各々返事をした。

「大丈夫そうですね。ではみなさん、ご自身の身体を触りながらで構いませんので、私の話を聞いてくださいねー」

「はーい」

 顧問はこほんと咳払いをすると、胸元からメモを取り出し喋り始めた。

「この度は弊社主催『人生リセットツアー』にご参加いただきありがとうございます。これまでの人生を捨てて、新たな人生を歩み始める皆様方には、心からの祝福を申し上げます――」


 ――今みなさまが容れられた肉体は、私立アルテミス女学園の声楽部の部員たち、初等部三年生から高等部三年生までの女の子でございます。お気に召したでしょうか? 事前誓約書にてご同意頂いたように完全抽選です。好みの問題もあるかと思いますので、クレームはお受けできかねます。経済、家庭、肉体的に大きな問題がある女の子はいませんので、ご容赦ください。


 まだ容れられた女の子の記憶は読めないかと思います。個人差がありますが、遅くとも12時間以内、翌朝までには読めるようになるかと思います。もし間に合わなそうな人がいたら、教えてください。


 皆様の『魂』が新しい肉体に定着している現時刻をもってすべての行動は自己責任となりますと同時、他の参加者様の新しい人生を壊すような行動、ならびに本ツアーを無関係な方へ話すのは処罰対象となります。

 私が担当した別のケースでは、人目を憚らず淫らな行動に及び病院に送られてしまった方、浮かれすぎて事故に遭いそのまま帰らぬ人になってしまった方、元々の人生で関わりのあった人物とコンタクトを試みて契約違反となった方もいらっしゃいます。若い女の子になって嬉しい気持ちは私もそうだったのでよくわかりますが、羽目を外しすぎないようにしてください。


 顧問は、説明を機械的に、慇懃に説明をした。


 気の触れたような話だったが、部員たちはきちんと聞き届ける。当然、目や腕は自らの身体に集中していたのだが。

「さて、そろそろ宿に到着しますね。旅の恥はかき捨て、とは言いますが、基本的には今の立場から大きく逸脱しない行動をお願い致します。貸し切りではあるものの、女学園の方で悪評が立つと困るのは皆様方でもあります。あなた方はもう、アルテミス女学園に通うお嬢様なのですから」

「はーい」

 顧問が話している間に、バスは山道を抜け麓を走っていた。そして正面には、小さくも立派な佇まいの宿が並び立っている。湯気が立ち上り硫黄の匂いが漂う、温泉街だ。

 バスは近くの駐車場に停まり、顧問が先導する形で部員らが降車していく。部員たちは自分の胸元に留められた名札とバッグの名札を見比べながら、自分のものを持ち出していく。

「それ、俺のなんスけど」

「え? あ、ほんとだ。悪い悪い、名字だけで判断……ん? もしかしてあんたと姉妹で……俺が姉ちゃんなんじゃねえか?」

「かもしんないスね。うわ、知らん人の妹になるって変な感じっスね」

 荷物を取り違えたらしい、中等部と高等部の部員。その整った顔立ちはよく似ており姉妹であることは疑うべくもないのだが、さも初対面かのように接していた。

「ふう……疲れちまったぜ」

 そして、最後に下りた女子部員――初等部三年生の美蘭《みら》は、ツインテールを揺らしながら、まだまだ未成熟な肢体を精一杯に伸ばす。搭載していた荷物も受け取ると、まさに小学生らしいファンシーな柄のトランクに顔をしかめた。

「……やっぱりガキンチョなんだよなぁ。もっと大人が良かったぜ」

「まあまあ」

 そこに近付いてきたのは部長である優呼。弛んだ顔で美蘭の頭を撫でる。

「成長は出来ても、子供に戻るのは出来ないことなんですから。今はその身体を楽しんだ方がいいかと思いますよ」

「はあ……ってかあんたはもうお嬢様気分かよ?」

「そうですね……うっすらとですが、私が最年長かつ部長で、普段こういう丁寧な話し方をしている……そのくらいは、記憶が読めるようになりました」

 子ども扱いされて頬を膨らませていた美蘭だったが、優呼の話を聞き一転無邪気そうに笑う。

「ふうん……確かに子供のフリするのも楽しいか。いいねえ、あんた気に入ったよ」

「ありがとうございます。私は優呼です。先程も申しましたが、高等部部長兼総合部長ですので、よろしくお願いします」

「ほー、俺は……初等部三年の美蘭、か。よろしく」

 自分の名札をじっくりと見つめながら答えた美蘭。

「よろしくお願いしますね。付き合いは短くなりそうですが」


 部員たちは仲居に案内され、予め決められた部屋に通される。部屋割りは予め決まっており、中等部と高等部間の交流を目的としてばらけられていた。

 その間も顧問の言いつけ通りおとなしくしていた部員たち。これは彼女らが特別素直な人間というわけではなく、こんなツアーを実現させている組織に反抗などできない、と悟っているに過ぎなかった。

 部屋は純和風の畳敷き。派手な装飾は調度品はないものの、落ち着いたデザインと色使いであり、手入れも行き届いた高級な一室だった。

「お、優呼ちゃん相部屋じゃん」

「美蘭さんでしたか」

 一室では先程も話した美蘭と優呼の姿があった。見かけ上の身長差と雰囲気はまさに大人と子供。女性としての立ち振舞や言動を得た優呼と、まだ粗野さが目立つ美蘭という差もあった。

「優呼ちゃん美人だなー……おっぱいは普通サイズだけど、すげえな」

「美蘭さんもとても愛らしいじゃありませんか。実は、私はできるだけ幼い方がよかったので、本当は美蘭さんみたいな子になりたかったんですけどね」

「おいおい、ロリコンかよ? いい趣味してんなぁ」

「ええ、恥ずかしながら。身体の凹凸が少ないのはいいのですが、残念ながら最年長で……陰毛も生えていまして」

「いいぜ。夜になったら抱かせてやるよ。俺も優呼ちゃん抱いてみたいしな」

「嬉しいです。ところで」

 美蘭が腰掛けている積み重ねられた布団を眺め、優呼は首をかしげる。

「お布団、3セットぶんありますね。あと誰か一人、いらっしゃるのでしょうか」

「便所でも行って手間取ってんじゃねえか?」

「……お、お邪魔します……」

 二人が話していると、まさに扉が開いて遠慮がちに誰かが現れる。

 現れたのは金髪碧眼、明らかに純粋な日本人ではない少女だった。しかも少女というにもいささか憚られるほどスタイルが良く、背も高い。

「おー、ハーフだか外人だか居たと思ったけど、マリア・デビッドソン……ガチ外人かよ。うわ、まだ中等部二年のくせに乳もでけーし……ってか、俺がちっちぇーのか」

 ひゅうと口笛を鳴らした美蘭は大股で駆け寄っていき、目線の高さで弾む大きな胸を名札ごと鷲掴みにした。マリアと呼ばれた少女は顔を赤くしてうろたえるばかりだった。

「わっ! ちょ、ちょっと……やめてください……」

「美蘭さん。あんまりやると契約違反になりますよ」

「ちっ……うっせえなぁ……っとぁっ!?」

「やめてよぉ!」

 我慢の限界を越えたのか、マリアが美蘭の腕を払いのける。恵体そのままの筋力と体格差は覆すことができず、いともたやすく美蘭は突き飛ばされた。

 幸いにもその先は布団があり、美蘭に怪我はない。しかしひ弱そうな女性に負けたのが効いたのか、美蘭は呆然としていた。

「あ、ご、ごめんなさい」

「……わ、わりい……俺も……調子乗った」

「はいはい、仲直り仲直り」

 優呼は間に割り込み、二人を握手させる。

 渋々といった様子の美蘭だったが、握手に応じてくれたことでマリアは顔をぱあっと明るくさせた。

「ごめんなさい、お姉ちゃん」

「あ、ああ……ってか、お前のが年上だぞ。俺が初等部三年だ」

「僕、二年生だったもん」

 その言葉に、美蘭と優呼は顔を見合わせる。

「……おい部長さんよ、このツアーって年齢制限あったよな?」

「聞かなかったことにしましょう。記憶が読めるようになれば、バレることもないでしょうし」

「それまでこいつ、面倒みてやるしかねえか。巻き込まれて契約違反なっても嫌だし」

「ですね」

 頷きあう優呼と美蘭。このツアーではお互い過去の詮索が禁じられている。勝手に喋った。俺たちは悪くない。相部屋のよしみとして、妙な連帯感が生まれていた。

「さて……ジャージに着替えければなりませんね。可愛くないので嫌なのですが」

「へへへ……じゃあ女同士、隠すことなく堂々と着替えなきゃなあ?」

「ですね」

 優呼と美蘭はほぼ同時に白いワンピース制服に手をかける。

 服の上に浮かんでいたとおり、優呼は柳腰で抵抗なく床に制服が落ちた。慎ましやかなバストは胡蝶蘭を彷彿とさせる華美な装飾ながら清楚なブラジャーが優しく包み込んでおり、黒いストッキングに透けるショーツも同様のデザイン。

 美蘭も勢いよく制服を引き抜く。こちらはまだまだ未発達のお子様体型で、ジュニアブラすらまだ。うっすらドットパターンが浮かぶキャミソールと猫バックプリントのショーツだった。

 下着姿になった優呼と美蘭はお互いじろじろと見つめ合い、徐々に近付いていく。

「おー……優呼ちゃん、すげえそそるな。こういう女を無理やり抱いてやるのが好きだったんだけどなぁ~」

「ひゃぅっ! よ、幼女にイタズラされるのもいいですね……」

「変態だ……うわー、優呼ちゃんブチ犯してえ。絶対処女だろ」

「あ、んっ……」

 美蘭は優呼にまとわり付いて、小さな手で股間を執拗に撫でくりまわす。優呼はまんざらでもなさそうで、足元でじゃれついてくる幼い美蘭の姿に鼻の下を伸ばしていた。

「あー……やべ。ムラムラしてきてんのに、全然勃起しねえ」

「不思議な感じですよね」

「……あ、あの」

 ベタベタとしていた二人へ割り込むように、マリアが一歩歩み寄る。

「女の子のお洋服、脱ぎ方分からなくて……」

 マリアは大きな胸をたゆんと揺らし、むちっとした太ももをもじもじとさせながら助けを求める。

「おっぱいも邪魔だし、脱がせて欲しいんです」

「お、いいぞ。そのデカチチちょっとぐらい俺にも分けろ」

 先に反応したのは美蘭だった。ぱっと優呼から離れると、マリアの背中側に回りファスナーを下ろす。連携するように優呼は前へと立ち、制服を剥いていってやった。

「よいしょっ、っと」

「ありがとう……わ……ほ、ほんとに女の人のおっぱい……」

 マリアの制服を脱がせると、おそらく人前に晒すことは想定されていないだろう薄手のシャツ。黒い柄物のブラジャーが透けており、暴力的なまでのバストサイズもくっきりと浮かんでいた。

「大きな胸ですね。私の趣味ではありませんが」

「俺がガキだからか余計デカく見えるな」

「や、やめてよ……恥ずかしいよ」

「いいじゃねえか……ちょっと揉ませろ」

「ひあぁっ!?」

 そうして美蘭がマリアの胸に飛びかかるが、旅館のドアがノックされる。優呼が開けると顧問が立っており、廊下からは足音と他の部員達の会話が聞こえてきた。

 顧問は申し訳無さそうな顔で、三人に告げる。

「食事の時間です。お楽しみを邪魔するのも心苦しいのですが……食事後は外出こそ禁止とさせていただくものの、入浴、ひいては大浴場での振る舞いも含めて自由時間となりますので……今は、ご協力お願いします」

「へいへい……ん? 大浴場での振る舞いも自由……って、そういうことだと思っていいのかよ?」

「ええ」

「わかりました。美蘭さん、やめてあげましょうか。マリアさんも、ジャージなら着方わかりますよね」

「……はい」

 座敷には他の部員たちが既に揃っている。間もなく膳が運ばれてきて、皆が箸をとった。

「……苦っ。ガキンチョだからか野菜がまじい」

「顧問さんや、酒はないのかのう?」

「私も飲んでいませんし、皆さん未成年ですよ」

「あらマリアさん、こぼしていますよ」

「おっぱい邪魔なんだもん……」

 美蘭や初等部の部員は野菜に顔をしかめている。高等部のややギャルっぽい部員は顧問に酒をねだっている。マリアはぽろぽろと食べこぼし、隣についた優呼が世話をする。

 他にも前髪が鬱陶しそうにしている部員やら、ジャージとはいえ堂々とあぐらをかいている部員など、あまり行儀のよくない姿勢の者が多かった。


 食事を終え手を合わせた後、部員たちは部屋に戻っていく。

 優呼たちもさてどうしようかと一息ついたところで、部屋に訪問者があった。初等部五年生、短髪の活発そうな少女だった。

「ふひっ……み、みなさん……一緒に、一緒にお風呂入りません、か? ええと、その……ふひっ、えと……お、女同士……ですし」

 その少女は外見にそぐわないどもりと小声で言った。視線は足元へ落ちており、優呼達の方は全く向いていない。

「お、いいねえ」

「僕は……まだちょっと恥ずかしいかな……他のお姉ちゃん達と一緒は」

「んー……いえ、行きましょう。マリアさん、これからは女の子として生きるのですから、慣れなければ」

「よ、よろしく……ひひっ」

 手応えがあったとみた短髪の少女は、ろくに返事も聞かずどこかへ行ってしまう。

 はあ、と呆れていた美蘭だったが、全員でタイミングを合わせ――裸の鑑賞会をするという提案自体は悪くなかったのですぐに顔は緩んだ。

 一方、マリアは真っ白い肌を赤く染めている。

「ほらほら、さっさと行くぜ」

「ぼ、僕は一人で……」

「はぁ……本当に嫌なら無理強いはしねえけどよ……身体の洗い方とか分かんのか? それにマリア、お前食事の時もポロポロポロポロこぼして部長さんに拭いてもらってたじゃねえか。まだ身体に慣れてねんだろ? 風呂場での怪我はマジで危ねえとは言っておくぞ」

「うー……そ、そうかも。やっぱり一緒に行こうかな」

「よしきた。俺が手伝ってやるから安心しとけ」

 中等部二年生でかなり大柄なマリアが不安がり、初等部三年生でまだ幼い美蘭に従うというのもいびつな構図だったが、懸念に間違いなはない。しかし美蘭の手はわさわさと動いており、ほとんどが下心であることを隠していなかった。優呼もどちらの意図があったのかは不明瞭だが、同意するようにうんうんと首を縦に振っていた。

 支度を始めた三人は、自分の物となったバッグを開いて中を漁る。

「……なんか、やっぱお子様パンツだな。俺がこれ穿くって考えると……やべ、ちょっと興奮してきたかも」

 美蘭は今自分が穿いているのと大差ないようなプリントショーツを広げ、じっくりと眺めている。裏返してみたり、クロッチのシミを見て鼻を鳴らしていた。

「あら、美蘭さんも小さい子の良さがわかりましたか? 私のショーツの方がお好みかと思ったのですけど」

「なんか違うんだよな。見てエロいと思うのと……わかんねえかなあ、自分が女に、しかもこんなガキになってるって考えたら変なのに目覚めそうだ」

 その様を優呼は見守る。その手には、やはり清楚なピンクのショーツとブラジャーが握られていた。

 その後ろ、マリアはというとまたも狼狽していた。

「……いいのかな。これ、マリアさんのものなんだよね」

「またかよ。もうお前がマリアなんだっつーに」

 空港で荷物を識別するためのシールがたくさん貼られたキャリーバッグの前でぐずっていたマリア。ロックだけ解除して、開いてはいなかった。

「しゃあねえなあ。パンツとブラ……ってでけえ!?」

「わ、わ……こ、これ僕が着けるの!?」

 美蘭が割り込み、バッグか下着の入った袋を探し当て中身を逆さにすると、巨大な無地のブラジャーが現れる。それを拾い上げた美蘭は試しに自分の胸に宛ててみるが、サイズが合わないというレベルですらない。おふざけにしか見えなかった。

「どれどれ……うお、Hカップってなんだよ」

「こ、こんなの……!」

「マリアさん、驚いていますが今も着けているんですよ?」

「え、あ……うう」

 マリアは自分の胸に触れ、磁石の反発のように離す。ついにはへたり込み、助けを求めるように両手を上げた。

「うー……自分で歩けたりチューブがないのは嬉しいけど、男の子がよかったなぁ……」

「はいはい。記憶戻るまで我慢してろ。ほれ」

 ビニールの袋にマリアの着替えを詰めて、美蘭は投げ渡す。

 三人とも準備を済ませると、部屋を出た。

 皆で声をかけあったのか、ほぼ全ての部員が大浴場へ向かっていた。美蘭とマリア、それから一歩引いて優呼もついていく。

「んー……まあこんなもんか」

 脱衣所に飛び込んだ美蘭は、既に着替えを始めている部員達を眺めて肩を落とす。優呼やマリアは部員の中でもかなり発育がよい方であり、他は年齢相応だった。美蘭は比較的垢抜けたギャルっぽい高等部の部員に熱心な視線を送っていた。

 眼差しに気がついたギャルはアニマル柄の下着も取り払い、そこそこのバストと陰毛を見せつける。

「ん? ほれほれ、ギャルの身体じゃぞ。うっふーん」

「んー……それはちょっと萎える」

「なんじゃと。子供に言われたくないわい」

「うっせ」

 冷めた態度で服を脱いでいく美蘭だったが、そんな彼女に鼻息を荒らげている部員もいた。先程部屋に訪れた活発そうな初等部五年の少女も裸になり、ほんのりと膨らんだ自分の胸と、真っ平らで乳首だけが愛らしく主張している美蘭の胸を舐めるように見比べている。

 金髪碧眼にアメリカンな肢体を誇るマリアもまた、注目を集めていた。優呼は初等部の少女達の視姦に熱中しているので手伝ってくれず、顔を赤らめながら服を脱いでいく。

「ひあぅ……おっぱい……だ。お毛々も……うわ、金髪……」

 いよいよ決意して全裸になると、ばるんと跳ねる胸と鮮やかなブロンドの陰毛に目を奪われた。素肌はどこをとっても真っ白、乳首の色素も薄く日本人ではないことが自覚させられた。

 他にも、鏡の前で脚を開きメガネを掛け直して股間を確かめる高等部の部員、僅かに生えた陰毛を引っ張って遊んでいる中等部の部員など、自分の身体にだけ興味が向いている部員もちらほら。

「お、マリアちゃんやっぱ最高」

「ふわぁっ!?」

 マリアが隅で固まっていると、その姿を見つけた美蘭が飛んでくる。前を隠していたタオルをのれんのようにめくると、股間に優しく触れた。

「……んっ、ちょ……っふ」

「外人って早いっていうし、お嬢様学校とはいえ結構ヤることヤってんのかねえ」

「ぅ……変だよ、美蘭お姉ちゃん……んっ」

 美蘭はお構いなしにマリアの股間を愛撫する。くりくりと割れ目に指を入れて、緩急をつけた刺激をする。

 そんな美蘭のテクニックに、マリアは為す術なく翻弄された。

「ちょっと――あぁんっ!」

 指先が深く入り込み、クリトリスをつついた瞬間。マリアはこらえきれず、艶めかしい声を脱衣所に響かせた。

「……エロ」

「お、俺も……んっ」

 それが合図となる。これまで控えめ、探り探りだった部員たちが直接的な行為に移っていった。

「ほら……気持ちいいだろ? これが女の身体なんだよ……」

「ふあぁっ! や、やめっ……んあぁっ!」

 腰が砕けたマリアはベンチに寝かせられ、美蘭の手によってより本格的なペッティングが始まる。小さな美蘭視点では迫力満点な胸を弄び、早速濡れてきた股間をほじくる。性知識のないマリアは何をされているのか、自分の身に何が起きているのかも分からないまま、身体を甘く麻痺させる信号にとろけていく。抵抗など出来なかった。

「……っぷ……お姉ちゃん、妹に犯されそうになって感じてるんスかぁ?」

「んっ……っふ……ぁっ、うるさいな……うぅっ」

 傍らでは、高等部二年生と中等部三年生の姉妹がレズ行為に没頭している。裸で抱き合い、濃厚な口づけを交わす。とはいえほとんど妹が一方的に攻めているような構図で、姉は言いなりになっていた。

「おっ、おうっ、むほほっ、死んだ婆さんも若い頃はよく求めてきたが……これはっ、わかるわいっ……ほっ」

 姿見の前、脚を開いてアメニティであるブラシの柄を膣に突っ込み喘いでいる高等部一年生のギャル。何かうわ言のようなことを口走っている。

「ふひ、ふっ、ふひっ……お、おしっこ……僕の割れ目から……ふひっ……んっ」

「あらあらこんなところで……お姉ちゃんが綺麗にしてあげますよ……はむっ」

「んおおっ!?」

 初等部五年生の活発そうな少女が洗面台の上にまたがり、堂々とおしっこを排出していた。そこにやってきたのは、当初から美蘭など幼い少女に執心していた総合部長の優呼。初等部の部員を洗面台のふちに座らせ、おしっこにまみれたままの股間をぺろぺろと舐め取っていく。

 脱衣所では自慰を試みる者、少女同士で抱き合う者など、大人顔負けの行為が繰り広げられている。脱衣所には嬌声が満ちて、狂宴の様相を呈していた。

「あぁっ……何か……変だよぉ……っ、あっ、あっ」

 やがて、空気は熟していく。休みなく美蘭の手にかかっていたマリアの声は上ずっていき、白い肌には汗が流れていく。全身は震え、どこに至ろうとしているのか、中に差し込んだ細い指を締めつける具合から美蘭にははっきりとわかっていた。

「おら、おらっ! それが女だ! イけ、イけっ!」

「いっ、あぅっ、あっ――うあぁああっ!」

 そして美蘭の指が深々と突き刺さり、Gスポットに到達した瞬間――マリアは絶頂してしまった。

 全身を痙攣させ、ぶしゅぶしゅと愛液を噴き出す。その後にはねっとりとした白い液体も溢れてきて、マリアの快感を物語っていた。

「……あひっ……うっ……」

「あーあ。ってかマリアちゃん、相当淫乱だったんじゃねーの?」

 白目を剥いてぐったりとするマリア。美蘭はどろどろの指を舐めながらつぶやいた。

「あ、ふぁっ……!」

 他の部員達も、次第に限界がやってくる。中等部と高等部の姉妹は貝合せをしており、イった後には愛おしそうにキスをし合う。

 高等部二年生の真面目そうなメガネの部員は、何度も絶頂を繰り返しているギャル部員と胸を揉み合い折り重なっている。

 初等部五年生の部員を人生で初めての絶頂に導いた優呼は、初等部六年生と四年生に挟まれて自慰をしていた。

「……みなさん、お楽しみですね」

「あ、顧問の先生……」

 幼い身体でどこまでいけるか試そうとしていた美蘭の前に、顧問の先生が現れる。美蘭はばつが悪そうに手を離し顔を逸したが、顧問はにっこりと笑う。

「続けていただいて結構ですよ。一応過去は部屋で、と限定していたのですがやはり無理なので大浴場ならびに脱衣所でも可、と変更させていただいております」

「はぁ……いや、予めセーフとは聞いていたけどよ、ビビる」

「うふふ……それにやはり、この狂った光景は他で見られませんから」

「……みーらーちゃん!」

 美蘭と顧問が話していると、ゆらりと起き上がったマリアが突っ込んでくる。しかし先程までのおどおどとした雰囲気は消え去り、満面の笑みを浮かべていた。

 変わり身に驚いていた美蘭の隣、顧問は『やはり』と唸った。

「マリアさん、ひょっとして記憶が読めるようになりましたか?」

「ハーイ! ワタシ、ワタシのことわかります! 素晴らしいです!」

「……お前、そういう性格だったんだな」

 美蘭は勢いよくハグをされ、しかし胸に埋まってしまっていた。

「ふふふ……美蘭ちゃん、あなたはまだみたいだけど、すっごい愉しいですよ!」

「大きな刺激……例えば性的絶頂なんかがトリガーになることは間々あるようですね。マリアさん、新しい人生を心から祝福します」

「I’m so happy! Thank you so so much! じゃあ美蘭ちゃん、一緒にお風呂! 日本だから裸の付き合い!」

「あ、ちょい……」

 マリアは流暢な英語で返事をした後、美蘭を抱えて浴室へと入っていった。

 他の部員たちもまた、疲れた身体を癒やし汚れを流していくのだった。



「――お姉ちゃん、いいお湯だったね」

「うん。お嬢様学校ってだけあるわね。姉妹としても仲良くやっていけそう」

「優呼さん、ありがとうございました! おかげで心も若返りました」

「いえいえ。また遊びましょうね」

 湯からあがり、脱衣所で服を着る部員の数名には変化があった。マリアと同様、身体の記憶を得た部員だ。もちろん全員ではないものの、傍目にも別人かと思うほどの変わりようだった。

「はぁ……やっぱガキか」

「ま、朝になれば思い出すらしいし。ロリっ娘同士仲良く待ちましょうや」

 しかし美蘭を含む初等部の数名は、自慰やレズセックスを経ても記憶を得られなかったか、そもそも性感らしい性感すらないという有様。

 美蘭ら初等部の部員はトイレに寄る。一足遅れで部屋に戻ると、布団がひかれている。しかも、優呼とマリアが仲よさげに抱き合っていた。もっとも浴衣は着ており、肌の柔らかさを与えあっているだけという雰囲気だ。

「おいおい」

「そーいえば美蘭ちゃんはまだだったんだ!」

「ああ、そうなんですね。私も優呼ちゃんのことを思い出したし、他の子達ももう大丈夫かと思っていたのですが」

「初等部の連中はまだのやつが多いんだっつーの」

 美蘭は苛立ちながら、空いている布団の上にどっかりと座る。浴衣をはだけてショーツの上から股間をさすってみると、少しだけ気持ちいいがそれ以上は進みたくない。マリアの豹変ぶりを目の当たりにした美蘭には、自分を失う恐怖もあった。

「美蘭さん、お手伝いしましょうか? 部長として責任、感じます」

「ワタシも! 美蘭ちゃんには一杯助けてもらいました」

「……お、おい」

 そんなこともつゆ知らず、にじり寄ってくるマリアと優呼。

「あ、やめ……ふぁっ!」

 逃げる間もなく組み敷かれ、裸にされた美蘭。体格差からまるで抵抗も出来ず、すぐに快楽の世界へ誘われることとなる。情けなさと好奇心の両方を抱いたまま――あっという間に、イかされてしまった。

「どうですか、美蘭ちゃん? ワタシの気持ち、分かりました?」

「あ、マリアさん。少し恨みもあったんですね」

 ひと仕事終えたマリアと優呼は、はあはあと息を切らしている美蘭を見下ろしていた。

「ひ……ひどいです……こんな……」

「可愛い……」

「そーいえば優呼部長サンは小さな子が好きなんですもんね」

「……確かに嬉しいですけど……まさか、わ、私がこんな……泣き虫だなんて知らなかったです……」

 美蘭は――これまでの軽薄な男のような態度は鳴りを潜め、布団の上で小動物のように震えている。目には涙亜を浮かべており、庇護欲を掻き立てる、ある意味では外見通りの少女となった。

「はいはい。では私が一緒に寝てあげますから泣かないでください」

「うぅ……絶対ですよ!? ああもう、やっぱり子供じゃなく大人がよかったです……泣き虫で甘えんぼさんなんて……先が思いやられます……」

「ふふ……」

 衣服を整えた美蘭と優呼は、すぐさま布団に入る。間もなく美蘭と優呼目当てに部員がやってきたが、それはマリアが他の部屋に連れていき相手をすることとなった。

 マリアや他の部員たちは、夜遅くまでレズセックスと自慰を繰り返した。



 翌日の朝には、全部員が身体の記憶を取り戻す。無事コンクールを終えた彼女たちは、そのまま学園へと戻り――それから、各々の帰るべき場所へ、帰っていくのだった。


「――お母様! お母様! ただいま戻りました」

「おかえり美蘭ちゃん。いきなり抱っこなんて……寂しかったのね、よしよし」

「けど、先輩方が優しくしてくれました!」


「うん……今学園。お姉ちゃんも一緒。うん、お願い。はーい――お姉ちゃん、お母さんたちすぐ迎えに来てくれるって」


「お、お帰りなさいませ、優呼お嬢様」

「はい。いつもありがとうございます、運転手さん。……何か?」

「……い、いえ。その……お嬢様からねぎらいのお言葉を頂くのは初めてかと思いまして……嬉しくて」

「ふふ……合宿で考え方を改めたのです。これまで意地悪してごめんなさい」


「パパ! マリアだよ!」

「ハハハ、相変わらず元気そうだな」

「パパもね。ワタシ、とっても楽しかったよ!」


Files

Comments

No comments found for this post.