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 支援者様向けアンケートによる作品です。

 告知の通りアンケート結果よりランダムに選択、そこから類似するやつをピックアップする方式で以下のような形となりました。


・選択された回答

 『人妻 憑依/入れ替わり 乗っ取り 成りすまし 人生略奪 ダーク』


・類似する回答

 『憑依ものでその人の人生そのものを奪うタイプ』


 『憑依』『人妻』『人生略奪』あたりで類似を抽出しましたが、割と広めなので類似するというかまあ実質的には単一ですね。

 ここ最近はわりと明るかったりダークさがあまりない作品が中心だったので、今回はかなりダークというか。ただし実際に誰かが悲しんでいるシーンや描写はまったくないのですが、だからこそうまれるダークもあるというか。

 いつもより心情描写をやや強めにしたので、そこらへんがダークかなーと思っています。

 前置きが長くなりましたが、以下本文です。


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「ふわ……」

 朝、カーテンの隙間から漏れ出す光で目を覚ました私は、のっそりと身を起こす。ダブルベッドの周囲には、昨晩の激しさを物語るように散乱した衣類やティッシュ。

 隣では、夫の大護《だいご》がすやすやと寝息を立てて眠っていた。もちろん裸で。

 私はその間抜け面を楽しんでから、ベッドを出る。姿見に映った自分の身体はとても魅力的なスタイルで、黒髪は瑞々しく広がり、白い肌も朝日を反射して輝いていた。

 手が伸びそうになるのを我慢して、衣類を拾い上げる。黒レースのオープンブラショーツ、上から白いチノパンにブラウスを纏えば、清楚ないつもの私――

 と思ったけど、シャツからはオープンブラと乳首が透けていた。さらにそれを見て興奮し、乳首はむくむくと膨らんできてしまった。

「ふふっ」

 私は気にせず、夫婦の寝室を出てリビングダイニングへ降りていった。

 そこには白いジャージ姿の女の子。少し歳が離れている妹の舞が、これから部活の朝練に出かけようとしているところだった。

「おはようございます、舞ちゃん」

「おはよ……って、なにその格好」

「え……あ、えっと……」

 舞は私の胸元を見て、呆れたような目をする。笑ってごまかすけれど、舞はため息をついて菓子パンの封を切った。

「一応居候の立場だし、止めてとも言わないけど……夜中も声すごいし、ね」

「ごめんなさい。その、赤ちゃん――」

「わかったわかった、冗談だって。その代わり私にもお世話させてね」

「え? あ……はい」

「じゃね。お昼は帰るけど、午後は遊びに行くから」

 舞はいたずらっぽく笑い、パンを咥えながらさっさと出かけていった。もう声は届かないけれど、私は控えめに手を振った。

「いってらっしゃい……と」

 静けさが戻ったリビングダイニングで、私はエプロンを着けてから朝ごはんと大護さんのお弁当を作り始める。

 途中、どたどたと階段を降りる音がしてきたかと思うと、大護さんが顔を出してくれた。

「おはようございます、大護さん」

「おはよう、千歳」

 ふふ、と笑ってから大護さんは洗面所に消えていく。

 やがてこちらの準備も一通り終わった頃、身だしなみを整えたスーツ姿の大護さんがやってきて、ダイニングのテーブルに着いた。

 いただきます、と二人で手を合わせ、パンやサラダを食べながら会話を交わす。

「舞ちゃんは?」

「朝練とのことで、早くに出ていきました」

「大変だなぁ……高校生も忙しい」

「それは大護さんもでしょう? 土曜日なのに、お仕事なんて……」

「まあ仕方ないさ」

 大護さんはバターで汚れた口元を拭いながら言う。

「千歳のためだし、子供が出来たらお金もかかるんだ」

「そうですね。でも、無茶はいけませんよ?」

「昨晩、あんな疲れさせておいてよく言うよ」

「そ、それは……」

 顔が熱くなる。大護さんも、ちょっとだけエッチに口元を曲げる。

「いいさ。求めてくれるのは嬉しいよ。まあ、千歳の変わりようは少し驚いたけど、知り合いの赤ちゃんを見て気が変わるってのはよく聞く話だし」

 私は俯いて、照れを隠すようにもそもそとパンをかじる。けれども、大護さんは楽しそうに見つめていた。

「それとも俺とするの嫌い?」

「うぅ……大護さん、意地悪です」

「ははは、ごめんごめん」

 大護さんは優しく顔をほころばせながら立ち上がって、私の頭を撫でる。

「じゃあそろそろ俺は出るよ、千歳」

「わかりました」

 私は立ち上がり、玄関まで大護さんについていく。そして扉を開いたところで、私は少しだけ背伸びをして大護さんのほっぺにちゅっとキスをした。

「いってらっしゃいませ、大護さん」

「ああ、行ってきます」

 そう言って、大護さんの背中が見えなくなるまで玄関先で見送る。私は、自分以外の生活音が無くなり少し寂しくなった家で朝食の後片付けを済ませてから、リビングのソファに座った。

 これから洗濯と掃除が待っている。昨晩も激しくしてしまったから衣類だけじゃなく、シーツも洗わなきゃ。

 あれこれと考えていると、なんだか嬉しくなってきて――

「あー……たまんねえ」

 ――ついつい、"俺"の本音が漏れてしまう。

 そう。私は――"俺"はこの女、千歳であって千歳でない。


 きっかけはほんの数日前。

 俺はそこそこに働き、それなりの趣味を楽しむ人生を送っていたのだが、全く恋人が出来ないという悩みがあった。そこで結婚相談所の扉を叩いたのだが、そこはただの結婚相談所ではなかった。

 スタッフのお姉さんから案内されるまま、PCで俺自身の情報や希望する相手の条件を入力していたのだが、気づけば既婚者のプロフィール画面が表示されている。

 バグや俺の操作ミスかと思ったのだが、さらによく見てみるとその相手も選べるではないか。どういうことかと尋ねてみると、どうやら俺はそれと知らず特別な隠し操作をしていたらしい。


 この結婚相談所は、表向きは普通の結婚相談所。しかしその裏、既婚者に乗り移ることで望む結婚生活を選択する――そんなふざけた結婚相談所、だったようだ。


 怪しい。だが誓約や免責事項もそれらしく作り込んである。

 なにより、過去利用者の氏名や年齢、夫婦合算での年収や勤め先といった情報のみならず、身長や体重、夫婦の身体の相性や仲まで克明にレポート形式で表示されているのは異常だった。

 俺は見つけ出した一人の女性を選び、これになりたいと言ってみた。冗談半分のつもりだった。だが異性になることを望む利用者は少なくないとのことで、あっさり受理される。

 個人情報はもう渡してしまったので手遅れ、その場では金も何も支払わなかったので逃げるように帰ってきたのだが――


 翌朝目が覚めると俺は、清楚で貞淑な結婚一年目の人妻、柊 千歳になってしまっていたのである。

 元の俺の記憶もしっかり引き継いでいるのでその相談所に電話をかけてみようと思ったのだが、なんと言えばいいのか分からず。俺が乗り移ったことで元の俺や元の千歳がどうなったのかも不明。

 しかし、どうでもよかった。

 千歳の記憶や考え方は手に取るようにわかるので、俺が千歳として生きるのに困ることはないと断言できるほど。前の生活に未練は多少あったが、戻りたいかと言えば絶対にノー。

 かくして俺は、千歳としての生活が始まったのだった。


「はは……俺が人妻だもんな」

 改めてこの状況を噛み締めた俺は、締まりなくにやけた。

 自分が清楚な人妻になって、その肉体を操っていることにすら、ふとしたタイミングでどうしようもなく欲情してしまう。

 千歳として振る舞い、周囲の人間も中身がすり替わっていることに気づかない。夫ですらも。これまで夜が控えめだったのに、いきなりセックスが大好きになっても『子供が欲しくなった』の一言で騙され、俺に快楽を与える道具になってくれる。

 もちろん今の俺にとっても愛する夫なのは間違いなく、愛されることも求められることも、夫婦として繋がれることも嬉しい。幸せだ。

 だがそれ以上に、別人だという事実に気づかず腰を振っている様が滑稽すぎて面白く、そして欺いていることに興奮する。それが見たくてついあざとい千歳を演じてしまうのだが、能天気な大護は単純に甘えられていると思い込んでいる。

「あー……っとと」

 チノパンの中に手を差し込みそうになるが、ここは我慢だ。お昼には部活を終えた妹の舞が戻ってきて、バスケ部で激しく運動し汗の染み込んだ衣類を持ち帰る。

「ふぅ」

 一旦息を落ち着けた俺は、オープンショーツとブラから普通の白いレースの下着に着替え、ムラムラを引き摺ったまま家事をこなしていった。


「ただいまー」

「おかえりなさい、舞ちゃん」

 予告どおり、昼頃に舞は帰ってきた。俺は一通り家事を終えており、ゆっくりしているところである。

「私、先汗流したいな」

「わかりました。今日中に洗いますので、洗濯物はちゃんと出しておいてくださいね」

「はーい」

 それから俺はカレーを温めておいたのだが、途中であることをひらめく。タイミングを図り脱衣所に入ると、ちょうどシャワーを浴び終えた舞が体を拭いているところだった。

 舞は少し驚いたようだが、若い肉体を全く隠すことはない。ほどよいサイズの胸も、刈り揃えられた陰毛とその隙間に覗く割れ目も。

「どうしたの?」

「あ、すみません。バスタオル、あったかなと思いまして」

「大丈夫だよ」

 俺は千歳のふりをしつつ、舞の裸をじっくりと目に焼き付ける。

 今の俺の体も素晴らしいのだが、若さという点ではやはり舞にはかなわない。

「ならよかったです。失礼しました」

 舞は全く警戒しておらず疑う様子もない。いっそ、カメラを仕掛けておくのもありかもしれないと思いながら、俺は脱衣所を後にした。

 その後、昼食を済ませた舞は朝予告していた通り、出かけていった。


 午後、俺がすべきことはあまりない。せいぜいが舞が部活で使った衣類を洗うぐらいなのだが――

「へへへ……」

 俺は洗面所のバスケットに入れられた、舞の下着を引っ張り出す。

 綿製の星柄で少々子供っぽいデザインのショーツと、あまり大きくないブラジャー。俺はそれを手にとり顔に当て、胸いっぱいに匂いを吸い込んだ。

「んー……やっぱいい匂い……ごめんなさい、舞ちゃん……オカズにするよ」

 俺は匂いを嗅ぎながら、服の上から股間を刺激する。

 俺は手早く全裸になって、舞の下着を身につけた。サイズは少し小さく、股間には食い込みブラジャーからも胸が溢れそうだ。

「はは……えっろ」

 こういう行為をしていると、千歳として思い出す。

 千歳と舞は10歳差だが実の姉妹で、千歳と大護の家に居候をしている境遇にあった。

 数年前に火災で両親を喪い、行く宛がなくなった舞を引き取ると決めた時、泣いて抱き合ったことを。

「んっ……やぁ……っ」

 大護さんとの結婚も素直に祝福してくれたし、大護さん本人とも近すぎず遠すぎずの距離感を保ってくれている。そんないい子で、大切な妹の服でオナニーしているなんて。

「っくっ、だめだ……」

 調子に乗った"私"は、バスケットから舞ちゃんが部活で着ていたTシャツ、そして歯ブラシを掴んで舞ちゃんの部屋へ侵入する。

 女子高生らしい大人っぽさと可愛らしさが同居している内装、壁にかけられたセーラー服。それも着込むと、下着から全部舞ちゃんの服装になった。

「ふぅ……はぁ、はぁ……ごめんね……」

 サイズは多少小さいが、見た目にはよく似合っている。コスプレ感もないので3年生でも通るかもしれない。

「え、えへへ……んっ」

 理性がぷつりと切れた。"俺"は舞のベッドに飛び込み、制服にシワを作りながら舞の歯ブラシでショーツ越しにアソコを刺激する。

「んっ、はぁっ、あぁっ!」

 千歳とは違うシャンプーやボディーソープ、香水を使っているので同居している姉妹とはいえ香りは存外に違う。俺は舞のベッドに染み付いた匂い、制服や下着から漂ってくる体臭に包まれながら、必死になってアソコをいじくった。

 途中でショーツをずらし、歯ブラシにたっぷり愛液をまとわせてからクリトリスをごしごしと擦る。毛が柔らかいタイプなので痛みは少なく、そんなことより妹が普段使っている歯ブラシでオナニーをしている変態さの興奮が上回っていた。

 俺は元来、女の子の使用した身の回りのものに興奮する癖があった。もちろん気味悪がられるのは必至なので隠していたのだが、千歳になり絶対に怪しまれず、まずバレない環境を手に入れたことで爆発したものだった。

「っくっ……ああ、ぁあぁっ!」

 頭の中によぎるのは、大護と結婚する前に行った旅行の思い出。姉妹ふたり、お互い裸で温泉に入ったり、あられもない姿での時間を共にした。

 俺はその記憶をいやらしく書き換え、妄想していた。

 誰も居ない女風呂でのレズセックスや、ディープキスや乳首を舐め合う過剰なスキンシップ。千歳と舞の仲はいいが絶対にあり得ない禁断の関係を思い描けば、異様に興奮していた。

「あっ、ううあぁあっ!」

 そして――いとも簡単に絶頂し、大量の愛液を流す。ショーツはストッキングのみならず、制服やシーツもびちょびちょ。よだれで枕カバーも汚れ、ひどい光景だった。

「あー……仕事増やしちまったな」

 午後の家事に、セーラー服をクリーニング屋に持っていく必要が出てきしまったのだった。



 帰ってきた舞にセーラー服がないと言われたが、掃除の時ちょっと汚れが気になったからクリーニングに出したと説明したらむしろ感謝された。きっと姉がオナニーに使ったなんて、夢にも思っていないのだろう。

 夕食時になると、夫である大護も帰宅してくる。

「ただいま」

「おかえりなさい、大護さん」

 笑顔で出迎えてやると、大護の顔に浮かんでいた疲れは一瞬にして消え去る。確かに、こんな可愛い嫁さんが居たら頑張れるというものに違いない。前の千歳も美人だった。

 しかし客観的に見た今の俺の方が、男の理想。清楚で美人、自分以外の男を知らないのにエッチな妻。


「大護……さん」

「っふ……」

 夜。俺と大護は夫婦の寝室ですべきことをしていた。

 ガチガチに固くなった大護のチンポを、俺はおいしそうにしゃぶる。もちろん俺に元々そういう趣味はなかったのだが、今となっては非常に興奮する行為だった。

「っく……出る……!」

「らして……んんっ!」

 俺は白濁液を口で受け止め、こくこくと喉を鳴らして全部飲み込む。それだけではなく、未だびくびくと跳ねている大護のチンポへと食らいついて、尿道に残っている精液も一滴残らず絞り出してやった。口元には、陰毛が付着している。

「んく、んくっ……っぷはぁ。大護さんの、とってもおいしい……」

「っふぅ……全部、飲んだんだな。なんだか別人になったみたいだな……つい前までは、エッチするの嫌がっていたのに」

「それは……赤ちゃんが……」

「口でしてるのにか。いや、俺は……やっぱり男だからさ、したいし」

 大護の言う通り、かつての千歳はあまりセックスに消極的だった。別に嫌いではないのだが、恋人時代はちゃんと結婚してからすべきという考えがあり、結婚後は舞が同居しているのと子供は計画的に作りたいという思いがあったからだった。

 だがけっきょく身体も欲求不満であったし、元男の俺が味わってしまった千歳の快楽はまさに中毒的。それも単純な肉体から得られるものだけではない。

 愛する夫に抱かれる女としての幸福、第三者の男だった俺が全てを掠め取った愉悦だ。

 俺は仰向けになって、自分の股間を指で開く。男に媚び、おねだりする羞恥もひとつのスパイスに過ぎない。

「じゃあ大護さん……こちらにたくさん……ください。ゴムなんて、要りませんから」 

「千歳……!」

「あぁっ……あぁんっ!」

 ――その日も、夜は更けていく。もしかしたら翌朝も舞に文句を言われるかもしれない。大護も、少し日を置こうと提案してくるかもしれない。

 だが俺は聞き入れないだろう。こんなに、幸せな快楽を――人生を手に入れたのだから。




「なるほどなぁ」

 俺が千歳になってから数ヶ月。家事を終えのんびりとテレビを見ていると、とあるニュースが報道されていた。

 路上で夫婦が殺害されたという事件なのだが、目撃者の証言によると犯人はその直後から外傷もないのに意識を失い、未だ回復していないらしい。犯人と被害者に接点はなく、動機や詳細は不明。

 実名報道もなされており、犯人は――かつての俺だった。

 あまり真面目に聞いていなかったが、俺が千歳に成り代わるに当たって結婚相談所で本人の肉体だけではなく関わる全てが失われると説明を受けた気がする。それは家族や近親者の名誉なども含まれていた、ということなのだ。

 きっと俺の身体は、被害者に恨みがある何者かによって使い捨てられたに違いない。身体を捨ててから結構な時間が空いていたのは謎ではあるが、詮無きことだ。

 本音を言えば、少し想定外ではあった。

 しかし些細なこと。俺が殺人者になったことを悲しむ人間は多少居るかもしれないが、当の本人が幸せでいるのだ。例え、それが全く無関係な人間の人生を奪い取ったものだったとしても。

「まあいいけど……」

「ただいまー」

 ちょうどそのニュースが終わると同時、舞が帰宅してきた。俺は背筋を伸ばし『千歳』のふりを始めた。

 高校の制服姿の舞が、けだるげな表情でリビングにやってくる。

「ただいまー、お姉ちゃん」

「おかえりなさい。お疲れみたいですね」

「うん。今日の部活がね」

「そうですか。では、洗濯物はしっかり出しておくのですよ」

「私がやるよ。お腹も目立つようになってきたんだし、お姉ちゃんは無理しないでね」

 俺は――三ヶ月となったお腹の子をさする。

 千歳も大護も健康だったのだし、あんだけずこばこやっていたらすぐに出来るというものだ。あまり激しいセックスができなくなるのは寂しい一方、妊婦という元の俺なら絶対にあり得ない肉体にも興奮する。

「ええ、ありがとう」

 俺は慈しむように笑う。その言葉は、気を遣ってくれる舞に、産まれてきてくれる子供に――そして、こんな素敵な人生をくれた千歳に向けられた言葉だった。

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