Home Artists Posts Import Register

Content




「ん……」


 普段自分が使用しているものとは違う、やたら柔らかなベッドの感触に支えられながら、宗介は目を覚ます。

覚醒直後で寝ぼけた頭は最初こそ困惑するが、段々と自らがいま置かれている状況を思い出してきた。


 自分は今、両親を嵌めて危機へと追いやっただろう憎き相手、銀沢星華の家に軟禁されているのだ。

腹立たしいことに、服や携帯といったあらゆるものを奪われた状態で。


 そんな中軟禁場所である彼女の家の広い地下室は、いつのまにか常夜灯のようにうっすらした光で照らされていた。

ただ窓も時計も無いため、今が夜なのか、そもそも何時なのかすら分からない。

身体を不躾に触られ、そして初めての「メスイキ」というものをさせられてから、どれほど寝ていたのだろうか。

依然として熱を持った身体、漂ってくる濃厚な性臭からして、2、3時間ほどではないかと推測出来たが、確認する方法は無かった。


「ふっ……」


 とりあえず色々と考える前に、汚されてしまってべたつく不快な身体を洗い流すため、四つに分かれた区画の一つ、ガラスの壁で囲まれた浴室へと向かう。

すると、地下室全体の電気がゆっくりと点灯する。

人感センサーか何かかと思ったが、辺りを見回せば壁の高い位置についたカメラが追いかけてきており、常に監視されているのだと理解した。

あられもない姿にした挙句、その上動向すら観察されるのかと辟易する。

しかし背に腹は代えられず、目的地にたどり着くと壁同様ガラスのドアを開いて中に入った。


「うぁ……」


 内部には、外よりやや薄いものの精液や我慢汁の匂いがしている。

きっと星華は、この地下空間の至る所で行為に及んでいるのだろう。

あまりの節操のなさに苛立ちすら覚えつつ、だが否応なしに全身を疼かされもしながら、やけに高級感のあるシャワーヘッドを取った。


「ふぅ……」


 蛇口をひねれば肌に当たる湯はとても柔らかく、多少残っていた身体と心の疲労感が癒されていく。

こんな状況だというのに、一瞬呆けてしまうほどだ。

折角なら湯舟にまで浸かってしまおうかと考えるが、とはいえ後で揶揄されるのが嫌でやめておいた。


「……」


 そうしていると徐々に、血行が良くなったからか頭が回り始める。

真っ先に思考するのは、再度家主がここへ来る前に何か対策できないかということだ。


 映画などで行われるように、換気口から逃げ出すのはどうだろうか。

だが、そのような場所は壁面や天井の手が届かない位置にあり、そもそも何か変なことをすればすぐメイドが下りてきそうだということに気づく。

であればありあわせのもので武器を作ったとしてもすぐ取り押さえられてしまうだろうし、罠か何かを張ったとしても看破されてしまうことだろう。

浴室には鍵さえついておらず、立て籠もることだってできそうになかった。


 やはり、できるのは耐えることだけらしい。

少なくとも今の宗介が出した結論はそれだった。


「父さん……母さん……」


 そんな中で両親や友人のことが脳裏に浮かぶ。

どちらにせよ圏外で連絡は取れないが、スマートフォンを持っていれば、と思った。

写真や普段のメッセージなどを見ればきっと心の支えになっただろう。


 すると、事情を全て知っている父と母が、相当な心配をしている光景が容易に想起された。

彼らのためとこの場所へ踏み入る判断をしたことは、果たして正しかったのだろうか。

むしろ余計に不安がらせてしまったのではないか。


 孤独感から、暗い考えが浮かび上がってくる。


「っ……!」


 しかし、それも自分が二日目を耐えきれば正しかったことになるのだ。

そうすれば、二人に自責の念を感じさせずに済む。

息子を得体の知れない人物に差し出してしまったという、相当に苦しいであろうものを。


 彼は、再び気合を入れなおした。


「ふぅ」


 やがてシャワーを浴び終えると、あつらえてあったやたら柔らかなバスローブを着て浴室を出る。

調度品の一つ一つは、あの下品な星華には似つかわしくないほどの品質だ。


「ん……」


 そこで、エレベーター近くの見慣れない、他と違わず高級そうなワゴンに気づく。

上には釣鐘型の金属がかぶせられた皿が数個に、ガラスの水差しやナプキンなどが置いてある。

恐らく食事だろう。


「わ……っ」


 近寄り蓋を開ければ、中ではステーキと付け合わせが丁寧に盛り付けられており、焼けた肉の食欲をそそる匂いが広がった。

調理してからそれほど時間は経っていないようで、表面は焼き目がつきつつも瑞々しく煌めいている。

さらにかなり肉厚であり、相当な食べ応えがありそうだ。


 自然と食欲が激しく湧き出し、そういえばここに来てから何も食べていなかったことを思い出す。

何か盛られているのではないかと一瞬考えるが、空腹には勝てなかった。

それに、冷めてしまってはせっかくの食材が台無しだ。




 そうして彼は出されたもの全てを平らげると、いくらか食休みを取ってから、落ち着きのある白を基調とした場所へ向かう。

相変わらず多少星華の匂いがして、気を悪くしつつもやはり全身が疼いてしまうが、しかし赤い区画ほどでないのは幸いだった。

予想通りあまりに快適なベッドへ横になる。

すると、地下室はまた薄暗さを取り戻す。

温かいシャワーを浴びて、腹も満たして少しリラックスできたからか、眠りにつくまでは早かった。







 少しの後、再度起床した宗介は、ベッドの端に腰かけて人が来るのをただ待っていた。

この空間は時間感覚を狂わせ、また退屈で不安を助長させるためか、暇を潰すようなものは無い。

あるものといえば大量の性具とローションぐらいだ。

だがどちらも今の彼には全く要らないもので、むしろ一日目のことを思い起こさせるだけの不快なものという印象だった。


「ん……」


 そうやってどれほど経っただろうか。

やがて空調の音だけが響く地下室内に、他の機械の音が聞こえてくる。

見ればどうやら、エレベーターが下りてきていた。

二日目が始まるのだと、心と身体を引き締める。


「ふぅ……」


 そして鳴る音が再び一つとなると、唯一の出入り口から星華が、昨日見たメイド三人を伴って顔を出す。


「あ♡♡♡おはよ~宗介くん♡♡♡」


「なっ……」


 彼女はすぐさま宗介を見つけるとこちらへ向き直る。

当然のように、服も何も身に着けていない裸体を晒しながら。

あられもない姿だというのに恥ずかしげもなく、朗らかだがやや低く粘着質な声で挨拶されると、ぎょっとしてしまった。

そのまま近づいてこられれば、逃げ出してしまいたくなる。

だが、何をしてくるのか警戒するために視線は逸らさないでおく。


「昨日はよく眠れたみたいだねぇ♡♡♡」


「うっ……♡」


 すると、歩行の度揺れるカラダを嫌でも見なければならなかった。


 中でも激しく振動しているのは、下着によって一切支えられず、また押さえつけられてもいない美しい白さの乳房だ。

その巨大さからか多少垂れてはいるものの、ハリや軟度は昨日も味わった通り相当で、いちいち上下に弾む。

また双丘は互いに打ち合って、くっついたり離れたりを繰り返し続ける。

深く吸い込まれそうな谷間ができたかと思えば、柔らかそうに左右へ開いていく姿は、まるで何かを挟もうと誘惑しているみたいだった。


 しかも星華に似つかわしくない桃色の勃起しきった乳首が、大きく弧を描くように様々な方向へ暴れて目を奪う。

胸全体がただでさえ男性として欲情してしまう場所なのに、滑らかな肌の中やたら目立ち、加えてひどく淫靡な突起まで付いていると、視界に入っているだけで下半身が一気に熱を増していった。


「っ……」


 咄嗟に足先へと目線を移す。

しかし、たっぷりと肉付いた太もも、その間に鎮座する栗の皮のような色をした金玉袋が、代わりとでも言いたげに動いていた。


 特に睾丸は後ろから押されて、自らの重さで伸びてしまったのだろう袋へサイズと形状をありありと浮き出させる。

やや縦長の楕円形で、それぞれ小さめのスマートフォンほどは長いだろうか。

平均的なモノよりも三、四倍は少なく見積もったとしても大きく、相応に精力も強いことが予想できた。

おまけに、両玉が交互に浮き出してできる深い溝がどこか卑猥だ。


「うわ……」


 そして、そんな人並外れた生殖器と対になる猛ったチンポ。

一日目に散々鑑賞させられていたが、こちらも同様に嘘かと思ってしまうほど巨大だった。

というか、前日よりも少し肥大化した印象すら受けてしまう。


 黒々とした竿表面にはいくつもの血管がとぐろを巻き、悪魔の角めいた段々を作っている。

とはいえ先細りしているわけではなく、むしろその逆だ。

根本よりも中腹辺りが、山のように出っ張る尿道のせいでやたら太く感じる。

濡れていないというのに鈍い光沢まであり、煌々とした輝きが相まってあまりに妖しい。


 また亀頭はそれ以上に太い。

本来挿入しやすくするため先端ぐらいは多少尖っていた方が良いはずなのに、何かを突き潰すためか付け根と同じほどだ。

そこから一気に広がり、カリに至ってはまるで「引っ掛ける」事を想定していた。

恐らく指では届かない性感帯を虐め抜き、嬲り、メスを快楽によって破壊するために。


「宗介く~ん♡♡♡私のカラダ見過ぎだって♡♡♡……まぁ、そんなに見たいならいくらでも見ていいけど♡♡♡」


「なっ……見ませんっ!」


「なんならオナニーしちゃってもいいよ?♡♡♡ぐひひっ♡♡♡」


「しないです……そんなこと……」


 気づけば星華は近くまで来ていて、周囲に漂うオス臭い匂いが濃くなった。

相変わらずの下品な言動で思わず頭に血が上ってしまうが、すぐ平静を取り戻す。

一見ただのセクハラオヤジじみた言葉は、心を乱すためのものなのだ。

もちろん趣味も入っているのかもしれないが、良いことなど何もないためまともに取り合わないよう努める。


「ふぅ~ん?♡♡♡それにしてはすごくエロい視線だった気がするけどな~?♡♡♡」


「……」


「まぁいいや♡♡♡じゃあ早速、今日の調教……♡♡♡始めていこうか♡♡♡」


「……はい」


 そうして無視を決め込むと、二日目の開始を告げる言葉と共に笑いかけられる。

彼女の笑顔は、相も変わらず不快なままだった。

やや細い目尻の上がりきった釣り目、ニタニタと歪むふくよかな唇は、ドロドロの汚い欲望をよく表している。


 一瞬目を合わせるが、直視したくなくてすぐ逸らす。

すると見えた後ろに控えるメイドは、昨日と違い何かを手に持っていた。







「っ……なんで僕がこんな……」


「ぐふっ♡♡♡似合ってるよ~宗介くん♡♡♡いや、宗介ちゃんって呼んだ方が良いかな?♡♡♡」


 念入りに浣腸が行われた後、赤い壁の区画に置かれた大きな全身鏡の前で、宗介は立たされている。

だが先ほどまでとは違い、おかしな服らしきものを着せられていた。


 それは、広く捉えてしまえばビキニだ。

しかし、あくまで広く捉えた場合であり、本来の秘部を覆うという用途は微塵も感じられない。

なぜなら上は、眼帯みたくゴム紐がついた、殆ど乳輪だけしか隠さない正方形の小さな布だからである。

そのため胸の中でもっとも人に見せてはいけない場所は、布を押し上げて強調さえされてしまっていた。

媚香によって強制的に勃起させられているのも相まって。


 そして下はと言えば、あっさりと男性器がはみ出すサイズの小ささだ。

もし女性が着用すればかろうじて女性器は見えなくなったのだろうが、男性である彼ではそうならない。

金玉でさえ、布から左右にこぼれている。

加えて後ろはTバックさながらに細くて、尻の谷間へと食い込むのが気になった。


 また、そうして一応は水着と言う体裁であるにも関わらず、脚には純白のニーハイソックスまで履かされている。

そのせいで彼が着せられた物の意味は、「ただただ性欲を煽るためだけのコスプレ」でしかなかった。

こんなものを選んだ星華の趣味の悪さに、吐き気すら催しそうになる。


「ふ~っ♡♡♡こんなの見せられたら興奮しちゃうよ♡♡♡あ~金玉煮え滾ってきた……♡♡♡」


「っ……」


 そんな彼女は、興奮した様子で後ろから抱き着き、腹へ腕を回してきた。

しかも、一切遠慮のないきつさで。


 すると素肌もそうだが特に巨乳が、肩甲骨の少し下へ密着し感触が再び味わわされる。

ぎゅっと抱擁しているのもあってか、一日目より相当柔らかい気がした。

まるでマシュマロのようで、弾力も申し分ない。

それが潰れてしまって大きく広がり、背中の半分くらいに乳肌がくっついていた。

表面がひどく滑らかなのと相まって、当たっているだけでも気持ちいい。

呼吸による僅かな身じろぎで擦れると、羽か何かで愛撫されているのかと少し思ってしまう。


 さらに乳頭は相反する硬さで、それと比べるとややこそばゆく刺激してくる。

脳裏に蘇ったあのいやらしい突起からされていると考えてしまえば、節操無くも身体は火照った。


「昨日も思ってたけど、宗介くんのお尻柔らかいね~♡♡♡こうやってチンポで味わってると、何回も腰打ち付けて、いっぱい音鳴らしたくなっちゃうよ♡♡♡」


「ひっ……気持ち悪い、です……」


「ぐひひっ♡♡♡そんなこと言いながらお尻ぴくぴく動いてるけどな~♡♡♡」


「……」


 加えてチンポは宗介の尻たぶの間に、我が物顔で無理やり侵入している。

熱く蠢き、垂れた我慢汁で濡れているのが気色悪くてどうにか触れないようにするが、そんな抵抗を星華は自分勝手に解釈した。

反応するのさえ嫌で無視するが、苛立ちで内心は掻き乱されていく。

結果全身は、鼻先まで届いた青臭い香りもあってより熱を増す。


「じゃあ、このままいっぱいぴくぴくさせちゃおうかな♡♡♡……春乃ちゃん♡♡♡」


「はい」


 彼女はそれを尻目にメイドを呼ぶと、伸ばした右手に白い半透明のゴム手袋をつけさせ、その上からローションを塗らせていった。

春乃と呼ばれた長身で怜悧な女性は、自分の手が汚れるのも厭わず念入りに主人の指へ潤滑液を伸ばし、馴染ませていく。

健気とすら言える手つきによって、すぐ粘り気の強い音が周囲に鳴り始める。


「星華様」


「うん♡♡♡……じゃあ宗介くん♡♡♡このぬるぬるの指でお尻弄ってくから、脚開いてね♡♡♡」


「っ……」


 やがて手袋が光沢まみれになると、春乃は下がった。

そして星華が宗介の身体からひょっこりと顔を出し、相変わらずのにやけ面で鏡越しに目を合わせながら言う。

愉しげにだらしなく緩んだ口元は反抗心を猛らせるが、言われた事には従わされる。

背後に控えるメイドたちの冷たい視線が、逆らうことを許さなかったからだ。


「ぐふふ♡♡♡えらいよぉ♡♡♡それじゃ早速……♡♡♡」


「……んっ♡」


 するとわきわきと触手のように動く手は、真っすぐに脚の間へ向かい、マイクロビキニをずらし、尻穴へ指を挿入してきた。

直立しているため締まるはずで、昨日まで処女だった括約筋は、意外なほどあっさりと異物を受け容れる。

秘所を外側から勝手に拡げられる感覚は、メスの快楽も少しもたらした。

全身には緊張と、仄かな期待が芽生えていく。


「……♡」


「昨日の今日できつきつになってないか心配だったけど、ちゃんと解れてるねぇ♡♡♡もしかしてあの後、お尻弄ったりしたのかな?♡♡♡」


「そんなことはっ……ふぅっ……♡」


 そのまま具合を確かめるように何度か抽送が繰り返される。

ずっと嗅がされ続けていた媚毒が効いているのだろうが、存外に身体は鋭敏だ。

肛門の内側を擦られているのがやけにはっきり分かる。

結果ただ「出す」ためにある場所を弄られて不快なはずなのに、思わず息遣いは甘くなってしまった。


「それじゃここは……♡♡♡」


「ふあっ……♡♡」


 そんな折、星華は不意打ちのようにより奥へ手を侵入させ、まるで位置が分かっているかのように前立腺を少し強く圧迫してくる。

瞬間明らかに喘ぎととれる声が出た。

加えて脳内に、そこを愛撫され続けると起こるメスイキが思い起こされていく。

これまで忘れようとしていたのに、ありありと。

記憶は、肉体を再び悦びへ従順にしていく。


「ぐひひっ♡♡♡こっちもちゃんと敏感みたいだね♡♡♡」


「あっ……♡♡んぅっ……♡♡」


 そして責めは一度で終わらず、何度も何度もなされる。

その度に、後ろから抱き着かれており動きづらいというのに身体や、特に腰が跳ねてしまうが、やはり逃げることは叶わない。

指先は、的確に執拗にずっと淫核を捏ね繰り回す。


「あれ♡♡♡もう気持ちいいのに夢中になっちゃったかな?♡♡♡」


「ちがいっ……♡♡ますっ……♡♡」


 そうして早くも余裕が無くなっていく中、背後からはそんな無抵抗な姿をあざ笑うようになじられる。

黙っていられなくて、咄嗟に反論をした。


「でもさっきからえっちな声、止まってないよ?♡♡♡」


「そんなことはっ……ふあぁっ♡♡♡」


「それにほら、ぐりぐりされたらそんな大きく喘いじゃって……♡♡♡今の宗介くん、どこからどう見ても悦んでるけどな?♡♡♡私にお尻虐められて、さ……♡♡♡」


「んっ……♡♡♡うぁっ……♡♡」


 しかし、咎めるようにひときわ強く前立腺が潰され、均すように押し込まれると、あまりにも容易く悩ましい嬌声を上げさせられる。

全身もいやらしいダンスでも踊るみたくうねってしまう。

さらに事実を突きつける低い囁きが、何故か背筋に官能を走らせた。

まるで、やることなすことを抑え付けられるのが嬉しいみたいに。


「やっぱりスケベな恰好させられて興奮しちゃってるのかな?♡♡♡ぐひひっ♡♡♡宗介くんも私と同じ気持ちみたいで嬉しいよ♡♡♡」


「勝手なっ……♡♡ことっ……♡♡」


「こういうコスプレはいっぱい置いてあるからさ♡♡♡メイドになったらたくさんコスプレえっちしようね?♡♡♡あ~♡♡♡今から興奮してきたよ……♡♡♡」


「ふぁっ……♡♡」


 続く曲解も同様に、陰部の疼きを強めていく。

嫌で仕方なかったはずの言葉は肉体へと染み込み、耐えがたい淫靡な熱へと変わる。


 そうして心が少しだけ、快楽を受け入れそうになった瞬間だった。


「そうだ♡♡♡もし気持ちよくて立ってられなそうなら、座ったままシよっか?♡♡♡」


「なっ……」


 不躾に、屈辱的な提案がなされる。

敵と言っていい星華からの、情けともとれる申し出はただただ不快だ。


「大丈夫です――ふぅっ……♡」


「ふぅ~ん……♡♡♡」


 一気に湧き出してきた怒りのまま、拒否を選択する。


「それじゃあ、後から座らせてって言うのも、立ってられなくなっちゃうのも無しだよ?♡♡♡だってそんなことしたら、私に触られて気持ちいいって言ってるようなものだもん♡♡♡」


「っ……」


 だが、それは罠だった。

敏感な全身は今でさえ膝が笑いそうで、最後にはどうなってしまうか分かるはずなのに、自分で自分を追い詰めてしまう。


「だからこれから頑張って耐えてね?♡♡♡もし耐えられなかったら、そのときはいっぱいからかってあげる♡♡♡……まぁでも、私に虐められて悦ぶ宗介くんにはご褒美になっちゃうかな?♡♡♡」


「ちがいますっ……」


 とはいえ、前言撤回することは昂った感情が許さない。

しかも今更座ろうとしたところで、また違った揶揄が行われるのは明白だった。

であれば、自らの発言と行動を一貫させた方がまだ内心は穏やかになるだろう。

それに星華の下品な戯言など、気にも留めず無視してしまえばいいのだ。


「ぐひひっ♡♡♡じゃあお尻だけじゃなくて、身体も触ってくよ~♡♡♡」


「ひぁっ……♡♡」


 そうして新たに決意する宗介の首筋へ、彼女の滑らかな五指がむず痒く這った。

触れなそうで触れる愛撫に、背筋がぞわついて引き攣る。

一日目で、そこは我慢汁によっていくらか濡らされていたからか、どこか避けたくなるような心地でありつつも想像以上に気持ちいい。

身体全体へ鳥肌が立ち、刺激に対して鋭くなっていく。


「ふぅっ……♡♡あっ……♡♡はぁっ……♡♡」


「あれ、もうカラダガクガクしてるよ?♡♡♡ほらほら♡♡♡座っちゃわないように頑張って?♡♡♡」


 さらに繰り返されると、前立腺からの快楽と相まってどうにも手足が脱力した。

まだまだ立っていられないほどではないが、かといって一度でも崩れてしまえば恐らく終わりだ。

度々体勢に深く集中しなければならない。

ただそんな集中は、必要なタイミングを見透かしたようなフェザータッチによって容易く乱される。

手つきはあまりに悪辣で、何度か後ろから抱き着く星華に一瞬だが体重を委ねてしまう。


「ん~♡♡♡そんなお尻押し付けられるとチンポもっとイライラしちゃうなぁ……♡♡♡もしかして誘ってるのかな?♡♡♡」


「……っ♡♡」


「も~♡♡♡言ってくれればいくらでも抱いてあげるよ?♡♡♡」


「そんなわけっ……♡♡ないじゃないですかっ……♡♡んぅっ♡♡」


 するとチンポを挟む臀部は、図らずとも尻コキをしているようなものだった。

そのせいか我慢汁はやや多く分泌されており、背中から谷間だけでなく、あまつさえ肛門にまで垂れ、塗りつけられている。

熱を持った粘液はローションと合流したらしく、音をよりいやらしいものにしていく。

ともすれば、興奮しすぎて濡れそぼったはしたない女性器みたいに。


 また、下卑た問いかけをする声は、呆れながらもやたらと嬉しそうだ。


「遠慮しなくていいのに♡♡♡宗介くんも細い指より、太くて硬くて長いチンポの方が好みでしょ?♡♡♡ほら、これがお尻に入っちゃうとこ、想像してみてよ……♡♡♡」


「しませんっ……♡♡」


「え~♡♡♡百合ちゃんも、あのクールな春乃ちゃんも、何十人といるメイドたちもみ~んなコレで堕としたんだよ?♡♡♡相当気持ちいいと思うけどな~♡♡♡他のことどうでもよくなっちゃうぐらいに……♡♡♡」


「うぁっ……♡♡」


 そのまま星華は軽く腰を動かし、肉棒の感触を味わわせてくる。

言われた通りに想像することはこらえられても、表面の凹凸や滑らかさ、温度や硬度ははっきり伝わってきた。

明らかに体内より熱く、鉄より硬そうなほどのチンポのディテールが。

さらに、苛立っているような強い脈動までも。


 もしそんな一般的なモノとの差異に比例して激しく大きな快楽を与えられるとすれば、誰だって持ち主である彼女の虜となってしまうのだろう。

例え、同じ性別の生殖器だとしても。

なぜだか「ふたなりチンポ」には、そんな説得力があった。

そして、どうしてかその事実に、アナルはきゅんと疼く。


「ぐひっ♡♡♡お尻反応したよ?♡♡♡ちょっと期待しちゃったのかな?♡♡♡」


「うっ……♡♡」


 当然、反応は見逃されない。


「じゃあちゃ~んと後でチンポあげるからね♡♡♡濃ゆ~い精液も合わせて、宗介くんが満足してくれるまでたっぷりと……♡♡♡」


「そんなのっ……♡♡」


「まぁでもその前に、一回イっちゃおっか♡♡♡次は……♡♡♡」


「んぅっ……♡♡」


 そのまま追い詰めるように、首を責めていた指が肌をなぞりながら身体の下へと降りていく。

今乳輪を、乳首を愛撫されたら、きっと簡単に絶頂させられてしまう気がする。


「えっ……♡♡」


「ここを弄ってあげるね♡♡♡」


 だが宗介の思いに反して胸は迂回され、到達したのはへそだった。

期待していたわけではないはずだが、予想と違う場所に来られると驚く。

また、突起に多少寂しさを覚えてしまったのが悔しい。


「あれ、乳首弄られると思っちゃった?♡♡♡ごめんねぇ♡♡♡でも、ここもすっごく敏感になってると思うよ?♡♡♡」


「なっ……ふぁっ♡♡」


 とはいえ穴の周囲に円を描くみたく、中指でくすぐるように擦られると、言われた通り気持ちよかった。

先ほどと同じような、ぞわついた心地が全身へ迸っていく。

ただ興奮はその時より強まっているのか、快楽が濃密だ。

尻穴責めと相まって、ゆっくりと確実に絶頂へ昇っていくのが分かる。


「ぐひひっ♡♡♡なぞられるだけでも気持ちいいでしょ?♡♡♡昨日たっぷり我慢汁塗ってあげたからねぇ……♡♡♡」


「っ……♡♡あぁぁっ……♡♡」


「ちなみに、私の精液はもっと凄いんだ♡♡♡中出ししてあげたら最後、ちょっとでも触られたらイくザコマンコになっちゃうんだよね♡♡♡もちろん女の子も、男の子も♡♡♡」


「ひっ……♡♡」


 先走りだけでそこまで感度が高まっているのだから、元々の粘液がより強い効果を持つのは必定だった。

一体どれほど気持ちよくなれてしまうのか、と劣情で占められつつある頭が少し考えてしまう。

だが一日目味わったメスイキでさえ射精より数段上だったのだから、もはやどうなるのかあまり想像がつかない。

とはいえメイドたちの従順さからして、やはり価値観を壊してしまうものではあるのだろう。


「宗介くんも、そうなってみたくないかな?♡♡♡」


「嫌っ、ですっ……♡♡」


「ふぅ~ん?♡♡♡」


 宗介はやや恐怖を覚え、誘惑する星華の言葉をはっきりと否定する。

肉の悦びに支配され、愛する両親や友人たちに何も感じなくなるなど、絶対に嫌だった。


 そんなもの、自分ではない。

ともすれば、人間だと言えるかどうかすらも怪しいと感じる。


 確かに愛撫されて身体は反応してしまうものの、彼はそう心から思っていた。


「じゃあそんな強情な宗介くんには、メスイキするのがどれだけ気持ちいいか、また味わってもらおうかな♡♡♡」


「ひぁっ……♡♡」


 すると、へそを責めていた手が上へ上へと移動し眼帯ビキニ内へ潜り込み、左の乳輪を二本指で軽く掃く。

そこは一度蔑ろにされたことで触られることをすっかり待ち望んでおり、ぞわつきと共に感動的な甘みを生んだ。


「んあぁっ♡♡♡」


「ぐひひっ♡♡♡」


 そしてそのまま突起を摘ままれ、優しく潰されると、濃厚で重たい法悦が襲う。

自然と口からは大きくいやらしい喘ぎ声が出て、全身は小刻みな痙攣を繰り返す。


 同様にアナルもひくついて、まるでねだるように指をきつく抱きしめていた。

あまり大したことをされてはいないというのに、もう立っているだけでやっとだ。


「まだ摘まんだだけだよ?♡♡♡このままこりこりしちゃったらどうなるのかな?♡♡♡」


「やめっ……♡♡♡」


「ほら、下と一緒にしてあげる……♡♡♡」


「ふあぁっ♡♡♡」


 だというのに、すぐさま追撃がなされた。

乳首は糸を撚り合わせるみたく捏ねられ、前立腺は数秒かけて念入りに押し込まれる。

どちらも力強いようでしかしごく繊細な動きをしており、過度な摩擦による痛みなどは全く無い。

与えられる嬉しいほどの純粋な気持ちよさに、無意識で何度か、星華の柔らかな腕へ体重をかけてしまった。

もはや肉体は殆ど言うことを聞かず、ただ快感の受容体として機能するだけ。


 そうなってしまえばもう、絶頂を耐えることなどできない。

素早く確実に、嫌悪する相手の手で強制的に昇りつめさせられていく。


「そうだ、宗介くん♡♡♡」


「ひぁっ♡♡♡ふぇっ……?♡♡♡」


 すると唐突に、名前を呼ばれた。


「もしイく時立ってられなくなっちゃったら、私に体重かけてもいいよ♡♡♡」


「なっ……んふぅっ♡♡♡」


「こう見えても力には自信があってね♡♡♡君一人を支えるぐらい大したことじゃないんだ♡♡♡」


「っ♡♡♡はぁっ♡♡♡」


 続く言葉は、やがて立っていられなくなることを確信しているようで屈辱的だ。

だが実際の所身体は気怠さをどんどん増しており、いずれそうなることは明白だった。


 また、体重をかけてもいいということも嘘ではないのだろう。

先ほどから数回、不規則なタイミングで脱力が起こっているにも関わらず、彼女はまるでバランスを崩していない。

体格的にはほぼ大人と変わらない彼を、身一つで支えきっている。


 それは、立っていられなくなって地面にどこかを打ち付けてしまう心配もなく、アクメに心から集中できるということだった。

憂いの無い法悦に対する期待で、忍耐は一瞬緩む。


「だからさ♡♡♡」


「あっ……♡♡♡あぁっ♡♡♡」


 当然星華は、そんな隙を見逃さない。

愛撫を先ほどまでより早め、一気に二つの弱点を虐め抜く。

我慢や抵抗など、決してさせないとばかりに。

自らが強いオスとして、どれほど簡単にメスを悦ばせられるか、見せつけるように。

ふと鼻先に香ってきた我慢汁の匂いは、そのことを裏付けるように強い。


「イきなさい……♡♡♡」


「だめだっ♡♡♡これっ♡♡♡っぁ――♡♡♡♡♡」


 そうして激しい責め手に晒された後、彼女に低く囁かれた瞬間、宗介は一度我に返ったものの、その時にはもう手遅れだった。

下腹部で溜めこまれていた濃厚で淫猥な快楽が張り詰め、肉体を覆わんばかりに大爆発を起こす。


 感じるのは絶大な幸せと肉体の重みだ。

そのせいで、幸福の水の中へ沈んでいくような錯覚に陥る。

しかも肉肉しい肢体に抱えられ、むにむにと甘い心地で癒されながら。

また、穴の近くで逞しくて頼もしさすら覚える棒も感じつつ。


 ただただ気持ちいい中で、彼の心の中には「嬉しい」だけしかない。

強烈な官能は、それ以外にもやをかけ見えなくしていた。


「はっ……♡♡♡はっ……♡♡♡」


 だがやがて絶頂が終わりを告げ始めると、メスイキすることに対しての危機感が蘇ってくる。

他にも星華への拒否感や、反抗心といったものも。

するとやや余韻を残しながらも、幸福は消えていく。

少し不快な寂しさを残して。


「っ……♡♡」


 そして気づけば身体は、完全に彼女へ委ねられていた。

言われた通りになってしまったことが恥ずかしくて悔しくて、すぐさま自らの力で立ち上がる。


「ぐひひっ♡♡♡立ってるんじゃなかったの?♡♡♡私に体重ぜ~んぶ預けちゃってたけど♡♡♡」


「それはっ……」


 しかしだからといって、意地の悪い揶揄は免れなかった。

やたら煽るようなわざとらしい声色が、背後から聞こえてくる。

煩いと思うものの立っていられなかったことは事実で、かなり恥ずかしい。

複雑な感情で、心が搔き乱される。


「まぁでもそれだけ気持ちよくなってくれたってことだよね♡♡♡私の手で……♡♡♡私の、乳首弄りと、前立腺イジメで……♡♡♡」


「なっ……♡♡」


「いや~これから愉しみだなぁ♡♡♡宗介くんがどんな風にえっちな所を見せてくれるか♡♡♡考えるだけでチンポもっと勃起しちゃうよ♡♡♡」


「うっ……♡♡」


 さらに今回に限っては、厭らしく下卑た言動も多少的を射たものだった。

星華の手で大いに喘がされ、絶頂させられたのは実際に起こったことで、今後より身体が開発されていくのも恐らく間違いない。

そのため言い返せないのが悔しく、そんな完全な敗北ととれる出来事は彼の自尊心を傷つけていく。


「じゃ、やっぱり立ちっぱなしは辛いみたいだからベッド行こっか♡♡♡」


「……はい」


 優しげな声でなされる彼女の追い討ちは、いやに的確だった。







「うぁ……♡♡」


 ベッド上で四つん這いにさせられた宗介の尻穴へ、そこへ蓋をしつつも先端で前立腺を苛むような形状の異物、ステンレス製のアナルプラグがメイドの手によって挿入されていく。

少し尖った雫型の先っぽは、太い部分で軽く括約筋を責めるとやがてナカに入りきる。

やや異物感があるものの、先端と蓋になる部分の間にある細い箇所のせいか収まりは良く、指の時よりも多少楽だ。

ただ、肛門が犯されることに慣れてきている自分は少し嫌だった。


「よし♡♡♡じゃあここに座ってね♡♡♡」


「はい……んっ♡♡」


 そんな彼を、ベッドから少しだけ離れたところで床に立つ星華が呼ぶ。

マットレスのへりにある、ローションなどで汚れてしまわないようにかバスタオルが重ねて敷かれた場所を指さされていた。


 言われたことに従い、そこへ椅子に座るみたく腰かける。

移動や着席をすれば、体内のモノが少し括約筋に動かされて弱点を捏ね、少し声が出てしまった。

背筋を伸ばし直すと、彼女のへそが目線と同じぐらいの高さになる。


「ぐひひっ♡♡♡それじゃさっきも言ったけど、あつ~いフェラ、よろしくね♡♡♡」


「うわ……」


 そうして準備が終わると目の前に差し出される、ぐっしょりと濡れそぼり、期待感を露わにしているやや上向いた巨大な亀頭。

半透明な我慢汁でコーティングされた紫紺の表面は、やたらに光を反射して過剰なまでに艶めいている。

真っ白な光沢と色素が沈着した肉色の対比は、もはや人間の生殖器だとは思えない。

「銀沢星華」という名前の怪物が持っている、人を快楽で破壊する凶器かのようだ。

きのこそのもののように開いたカリから幾筋もよだれを垂らしているせいで、なおさらそう感じさせられる。


 加えて匂いもあまりに強烈だった。

乾いた我慢汁が出す鼻を刺す性臭だけでなく、イカに似た精液の香りも混ざっている。

しかも一般的なそれを数倍、あるいは数十倍に煮詰めたような濃さだ。

本来であれば劇物同様に顔を背けたくなるほどだが、しかしどこか惹かれてしまうのが恐ろしい。

油断すると、自ら率先して嗅ごうとしてしまう。


 ただ正直なところ、そんな誘引作用があっても舐めしゃぶるのは気が引けた。

あまりにも他人の体液に塗れすぎているし、何より男性器であり排泄器官だ。

そもそも口にするようなものではない。


「ほら早く♡♡♡嫌なら無理やりしゃぶらせちゃうよ?♡♡♡」


「わかりました……」


 だが、それは許されない。

星華の太すぎるチンポはもし無理矢理口へ挿入されれば、身体が傷つけられてしまうことは容易に想像できた。

少し身を乗り出し、裏筋へと舌を伸ばしていく。


「んぇ……っ♡♡」


 やがて当たった瞬間、まず伝わってきたのは熱さだ。

口内粘膜よりもソレはずっと火照っており、ともすれば火傷させられそうな気さえする。

また絶えず震えているのもあって、印象はさながら棒状の化け物だった。

やはり、人の生殖器であるとは到底思えない。

これまで何度も磨かれ抜いたのか、やけに表面が滑らかななのもあって猶更だ。


「っ……♡♡」


 遅れてベロへ汁が粘着質に伝い、味蕾が反応する。

感じるのは濃厚な苦みと仄かな塩気、それと甘みだった。

これまで食べたどんなものとも違う味は、太マラの異質さをより引き立てる。

やたら複雑で好みが分かれそうなのに、なぜだか拒否感が無く受け入れられてしまうのも相まって。


「あれ?♡♡♡おいしすぎて止まっちゃったかな?♡♡♡」


「ちがいまふっ……んぇっ♡♡」


「ぐひひっ♡♡♡そうそう、上手いよ♡♡♡」


 そうして驚き止まっていると相変わらずの身勝手な解釈をされ、反論するように何度も下から上へと舐め上げていく。

絶えずぴちゃぴちゃと鳴る音は、犬や猫がミルクを舐める時のようだった。

反抗としてはあまりに彼女を悦ばせてしまうが、他にできることも無いため仕方ない。


 繰り返せば亀頭は唾液によっても濡れていく。

ただ持ち主が相当興奮しているのか、穢れた液体の分泌速度と量はかなり早く、どれだけ拭き取っても無くなることはない。

というか責めれば責めるほど、汚れはむしろひどくなっていくばかりだ。


 故に宗介の肉体を変えた原因たる媚香も消えず、常に嗅がされ続けた。

肉体の発情は、収まることなくただただ強くなっていく。


「あ、そうだ♡♡♡我慢汁はちゃんと飲んでね♡♡♡それがフェラする人の礼儀ってもんだよ♡♡♡」


「なっ……」


 そこへ、得意げに新しい命令をしてくる星華。

見上げればその表情はひどいもので、艶めく厚い唇が両端を高く釣り上げて歪み、とにかく欲望のまま言い放った一言だという事が確信できる。

見開かれたどこか暗い目も相まって品など一切見られず、到底「礼儀」などというものを語っていい姿ではない。

それどころか常識にかこつけて自らの浅ましい性欲を満たそうとする姿に、とにかく嫌悪の情を催した。

逆らうこともできないのがひどく悔しい。


「んっ……うぁ♡♡」


 言葉に従い、たっぷりと舌へ纏わりついたものを飲み込めば、その粘性の高さからか喉を通っていくのがやたらはっきり分かった。

まるで体内を彼女に舐られているみたいで不愉快極まり無い。


 だが、経皮での摂取や匂いだけで媚薬となり、未開発の前立腺を性感帯へと変えさせる強力な物質だ。

吸収効率のいい体内へと取り入れれば当然、全身がすぐさま熱を増す。

乳首やへそも寂しく疼き、そして、尻穴がひくつく。


 すると挿入されているアナルプラグは蠢いてGスポットを潰した。

結果ただチンポを舐めているだけにも関わらず喘ぎ、身体をくねらせてしまう。


「あれ、フェラしてるだけで感じちゃった?♡♡♡宗介くんはスケベだなぁ~♡♡♡ぐふふっ♡♡♡」


「っ……♡♡そんなことはっ……」


「否定しなくていいって♡♡♡私はスケベなメスの方が好きだからね♡♡♡今の宗介くんみたいに、私に奉仕してるだけで気持ちよくなっちゃうスケベなメスの方が……♡♡♡」


 もちろんそんな反応はすぐさま揶揄された。

これほどまで肉体が変化させられているという事実だけでも嫌なのに、それをより辱められては苛立ちが募る。


「ふっ……ん……んむ……」


「んっ♡♡♡あれ、急に積極的になっちゃって♡♡♡もしかして、今私が言った通りにしようとしてる?♡♡♡ぐひっ♡♡♡嬉しいなぁ♡♡♡」


 宗介はそのため、とにかくこの時間が早く終わるよう、また、他のことを考えないようフェラチオへ集中することにした。

媚毒を大量に飲むことにはなるものの、感情を搔き乱されるよりはマシだと判断したのだ。

先ほどまでより舌の動きを速め、裏筋以外も愛撫していく。


「んぇ~……」


 まず手始めに斜め上向きの鈴口へ先端を往復させる。

やはり汁が出てくる場所であるからか、味は裏筋より少し濃い。


 さらに唇みたくほんのり盛り上がったそこは、気持ちよさそうに開閉を繰り返し、新鮮なものを脈動の度吐き出した。

やや勢いのいい放出は愛撫に合わせて汁を弾けさせ、もしくは粘膜や時折顔にもぶっかけていく。

液体は当然重力に従ってベロを伝い、口内へとかなりの量が入り込んでくる。

下あごは、すぐ粘々のひたひたになった。

少し溢れ出したものが唇から顎、首筋から胸、腹と極めてゆっくり滴る。


「んくっ……♡んぅっ……♡♡ふーっ♡♡」


 やがて先ほどの言いつけ通り少しずつ飲み込み始めるが、胃へと流れていく感覚はひどく熱い。

しかも回数を重ねるごとに開発されていくのか、多少気持ちよくなってくる。

思わず呼吸が荒くなり、いくらか時間がかかってしまう。


「はーっ♡♡うぁ……♡♡♡」


 そうしてすべてを嚥下し終える頃には、口腔粘膜へ匂いが移ってしまっていた。

鼻から入ってくるオス臭い匂いと、口から外へ抜けていくオス臭い匂いで、常に全身が苛まれ続ける。

奉仕し、快楽を与えているのは彼であるはずなのに、むしろ彼自身の快楽も興奮も高まっていくばかりだ。

すると肉体は、持ち主も堕落へと誘いながら少しずつチンポを求めだす。


「ふぅっ……♡♡んれ……♡♡」


 そのことに危険を感じて媚毒の多い鈴口は避け、竿を持って全体を軽く押し下げると、次は他と比べればあまり濡れていない亀頭の天面を責める。


 思った通り、確かにそこは多少ぬるつきが弱い。

味も薄めで、飲まなければいけないものも少なかった。


 ただ決して全く無いわけではなく、先ほどたっぷり汁が纏わりついたのもあって舌は敏感に震える。

再び味わえるのだと悦んでいるかのようだ。

悩ましい官能が、全身を駆け抜けていく。

肉棒の妖しい誘惑は、留まることを知らない。


「んぁ……♡♡」


 さらに、反って天井へと出っ張り、視界を少し覆うカリが目に入るのも厄介だ。

淫猥すぎるカタチと見た目は発情した頭へ、嫌でも性行為を想起させる。

きっとナカへ挿入されればあのエラで前立腺を捉え、星華の器用な指さながらに嬲りぬくのだろう。

太い幹で腸壁全体も犯し、自分専用へと均しながら。


「っ……♡♡」


 そうやって、心を乱されないようフェラチオに集中していると、自然にふたなりチンポのことも考えてしまう事に気づく。

明らかに危うい兆候だが、しかし他に手が無いのも事実だった。

星華の言葉を聞くのは嫌で、かといってやめることも許されない。

じわじわと追いつめられていくのを、ただどうにか耐えるしかないのだ。


「んぇ~っ……♡♡」


 そこで宗介はせめて気分を変えるため、舐める場所を断続的に変えることとした。

苦肉の策ではあるが、他に打つ手は思いつかない。


 今度は右側面へベロの側面を上下に繰り返し往復させ、磨く。

存外に味蕾と先走り液は触れ合わず、あまり味がしなかった。

とはいえ匂いは弾けて、濃密さを増す。

また動きの素早さから、粘着質な水音が周囲へは鳴り響いた。


「ふぅっ……♡♡ふぅっ……♡♡♡」


 反対側へも同じようにすると、より媚香は強まる。

結果少し動作が激しいのもあって息はやや上がっているため、それをたっぷり嗅いでしまう。

肉体はどっと火照り、やけに湿った汗が頭皮から額へ流れてくるのを感じ取れた。

加えて尻穴が反応し、体内の弱点が軽く潰され甘い快楽が襲う。


「ん……ふぁ♡♡♡」


 すぐさま彼は違う場所、カリの裏へと移動する。

しかしそこには、芳醇で複雑ないやらしすぎる味が待っていた。


 恐らくこれまで幾度もメスを抱いたせいで、「彼女ら」の淫水が粘膜深くまで染み付いてしまったらしい。

青臭いオスの味に混ざって、甘酸っぱいメスの味が味覚を強姦していく。

どちらもひどくこってりとしており、ともすれば胸やけしてしまいそうだ。

だがそんな下品な味わいは、激しく鮮烈に劣情を揺さぶる。

思わず夢中になってしまうほどに。


「んれ……♡♡ふっ……♡♡♡ぅ……♡♡♡」


 自然と、亀頭と竿の間をこそぐように舐めだす。

裏筋から丹念に、舌の先端から真ん中まで殆どあらゆる箇所を使い、一分の隙も見逃さないとでも言うみたく。

貪るという言葉通りの熱っぽさで、にちょにちょと音を鳴らしながら。


 与えられるのは、身体を芯から震わせるような悦びと興奮だ。

熱くなった空気を吐き出しながら、チンポを堪能する。

そうすればするほど理性はまずいという考えと共に掻き消え、歯止めは効かなくなった。

空っぽになっていく脳内は、代わりにソレを使用した行為への期待を膨らませていく。


 一日かけて性器となった穴を満たされるのは、どれほど気持ちがいいだろうか。

全く力の入っていない肉体で、低い喘ぎ声を溢れ出させる自分のあられもない姿が浮かぶ。

まるで余裕が無さそうで、バックの体位で後ろから貫くオスにされるがままだ。

しかし抵抗する素振りは一切見せていない。

むしろろくに動かないだろう腰を、ピストンを迎え入れるようにしてへこへこと情けなく振っている。


「ぷっ♡♡♡ふっ♡♡♡」


「ふぇ……?♡♡♡」


「ぐひひっ♡♡♡あ~宗介くん♡♡♡そこまででいいよ♡♡♡」


「へ……あっ」


 そうして恥も外聞もないデカマラしゃぶりへ集中してしまっていると、唐突に笑い声と制止が聞こえてきた。

瞬間、今自分が何をしていたのか気づく。

星華のモノへ、自ら進んで奉仕してしまっていたのだ。

彼女に従うメイドたちみたく。


「だいぶ夢中になってたねぇ♡♡♡そんなに私のチンポ、おいしかったかな?♡♡♡」


「っ……♡♡そんなわけっ……」


「でもお口に我慢汁、いっぱいついてるよ?♡♡♡唇がテカテカしててえっちだよぉ♡♡♡」


 煽るような物言いへ咄嗟に反論するものの、当然言い訳などできようはずもない。

けだもののようにデカマラへむしゃぶりついていた証拠は、たっぷりと身体についてしまっている。

呼吸をすれば、オス臭が常に入ってきた。

乳首やアナル、全身の性感帯が刺激を欲して勝手に寂しがる。


「それにほら……♡♡♡」


「ふぁっ……♡♡♡」


 それを見透かしたように、首筋の左側が優しく撫でられた。 

思わず甘く悩まし気な嬌声が出て、背中が強くぞくついて反ってしまう。


「身体もすっごくビンカンになってるよ♡♡♡そんなに興奮しちゃったんだねぇ……♡♡♡嫌いな相手のチンポ、しゃぶらされたのに……♡♡♡」


「ひぁ……♡♡♡やめっ……♡♡♡」


 そのまま右胸辺りもさすられると、力が抜けて抵抗できない。

手を伸ばし腕をどちらとも掴むものの、引きはがすことはできず添えるだけになる。

さながら、もっと触ってほしいとでもねだるような優しさでだ。

嫌なはずなのに、やめてほしいはずなのに、段々と心までも快楽に染まっていく。


「ぐふっ♡♡♡かわいいねぇ♡♡♡私もそろそろ我慢できなくなってきたよ♡♡♡」


「んっ……♡♡♡ふぅっ……♡♡♡」


 見下ろしてくる目は、愛玩動物を可愛がっているみたいだった。

ただその中に、ギトギトして脂っこく粘ついた性欲も多分に含まれている。


 無遠慮に這ってくる手同様嫌なはずだが、そうやって穢れた感情をぶつけられることにどこか興奮も覚えていく。


「それじゃ」


「あっ……」


 そんな状態で唐突に愛撫が終われば、どうにも不快感が残ってしまうのはある種当然と言えた。

悔しいのに、メスの悦びとその先にある絶頂を求めてしまう。


「そろそろえっち……♡♡♡しよっか……♡♡♡」


「っ……♡♡♡」


 そして続く言葉には、自然と息を吞んだ。

緩んだ尻穴から、体内で熱されたローションがとろりと溢れ出したのが分かる。

まるで、愛液を垂らす女性器のように。







 着ていたマイクロビキニを脱がされベッドへ仰向けに寝かせられていると、脚と脚の間へ、膝立ちからかかとに尻をつけた体勢の星華が入ってくる。


「うぁ……♡♡♡」


 彼女は宗介の右膝裏へ外側から前腕を通し、腋に抱えると、反対の手でアナルプラグを抜いていった。

蕩けきったいやらしいアナルは、僅かに抵抗しつつもするりと異物を吐き出す。

まるでソレよりずっと大きいモノを、待ち侘びているみたく。


「ぐひひっ♡♡♡宗介くんのおまんこ、とろとろだねぇ♡♡♡」


「んっ……♡♡♡」


「それじゃ、すぐチンポ入れてあげるからね♡♡♡」


「ふあっ♡♡♡」


 そんな期待へ応えるように、まだ口を閉じきっていない尻穴へすぐさま亀頭が突きつけられる。

先ほど嫌と言うほど味わった滑らかでヌメついた感触のままであることから、避妊具などはついていないことが分かった。

不愉快な相手との、粘膜同士の接触にやや悪寒が生じる。

ただ同時に肉棒が天井へ向かって反ろうとするせいで、深く括約筋へ食い込まれ仄かな快楽も襲う。


 正直なところほぼメスと化している場所で味わう生のオスチンポは、舌の時よりも劣情を激しくくすぐった。

鼓動は、言い訳できないほどに早い。


「そんなに愉しみかな?♡♡♡チンポ入れてもらえるの♡♡♡」


「……っ」


 とはいえあくまで期待などしていないことにしたくて、上から降ってくる言葉に首を振る。


 だがそれを見て、視線の先の表情はより深いものとなった。

「分かってるから」とでも思っているような、理解を示す笑みだ。

一見優しさを感じさせるが、同時に肉体を這いまわるような心地さえするひどく性的な目つきもある。

そのせいで、あまりに的外れかつ、ただ自らの考えを押し付ける勝手なものという印象にしかならない。


「素直じゃないなぁ♡♡♡ま、そういうツンデレなとこも可愛いんだけど♡♡♡」


「……」


 だというのに、呆れかえるほど自分本位な考えが続いた。

結果相当昂っていた興奮がいくらか萎え、腹が立っていく。


「じゃあ~……♡♡♡ふっ♡♡♡」


「んぁぁっ♡♡♡」


 しかし、その瞬間左脚も右脚同様腋へ抱えられ、そして唐突に先っぽが少しナカへとめり込むと、否応なしに甘ったるい喘ぎ声が出させられる。

不意打ちで急激に尻穴を拡げられたにも関わらずだ。

痛みは、そこが十二分に解れているらしく決して無い。


「ふうっ♡♡♡ひっ♡♡♡」


 そのまま星華は少しずつ前進しながら、着実にチンポを腸内へと収めていった。

敏感な肛門は著しく摩擦され続け、肉体は倒錯的な情事の悦びを生む。

しかも、カリへと向かい太くなるにつれて、常に閉じようとする括約筋の抵抗が増えるため擦れ具合も激しくなっていく。

オス性器とメス性器による絡み合いは、まるで初めての逢瀬を嬉しがるみたくあまりに熱烈だ。

まだ始まったばかりだというのに、自然と息は詰まった。


「あっ……♡♡♡あぁっ♡♡♡はいってっ……♡♡♡」


 そうして、ついには最も出っ張った箇所が引っ掛かる。

穴という穴を苛むためにあるような部位は、じわじわと、ただ決して括約筋を壊してしまわないよう少しずつ力が込められていく。

こじ開けられているというのに、やはり不快であるとは感じられない。

むしろじわじわとめり込んでいくのが気持ちよかった。


「んんんっ♡♡♡」


「ふ~♡♡♡あったかくて落ち着くなぁ♡♡♡やっぱりチンポはおまんこに入ってないとね~♡♡♡」


 さらにやがてソレは臨界点へ達すると、ようやくナカへと滑り込む。

溜めに溜められた力が解放されたことによるすれ違いは、彼女の視線みたくやたら粘着質であり、濃密なメスの幸せを受け入れる側へぶつけた。

同時にぐじゅりという音まで鳴る。


「はーっ……♡♡♡はーっ……♡♡♡」


 そうやって凄まじい体験は一度終わりを告げた。

とはいえ竿もアナルプラグなどよりずっと直径が長く、また均一ではなく歪な形だ。

結果わずかな動きや脈動が微弱な快楽となり、休むことも刺激に慣れることも許さず苛み続けてくる。


「それじゃ、もっと入れてくよぉ♡♡♡」


「んはぁっ……♡♡♡」


 しかも当然秘所への侵入は止まらない。

亀頭が、昨日ディルドによって軽く拓かれただけの腸壁を再びこじ開けていく。

さらに後から硬すぎる幹は、自分のカタチに均し、耕す。

いずれお互いが溶け合いそうなほど密着しあい、最高の快楽を得られるように。


「ぐひひっ♡♡♡」


「っ♡♡♡」


 そして当然、入口から少しすると最も弱い性感帯である前立腺がほんの軽く圧迫された。

いくらかの甘い気持ちよさが全身へと広がり、メス穴に次を予感させてくる。

思わず力を入れ、耐えるためか、あるいは集中して味わうためか、身構えてしまう。


「うぁぁっ……♡♡♡」


 そんな宗介に応じるみたく、カリへ向かって膨らむと共に潰しは著しくなっていく。

指とは比べ物にならないほど太い物体から点ではなく面で圧されると、法悦はあまりにも凄まじい。

結果肉体は脱力せずむしろ突っ張り、背筋を反らせて後頭部も枕へと押し付けさせる。

また、両肩は女性のように窄まってしまう。


「はっ……♡♡♡はっ……♡♡♡へ……?」


 だが、それは意外にもすぐ終わった。

最も出っ張った部分は一秒と経たないうちに弱点を通過し、そして戻ってこない。

ただただ、奥を目指して進んでいく。

おまけに極太の幹もあまり当たってはくれず、残るのは身を焼くような不快感だけだ。


「……♡♡♡」


「う……」


 意図が掴めなくて星華を見れば、あまりに意地の悪い顔をしている。

厚ぼったい唇は何かをこらえるように口角をひくつかせ、目に至っては外側を下げて明らかに笑っていた。

しかも反応を窺うためか、視線は刺々しさを覚えるほど鋭い。


 明らかに、この期に及んでまだ焦らされようとしていた。

わざと幸せな時間を味わわせ、それが欲しくなるように。

実際、継続されている挿入は前立腺を通過する前よりどこか物足りない。


「ふぁっ♡♡」


「ふ~♡♡♡全部入っちゃったねぇ♡♡♡」


 すると、そこからチン先が最奥へ到達するまではやたら一瞬に感じられた。

いつの間にやら尻と、星華の仄かに汗をかいてべたつき、とはいえまだ滑らかな下腹部は密着している。

また抱えられた膝の周辺がこれまた汗ばんだ、ただやはり滑らかで柔らかな巨乳とも触れ合った。


 そうして感触だけはいやらしい女体を味わわされているせいか、劣情はまるで萎えていない。

しかもそれだけでなく、体内は吐き出される我慢汁で着実に火照ってもいるのだ。

そのせいで確かに気持ちよさは強くないが、かといって決して弱いわけでもなかった。

むしろ常に少しずつだけ与えられ続けていると、時間をかけて淫乱に開発された身体がより強烈なものを求めてしまう。

無視しきってしまうことができない。


「私のチンポ気持ちいいでしょ?♡♡♡もうイっちゃいそうかな?♡♡♡ぐひっ♡♡♡」


「くっ……んっ♡♡」


 白々しい言葉に腹が立つものの、かといって本当のことを告げるわけにもいかない。

それではまるで、快楽を求めているようだからだ。

あるいは下手くそだと罵ってしまえばいいかもしれないが、それで急に愛撫を熱くされ、喘がされては元も子もない。

また手ひどい揶揄を受けてしまうだろう。


 そのため宗介はただ、彼女が行う全てに耐えるという選択を取るしかなかった。

メス殺しの肉棒で焦らすことができてしまえる、卓越した性技の持ち主を相手にして。


「それじゃ、そろそろ本格的にえっちしよっか♡♡♡あ~楽しみだなぁ♡♡♡宗介くんのおまんこ♡♡♡どんな味なんだろうね?♡♡♡」


「っ……♡♡♡」


 そうやって止まったまま数十秒ほどが経ち馴染むと、ついに星華は動きやすいようにか軽く腰を浮かせ、両腕にも力を籠めて体勢を整える。

「性器の味わい」を本人に訊ねる下品な物言いとは裏腹に、手つきからは本気度の高さが感じ取れるようだった。

脚が行為の邪魔にならないよう固く固定されている。


 思わず全身は、襲い来るかもしれない絶大なものに身構えた。


「ふぅ~っ♡♡♡」


「うぁぁっ……♡♡♡」


 待っていればやがて、チンポはゆっくりと抜けていく。

竿は中腹へ向かうにつれて太くなっていくその身と、底部へ鋭く出っ張る尿道によって尻穴を責めなおす。

ただやはり特に甘いのはカリによる愛撫だった。

触覚が無いはずの腸壁は、高すぎる出っ張りによって掻き毟られ、官能を覚えられるよう開発されていく。

恐らくたっぷりと溢れ出す我慢汁が満遍なく塗り込まれているのも大きいのだろう。


 抽出は円滑で、このまま最後まで行われるように思えた。

淫核も、一緒に潰しながら。


「んぁっ♡♡♡……へっ♡♡」


「ぐひひっ♡♡♡」


 だが、カリ裏が前立腺へと当たり、少しだけ圧迫した瞬間動作は止まる。


「くぁっ……♡♡♡」


 さらにそのまま、無慈悲にも奥へと折り返した。

快楽によってひくつき、狭まっていた場所が、再び緩慢にこじ開けられていく。

たった一度擦られただけで少し淫らになった肉は、いくらかの悦びをもたらす。

しかしそれだけだった。

相変わらず硬い部分もろくにいいところへ当たらない。


 そうして、一度目の往復は終わった。


「は~♡♡♡宗介くんのおまんこ、気持ちよすぎてあんまり激しく動けないや♡♡♡精子すぐ搾り取られちゃいそうだよ♡♡♡」


「くっ……♡♡」


 息を整えるようにしつつ、相変わらずのにやけ面でそれほど思っていなそうな事を言う星華。


「それに、せっかくの処女おまんこなんだからいっぱい愉しみたいしね……♡♡♡」


「なっ……♡♡♡」


 だが続くのは、恐らく本心だった。

言葉は相変わらずやたらに卑猥であるが、そこにはまだ自分のものとなっていない相手を存分に弄び、堕とすまでを堪能したいという考えがありありと表れている。

「処女おまんこ」という語句はアナルではなく、あるいは宗介自体を指しているかのようだ。


 それを裏付けるように視線からはこれまでで最もぎらつき、じっとりした濃く粘っこい劣情が溢れ出しており、肌へ纏わりついてくるような気さえする。

歯茎を少し見せた笑みもそうだった。

人としてではなく、単なる性欲の対象としてしか見てこない彼女に、気色悪さを覚える。


 ただそうしたひどく強烈で純粋な感情は、興奮もうっすら呼び起こした。

手に入れられてしまえばきっと、その膨大かつ激しい性欲を以って肉便器として使われ続け、あの絶大かつ幸せな快楽を与え続けられるのだろう、と。


「あれ、何か言いたいことでもあるのかな?♡♡♡……まさか、もっと早く動いてほしいわけじゃないよねぇ♡♡♡」


「そんなわけっ……♡♡」


「ぐひひっ♡♡♡それならいいけど♡♡♡……でもそんなことされたら、宗介くんはきっともう戻れないよ?♡♡♡メイドたちみたく、私に服従したくなっちゃうだろうね……♡♡♡」


「っ……♡♡♡」


 そうして苛立ちと期待がない交ぜになっていれば、心はより搔き乱される。

これまで彼女の手練手管をこの身で味わってきたのだ。

きっとその言葉は嘘ではないと、はっきり分かってしまう。


「だから、これからどれだけ気持ちよくなりたくなっちゃっても耐えるんだよ?♡♡♡私がただ、君のおまんこで気持ちよくなってるだけで、ね……?♡♡♡」


「うぁぁっ……♡♡♡」


 そんな風に追い詰められていく宗介へ、さらに追い打ちをかけるべく抽送はいくらか速くなりつつ再開された。

大した時間でもなかった問答の間で、星華の媚毒は深く効いてきており、チンポに舐められていくナカは先ほどより鋭敏だ。

擦れ合う粘膜と粘膜の感触が少しずつ知覚できてくる。


 ぷりぷりとして張り詰めた亀頭に反して、竿はやすりのようだ。

様々な段差を使って、包み込み扱いているはずの腸壁を逆に扱き、持ち主の理性を少しずつ確実に削り取ってくる。

しかもあまりに太いせいで、ふてぶてしくも余すところなく密着してきてもいた。


「ふあっ……♡♡♡」


 そのせいか、結合部から鳴り響く水音はやたらに大きい。

おびただしい量分泌された粘液が行き場をなくして出口へと引きずられ、ピストンに合わせて空気と混ざっては絶えず破裂しているようだった。

さらにナカで少し蒸れ煮詰まったらしい匂いは、突きこみに合わせて鼻先へと濃く香る。

交尾中のオス臭は心なしか普通の時よりも強く、嗅げば茹るような熱で視界が揺らめく。


 さらに溢れ出した濃密なものは腰へ向かって垂れていった。

やけに温かくまるで何かが這うようなむず痒い心地は、背筋に何とも言えない官能をもたらす。

ぞわつく心地は激しい発情と相まって、絶頂らしき甘ったるい感覚を引き寄せつつある。


「ふ~っ♡♡♡それじゃ、そろそろ動き早くするからね♡♡♡ふっ♡♡♡」


「あぁっ♡♡♡んっ♡♡♡」


 星華はそうした思いを読んでいるみたく、動作を一秒に一往復ほどのペースへ激しくした。

上半身も使ってしっかりと腰を引き、できた長い距離を使って加速した下腹部をぶつけてくる。

衝撃と共に奏でられるのは、濡れたもの同士がぶつかるぬちょついた音色だ。


「はっ♡♡♡ふあぁっ♡♡♡」


 速度が増すと、それだけ襲い来る快楽も増える。

というか、勢いよく打ち付けられる肢体によって性感帯が揺らされ、振動刺激が追加されるのもあって単純な比例ではない。

まったりとはしなくなったものの、強さはかなりのものだ。

しかし相変わらず、一番弱くて気持ちいいところにしっかりとは当たってくれなかった。

そのためどこか煮え切らないもどかしさもある。


「気持ちよさそうだねぇ♡♡♡ほらっ♡♡♡そろそろ私のチンポのこと、好きになってきたかな?♡♡♡ねぇっ♡♡♡」


「やっ♡♡♡んぁっ♡♡♡」


「もしかして答えられないくらい好きなのかな?♡♡♡じゃあ少しずつっ♡♡♡早くしていくよぉ♡♡♡」


「っ♡♡♡はぁぁっ♡♡♡」


 とはいえそんな不快感があっても、媚薬によって内と外からたっぷり発情させられた身体は、徐々に大きな声が出始めるほど昂っていく。

より彼女の腰が加速していくのもあって、今日の最初味わわされた蕩けるような甘みが確かに再びこみ上げてくる。

するともはや抵抗や忍耐などといったものは心から消え失せ、殆どなすがまま限界へと達するのを待ってしまう。


 それほどまでに、正直なところ今の宗介はメスイキを欲していた。

おあずけを食らい続けたせいで、高まりに高まった劣情は頭の中で大きく肥大化しすぎたのだ。


 彼はただただ下半身を衝突と痙攣で震わせ、腕をベッドに投げ出し、うつろな目をする。

またその表情は惚けきっており、一日目の固い意志は見られない。


「あっ……♡♡♡はっ……♡♡♡」


 やがて、肉体の自由が利かなくなっていく。

痺れにも似た幸せが、爆発に備えて下腹部の一点へと集まる。

呼吸がままならず、背中のぞわつきが止まらない。

それは、明らかにアクメ直前の予兆だった。

精神だって、嫌な相手との行為中だというのに不思議と凪いでいる。


「あぁっ……♡♡♡」


「ぐふふっ……♡♡♡」


 段々と気怠さが広がり、いよいよ全く動けない。

そして、収縮しきった悦楽が激しく破裂しようとする。


 だが、その時だった。


「ふぇ……?♡♡♡」


「は~♡♡♡」


 星華が、急に静止したのだ。

先ほどまでの抽送は嘘だったかのように。


「うぁ……」


 すると快感の供給はほぼ絶たれ、溜められていた捉えどころのないものは、寸止めによる落胆も相まってあっさりと霧散する。

それは、とにかく不快でしかなかった。


 しかも残るのは、身体が燃え上がってしまいそうなほどの疼きだ。

ひどく耐えがたく、例え人の前であってもめちゃくちゃに自慰をしてしまいたくなる。


「ごめんごめん♡♡♡宗介くんのおまんこが気持ちよすぎて射精しそうになっちゃってね♡♡♡思わず止まっちゃった♡♡♡」


「なっ……」


「いや~危ない危ない♡♡♡初めては一回しかないんだから、ちゃんと愉しまないとねぇ♡♡♡」


 そんな宗介を嘲るように、笑いながら喋る彼女。

上から見下ろしてくる目はあまりに愉し気だ。

まぶたが三日月に歪み、瞳はじっとりと熱い。

おまけに送られてくる視線は下卑た欲望がなめくじの形をとったようで、うぞうぞと皮膚を這い回られる気持ち悪さに思わず鳥肌が立つ。


 そうやって汚い劣情に満ちた目は、急停止が故意だったことを包み隠さず教えるようだった。

簡単には絶頂させないとでも言われているみたいだ。


「あれ、どうしたのかな?♡♡♡まさかイきそうだったわけじゃないよねぇ?♡♡♡」


「っ……!」


 さらに続く言葉で、絶頂のタイミングすら見透かされていることを理解する。


「それに、本当はそのままイきたかったわけでもないよね?♡♡♡さっきまでずっと嫌がってた私のチンポでお尻犯されて、おまんこのナカ搔き回されて、さ……♡♡♡」


「うぁっ……♡♡」


 その上で寸止めをした意地の悪さに怒りさえこみ上げるが、肉体は快楽に従順だった。

軽く腰が揺すられると、襲い来た甘みで心までも一気に切なくされてしまう。

ひとたび餌を目前に吊るされた彼の身体は、彼の言うことをもう殆ど聞いてはくれない。


「まぁでも♡♡♡」


「ひあぁっ……♡♡♡」


 やがて再び、ゆっくりとだがピストンが再開される。

相変わらず前立腺には当たらないように。


「もしそうだったら言ってよ♡♡♡その時はちゃぁんとイかせてあげるから♡♡♡君が、気持ちよすぎて壊れちゃうぐらいにね……♡♡♡」


「んんんっ……♡♡♡」


 そして言われたことの意味は容易く脳内へ侵入し、刻み込まれていく。

忘れることなどできそうもなかった。

自分が願えばどうなるのか、その先に起こることは鮮明に映し出される。

負けてしまおうかと、駄目だとわかっていても逡巡した。


「ぐひひっ♡♡♡ふ~っ♡♡♡」


「はぁっ♡♡♡んぁっ♡♡♡」


 そんな風に少しずつ堕ち始めている宗介の前で、自らは気ままに快楽を貪ろうと、下半身を振りながら起用に乳首を弄り始める星華。

満足げな息遣いと共に、体内ではチンポが激しく暴れる。

だが彼女はそれを上手くいなしつつピストンし、やはり気持ちよくはしてくれない。


「ごめんね~宗介くん♡♡♡んっ♡♡♡私はそろそろ我慢できなくなってきたから、このまま射精させてもらうよ♡♡♡」


「っ……♡♡♡」


「あ、もちろん今言ってくれたらいいところたっぷり突いてあげるよ?♡♡♡あ~そうだ♡♡♡メイドたちが言うには、中出しされながらイくのって相当気持ちいいんだってさ♡♡♡」


「ふぁっ……♡♡♡」


 不快で、言いなりになりたくなくて、しかし今日の最初からずっとお預けにされているメスイキがしたくて、もう楽になってしまいたくて、思考は高速で巡り続ける。


 一度チンポでイかされれば服従したくなってしまう、というのは本当なのだろうか。

まさか創作ではあるまいし、現実にそんなことはありえないはずだろう。


 だが、味わわされている肉棒は著しく現実離れしている。

それこそ創作で起こりそうなことが、実際に起こってしまいそうなほどに。

なにせ分泌される液体に媚薬成分さえあるのだ。

こうして味わわされている今ですら、本当は夢なのではないかと疑ってしまう。

もちろん、紛れもなく実際に起きていることではあるのだが。


 さらに何より銀沢星華へ従うのはやはり屈辱だ。

既にそうせざるを得なかった両親に代わりわざわざここへ来たのに、また言われた通りにしてしまっては元も子もないのではないか。

だからここは、じっと耐え忍ぶべきだ。


 そう彼が、欲望に侵されている頭でなんとか高潔な結論を出した時だった。


「あっ♡♡♡ん~っ♡♡♡♡」


「うぁっ……♡♡♡ナカでっ……♡♡♡」


 チンポが大きくびくついて、亀頭が膨れ上がり、そして体内へ大量の精液を吐き出し始めたのだ。

狭い肉穴は熱く粘ついた汁で瞬く間に満たされていく。

しかも液体故奥から入口まで、ひだとひだの間にある隙間までみっちりと染み込んできて、余すところなどない。


 ただそれは半固形というべき濃さでもあり、鋭敏な腸壁全体が舌じみたもので舐められていくような感触をはっきり知覚できる。

すると内側からの圧迫が強まって本来は苦しくなるはずなのに、とにかく気持ちいい。

しかし快楽は十分でなく、彼女と違いアクメへ至ることはできない。


「あ~♡♡♡私も我慢してたからたっぷり出るよ~……♡♡♡は~っ……♡♡♡」


「うぅっ……♡♡♡」


 半面絶頂を味わっている星華は相当に気持ちよさそうだった。

満足げな息をついて、先ほどの意地の悪さはどこへやら、純粋に惚けた顔をしている。

普段は人を弄ぶことの愉悦を表す目尻も口角も、だらしない垂れ下がり方だ。

しかも両の手指は乳首を派手に捏ね回し続けている。


 明らかに、本能へ素直になれば何が待っているのか見せつけてきていた。

おまけに強烈な媚薬であるオス体液を、吸収効率のいい場所へ注ぎこまれてもいる。


「ぐひひっ♡♡♡宗介くんのおまんこやっぱり気持ちよすぎだよぉ♡♡♡思わず暴発しちゃった♡♡♡」


「っ……♡♡♡ふーッ♡♡♡」


 そのため、やがて数分間続いた放出が終わるころ、肉体の発情はあまりにも激しかった。

火照りからまともな呼吸さえままならず、後ろも前も疼きがひどい。

先ほどまでメスの快楽で萎えきっていたペニスさえ、これまでにないほど硬く張り詰めてしまっている。

粘っこい音を立てつつ結合部から溢れ出し、磯臭くも淫猥だと嗅覚が判断してしまう香りを放つ精液のせいもあって猶更だ。

耐えることに集中しないと、今にも自慰を始めてしまいそうになる。


「あぁぁっ……♡♡♡」


 そんな中で、未だ勃起を維持したままのチンポはナカから抜けていく。

やたら滑りが良くなっているのか、摩擦は少ない。


「ふおっ♡♡♡」


 前立腺すら、カリにそれほど引っかかることはなく通過してしまう。


「んっ♡♡♡」


 尻穴までも同様だった。

せっかくの快楽がもたらされるチャンスは、ただ味気なく終わる。


「ふ~♡♡♡」


「うあ……♡♡♡はーッ♡♡♡はーッ♡♡♡」


 そうやってメス殺しの肉棒は再び外気に晒され、天井へ向けてそそり立った。

全体には黄白色の不透明な液体が点々と纏わりついている。

そして一度の射精を経て萎えるどころか、むしろ先ほどより怒張しているように見えた。

何せ汁によって見え隠れする管の膨らみは明らかに大きい。


 さらに観察していれば性器は、先端からおびただしい量の我慢汁を出して、自身を「綺麗に」していく。

次第にあらわになっていく砲身は、確かに前より少し太かった。

おまけに海綿体へ充填された血液の量が増えたのだから、硬さも増しているのだろうと想像してしまう。

正直なところまた穴を満たしてほしくて、思わず目が惹きつけられる。


「ぐふっ♡♡♡春乃ちゃん、こっちおいで?♡♡♡」


「はい」


「えっ……」


 そんな彼を尻目に、星華は腋に抱えていた両脚を下ろしてきて、何を語るでもなくメイドを、別のメスを呼ぶ。

応じたのは、一日目に尻を弄ってきた怜悧な女性だ。

彼女は近くまで寄ると、すぐ意図を理解したのかベッドへ上がり、宗介の太ももをまたいでこちらを向き膝立ちになる。

さらにすぐ、覆いかぶさってくるような四つん這いになった。

身長差から、表情の薄い顔が10センチほどの近さに来る。


 その瞬間、うっすらと背筋に悪寒が走った。

まさか、この状態で放置されるのではないかと考えてしまう。


「うわ♡♡♡おまんこ濡れ濡れだねぇ♡♡♡私たちのえっち見て興奮しちゃってたのかな?♡♡♡」


「はい」


 しかし、宗介の予測はどうやら当たっているようだった。


 下半身の方から衣擦れの音と、愉し気な声が聞こえる。

垂れ下がった清楚な白いエプロンで詳細は見えないが、内容から察するに春乃はスカートをめくられたらしい。

ただ、そんなセクハラじみた行動に彼女は眉一つ動かしていなかった。

まるで何事もないように、あるいはそれが普通であるかのように。


「じゃあ春乃ちゃんの欲しがりおまんこに、私のチンポあげるからね~♡♡♡」


「っ♡♡」


「なっ……」


 だが視線の先の顔は、濡れた物体同士が軽く擦れる水音と同時に息を呑んだ。

恐らく秘部へ亀頭が突き付けられたのだろう。

表情もひどく切なげで甘えたものになる。

加えて身体まで跳ねており、冷たい印象は途端に「いやらしい女」へと変化した。


 それはまるで、毛虫が蝶へ成るみたく著しいものだ。

この場合はむしろ蝶が毛虫へ退化しているようではあるが。

そんな変貌を遂げさせてしまう物体が、自分の所に欲しくてたまらない。


「ふっ♡♡♡」


「お゛っ♡♡♡♡」


「うぁ……♡♡♡」


 変化のふり幅は、明らかにチンポが一気に挿入されたのだと分かるマットレスを揺らす衝撃、高い破裂音と共に激しくなった。

イメージとは乖離した、思わず溢れたらしき汚い喘ぎ声が聞こえ、口からは舌が突き出てくる。

交差していた視線もまるで合わなくなった。

もはやどこを見ているのかすら、判然としなくなっている。

あるいはただ快楽に支配され、何も目に映っていないのかもしれない。


「あ゛っ♡♡♡♡せいかっ゛♡♡♡♡しゃまぁ゛っ♡♡♡♡」


「はッ……♡♡♡はッ……♡♡♡」


 そうやってたったの数秒間で崩れきってしまった顔は、一つの事実を明確に表していた。


 星華のものとなったメスは全て、例えば他人の前ではしたない痴態を晒すという恥すらもどうでもよくなるような、深く壮絶な悦びを得られるということを。

また、落ち着いて見える人物ですら彼女との行為の前では、一瞬で理性を無くしたけだものになってしまうということを。


「ひぁぁっ♡♡♡♡はげしっ♡♡♡♡あぁぁっ♡♡♡すきぃっ♡♡♡♡」


「ぐひひっ♡♡♡」


 春乃の両腕が背後から握られ、手綱のように引っ張られる。

結果上体は少しのけ反るが、首は力なくうなだれ、ピストンによって軽い上下動を繰り返した。


 結合部から響く音が相当にうるさい。

聞いている方が恥ずかしくなるぐらいに粘っこいものは、絶えることなく鳴り続けている。


 さらに、生暖かい液体の感触が脚へ飛び散ってきた。

膣内で散々掻き混ぜられたのか、相当に泡立っているらしいのがうっすらわかる。

おまけに甘酸っぱい香りもひどい。


 二人のセックスは、経験のない宗介ですら過剰なのではと思うほどに激しかった。

だが、目線の先にいる「メス」に一切痛みを覚えている様子はない。

これまで彼自身が味わわされた通り、その姿から感じるのは純粋で壮絶な快楽のみだった。


「ぁあぁっ……♡♡♡♡イくぅっ♡♡♡イ゛きますっ……♡♡♡♡せぃかさまぁっ♡♡♡♡」


「うん♡♡♡いいよ♡♡♡潮も噴いちゃおっか♡♡♡」


「はひっ♡♡♡♡ありがとうっ……♡♡♡♡ございまひゅっ♡♡♡♡」


 やがて数分と経たないうちに、ベッドが小刻みに振動し始める。

早くも絶頂が近づいているらしい。

虚ろな表情のまま、うわごとのような喘ぎが発される。

ただそんな状態だというのに、彼女はすぐさま主からの言葉へ返答した。


「イ゛っ♡♡♡♡ぎゅぅっ♡♡♡♡ァ――♡♡♡♡♡」


 そしてそのまま、ひときわ大きな破裂音が鳴ったと同時に、全身を暴れるように痙攣させる。

星華に言われた通りの液体だけでなく、よだれや愛液を撒き散らしながらだ。

ともすれば狂ったような光景に、人としての尊厳などというものはまるで無かった。

しかし、春乃が「そんなこと」を気にしている様子もまた、一切感じられない。

アクメがどれほど凄まじいのか、表すように。


「ふぁ……♡♡♡」

 

 発情しきり、何度も焦らされ、あまつさえ寸止めまでされた宗介にとって、その姿はあまりに蠱惑的だった。

加えて、ふたなり精液がたっぷりと中出しされているのだ。

深いところにまでほぼ浸食しきっている媚薬成分も合わさると、肉体の疼きは訳が分からなくなってしまうほど強い。

メスイキしなければならない、でなければ発狂してしまうかもしれない、と大真面目に考えてしまう。

そうした思考の中に、最早両親や友人のこと、自らの誇りは入ってこれなかった。

しかも、やがては完全に潰えていく。


「はーっ……♡♡♡はーっ……♡♡♡」


 視線の先でメスは両腕を開放され、額には大粒の汗をかきながら呼吸を整えていた。


「んぁっ♡♡♡」


「よし♡♡♡春乃ちゃん、もういいよ♡♡♡あ、後でご褒美にいっぱい抱いてあげるね……?♡♡♡」


「んっ♡♡♡はい、ありがとうございます……♡」


 だが命令されると、身体を痙攣させ不安定ながらも床へ降りる。

ベッド上は、再び星華と二人だけになった。


「……♡♡♡」


 思わずチンポに目が行ってしまう。

ソレは射精していなかったようで、また全て春乃の膣内でこそぎ落とされたみたいで、表面に精液は見当たらない。

だが代わりに全体は透明な愛液でまんべんなくコーティングされていた。

さらにそれだけではなく、泡立って白濁した本気汁も所々に散見される。


 しかも、そんな風に女を悦ばせた証を纏いつつ、天を向いて勃起しているのが印象的だ。

長太くて明らかに重そうな自らを支え、堂々と屹立している姿はひどく雄々しい。

服従し、恭しく、可愛らしく寵愛をねだりたくなる。

再び金玉に溜まったのだろう濃厚な粘液を、弱いところに直接ぶっかけられたい。


「百合ちゃん♡♡♡」


「は~い♡♡♡」


 その持ち主は、別のメスを呼んだ。

しかし、もう宗介には、もう一度あんな光景を見せられて狂わずにいる余裕などなかった。

本能が、そして何より理性が、これまでずっと忌避してきた結論を出す。


「あ、あの……♡♡」


「ん?♡♡♡」


 口を開けば、オスは後ろ手にメイドを制した。

この先に言うことが分かっているのか、早くもしたり顔を浮かべる。

やたらに吊り上がった片方の口角は今でも少し嫌悪感を覚えるが、すぐそのようなものは消えていく。

きちんとおねだりをすれば聞いてくれるのだろうという、確信めいたものがあったからだ。

それほどまでに快楽が欲しくてたまらない。


「次はぼっ、僕にシてください……♡♡♡」


「ぐひひっ♡♡♡何をかな?♡♡♡」


「さっきっ、メイドの方にしたようなことをっ……♡♡♡」


「ん~?♡♡♡さっき私何したっけ?♡♡♡ちょっと覚えてないなぁ♡♡♡」


「っ♡♡♡」


 星華は、多大な羞恥心に侵されながらも言葉を紡ぐ彼をまだ責め立てる。

とはいえ、劣情によって支配された人間は浅ましくも、それでむしろ興奮を昂らせていた。


「僕のお尻の穴にっ……♡♡♡貴女のそのっ……性器を……♡♡♡入れてくださいっ……♡♡♡」


「え~?♡♡♡お尻の穴なんて汚い所には嫌だなぁ……♡♡♡」


「へっ……」


「もちろん、おまんこなら話は別だけどね♡♡♡私のが欲しくて欲しくてたまらないえっちなおまんこなら、入れてあげたくなっちゃうかも♡♡♡」


「なっ……♡♡♡ふーッ♡♡♡」


 彼女の言葉によって、排泄孔は性行為のための穴、雌性器へと変わっていくようだった。

加えて苛烈な煽りも相まってよりひどいもの、マゾメスマンコへとすら堕ちていく。

認識の変化に伴い、秘所はより満たされることを望んで切なくなり、乱暴されることを求めて疼き始める。

持ち主を、はしたない阿婆擦れにしてしまうほどに。


「そうだ♡♡♡私のこれも、性器じゃなくてチンポね♡♡♡君の小さくて可愛いおちんちんとは違う、強くてかっこいいおチンポ♡♡♡」


「うぁっ……♡♡♡」


 さらに、「チンポ」とはどのようなものなのかも教え込まれる。


 実際、彼の萎えきったペニスは、星華のモノと比べればあまりに情けない。

そもそものサイズもそうだが、身体が興奮しているにも関わらず一切勃起していないこともそうだ。

交互に見れば、自分の男としての象徴であるはずが、むしろ不要な飾りのようにすら思えてしまった。


「それで、宗介くんは私に何をしてほしいのかな?♡♡♡ちゃんとおねだり出来たら、君が思う通りにしてあげるよ?♡♡♡」


「はッ……♡♡♡はッ……♡♡♡」


 そうして猛らされ続けた獣欲は、恥を確かに感じつつも適切な語彙を使っておねだりを紡ぐ。


「ぼっ、僕のおまんこにっ……♡♡♡ひぅっ♡♡♡星華さんのっ……♡♡♡おっ♡♡♡おチンポを入れてっ……♡♡♡気持ちよくしてくださいっ♡♡♡」


「ぐひひっ♡♡♡」


 言いきれば顔が、全身が著しく熱いが、しかし同時にどこか暗く甘ったるい悦びも芽生えた。

恥ずかしい事は、気持ちいい。

あるいはこのまま絶頂さえしてしまいそうで、呼吸が一切整わず、四肢にはやたら力が入る。


 オスはそんな様子を視姦しては心底愉し気な笑みを浮かべ、肉棒から勢いよく我慢汁を迸らせていく。

液体がシーツへ落ちる音が何度もして、拍手のようにも聞こえた。

先ほどの潮噴きによってやや酸っぱかった周囲の匂いも、新たなメスの誕生をいやらしく祝福するように青臭くなる。


「ちゃんと言ってくれてありがとう♡♡♡いや~♡♡♡でもまさか宗介くんが本当はそんなこと思ってたなんて知らなかったな~♡♡♡それなら最初から言ってくれれば、いくらでも抱いてあげたのに♡♡♡」


「っ……♡♡♡」


 さらに星華は、まるで宗介の願いが最初から、あるいは一日目からそうだったかのような物言いをした。

それは確かに屈辱的だが、今の彼にとってはむしろ興奮のスパイスとなる。

彼女がたびたび行ってきたまさしくセクハラである言動に、心地よいものを覚えてしまう。

まるで心もマゾへと調教されてしまったかのようだ。


「あっ♡♡♡」


 そうしているうちに再び、先ほどと同じく挿入側が身体を起こした体勢での正常位が始まろうとしていた。

亀頭が尻穴に当たり、やがてべっとりと密着していく。

広げていた両脚が軽く抱えられ、あとは挿入するだけになる。


「でも、本当にいいのかな?♡♡♡さっきも言った通り、これを味わっちゃったら宗介くんはもう戻れないと思うよ?♡♡♡」


「ふぅッ♡♡♡いいですからっ……♡♡♡はやくっ……♡♡♡チンポをっ♡♡♡」


 ただそこまで来ての最終確認に、また焦らされてしまうのかと思った。

耐えきれずあまりにも上ずった声で応じる。


「う~ん♡♡♡ちゃんと分かってるのかなぁ~♡♡♡」


「うぅっ……♡♡♡せいかさんっ♡♡♡」


 だが、そんな風にくどいと思った瞬間だった。


「自分がどうしようもないメスになっちゃうってことを、さぁっ!♡♡♡」


「お゛ほ゛ぉ゛っ♡♡♡♡♡」


 チン先は緩みきった括約筋をすんなり越えて腸内へと入り、一気に前立腺へと向かい、そして形が変わってしまいそうなほど圧し潰す。

続けて、容赦なく捏ね繰り回してくる。

よほど興奮しているのか、チンポは先ほどより明らかに大きい。

そのため行き場を無くした精液がきつい結合部から溢れ、下品な音を鳴らすのがやけに遠くから聞こえた。

鋭い突きこみで、意識が吹っ飛ぶ。


「ぁっ……♡♡♡イ゛っ♡♡♡♡――♡♡♡♡♡」


 すると求めていたメスのアクメへと、すぐさま強制的に押し上げられる。

気怠くも心地いい重みが全身へ押し寄せていく。


 しかし不意打ちであったためうまく準備のできていなかった肉体は、どこか快楽を堪能しきれない。

確かに気持ちいいのだが、感覚的には今日初めてした時と同じかそれ以下だ。

お預けを食らいすぎたせいもあるが、貪欲にも物足りなくて幸福の只中ではあるがさらなる悦びを求めてしまう。

自ら進んで、どうしようもないところまで堕ちていくように。


「はーっ♡♡♡はーっ♡♡♡もっとっ……♡♡♡もっとぉっ♡♡♡」


 そうして絶頂がすぐ終わりを告げると、宗介はさらなる行為をねだった。

意志とは無関係に揺らめいてしまう視線をどうにかオスと合わせ、必死に目でも訴えかける。


「ぐひひっ♡♡♡いいよ~♡♡♡もっと気持ちよくなっちゃおっか♡♡♡」


「お゛ひぃっ♡♡♡♡ごりごりっ♡♡♡あ゛っ♡♡♡♡すきぃっ♡♡♡♡」


 懇願は、これまでの焦らしが嘘みたいに応じられた。

厚ぼったく適度な硬さのあるカリが、淫核を削れてしまいそうなほど繰り返し舐り、嬲り抜く。


 しかもかなりの往復速度だが、動きは精彩を欠くことなくやはり丁寧だ。

毎回出っ張りは深く引っ掛かり、考えうる限り最も的確に法悦を与えてくる。

結果中に溜まっていた精漿は、持ち主の腹で寝そべるペニスからことごとく吐き出されていく。

そんな光景は、ソレが男性器としての役目を終え、本当にただ卑猥なだけの飾りとなっていくようだった。


 代わりに前立腺が、Gスポットやクリトリスといった女性の性感帯みたくいよいよ本格的に発達させられていく。


「んぉ゛ぉっ♡♡♡♡これぇ゛っ♡♡♡♡またっ♡♡♡♡」


「ふ~♡♡♡またイきそうかな?♡♡♡じゃあ……♡♡♡」


「ふあっ……♡♡♡」


 やがて早くも二度目の絶頂が近づいてくると、動作が少し遅く緩いものとなる。


「次は中出しされながらイっちゃおっか♡♡♡」


「っ♡♡♡♡」


 だがそれは先ほどまでと同じ意図ではなく、さらなる悦びを与えるためのものだ。

星華は決して宗介が萎えないよう、絶えず腰をくねらせて甘い刺激をもたらしつつ、自らの乳頭を弄り昂っていく。

次第に脈動が増え、我慢汁を腸壁へ垂れ流し、拡縮を繰り返すチンポは、凄絶なメスイキの秒読みをしているように感じられる。


「はッ♡♡♡♡はッ♡♡♡♡」


「あ~♡♡♡宗介くんの期待したメス顔、すっごくチンポにクるよ♡♡♡ちゃんと濃いの、おまんこにぶっかけてあげるからね……♡♡♡」


「うぁぁっ……♡♡♡♡はひっ……♡♡♡♡」


 低くいやらしい囁きで、ぞくつきが止まらない。

予想だにしなかった著しい高揚は、彼女に逆らうことなどできないということを身体と心に理解させてくる。

あれほど嫌だったはずなのにこうまで捻じ曲げられてしまったのだから、そもそも元から勝ち目などなかったのだ。

であれば、最初から屈服してしまえばこれを少しでも早く味わえたのに、と後悔すら芽生える。


 そうやって敗北を認め、ただなすがままになるのは気持ちよく、何より気が楽だった。

もう精神を搔き乱されることも、責め苦に耐えることもしなくていいのだ。


「せいかさんっ♡♡♡もうっ……♡♡♡あぁっ♡♡♡んっ……♡♡♡」


「うん♡♡♡そろそろ出すね♡♡♡一緒にイこっか♡♡♡」


「あっ……♡♡♡♡はいっ……♡♡♡♡」


 甘い声を出せば優しく応じてもらえるのが嬉しい。

膣穴が疼き、精液を受け止めたくなる。


「お゛っ♡♡♡♡ほぉっ♡♡♡♡」


 ラストスパートをかけるように、カリがGスポットを激しく掻き毟るようになった。

開発と準備の出来上がった肉体へ、愉しみにしていた瞬間が近づいてくる。


「ふ~っ♡♡♡♡」


 それは星華も同じらしい。

満足げな息を吐き出し、痙攣の増えた亀頭をぷっくらと膨らませていく。

そして、やがては鈴口を、メスの弱点へと深く突き立ててきた。


「ぁ♡♡♡♡~~っ♡♡♡♡――♡♡♡♡♡」


「んっ♡♡♡ぐひひっ♡♡♡♡」


 底なし沼へと落ち込んでいくように肉体が重たくなった途端絶頂が始まり、マグマのような熱を持つ汁が体内へと射精されだす。

中出しされているのだと理解しながら落下していく世界は、膨大で揺るぎないしあわせで満たされていた。

それらは濃密な快楽をもたらしながら皮膚を通り抜け、濃密な快楽で肉体の芯までも浸しつくす。

最早幸福でない場所など、宗介の中にはなかった。

身体だけでなく精神、知覚できる空間までも、ただただ悦びだけがある。


 そうしたあるいは麻薬的とも言える法悦は、確かに彼を破壊していった。




 その後、手を変え品を変え、星華は何度も何度も責めを続ける。

やがて有馬宗介という存在が、銀沢星華という怪物に全てを食らいつくされるまで、あまり時間はかからなかった。







「会長……?これ、お願いしますね」

 

「あ、うん……」


 ぼんやりしていると、唐突に生徒会の後輩から声がかかる。

咄嗟に反応するが、少し心配そうな顔をさせてしまった。


 ここのところ学業や生徒会活動には、まるで身が入っていない。

というより、あらゆることに以前のような興味を持てなくなっていた。

宗介は、あれからどこか満たされない日々を送っている。




 銀沢星華の家で二日間を過ごした後、彼は「メイドになる意志が無さそうだから」と問答無用でそのまま家へと帰されていた。

涙を流しながら息子の帰宅と無事に喜ぶ両親の姿は、一週間ほど経った今も記憶に新しい。


 だが、そんな彼らに本当のことを言うことなどできなかった。

言ったことといえば、本当に彼女の事業を手伝っただけという嘘のみだ。

当然後ろめたくはあったが、しかし見たこともない状態の二人を見て、身体を穢されたことなど言えようはずもない。


 そして、本当はあのまま星華の家に居たかったということも。


 またそんな思いがあったせいか、返却されたスマートフォンに手つかずで残っていた証拠を使うことも、これまで出来ていない。

様々な問題に決着がつくと分かっているはずなのに、学校の教師など親でなくても誰かへ相談すればいいはずなのに、すんでのところまではいくが最後の一押しがあまりにも重たかった。




「宗介、ここのところ疲れてるみたいだし、今日はもう帰ったら?」


「そ……そうだね。じゃあお言葉に甘えさせてもらうよ」


 生徒会が始まりしばらく経ったころ、特に仲のいい役員が声をかけてくる。

言葉の節々からは深い気遣いを感じ取れた。

だというのに宗介は、温かな思いやりにすらあまり心が動かない。


「うん、なんだったらしばらく休んでもいいからね。みんなもそう思ってるみたいだし」


「あ……。ありがとう、みんな」


 同じ仕事をする仲間たち全員、そうした気持ちを向けてくれていると分かってもだ。

むしろようやく解放されたとすら、深い罪悪感と共に思ってしまった。




「っ……♡ふぅっ……♡」


 あの出来事を経てからの変化は、もう一つあった。

宗介はあれから、夜毎自室に籠っては熱心に尻穴を弄るようになっていたのだ。

両親さえ寄せ付けず、やがては疲れ果ててしまうまでずっと。

理由は肉体に強すぎるメスの疼きが蔓延っているからだが、しかしそれだけではない。


「うぅっ……♡なんでっ……♡」


 絶頂へと、いくら時間をかけようと達することができないからでもあった。

結果欲望を発散することはできないどころか、逆に募っていくばかりだ。

自らの手で満たされたことなど一度もない。


「はぁっ……♡はぁっ……♡」


 そんな地獄のような日々は、彼に一つの選択をさせてしまう。

恐らく「彼女」の目論見通りに。







 翌日、宗介は都内某駅近くの路地に居た。

平日だからかスーツ姿のビジネスマンが時折通り過ぎていく。


「あ……」


 そうやっていつもと変わらない日常に罪悪感を煽られながらも待ち、数分が経った頃だ。

見覚えのある高級車が道に入ってきて目の前へと停まり、後部座席の不透明な黒い窓ガラスが下がっていく。


「久しぶり♡♡♡宗介くん♡♡♡」


「っ♡♡はい……」


 中にいたのは、紛れもなく銀沢星華その人だった。

やり手といった印象を醸し出すチェック柄の紺スーツを着て、しかしどこか暗さのある目つきをした顔は、当然見間違えるはずもない。

開口一番発される愉快そうな粘ついた声も、あの時嫌というほど聞かされたものだ。


「ぐひひっ♡♡♡まさか君の方から連絡を貰えるなんてねぇ♡♡♡夢にも思わなかったよ♡♡♡」


「ふぁっ……♡♡♡」


 白々しい言葉は調教された日のことを思い起こさせ、身体を疼かせる。

まだ引き返せるという選択肢を、頭から消していく。


「ほら、乗っておいで?♡♡♡」


「はいっ……♡♡♡」


 そうして彼は、新たな人生へと向かう車のドアを躊躇なく開け、中へと乗り込んだ。

ただ乗車するだけだというのに、心身の高揚はひどく強い。


 彼女の隣に座り扉を閉じれば、すぐさま窓も閉まる。


「んっ♡♡♡」


 そして横から不躾な手が伸びてくるのは、ほぼ同時だった。

運転席との間には仕切りがあり、外から見えないようになっているからか、動きにはまるで遠慮が無い。

片方は服の中へと侵入して肌を堪能し、もう片方は顎を持ち真横へとゆっくり向けさせてくる。


「んむっ♡♡♡」


「むふ~っ♡♡♡」


 すると気づけば間近まで迫っていた星華に、そのまま唇を奪われた。


「んぇ♡♡♡」


「っ♡♡♡」


 続けて何かを考える暇も無く、舌をねじ込まれ口腔粘膜を味わわれていく。


 その瞬間、宗介は悟ってしまった。

彼女に全てを委ねることこそ、この世で最も幸福になる方法なのだと。

たどり着いた真理を実行し、一切の抵抗をやめてなすがままになる。


「ぷはっ♡♡♡ぐふっ♡♡♡」


「……♡♡♡♡」


 やがてキスが終わったのは、頭が蕩けすぎて時間の感覚がなくなった頃だった。


「これからよろしくね♡♡♡宗介くん♡♡♡」


「はい♡♡♡♡」


 堕落を確信しきった心地よい声に、身を焦がす劣情のまま媚びながら頷く。

たったそれだけで、頭からは服従する快楽が広がる。




 そうやって二人を乗せた乗り物は、数十分した後怪物の住処へと向かった。

高級車からはその間、聞いただけでペニスをそそり立たせてしまうようなメスの嬌声が響いていたという。



Comments

No comments found for this post.