第十一章:教皇暗殺編「153.強襲」 (Pixiv Fanbox)
Published:
2020-03-18 10:00:08
Imported:
2022-04
Content
※The English version is also below.
※글자수 제한으로 한국어 번역은 별도 페이지입니다.
いよいよ会談の当日になった。
流石に会談本番は本人が出るのだろうと思っていたら、御簾の裏には私が立ち、ミシャが風魔法を使って教皇様の声を届けるらしい。
つまり、本番も私が出るのだ。
それを説明したときのリーシェ様は、
「事実を知ったら、ドロテーア陛下は激怒するでしょうけれど、背に腹は代えられません」
と、苦々しい口調だった。
教会としても本意ではないのだろう。
私は既に会談場に作られた御簾の中にいる。
後からドロテーアたちがやってくる手はずになっているので待機中だ。
御簾の周りには警備の兵たちが立っており、その中にはクレア様、リリィ様、ミシャ、そして私のフリをしている教皇様の姿もある。
教皇様は御簾のある場所から見てドロテーアの席とは反対側に立っている。
ドロテーアからは見えない位置なので、口を動かしても大丈夫、というわけだ。
「ドロテーア=ナー皇帝陛下、おいでになりました」
やって来たドロテーアはいつもの漆黒の甲冑姿だった。
これが彼女の正装ということなのだろう。
マントを翻しながら足早に歩いてくると、自らの席の前に立って名乗った。
「ドロテーア=ナーである。此度は実りある会談を望む」
短く言ってから、どかりと腰を下ろした。
お付きの者が真っ青な顔をしているが、本人は涼しい顔だ。
相変わらず、自己中心的な人である。
彼女にとってはこれが「合理的」なのだろう。
「クラリス=レペテ三世です。本日はよろしくお願い致します」
対する教皇様は飽くまでマイペースだった。
世辞や外交儀礼を極力排しているのは、恐らくドロテーアに配慮しているからだろう。
教皇様は続ける。
「会談に先立っておうかがいしたいことがあります」
「何か?」
「サンドリーヌに私を狙わせたのは、あなたですか?」
教皇様の率直な物言いに、会談場がどよめいた。
私も驚いている。
いくらドロテーアが率直な物言いを好むとはいえ、これは流石に率直すぎやしないか。
「ふむ。貴様が命を狙われているという噂はまことであったか。余ではない……と言えば、貴様は信じるのか?」
「信じます。あなたは嘘はつかない人とうかがっています」
冒頭から波乱の幕開けだ。
会場の空気がピリピリと張り詰めている。
しかし、
「ふっ……ふははは……! 今代の教皇はどうやら面白い人物らしい。気に入った」
「ありがとうございます」
からからとドロテーアは笑い、それに対して教皇様も柔らかく返した。
帝国側も教会側もほっと胸をなで下ろした。
「貴様の命など興味はない。余の国には今、教会を相手するだけの余力はないしな。この国にいる限り、貴様の安全は保証してやろう」
「心強いお言葉です。それでは会談を始めましょう」
私はかねてからの打ち合わせ通り、半分上げられた御簾から手を伸ばした。
皇帝がそれをがっちりと握る。
ものすごい力だ。
痛い。
「ふむ……、そういうことか」
皇帝が何やら一人で納得している。
何が得心いったのかは分からないが、皇帝はニヤリと笑った。
その後の会談はしばらく穏やかに続いた。
やりとりの中身こそ、教皇様が帝国の超積極外交に対して苦言を呈し、皇帝が内政干渉はやめろと突っぱねる緊張感の漂うものだったが、飽くまで外交的な交渉に終始した。
私もずっと気を張り詰めさせていたが、特別危険を感じるようなことはなかった。
このまま何事もなく終われば、などと思い始めた会談の終盤、それは起きた。
「ところで教皇。貴様の流儀では一国の主に対するのに、替え玉を使うのか? 命を狙われてるとはいえ、少々非礼が過ぎると思うのだが」
ニヤリと笑いながら皇帝が放ったその一言が、場にこの日一番の緊張をもたらした。
……バレている?
「何のことでしょう」
「とぼけるか。まあ、それはいい。しかし、その女は見逃せぬ。女、その魔道具が発動しないことが不思議か?」
皇帝の目が一人の女性を射貫いた。
リーシェ様だった。
「な、何のことでしょう」
「先ほどから貴様が発動しようとしているその指輪、魔道具だったのであろう? 残念だがそれは使えぬぞ」
「なっ……!」
「貴様の入れ知恵が役に立ったようだな、レイ=テイラー」
ドロテーアは御簾のこちら側を見て笑った。
リーシェ様も悔しそうに一瞬顔を歪めてこちらを見る。
「レイ……あなた……」
「申し訳ありません、リーシェ様。あなたが持ち込もうとした転移の魔道具は、すり替えさせて頂きました」
「!」
リーシェ様の顔が憤怒に歪んだ。
やはり、彼女が犯人か。
「どうしてそれを……」
「おかしいと思ったのは、サンドリーヌさんによる暗殺未遂の直後のことです。リーシェ様はこう仰いました。まさか『ロザリオに』細工をするなんて」
「それのどこがおかしいというの」
「おかしいですよ。だって犯行の凶器だったロザリオは私が握りこんでしまっていたので、リーシェ様はロザリオそのものは目にしていないはずです」
「で、でも、首に絞められた跡が……」
「それなら普通、紐かロープをまず疑いますよね? 即座にロザリオと看破するのはやっぱりおかしいですよ」
単純なうっかりだったのだろうが、私が疑いを持つには十分過ぎた。
私の指摘にリーシェ様は悔しそうに唇を噛んでいたが、やがて、
「そう……やっぱり分かっていたのね。あの時の教皇命令は差し詰め、あなたなりの意趣返しかしら?」
「そんなわけありません。こんな推理、本当は当たって欲しくありませんでした。私はあなたを信じたかった」
「甘いのね。私があなたなら、疑った時点で処刑しているわ」
「それでも、あなたはユー様のお母様だから」
「……!」
私の言葉に、リーシェ様がハッとしたような顔をした。
「茶番はそこまでにするがいい。ヒルダ、拘束せよ」
「はっ」
ヒルダの指示で、兵たちがやって来る。
リーシェ様は諦めたような顔で抵抗する様子はない。
しかしそこで、
『いやいやいや、それでは困るのですよ、リーシェ様』
聞き覚えのある、悪意に満ちた声が響いた。
「サーラス!」
「どこですの!」
『ごきげんよう、レイ=テイラーにクレア=フランソワ。そしてさようならです』
サーラスの嘲るような声とともに、辺りに魔力の気配が満ちた。
「ヒルダ、解析せよ」
「はっ……。こ、これは……!」
側に控えていたヒルダが血相を変えた。
「転移の魔法です! 何者かがこの場にやって来ます!」
「ふむ……。女、貴様、思い当たることはあるか?」
「……」
リーシェ様は黙り込んでいる。
しかし、その顔は蒼白で、彼女が何らかの企てに関わっていることは一目瞭然だった。
「お母様、何をなさるおつもりですか!?」
ユー様の悲鳴のような声が響いた。
リーシェ様はそれに対して、
「全て、あなたのためなのよ、ユー」
そう言って、引きつった笑いを浮かべた。
壊れた人形のような笑いだ、と私は思った。
次の瞬間、それは現れた。
「ほう……、魔族か」
その魔族は、人間のような格好をしたアリストとも、原始人めいた格好をしたプラトーとも違う異様だった。
硬質な輝きを放つ金属で全身が覆われた巨躯。
全体的に黒い色をしたその魔族は、上半身が人間、下半身が昆虫のような、そんな姿をしていた。
「名乗るがいい、魔族。冥土の土産に喋る栄誉を与える」
「ワシはラテス。三大魔公が一人、ラテスと申す」
ラテスと名乗ったその魔族は、上半身の人間の手で私を指し示した。
いや、私ではない。
その後ろ――本物の教皇様を指さしていた。
「そのおなごの命を刈り取りに参上した。邪魔をしなければ命までは取り申さぬ」
そう言うと、ゆっくりとした歩みで教皇様に歩み寄って行く。
「総員、戦闘隊形! レイ、あなたも応戦なさい! 替え玉の策はもうバレていますわ!」
クレア様が素早く指示を飛ばした。
それに従い、警護の兵達が動き出す。
私も御簾を飛び出して構えた。
先陣を切って、教会の僧兵たちがモーニングスターを振りかぶってラテスに殺到した。
「邪魔じゃ」
ラテスは構えることもなかった。
ただ無造作に、三対ある昆虫の足のうち前二つを薙いだだけ。
それだけで、僧兵たちは壁まで吹き飛ばされた。
「接近戦は控えて魔法で応戦なさい!」
相手の白兵戦力が高いとみるやいなや、クレア様が指示を切り替える。
それに呼応して、警備兵達から魔法弾が撃ち出された。
会談のための広い部屋とはいえ屋内だ。
巨躯のラテスに逃げ場はない。
全ての魔法弾が着弾した。
しかし――。
「邪魔じゃと申しておる」
魔族の歩みは少しも止まらなかった。
立ち上る噴煙の中から、たじろぎもせずに悠々と進み出てくる。
「これならどうでして!?」
クレア様がマジックレイの発射態勢に入っていた。
以前のアリストの時と違い、今度は消耗もない万全の状態だ。
「光よ!」
「闇よ」
放たれた四条の光を、同じく四条の闇が相殺する。
闇の柱はクレア様のマジックレイを完全に相殺しきり、さらにクレア様の元に襲いかかった。
「クレア様、危ない!」
私はクレア様に飛びかかってその身体を倒した。
すぐ頭上を闇の束が通過していく。
それは反対側の壁に直撃し、その一面を粉々に粉砕――いや、消滅させた。
「なんという威力ですの……」
クレア様が呆然と呟いた。
今のラテスの魔法は、明らかにクレア様のマジックレイを上回る威力だった。
「その魔法……お前様がクレア=フランソワか。あのおなごの次はお前様じゃ。順番を待ちなされ」
倒れ伏す私たちを尻目に、ラテスはさらに歩みを進める。
「教皇様!」
「さ、させません」
教皇様の前に、ユー様とリリィ様が立ち塞がった。
他の兵士たちはすっかり戦意を喪失している。
「アイシクルブレイド!」
ユー様が構える剣が、冷たい光を帯びた。
以前説明したこともあると思うが、彼女の戦闘スタイルは魔法剣士――通称氷の王子様、もとい氷の王女様だ。
ユー様はウィンプルを翻して間合いを詰めると、ラテスの前足に向かって切りつけた。
「!?」
しかし、その刃はラテスの足を浅く傷つけただけで止まってしまった。
ラテスは歩みを止めず、そのままユー様を踏み潰そうとした。
「ラテス! 約束ですよ!?」
悲鳴のようなリーシェ様の声に、ユー様を押しつぶそうとしていた足が寸前で止まった。
「そうじゃったな。約束は約束。お前様は見逃す。どこへなりとも行くがよい」
ラテスは足を横に振ると、ユー様の身体を跳ね飛ばした。
リリィ様が慌ててその身体を抱き留める。
「う……」
「ユー様、しっかりして下さい!」
リリィ様が懸命に回復魔法を掛けているが、傷は浅くはないだろう。
これでこちらの戦力はほぼ出尽くしている。
誰もラテスに有効な攻撃を与えることが出来なかった。
ラテスは既に教皇様のすぐ前にまで来ている。
万事休す――誰もがそう思った。
しかし――。
「余の前で好き勝手な真似はさせんぞ、魔族」
腰の鞘から二本の黒剣を抜き放ち、彼女は肉食獣のような笑みを浮かべた。
皇帝ドロテーア。
剣神の二つ名を持つ女傑が、ラテスの前に立ちはだかった。
*Translation below was made possible with the help of Angela. Thanks, Angela.
Ch 153 - Assault
It was finally the day of the conference.
In case you were wondering whether or not the Pope herself would be physically present, our arrangement was that I would be standing behind the curtain while Misha uses her wind magic to deliver the Pope’s voice.
In other words, I was going to be the one attending the conference in person.
Back when Lishe-sama explained the plan to us,
“If Her Majesty Dorothea finds out about this, she will likely be furious, but we have no other choice.”
She said, her tone filled with shame.
Probably because it was not what the Church intended to do.
I was already finished with my preparations and stood behind the curtains.
All that was left was to stay on stand-by and wait for Dorothea to come out.
There were a lot of security officers and soldiers standing around the curtain, including Claire-sama, Lily-sama, Misha and the Pope, who was still disguised as me.
The Pope was standing somewhere by the curtain that was on the other side of Dorothea’s seat.
In other words, from where Dorothea would be sitting, she would not be able to see the Pope move her mouth.
“Her Majesty Dorothea has arrived.”
Dorothea, who finally showed up, was donning her jet-black armor, just like usual.
Perhaps that was what she considered to be her formal wear.
Her cloak flowed behind her as she walked briskly towards her seat and stood in front of it before introducing herself.
“I am Dorothea Naa. I hope something will be able to come out of our conference today.”
She said briefly and she took a seat.
Her attendant appeared to have a pale face, but she herself looked calm and collected.
As always, she was still an egocentric person.
To her, this was probably what she considered to be “rational”.
“I am Claris Répète III. Thank you for having me today.”
The Pope, on the other hand, was the type that would always go at her own pace.
The fact that she didn’t hand out any fake compliments and dropped all diplomatic formalities was probably because she took Dorothea’s personality into consideration.
The Pope continued.
“Before we begin with our discussions, may I ask you something?”
“What is it?”
“Were you the one who sent Sandrine after me?”
The entire meeting hall was shocked at the Pope’s directness.
Even I was quite surprised.
Despite how much Dorothea appreciated straightforwardness, wasn’t this going a little bit too far?
“Hm. So the rumors of somebody coming after your life were true. It wasn’t me…… although, if I said that, would you even believe me?”
“I would. You are not the type of person who would lie.”
This was off to a turbulent start.
The atmosphere of the entire conference hall felt tense.
However,
“Hah……. Hahaha! It seems like the Pope of this generation is quite an amusing person. You’ve caught my interest.”
“Thank you very much.”
Dorothea burst into laughter while the Pope also gave a warm response in return.
All of the representatives for both the Empire and the Church were washed over with relief.
“I’m not interested in taking your life. Right now, my empire doesn’t have enough spare power or resources to make an enemy out of the Church. Your safety is guaranteed during your stay in the Empire.”
“Your words are very reassuring. Now then, let us begin with our meeting.”
Just like how it was previously discussed, I held out my hand from the half-raised curtain.
The Empress reached out and shook it.
Her grip was incredibly strong.
It hurt.
“Hmm……. So that’s how it is.”
The Empress spoke to herself as if she was affirming something.
I wasn’t sure what she was so convinced of, but the Empress was grinning.
After that, the meeting continued without any trouble.
The topics that were discussed included the Pope’s complaints about the Empire’s extremely aggressive policies, and although the room felt a bit tense when the Empress refused to cease her meddling with domestic affairs, they negotiated on it from the beginning all the way to the end.
I felt nervous the whole time, but I didn’t sense any sort of danger in particular.
Right as I thought everything was just about ready to get wrapped up, something happened.
“By the way, Your Holiness, is using a substitute for the leader considered some sort of fashion trend in your culture? I think that’s a bit impolite, even if somebody is after your life.”
The Empress grinned as she spoke, but her words caused the atmosphere of the hall to turn even tenser than it was before.
……. Were we found out?
“What might you be speaking of?”
“Don’t play dumb. Well, it doesn’t really matter. However, there is something that I can’t overlook. To that woman over there, don’t you think it’s strange how your magical tool isn’t working?”
The Empress’ gaze was focused on a single woman.
It was Lishe-sama.
“W-What are you talking about?”
“That ring you’ve been trying to activate up until now - that’s a magical tool, isn’t it? Unfortunately for you, that thing isn’t going to work.”
“Wha-.......!”
“It seems that your hint has come in handy, Rei Taylor.”
Dorothea looked over at the curtain as she laughed.
Lishe-sama distorted her face for a moment before she also glanced over at me.
“Rei…… You……”
“I apologize, Lishe-sama. I replaced the magic conversion tool that you tried to bring with you.”
“!”
Lishe-sama looked enraged.
So she was the culprit after all.
“How did you even know……”
“I had my suspicions from the night Sandrine-san attempted to assassinate me. There was something that you said, Lishe-sama. ‘To think that even a rosary could be used for this’.”
“What was so strange about that?”
“It was weird. I mean, sure, the murder weapon used was a rosary, but I was holding onto it so there was no way you could have seen it, Lishe-sama.”
“B-But there were marks left around your neck.”
“In that case, wouldn’t you normally assume that I had been strangled with something like a rope? Isn’t it strange that you immediately assumed I was attacked with a rosary?”
It was a simple and subtle slip-up, but it was more than enough for me to place my doubts on her.
Upon presenting my evidence against her, Lishe-sama bit her lips in resentment and said,
“I see…… Of course, you’d find out about it. So when you exercised your authority as the Pope back then, was that just out of spite?”
“That wasn’t it. I was really hoping that my deductions were wrong. I wanted to believe in you.”
“How naive. If I were in your shoes, I would’ve sentenced myself to death the moment I had my suspicions.”
“That may be so, but you are still Yuu-sama’s mother.”
“......!”
When those words left my mouth, Lishe-sama looked surprised.
“Let’s end the farce here. Hilda, restrain her.”
“Okay.”
On Hilda’s instructions, the soldiers came forth.
Lishe-sama’s expression looked like she had already given up and provided no ounce of resistance.
However, at that moment,
“No, no, no, that’ll be problematic for me, Lishe-sama.”
A familiar, malicious voice resounded in the hall.
“Salas!”
“Where are you!?”
“Good day to you, Rei Taylor, Claire François. And goodbye.”
Along with Salas’ mockery, a surge of magical power filled the room.
“Hilda, give me an analysis.”
“Got it…… T-This is……!”
Hilda, who was standing by her side, turned pale.
“It’s conversion magic! Somebody’s coming!”
“Hmm…… Hey, lady, does anything come to mind?”
“......”
Lishe-sama remained silent.
However, her face was pale, and it was obvious that she was involved and knew what was about to happen.
“Mother, what are you planning to do!?”
Yuu-sama cried out.
In response, Lishe-sama said,
“Everything is for your sake, Yuu.”
She smiled as she spoke.
Although her smile reminded me of a broken doll.
In the next moment, it appeared.
“Hoh…… A demon, huh?”
Unlike Arist or Plato, who took on the appearances of a human being and a primitive man respectively, this demon looked different.
It had a large frame and its huge body was made out of shiny, hard metal.
The demon, whose body was colored jet-black, had the upper body of a human being, but its lower half was just like a bug’s.
“Give me your name, demon. I’ll leave you with a good memory and grant you the honor to speak.”
“I am Rates. I am one of the Three Great Archdukes, Rates.”
Using the hand on his humanoid upper body, the demon named Rates pointed at me.
No, it wasn’t directed towards me.
He was pointing at the person behind me―― the real Pope.
“I have come to harvest that young girl’s life. As long as you don’t stand in my way, I’ll spare your lives.”
He slowly approached the Pope as he spoke.
“Everyone, get into battle formation! Rei, please help us fight as well! Our body double trick has been discovered already anyway!”
Claire-sama immediately started giving instructions.
All of the security bodyguards sprung into action accordingly.
I jumped out from behind the curtain as well.
At the forefront, the Church’s priest soldiers brandished their morning stars and bombarded Rates.
“You’re in the way.”
Rates did not set up for a counterattack.
Instead, using the front two out of three of his insect feet, he managed to cut them down.
Just with that, the priest soldiers were blown to the wall.
“Refrain from fighting close-quarters and attack with your magic instead!”
Seeing that the enemy’s melee strength was quite high, Claire-sama revised her instructions.
Following her orders, the guards started firing magical bullets instead.
Although the meeting hall was rather large, we were still indoors.
There was no room for somebody whose body was as large as Rates’ to escape.
All of the magical bullets landed on him.
However――
“Didn’t I just say you were in the way?”
It did not stop the demon from moving forward at all.
He did not falter whatsoever as he walked out of the plumes of smoke.
“What about this!?”
Claire-sama was prepared to fire her magic rays.
Unlike last time when she was fighting against Arist, she was in perfect condition and not worn out.
“Light!”
“Darkness.”
When she fired her four light rays, he countered it with four beams of darkness.
The pillars of darkness completely overtook Claire-sama’s magic rays and was headed straight for her.
“Claire-sama, look out!”
I jumped towards Claire-sama and knocked her down.
The beams of darkness flew over our heads immediately after.
It hit the wall on the opposite side and completely obliterated it into small pieces.
“What amazing power……”
Claire-sama murmured, stunned.
It was clear that Rates’ strength was far more powerful than Claire-sama’s magic rays.
“That magic…… You must be Claire François, huh. After I get that other girl, I’ll be coming for you next. Wait your turn in line.”
He gave us a backward glance as he walked by us while we were still on the ground.
“Your Holiness!”
“I-I won’t let you.”
Yuu-sama and Lily-sama were standing in front of the Pope.
All of the other soldiers had already lost the will to fight.
“Icicle Blade!”
A cold light encased Yuu-sama’s sword.
As I may have explained it before, she was a magic swordswoman―― with her former nickname being the Prince of Ice, now known as the Princess of Ice.
Yuu-sama flipped her wimple as she narrowed the gap between herself and Rates and slashed his front feet.
“!?”
However, the blade was only able to inflict a shallow injury on Rates’ feet.
Rates did not stop walking forward and tried to crush Yuu-sama on the spot.
“Rates! Didn’t we make an agreement!?”
When Lishe-sama cried out, he stopped herself from delivering the blow to Yuu-sama.
“Oh, that’s right. I have to keep my promises. I’ll let you off. You’re free to go.”
Rates shook his feet and kicked Yuu-sama aside, sending her body flying.
Lily-sama hurriedly rushed over to try and catch her.
“Ah……”
“Yuu-sama, hang in there!”
Lily-sama desperately tried to heal her with recovery magic, but her wounds were probably deep.
With this, our forces were almost completely wiped out.
No one was able to land any attacks that were effective against Rates.
Rates was already standing right before the Pope.
There was nothing more that could be done―― that was probably what everybody was thinking.
However――
“As long as I am standing before you, I won’t let you have your way, demon.”
The woman pulled out two black swords from each side of her hips and smiled like she was about to hunt down her prey.
It was Empress Dorothea.
A heroine whose second name was widely known as the “God of the Sword” stood right before Rates.