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※The English version is also below.

※한국어판도 밑에 있어요.

※下面还提供了简体字。


「無駄な悪あがきはやめなさいな、クレマン!」

「大口を叩くな、小娘。いくら大局的には追い詰められようと、事この局面においては儂の方が有利。お前にこの盤面を覆せるか?」

「……くっ!」


 やられました。

 わたくしたちは確かな証拠さえ突きつけ、その罪を確定させればそれで終わりだろうと思っていました。

 ですが、甘かったのです。

 クレマンはロセイユ陛下の命を狙い、あまつさえそれを手土産にどこかへ逃げ去ろうという心づもりのようです。

 陛下の御首を手土産に喜ぶような相手と言えば、その候補は恐らく――。


「クレマン、あなた帝国と通じていたんですのね!」

「侮るな、小娘。帝国なぞバルリエと同じく儂の商いの相手に過ぎん。それを通じるなどと言われてはの」

「クレア様、お下がり下さい!」

「離しなさい、レイ! 陛下のお命が危機にさらされているのに、黙って見ているわけには行きませんわ!」


 陛下だけではありません。

 この場には周辺各国から招いた著名人や文化人、それに政治家たちもいるのです。

 このままではクレマンを捕らえるどころではなくなってしまいます。


「陛下、ここは私に任せてお逃げ下さい」

「セイン……」

「御身はこのバウアーになくてはならぬ方。ここでクレマンごとき外道に害される訳には参りません」

「……セイン、お前はもしや――」

「さあ、お早く」

「……任せる」


 貴賓席ではセイン様がロセイユ陛下を逃がそうとしているようでした。

 数少ない近衛兵のほとんどを陛下の供に回し、自分の身は自分で守る、という心づもりのようです。


「……全く、セイン様ったら健気ですこと!」


 近づいて来たクレマンの私兵を手加減しつつ焼き払いながら、わたくしは苦笑しました。

 セイン様は恐らく例の噂から、ご自身の出生に疑いを持っているのでしょう。

 つまり、ロセイユ陛下は本物の父ではないかも知れないという疑念があるはずなのです。

 それでも、セイン様の選択はああでした。

 彼の陛下に対する敬愛は、単なる血縁以上に深くて重いものだということです。


「それに比べて、あの者のなんて浅ましいこと!」


 クレマンは舞台の上の音楽家たちを人質に取り、自分は壇上で高みの見物を決め込んでいるようです。

 動いているのは私兵たちのみ。

 彼らだって恐らく、クレマンに何かしら弱みを握られているのだとわたくしは感じていました。

 そうでなければ、手加減などせず全力で焼き払っているところです。


「粘るな、小娘ども。だが、そこまでだ。セイン王子、あなたもだ」


 低く声が響きました。

 つられて舞台を見れば、クレマンはロレッタに短剣を突きつけていました。


「一歩でも動けば、この娘を殺すことにしよう」

「やってみなさい。その瞬間にあなたを焼き尽くして差し上げますわ」

「出来るかね? この人間の盾をかいくぐって?」

「……この外道」

「老獪というのだよ、これは」


 皺を深くして笑うクレマンの姿は、醜悪そのものでした。

 本来であればロレッタほどの使い手が、大人しく人質になるはずがありません。

 ですが、今の彼女は丸腰です。

 手荷物検査をかいくぐって、せめて魔法杖の一本でも持たせることが出来ていたら……。

 クレマンが短剣を持ち込んでいるのは、当然、不正でしょう。


「クレア様、私に構わずクレマンを討って下さい」

「何を馬鹿なことを言っていますの」

「クレア様のためなら、私、死んでも構いません」

「いいわけないでしょう! 必ず助けますから、あなたは少し黙っていなさい」

「黙りません!」

「!?」


 その叫びはとても悲痛で、わたくしは少し動揺しました。


「やはり小娘は小娘よな、ミリアの娘。クグレットの娘が何を言っているか分からんと見える」

「……あなたには分かるとでも?」

「分からいでか。こやつは貴様のことを好いているのよ。気付かなんだか」

「!? ロレッタ……あなた……」

「すみません、クレア様。私なんかが好きになってしまって。でも、あなたにもしものことがあったら、私……」


 ロレッタはそう言うと俯いてしまいました。

 陰になって見えないその顔から、光るものが流れ落ち絨毯を濡らします。


「さあ、小娘、諦めよ。なに、この場限りの引き分けよ。大局的には既に儂の負けだ――この国ではな。だが、貴様との決着はまたそのうち、の」

「逃がすと思いますか?」

「平民、貴様にも何も出来まい」

「私はロレッタ様なんてどうでもいいです。なんならセイン様やロセイユ陛下も」

「レイ!?」


 とんでもないことを言い出したレイに、わたくしは思わず目を剥きました。


「だからこそよ。貴様の優先順位はフランソワの小娘であろう?」

「耄碌してとち狂ってる割にはよく分かってるじゃないですか」

「そうとも。ここで儂を仕留めたとして、フランソワの小娘が大事にしておる者たちが死ねば、貴様が小娘から決定的に信頼を失うこともな」

「……クソジジイ」

「言っただろう。これが老獪というものだ」


 レイですら、かの老人の手の中だというのでしょうか。

 何か……何か方法はありませんの……!


「全員、そのままでな。兵ども、逃げたロセイユを追え。儂は――」

「と、いうわけで、そろそろ良いでしょ、ピピ?」

「ええ、ロレッタ」


 何ごとか、と誰もが思ったその瞬間――。


「天使の咆哮(エンジェル・ハウリング)!」


 質量を伴うような重低音が響き、わたくしを含めその場にいた全ての人間が膝を着きました。


「な……これは……!」

「はい、今度こそチェックメイト……で、いいのよね、ロレッタ?」

「うん」


 まだ立てないでいる――どころか、何が起きたのかさえ分からずにいるクレマンを、ロレッタが近くにあったコントラバスの弦で縛り上げました。


「ば、バルリエ家の小娘……貴様、一体何を……!」

「ヘイトクライってありますよね。ご存じないですか、クレマン様?」

「は、はあ?」

「今のは楽器でそれを再現したものです。ここまで広範囲かつ高出力になるとは、ちょっと思っていませんでしたけれど」


 ピピはニコニコしながら手の内を明かしました。

 ヘイトクライは魔物が使う一種の威嚇咆哮で、無防備な状態でこれを受けると、一時的な行動不能状態に陥ります。

 レレアの母親が使ったものと同じですわね。

 ピピはそれを模した魔法を使ったというのです。


「な……では、その楽器は……?」

「ええ、魔道具ですよ。ちょっと偽装してますけれどね」


 てへ、と舌を出したピピは、まるで悪戯が成功した子どものようでした。


「こんな……こんなことで……この儂が……」

「ええ、終わりです」

「バカな……! 兵ども、何をしている! 早く立って何とかせぬか!」


 往生際悪くクレマンが檄を飛ばしますが、それに答える者は誰一人いませんでした。

 クレマンが捕まったと見ると、私兵たちは一人、また一人と自ら投降して行きました。

 脅しや弱みにつけ込む形でしか人を使えなかった老人の、それはそれは憐れな末路であると言えました。


「お手柄ですわね、二人とも!」


 ピピの魔法から立ち直ったわたくしは、舞台に駆け上がると二人を抱きしめました。


「痛い痛い! 痛いですよ、クレア様!」

「これくらい我慢なさい。あんな小芝居までして。心配したんですのよ?」

「小芝居、ですか?」

「ほら、わたくしが好きとかなんとかいう」


 あれも当然、演技なのだろうと思っていると、


「……はぁ」

「何ですのよ、その溜め息は?」

「同情します、ロレッタ様」

「流石にもう叶わぬ恋だね、これは」

「ロレッタには私がいるでしょ?」

「えっ?」

「えっ?」

「えっ?」

「えっ?」


 と、新たな火種が生まれつつあったところに、


「皆の者、よくやってくれた」

「陛下!」


 貴賓席から降りてきたロセイユ陛下の登場に、一同が一斉に膝を折った。


「よい。此度の働き、誠に見事であった。特にバルリエの娘とクグレットの娘。そなたら二人の働きについては、特別厚く報いてやらねばな」

「そんな!」

「もったいないお言葉です!」


 ピピとロレッタは陛下の言葉に恐縮しきってしまいました。


「クレア=フランソワ、レイ=テイラー、リリィ=リリウム」

「はっ」

「はい」

「は、はい!」

「そなたらの報告では、バルリエ家には人身売買への関与の件で、罪状減免の嘆願があったな?」

「左様にございます、陛下」

「前向きに検討しよう。引き続き、特務官の任に当たって欲しい」

「かしこまりました」


 陛下は頷くと、近衛兵たちを連れてホールを退出なさいました。


「それにしても、危なかったですね」

「レイですら、やり込められることがあるんですのね」

「あれは私と同類ですから」

「ど、同類?」

「目的のために手段を選ばないタイプです」

「あ、あー……」


 レイの説明にリリィ様は納得しかかっていましたが、


「全然違いますわよ」


 わたくしはきっぱりと否定しました。


「どこがです?」

「レイはそもそもの目的が邪悪だったりしませんもの。全然違いますわ」

「……ほら、ね、ロレッタ?」

「こっちはちゃんと分かり合ってるんだね」

「何のことですの?」

「何でも!」

「クレア様のバカってことです!」

「えええ!?」


 そんな会話をして、ひとしきり笑っていると、視界の隅に映るものがありました。

 わたくしは会話を切り上げると、その人物の後を追いました。



*Translation below was made possible with the help of Sephallia. Thank you so much Sephallia.


75. Settling the Score


“That’s enough, Clément, you know it’s useless to resist!”

“No, that’s quite enough from you, little girl. You may have cornered me with your evidence, but it is obvious which of us truly has the advantage here and now.”

“… Krh!”


This wasn’t good. I thought that so long as I acquired certain evidence, presented it and made his crimes known, that would spell his end. However, that line of thought was too soft of me. Clément was willing to go so far as to go for King Rousseau's head, and, as if that weren’t enough, deliver that head as a souvenir to wherever he intended to flee. If I had to think of who might be happy with such a present, that would have to be―


“Clément, you’re with the Empire, aren’t you!”

“Hmph, you think too little of me, little girl. The empire is but the same as the Barlier over there, nothing more than someone to do business with. To think that you thought that I was, ‘with’, them.”

“Claire-sama, step back!”

“Rei! Let go of me! His Majesty’s life is in danger, there’s no way that I can just sit here and watch!”


It wasn’t just His Majesty either. All of the prominent figures from our neighboring countries, including their diplomats, were all in danger. At this rate, there would be a much larger problem at hand than just capturing Clément.


“Your Majesty, please leave this to me and go.”

“Sein…”

“You are an existence that Bauer needs. You must not allow yourself to come into harm here, by a fiend like Clément.”

“… Sein, could it be you―”

“Please, go quickly.”

“… I’ll leave this to you.”


From the VIP gallery, Sein-sama was doing what he could to allow King Rousseau to escape. He sent most, if not all of their guards to escort the King, thus leaving Sein-sama to fend for himself.


“… Goodness, Sein-sama is so gallant!”


I used my fire magic to put down Clément’s soldiers as they approached. Without my wand, the potency of my magic was already stunted, but even then I held myself back. Even as I did so, I wore a bitter smile. In all likelihood, Sein-sama had heard the various rumors, and now held doubts about his origins. In other words, he might not even be sure whether or not King Rousseau is truly his father. And yet, Sein-sama’s choice was clear. His love and respect for the King ran much deeper, much thicker than blood alone.


“In comparison, just how wretched can this weasel be!”


Up on the stage, Clément had taken the musicians hostage, looking on at the situation here as a distant observer. The ones doing all of the work were his soldiers. And, in all likelihood, those soldiers were only doing this because Clément had dirt on them and was using that against them. It was only because I felt that way that I was holding back, otherwise I’d just reduce them to ashes.


“You girls are rather stubborn. However, it’s the end of the line. Prince Sein, that goes for you as well.”


Clément’s low voice echoed through the hall. When I looked up at the stage, I saw Clément holding a dagger to Loretta’s throat.


“If you take even another step, I’ll kill this girl.”

“Just try. When you do, I’ll be the one to burn you to the ground.”

“Can you really? Even through this human shield?”

“… You’re absolute filth.”

“I call it my sly wisdom.”


When Clément-sama laughed and his wrinkles contorted and deepened, he looked like the personification of wickedness. Under normal circumstances, someone as proficient in the martial arts such as Loretta would never allow themselves to so easily be taken hostage, but right now she was entirely unarmed. If only she could have taken her wand with her, to the very least… Clément should not have had a dagger with him either, but as the organizer he had his ways around that.


“Claire-sama, don’t worry about me and just do it!”

“Just what do you think you’re saying!?”

“If it’s for you, Claire-sama, I wouldn’t mind it even if I died.”

“Absolutely not! I’ll be sure to find a way to save you, so you just be quiet for now.”

“I won’t!”

“!?”


Her scream just then was so grief stricken that for a moment I was taken aback.


“In the end, the little girl is but a little girl. Milia’s daughter, don’t you understand what the Cugletto girl is trying to say? It appears you don’t.”

“… And you suggest that you do?”

“Hah, as if I wouldn’t. This one here seems to have taken quite the liking to you. How haven’t you noticed?”

“!? Loretta… You…”

“I’m sorry, Claire-sama… That someone like me fell in love with you. However, just thinking that something might happen to you here, I…”


Loretta faced downward as she spoke. Her face had gone dark and I couldn’t make out her expression, but I could see something sparkle as it trickled down her cheek before falling onto the carpet.


“Now, little girl, give it up. Think of it as a temporary draw, just for right now. Broadly speaking, I’ve already lost―to the very least here in this kingdom. However, I will make sure to settle the score with you sooner or later.”

“Do you really think we’d just let you go?”

“Hmph, commoner, there’s nothing that you can do here either.”

“Loretta means nothing to me. In fact, neither Sein-sama nor King Rousseau do either.”

“Rei!?”


My eyes opened wide in shock in response to Rei’s incredulous statement.


“That is precisely why. Your top priority is always the little miss François, isn’t it?”

“Even as decrepit and senile as you seem, you understand pretty well, don’t you.”

“That’s right. Even if you do manage to take me down here, if those important to the little girl were to die, there is no doubt that you’d be betraying her trust.”

“… Damned geezer…”

“Just like I’ve said, sly wisdom.”


Was even Rei simply in the palm of this old man’s hands? Something… Isn’t there something…!?


“Alright everyone, remain as you are. My soldiers, go after King Rousseau. I will―”

“And so, don’t you think we’ve waited long enough, Pipi?”

“Yeah, Loretta.”


In that moment as everyone wondered what was happening―


“Angelic Howl!”


A bass note so low that one could physically feel its weight echoed, causing I, and everyone else here to drop to their knees.


“What… This…!”

“Alright, so this time it really is checkmate… Right Loretta?”

“Yeah.”


Loretta approached Clément, who was still unable to stand―and more than that, still didn’t have a clue what was happening―and tied him up using the string of a nearby contrabass.


“Y-You, the Barlier girl… Just what did you…!”

“There’s something called the Hate Cry, are you aware of it, Clément-sama?”

“Huh?”

“Just now I reproduced that very Hate Cry with an instrument. Though I didn’t expect for it to affect such a wide area or be so effective.”


With a grin, Pipi revealed the ace up her sleeve. The Hate Cry she mentioned was a howl that monsters often used as a way of intimidation. If one is caught off guard by it, they will be rendered unable to move. It’s one and the same as the one that Relaire’s mother had used in the past. It would appear that Pipi replicated that as a spell.


“What… Then that instrument is…?”

“Why yes, it’s a magic artifact. I did dress it up a bit though.”


Pipi stuck her tongue out with a teehee, almost like a little kid who had successfully pranked someone.


“No… Because of something like this… I…”

“That’s right, it’s over.”

“Impossible…! My army, just what are you doing! Hurry and stand and do something!”


Clément, the poor sport he is, shouted with all his might, but no one responded. Now convinced that Clément had been caught, his private army surrendered one after another. It spelled a pitiful end for this old man, who had only ever taken advantage of others and threatened them to do his bidding.


“What an achievement, you two!”


After Pipi’s magic had worn off and I could stand back up, I rushed up onto the stage and hugged them both.


“Ow, ow! It hurts, Claire-sama!”

“Oh, you’ll have to put up with at least this. After that little act you did, you made me worry so much!”

“An act… You say?”

“Yeah, like when you said you had fallen for me and such.”


I thought that, of course, it had all just been an act.


“… Sigh…”

“What is it, why are you sighing?”

“You have my sympathies, Loretta-sama.”

“This really was a love never meant to be.”

“I mean, Loretta will be fine because she has me, right?”

“”””Eh?””””


Just as a new chaos was about to spread,


“Everyone, you’ve done very well.”

“Your Majesty!”


When King Rousseau stepped down from the VIP gallery and appeared before us, we all kneeled.


“Be at ease. You all handled this situation marvelously. Especially the girls from House Barliet and House Cugletto. I must see to it that you are both rewarded in kind.”

“Not at all!”

“Your kindness is wasted on us!”


Pipi and Loretta both shrunk back in response to His Majesty’s praise.


“Claire François, Rei Taylor, Lily Lillium.”

“Sire.”

“Yes.”

“Y-Yes!”

“In your report, you appealed for House Barlier to have its sentence for participating in human trafficking reduced, isn’t that right?”

“That is correct, Your Majesty.”

“I will certainly consider it. I ask that you all continue your work in your investigation.”

“Understood.”


His Majesty gave us one final nod before leaving with his imperial guards.


“But well, that really was quite the pinch wasn’t it.”

“It was quite the surprise. Rei, I never would have thought there were situations where even you’d be at a complete loss.”

“Well, that’s because he and I are the same kind of people.”

“T-The same?”

“If there’s something we really want, we’d do whatever it takes.”

“A-Ah…”


Lily-sama seemed to be satisfied with Rei’s explanation, but,


“You’re not at all the same.”


I flatly denied it.


“What’s different then?”

“In the first place, Rei, your goals aren’t malicious. You’re entirely different.”

“… Hey, see that, Loretta?”

“They really do understand each other, don’t they.”

“Just what do you mean!”

“Oh nothing!”

“Just that Claire-sama is an idiot!”

“Eehhh!?”


As we shared that exchange and had a moment of laughter, I saw someone just in the corner of my periphery. Wrapping up the conversation, I rushed after them.



*아래의 번역은 "와타오시 번역"의 협력으로 실현되었습니다.고마워요, "와타오시 번역"


75. 결착


“헛된 발버둥은 그만두세요, 클레망!”

“건방진 소리 하지마라, 계집. 큰 틀에서 보면 궁지에 몰린 게 맞지만 지금 이 국면만 놓고 보면 이 몸이 유리하지. 네가 이 상황을 뒤집을 수 있겠느냐?”

“……큭!”


당했습니다.

우리는 확실한 증거를 들이밀어서 유죄임을 밝히면 모든 게 끝날 거라고 생각했습니다.

하지만 그건 너무 얕은 생각이었어요.

클레망은 로세이유 폐하의 목숨을 노리고 있고, 그걸 전향 선물로 삼아 타국으로 몸을 빼려는 속셈인 모양입니다.

폐하의 목을 선물로 받고 기뻐할만한 상대라면 그건 분명——.


“클레망, 당신 제국의 앞잡이였군요!”

“나를 얕보지 마라 계집. 제국이야 발리에 가문과 마찬가지로 내 거래 상대에 불과해. 그걸 앞잡이라는 단어로 표현하면 안 되지.”

“클레어 님, 물러나주세요!”

“이거 놓으세요, 레이! 폐하의 목숨을 위협하고 있는데 잠자코 지켜보고 있을 수는 없어요!”


폐하만 있는 게 아닙니다.

이 자리에는 주변 나라에서 초청을 받아 온 저명인사들과 문화 예술계 인물들, 그리고 정치인들도 있습니다.

이대로라면 클레망을 붙잡느니 마니가 문제가 아닙니다.


“폐하, 이곳은 제게 맡기고 도망쳐 주십시오.”

“세인…….”

“폐하께선 이 바우어에 없어선 안 될 분. 클레망 같은 비열한 자에게 옥체가 상하셔서는 안 됩니다.”

“……세인 그대는 혹시——.”

“자, 어서.”

“……뒤를 맡기마.”


귀빈석에서는 세인 님이 로세이유 폐하를 피난시키려고 하는 모양입니다.

몇 안 되는 근위병들은 대부분 폐하의 호위로 돌리고서, 세인 님 본인은 자신의 실력으로 스스로를 지키겠다는 생각인 걸로 보였습니다.


“……정말이지, 세인 님도 참 대단하신 분이라니까요!”


다가오는 클레망의 사병들을 적당히 죽지 않을 만큼 불로 태워주면서 쓴웃음을 지었습니다.

세인 님은 아마 요즘 들려오는 소문을 듣고 자신의 출생의 비밀에 의문을 품고 있는 거겠죠.

다시 말해 로세이유 폐하가 진짜 친아버지가 아닐지도 모른다는 의심이 있을 게 분명합니다.

그런데도 보다시피 세인 님의 선택은 흔들림이 없었습니다.

세인 님이 폐하에게 바치는 경애는 혈연을 넘어서는 깊고 커다란 마음이라는 뜻입니다.


“그에 비해서 저 자는 한심천만이군요!”


클레망은 무대 위에 올라가 있던 음악가들을 인질로 잡은 채로 단상 위에 서서 강 건너 불구경마냥 여유로운 태도입니다.

직접 움직이는 건 사병들뿐.

사병들도 아마 클레망한테 무언가 약점을 잡혔을 거라는 느낌이 들었습니다.

그런 느낌이 없었더라면 인정사정없이 전력을 다해 불태워버렸겠죠.


“잘도 버티는구나, 계집들. 하지만 그것도 끝이다. 세인 왕자, 당신도 마찬가지야.”


낮은 목소리가 울려 퍼집니다.

그 목소리에 고개를 돌려 무대를 보자 클레망은 로렛타에게 단검을 들이대고 있었습니다.


“한 발짝이라도 움직이면 이 꼬맹이를 죽이도록 하지.”

“어디 해보세요. 그 순간 당신을 잿더미로 만들어드리겠어요.”

“할 수 있을까? 이 아이를 방패로 삼더라도?”

“……이 비열한.”

“이건 비열이 아니라 노련하다는 거다.”


깊이 파인 주름을 일그러트리며 웃는 클레망의 모습은 추악하기 그지없었습니다.

원래 같으면 로렛타 같은 실력자가 저렇게 쉽게 인질로 붙잡힐 리가 없습니다.

하지만 지금은 무기 하나 없는 맨손입니다.

하다못해 소지품 검사를 피해서 마법지팡이 하나만이라도 갖고 있었더라면…….

지금 클레망이 단검을 가지고 있는 것도 몰래 반입해 들여온 거겠죠.


“클레어 님, 저는 신경 쓰지 마시고 클레망을 공격해주세요.”

“무슨 바보 같은 소리를 하는 거예요.”

“클레어 님을 위해서라면 목숨을 잃더라도 괜찮습니다.”

“괜찮을 리가 없잖아요! 반드시 구해줄 테니까 당신은 얌전히 있으세요.”

“얌전히 있을 수는 없어요!”

“?!”


비통함을 담은 절절한 외침에 살짝 동요했습니다.


“역시 계집은 계집에 불과하구나, 밀리아의 딸. 크글렛의 여식이 무슨 소리를 하는 건지 이해하지 못한 눈치로군.”

“……당신은 알고 있다는 건가요?”

“모르겠다면 알려주지. 이 녀석은 너를 좋아하는 거라고. 그것도 눈치채지 못하는 거냐.”

“?! 로렛타…… 당신…….”

“죄송합니다, 클레어 님. 저 같은 게 클레어 님을 좋아하게 되다니. 그래도 당신에게 무슨 일이라도 생긴다면 저는……”


로렛타는 그 말과 함께 고개를 푹 숙였습니다.

그늘이 진 탓에 보이지 않는 얼굴에서 반짝이는 물방울이 떨어져 융단을 적십니다.


“자아, 그만 포기해라. 뭐 어떠냐, 어디까지나 이 상황에선 비긴 거 아니냐. 크게 보면 이미 내 패배야—— 이 나라에서는 말이지만. 네 녀석과는 언젠가 다음에 결판을 내주마.”

“도망칠 수 있을 것 같습니까?”

“평민, 네 녀석도 할 수 있는 건 없겠지.”

“저는 로렛타 님이야 어떻게 되든 상관없습니다. 상황에 따라선 세인 님이나 로세이유 폐하도요.”

“레이?!”


어처구니없는 소리를 꺼내는 레이를 향해 저도 모르게 눈을 부릅떴습니다.


“그러니 더욱 그렇지. 네 녀석의 우선순위는 프랑소와의 계집이겠지?”

“늙어서 노망이 든 것 치고는 잘 알고 계시는군요.”

“그렇고말고. 여기서 나를 붙잡더라도 프랑소와가의 계집이 소중히 여기는 사람들이 죽는다면 네 녀석이 결정적으로 신뢰를 잃게 될 거라는 것도 잘 알지.”

“……썩을 할아범.”

“말했을 텐데. 이게 노련함이라는 거다.”


레이마저도 저 노인의 손바닥 위에서 놀아나고 있는 걸까요.

뭔가…… 뭔가 좋은 방법은 없는 건가요……!


“다들 그대로 얌전히 있도록. 병사들이여 도망친 로세이유를 쫓아라. 나는——”

“자, 이렇게 됐으니 슬슬 괜찮겠지? 피피.”

“그래요, 로렛타.”


이 자리에 있는 모두가 갑자기 무슨 소릴까, 하는 생각을 떠올린 그 순간——.


“천사의 포효(엔젤 하울링)!”


마치 질량을 띤 듯한 묵직한 중저음이 울려 퍼지자, 저를 포함한 이 자리의 모든 사람들이 바닥에 무릎을 꿇었습니다.


“뭣…… 이건……!”

“네, 이번에야말로 체크메이트…… 인걸로 봐도 되는 걸까? 로렛타?”

“응.”


여전히 자리에서 일어나지 못하고 있는—— 그 이전에 무슨 일이 일어난 건지조차 이해하지 못하고 있는 클레망을 향해 로렛타가 다가가 옆에 있는 콘트라베이스의 현으로 포박했습니다.


“바, 발리에 가문의 계집…… 네 녀석, 대체 무슨 짓을……!”

“헤이트 크라이라는 기술이 있죠. 알고 계신가요, 클레망 님?”

“뭐, 뭣이라?”

“지금 건 악기로 헤이트 크라이를 재현한 마법이에요. 이 정도로 범위가 넓고 출력이 대단할 거라고는 저도 약간 예상 밖이었지만요.”


피피는 싱글벙글 웃으면서 어떤 수법이었는지 설명했습니다.

헤이크 크라이란 마물이 사용하는 위협용 포효로, 무방비 상태에서 당했을 경우 일시적으로 행동불능 상태에 빠집니다.

레레어의 엄마 슬라임이 사용했던 것과 똑같은 마법이군요.

피피는 그걸 모방해서 발현한 겁니다.


“그렇…… 다는 건, 그 악기는……?”

“네, 마도구예요. 살짝 위장을 가하긴 했죠.”


데헷, 하고 혀를 쏙 내미는 피피의 모습은 마치 장난에 성공한 어린아이 같았습니다.


“이런…… 이런 걸로…… 이 몸이…….”

“네, 끝이에요.”

“바보 같은……! 병사들, 뭐하고 있나! 빨리 일어서서 어떻게든 하지 못하겠나!”


클레망은 이 상황에서도 마지막 발버둥으로 마구 소리를 질렀지만 거기에 응답하는 사람은 아무도 없었습니다.

클레망이 붙잡힌 걸 보자, 사병들은 하나 둘씩 투항하기 시작했습니다.

약점을 쥐고 협박하는 방식으로밖에 사람을 다룰 줄 모르던 노인의 참으로 가련한 말로가 아닐 수 없었습니다.


“두 사람 다, 훌륭한 솜씨였어요!”


피피의 마법에서 풀려난 저는 무대 위로 뛰어 올라가 두 사람을 껴안았습니다.


“아파아파! 아프다고요, 클레어 님!”

“그 정도는 참으세요. 그런 연기까지 하고는. 엄청 걱정했다고요.”

“연기요?”

“그 있잖아요, 저를 좋아한다느니 뭐니.”


그것도 당연히 연기였을 거라고 짐작하고 있었더니,


“……하아.”

“뭔가요, 그 한숨은?”

“동정합니다, 로렛타 님.”

“그래…… 이 정도면 이룰 수 없는 사랑이라고 봐야겠네.”

“괜찮아, 로렛타한테는 내가 있잖아?”

“엑?”

“어?”

“네?”

“엣?”


그렇게 새로운 불씨가 타오르기 시작하려는 참에,


“모두들, 잘 해주었다.”

“폐하!”


귀빈석에서 내려온 로세이유 폐하의 등장에 다들 일제히 무릎을 꿇었습니다.


“됐다. 이번 일은 참으로 훌륭했다. 특히 발리에 영애와 크글렛 영애. 그대들의 공로에는 특히나 커다란 포상을 내려야겠구나.”

“포상이라니요!”

“황공한 말씀입니다!”


피피와 로렛타는 폐하의 말에 어쩔 줄 몰라는 모습이었습니다.


“클레어 프랑소와, 레이 테일러, 릴리 릴리움.”

“넵.”

“네.”

“네, 네에!”

“그대들의 보고로는 지금 발리에 가문에게는 인신매매에 가담한 일에 대한 감형 탄원이 있었지?”

“말씀하신대로입니다, 폐하.”

“긍정적으로 검토하도록 하마. 앞으로도 특무관으로서 계속 힘써주길 바란다.”

“명을 받들겠습니다.”


폐하는 한번 끄덕이고서 근위병들을 이끌고 홀에서 나갔습니다.


“그건 그렇고 하마터면 큰일 날 뻔했네요.”

“레이도 그렇게 옴짝달싹 못할 때가 다 있었군요.”

“저 자는 저와 동류니까요.”

“도, 동류요?”

“목적을 위해선 수단을 가리지 않는 타입입니다.”

“아, 아아…….”


레이의 설명에 릴리는 납득한 기색이었지만,


“전혀 달라요.”


저는 딱 잘라 부정했습니다.


“어느 부분에서요?”

“레이는 애초에 목적부터가 사악하거나 하지 않아요. 그러니 전혀 달라요.”

“……저거 봐, 그치? 로렛타?”

“이쪽은 서로를 완벽하게 이해하고 있는 거네.”

“무슨 소리예요?”

“아무것도 아니에요!”

“클레어 님이 바보라는 뜻이에요!”

“네에에?!”


그런 대화를 나누며 한바탕 웃고 떠들었더니 시야 한구석에 문득 눈에 들어온 사람이 있었습니다.

저는 하던 대화를 멈추고서 서둘러 그 사람의 뒤를 쫓았습니다.



*以下的文章由大狗Dagou为我们翻译。大狗Dagou,谢谢你。


第75话 结束


“不要再做无谓的挣扎了,克列蒙特!”

“少说大话了,小丫头。不管从大局上来说我被逼成什么样子,当前也是我占优势。难道你能扭转当下的局面吗?”

“……唔!”


我被呛住了。

我以为只要拿出确凿的证据,把罪名定下来就可以了。

但是我太天真了。

克列蒙特似乎是想以洛赛尤陛下的性命为目标,把它当作礼物送出去后潜逃。

要说能把陛下的首级当成礼物并为此感到高兴的人,那恐怕只有——


“克列蒙特,你和帝国私通了啊!”

“别小瞧我,小丫头。帝国就像巴利埃家一样,不过是我做生意的对象而已。说什么‘私通’。”

“克莱尔大小姐,不要再上前了!”

“放开我,蕾!陛下的生命受到了威胁,我不能就这样坐视不管!”


不仅仅是陛下。

在场还有来自周边各国的名人、文人以及政治家。

这样下去就无法抓住克列蒙特了。


“陛下,这里就交给我吧。”

“赛因……”

“您是鲍尔不可缺少的存在,不能在此处被克列蒙特这种不正之人所陷害。”

“……赛因,你难道—”

“好了,请快点。”

“……交给你了。”


贵宾席上,赛因大人似乎想让洛赛尤陛下逃走。

为数不多的近卫军都被派往陛下的身边了。自己的身体由自己来保护,赛因大人大概是这么想的吧。


“……真是的,赛因大人真坚强啊!”


一边手下留情地对靠近这边的克列蒙特私兵放出火焰,我一边苦笑道。

因为那个传闻,赛因大人大概对自己的出身产生了怀疑吧。

也就是说,应该会怀疑洛赛尤陛下是否真的是自己的父亲。

尽管如此,赛因大人还是做出了那样的选择。

他对于陛下的敬爱,超越了单纯的血缘关系,刻骨铭心,深沉无比。


“相比之下,那家伙实在是太肤浅了!”


克列蒙特把舞台上的音乐家们当成人质,自己站在一旁看热闹。

行动的只有底下的私兵。

我觉得他们大概也是被克列蒙特抓住了什么把柄吧。

如果不是这样的话,我一定会毫不留情地放出火焰。


“真缠人啊,小丫头们。不过,也就到此为止了。赛因王子,你也是。”


低沉的声音响起。

随着声音看了一眼舞台上,克列蒙特正手持短剑指着洛蕾塔。


“再敢上前一步,我就杀了她。”

“敢的话你就试试啊。我会立刻把你燃烧殆尽。”

“真的可以吗?透过这个人肉盾牌?”

“……卑鄙无耻。”

“这就叫老奸巨猾啊。”


满脸皱纹笑着的克列蒙特,真是丑陋之极。

本来以洛蕾塔的实力,是不可能老老实实当人质的。

但是,现在的她手无寸铁。

如果不是因为安全检查,至少能让她拿一根魔杖的话就好了。

克列蒙特居然能把短剑给带进来,想必是走了什么后门吧。


“克莱尔大小姐,请不要管我,制服克列蒙特吧。”

“你在说什么傻话啊!”

“为了克莱尔大小姐的话,我就是死掉也无所谓。”

“不可能的!我一定会救你的,不要说这种话了。”

“我不要!”

“!?”


这悲痛的声音,让我有些许动摇。


“小丫头果然就是小丫头,米莉亚之女啊。看来你连库格雷特的女儿在说些什么都不明白。”

“……说得一副你很明白的样子?”

“我明白啊。这家伙喜欢你啊。不知道你有没有注意到。”

“!?洛蕾塔……你……”

“对不起,克莱尔大小姐。我喜欢上您了。但是,如果您出了什么事的话,我……”


说着,洛蕾塔低下了头。

从那张被阴影遮盖看不见的面庞之上,闪着光芒的东西滚落了下来,打湿了地毯。


“好了,小丫头,放弃吧。看看现在的状况吧。大局上来说,我或许是输了——不过仅限于这个国家之中呢。话虽如此,和你决胜还要稍等一会儿。”

“你以为我会让你逃掉吗?”

“平民,你也无能为力。”

“我对洛蕾塔大人没有什么感情。硬要说的话,对赛因大人和洛赛尤陛下也无所谓。”

“蕾!?”


听到蕾说出如此荒唐的话语,我不禁瞪大了双眼。


“正因如此啊。你最优先考虑的是弗朗索瓦家的小丫头吧。”

“虽然一副老眼昏花的样子,但还挺明事理的嘛。”

“是啊。不过就算我在这里被杀了,如果弗朗索瓦家的小丫头重视的人死了,你也会失去她的信任,这一点我也知道哦。”

“……臭老头。”

“我都说了,这就是老奸巨猾啊。”


就连蕾都被这个老者玩弄于鼓掌了吗。

难道……难道就毫无办法了吗……!


“所有人,就这样保持原样。士兵们,去追逃跑的洛赛尤。我——”

“这样的话,差不多可以了吧,皮皮?”

“嗯,洛蕾塔。”


就在大家都在思索着怎么了的瞬间——


“天使的咆哮(Angel Howling)!”


伴随着质量的重低音响起,包括我在内的所有人都跪倒在地。


“什……这是……!”

“是的,这次一定要好好决胜……没错吧,洛蕾塔?”

“嗯。”


克列蒙特还无法起身——甚至不知道发生了什么,洛蕾塔就用附近低音提琴的琴弦把他绑了起来。


“巴、巴利埃家的小丫头……你到底在说些什么……!”

“有一种叫仇恨尖叫的招式吧。您知道吗,克列蒙特大人。”

“哈、哈啊?”

“刚才我是用乐器再现的。虽然我没有想到会有这么大的范围和功率。”


皮皮笑着亮出了自己的底牌。

仇恨尖叫一种魔物使用的威吓型的咆哮,在没有防备的状态下受击的话,会暂时陷入无法行动的状态。

和蕾莱尔的母亲所使用过的那个一样。

皮皮对那个魔法进行了模仿。


“什……所以,那个乐器是……?”

“嗯,是魔道具,不过稍微伪装了一下呢。”


欸嘿,地吐了一下舌头的皮皮,看起来就像是恶作剧成功了的孩子一样。



“因为……因为这种东西……我居然……”

“嗯,被了结了呢。”

“不可能……!士兵们,你们愣着做什么呢!还不快站起来好好想想办法!”


克列蒙特险恶地发出命令,却无人回应。

看到克列蒙特被捕,士兵们一个接一个地主动投降。

只能靠他人的把柄威胁,以此方式用人的老人的下场便是如此。


“你们两个可是大功臣哦!”


从皮皮的魔法之中恢复过来的我,冲上了舞台,抱紧了两人。


“好痛好痛!很痛啦,克莱尔大小姐!”

“稍微忍耐一下嘛。居然演了那么一出戏,我很担心哦?”

“什么戏?”

“你看,你不是说喜欢我什么的嘛。”


我心想,那当然是演技吧。


“……哈啊。”

“干嘛啦,短吁长叹的。”

“我很同情您,洛蕾塔大人。”

“这可真不愧是无法实现的恋情啊。”

“洛蕾塔不是还有我吗?”

“诶?”

“诶?”

“诶?”

“诶?”


就在新的火种燃起的时候。


“诸君,你们都做的很好。”

“陛下!”


当洛赛尤陛下从贵宾席上下来的时候,大家都一齐屈膝了。


“非常好,本次行动,诸君的表现都出色至极。尤其是巴利埃之女和库格雷特之女,对于你们两人的举动,一定会赐予重赏。”

“不敢当!”

“诚惶诚恐!”


两人都是一副惶恐的模样。


“克莱尔·弗朗索瓦、蕾·泰勒、莉莉·莉莉安。”

“在。”

“是的。”

“是、是!”

“根据你们的报告,为巴利埃家参与人口贩卖一事,请求免罪?”

“是的,陛下。”

“积极地检讨吧。希望你们可以继续担任特务官。”

“明白了。”


陛下点点头,带着近卫兵们退出了大厅。


“话说回来,真是太危险了。”

“就连蕾也有被压制的时候啊。”

“因为那家伙和我是同类。”

“同、同类?”

“为达目的不择手段的类型。”

“啊、啊—……”


莉莉大人似乎接受了蕾的说明。


“完全不一样哦。”


我对此断然否定。


“为什么?”

“蕾的目的并非是邪恶的,你们完全不同。”

“……你看,洛蕾塔?”

“我早就明白了啦。”

“你们到底在说什么?”

“什么都没有!”

“说克莱尔大小姐是笨蛋!”

“诶诶诶!?”


聊着聊着,我们说说笑笑了一会儿,视野的一角出现了什么。

我中止了对话,跟在了那个人的后面。

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