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※The English version is also below.

※한국어판도 밑에 있어요.


 レイの初恋の話はなかなかに衝撃的でした。


 コサキという子に恋をしたこと。

 同性に恋をしてしまった自分を認められなかったこと。

 シイコという子に出会って、そんな自分を認められるようになったこと。

 コサキに告白するも、ミサキにバレて迫害されたこと。

 仲間だと思っていたシイコも、実は自らの思いのためにレイを陥れようとしていたこと。

 学校を休むようになったこと。

 両親はレイを理解しようと努めてくれたこと。

 最終的にはレイは立ち直ったこと。


 そんな内容を、レイはかいつまんで話してくれました。

 いつもあっけらかんとしていて、怖い物など何もないというような顔をしているレイに、そんな辛い過去があったなんて。

 初恋は実らないものとはいいますが、いくらなんでもこれは酷いと思いました。


「ずいぶんと酷い方たちですわね。ムカムカしてきましたわ。焼きましょう。レイ、その者たちのところに案内なさい」

「お、お供しますクレア様」


 ミサキとかいう女は言わずもがな、告げ口したコサキもレイを陥れたシイコも、わたくしには同罪に思えました。

 リリィ枢機卿も気持ちは同じだったのか、わたくしの言葉に同調してくれました。


「まあまあ。あの頃は美咲も家庭が荒れていたみたいでしょうがなかったんです。それに卒業した後に再会しまして、今では一緒にツチノコを探しに行く仲になりました」

「ツチノコ?」

「ああ、すみません。UMAです」

「ゆ、ゆーま?」

「ああ、すみません。忘れて下さい」


 またレイが何やらよく分からないことを言い出しましたわ。


「ともかく、あの時はホント、色々と複雑な事情がごっちゃごちゃだったんです」

「何も複雑じゃないじゃないですの。そのミサキとかいう女が全ての元凶ですわ」


 コサキやシイコにも問題を深くした責任があるとは思いますが、元凶は間違いなくミサキのはずです。


「それが、そうでもなくて」

「ど、どういうことですか?」


 ところが、レイは意外なことを言い出しました。


「さっき言った家庭の事情に加えて、美咲は詩子のことが好きだったんです。でも、そのことを自分で認められなくて」

「そ、そうなんですの?」

「はい。私をハブったのは、詩子を取られると思ったからですね」

「う、うわー……三角関係ってやつですか」


 恋愛小説や戯曲の中だけじゃありませんのね、そういうのって。

 などと思っていたら、


「いえ、四角関係です」

「どういうことですの?」

「小咲は美咲のことが好きだったんですよ」

「こ、こんがらがってきました……」


 レイによると、つまりこういうことのようです。


 美咲→詩子

 ↑   ↓

 小咲←零


 レイが紙とペンを借りて図式化してくれました。


「ドロッドロですわね」

「そ、そうですね」

「まあ、みんな若かったんですよね……」

「あなたまだ十代半ばですわよね?」

「そんな時もありましたねぇ」

「現在進行形でしょう!?」


 なに遠い目をしてますのよ。


「とにかく、その三人とはその後全員仲直りしました。一番笑ったのは小咲の本性を知った時ですね」

「コ、コサキさんにも何かあるんですか……?」

「はい。当時は小動物とか天使とか思ってた小咲なんですが、実は一番の性悪だったんではないかという話になりまして」


 あれは面白かったなあなどと述懐するレイ。


「わたくしには何となく分かりますわ。コサキは自分が一番可愛いタイプでしょう?」

「クレア様、大正解です」


 コサキのようなタイプはよくいます。

 厳密にはコサキのような見かけのタイプは、ですが。

 小動物めいた雰囲気?

 はにかむような笑顔?

 控えめな性格?

 争い事が嫌いな平和主義?

 実際にはほんっっっとうに少ないですわよ、そんな女性。

 そういう擬態をする女は大抵、自分の思うとおりに相手から見くびられていたいだけですわ。

 そうして手のひらで相手を転がして自分の都合のいいように話を運んでいくんですの。

 地方から出て来たばかりの若い男性貴族が、中央に来て最初に浴びる洗礼でもありますわ。


「結局、小咲は美咲とくっつきました。あ、美×小じゃなくて小×美です」

「あなたは何を訳の分からないことを言っていますの」

「訳が分からないとは何ですか! カップリングの左右は重要でしょう!」

「り、理不尽に怒られましたわ……」


 理由は分かりませんが、レイにとってその順番はとても大切なことのようです。

 本当に意味が分かりませんけれど、彼女が真剣なのでわたくしはそれ以上何も言いませんでした。


「まあ、これが私の初恋の話です。つまらなかったでしょう?」

「そうでもないですわ」

「え、ええ。とっても参考になりました」

「そうですか?」


 そんな過去の一つもあれば、誰だって性格が歪むでしょう。

 レイのひねくれた性格も、そんな悲しい過去がなせる業なのだと思うと少しは許せる気がしました。


「ずいぶん、苦労したんですのね」

「そうでも。今となっては笑い話です。どうですか、リリィ様。幻滅しました?」

「い、いえ。むしろ一層好きになりました」

「あるぇー?」


 むしろ今の話は口説き文句に使えるくらいじゃないですの、とわたくしは思いました。


「とにかく、初恋は実らないものですし、同性愛者の恋愛は失恋がデフォなので、打たれ強さが大切です」

「う、打たれ強さ、ですか」

「はい。お陰で私はクレア様のつれない態度でもご飯三杯はいけるほどになりました」

「レイはちょっと図太すぎると思うんですのよ!?」


 さっき許せる気がすると言ったのは取り消しますわ。

 やっぱりレイはもう少し素直になって、奇妙奇天烈な言動を何とかするべきです。


「クレア様の初恋は、マナリア様だったんですよね?」

「ち、違いますわよ! あれは……その、お姉様があまりに素敵でいらしたので、勘違いをしたというか」

「まあ、今は私ですもんね」

「……レイ、調子にのっているとクビにしますわよ?」

「ごめんなさい」


 わたくしが咎めると、レイは素直に謝罪を述べました。


「そういえば、どうしてこんな話になったんでしたっけ?」

「わたくしたち、平民の貧しさを解決しようと教会に来たんだったですわね……」

「ま、まあ、たまには脱線もいいじゃないですか」


 ふと我に返ったレイとわたくしを、リリィ様がとりなしてくれました。


「さ、先ほどのレイさんのお話に通じるものがありますが、理想と現実って違いますよね」

「どういうことですか?」

「きょ、教会も貧富の差は無くなって欲しいと考えていますし、こうするべきだという理想像はいくつかあります。でも、実際にそれが上手く機能するかというと、それは疑問と言わざるをえません」

「? 詳しく説明して頂けませんこと?」

「せ、政治は、キレイごとでは済まない、というお話です」


 似たような台詞を、お父様がよく口にしています。

 わたくしもここ最近までそう思っていました。

 でも、かつてお母様が言っていたのです。

 理想から現実へ逃げるな――と。

 今のわたくしはその間で揺れ動いているように思えます。

 それだけに、リリィ枢機卿の話は耳を傾ける価値があるように思えました。


「り、理屈として正しくても、政治は現実で機能しなかったら意味がありません。そして、多くの場合、現実とは理不尽なものです」


 その若さで一体どんな経験をしたのでしょう。

 リリィ枢機卿の言葉には、年齢以上の重みを感じました。


「リ、リリィはもう、政治はなるようにしかならないと思ってしまっています。教会は政治とは一線を画すことにしていますし」

「またぶっちゃけましたね」

「でもそれでは!」


 諦めともとれるリリィ枢機卿の話に、わたくしは声を荒げてしまいました。


「それでは……民が報われません。わたくしは、理想を失いたくないですわ」


 現実はきれい事では済みません。

 でも、理想から現実に逃げたくないのです。

 ならば、どうすればいいのでしょう。


「それなら、理想を追い続けるしかありません。理想を唱える者は、常に自らがそれを実現していかなければ」

「レイ……」

「クレア様お一人ではないのです。私も微力ながらお供致します」

「ありがとう」


 と、わたくしたちがちょっといい雰囲気になったのですが、


「いちゃつくならよそでやれよ、カス」

「「……」」

「……ほ、本当にわざとじゃないんです、信じて下さい!」

「いやまあ、信じますけど」


 嘘と言われても当惑するほどの罵倒癖ですわね。


「それにしても、リリィ枢機卿にはすっかりお世話になってしまいましたわね。何かお礼が出来ればいいのですが」

「そ、そんな! リリィはクレア様に教会のことを知って頂けるだけで……」

「例えば、今、リリィ様が一番困っていらっしゃることはなんですか?」


 レイがなんとはなしに訊いてみました。


「こ、困っていること、ですか?」

「はい。私たちも力になって頂いたのですから、逆にリリィ様のお力になれればと思いまして」

「ふふ、嬉しいです」

「そこ、いい空気出さない」


 わたくしだって暴言吐きたくなることあるんですのよ?


「そ、そうですね……。私は今、とある病気の研究をしています。異性病というのですが……」

「ああ、性別が入れ替わってしまうっていうあれですね」


 その病はわたくしも聞いたことがありました。

 確か罹患すると性別が反転してしまう病です。


「確か、教会が保存する月の涙という祭器の力で、効果が軽減・あるいは消滅するはずですよ」

「つ、月の涙をご存じなんですか!? 教会の特一級秘匿事項ですよ!?」

「あ」


 うっかり、と言った様子でレイは口を押さえました。

 もうわたくしはいい加減慣れてきたので驚きませんでした。

 いえ、いつかは問い質してやろうと思ってはいるんですけれどね。


「ど、どこで月の涙のことを!?」

「あー、えーと……。ユー様に教えて頂きました」

「そ、そんなはずがありません。ユー様が異性病の解決策をご存じなら、ご自分の身体のことなんてとっくに――。あ!」


 今度はリリィ枢機卿が口を塞ぐ番でした。

 なんですって?


「リリィ枢機卿。今、なんと?」

「あばばば……」

「ユー様、異性病なんですか?」


 レイとわたくしが問い詰めると、リリィ枢機卿はやがて諦めたように嘆息して、


「レ、レイさんは異性病の解決策をご存じのようですからお話ししますけれど、くれぐれも他言無用にお願いします。口外したら、命が危ないと思って下さい」

「分かりましたわ」

「はい」


 物騒な前置きでしたが、レイもわたくしも頷きました。

 観念したリリィ枢機卿は、ぽつぽつと話し始めました。


「じ、実は――」


 簡単に言えば――。


 ユー様は女性だったのです。



*Translation below was made possible with the help of Sephallia. Thank you so much Sephallia.


61. My Beloved’s First Love


The story of Rei’s first love was quite shocking.


She told us how she had fallen for a girl named Kosaki, but had troubles coming to terms with her feelings for someone of the same gender. She then met Shiiko, who helped her come to accept those feelings, but when she tried to confess to Kosaki, Misaki found out and bullied her. Shiiko, who Rei thought to be her ally, had actually been trying to manipulate Rei for the sake of her own love. Shocked by the chain of events, Rei skipped school for a while, but her parents made a clear effort to understand her, and, in the end, she was able to get back on her feet.


Rei summarized all those events and shared the story with us. I could hardly believe that Rei, who always seemed so aloof and indifferent to everything, as though she had nothing to fear, had gone through such an arduous past. Though it was often said that first loves were not meant to be, I couldn’t help but feel that this was far too cruel.


“What horrid individuals. I am absolutely livid, let’s burn them all Rei, take me to them right this minute.”

“L-Lily will come too.”


That wretch Misaki went without saying, but that loose-lipped Kosaki and manipulative Shiiko were all just as guilty to me. Cardinal Lily seemed to feel the same way, wholeheartedly agreeing with my words.


“Now, now… Calm down, Misaki was going through a tough time with her family, so I don’t really blame her. Besides, she and I made up when we met again after we graduated, and now we’re close enough to go on random escapades.”

“Escapades?”

“Ah, like hunting for UMA.”

“Yuu… Yuu mah?”

“Ah, sorry, please forget what I just said.”


Again Rei appeared to say something that made absolutely no sense.


“Anyway, there really was a lot going on for everyone at that time, it was a complicated mess.”

“But there’s nothing complicated about it. That wretch Misaki was at the root of everything.”


I felt that Kosaki and Shiiko needed to take responsibility for escalating things, but that wretch, Misaki, was unmistakably the root cause.


“That’s not quite true.”

“W-What do you mean?”


Despite my conclusions, Rei said something unexpected.


“I mentioned Misaki’s family troubles, but on top of that, she actually held feelings for Shiiko. Unfortunately, she had a difficult time coming to terms with her own feelings too.”

“I-Is that so?”

“Yes. So, the reason she tried to shun me was because she was afraid I’d take Shiiko from her.”

“W-Wow… So it was a love triangle…”


So that kind of drama wasn’t limited to romance novels and plays… Just as I thought that,


“No, it was actually a square.”

“What do you mean?”

“It turns out that Kosaki liked Misaki.”

“E-Everything’s a tangled mess…”


According to Rei, in summary things looked like this:


Misaki → Shiiko

↑ ↓

Kosaki ← Rei


Rei took some paper and sketched a diagram for us.


“This is such a muddy mess.”

“Y-Yes, I agree.”

“Well, I mean we were all so young…”

“Aren’t you yourself still in your teens?”

“Ah yes, I was, wasn’t I…”

“Shouldn’t you be saying that in the present tense!?”


Just what is with that distant gaze of yours?


“Anyway, the four of us all managed to make up after that. I laughed a lot when I finally learned of Kosaki’s true nature.”

“Ko-Kosaki-san? Did she have some sort of circumstance surrounding her too?”

“Yes. At the time she always came off as a cute little thing or even an angel, but when we all looked back on what happened, she might’ve been the nastiest one.”


Rei appeared to be reminiscing about how fun those times were.


“I think I more or less understand. Kosaki was the type to believe she was just the cutest, wasn’t she?”

“You’re absolutely right, Claire-sama.”


There were a lot of people out there like Kosaki, or rather, strictly speaking people that appeared that way. The aura of a harmless critter? A bashful smile? Reserved personality? A pacifist that preferred to avoid conflict? Girls who were actually like that are TRULY and HONESTLY few and far between. Most of them simply act that way so that others don’t see them as threats. Then, they manipulate the conversation and those around them in a way convenient to them, and everyone around them is just dancing in the palm of their hands. It’s something like an initiation that many young male nobles from the countryside face when they come to the capital for the first time.


“In the end, Kosaki and Misaki ended up together. Ah, do keep in mind it’s not MiKo but KoMi, okay?”

“Just what nonsense are you going on about now?”

“What do you mean nonsense! I’ll have you know that the left and right when shipping is very important, don’t you understand!?”

“Y-Your anger seems entirely unreasonable…”


I still couldn’t understand the reason, but it appeared that the ordering here was very important to Rei. Again, I really couldn’t understand it myself, but she seemed serious about it, so I didn’t press any further.


“And so, that was the story of my first love. Pretty boring, wasn’t it?”

“No, I don’t believe so.”

“Y-Yes, I’m really glad I got to hear it.”

“Really? Well that’s good then.”


Having experienced such hardship would likely twist anyone’s character. Now that I knew Rei’s cynicism had been born from such a tragic past, I felt that I too could be more understanding.


“You’ve… Experienced quite some hardship, haven’t you.”

“Not really. Now it’s just another story to think back on and laugh about. So, Lily-sama, don’t you feel disillusioned?”

“N-No, not at all. In fact, Lily is even deeper in love!”

“Eh, huh?”


If anything, I felt that her words just now could have been interpreted as flirting.


“Well, in any case, first loves very rarely bare fruit, and especially as a homosexual one’s love almost always ends up being unrequited, so mental fortitude is really important.”

“M-Mental fortitude…?”

“Yes, exactly. Thanks to that mental fortitude, I simply can’t get enough of Claire-sama’s cold attitude!”

“Rei! I think you may just be a little too brash!”


I take it back, I don’t think I can be more understanding after all. I really think that Rei should be a little more honest and make an effort to do something about the gibberish she spouts.


“Come to think of it, Claire-sama, your first love was Manaria-sama, right?”

“Y-You’re wrong! That was… Uhm, Onee-sama was just such a wonderful person, I… Misunderstood.”

“But well, it’s me now, huh.”

“… Rei, don’t get carried away. Any more and you’re fired!”

“I’m sorry.”


When I scolded her, Rei honestly apologized.


“Wait, how did we get on this topic again?”

“Right, we… Came to the church because we wanted a way to improve the living conditions of the poor, didn’t we…”

“W-Well, it can be nice to take a detour sometimes, don’t you think so too?”


When Rei and I recalled our original purpose, Lily-sama smoothed things over.


“T-There’s something Lily came to understand from Rei-san’s story just now, but ideals and reality are different, aren’t they?”

“What do you mean?”

“The church does want to do something about the Kingdom’s wealth disparity, and we even have ideals for how we would carry things out. However, if we were to implement our ideals, I can’t help but have doubts about whether or not they would work as well as we had thought.”

“Hm? Could I ask you to explain in more detail?”

“P-Politics… Doesn’t work on empty goodwill.”


My father would often say something similar to that, and, until recently, that’s what I believed as well. However, I then remembered words that my mother had said. She had said not to forsake one’s ideals to be content in reality. I felt as though I was wavering between those two thoughts. That should show just how much value and importance that I had placed in Cardinal Lily’s words.


“E-Even if it all makes logical sense, if the policies don’t work properly in the real world then there’s no point. And… In a lot of ways, reality doesn’t make sense.”


Just what kind of experiences had she gone through at such a young age? Cardinal Lily’s words carried a wait beyond her years.


“L-Lily is already at the point where she doesn’t feel anything can be done about politics. The church has already drawn a line between itself and politics as well…”

“Once again, you’re straight to the point, huh.”

“But then!”


Cardinal Lily’s words, which could be interpreted as saying to just give up, forced me to raise my voice.


“But then… The people will never receive what they are due! I don’t… Want to abandon my ideals.”


Reality does not operate on empty goodwill. Even so, I didn’t want to abandon my ideals and content myself with reality. So… What should I be doing?


“In that case, you must chase your ideals. Those who insist on their ideals must always strive to realize them.”

“Rei…”

“And remember Claire-sama, you’re not alone. There may not be much that I can do, but I’m here with you.”

“Thank you.”


Just as Rei and I shared that touching exchange,


“Look, if you want to flirt this ain’t the place, scum.”

“…”

“… L-Lily, s-swears! She isn’t doing this on purpose, please believe her!”

“Well, I believe you.”


Whether she was telling the truth here or not, it was a bewildering habit to have.


“But well, Cardinal Lily, you’ve really helped us so much, we’re in your debt. If possible I’d like to thank you in some form but…”

“N-No, not at all! Lily is more than happy just having had the chance to tell Claire-sama more about the church.”

“Hm, for example, Lily-sama, what is it that troubles you the most right now?”


Rei suddenly asked that, seemingly unprompted.


“W-What’s troubling me…?”

“Yes, you’ve been a great help to us, so I thought it would be nice if we could help you in some way too.”

“Fufu, that makes me happy.”

“Stop, stop that ambiance, right now.”


There are some things that make me want to hurl insults too, I’ll have you know!


“R-Right, er… I’m currently researching a certain disease. It’s called the opposite sex disease…”

“Ah, the one that causes one to suddenly become the opposite sex, right?”


I had actually heard about that illness myself as well. If I recall, it’s an illness where if one contracts it they become the opposite sex.


“Oh, but if I’m not mistaken, doesn’t the church possess the Tears of the Moon? It’s a holy artifact, and I’m pretty sure its effect either lessens or entirely treats the disease.”

“Y-You know about the Tears of the Moon!? But that should be top level classified information!”

“Oops.”


Rei covered her mouth as though to cover up her slip. After all that had happened, I had gotten used to this habit of hers, so I wasn’t particularly surprised. Ah, though I should make it clear that I still did intend to eventually get to the bottom of where she got all this knowledge.


“J-Just where did you hear about the Tears of the Moon!?”

“Ah, erhm… I heard about it from Yuu-sama.”

“T-That’s just not possible! If Yuu-sama already already knew how to resolve opposite sex disease, then Yuu-sama’s own body would already― Ah…!”


This time, Cardinal Lily was the one to cover her mouth. What did she just…?


“Cardinal Lily, what was that just now?”

“Ah, bababa…”

“Is Yuu-sama suffering from the opposite sex disease?”


When Rei and I pressed further, Cardinal Lily appeared to give up. She let out a sigh before continuing,


“W-Well, since Rei-san seems to be aware of one possible way to resolve the disease, Lily will tell you, but Lily asks that you both keep this in confidence. If this information leaks out, consider your lives in danger.”

“I understand.”

“Of course.”


Despite warnings of the potential danger, Rei and I both nodded and urged Cardinal Lily on. Having given up on trying to dissuade us, she began talking.


“S-So… The truth is―”


To put it simply―


Yuu-sama was actually a she.



*아래의 번역은 "와타오시 번역"의 협력으로 실현되었습니다.고마워요, "와타오시 번역"


61. 사랑하는 사람의 첫사랑


레이의 첫사랑 이야기는 충격적이었습니다.


코사키라는 애를 좋아했었던 것.

동성에게 연심을 품은 자기 자신을 인정할 수 없었던 일.

시이코라는 애를 만나고 나서 자기 스스로를 받아들일 수 있었던 일.

코사키한테 고백한 걸 미사키한테 들켜서 따돌림을 당한 일.

좋은 친구라고 생각했던 시이코도 사실은 자신의 사랑을 이루기 위해서 레이를 곤경에 몰아넣었던 일.

그러다 학교를 쉬게 된 것.

부모님은 레이를 이해하려고 노력했던 것.

최종적으로는 실의를 극복하고 다시 일어났던 것.


그런 과거의 얘기를 간추려서 얘기해줬습니다.

항상 태연자약한 표정을 짓고서 무서울 게 없다는 것처럼 굴던 레이한테 그런 아픈 과거가 있었을 줄이야.

첫사랑은 이루어지지 않는다고들 흔히 말하지만 아무리 그래도 이건 좀 심했습니다.


“정말이지 지독하기 짝이 없는 분들이군요. 듣고 있자니 열이 뻗치기 시작했어요. 불태워버리죠. 레이, 그 자식들이 있는 곳으로 안내하세요.”

“저, 저도 함께하겠어요, 클레어 님.”


미사키라는 여자는 물론이고, 전부 일러바친 코사키도, 레이를 궁지에 빠트린 시이코도, 잘못이 없는 사람이 없습니다.

릴리 추기경도 저와 같은 마음인지 바로 제 말에 동조했습니다.


“자자, 그 시절엔 미사키도 가정에 불화가 있었던 모양이라 어쩔 수 없었던 거예요. 게다가 졸업한 후에는 다시 재회했고, 지금 와서는 다 함께 츠치노코를 찾으러 다닐 정도로 친해졌으니까요.”

“츠치노코?”

“아 실례했습니다. UMA를 말하는 거예요.”

“유, 유엠에?”

“아 죄송합니다. 그냥 잊어주세요.”


또 레이가 뭔가 알 수 없는 소리를 꺼냈어요.


“어쨌든, 그때는 정말로 이런저런 복잡한 사정이 얽히고설켜 있었어요.”

“아무것도 복잡할 거 없잖아요. 그 미사키인가 뭔가 하는 여자가 모든 일의 원흉이에요.”


문제를 더욱 악화시켰다는 점에서 코사키와 시이코한테도 책임이 있지만 모든 원흉은 누가 봐도 미사키예요.

“그게 또, 사실은 그렇지도 않아서요.”

“무, 무슨 말씀이신가요?”


그런데 레이는 의외로 고개를 가로저었습니다.


“방금 말한 가정 사정에 더불어 미사키는 시이코를 좋아하고 있었던 거예요. 하지만 그 사실을 스스로가 인정할 수 없었죠.”

“그, 그랬던 건가요?”

“네. 저를 따돌렸던 건 시이코를 저한테 뺏겼다고 여겼기 때문이었죠.”

“우, 우와─…… 삼각관계라는 거네요.”


연애소설이나 희곡에서만 등장하는 설정이 아니었군요.

제가 그런 생각을 하고 있었더니,


“아니요. 사각관계입니다.”


“무슨 말이죠?”

“코사키는 미사키를 좋아하고 있었거든요.”

“와, 완전 아수라장이 되어버렸어요…….”


레이의 설명으로는 쉽게 말해 이런 구도였던 모양입니다.


레이 → 코사키 → 미사키 → 시이코 → 레이


레이가 종이와 펜을 들고 화살표를 그려 설명해줬습니다.


“진흙탕이네요.”

“저, 정말이에요.”

“뭐, 모두들 그땐 다들 어렸으니까 말이죠…….”

“당신, 이제야 10대 중반이잖아요?”

“그랬던 시절도 있었죠.”

“현재진행형이잖아요?!”


왜 먼 산을 아련하게 바라보는 거예요.


“어쨌든 간에, 그 세 사람과는 나중에 다 같이 화해했어요. 가장 웃겼을 때는 코사키의 본성을 알게 됐을 때였네요.”

“코, 코사키 씨한테도 뭔가가 있었던 건가요……?”

“네. 작은 동물 같다든가, 천사 같다든가, 그렇게 생각했었던 코사키가 사실은 우리 중에서 가장 성격이 나빴던 거죠.”


돌이켜 보면 참 재밌는 일이었다고 술회하는 레이.


“저는 왠지 모르게 알 거 같네요. 코사키는 스스로가 제일 귀엽다고 생각하는 타입인거죠?”

“클레어 님. 완벽한 정답입니다.”


코시키 같은 타입은 저도 잘 알아요.

엄밀하게 말하면 코사키처럼 구는 타입이라고 해야겠죠.

귀여운 동물 같은 분위기?

애교있는 달콤한 미소?

소심한 성격?

다툼이나 분쟁을 싫어하는 평화주의자?

그런 여자는 현실에 아아아아아아아주 드물다고요.

그렇게 보이려고 내숭을 떠는 여자는 대부분 의도적으로 상대가 자신을 얕보길 바라고 그런 행동을 하는 거예요.

상대의 경계심을 낮춰서 자기 손바닥 위에 올려 조종하고, 대화의 흐름을 자기한테 유리하게 끌고 가는 거죠.

지방에 있다가 왕도에 갓 상경한 젊은 귀족 남성이라면 피해갈 수 없는 첫 세례기도 하고요.


“결국 코사키는 미사키랑 사귀게 됐어요. 아, 미사X코사가 아니라 코사X미사예요.”

“당신은 대체 무슨 영문을 알 수 없는 소리를 하는 건가요.”

“영문을 알 수 없다니! 커플링에서 공수가 얼마나 중요한데요!”

“어, 어째서 화내는 건지 모르겠어요…….”


이유는 모르겠지만 레이한테는 누구 이름이 먼저 오는지가 중요한가 봅니다.

아무튼 이해는 안 가도 레이는 진지한 기색이라 저도 별 말없이 넘어갔습니다.


“뭐, 이게 제 첫사랑 이야기예요. 별거 아니었죠?”

“그렇지 않았어요.”

“마, 맞아요. 정말로 참고가 됐어요.”

“그러신가요?”


누구든 그런 과거가 있으면 성격이 삐뚤어질 만도 하죠.

레이의 배배 꼬인 성격도 저런 슬픈 과거가 만들어낸 결과물이라고 생각하면 조금쯤 눈감아줄 수 있을 것 같습니다.


“참으로 고생이 많았던 거네요.”

“그렇지도 않아요. 지금 와서는 웃으면서 이야기할 수 있고요. 어떠셨나요, 릴리 님. 환멸 하셨나요?”

“아, 아니요. 오히려 한층 더 좋아하게 됐어요.”

“얼레~?”


오히려 지금 한 얘기는 여자를 꼬시는 용도로 써도 꽤 잘 먹힐 거 같은데요, 싶은 생각이 들었습니다.


“어쨌든 첫사랑은 이뤄지지 않는 법이고 동성애자의 연애는 실연이 기본 베이스니까, 맷집을 단련하는 게 중요한 거예요.”

“매, 맷집을 단련. 인가요.”

“네. 저도 그 덕분에 클레어 님의 틱틱거리는 태도만 가지고도 밥 세 공기를 뚝딱 해치울 수 있을 정도가 됐습니다.”

“레이는 너무 뻔뻔스럽다고 생각하는데요?!”


방금 전에 눈감아주니 어쩌니 했던 말은 취소예요.

역시 레이는 좀 더 순순하게 굴고, 저 골치 아픈 언동을 고칠 필요가 있어요.


“클레어 님의 첫사랑은 마나리아 님이셨던 거죠?”

“아, 아니라고요! 그건 저기……, 언니가 너무나도 멋졌기 때문에 착각했던 거라고나 할까.”

“뭐, 지금의 사랑은 저니까 말이죠.”

“……레이, 당신 너무 까불면 해고해버릴 거예요?”

“잘못했습니다.”


제가 위협하자 레이는 바로 고개 숙여 사과했습니다.


“그러고 보니 어쩌다가 이런 이야기를 하게 됐죠?”

“저희들, 평민의 가난을 해결해 보려고 교회에 왔던 거죠…….”

“뭐, 뭐어, 가끔씩은 이렇게 탈선하는 것도 나쁘지 않잖아요.”


원래 목적을 떠올리고서 멋쩍어하자 릴리 님이 옆에서 다독였습니다.


“바, 방금 전 레이 씨가 한 얘기와도 통하는 거지만 역시 이상과 현실은 다른 거네요.”

“무슨 말씀이세요?”

“교, 교회도 빈부의 격차가 없어졌으면 좋겠다고 생각하고 있고, 그걸 위한 청사진도 몇 개쯤인가 있어요. 하지만 그것들이 실제로도 잘 될 수 있는가를 묻는다면 의문을 표할 수밖에 없어요.”

“? 좀 더 자세히 설명해 주실 수 있나요?”

“저, 정치라는 건 깨끗하게만 이루어지지 않는다는 이야기예요.”


아버님도 비슷한 말을 자주 입에 담았습니다.

저도 얼마 전까지는 맞는 말이라고 생각했습니다.

하지만 옛날에 어머님이 이렇게 말씀하셨어요.

이상에서 현실로 도피하지 말라고.

지금 저는 상충되는 두 말 사이에서 흔들리고 있다고 생각합니다.

그런 상황이니 만큼 릴리 추기경의 말에 귀를 기울여볼 가치가 있다고 느꼈습니다.


“합리적이고 올바르다고 하더라도 정치는 현실에서 작동하지 않는다면 의미가 없어요. 그리고 불행히도 대다수의 경우에 있어서 현실이란 건 비합리적이에요.”


릴리 추기경은 그 어린 나이에 대체 지금까지 어떤 경험을 했던 걸까요.

하는 말에는 나이에 어울리지 않는 무게가 담겨 있었습니다.


“리, 릴리는 이젠 정치란 건 아무리 노력해봤자 어쩔 수 없는 거라고 생각하게 됐어요. 교회는 정치랑은 선을 긋고 있기도 하고요.”

“그건 또 가차 없는 말씀이네요.”

“하지만 그래서는!”


체념이 섞여있는 릴리 추기경의 말을 듣자 저도 모르게 거친 목소리가 튀어나왔습니다.


“그래서는……. 민중들이 보답받지 못해요. 저는 이상을 잃고 싶지 않아요.”


현실은 이상대로 흘러가지 않습니다.

하지만 이상에서 현실로 도피하고 싶지도 않아요.

그럼 대체 저는 어떻게 해야 되는 걸까요.


“그렇다면 이상을 계속 추구할 수밖에 없네요. 이상을 부르짖는 자는 언제나 자기 자신이 그 이상을 실현해야만 하죠.”

“레이…….”

“결코 클레어 님 혼자가 아니에요. 저도 미력하나마 옆에서 힘을 보탤 테니까요.”

“고마워요.”


우리가 마침 좋은 분위기에 접어드려는 참이었는데요.


“염장 지르는 건 니들끼리 있을 때 하란 말이야, 쓰레기들.”

““…….””

“……저, 정말로 고의로 그러는 게 아니에요. 믿어주세요!”

“아뇨 뭐, 믿습니다만.”


오히려 고의로 그런다고 하는 게 더 믿기 힘들 정도로 신랄한 매도네요.


“그건 그렇고 릴리 추기경에게는 정말 크게 신세를 지고 말았네요. 뭔가 보답이라도 할 수 있게 해주시면 좋겠는데요.”

“처, 천만에요! 릴리는 클레어 님이 교회에 대해서 알아주신 것만으로도…….”

“가령, 지금 릴리 님이 가장 고민하고 계시는 일은 어떤 건가요?”


레이가 뜬금없이 화제를 바꿔 물었습니다.


“고, 고민하는 일, 말인가요?”

“네. 우리들의 힘이 되어주셨으니까 이번엔 거꾸로 우리가 릴리 님의 힘이 되어드린다면 어떨까 싶어서요.”

“후후. 기뻐요.”

“거기, 좋은 분위기 내지 마세요.”


저도 가끔은 험한 소리를 내뱉고 싶을 때가 있다고요?


“그, 그러네요……. 저는 지금 어떤 질병에 대한 연구를 하고 있어요. 이성병이라는 병인데요…….”

“아아, 성별이 바뀌어버린다고 하는 그거 말이죠.”


저도 들어본 적 있습니다.

병에 걸린 사람은 성별이 뒤바뀌어버리는 병입니다.


“분명 교회가 보유하고 있는 달의 눈물이라는 제기의 힘으로 효과를 경감시키거나 소멸시킬 수 있을 거예요.”

“다, 달의 눈물을 알고 계시나요?! 교회의 특1급 기밀 사항인데요?!”

“아.”


레이는 잘못 말했다는 듯이 자기 입을 손으로 막았습니다.

저야 이제 저러는 행동에도 슬슬 익숙해진 참이라 그리 놀라지 않았습니다.

물론 언젠가는 반드시 캐물어봐야겠다고 생각하고는 있지만요.


“어, 어디서 달의 눈물에 대한걸?!”

“아~ 저기…… 유 님이 가르쳐주셨어요.”

“그, 그럴 리가 없어요. 유 님이 이성병의 해결책을 알고 있었다면 자기 자신의 신체를 진즉에──. 아!”


이번엔 릴리 추기경이 황급히 자기 입을 막았습니다.

지금 뭐라고요?


“릴리 추기경. 지금 뭐라고?”

“어버버버…….”

“유 님, 이성병이셨나요?”


우리가 놀라서 묻자 릴리 추기경은 결국 포기한 기색으로 한숨을 쉬었습니다.


“레, 레이 씨는 이성병의 해결책을 알고 계신 모양이니까 말씀드리겠지만 부디 꼭 비밀로 해주시길 부탁드려요. 만약 입 밖에 내면 목숨이 위험하다고 생각해주세요.”

“알겠어요.”

“네.”


전제부터 참 흉흉했지만 우리는 고개를 끄덕였습니다.

단념한 릴리 추기경은 머뭇거리며 얘기를 시작했습니다.


“사, 사실은——.”


쉽게 말해서——.


유 님은 여성이었던 겁니다.

Comments

Anonymous

ユー様の性別については私にとっても衝撃的なことでしたが、同時にミシャとの百合百合が見られるのかと思うと興奮してしまいました。あはっ。

Anonymous

Aaah yay we’re at my favorite arc now