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※The English version is also below.

※한국어판도 밑에 있어요.


「と、言うことがありましたのよ」

「羨ましいですわ、クレア様。あのセイン様の竪琴をお聴きになっただなんて!」

「私もご一緒したかったです」


 放課後、学院の東屋で。

 わたくし、レーネ、ピピ、ロレッタ、平民の五人は最近いつもここでお茶をしています。

 席に着いているのは貴族の三人で、レーネと平民は後ろに控えて給仕に専念しています。

 テーブルには香り高いお茶と様々なお菓子が並んでいます。

 どれもわたくしが高級料理店ブルーメから取り寄せた品々で、ピピとロレッタは大層喜んでくれました。


 色々な話題を見つけては話していましたが、今の話題は先日のセイン様のことです。


「わたくしはともかく、ピピやロレッタから見ても、セイン様の竪琴は素晴らしくて?」

「はい!」

「もちろんです」


 ピピとロレッタはわたくしよりも遙かに音楽に造詣が深いのです。

 ピピはヴァイオリン、ロレッタはピアノを得意としています。

 その実力はかなりのもので、王国内の音楽コンクールで何度も賞に輝くほどでした。


「そういえば、あなた方と最初に知り合ったのも音楽がきっかけでしたわね」


 ふと思い出して、わたくしがそう口にすると、ロレッタがばつの悪そうな顔をしました。


「あの時の事を思い出すと、恥ずかしさで死にそうになります……」


 顔を赤らめて小さくなるロレッタに対してピピは、


「別に恥ずかしがることないじゃない。今じゃロレッタは一流の演奏家なんだから」


 と励ますようにいいました。

 二人の関係は、出会った頃から何も変わっていないようでした。


 過去の話が出たからでしょうか、わたくしの脳裏に自然と当時の記憶が蘇ってきました。


 ◆◇◆◇◆


 最後の全音符を弾き終わると、周りから感嘆の声が上がりました。


「結構です、クレア様。大変お上手でした」

「恐縮ですわ、キャロル様」


 教師役のアシャール夫人に礼をしてから、わたくしはピアノから離れました。


 ここは王立学院中等部の音楽室です。

 わたくしたちは今、中等部に上がって最初のピアノの授業を受けています。

 貴族にとって音楽は必須の教養です。

 その中でもピアノは基礎中の基礎。

 幼い頃から厳しく訓練を受けてきたわたくしにとって、この程度のエチュードなど弾きこなすのは造作もありませんでした。


「さすがですわ、クレア様!」

「素晴らしい演奏でした!」

「これくらい大したことありませんわ。皆さんにも弾けますわよ」


 これは謙遜などではなくただの事実です。

 ほとんどの学生は家がつけた家庭教師からわたくしと同じように教育を施されています。

 この程度のエチュードで躓いているようでは、貴族としての沽券に関わるでしょう。

 もっとも、最近数の増えて来た平民学生たちには、とても真似できない芸当でしょうけれど。


「次はロレッタさんね。前へいらして」


 柔和な笑顔を浮かべたアシャール夫人――キャロル様は次の学生を呼んだ。

 声に応じて立ち上がったのは、ショートカットの黒髪に黒い瞳をした女生徒でした。

 歩く姿が非常に美しく、恐らく何か武術を嗜んでいるということが分かります。

 そばかすのある顔には満面の笑みが浮かんでおり、わたくしは何がそんなに嬉しいのかしらと思いました。


「緊張しなくていいわ。さあ、弾いてご覧なさい」

「はい!」


 キャロル様に促され、ロレッタと呼ばれた少女は一つ深呼吸をすると、鍵盤に手を置いて弾き始めました。

 演奏は決して褒められたものではありませんでした。

 何度も音を間違えましたし、流れも悪く、必要とされる技法が身についていないことが明らかでした。


「ひっど。あの子、あれでも貴族でしょ?」

「満足な教育を受けさせて貰えなかったのね。可哀想に」


 聴いている学生の中から、失笑が漏れ聞こえてきます。

 確かに演奏はお世辞にも上手とは言えませんでしたが、陰口はわたくしの趣味ではありません。

 わたくしは不愉快な思いで、これがロレッタに聞こえていなければいいと思いました。


 ですが、ロレッタの耳にはそんなさもしい声は全く届いていないようでした。

 彼女はとても楽しそうにピアノを弾いていました。

 技術こそ拙いものの、ロレッタは演奏を楽しんでいます。

 ずっとこれがやりたかった――そう顔に書いてありました。


 ロレッタは実に名残惜しそうな顔で、最後の鍵盤から指を離しました。


「結構です。技術的にはまだまだですけれど、あなたはとてもピアノがお好きなのね」

「はい、大好きです!」

「それはとても素晴らしいことよ。好きという気持ちは何より大事です。でも、このエチュードはまだあなたには早いようね。もう少し簡単な所からやっていきましょう」

「分かりました!」


 ロレッタは深々とお辞儀をすると、席に戻りました。


「次、ピピさん。前へいらして」

「はい」


 次の学生が呼ばれる中、わたくしはロレッタのことを見ていました。

 ピアノって、そんなに楽しいものだったかしら――そんなことを考えながら。


 ◆◇◆◇◆


「ねえねえ、あなた。人前であんな演奏をして、恥ずかしくないの?」

「酷かったわよね。直前のクレア様に比べたら、天と地ほどの差があったわ」


 その日の放課後、忘れ物をしたことに気がついたわたくしが教室に戻ると、何人かの学生が二人の女生徒を囲んでいました。

 床に蹲っているのはロレッタ、そして彼女を庇うように前に立ちはだかっているのは、確かピピと呼ばれた娘でした。


「何よ、よってたかって! 今に見てなさい! ロレッタはこの国で一番のピアニストになるんだから!」


 毛を逆立てた猫のように威嚇していますが、その顔には余裕がありません。


「あっははは! ねぇ、聴いた? この国一番のピアニストだって!」

「中級のエチュードも満足に弾けない才能なのに?」

「ムリムリ! 才能ないよ、その子!」

「うるさい、うるさい、うるさい!」

「……」


 周りを囲んでいる学生たちが口々にロレッタを馬鹿にします。

 ピピは必死にそれから庇おうとしていますが、ロレッタの目には涙が浮かんでいました。


 どうやらこれはいじめの現場のようですわね。

 貴族という閉鎖社会にはつきものですが、多数で少数を虐げるというのはわたくしの趣味ではありません。


「あらあら。才能才能と随分と浅い見識ですわね? もしかしてあなた方、成長や努力と言う言葉をご存じありませんの?」

「く、クレア様……」


 わたくしが教室に入ると、いじめていた学生たちがたじろいだ様子を見せました。

 わたくしは続けます。


「クグレット家は武門の家。魔法や格闘で勝負したら、あなた方なんて軽くひねられますわよ?」

「!」


 その時になってようやく自分たちの立場を認識したのでしょう。

 学院の授業には当然、模擬戦闘の訓練などもあります。


「第一、彼女に才能がないということ自体がまるででたらめですわ。彼女には最も重要な才能があるじゃありませんのよ」

「……?」


 いじめていた周りの人間たちではなく、ロレッタ自身が不思議そうにこちらを見てきました。

 彼女にも分からないのでしょう。


「キャロル様も仰っていたでしょう。あなた、ピアノが好きなのでしょう? あんなに楽しそうにピアノを弾いていたのは、わたくしたちの中であなただけですわ」

「あ……」

「それとも、あれはあの場だけの口先だけでしたの?」

「違います! 私は……私は本当にピアノが好きなんです!」


 ロレッタはちぎれそうな程に何度も何度も肯首しました。


「で、でも、クレア様。好きっていう気持ちだけじゃ――」

「努力は夢中に勝てない、という言葉をご存知?」

「え?」

「ぞ、存じ上げませんけれど」


 そうでしょうね。

 でなければ、こんな愚かなことはしていないでしょう。


「努力というのは辛いことを我慢してやり通すことですわ。でも、好きで好きで堪らなくて、楽しいことを喜んでやり続ける人にはどうやったって勝てっこないのですわ」

「それがこの子だって、クレア様は仰るんですか?」

「そうなるかどうかは、これからのロレッタ次第ですわ。でも、そうなったらどんなに痛快かとわたくしは思いますわね」


 わたくしがそう言うと、いじめっ子たちは気まずそうに目を見合わせました。

 そして、


「ねぇ、もう行こう」

「そ、そうね」

「うん……」


 そうして、一人、また一人と散り散りになって行きました。


「ありがとうございます、クレア様」

「わたくしはただ、本当のことを言っただけですわ。それよりあなた。あの人数を相手に、よく立ち向かえましたわね?」

「ロレッタは親友ですから。私、彼女のピアノと一緒にヴァイオリンのコンサートをするのが夢なんです」


 ピピによると、ロレッタは幼なじみなのだそうだ。

 わたくしとカトリーヌみたいなものかしら。


「その友情、大切になさいな。貴族社会は繋がりの社会。強固な絆は武器になりましてよ?」

「はい!」

「そしてロレッタ」

「は、はい!」

「このクレア=フランソワにここまで言わせたのです。どうかわたくしを嘘つきになさらないでね?」

「はい!」

「結構」


 わたくしはロレッタの手を引いて立ち上がらせると、二人に言いました。


「あなたたちは見所がありますわ。今日からわたくしのものになりなさい」


 ◆◇◆◇◆


「っていじめられてた子が、今じゃ同世代有数のピアニストですからねぇ。あの時いじめてた子たちですら、今じゃロレッタのファンですし」

「ピピだって、今度のコンサートのソリストでしょ? 凄いよ」


 お互いを褒め合うピピとロレッタは、とても誇らしそうでした。


「あれだけのことをしておいて、調子のいい方たちですわね、全く」

「アハハ……、過ぎたことですから。もう気にしてません」

「ロレッタってそういうとこ、ちょっとさっぱりしすぎだと思う」


 わたくしとピピは少し不満でしたが、ロレッタはもう水に流したようです。


「ま、わたくしの人を見る目は確かだったってことですわね」


 わたくしが満足げに言うと、


「つまりクレア様のお眼鏡に適った私も、将来有望ってことですね?」

「あなたを認めたことは、ただの一度もありませんわよ!?」


 平民がふざけたことを言ったので、厳しく反論しておきました。


「でも、クレア様には本当に感謝しているんです。あの時助けて頂かなかったら、私たち潰れちゃってたかも知れませんし」

「はい、ありがとうございます、クレア様」


 ピピとロレッタが改めて礼を言ってきました。

 そんなこと、必要ありませんのにね。

 わたくしは気に入らないものを気に入らないと言い、好きなものを好きなように手に入れただけですわ。


「今さら水くさいですわよ。二人ともわたくしのゆうじ――所有物なんですから」

「そうですよ、私たちの仲じゃないですか」

「「「何しれっと混ざってます(る)のよ!?」」」


 思わず恥ずかしいことを言いそうになったので、わたくしは平民を弄ることで誤魔化したのでした。


*Translation below was made possible with the help of Sephallia. Thank you so much Sephallia.


11. Pipi and Loretta (2)


“And so… that’s what happened!”

“I’m so jealous, Claire-sama! To think you had the opportunity to hear Sein-sama’s lyre!”

“If only I could have been there too…”


It was after school and Lene, Pipi, Loretta, and I… as well as the commoner, were at the usual gazebo. Recently, it was almost routine for the five of us to gather here for tea. The nobles sat at the table while Lene and the commoner stood close by ready to serve. On the table were fragrant teas and a lineup of various sweets, all of which had been personally selected from the kingdom’s most prominent diner, Blume. Needless to say, Pipi and Loretta were both ecstatic.


We discussed various topics as they had come up, but the comments just now had been in regard to my chance encounter with Sein-sama the other day.


“Myself aside, Pipi, Loretta, do you both agree that Sein-sama’s lyre is exquisite?”

“Yes!”

“Of course!”


Pipi and Loretta both had a much deeper understanding of music than I did. Pipi took pride in her violin and Loretta in her piano. They were both exceptionally proficient at their respective instruments, each laying claim to awards from many prestigious musical competitions.


“Come to think of it, music served as the cue to our friendship, didn't it?”


When I brought the topic up, Loretta’s expression stiffened.


“Ah… Even just thinking about those events makes me feel so embarrassed that I could die…”


In direct contrast to Loretta, whose face turned red as she shrunk back, Pipi said,


“There’s no need to feel embarrassed over it, Loretta. I mean you grew from that experience to become a top class musician!”


To try and encourage her. It appeared that their relationship had not changed at all from when they had first met.


Perhaps because the topic had come up, my memories of our meeting began playing in the back of my mind.


 ◆◇◆◇◆


Having struck the final note, voices of awe filled the space around me.


“Wonderful, Claire-sama, you played marvellously.”

“I’m honored, Carole-sama.”


I thanked Mrs. Achard who was our acting instructor and returned to my seat.


We were currently in the music room of the Royal Academy’s Middle School and that had been my very first piano lesson since enrollment. As a noble, music was an essential part of our Social Studies, and among the instruments, piano was the basic of the basics. Having received strict instruction from a very young age, it was obvious that such a simple etude would present no challenge.


“Just as I would expect from Claire-sama!”

“What a wonderful performance!”

“That was nothing, I’m sure any of you could do just the same.”


That was by no means modesty, it was but the truth. Most of the students gathered here would have received instruction from private tutors similar to my own. If someone here were to stumble over a simple etude like this, it would surely be quite the blow to their dignity. That said, in recent years the number of commoners attending the academy has increased. It should go without saying that it would be impossible for any commoner to mimic my performance.


“Next up is Loretta-san. Please step forward.”


With a gentle smile, Mrs. Achard―Carole-sama―called the next student forward. A young girl with short black hair and black eyes stood and stepped forward. With beautiful form in each stride, she made it clear that her household had deep ties to traditional martial arts. Her freckled face held such a huge smile that I couldn’t help but wonder what she was so happy about.


“There’s no need to feel nervous. Go on and play.”

“Yes!”


Urged on by Carole-sama, the girl, Loretta, took a deep breath and put her hands to the keys. The performance really wasn’t something that could be praised. Among several mistakes, her performance felt stiff and rigid, making it clear that she did not possess the required technique.


“Absolutely awful. That girl, isn’t she meant to be a noble?”

“I doubt she received proper education, the poor soul.”


Some of the students listening had begun to snicker and sneer. While it was true that her performance was by no means laudable, I was not fond of those who talked behind others’ backs. Bearing through my discomfort, I truly hoped that their words had not reached Loretta.


Fortunately, Loretta appeared to be having the time of her life and that their jeers had fallen on deaf ears. Though she lacked the technique, it was clear that she had a passion for the keys. It was practically written on her face―“This is what I have always wanted.”


Making her reluctance apparent, Loretta lifted her fingers from the keys.


“Well done. You lack technique, but you love the piano very much don’t you?”

“Yes, absolutely!”

“That’s wonderful. Those feelings are what is most important. However, that etude is too advanced for your current level. Consider practicing with something simpler.”

“I understand!”


With a deep bow, Loretta returned to her seat.


“Next up is Pipi-san. Please step forward.”

“Yes.”


From then on, I kept my gaze fixed on Loretta. Even as the next student stepped forward and began playing, one thought occupied my mind―was playing piano… really something so fun?


 ◆◇◆◇◆


“Hey, you! Don’t you feel embarrassed about that performance?”

“Absolutely awful. Especially right after Claire-sama’s… it was quite the fall from grace.”


After school that day, I needed to return to the classroom to pick up something that I had forgotten. There, I found several people surrounding two female students. One of them was Loretta who cowered on the ground as another girl stood in front to protect her. If my memory was correct, the other girl’s name was Pipi.


“What’s with you all! Ganging up on her! Loretta will one day become the kingdom’s number one pianist…! Just watch!”


She tried to intimidate them like a cat with its hair standing on end, but she was too desperate.


“Ahahaha! Hey, did you hear that? The kingdom’s number one pianist!”

“The girl that couldn’t even play that etude earlier?”

“Get real! That girl has absolutely no talent!”

“Shut it, shut it, shut it!”

“…”


The crowd around them hurled insults at Loretta one after another. Though Pipi was doing her best, tears had begun to form within the corner of Loretta’s eyes.


It appeared that I had stumbled upon the two being bullied. In the closed, elitist world of nobility, bullying was rather common. I personally though, made no hobby of banding together in a mob to tyrannize the few.


“My, my. Pinning everything onto talent, are we? How shallow. Do none of you have any concept for the words effort and growth?”

“C-Claire-sama…”


When I entered the classroom the bullies shrunk back. I did not relent.


“House Cugletto is famed for its history in the martial arts. You lot make light of her piano, but if you were to stand on her stage, surely she’d make light work of you.”

“!”


It was at that point that they finally realized the position they were in. The academy’s curriculum of course also involved mock battles for training.


“And most importantly, the comment that she has no talent is complete rubbish. Don’t you see? She has the most important talent that anyone could hope to have.”

“…?”


Loretta looked at me as though she couldn’t comprehend what I had just said. She was even more perplexed than the bullies that stood around her.


“Didn’t Carole-sensei say it herself? You love the piano, don’t you? Out of all of the students that played the piano today, I have no doubt that you were the one who had the most fun.”

“Ah…”

“Or were those words simply lip service?”

“No! I… I… really do love the piano!”


Loretta shook her head so aggressively I thought her neck might snap.


“B-But, Claire-sama! Loving the piano and being able to play it are―”

“Are you aware of the saying that effort burns out before passion?”

“Eh?”

“N-No, I’ve never heard that.”


It stood to reason. Otherwise they would not be here saying such rubbish.


“Effort describes when one puts up with something unpleasant in order to achieve an end. This is of course important, but how can a forced effort overcome a passion that drives one to constantly do something because it brings them joy?”

“Claire-sama, you claim that this girl has that?”

“That is up to Loretta, but wouldn’t it be quite the rush if things turned out that way?”


In response to my words, the bullies exchanged awkward glances and then,


“Uhm, we should get going.”

“L-Let’s…”

“Yeah…”


People left one by one and before long, the mob dispersed.


“Claire-sama… thank you.”

“I simply stated the truth, nothing more. That aside, you, you really did well standing up to that large mob.”

“Loretta is my best friend so…”


According to Pipi, the two were childhood friends. Perhaps they had something akin to the relationship I shared with Catherine.


“Treasure that friendship. Connections are important within noble society, a firm bond can go a long way.”

“Yes!”

“Loretta.”

“Y-Yes!”

“I, Claire François, went out of my way and made some big claims. I ask that you don’t turn me into a liar.”

“Of course not!”

“Very good.”


Helping Loretta onto her feet, I addressed the two,


“You two show a lot of promise. From today forward I ask that you entrust yourselves to me.


 ◆◇◆◇◆


“To think the girl that got bullied that day is now the number one pianist in our generation…”

“I mean Pipi, you were selected as the soloist for the upcoming concert! You’re just as amazing.”


I felt pride as I watched the two praise one another.


“Well, it appears I may have quite the eye for people after all.”


When I expressed my content,


“In other words, Claire-sama, you believe that I too hold promise…?”

“I have never approved of you, not even once!”


In response to the commoner’s jests, I made sure to give my firm denial.


“But Claire-sama, I really am grateful for what you’ve done. If you hadn’t come at that time, I don’t think that I could’ve persevered.”

“Yes, thank you so much, Claire-sama.”


Pipi and Loretta expressed their gratitude anew. They really didn’t need to. Something had upset me, so I made that clear. I took a liking to them, so on that whim I claimed them as my own. That was all there was to it.


“Come now you two, no need to be so formal about it.”

“Yes, that’s exactly right! We all go way back, don’t we?”

“““Why do you think that you can just casually join in on this!?”””


Really, I wondered when I’d have the opportunity to rid myself of this commoner.


*아래의 번역은 "와타오시 번역"의 협력으로 실현되었습니다.고마워요, "와타오시 번역"


11. 피피와 로렛타 (2)


“뭐, 그런 일이 있었어요.”

“부러워요, 클레어 님. 세인 님의 하프 연주를 들을 수 있으셨다니!”

“저도 함께하고 싶었어요.”


방과 후, 교내 정자.

저와 레네, 피피, 로렛타, 평민까지 다섯 사람은 요즘 항상 여기서 차를 마십니다.

자리에 앉아 있는 사람은 귀족인 우리 셋. 레네와 평민은 뒤쪽에서 대기하면서 시중을 드는데 전념하고 있습니다.

테이블에는 향긋한 차와 여러 과자들이 놓여있습니다.

뭐 하나 빠짐없이 고급 레스토랑인 블루메에서 들여온 것들이라 피피와 로렛타는 크게 기뻐해주었습니다.


다양한 화제들로 수다를 나눴지만 지금 우리가 얘기하는 화제는 어제 있었던 세인 님에 대한 일입니다.


“저는 그렇다 쳐도 피피와 로렛타가 보기에도 세인 님의 하프 연주는 대단한가요?”

“네!”

“물론이죠.”


피피와 로렛타는 저보다도 월등할 정도로 음악에 대한 조예가 깊습니다.

피피는 바이올린, 로렛타는 피아노가 특기입니다.

둘 다 상당한 실력이라서 왕국 내 음악 콩쿠르에서 몇 번이나 입상했을 정도입니다.


“그러고 보니 여러분과 처음으로 알게 된 것도 음악이 계기였네요.”


문득 떠오른 생각을 제가 입에 담자 로렛타가 뭔가 켕기는 듯한 표정을 지었습니다.


“그때 일을 떠올리면 창피해서 죽을 거 같아요…….”


얼굴을 빨갛게 물들이고서 작은 목소리로 웅얼거리는 로렛타에 비해 피피는,


“별로 부끄러워할만한 일은 아니야. 이제 로렛타는 일류 연주자니까.”


라며 치켜세워주듯이 말했습니다.

이 두 사람의 관계는 처음 만났을 때부터 하나도 달라지지 않은 모양입니다.


옛날 얘기가 나와서 그런 걸까요. 제 머릿속에서도 자연스럽게 당시의 기억이 떠올랐습니다.


 ◆◇◆◇◆


마지막 음표 하나까지 연주를 마치자 주변에서 감탄의 환호성이 터졌습니다.


“괜찮았습니다, 클레어 님. 상당히 능숙해졌어요.”

“별 말씀을요, 캐롤 님.”


교사인 아샤르 부인에게 인시하고서 피아노에서 일어났습니다.


이곳은 왕립학교 중등부 음악실입니다.

우리들은 지금 중등부에 올라와 처음으로 하는 피아노 수업을 받는 중입니다.

귀족에게 음악이란 필수 교양입니다.

그 중에서도 피아노는 기초 중의 기초.

어렸을 때부터 엄격한 훈련을 받아왔던 저에게 있어서 이 정도 에튀드쯤이야, 눈감고도 연주할 수 있었습니다.


“역시 대단하세요, 클레어 님!”

“멋진 연주였어요!”

“이쯤이야 별 거 아니에요. 여러분들도 치실 수 있을 거예요.”


이건 겸손이 아니라 단순한 사실입니다.

대부분의 학생은 저와 마찬가지로 집안에서 붙여준 가정교사를 통해 교육을 받고 있습니다.

이 정도 에튀드로 애를 먹어서야 귀족의 체면과도 직결되겠죠.

사실 요즘 들어서 늘어나고 있는 평민 학생들로선 도저히 흉내 낼 수 없는 재주겠지만요.


“다음은 로렛타 양이군요. 앞으로 오세요.”


온화한 미소를 짓고 있는 아샤르 부인—— 캐롤 님은 다음 학생을 호명했습니다.

부르는 목소리에 일어난 사람은 숏컷을 한 검은 머리카락에 검은 눈동자를 가진 여학생입니다.

걷는 자세가 아주 깔끔한 걸로 볼 때, 아마도 뭔가 무예를 익히고 있다는 사실을 알 수 있었습니다.


“긴장하지 않아도 괜찮아요. 자, 연주해주세요.”

“네!”


캐롤 님의 재촉에 로렛타라고 불린 소녀는 한 번 심호흡을 한 뒤, 건반 위에 손을 올리고서 연주를 시작했습니다.

연주는 결코 칭찬할 만한 솜씨는 아니었습니다.

몇 번이고 음을 틀리기도 했고, 곡조도 나빴고, 연주에 필요한 기술이 아직 몸에 익지도 않았다는 게 보였습니다.


“너무하네. 쟤, 저래보여도 귀족이잖아?”

“만족스러운 교육을 받지 못했나보네. 불쌍하게.”


연주를 듣던 학생들 사이에서 실소가 흘러나오는 게 들렸습니다.

분명 연주는 빈말로라도 잘한다고는 할 수 없었지만 뒤에서 험담을 하는 건 제 취미가 아닙니다.

저는 불쾌하게 여기면서 이 대화가 로렛타의 귀에 들리지 않았으면 좋겠다고 생각했습니다.


하지만 로렛타는 저런 사람들의 음험한 수군거림은 전혀 들리지 않는 모양입니다.

그녀는 정말로 즐거운 듯이 피아노를 연주했습니다.

서투르기 그지없는 기술인데도 로렛타는 연주를 즐기고 있습니다.

언제나 이걸 하고 싶었다—— 그렇게 얼굴에 쓰여 있었습니다.


로렛타는 마지막 건반을 누른 뒤, 정말로 아쉬워하는 표정으로 손을 뗐습니다.


“좋아요. 기술적으로는 아직 멀었지만 당신은 정말로 피아노를 좋아하는군요.”

“네, 정말 좋아합니다!”

“그건 아주 훌륭한 거예요. 좋아한다는 마음은 무엇보다도 중요해요. 하지만 이 에튀드는 아직 당신에겐 이른 것 같네요. 조금 더 간단한 부분부터 해내가도록 해요.”

“알겠습니다!”


로렛타는 아주 정중하게 인사를 하고서 자리로 돌아갔습니다.


“다음은 피피 양. 앞으로 나오세요.”

“네.”


다음 학생이 호명되는 도중에, 저는 줄곧 로렛타를 바라보고 있었습니다.

피아노라는 게 저렇게나 즐거운 거였던가—— 그런 생각을 하면서.


 ◆◇◆◇◆


“저기, 있잖아 너. 남들 앞에서 그런 연주를 하고서 부끄럽지 않아?”

“지독했지. 바로 앞에 클레어 님의 연주에 비교하면 천지차이였어.”


그날 방과 후, 깜빡 잊은 물건이 있다는 걸 깨닫고서 교실로 돌아가자 학생들 몇몇이 여학생 둘을 둘러싸고 있었습니다.

바닥에 웅크리고 있는 사람은 로렛타, 그리고 그녀를 감싸듯이 앞에 나서서 가로막고 서 있는 사람은 분명 피피라고 불린 아이입니다.


“여럿이서 몰려들어서 뭔데! 두고 보라고! 로렛타는 이 나라에서 제일가는 피아니스트가 될 테니까!”


털이 곤두선 고양이처럼 위협하고 있지만 표정에선 불안함이 엿보였습니다.


“앗핫하하! 저거 들었어? 이 나라 최고의 피아니스트래!”

“중급 에튀드도 제대로 못 치는 재능으로?”

“불가능하지! 걔는 재능 없다고!”

“시끄러, 시끄러, 시끄러!”

“…….”


두 사람을 둘러싼 학생들이 입을 모아 로렛타를 바보 취급했습니다.

피피는 필사적으로 로렛타를 비호하려고 했지만 로렛타의 눈에는 눈물이 글썽거렸습니다.


아무래도 이건 괴롭힘 현장인 거 같네요.

귀족이라는 폐쇄적 사회에는 흔히 있는 일이지만 여럿이서 뭉쳐서 소수를 괴롭히는 건 제가 좋아하는 일이 아닙니다.


“어머나. 재능이라는 단어 말고는 아는 게 없나보군요? 혹시 당신들, 성장이나 노력이라는 말은 알고 계신가요?”

“크, 클레어 님…….”


제가 교실에 들어가자 일방적으로 몰아붙이던 학생들은 쩔쩔매는 기색이었습니다.

제가 말을 이었습니다.


“크글렛 가문은 무예로 이름 높은 명가. 마법이나 격투로 승부한다면 당신들 정도는 가볍게 비틀어버릴 텐데요?”

“!”


겨우 그제서야 자신들의 입장을 인식한 모양이겠죠.

학교 수업 중에는 당연히 모의전투 훈련도 있습니다.


“무엇보다도 그녀한테 재능이 없다는 소리부터가 엉터리예요. 로렛타에게는 가장 중요한 재능이 있잖아요.”

“……?”


로렛타를 괴롭히던 학생들보다도, 제 말을 들은 로렛타가 어리둥절한 시선으로 저를 바라봤습니다.

그녀도 무슨 말인가 싶겠죠.


“캐롤 님도 말씀하셨죠. 당신, 피아노를 좋아하잖아요? 그렇게 즐겁게 피아노를 연주했던 사람은 우리들 중에서도 당신뿐이였어요.”

“아…….”

“아니면 그건 그냥 해본 말이었을 뿐인가요?”

“아니에요! 저는…… 저는 정말로 피아노를 좋아해요!”


로렛타는 목이 떨어져라 싶을 정도의 기세로 몇 번이고 고개를 끄덕였습니다.


“하, 하지만 클레어 님. 좋아한다는 마음만으로는——.”

“노력하는 자는 좋아하는 자를 이기지 못한다는 말을 아나요?”

“네?”

“자, 잘 모르겠는데요.”


그렇겠죠.

알고 있었다면 그런 어리석은 소리는 하지 않았겠죠.


“노력이라는 건 괴로움을 견디면서 해나가는 거예요. 하지만 참을 수 없을 정도로 좋아해서 자신이 즐기는 일을 기뻐하며 계속하는 사람에겐 아무리 해도 이길 수 없는 법이에요.”

“얘가 그렇다고 말씀하시는 건가요?”

“정말 그럴지 어떨지는 이제부터 로렛타가 하기 나름이에요. 하지만 저는 그렇게 된다면 얼마나 통쾌한 일일까 싶네요.”


제 말에 아이들은 쭈뼛거리는 태도로 서로 눈을 마주봤습니다.

그리고,


“저기, 이만 가자.”

“그, 그러네.”

“응…….”


그리고선 한사람씩 뿔뿔이 흩어지기 시작했습니다.


“고맙습니다, 클레어 님.”

“저는 단지 당연한 말을 했을 뿐이에요. 그보다도 당신. 저만한 머릿수를 상대로 잘도 맞서 싸울 수 있었네요?”

“로렛타는 제 친구니까요. 저는 언젠가 로렛타의 피아노와 함께 바이올린 콘서트를 여는 게 꿈이에요.”


피피의 말로는 로렛타와 소꿉친구라고 합니다.

저와 카트린 같은 사이일까요.


“그 우정을 소중히 하세요. 귀족 사회는 인맥의 사회. 견고한 인연은 무기가 될 거예요.”

“네!”

“그리고 로렛타.”

“아, 네!”

“바로 저, 클레어 프랑소와가 이렇게까지 말해줬어요. 저를 거짓말쟁이로 만들지는 않겠죠?”

“네!”

“좋아요.”


저는 로렛타의 손을 잡고 일으켜 세워주고서 두 사람을 향해 말했습니다.


“당신들에겐 장래성이 있어요. 오늘부터 제 것이 되도록 하세요.”


 ◆◇◆◇◆


“그때 괴롭힘 당하던 애가 지금은 같은 세대 중에서도 손꼽히는 피아니스트니까요. 그때 로렛타를 둘러싸고 괴롭히던 애들도 지금은 로렛타의 팬이고요.”

“피피도 이번 콘서트의 솔리스트잖아? 굉장해.”


서로를 칭찬하는 피피와 로렛타는 어쩐지 자랑스러워 보였습니다.


“그런 짓을 하고도 참 뻔뻔스러운 애들이네요, 정말이지.”

“아하하……, 이미 다 지나간 일이니까요. 이미 신경 안 써요.”

“로렛타는 그런 점에선 너무 뒤끝이 없다고 생각해.”


저와 피피는 조금 불만이었지만 로렛타는 이미 다 털어낸 모양입니다.


“뭐, 제 사람 보는 눈은 확실했다는 거죠.”


제가 만족스럽게 말하자,


“즉, 클레어 님의 눈에 들은 저도 장래가 유망하다는 뜻이군요?”

“당신을 인정해본 적은 단 한 번도 없잖아요?!”


평민이 또 헛소리를 하길래 딱 잘라 말해줬습니다.


“하지만 클레어 님께는 정말로 감사하고 있어요. 그때 도와주시지 않았더라면 저희들은 거기서 좌절했을지도 모르고요.”

“네, 정말 감사드려요, 클레어 님.”


피피와 로렛타가 새삼 감사 인사를 했습니다.

그럴 필요 없는데 말이에요.

저는 마음에 들지 않으면 마음에 들지 않는다고 말하고, 좋아하는 건 좋아한다고 말할 뿐이에요.


“뭐예요, 새삼 서먹하게. 두 사람 다 제 친구—— 소유물이니까요.”

“그러니까요, 우리들 사이잖아요.”

“““뭘 은근슬쩍 끼어드는 거예요?!”””


저도 모르게 부끄러운 소리를 해버릴 뻔 해서 평민에게 소리치는 걸로 얼버무렸습니다.


이 평민은 대체 언제쯤 떨쳐버릴 수 있을지 잘 모르겠지만요.

Comments

Anonymous

誤字報告です↓ ・その時になってようやく自分たちの立場を認識したのだろう。  学院の授業には当然、模擬戦闘の訓練などもある。 →その時になってようやく自分たちの立場を認識したのでしょう。  学院の授業には当然、模擬戦闘の訓練などもあります。

Anonymous

I already said that I love Claire right? imagine Claire claiming you as hers, I'm dying.

Anonymous

Aww~ Claire-sama is such a nice person~ I'm really glad sensei writes chapters like this because it helps me learn more about the side characters! If it weren't for chapters like this, it's easy to just forget or recognize the two of them as something like "Claire-sama's mean groupies". Their friendship is wonderful and I didn't expect that Pipi would be the one doing any protecting but that's cool! Although, I can somehow imagine just how excited and happy Loretta looked when she's about to play the piano. This chapter warms my heart~ I forgot to say this in Catherine-sama's chapter but Claire-sama is almost like an onee-chan to most of her close friends but there's also her imouto side showing like with Lene-- and I think both sides are absolutely cute (´ε` )♡

Anonymous

“We go all the way back, don’t we?” Oh Rei, if only you knew how true that was.👀 Claire is honestly so bad at bullying, but honestly such an example of a noble who appreciates others that try and/or have potential to do great things. It makes her even more endearing.💕

inori-0

ご指摘ありがとうございます。 修正させて頂きます。

Anonymous

Aww, is true that we don't know too much about Loretta and Pipi, this made me happy, seeing how kind Claire Sama is, and the past about Pipi and Loretta, i can understand them a little better.