【肉畜証明書】屠畜の日☆屠畜記録スペリオール・恋人コース編【SS付き】 (Pixiv Fanbox)
Content
まに様が書いたSSもつきます。是非とも一見ください。
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~~以下はSSです~~
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作者:まに
それは、茹だるように熱い夏の一日だった。
アスファルトの蒸す匂いがする。蜃気楼に歪む遊園地の遠景。草木の香り。
炎天下の最中、俺は身体にへばりつくシャツを鬱陶しく思いながら遊園地での慣れない仕事に戸惑っていた。
大学二年のこの夏、短期で始めたバイト、今日はその初日。
流れる汗の原因としては、熱さの他に焦燥感も多分に関係しているだろう。
遠くで剣呑と回る観覧車にふと意識を奪われると、元気な声が振りかかって来て我に返る。
「だから、私達の四人とも『恋人コース』をお願いしたいんです!
……聞いてます!?」
……勿論、と。俺は果たしてちゃんと頷けたのか、頷けなかったのか。
とにかく俺は改めて正面の客達に向き直って、益々頭を悩ませた。
四人の美少女達が並んで俺を見つめている。
彼女達の制服は特徴的で、一目見るだけでルルイチ学園の生徒だと分かった。
乳房の露出した煽情的な制服。ルルイチの象徴とも言える個性的な格好だ。
制服ばかりではない、その外見も、恐らく性格も、四者四様、なんとも個性的な彼女達だ。
俺に気を強く話しかけてくる、赤髪ポニーテールの女の子は、恐らく彼女達のグループのリーダー的な存在なのだろう。他の三人は物言いを気の強い彼女に任せながら、どこか申し訳なさそうに俺のことを見ている……ような気がする。
リーダー的彼女は益々強く問いかけてくる。
「私達、今日屠畜されたいって決めたんです!ここは『恋人コース』で屠畜してもらえるんですよね!?」
また、勿論、と頷くことしか出来ない。
そして今度は、改めて説明を返す。ここは確かに、肉畜に屠畜を楽しんでもらう為の遊園地です、と。
* * *
――厳密に言うと、ここはルルモエ市、シチュエーション体験特区。その遊園地エリア。
この特区では、訪れた肉畜は様々なシチュエーションでの屠畜を体験出来る。各々が理想とする環境で屠畜を楽しめる、言うなればアトラクション施設とでも言うべきか。
当然、屠畜を受ければ死ぬわけで、訪れる肉畜の殆どは模擬屠畜を体験し、満足して帰っていく。
しかし肉畜が強く望めば、本当に屠畜を受けることも当然可能だ。その場合、本来かかる入園料を始めとした諸々の費用は無料となる。
この遊園地には様々なシチュエーションが存在するが、俺の担当する『恋人コース』では従業員と恋人気分を味わいながら屠畜されることが出来るコースであることも間違いない。
* * *
「だったらどうして、早く『恋人コース』をやらせてくれないんですか!」
ですからね、と、俺は益々かみ砕いて説明を続ける。
本来であれば、なんの問題もない。
けれど生憎、急な来訪だった為に、『恋人コース』を担当する男性従業員が今は俺以外にはいないのだ。女性の従業員なら数人いるが、彼女達四人はまったくレズっ気がないみたい。
足りない人員を補充する術はないし、俺が分裂するわけにもいかない。四人同時の『恋人コース』は現状出来ない状態なわけだ。
予約ではない以上、恐らく突発的な思い付きではあろうとはいえ、彼女達にとっては人生で一度きりの大事な屠畜だ……心苦しいのだけれど、こればかりはどうしようもない。
「そんなこと言っても――」
「まぁまぁ桂子(けいこ)ちゃん、落ち着こうよ、ね?」
リーダー的赤髪ポニーテールの彼女とは真逆のおっとりした声が、バイト初日にあるまじき重いタスクに悩む俺には天使の囁きのようにさえ聞こえた。
四人の中で一番爆乳な、ピンク色の髪の女の子。
桂子と呼ばれたリーダー的彼女の横にいた、いかにも優しそうな女の子だった。
その女の子は桂子に対して女性的な優しさ全開で諭しにかかる。
「公式サイトにも注意書きが書いてあったでしょ?『予約なしの御来園の場合、お望みのシチュエーションに対応出来ない場合がございます』って」
「そ、そんなこと書いてあったっけ……」
「あったよぉ。桂子ちゃん優しいから、私達の屠畜をちゃんとしようって意気込んでくれてるのは分かるけど……落ち着こうよぉ、ね?」
「う、うん……」
……ああ、敵を作らないタイプの女の子だ。彼女を否定するでもなく、しっかり肯定して諫めている。
若いのにちゃんとした子だなぁ、などと老人気分で思っていると、女の子は俺に対してぺこりとお辞儀した。
「すいません従業員さん。……あの、やっぱり無理、なんでしょうか?」
優しい問いかけを受けると、バイト初日の緊張が解け、思考が巡っていくような気がした。
『恋人コース』本来の一日恋人プレイは無理だけれど……例えば一人二時間おきという配分であれば、閉園までに四人を屠畜することは可能かもしれない。
俺はおずおずと言ったのだけれど、提案を聞いた途端、女の子はぱっと笑顔を華やがせた。
「あ、それいいかもしれませんね!ね、皆そうしない?」
――結局、他の三人も承諾して、この案は通り、俺はバイト初日にして、四人の屠畜という大役を任せられることになった。
俺は元々、大学では屠畜業者を目指して勉強をしている。屠畜自体は滞りなく行うことが出来るだろう。
問題は、短時間の間に彼女達を『恋人役』として満足させられることが出来るだろうかという点だった。
だが、まず一人目の屠畜を誰にするかが決められたところで、その懸念は多少ばかりほぐれることとなった。
最初に恋人として過ごすことになったのは――場をまとめてくれた、あの優しい女の子であったから。
* * *
話し合っている間に時間も過ぎ、現在の時刻は十五時過ぎ。
ここから二時間ずつ、日付が変わるギリギリまでに四人を屠畜する。
思いもよらぬ展開に困惑しながらも、俺はどことない高揚も同時に感じていた。
彼女の名前は志賀真弓(しが・まゆみ)と言うらしい。
たった二時間の彼女とのデートは、驚くほどに楽しかった。
真弓は他の三人に劣らない容姿の端麗な女子高生であると同時に、胸も大きい。外見的な魅力は留まるところを知らない。
しかしそんな外見以上に、彼女の淑やかで優しい性格が俺を幸せな気持ちにさせてくれた。
「私達、小学生の頃からずっと仲良しだったんです」
彼女は優しい恋人繋ぎでその細い指をぎゅっと絡めてきながら、俺の顔を覗き込み、顔を傾け微笑む。綺麗な髪がさらりと流れ、胸がどきりとするのを感じる。
「なんだか今日、四人でいたら急に屠畜しちゃおうって空気になっちゃって。……はしたないですよね、迷惑をおかけしてすいません」
……確かに、『たった一度の屠畜を思いつきでやるな』と怒る、保守的な肉畜達も多い。けれど、大事な屠畜だからこそ、一番気が向いた時に、好きなようにやればいいと思う。誰かにケチをつけられる謂れはないし、はしたないとも感じない。
それに迷惑と言えばこちらのほうだ。……もっと俺がベテランだったら、より良い屠畜案もあったかもしれない。
「ありがとうございます……え?今日がバイト初日なんですか?……ふふ、どおりでちょっと焦ってるなって思いました」
――驚くほど、あっという間に打ち解けていく。
自信家ではない自分だが、彼女も俺に心を許しているとはっきり断言出来てしまうのがまた不思議だった。
共に心の奥底から、楽しみとときめきを共有している感覚。
真弓と手を繋いで遊園地を巡りながら、俺はいつまでもこんな時間が続いて欲しいと心から思った。
だが、それは生憎叶わない。
彼女はまもなく屠畜され、淫乱死体となるのだから。
* * *
その時は、あっという間にやってきた。
時刻は夕方になり、辺りは茜色に染まっている。
黒と臙脂色のみの影絵のようになった世界で、彼女は後ろにいる俺へと振り向き、背後の巨大な影を指さした。
「……では、このアトラクションで……屠畜をお願いいたします」
彼女の指差したそれは、ジェットコースターだった。
別名、『首締めジェットコースター』。
地域最大級の規模を誇る、乗車時間15分にものぼるこのジェットコースターはいつもは普通の絶叫マシンとして運用されているが、屠畜を望む肉畜がいた場合は処刑器具に変容する。
乗車した肉畜には精密機器の搭載された首輪がかけられ、15分の間にゆっくり首が絞められていき……最後は窒息して果てる。
「楽しかったです……本当に、とっても」
俺は正直、もっと彼女と一緒にいたかった。
しかし、肉畜の屠畜を邪魔してはならない。彼女だけに留まらない。どんな肉畜も、その女性達にとって最高の屠畜を迎えなければならないのだ。それが彼女達の幸せなのだから。
彼女にとって、その瞬間は今なのだ。呼び止めることなんて許されない。
だから俺は邪魔をせず、彼女と一緒にジェットコースターに乗った。
横で彼女の最期を看取る。それも恋人の務めなのだ。
「……好きですよ」
ちゅ、と互いにキスをして。
そしてジェットコースターは動き出す。
俺は最後まで、彼女にとってかっこいい彼氏であろうと思った。
それが仮初とはいえ、彼氏である俺の役目なのだから――。
* * *
そして、15分後。
「……えっと……」
「い、生き残っちゃいましたねー……あはは」
陽が落ちかけている夕方、ベンチに座って、真弓はバツが悪そうに笑っていた。
真弓の屠畜は失敗となったのだ。
「……まさか貴方があんなに絶叫マシンを苦手だとは思いませんでしたー……すいません、ジェットコースター選んじゃって」
――屠畜失敗の原因となったのは、俺だ。
俺は彼女に膝枕を受けて頭を撫でられながら、もう顔も向けられずに彼女のお腹に顔を埋めていた。
ああ、元々絶叫マシンは大の苦手だ。
それでも彼女のことを思えば我慢出来るかと思っていたけれど……人間中々、心底苦手なものを気合だけで克服することは叶わないらしい。
そりゃあもう、心配になるほどに俺は喚いていたのだろう。
彼女は自分が屠畜されるという環境にいながら、そんな俺のことを心配してくれたらしいのだ。
屠畜に使われる首輪はハイテクだ。彼女の異常を感知した場合――つまり健全な屠畜環境でない場合――首を絞めるのを中止する。彼女は首を絞められなかった。結果的に俺のせいで屠畜失敗となったわけだ。
全く、真弓の顔を見れない。彼女自身は俺を優しく撫でてくれているけれど、申し訳なさ過ぎてどうしようもない。
華の屠畜を邪魔するなんてあり得ないことだ。
――俺は一応、消え入るような声で、屠畜を再開するかどうか、尋ねる。
「……うーん……ちょっとそういう空気も消えちゃいましたよね……流石に」
優しい真弓のオブラートに包んだ言葉が、けれど直球以上に胸を抉る。
「そ、そんなに落ち込まないで下さいよ!こういうこともありますよ、ね?」
優しい対応が心苦しい……。
「……もー、しょうがないですね……」
真弓は溜息をつくと、くすりと、笑った。
俺の頭をゆっくりと撫でつけながら、そうして囁いてきた声は、今までで一番天使のように聞こえた。
「屠畜の機会も逃しちゃいましたし……本当の恋人になっちゃいます?」
思わず、俺は顔を上げていた。
豊満な胸の下乳が邪魔をして、彼女の顔は良く見えなかった。
けれど明らかに冗談の色はない。
「実は私、屠畜されかけた瞬間……もっと貴方と恋人コースを経験したいなって、ちょっと後悔しちゃったんです……♡」
俺は彼女のお腹に、今度は愛おしい気持ちで顔を埋めた。
つい一瞬前まで落ち込んでいたのが嘘のように、こんなに幸せなことがあっていいのかと思った――。
* * *
――ちなみに、屠畜を失敗した責任でバイトは初日でクビになった。
「だ、大丈夫ですよ、よくあることです、多分!ね?」
真弓が慰めてくれる中、俺は彼女達と遊園地を後にした。
他の三人の屠畜も併せて中止となった。四人一緒の屠畜でなければ意味がないらしい。
「……なぁんか変なことになっちゃったわね……」
そんな桂子の愚痴も聴こえた気がしたが。
ともかくそうして、俺と真弓は本当の恋人となった――。
* * *
俺と真弓は自分達のペースで、じっくりと関係性を築いていった。
数回のデートを重ね、俺は改めて彼女に告白した。勿論彼女は告白を受け入れてくれ、俺達はその日の内に初めての肉体関係も持つこととなった。
俺達はやがて同棲を始めた。
そこで予想外だったのが、他の三人ともただならぬ関係性が築かれていったことであった。
ことの発端は、彼女達が俺と真弓の部屋を溜まり場にして遊びにくるところから始まった。
「よ。遊びに来たわよ真弓。後そのオマケ」
あのリーダー的彼女――篠坂桂子(しのさか・けいこ)が、俺にはキツく当たりつつ訪れるばかりではない。
その陰からひょっこり姿を現す、もう二人。
「お兄さん、元気ですか?」
一人は人形のようなポーカーフェイスで、淡々と話しかけてきながら、俺に柔らかく手を振ってくる。
井宮紗由里(いのみや・さゆり)。知的で麗しく、ミステリアスなスタイル抜群の美少女。
そしてもう一人は――
「お兄ちゃ~んっ♡♡都月ねぇ、お兄ちゃんに会いたかったよ~♡♡」
――俺の胸に飛び込んできて、思いっきり甘えてくる溌溂とした低身長の女子高生。
白幡都月(しらはた・とき)。四人の中では紛れもなく、一番幼く見える子だろう。
「お兄ちゃん頭撫でて~♡ゲームしよ~♡」
子猫のように甘えてくる彼女は外見に留まらず、中身も相応に可愛らしい。四人の中でも妹的ポジションなのだと、付き合いたての頃に真弓から聞いた。
ただ、身体はしっかりと女であり、そこがなんとも悩ましいところなのだが――
「それとぉ……エッチ♡も♡し・よ♡おに~~ちゃん♡♡」
「……また。都月、一応そいつ、真弓の彼氏よ?」
「え~~?でもでもぉ、真弓ちゃんがオッケー出してくれてるんだよ~?ならいいじゃあん♡」
「そりゃそうかもだけど……ま、別に私には関係ないけど」
はぁ、と溜息をついて、桂子は花を摘みに部屋を出た。
それと同時に、俺を後ろから抱く者があった。真弓とは違う柔らかさと、匂い。
俺の耳元で密やかに囁きながら、彼女は抱き締めるようにして俺の服へと手を忍ばせ、細い指で両の乳首を弄る。
「さぁ……今日も私と浮気えっちしましょう?お兄さん……」
「え~違うよねぇ、都月のちっちゃぁい膣でおちんちんコキコキしたいよね~♡」
――前後から挟まれ、サンドイッチ状態。
ロリと発育抜群、相反する女体に挟まれながら、吐息をかけられ、乳首を弄られ、身体を擦り倒される誘惑。
どうしようもなく股間を膨らませる俺に、真弓は近づき、屈むと、耳元に艶やかな唇を近づけて――
「……今日も4P、楽しんじゃいます?……あなた♡」
――俺は堰を切られたかのように、彼女達を抱きしめて行為に至ることしか出来ない。
彼女達に好意を抱かれた上に、真弓が俺をシェアすることを厭わないどころか、むしろ幸せそうに肯定することが原因であった。
俺は実際、真弓、都月、紗由里の三人と肉体関係を持つ状況となっていた。
最初は勿論距離があったが、話していく内に意気投合していき、この関係まではあっという間だった。
真弓とは、身も心も蕩ける恋人エッチを楽しむ。
都月とは刺激的なプレイも多々。
紗由里は恋人関係というよりは、浮気プレイのようなものを好み、俺と背徳的な蜜月を味わうことを好んで。
女子高生達とのハーレムプレイという、夢のような状況が俺の日常となっている。
「……まぁ好きにやっといて。私ゲームしてるから」
――ただ一人、戻ってきた桂子だけは除いて。
「では今日も、沢山気持ちいいコトしましょうね……♡」
「お兄ちゃんのことぉ、とろとろにしてあげるぅ♡」
「……好きですよ、お兄さん」
言い寄られる中で、俺は少しだけ桂子のことが気がかりであった。
彼女だけは俺に対してずっとツンツンしっぱなしで、俺とも関係を持っていない。
勿論それは全然当然のことなのだが――なにやら妙に気になる女性なのだ。
* * *
蜜月の日々は一年半ほど続いた。
そして遂に、その時はやってきた。
ある日の夜、皆が集まっている中で、真弓は真剣な表情でこう言った。
「……私に、屠畜命令が届きました」
屠畜命令。読んで字のごとく、屠畜を宣告する命令。
つまり真弓は、近くに死ぬこととなったのだ。
リビングに、静寂が訪れる。
そして――
「真弓ちゃんおめでとーっ!!!」
「うわーとうとう来たかぁ!おめでと真弓!」
「……今日はお祝いね」
彼女達に続き、俺も心から彼女のことを祝福した。
肉畜にとって屠畜は幸福であり、屠畜命令は人生で一番の喜びなのだ。
俺達は真弓を祝い、真弓もまた幸せそうにはにかんだ。
皆がドタバタ騒ぐ中で、真弓はふと俺にアイコンタクトを送った。
幸せそうな、蕩けるような、視線。
これで、ずっとあなたと一緒にいられますね、と。恐らくはそういった意図の含まれた瞳に、俺は相槌を打つ。
あくまで仕事であった『恋人コース』での屠畜とは異なり、今度の屠畜は、彼女は逝った後に剥製とされ俺に所有されることとなる。
剥製となり想い人の傍にずっといることを、肉畜は良く好む。真弓もまた例外ではない。真弓にとってこれは別れではなく、肉畜として最高の形で俺に添い遂げることが出来る至福の結末なのだ。
俺もまた幸せな気持ちで微笑みかけると、真弓はほんのり笑んで視線を逸らし、
「……で、大事なお話が皆さんにあるのですが」
手を叩いて皆を制止させた。
立ち上がった桂子や都月が、不思議そうに座る。
「どうしたのよ真弓、真剣な顔して」
「こんなに幸せなことはありませんけど……それはそうとして問題がありますので」
「なになに?」
真弓は俺のほうに身体を摺り寄せ、
「……誰がこの人の、新しい彼女になってもらうかです」
俺に寄り添いながら予想外のことを言い始めた。
「え、別にいいんじゃないの?彼女なしで」
「そうは行きません。私としても気が引けますし……この人を見知らぬ女性に取られるくらいなら、ここにいる誰かに新しい恋人になって欲しいと思うのです」
……そうなると。
恐らく俺以外の三人も同じ想いを抱いたのだろう。
「……まぁ、私はあり得ないわよね」
桂子がまずきっぱりと言ってのける。
「……お兄さんのことは好きですけど……浮気相手ポジションがそそるので……」
紗由里は相変わらずミステリアスな様子で、けれどしれっと性癖の捻じ曲がったことを呟いた。
当然、こうなるだろう。
そうなると目が向くのが――
「……都月、この人の新しい彼女になってくれませんか?」
真弓の提案と殆ど同時に、視線を集めていた都月は頷いた。
「うん!私お兄ちゃん好きだし!喜んで!」
「そうですか……ありがとうございます」
真弓はほっとした様子で肩を下ろした。俺の想像以上に懸念材料であったらしい。
「はいはい、そうなるとお祝いしなきゃね。私なんか作ってあげる」
「じゃあ都月手伝う~」
「私も」
「では私も――」
「ダメダメ、主役に手を煩わせるわけにはいかないでしょ~。そいつと座ってて」
「……おや」
どこか物足りない様子で、けれどやはり嬉しそうに真弓は座る。
そうして俺と目を合わせて、俺達は二人でまた笑った。
幸せの絶頂であった。
屠畜日である一か月後まで、後は至福の時を楽しむばかりだ。
* * *
――そして。
その日はあっという間に、訪れた。
* * *
夜。
とあるホテルの借りた和室は、薄暗く、静かだった。
俺は真摯に目を顰めるよう努めながらも、ほんの一瞬、両隣を見やる。
右には、紗由里。
左には、都月。
二人の横顔は真っすぐ前を見据えたまま、俺を一瞥しようともしない。普段の二人からは考えられない雰囲気に、俺は改めてこの状況が肉畜にとってどれだけ大切なものなのかを実感させられる気がする。
二人は共に全裸だった。
俺もまた全裸だった。
俺は静かに前を見据える。
そうして目の前に展開されている――最愛の女性の晴れ姿を見やる。
「……それでは、不肖、志賀真弓……
今から切腹による屠畜を、始めさせて頂きます」
部屋の中央、敷かれた白布の上。
一糸まとわぬ裸体で座る真弓が、俺達に向かってにこりと微笑んだ。
美しく、淫靡であるとしか言いようのない身体つきだ。艶の差した豊満な乳肉は揉みしだきたくなる欲をそそり、開かれた脚の間から覗く蜜壺の濡れ具合は雄の本能である種付けの欲求をそそり立てる。
一見すれば単純にいやらしい景色ではあるが、真弓の背後に介錯用の刀を持って立つ桂子の存在が屠畜らしさを際立たせて止まない。
桂子は高校では、『押し花部』という屠畜及び剥製作成の技術を磨く部活に所属しているという。今回の真弓の希望を叶える介錯役としてはこの上ない人選だと言えるだろう。
真弓の希望。
それは切腹ののち、斬◯による介錯によって屠畜されることだ。
屠畜が決まってからのこの一か月で、真弓はにわかに切腹への憧れが強まったのだという。
『この一か月は……本当に楽しかったですね』
今朝、真弓は同じベッドの中で俺に向かってそう微笑んだ。
皆での最期を楽しもうと、遊び回り、旅行した一か月。
様々なものを見て回るうちに真弓は切腹によって果てることを決めたのだと艶やかに瞳を潤ませていた。
真弓の希望は叶った。
つつがなく現状に至り、俺達は真弓の最期を見届けようとしている。
――真弓は吐息に甘い発情の気を織り交ぜながら、眼前の俺に向かって、囁いた。
「……愛しています。不束者ですが、淫乱死体となった後も、どうかお傍に置いてやってください」
俺が頷くと、真弓の表情は陶然と蕩けていく。発情が極限にまで高まっている証拠。全身が男受けの塊みたいな極上女体の美少女が、身体を火照らせ艶めかせ、最も魅力的に仕上がっていく。
「……しばらくお別れですね、紗由里」
「……うん」
視線を流した真弓に対する紗由里の返事はいつも通りにクールだったが、どこか感情の揺れを感じさせる。
「都月、この人のことを、どうかよろしくお願いしますね」
「勿論だよ、真弓ちゃん」
都月の返事に真弓はにこりと微笑して、そうしてまた俺のことを見つめた。
――空気の仕上がった気配がした。
真弓はそうしてついに、手を伸ばして己の眼前に置かれた三方から腹切り刀を取った。
「では……始めます」
真弓は手にした刀を己の腹部へ持っていく。
鋭利な銀色の切っ先が、柔らかな肌色に、触れる。
子宮や腸の詰まったそれは男性では考えられないふくよかな輪郭で、しかし当てられた無情な硬さと鋭さに接触部を凹ませる。
真弓は息を吸い、唇を結ぶ。
そして華奢な腕に力を込めて――己の腹部に刃を押し込んだ。
「――――っ」
真弓から、聞いたことのない声が漏れる。
喘ぎというには息苦しいが、呻きと言うにはあまりに発情している、声。言葉遣いも麗らかな彼女の美声が、肉畜の欲求を満たされて下品な音を漏らす。
真弓は、ビクン、と背筋を仰け反らせ下半身を強く痙攣させた。
絶頂、したらしい。
その腹部には、滑らかに沈み込んだ刃が刺さり、メルヘンチックな真弓の腹部に艶めかしい鮮血の紅を滲ませている。
「んぉっ♡ほっ♡んん、い゛ッ――♡」
腰をビクビクくねらせて見悶える真弓の表情は、見たこともないようなアヘ顔であった。特大のアクメに見悶える雌豚の様相。悦びを貪る一匹の雌。
しかしその額に脂汗が浮かんでいることが、単なる絶頂ではないことを何より色濃く示している。
ふかふかの巨乳を揺らして痙攣する真弓は凄まじいいやらしさで、その淫香に当てられた俺は生唾を飲むしかない。
――恐らく、他の二人も。
「んんっ♡あっ♡はぁっ、んっ、ぎ――」
真弓は発情した雌犬のようにはへはへと吐息を洩らしていた口を、ぎゅっと結び、手に力を込める。
――真弓の腹に、横に動く刃によって、一文字の切り口が引かれていく。
「んんっ、んんんっ――♡」
欲情しきった女性というものは魅力的である。抗いようのない快感を与えられて喘いでいればなおのことだ。その女体は艶めき、肉感が際立ち、一匹の孕み袋としてこの上ない魅了を持つことになる。
そんな誰もが息を呑む絶品のアクメ娘が、腹を割いていく倒錯感。
開いた股から絶頂に潮を噴きながら、その腹からは鮮血が垂れ、切り裂かれた脂肪層を覗かせつつ、中の内臓をもちらつかせていく。
真弓の表情からは理性が消え失せ、俺達のことすら見えてるのか、見えてないのか。
生理的反応に青ざめた陶酔の表情と共に、痛々しい腹部とは対照的にふんわり実った巨乳を揺らして止まらない絶頂に見悶える真弓。
「♡♡♡」
真弓は、最後まで腹を割き切りながら絶頂を続けた。
その腹部はすっかり血まみれになってしまった。
デロリと零れる、赤褐色の内臓。
刃を引く道中は勿論、内臓を零すという、あらゆる動きが起こる度に、真弓は大袈裟に思えるほど身体をビクつかせて絶頂に浸っていく。
アクメを貪るはしたない腹裂け女体の桃源の舞。
揺れる色白ドデカおっぱいを見ればいいのか、切られた腹部を見ればいいのか、そこから垂れた血に染まる太腿の動きを見ればいいのか、アクメに蠢く秘部を見ればいいのか――全身が煽情の塊過ぎて、意識を集中させるべき対象さえ分からない。
真弓の痙攣が頂点に高まり、大きく仰け反って鳴き声を洩らした、その時であった。
文字通り絶好のタイミングで、桂子の刃が振り下ろされた。
「――――♡♡」
声にならない声。
左右から真弓の痴態に当てられた雌達の熱く乱れる吐息の聴こえるその最中に――
俺の目の前で、真弓の首が落とされた。
吹き出る鮮血。
――首を失った真弓の女体が屠畜の快楽による壮絶な絶頂によって狂ったようにビクついていく。
「うわ……♡」
「はぁ……♡」
二人が声を洩らすのも無理はない。
それほどの、淫靡な絶頂ショー。
生物からモノへと今まさに変容しようとしている極上の女体が、快楽を噛み締める為にビックビックと跳ねて暴れていく。
慎ましやかな真弓が抑え込んでいた肉体のエロさを満遍なく振り撒く下品な屠畜ダンスは、あまりにもいやらしすぎるのだから。
秘部からは小水と潮の混じったものが、絶頂の濃度を示すかのような激しさで噴かれていく。
理性があったら到底出来ない下品な踊りは、俺の股間も硬く反り立たせて――
興奮を煽りに煽った真弓の身体は、そうしてどちゃりと、その場に倒れた。
それでも僅かに痙攣を続けていたが、遂にはぴたりと止まり、そうして完全にこと切れた。
* * *
血に染まった白布。
暗い和室が、屠畜を終えて一気に静かになる。
もう、激しい音は一切聴こえない。
ただ、張り詰めた静寂を強調するかのように……火照った吐息が両側から聴こえるばかりで。
「はー、はー……♡」
「はぁ、はぁっ……♡」
……くちゅり。
俺の右側から、雌しか出しようのない水音が聴こえた。
それは静かな和室の中で、次第に激しさを増していく。小さいけれど、激しい、水音。見るまでもなく、自慰に耽る女性のそれ。
普段の紗由里からは想像も出来ないような本能に支配された喘ぎ声が、小さく、確かに、聴こえ始めたその時だった。
「……う、だめ……もうだめ……お兄ちゃん、私、我慢出来ないっ♡♡」
左から聴こえた都月の声は、俺の想いを代弁しているかのようだった。
左を向くか向かないかという、次の瞬間には都月が俺に飛びついてきていた。
重なる、唇。
その潤った柔らかさに浸る間もなく、侵入してくる柔らかい舌と、本能にまみれた吸い付きがこちらの興奮を一気に盛り上げてくる。
「んふっ♡ぢゅずずずずずっ♡にゅろれろ♡れろ♡れろ♡れろ♡れろ♡れるれるれるれる……ぢううううっ~~っ……♡」
――粘膜を溶け合わせるようなキスは下半身に効くものだ。
抱き着いてくる都月の身体は真弓に比べて幼く華奢であるものの、つくべきものはしっかりついて、男の欲望に粘り付いてくるのが性質が悪い。
たった今、恋人が逝ったというのに――いや、その様子を見せつけられたからこそ、都月の誘惑に応えてしまう。
にゅらにゅら螺旋に舌を絡め合い、激しく啜って、音を立てて口を離して……そうしてまた、唇を押し付け合って。
紗由里の自慰をBGMに、新たな恋人の身体をまさぐっていくと、いよいよどうしようもなくなっていった。
ロリ体質な癖に、なんだこの柔らかな乳は。
胸板で彼女の乳を味わいながら、種付けを誘うような肉感に溢れた尻肉を両手で揉んでいくと、陰嚢が爆発しそうなほどに精液を煮詰めさせていくのが分かる。
もう、なにがなんだか分からないほどの興奮。
気付けば俺は都月に押し倒され、跨られてしまっていた。
「お兄ちゃんっおちんぽ下さいっ!子宮下ろした発情雌猫に、濃い精子、恵んで、恵んでっ……♡」
声を荒げて、返事をした。
都月は脚を開いた蟹股姿で俺の怒張を手に取ると、手慣れた様子で己の秘部へとあてがい――
「――んお゛お゛っ♡ほっ♡♡♡」
――腰をどちゅんと一気に落として、己の子宮に勃起を突き刺した。
「んっおっ♡あ~~っ……♡ぎもぢっ♡あへっ、おっ♡おっ♡おっ♡おっ……♡」
まるで知能を感じさせない、本能に支配された様子で腰を振る都月。
蟹股のままに下半身を引き上げると、反り立った肉棒が膣肉を掻き分けながらずろりと膣より出でる。
愛液にぬらつく勃起は亀頭を秘部に咥え込まれたまま、逃げ場なくビクンビクンと跳ねて。
その硬さを、太さを、雄の象徴を求めるように、都月は自分が壊れることさえ厭わないほど、一気に子供作りの上手そうな下半身を落とし込んだ。
肉と肉の打ち付け合わされる、どちゅん、とえげつない音。
都月は押し出されるように喘いで、首筋をビンと張り詰めさせて仰け反る。
そして、貪る。ピストンを何度も。
ぱっちゅぱっちゅと交尾の肉音が和室に響き、悶える蟹股都月の秘部から、何度も勃起が姿を見せては呑まれて姿を消していく。
「んい゛い゛っ♡♡♡あーお兄ちゃんっ奥に出してっ♡♡おにーーちゃんっ!あーイクッ♡私もイグからっおっほっ♡♡」
――どの口がそんなおねだりを吐き出しているんだ。
この、勃起に絡みつく膣肉の心地。
緻密に詰まった新鮮な肉襞が細かく蠢き、ピストンの度にカリ首を多重に掻いて、膨らんだサオの表面を徹底的に舐めつける。
暴力を振るうような速度で子宮を叩き付けられさせられる度に、勃起どころか下半身までに特濃の快感が満ち溢れて。
――ねだられるまでもなく、こんなもの我慢出来るわけないじゃないか。
「出してっ♡出してっ♡出してっ♡出してっ♡」
呼びかけに合わせて肉棒を膣で扱く都月に、俺は荒々しい声と共に、行動で返事をした。
キツい膣を押し広げるように、にわかに膨らむ肉棒。
二度三度四度、膣を擦って子宮口をブッ叩く間に尿道に精液が上り詰めて――
「あああ~イッグッッッ♡♡♡♡」
――都月の叫びと同時に腰を持ち上げて、肉棒を彼女の最奥へと打ち付けるのと同時に、射精した。
みっちり、奥まで押し付けての、射精。
脳に火花が散るほどの満足感に溢れる快感は、信じられないような濃さと量の子種を彼女の子宮へと注ぎ込ませていく。締まり、蠢く膣に肉棒を押し込んで行う射精はこの上ない気持ち良さだ。
都月は精液を受け止め、獣のようにビクついている。
それでもどうしようもなく雌として魅力的というところは、真弓と比べてもなんら遜色はない。
「は~、は~……っ♡」
精液を、注いで、注いで、注ぎ込んで。
射精が終わるかどうかというタイミングで、都月は俺へと倒れ込んで来て、そのままキスを求めてきた。
「んんっ♡んっ、ちゅうう~♡にゅら、べろれろるろれろ、はう、んっ、ぢゅううううっ……っぱっ♡はむ♡れろれろっ♡」
あれだけ性欲をそそられるものを見せつけられたのだ。たった一度の絶頂で満足出来る訳がない。
俺だってそう。
だから俺達はキスをしながら二度目の絶頂を求めて交尾を続ける。
都月は舌を絡めてきながら、下半身を器用に上下させてねっとり執拗にピストンをかましてくる。
それこそ、膣で肉棒を扱く動き。激しいながらもぬっとぬっとと勃起を扱き、更なる膣内射精を求めて媚びる、雌猫の淫靡な上下運動だ。
射精をしたばかりだというのに、一度目とまるで変わらない絶頂感が上り詰めてくるのが分かる。
目の前には、都月のいやらしいキス面。
眼前のこれが俺へと腰を打ち付けてきて、肉棒を苛む快感を演出しているのかと思うと、また違った趣で肉棒が射精を意識していくのが分かってしまう。
これからの新しい恋人との、体熱を共有する感覚に肉棒が膨らむ。
女性的な柔らかさの強かった真弓とはまた異なる、引き締まった都月の心地が一瞬で射精欲を押し上げて。
「んふっ、んっ、ぢうううっ……んんんんんんっっ!!!」
また、射精。
激しいピストンがにわかに速度を落とし、代わりに濃さを増して、とん、とん、とん、と――そして最後にどちゅんと強く、尻を叩き付けられての、射精。
下半身を快感の電流が駆け抜け、前立腺から射精しているかのような快感の一本筋が凄まじい満足感のある絶頂を俺へと味わわせた。
都月の中を、自分で満たしていく感覚。
自分が薄情者に思えてしまうほどの満たされた心地は、俺と都月が同様の興奮に充てられたからこその相互理解が関係しているのだろう。
「んんっ、お兄ちゃん好きっ好きっ好きっ――♡ これからずっと一緒に♡ お兄ちゃんの側に――♡」
俺も、同じ気持ちだ。
これから、ずっと一緒にいよう。
そんな気持ちを抱いている証拠に、肉棒は衰えることをまるで知らない。
収まるどころかより激しくなる都月のピストンに、俺は絶え間なく快感を与えられ続けていき――
「お兄ちゃん、お兄ちゃんっ――」
――瞬間、都月の首が、飛んだ。
何が起きているのか、理解は及ばなくとも現実を認識することだけは今の俺にもすることが出来た。
桂子が、都月を斬◯したのだ。
「――」
一瞬の内に物を言わなくなった、都月の女体が俺に跨っていた。
首から迸る鮮血。
そして――肉畜としての至上の快楽を貪る、生理的な痙攣。
俺は、あまりに淫靡な都月の姿を見て、また射精した。
つい今まで愛情を共有していた女性が首無し死体になったという事実が、サディスティックな自分の本能を刺激したのかもしれない。
ともかく刹那で変わり果てた都月の姿が、俺の性欲を強烈に刺激したことは確かだった。
そして、何より、膣の動きが。
これまですら比較にならないほど、強烈に引き締まって痙攣する膣。
極限まで硬くなっている肉棒に媚びるみたいに蠢く肉襞の感覚は射精をねだるかのようで、今までのどんなセックスよりも、強く激しく、気持ちがいい。
だから俺は、馬鹿みたいにビクつく都月であったものに対して精を注ぎ込んだ。
人格を無くしたからこそ所有物感を高めたスタイル抜群の美少女に対して、己の中に煮えたぎっていた欲望の全てを吐き出していく。それはある意味、真弓の切腹に対する欲求不満ごと射精しているような心地だった。切腹した真弓に注ぎ込む分まで、都月に膣内射精していくのは思考が真っ白に焼き切れるほどの快感だった。
俺は都月の太腿を掴んで膣内射精に浸りながら、転がる都月の首を見た。
奇跡的に、都月の首は真弓の首に寄り添って俺の方を見つめていた。
既にこと切れた二つの首は、心から幸せそうに蕩けた表情をしている。
それは益々俺を滾らせ、延々と精液を吐き出させ続けた――。
* * *
――射精を経て、ようやく、我に返る。
一体、何が起こったんだ、と。
真弓はともかく、都月が斬◯される予定はなかったはずだ。
これから共に過ごす恋人を唐突に奪われた理不尽が、ひとしきり性欲を発散した今になって去来する。
俺は筆舌に尽くしがたい心境で――強いて言うなら困惑に包まれながら――問題の原因に視線をやった。
俺の傍に立つ桂子だ。
桂子は斬◯された都月の肢体を見下ろして、呼吸一つ乱していない様子だった。
俺は桂子に問いかけた。
肉畜の意思に反した屠畜は絶対にしてはいけないことだし、動機すら分からない。
「……いえ、これは都月の意思よ」
ぽつりと呟いた彼女の言葉に俺は驚かされた。
「あのね……都月は今日、真弓と一緒に逝くことを前から決めてたのよ」
……訳が分からない。
俺は全然、そんなことは知らなかった。
「あんただけじゃなくて、真弓もそうよ。都月はあんた達二人にはそのことを隠してたの。……ね、紗由里」
「……うん」
傍から声がしてハッとする。
気付けば紗由里は自慰を止め、俺達を見つめていた。その顔には絶頂の余韻か、未だ陶酔の気を残した紅潮が差している。
俺は二人に対して言った。益々意味が分からない、と。
紗由里が同意したということは、少なくとも桂子の乱心ではなく都月の希望であることは確からしいけれど――理由が、分からない。
「あんたの新しい恋人がいなくなっちゃったってことなら、安心しなさい」
桂子から返ってきた返事はちぐはぐで。
「……あんたの恋人には、私がなるから」
ますます訳が分からない展開に、俺はただただ困惑と共に、目の前のつっけんどんな美少女が彼女になるという唐突な宣言に僅かな高揚感を抱くばかりであった。
桂子は血まみれの刀を下ろしたまま、物憂げな表情ばかりを浮かべていた。
* * *
結局、俺は桂子と付き合うことになった。
紗由里が『私は浮気プレイが好きだから』と辞退したこともあるが、桂子自身が俺と付き合うことに執着したのがことの始まりだった。
『都月はね。真弓の屠畜が決まってから、屠畜が身近に感じられちゃって……もう我慢出来なくなっちゃったんだって』
二人の屠畜が行われた次の日、初夜のベッドで桂子はようやく都月を屠畜したことについての理由を話してくれた。
『手に入らないからいいやって思ってた最新のゲームを友達とかが買うと、急に自分も欲しくなるでしょ?そういう感じでさ』
桂子の瞳は俺を見つめていたけど、どこか遠くを見ているようだった。
『でも、都月はあんたと真弓に約束した手前、身勝手に逝くのは申し訳なかったんだって。だから私が提案したのよ。真弓が逝った後に、都月が任されてた"あんたの恋人"を、私が代わりにやろうか、って。そしたら肩の荷も下りるんじゃない、って』
「言っておくけど、都月があんたの恋人になりたがってたのは本当よ」と桂子はすぐに付け加えた。「肉畜にとって屠畜欲は、それでも我慢出来ないくらい魅力的なの」とも。
『まぁ、だから……私じゃ不足か知らないけど、よろしくね』
――俺はふと、思い出す。
ああ、そう言えば桂子は、四人のリーダー的な存在であったな、と。
要は桂子は他の三人の為に、望まない恋人役を買って出たわけだと俺はようやく理解した。
桂子自身は、俺を好きで恋人になりたいわけじゃない。
けれど、他の三人に一番幸せになってもらう為に自分を犠牲にしたわけだ。
『……なによ、この手』
俺は気付けば、彼女の頬を撫でていた。
初対面のキツい印象もあって、彼女のことを誤解していたかもしれない。
桂子は誰よりも優しい女性なのだ。
『…………分かった風なこと、言わないで』
人の全てを知ったかぶるような態度は俺だって嫌いだし、他人にしたくもない。
これはただ、素直な感想だ。
桂子は優しいという、俺の感想。思い込みと言ってもいいけど。
『……真弓と都月の手前、あんたと付き合うだけだから。あんたの意思とか関係なく……そうじゃないとあの子達も安心出来ないだろうから』
桂子は頬を撫でる俺の手を、ぎゅっと握った。
その口調は相変わらず素っ気なかったが、どこか今までとは違う柔らかさがあるように俺には思えた。
* * *
一年が経った。
俺と桂子は未だに恋人関係を続けている。
「……おかえり、ダーリン♡」
――未だに、どうにも慣れないし、驚いている。
付き合い始めたあの初夜から、桂子は一転態度を変えて、献身的で淑やかな恋人に変貌した。
「とりあえずご飯?お風呂?あ、とりあえず荷物持つわよ♡お疲れ様♡」
正直に言えば、悪い気なんて全然しない。
そもそもが、桂子は美少女だ。
現にこの一年、彼女と外を出歩く度に、人々から羨望の眼差しを受ける。この四人グループには例外なく言えることだが、文句のつけようがないくらいに外見のレベルが高い。
そんな美少女に尽くされて、不快になる男なんている訳がないだろう。
――バイトから帰った俺はリビングに上がり、改めて同居している部屋を見渡す。
綺麗に片付けられたリビング。手作りの夕飯の良い匂い。
真弓すら霞むほどの完璧な家事には、文句のつけようすらないほどだ。
「今日はお腹空いてる?……そ、良かった。あんたには美味しい料理、食べてもらいたいもんね♡」
――そう、悪い気はしない。
けれどこの一年、俺は彼女がどうにも無理をしている気がしてならなかった。
望まない恋人関係を続ける彼女に対して、俺が出来ることは浮かばなかった。
もし俺が彼女と別れようとしたら、桂子は真弓達への罪悪感を感じるだろう。
『都月と約束したのに、良い恋人になってこいつを満足させてあげられてない』。
責任感があるリーダー気質な彼女だけに、そんな罪悪感は一生彼女の心のしこりとして残り続けるに違いない。
だから俺には解決策を提示することは出来なかった。
「……えへへ、大好き♡ ダーリン♡」
――ある意味で、桂子には病んでいるところがあるように思える。
真弓にはダメ男製造機的な優しさがあったが、あれは素だ。
『恋人に尽くす彼女』を演じているとしか思えない桂子が、それを一年も続けていることは、正常な感性とは言えないだろう。
「ほらほら、早く座って♡今ご飯並べるから、ね♡」
――俺自身は、優しい彼女のことを好きなのだ。
なんとか彼女に本当に幸せになって欲しいのだが――思いながら、それでも夜は更けていく。
あれから一年。
明日は真弓と都月の一周忌だ。
* * *
翌日。
大学で昼食を食べていると、携帯電話が通話の通知に震えた。
「お兄さん、こんにちは」
電話をかけてきたのは紗由里だった。
この一年、紗由里とは相変わらず関係が続いている。桂子という恋人がいる中での、浮気プレイ。勿論桂子もそれを認めているのだけれども。
紗由里の声は普段と変わらず物静かであったが、どことなく神妙な色合いを帯びているような気がした。
「お兄さん、今日が何の日か覚えています?……そう、真弓と都月の一周忌です。よく覚えてましたね。お兄さんそういうとこちゃんとしてますよね。好きですよそういうの」
彼女達が魅力的だったから覚えているだけで、本来は雑な人間だけどね。
冗談っぽく言うと、電話の向こうから、ふ、と密かに笑う声がした。
「まぁ、それはそうとして……今日は彼女達の一周忌、ということで。お兄さんと桂子と私で、3Pでもしてみませんか?……ええ、セックスのことですよ、勿論」
唐突な提案にも思えたが、俺は了承した。
「では大学が終わった後、直接〇〇のラブホテルに来て下さい。……桂子には私が話しておきますから」
* * *
講義後。
言われた通りにラブホテルに向かっていると、また紗由里から電話が来た。
今度は他愛ない話もそうそうに、紗由里が話し始める。
「……本当はあの日、桂子が死ぬはずだったんですよ」
急な話に、俺は耳を顰める。
紗由里は普段からふざける子ではないが、今は特に、なんだか真剣な様子がして、俺は水を差すより聞き入る側に入ることを選んだ。
「でも、都月が死にたいと望んで。……桂子、都月に屠畜を譲っちゃったんです」
ふと、俺は桂子との初夜のことを思い出していた。
『都月はね。真弓の屠畜が決まってから、屠畜が身近に感じられちゃって……もう我慢出来なくなっちゃったんだって。……手に入らないからいいやって思ってた最新のゲームを友達とかが買うと、急に自分も欲しくなるでしょ?そういう感じでさ』
妙に理解が深い言葉だと思っていたけど、あれは桂子自身のことだったのか。
桂子も都月と同じく、真弓の屠畜にあてられたわけだ。
「……桂子、責任感強いでしょう。あと、優しすぎ」
俺は強く同意した。
電話の向こうで、紗由里はフッと、幸せそうに笑う。
「……お兄さんって、やっぱりいいですよ。そういうとこ」
そして、少し間をおいて言った。
「桂子。自分ばっかり我慢して、可哀想な子なんです。だからお願いです……桂子のこと、なんとかして幸せにしてあげて下さいね」
……それは分かるけど。何故今、そんなことを?
「いいから、ちゃんと誓って下さい」
……分かった。
「もっとちゃんと」
必ず桂子も……君も何とか、幸せにする。誓う。
「……くす。私もですか。それはもう叶ってるかもですね、ありがとうございます。愛していますよ。……では、また後ほど」
そうして電話はぶつりと切れた。
俺は首を傾げながら、なんだか妙な予感がしてホテルへ向かう足取りを早めた。
* * *
……30分後。
ホテルに訪れた俺と桂子を、予定通りに紗由里は待っていた。
――ただし、首を吊って、既に淫乱死体となった姿で。
「……紗由里……さっき、私に電話してきたのよ」
だらりと手足を落とした紗由里の姿は、まるで見る者に己が女体の全てを委ねるかのような無防備さに満ちていた。
豊満な乳房、健康的な太い脚。
女性的な肉感に溢れながらも、くびれた腰と抜群のスタイルが、結果的に男にとって理想的なスタイルを体現している。
縊死によって青ざめたその表情は、恍惚の様相であった。
快楽に浸りきったことを証明する満足げなその様相は、この縊死が望まぬものではない、肉畜冥利に尽きる最後であったことを如実に物語っている。
「なんか私にさ、『桂子は優しいから、もっと幸せになって欲しい』ってさ……」
口を開き、舌を出し、涎を垂らす紗由里は満足げだ。
床には洩らした小水がシミを作っており、快楽の限りを尽くしたことが推察出来る。
「……紗由里、今日、死にたくなったんだ……だから最後に、あんなこと……」
――俺は桂子に、こっちにも紗由里から電話がかかってきたことを話した。
紗由里は、桂子が責任感ゆえに、いつも無理をしていることを心配していた。優しすぎる桂子に幸せになって欲しいと思っていた。
だから屠畜をしたくなった今日……桂子を俺に託して逝ったんだ。
「……紗由里……ありがとう……良かった……ちゃんと……幸せそうな顔で……」
桂子は俺の胸に顔を埋めて、泣いた。
悲しいわけではない。感動で、泣いている。
俺は桂子を抱きしめながら、紗由里の遺体をじっと見つめる。
どこまでも、艶やかな姿であった。
それは結果的に、紗由里が満足しきって人生を終えたことの、何よりの証明だといえた。
* * *
年が明けた頃合いは、丁度あと三か月で、俺も桂子も学校を卒業するという季節だった。
別れの季節に、ついにその時は訪れた。
「ねぇ……やっと私にも、届いたよ」
いつも通りの夜のひと時。
桂子が俺に寄り添って差し出したのは、真弓が貰ったのと同じ屠畜命令を告げる手紙であった。
「……ようやく、三人とまた一緒になれる……嬉しい……」
桂子は立ち上がり、リビングの隅に置かれた者達の元へ向かう。
それは真弓、都月、紗由里の完璧に仕上がった剥製であった。
俺の所有物となっている彼女達の一人一人を、桂子は抱き締める。
――俺は複雑な心境だった。
桂子はようやく、肩の荷が下りたのだろう。
屠畜命令を受けた桂子に、もう真弓や都月との約束は効力を成さない。屠畜命令を受けた肉畜は喜んで屠畜される。それを疑問視するものなど、肉畜だろうがそうじゃなかろうがいないのだから。
それはいい。
ただ……俺はやはり、どうしても桂子を幸せに出来なかった。
紗由里との約束云々の話ではない。
優しくて可愛い桂子という女性を、もっと幸せにしたかったのに、どうにもそれが出来なかった。
桂子の屠畜を喜びつつ、心の中で落ち込んでいたその時であった。
「ねぇ……屠畜の日は、私達が最初にあった、あの遊園地に行こうよ」
桂子の提案に、俺は黙って頷いた。
どのような想いがあるにせよ、あそここそ最後に相応しいに違いないと、素直にそう思った。
屠畜の日までは、あっという間に、時は過ぎた。
* * *
俺と桂子は、真弓の時と同じように恋人として遊園地を回ることを楽しんだ。
屠畜日当日。
あの体験特区にある遊園地で、俺達は最後の時を共有する。
「従業員さん、殆ど変わってるみたいで良かったわね」
クビになった身分だ、客として舞い戻るのは多少気が引けたが……桂子の言う通り、従業員はそっくり変わっているようで助かった。
「ほら、もっと楽しみましょ。……最後なんだから」
俺は頷き、桂子とあちこち巡る。
心残りも、寂しさもある、
けれどあの時真弓に出来なかった、ちゃんとした屠畜を彼女に与えてあげたかった。
それが、俺が最後に桂子に出来る、彼女を幸せにするための行動だったから。
あっという間に、夕方になった。
桂子の提案で、俺達は観覧車に乗っている。
真弓の時を彷彿とさせる影絵の世界。夕焼けを背景に、真正面に座る桂子は俺をじっと見つめていた。
その様子は明らかに発情している。
いよいよ屠畜の時が近づいているのだ。極めて極めて自然な反応だと言えるだろう。
「……あんたといて、幸せだった」
その一言は、ここに至るまでずっと胸に立ち込めていたモヤを、払った。
俺は慌てて聞き直す。
そして、桂子に対して自分の胸の内を吐露した。
桂子は俺の言葉を聞くと、恥ずかしそうに赤面して俯いた。
「……ああもう、やっぱりあんたのこと嫌いになってきたかも!」
……女心はわけが分からない。
もう最後なのだ。本心を聞きたくて、俺は彼女に縋る。
彼女は俺をちらと見つめ、ぽつり、と呟いた。
「……確かに、真弓達の為にあんたと付き合ったのは事実よ。でも、あんた優しいし。私のことも労ってくれて……普通に、好きになったの。っていうか、好きでもないのに演技でこんな恋人生活出来るわけないでしょ」
俺は肩の力が抜けた気がした。
良かった。桂子は俺が思うほどは無理をしてなかったらしい。
本当に……よかった。
「……馬鹿ね。正直……初夜に頬を撫でられた時から、結構好きだったわよ。一緒に暮らしてると……真弓があんたに一目惚れした理由が分かる。都月も紗由里も、ね。本当のこと言うと……ずっと一緒にいたい。それくらい、好き。この気持ちは真弓にも負けないと思う」
良かった。
桂子はちゃんと俺のことを好きでいてくれたのだ。
――だったら。
「……どうしたの?」
――俺は改めて、彼女の方に向き直った。
「な、なによ」
――それはある意味、俺達に最も足りていない行為だったのかもしれない。
桂子の本心が分からなかった。どこかハッキリとしない関係性だった。
だからこそ、言えていなかった言葉。
――俺に、君を屠殺させて欲しい。
――屠畜されて、俺だけのものになって欲しい。
「……!」
告白でもするかのような。プロポーズでもするかのような。
嘘偽りのない俺の言葉に対して、桂子は驚いたように目を見開いた。
今までに見たことのないその表情は、なにか彼女の最も女の子らしいところが出ているように見えた。
夕刻の観覧車。臙脂色と黒色の世界で、静寂が流れる。
長いようで短い時間の後に――彼女は、笑んだ。
それは今までで一番幸せそうな、心の奥底から幸福感の湧き出ている、微笑みであった。
「……嬉しい……ありがとう……私を屠畜して、あなただけのものにして……♡」
多くの言葉を交わさなくても、彼女が心から喜んでいることが、今ははっきり分かる。
肉畜にとって、屠畜されて好きな人の所有物となる悦びは唯一無二。
桂子の表情と、ほっとしたような、嬉しそうな声からはそんな感情が確かに伝わってくる。
「じゃあ、お願い……今すぐ、屠畜して……?
それで、ずっと……一緒にいさせて……♡」
そう、ずっと一緒。
これは終わりじゃない。
これからずっと、桂子を幸せにする、そのほんの始まりでしかないのだ。
俺は頷き、桂子の傍へと寄り添った。
そうして彼女の全てを受け入れるように、甘く唇を重ねた。
「んっ……ちゅっ……」
桂子は目を瞑り、口づけを受け入れる。
その慎ましやかな表情は四人の中で一番乙女チックだった。可愛らしい桂子の、純粋な受け入れ。心から愛を受け取る女の子な表情。
俺は彼女が堪らなく愛おしくて、愛情を重視する接吻を繰り返し行う。
桂子は愛を返すように、彼女からも、ちゅ、ちゅ、と。
最期に、最も濃く、愛情を確かめ合っていく。
夕日が傾き徐々に暗くなっていく中で……そうしてやがて、どちらからともなく、唇を離す。
「……私、あんたと会った二年前のあの日……本当はこの観覧車で、首を絞められて屠畜されたかったの」
桂子は、自分の履いていた黒の二―ソックスを脱ぎながら言う。
ならば俺は、彼女の望み通りに屠畜を行おう。
最愛の彼女に最も幸せな屠畜を味わってもらう為、俺はニーソを受け取った。
あの時、失敗した屠畜。
けれど今なら、桂子相手なら、誰よりもうまく成せる自信があって。
「……大好きよ」
桂子の蕩け切った声と同時に、俺は彼女を犯し始めた。
正直に言うと、発情する桂子を前に、肉棒の苛立ちは既に限界に達していたのである。
俺は彼女を抱くと、蕩け切ったその秘部に肉棒を容赦なく突き刺した。
「んっ♡お゛おっ♡♡」
途端に、悦びの声を上げる桂子。
それにしたって、なんと淫靡な身体だろうか。
全身性器と呼んで遜色ない、細いくせにむちむちした肉付き。どこを見ても、紅潮した艶肉が視線に吸い付く。
普段は制服に秘められているこの身体を心行くまで堪能出来るなんて、興奮を煽るのは当然のことだろう。
どこに触れても、熱く、吸い付く、弾力のある若さの詰まったむちぷに感。
こんなエロ肉の塊を自分のモノに出来るかと思うと、俺はもう必死に彼女に向って腰を振っていた。
「お゛っ♡お゛っっ♡♡」
直立した怒張が、桂子の開かれた股にある極上の肉穴に何度も抜き差しされていく。
ぬるり、ぬぽ、ぬぽ、往復する度、付随するのは、むちむち裸体のエロ肉が激しく打ち付けられる煽情的な感触だ。
まるで下半身同士でキスをしているかのように、桂子の安産型むちむち下半身を叩き付けては吸い付きつつ離れていく感触を味わっていく。
その度に肉棒は中身の詰まった肉穴を滑らかに貫いて、子宮口をぶっちゅり潰してからカリ首で肉襞を掻きつつ後退するのを繰り返した。
思わず爪先の張る、膣肉の360度密着した扱き心地。
逃げ道のない肉穴の往復には敷き詰められた肉襞の絡みつきが付随し、射精欲を徹底的に煽ってくる。
こんなもの、一瞬で射精するに決まっている。
俺は機会を失わないように、桂子を犯しながらその細い首に黒のニーソを巻き付かせた。
「あっ♡お願い、してっ、ぎゅってしてっ……♡♡」
ピストンをすればするほど、煮詰まっていく射精心地。
全身で彼女の身体と愛を堪能しながら、俺は彼女のおねだりに、従った。
全力で、俺は桂子の首を絞めた。
「んっ、ぎゅっ♡♡」
瞬く間に桂子の顔がうっ血していき、その表情は陶酔の一色に染まっていく。
挑発的な表情だった。
俺が力を込めれば込める程に可愛い顔を青ざめさせながら虚ろな表情を浮かべる彼女はこちらの嗜虐心を強烈に刺激した。
この淫靡な雌を自分のものにしようと、本能が彼女の首を絞める手に力を込めさせる。
無造作に引き絞られる、桂子の白い首。
力を込めるほど、桂子の裸体がビクビクと、こちらを挑発するかのように痙攣するのがいやらしくて堪らない。
なにより、膣がぎゅっと締まる。
快感の濃度が極度に高まり、俺はその快感に浸るように、彼女の首を絞める力を圧倒的に強めていった。
「っ♡っっ……♡♡」
声すら上げることの出来ない桂子は、もはや極端に淫靡な性処理用の肉塊だ。
俺は力の限り、密に、濃く、肉棒を叩きこむ。
生命の危機を感じて降りてきた子宮口を、鈴口でぶっちゅり、何度も、押し潰す。
甘えるように絡みついてくる肉襞をカリ首でずろぉり搔きあげるようにして肉棒を引き抜き、また挿れると、桂子の肉厚な秘部の土手を股間で強烈に叩き付け潰しこむ満足感に溢れた感触がして堪らない。
愛を込めて乱暴に、欲を込めて濃厚に。徹底的に、彼女を犯す。
欲のままに桂子の首を締め上げながら夢中で腰を振っていく内、必然、特別に濃い精が尿道を上がっていくのを感じた。
欲望を全て受け止めてくれるむっちむちの下半身に対して、全て、注ぎ込む。
覚悟と共に殊更強く首を締め上げると、それに合わせて膣が絞まるのがお手軽にスイッチでも入れたかのようで。
可愛くて、滑稽で、愛おしくて、淫靡。
俺はどうしようもなくそんな彼女の下半身にピストンを重ねて、そうして一度、脈動する。
こちらの絶頂に合わせるかのように桂子の膣が詰まり、そうして命の切れる気配がした。
桂子の膣が最も締まったその瞬間、互いの絶頂は重なりあった。
ぬるっ、ばちゅんっ
ぬるっ、ばちゅんっ
ぬるる~っ……ばっ、ちゅんっ♡♡♡
ぐりぃっぐぅりぐぅりっ……♡♡♡
――最後の一回を股間に叩き付けた後は、むちむちと音がするほど股を股間に練り込んで精液を注ぎ込む。
一滴残らず、子宮に染み込ませるように。
そうして桂子の全てを支配しつつ――自分の手が痛くなるほどに、全力で桂子の首を絞めつけて――。
「っ♡っっっ……♡♡」
歯を食いしばって、脳髄の焼き切れる快感を味わう桂子。
絶頂に痙攣し、伸びる脚、ビクつく女体。
徹底的に犯され、首を絞められて、欲望の全てを受け入れてくれた桂子は、痙攣しながら心地良さそうであった。
肉畜として、至上の幸福に満たされた顔。
その虚ろな瞳は、しかし確かにこちらのことを愛おしそうに見つめてきていた。
俺も彼女を見つめていた。
そうして、ほんの少しの時間が経ち――桂子は遂に、動かなくなった。
先の三人となんら遜色のない、最高の屠畜。
俺は幸せそうな桂子の姿を見ていると、吐き出し尽くしたかと思っていた欲が再び湧き上がったのを感じた。
俺は桂子を、そうしていつまでもずっと、愛し続けた――。
* * *
――こうして、2年にわたって、四人の美少女女子高生達が選んだ「恋人コース」は終わった。
彼女達の剥製は、俺が永遠に持ち続けることになるだろう。
彼女達のことを、俺は永遠に忘れない。
……そして、俺は進路を決めた。
彼女達が通ったルルイチ学園の教師になろう。
そうすれば彼女達と、ずっと近くにいられるような気がするから――。
<END>
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