【コミッション】毛◯蘭、無惨 (Pixiv Fanbox)
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コミッション作品です。
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~~以下はSSです~~
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SS作者:成崎直
「らあああああああああんっ!」
恋人の名前を叫ぶ江◯川コ◯ンの声は枯れていた。
迂闊(うかつ)だった。
毛◯探偵が商店街のくじ引きで当てた沖縄のホテル宿泊券。
探偵本人はもちろん、蘭、そしてコ◯ンも思わぬ幸運に胸を躍らせた。
わずか一泊二日の旅行ではあるものの、沖縄ならではの綺麗な海、風味豊かな郷土料理を存分に楽しんでいたところ、思わぬ情報が入った。
宿泊客に若い女性を次々に殺害している連続殺人鬼が紛れ込んでいるというのだ。
一報を受け、毛◯探偵は非公式ながら捜査を開始した。
そして、コ◯ンに「用心のためにホテルの部屋から出歩かないように」と蘭への伝言を命じた。
ところが、ビーチにいるはずの蘭が忽然と姿を消した。
蘭とコ◯ンは一緒に泳ぎに行くはずだった。
だが、突然ホテルマンに呼ばれた毛◯探偵の様子を怪しんで、コ◯ンが二人の会話を盗み聞きしていた数分の間、蘭は一人だった。
その数分で、蘭はいなくなった。
それからというもの、コ◯ンと毛◯探偵はホテルじゅう、ビーチじゅう、それだけではない、駅からホテルまでの道すべてを探し回った。
ホテルの従業員や地元警察を巻き込み、上を下への大騒ぎ。県内放送、警察の検問、使えるものはすべて使った。
声を枯らして名前を呼び、靴をすり減らして走り回る。
どうして蘭から目を離してしまったのか。
どうして事件のことを知らなかったのか。事前にわかっていれば、旅行なんて取りやめていたのに。
コ◯ンも毛◯探偵もそれぞれの後悔をにじませながら、蘭を求めて駆けずり回っていた。
懸命な捜索活動も実らず、日が沈み日付が変わっても蘭は見つからなかった。
ひとまず今日のところは休んで様子をうかがうことになったが、娘がいなくなった毛◯探偵はもちろん、コ◯ンもベッドに入ったところで一睡もできなかった。
翌朝早く、地元の警官が慌ただしく毛◯探偵のもとにやってきた。
蘭が見つかったというのだ。
毛◯探偵、そしてコ◯ンは蘭のもとへと急ぐ。
警官から告げられた、にわかに信じがたいその言葉が本当なのか、その真実を自らの目で確かめるために。
まだ朝の六時だというのに、海岸はすっかり明るくなっていた。
毛◯探偵とコ◯ンがやってくると、既に何名かの警官による現場検証が始まっていた。
昼間はビーチベッドやサーフボードなどが並び、人でごった返しているが、今は波や風の音と警官の声が響くのみ。
なにもないはずのビーチに一つだけビーチベッドが置かれ、警官がそれを取り囲んでいた。
警官の報告通り、蘭はそこにいた。
同じく報告通り、遺体となって。
蘭は最後に見たときと同じ水着姿だった。
眉間にしわを寄せ、目を大きく見開いている。
ぽかんと呆然としたように口が開かれ、口端に向けるように舌の先が飛び出していた。
口の両端からは歯磨き粉を泡立てたような泡がたっぷりと流れ出て頬を汚している。
首には太いロープで絞め上げられた痕がくっきりと残っており、蘭のか細い首に異常な力が加わったのが見て取れる。
そのロープの痕を境に、蘭の顔は体と比べるとやや薄暗く鬱血したような色に変わっていて、体のほうも健康な人間と比べると白く、クリーム色のような色に変わっていた。
蘭の苦しみを表しているのは顔や首だけではない。腹部に放られた左手の指はまるで今もなお首の縄を振りほどこうとしているかのような形で硬直している。一方の右手は力なくベッドの外へと垂れ下がっていた。
下半身に目を向けると、水着の股の部分にはしみができていた。失禁の痕跡だ。
足は少しだけ開いた状態で伸ばしていた。
その足は裸足で、いなくなったときに履いていたサンダルは履いていなかった。
真夏の気温あるいは必死に抵抗して体を動かしたせいなのか、蘭は薄っすらと汗をかいており、まだその汗は引いていない。まだ死んでからそれほど時間が経っていないのか、死んだ人間よりは冷たい印象を受けるが、蘭の体にはまだ温もりが残っている。
表情と皮膚の色に目をつぶれば、まだ生きてるようにも見えなくない。
しかし、蘭は死んでいる。
思い出の中の蘭はいつも笑顔だ。
しかし目の前にいる蘭は苦悶に満ちた表情で横たわっている。
そのあまりにも変わり果てた無残な姿に、毛◯探偵もコ◯ンも言葉を失い、呆然としていた。
第一発見者の警官によれば、ビーチの見回りをしていた際、営業時間外のため撤去されていたはずのビーチベッドが一つ置かれており、不審に思って近づいたところ、蘭の遺体が横たわっていたという。
リゾートホテルの宿泊客で、かつ長い黒髪の若い女性を選んで殺害していること。
豊かなプロポーションにも関わらず、一切の性的暴行を加えられていないこと。
これらの特徴は、ホテルに潜伏していると噂の連続殺人鬼の手口と一致していた。
その後の毛◯探偵の憔悴っぷりは見るに堪えないものだった。
ふだんなら事件解決に喜び勇んで参加するはずが、もはや周囲の呼びかけにもまともに答えられないほどだった。
娘を失った名探偵は探偵事務所をたたみ、一切の交流を絶ってしまった。
残されたコ◯ンも犯人を必ず捕まえると誓ったものの、結局事件は迷宮入り。
蘭の死後、「眠りの小◯郎」そして「平成のホームズ・工◯新◯」は二度と現れなかったという。
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