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pixiv側へ掲載した「幼女構築プログラム」の関連話です。

幼女構築プログラムで年長に仲間入りしたひかりちゃんは、おもらしを言えず……。


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「皆さーん、今日から新しく皆のお友達になるひかりちゃんだよ。仲良くしてね」

「よろしくね。なかよくしてね」


 とある町の幼稚園で、年長のひまわり組に仲間入りしたひかりちゃん。

 この子は幼女構築プログラムを受ける者として、誰にも分からないように女児として仲間入りした。

 勿論、プログラムの仕組み上本人ですらも、その事実を知らないまま。


「うぅっ……」

「ひかりちゃん、どうしたのかな?」


 少しプルプル震え気味のひかりちゃんに対して、先生が心配そうに声を掛ける。


「おしっこ……でちゃった」

「あらあら、大丈夫だからね。配しないで。先生がすぐに取り替えてあげますからね」


 ひかりちゃんはおもらししてしまった事を告げると、先生に別室へ連れられておむつを取り替えてもらう事になった。


「ひかりちゃんはおしっこ、良く出る方なのかなー?」

「うん、けっこうでるよ」

「じゃあ先生とお約束。おしっこが出そうになったり、出ちゃったらすぐに先生に言ってね」

「うん、わかった」


 幼女構築プログラムにおいて、おしっこをすぐ伝えられるかどうかは非常に大事なポイントだ。

 漏らしてしまってもすぐに対処出来るか、大事な部分を清潔に保ってすぐキレイに出来るかどうか。

 将来的に子供を産む為のプログラムなので、こういう要素は非常に重要となる。


 先生は勿論、この子がプログラムを受けている者と知らない。

 ただ単純に人として、特に女の子としての「当たり前の事」を教えているだけだ。


「おまた、スースーする」

「気持ち悪くないかなー? 今キレイに拭いてあげるからね」


 先生がおむつを脱がすと「むわん」と強烈な臭いが立ち籠める。

 おしっこの量が物凄く多く、おむつは見た目で分かる程ぐっしょりと黄色に染まっていた。


「せんせい、ありがとう」

「どういたしましてー。新しいおむつ、穿き穿きするから足上げてねー」

「はーい」


 ひかりちゃんは両足を上げて、新しいおむつを穿かせてもらった。


「良く出来ましたねー。これで大丈夫よ」

「わたし、もうだいじょうぶ。こんどはもらさないようにがんばる」

「うん、頑張りましょうね」


 と、ひかりちゃん自身はそう言うものの……。



「あぁ……」


 皆でお歌の時間、ひかりちゃんはまたおむつを湿らせてしまった。


「ひかりちゃん、どうしたのかなー?」

「えっと、あの、その……」


 幼児として心身共に再構築されているので、ひかりちゃんは周りの本物の女児達と同等だ。

 だからおもらしだって当たり前のように、普通にしてしまう。

 でもさすがに2回目ともなると、恥ずかしいと言う感情は芽生えてしまうようだ。


「な、なんでもないの」


 幼女構築プログラム浸透の為、ひまわり組には女児しか居ない。

 現代では小学3年生からようやく男女のクラスになるので、周りに男児は一人も居ないのだ。

 それでも恥ずかしいものは恥ずかしいようで、ひかりちゃんはおもらしを言えずにためらってしまった。


「ひかりちゃん、先生とのお約束は覚えているかなー?」

「えっとね、あのね……でちゃったら、すぐせんせいにいうの」

「良く覚えてましたねー。それで、ひかりちゃんはどうなのかな? 悪い子さんなのかな?」

「わたし、わるいこはやだぁ……」

「じゃあきちんといえるかな?」


 先生はひかりちゃんの様子から悟ったようで、ひかりちゃんにきちんと言わせようとします。


「おしっこ、またでちゃったの……」

「良く言えましたね。心配しなくて大丈夫よ、クラスの皆も全員おむつだからね。誰でも漏らしちゃう事はありますからね」


 その事を分かっていても、幼児の思考としては恥ずかしいものがあるのだろう。

 だけどこれを乗り越えなければ、本物の幼女としてプログラムを続けて行く事は出来ない。

 無事にプログラムを継続したまま小学2年生を終えれば満了となり、今後は女の子としての新しい人生が保証される。


 適正によって何歳から始まるか、人によって違うのでプログラムを受ける期間もそれぞれなのだ。

 ひかりちゃんの場合、恐らくおむつやおもらしに関する適正がいまいちだったのだろう。

 その準備期間も兼ねて、幼稚園からの適正チェックになったのかもしれない。


「りなちゃんと一緒に別室へ行きましょうね。先生が戻るまで、皆さんは好きな事をして遊んでてくださいね」

「りなちゃん?」


 良く見ると先生の服をぎゅっ、と掴んでいる子が居た。

 どうやらりなちゃんと言う子に取って、これがおもらししちゃったと言う合図のようだ。


「わたし、ひかりだよ。りなちゃん、よろしく」

「……ぷいっ」

「あれ?」


 ひかりちゃんが声を掛けるも、りなちゃんはそっぽを向いてしまった。

 この子は純粋な女児なのか、幼女構築プログラムを受けている者なのかは分からない。

 ただ、1つだけ言える事はどちらでも今は同じ、と言う事。


 ひかりちゃんも心身共に再構築されている手前、どっちだったとしても性質は変わらないと言う事だ。


「ひかりちゃん、ごめんね。りなちゃん、凄い人見知りであまり喋りもしないの」

「ひとみしり、って?」

「お友達とお話をしたくない、と言う事かな。りなちゃん、悪い子じゃないからそこは分かってあげてね」

「うん?」


 今の状態のひかりちゃんに取っては、少し難しい話だったみたいだ。


「りなちゃん、一人で出来るかな?」


 先生が尋ねると、りなちゃんは首を縦に振った。


「はい、じゃあこのおむつに穿き替えてね。おまたは良く拭いてくださいね」

「りなちゃんすごい、ひとりでできるんだ」


 ひかりちゃんがおむつを穿き替えているりなちゃんを見ると、またりなちゃんはそっぽを向いてしまった。

 特に恥ずかしそうな様子はないみたいだから、本当に単に人見知りなのだろうか。


「じゃあひかりちゃんは、先生がやってあげますからね」

「せんせい、よろしくね」

「ひかりちゃん、次の時はちゃんと自分から言えるかなー?」

「まわりにみんながいて、いうのはずかしい」

「恥ずかしいねー? でも言わないと、おむつが膨らんでおしっこが溢れちゃって、もっと恥ずかしい事になるんだよー」


 それを聞いたひかりちゃんは、想像でもしてしまったのだろうか。


「うん、つぎはきちんというね」


 幼児ながらにも、言わないと大変な事になると分かったようだ。


「あら、大変。おむつのストックが切れているわ。ひかりちゃん、ちょっとここで大人しく待っていられるかな?」

「まっていればいいの? うん、だいじょうぶだよ」

「ごめんね。先生、すぐおむつ取ってくるからね」


 先生はおむつを取りに行くと言って、一旦部屋から出て行ってしまった。


「ねえ、あなたはどっちなの?」

「え?」

「どっちなの? って聞いているの」


 先生が居なくなった途端、りなちゃんはひかりちゃんに話し掛けてきた。


「あなたは本当の女の子なの? それとも元は男の人なの?」

「え、いってることがわからないよ」

「私、知ってるんだから。幼女構築プログラムの事。だって私、天才なんだもん」


 自称天才と言っているりなちゃんは、幼稚園児なのに幼女構築プログラムを知っていると言い出した。

 この子は本当に普通の女児……なのだろうか?


「えーと、ぷろぐらむってなーに?」

「……皆忘れちゃうものね。これじゃああなたが本物か偽物か分からないわ」

「ほんもの? にせもの?」

「言っておくけどね、私は天才なの。だから、周りに偽物が居る事も分かってるんだから。偽物と仲良く出来る訳ないもの」

「よくわからないけど、みんななかよくだよ。りなちゃん」

「あなたは目の前の私が本当は男だとしたら、仲良く出来る? しようと思える?」

「んん? えーと、おはなしがむずかしいよ」


 女児同等のひかりちゃんに、りなちゃんの言う事を理解出来る筈もない。

 りなちゃんは幼女構築プログラムの事を知っていて、受けて紛れている者の事を「偽物」と認識しているようだ。


「ひかりちゃん、お待たせ。大人しく待っていられたかな?」

「あのね、わたしね、りなちゃんとおはなししてたの」

「え、りなちゃんと? 珍しいわね、りなちゃんが初対面の子とお話するなんて。どんなお話をしていたのかなー?」

「えーとね、よくわかんないけど、にせものがどーとか」

「りなちゃん、何か楽しい事でもお話していたのね」


 先生がりなちゃんに話し掛けるものの、りなちゃんは再び黙り込む。


「りなちゃん? あれ、もうおはなししないの?」

「……ぷいっ」


 りなちゃんはまたそっぽを向いてしまった。

 先生も何があったのか良く分からない、と言った様子だった。


「とりあえず、おむつ取り替えちゃいましょうね。ずっと湿ったままのだと、気持ち悪いよね」

「うん、せんせい」


 おむつを取り替えてもらって、ひかりちゃんとりなちゃんはひまわり組へ戻った。



「わーい、カレーだー」


 お昼の給食は園児達が大好きなカレーライス。

 いただきますの合図を終えると、皆喜んでぱくぱくと食べ始める。


『ボトッ』

「あ……」


 ひかりちゃんはスプーンから零してしまい、カレーをスカートの上に落としてしまった。


「いわなくちゃ……でも、はずかしい」

『ぎゅっ』

「え?」


 ひかりちゃんの失敗に気付いたりなちゃんが、ひかりちゃんのスモックをぎゅっと掴む。

 どうやら一緒に来て、と言う事のようだ。


「え、いっしょにいけばいいの?」

「……ぷいっ」


 りなちゃんはそっぽを向いてしまった。


「え、わたし、どうすればいいの?」

『ぎゅっ』


 りなちゃんが早く来て、と言わんばかりにひかりちゃんのスモックを引っ張る。


「いけばいいんだね、わかった」


 ひかりちゃんは席を立って、りなちゃんと先生の元へ向かった。


『ぎゅっ』

「あら、りなちゃんどうしたのかな? ひかりちゃんも一緒なのね?」


 りなちゃんは目線を向けて、先生にひかりちゃんの「失敗」を気付かせた。


「まあ、カレーを零しちゃったのね? 染みになっちゃったら大変、すぐにスカートを取り替えましょ」


 ひかりちゃんはまたまた別室へ連れて行かれる事になり……。


「りなちゃん、知らせてくれたのね。ありがとう。りなちゃんは戻って、給食を食べてて大丈夫よ」

『ぎゅっ』

「え、りなちゃんもかな?」


 どうやらりなちゃんも先生に用があったようだ。

 それを察した先生は、またひかりちゃんとりなちゃんを纏めて別室へ連れて行った。


「りなちゃんはおもらしね?」


 りなちゃんは先生の問い掛けに対して、首を縦に振る。


「ちゃんと伝えられてエラいわね。ひかりちゃんの事も、教えてくれてありがとう」

「……ぷいっ」


 りなちゃんはそっぽを向いてしまった。


「あらあら……今おむつ、新しいの出しますからね」


 先生はりなちゃんにおむつと、股間を拭く紙を手渡した。


「ひかりちゃんはまた大人しく待てるかな? 先生、新しいスカートを取ってくるからね」

「うん、わかった」

「じゃあ少しの間、待っててね。あ、染みを洗うからスカートは持って行くわね」


 先生はひかりちゃんのスカートを降ろし、ひかりちゃんの下半身はおむつ丸出しになった。

 そして先生はそのまま、スカートを取りに行ってしまった。


「ねえ、私の事、おかしい子って思ってるでしょ?」

「え、おかしい? なにが?」

「だって、何度も何度もおもらししちゃうのよ。天才なのに、体はこうだから勝手に漏れちゃうの」

「おかしくないよ、わたしもおなじだもん」

「あなたと一緒になんかしないで。私は天才だもん。それにあなた、偽物かも分からないでしょ」

「にせものって、なーに?」

「私だって、何で幼女構築プログラムの事を知っているのか……自分自身でも良く分からないのよ」


 りなちゃんは自分でも何故知っているか良く分からない、と言い出した。


「もしかしたら私だって偽物、なのかもしれない……でも、本当の女の子なのに何かの理由で知ってしまっただけ、と言う可能性もある」

「うん?」

「私、自分が分からないの。本物なのか偽物なのか……もし偽物だったらどうしよう、って。私の歩んで来た人生、今の私でさえ、全部偽りなの? って」

「えーと、よくわかんないよ」

「偽物だったとしたら、今の私が消えて居なくなるかも分からない。だってこんなにおもらしばかりだもん。偽物だったら、男に戻る運命しかないんだから」

「りなちゃんは、にせものっていうの?」

「分かんないのよ、自分自身で本物なのか偽物なのか。だから怖い、急に私が私で無くなる、居なくなるかもしれない、と思うと……」


 りなちゃんは俯いてしまった。


「よしよし、いいこいいこ」

「ちょ、あなた、何やって」

「わたしにはね、むずかしくてよくわかんない。でも、そんなくらいかおしちゃダメだよ。いいこいいこ」

「……ぷっ! そんなおむつ丸出しのあなたにいい子いい子されたって、全然元気になんかならないわよ」

「そうなの? りなちゃん、なんだかわらってるよ」


 りなちゃんは否定しつつも、ひかりちゃんの反応が面白かったようでクスッとしていた。


「ひかりちゃんはもし偽物だったら、どうするの? こんなおもらしばかりで、いつ自分が自分で無くなるかも分からないのに」

「うーん、よくわかんないけど、わたしはわたしだよ。ひかりだもん」

「私は私……か。そっか、そうよね。自分が本物とか偽物とか、そんな事どうでもいいのかな。少なくとも、今の私はりなだもん」


 りなちゃんは本物なのか偽物なのか、自分自身でも分からない。

 ただプログラムの事を知ってしまっただけの天才女児なのか、それともプログラムを受ける者が何かしらの理由で不具合を起こしているのか。

 でもひかりちゃんと話していたら、そんな事はどうでも良くなってしまったようだ。


「私は私だもん。明日も明後日もその先も、私が私である限り。私の人生を歩み続ければいいだけよね」

「りなちゃん、えがおになった」

「と、私もおむつ丸出しのままだったわね。早く取り替えちゃわないと。女の子なのにはしたないもの」

「はしたない、ってなに?」

「きっと、ひかりちゃんにはまだ分からないわよ。私が天才なだけ、だからね」


 りなちゃんはそそくさとおむつを脱ぎ出した。

 おむつを脱ぐと言動に似つかわず、むわんと凄いおしっこの臭いを辺りに充満させる。

 言動はどれだけ天才でも、おしっこの臭いが女児である事を物語っていた。


「ひかりちゃんお待たせ。新しいスカート、取ってきましたからね」

「せんせい、あのね、りなちゃんがね」

「うん、りなちゃんがどうかしたのかな?」

「にぱあって、わらってくれたんだよ」

「え、りなちゃんが?」


 ひかりちゃんがりなちゃんの方を見ると、ちょうどおむつを穿き終えたようだった。

 こっちを向いてはくれないものの、でもさっきと違ってぷいっとした反応は見せなかった。


『プシャアアアアアア』

「あ……せんせい、おしっこでちゃった」

「出ちゃったね、じゃあおむつも取り替えようね」

「はーい」

「りなちゃんも居るのに、ちゃんと言えたね。ひかりちゃん」


 ひかりちゃんは結局、おむつとスカートの両方を取り替える事になってしまった。



「ママ、ただいま」

「おかえり、ひかりちゃん」


 帰りはバス送迎なので、幼稚園バスはひかりちゃんのアパート前に止まった。

 ママがアパートの入り口で待っていて、ひかりちゃんと一緒に部屋へと戻って行く。


「幼稚園、どうだったかな?」

「おもらししちゃって、カレーもこぼしちゃって、せんせいにめいわくかけちゃった」

「あらあら、そうなの……」

「でもね、なかよくしてくれるおともだち、できたよ」

「お友達が出来たのね? 良かったじゃない」

「うん、りなちゃんっていうんだよ」

「そうなんだ、今度ママも会ってみたいな」


 ひかりちゃんはママと話しながら、アパートの部屋へ入った。


「あ、ひかりちゃんだ。おかえりー」

「ただいま、おねえちゃん」

「ちえちゃん、冷蔵庫におやつのプリンがあるからね。ひかりちゃんと一緒に食べましょうね」

「おやつ? わあい」

「おねえちゃんとおやつ、うれしいな」


 ひかりちゃんは着替えて手洗いうがいなどをして、お姉ちゃんと向かい合ってテーブルの椅子に座った。


「おねえちゃん、なんだかうきうきだね。プリンがそんなにうれしいの?」

「うん? プリンもうれしいよー。でもね、ひかりちゃんがきてくれたことがね、もっとうれしいのー」

「そうなの?」


 実はひかりちゃんは、体の事情で今まで別の施設に居た、と言う事になっている。

 勿論、幼女構築プログラムを受けているので、これは架空の作り話ではある。

 そんな事を知る由も無いお姉ちゃんのちえちゃんは、妹のひかりちゃんが戻って来たと思い込んでいる。


「あ……」

「ひかりちゃん、どうしたのー?」

「おしっこ、すこしもらしちゃった……」

「おむつははいているよねー?」

「うん……」


 おむつ着用の義務化はあくまで登園・小学校2年生までの女の子の登校時の事なので、家では義務化はされていない。

 でも心配な子は勿論、義務化と関係無しに家でもおむつの子だって居る。

 ちえちゃんも少し前までは、家でもおむつを穿いていた。


「じゃあいまはまだ、もらしてもだいじょうぶだよー。まだまだおむつがはずれるまでながいもん。じかんをかけて、ちょっとずつなおそうねー」

「うん、おねえちゃん」


 今や小学3年生に進学したちえちゃん。

 この子も幼女構築プログラムを受けていて……小学2年生を無事終えて期間が満了したので、今は完全に普通の女の子として人生を歩んでいる。

 勿論、自分がプログラムを受けている者で元は男だった、だなんてそんな記憶は一切無い。


 プログラム満了に伴い、幼女生活を通して新たに形成された人格と心が、今後も一生続いて行く事になる。


「なんだかあたし、あかりちゃんをおもいだすなー」

「あかりちゃん?」

「うん、あたしのおともだちだったこだよ。てんこうしちゃったけどね、よくおもらししてたんだー」

「そうなんだ。あかりちゃん、っていうんだ」

「ひかりちゃんがきてから、なんだかまるであかりちゃんがね、そばにいてくれるかんじがするの。だからね、あたし、うれしいんだー」


 ちえちゃんは無邪気に笑って、そんな事を口走った。


 何事にも予期せぬ事態が起こったりする例外、と言うものは必ず付き纏う。

 適正チェックを通れず、男に戻ってしまったとある者。

 何の因果かちえちゃんの事を思い出してしまい、それがきっかけでもう一度ちえちゃんの側に居る事となった。


 本当はこんな事は起こり得ない、しかし起こってしまったものは仕方がなく。

 男がちえちゃんの記憶を保持したままでは、万が一ちえちゃんの身に何かしら起こってからでは遅い。

 それならば再度男に幼女構築プログラムを受けてもらって、絶対に安全な幼女として側に居させる方が良いだろう、と。


 例外として認められ、男は「ひかりちゃん」として生まれ変わり、適正の再チェックにより今度は幼稚園年長からスタートとなった。


 ひかりちゃんはあかりちゃん時代、既に一度適正チェックで失敗している。

 しかし今度は幼稚園年長から長く期間を取る事で、おもらしだってどうにか治して行けるかもしれない。

 このような例外がきっかけとなり、今後再び幼女構築プログラムを再度受けられる、と言う動きにも繋がるだろう。


 ひかりちゃんは正に、一度プログラムへ落ちた者達に取っての「希望の光」となったのだ。


「それにひかりちゃんって、いいなまえだよねー。なんだか、あかりちゃんともにてるものー」

「えへへ、そうかな? わたし、うれしい」


 だけど実際、当人達はそんな事を知る由も無く。

 今後ひかりちゃんがひかりちゃんとして在り続けられるか、ずっとちえちゃんと姉妹で居られるか、どう転ぶかはひかりちゃん次第なのだろう。

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