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 前回の妃愛アフターのレビューがトンデモなく長くなったので今回はあっさり短めを意識します。

【常磐華乃】 評価:★★★☆☆

 本作のドスケベ枠、コイツがいっちゃん変態です。


 前作を知らない人向けにかるーくネタバレをすると、この華乃というヒロインは重度の女オタクです。

 幼い頃から女オタクを拗らせていて小学校の自己紹介で夢は声優!好きなキャラクターは〇〇!と言ってしまうような、まあオタクならよくある若気の至りをやらかした少女です。

 本人はそういう若気の至りを痛い行動と認識しており、当時クラスメイトだった主人公に対して色々と敵対心のようなものを抱いていました。

 自分の黒歴史喋ったら殺す、みたいな。

 まあそれから紆余曲折有りつつも和解して、前の学校でブスって言われたせいで自分の容姿に自信がなかったり、同人活動で一緒にやっていた人に裏切られて身近な人と一緒に何かをすることに拒否感があったりと、妃愛と比べれば軽いとはいえトラウマがあります。(本人はトラウマを否定する)

 そんな華乃ですが主人公と付き合いだしてからは「かわいい」「すき」と言われることによって自己肯定感が高まったり、生徒会活動を通して身近な人と一緒に何かをすることに対する楽しみを知っていきます。


 で、本編。

 軽い主人公の独白から始まって、開幕これである。

 何故土下座しているかって?


 誕生日だからドMにイジメられたい。

 手錠してお尻叩いてくださいって嫌がる主人公に懇願してます。


 そう、常磐華乃とはこういう女なんです……。

 オタクが抱くあれやってみたい、これやってみたい、同人誌でよく見るあれこれ。

 それを彼氏を使ってやってみようとするのが常磐華乃という女。

 だからアブノーマルなプレイや発想がすごい。

 でも可愛いんだよなぁ~~~~。

 

 そんなこんなで手錠で縛って開幕からエッチシーンで始まります。

 わぁ~、ドスケベ女オタク彼女~~。

 終始「すきすき」言ってくるので砂糖が甘い。


 で、色々終わると華乃が一人暮らしをするから大学からは主人公と同棲をしたいと言い出す。そう、愛の巣である。

 前回のレビューで触れた通り妃愛には特大級の闇があるのだが主人公にとっては大事な妹と同じぐらい恋人も大事で、妃愛が許すならと同棲を快諾する。

 そして夜、妃愛に同棲の相談をするのだが……、

 俺、辛いよ妃愛……。

 無理に明るく振る舞っているのがありありと感じ取られるし、それでも笑って送り出そうとする健気さとかこれ見てるだけで涙が滲んでくる。

 何を隠そう華乃ルートは前作ヒロイン中唯一の家を離れるルートになっています。

 あすみも詩桜先輩も妃愛と一緒に住もうって話になるんだけど、華乃だけは主人公が家から出ていってしまう、しかも特に救済はない。つらい。

 ただ他ルートと比べても妃愛があすみと親密に友情を育んでいるのでもう一生ふたりで仲良く暮らしてくれ……。


 そして学園パート。

 早朝から待ち合わせをする主人公と華乃は人目を忍んで手を繋ぎながら登校をします。

 女オタクである華乃には理想のキャンパスライフというものがあり、その中には恋人と手を繋いで学園へ行く、お昼ごはんを一緒に食べるなどなど甘い夢があるのです。

 しかし目立つのが大嫌いで人前でイチャつくことが出来ない華乃はこうして早い時間や人がいないときを狙って好き好きアピールしてくれます。

 まあ、全部クラスメイトにはバレてるんですけどね。

 あんなに嫌悪して避けていた陽キャギャルグループとも仲良さそうにしてる華乃すごい。

 なんでも彼氏持ちとはそれだけでクラスカースト上位になるらしく、オマケにカースト上位の【竜閑天梨】とも仲が良いからクラス内で華乃の地位はかなり高いみたい。


 主人公はひとり自分の席から陽キャギャルと華乃の会話を盗み見しているのだが、なんともまあこのときの主人公はオタクらしく陽キャギャルへの偏見に溢れている。

 クリエイターとして稼いでいる華乃へ純粋に尊敬の目を向けるギャルたちに金をたかろうとしてる!?と勘違いするんだけど、そのときの大人な対応の華乃との対比は前作で修羅場を超えたヒロインと見守っていた主人公の成長の違いというか素人とプロの違いというか……。

 ハミクリ凸ではクリエイターなヒロインに対して素人の主人公が余計な気を揉んだりとかして後々から後悔したり悩んだりっていう場面が度々差し込まれるんだけど、なんていうかそれが素人とプロの対比として上手に描かれていて良いと思います。


 そして先日学園を卒業したはずの詩桜先輩が教室に現れ、執筆中の小説が没になったから云々という話を始める。

 ここは妃愛アフターと同じだが、今回は主人公をテーマにした純文学ではなくライトノベルを書くらしい。ちなみにテーマは生徒会。

 勇者育成学園から追放された生徒会長が魔王にスカウトされて魔界の学園で生徒会長して無双する追放ざまぁ系。

 その挿絵をイラストレーターである華乃に依頼したいと思いふたりの元へ訪れたらしい。


 しかしそれに難色を示す華乃。

 どうやら同人イベントやエロゲの原画や担当VTuberのグッズ製作や受験でスケジュールが詰まっていて受けたいのに受けれない状態らしい。

 で、何かしら解決したら受けようと思ってるけどその前に引っ越しが……。

 ここで主人公、同棲は大学からだと思っていたから驚く。

 どうやら同棲は大学からだけど華乃はいち早く一人暮らしをする予定らしい。家賃は23万、ひぇ~。


 それから新居はふたりの愛の巣だね!って言って、ここでOP

 結構イベント消化したらからとうの昔にOP流れた気になっていたけどまさかのまだOP流れてなかったんだ!?と驚き。

 これはOPの遅さとか華乃の積んでるタスクとか愛の巣発言でトンデモナイ長さになるでぇ!って予感がビシバシしてくる。


 そしてOP明け、引越の手伝いをする主人公。

 基本的に家具は新調してるけどお気に入りの棚とかフィギュアは全部こっちに持ってきてるから主人公は男手として重宝される。

 やがて一通り作業が終わりふたりでお喋り。

 さあ、引っ越し作業が終わったふたりはその次に何をするでしょうか?


 そう、エッチですね。

 しかもメイドのコスプレをして。

 基本的に華乃は自分の身体をモデルにしてエッチなイラストを描いたり気分が盛り上がるとひとりでシちゃうような娘なので、付き合ってからは暇があればエッチして何なら資料用とか言って写真を撮ったり動画を撮ったりしてきます。

 流石は旧ヒロインの中で本作ひとりだけエッチシーンが1回余分に多いだけあるでぇ……。


 まあそんな感じにイチャついていたら進級。

 クラス分けを前に緊張する華乃だけど無事に主人公、アメリと同じクラスになって一安心。

 アメリはアメリでギクシャクしてた陽キャギャルグループから離れられて華乃と仲良く出来ることに大喜び。


 放課後は卒業した詩桜先輩の家に集まって旧生徒会メンバーでお喋り。

 このルートでは次の生徒会選挙には出ずに解散してしまったので、誰かが場所を提供しないとヒロインが一堂に会することがなくなるからね。

 ひとりを好む詩桜先輩も旧生徒会メンバーはお気に入りらしく、自分が居ない日でも集まっていいよと乗り気な様子。

 まどそふとの別作品、ラズベリーキューブではヒロイン同士の絡みが殆どなかったのでこうやって生徒会という場所が無くても集まれる関係性や居場所っていうのはとても良い。


 で、夜。

 詩桜先輩の家でどこか居心地悪そうにしていた華乃がLINEで、

 と相談をしてくるのだが……、みなさんはこれを見てどう思うだろうか。

 私は面倒くせぇ!と思った。

 そして主人公は心のなかで、

 と言った。


 そう、華乃という女は面倒くさいのだ。

 集団生活を避け、人と遊んだことが無いに等しい華乃はこういうときに相手が不快にならないだろうかということばかり考えてしまい、その癖その場で行動が出来ずに後から後悔をする。

 そもそも場所を提供しないからといって不快に思う人間なんて陽キャですらほぼ存在しないだろうに、そういう些細なことが気になってしまうのが陰キャオタクの性。

 そしてその反省会に毎晩付き合わされるのが彼氏たる主人公の役目なのです。

 まあ、主人公も集団生活を避け、人と遊んだことが無いに等しい人種で思考も華乃と似たところがあるから相談する相手間違えてるんですけどね。ガハハ

 ちなみに割と長々と理屈っぽく華乃にアドバイスして安心させるんだけど、その後の、

 が可愛い。

 こういうところがあるから面倒くさいけど可愛いんだよなぁ!

 あとこの後盛り上がって通話エッチしてた。


 それから妃愛がライブで数日家を空けることになったので華乃の家にお泊りすることに。

 これからイチャイチャ毎日エッチ生活かぁ、と思ったらまさかの滞っていたエロゲの原画発注が一気に来て修羅場に突入。

 なんで一気に発注が来たかという説明を華乃がしてくれて、そこからディレクター職に興味を持つ主人公なのだが……、華乃から待ったが掛かる。


 曰く絶対にディレクターにだけはなるな、と。


 そして華乃からディレクターという役職について説明がされるのだが……、これが思いの外長い。

 しかもイラストレーターである常磐華乃の言葉ではなく実際のエロゲ制作チームの愚痴っぽいのが多い。


 たとえばこれ。

たとえばこれ。

たとえばこれ。

 あんまりこういうことは言いたくないのだが常磐華乃というキャラクターを使って中の人(エロゲ会社)の言葉が透けて見えてしまってちょっとここはうんざりポイント

 だって業界を見てきたエロゲのイラストレーター(外注)だとしても言葉が完全にディレクター目線で我々はエロゲを作るのがこれだけ大変で~って語らせているようで、せっかく公式サイトの説明から愛の巣で同棲イチャラブアフターストーリーを期待していたら中の人の言葉を延々と聞かされるのはちょっとね……。


 いや、常磐華乃という女は前述した通り面倒くさい女でしかもオタクでしかも長文で語りがちで、その上クリエイターとしての自分に強い誇りを持っているからこうやって長々と語るのはキャラクターとして分かる。

 でもこのシーン以外でもクリエイターとして長々語ることが多く、自分的にはアフターストーリーだからてっきりイチャラブ多めだと思っていたら業界苦労話や裏話ばっかりで冷水を浴びせられた気分になる。

 最初はへーそういうものなんだーって業界話を豆知識感覚で楽しんでいたのだが、このエロゲ苦労話は流石にちょっと胃もたれがしてしまった。


 まあ、簡単に言えば面倒くさい長文語りする華乃の性質に、更にエロゲ会社の想いが乗ってしまった結果、相乗効果で会話のテンポが悪くなってしまったという印象。


 そんな不満点はありつつも原画作業を進める華乃。

 ちょいちょい主人公が素人意見を入れて華乃が答えることによって素人とプロの意識の違いだとか業界を知らないプレイヤーへの解説になってるのは親切。

 ちなみに華乃が修羅場に突入してるのは締切がヤバいのではなく、早く終わらせて詩桜先輩のラノベの挿絵を担当するために納品を前倒ししようっていうセルフ修羅場が理由。すごい


 そんなこんなで原画の鬼になった華乃は一ヶ月と10日を残して作業を終わらせ、詩桜先輩の依頼を受けることに。

 しかしここでも問題発生。

 挿絵の納期が夏期講習と被ったり、3巻までは出版が確定しているからスケジュールが向こう一年埋まりそうな勢いで受験勉強をする時間がない。

 でも華乃の目標は受験勉強も仕事も納期も守って恋人らしいことを全部ちゃんとやる。

 そのために一旦実家に戻って受験が終わるまでは親のお世話になろうか悩んでいるらしい。

 まあ、そりゃぁ受験を控えてる身で一人暮らししてしかもイラストレーターとして仕事をするってはじめから無茶だよなぁ、って。

 でも何一つ諦めずに美味しいところ全部持っていこうとするのが華乃らしいよ。


 それから妃愛が修学旅行へ行くことになって再びお泊りへ。

 そのときのワンシーン。

 ここすごくかわいい。


 で、新居でふたり語らうのだけど、結局受験が終わるまでは実家に帰ることにして、夏期講習は受けられないから代わりに詩桜先輩に家庭教師をしてもらうことにしたらしい。

 負けず嫌いで何でも背負って全部自分一人で解決しようと無理をする華乃が、こういう風に誰かを頼ったり妥協する選択が取れるようになったのは恋人が出来たことによる成長なのかなぁ、としんみり。

 それからふたりは盛り上がってエッチして、裸ワイシャツでモーニングコーヒーを飲んで……、ED。おわり、タイトル画面


 ん?

 あれ、Cパートは?見落とした?バグか?

 ラノベの話は?主人公の夏期講習は?家庭教師は?イチャイチャは?受験は?

 そういえばなんか気になることがあるなぁ、と思ってスキップでもう一度ラストを確認。

 ウィンドウの上に書かれてる章タイトルは……、

 は?

 え、続きはファンコミュニティでってこれTwitterでよく見るエッチな漫画で続きはFANBOXでとかそういうパロディ?つまり未完?

 でも待て、まどそふとはこういう悪ふざけや悪ノリを章タイトルにして遊ぶクセがあるから、決してこれが本当に支援サイトへの誘導ってわけではない。

 そう、つまり、正真正銘これが華乃アフターのエンディングなのである。

 

 ここで既に総評を述べてもいいのだが、まあ、まあ、待て。

 ハミダシクリエイティブ凸にはおまけシナリオというエッチシーンが収録されたエロゲによくあるあれがある。

 それを見てから評価を下すのでも遅くはない。


 見ました。

 まーた土下座してるよ。

 どうやらお話は次の華乃の誕生日で、本編から半年ぐらい経ってるようだ。

 昨年は軽いSMプレイをお望みしてたけど、今年は主人公に推しキャラのコスプレをしてもらってエッチがしたいらしい。

 まあ、華乃に甘い主人公でも絶対にできないことは幾つかあるけどそれぐらいならと受け入れて、ヤッて、まさかこれでおまけシナリオ終わり?と思ったら受験結果を見に行く主人公たちの姿が。

 どうやら他のエッチで終わるだけのおまけシナリオとは違い、華乃のおまけには本編の後日談が入っているようだ

 いや、これCパートに入れなよ。なんでエッチメインのおまけシナリオに入ってるんだよ。これがファンコミュニティかよ。


【総評】

 全体的に盛り上がりに欠けて、まだシナリオ7割ぐらいだろうなーと思ってたら不意打ち気味に終わって困惑しました。

 なんかイチャラブにしてもクリエイティブパートにしてもどっちも中途半端で、恋も青春もお仕事も欲張りな華乃を表現するために風呂敷を広げたら思いの外広げすぎて尺足りないからとりあえず全部放り投げて終わらせるか!って感じがすごい。


 甘いイチャイチャは?クリエイターとしての華乃は?学生としての華乃は?


 そうなると遊びココロ溢れる章タイトルも意図した未完が言い訳のように見えてきてなんだか不満がふつふつ……。

 正直途中からは新居での甘い新生活ではなく、修羅場を前にしてイチャイチャを我慢して原画を描いているだけ、スケジュールやばくて受験どうしよーって言ってるだけで事前情報のこれどこいった?

 むしろ序盤でエッチを連発したせいで後半はひたすら面倒くさい華乃の長文お仕事話が繰り広げられて、最後も盛り上がらずにストーンって終わって拍子抜け。

 ここから終わりに向けて加速していくかなーと思ったら助走しすぎて最後は息切れゴール。

 お前はツインターボか。

 

 なんていうか、プロットの最初の行に「クリエイターの苦労話、裏話」「最近流行りのラノベジャンルについて」って書きたいこと一覧をメモしたはいいけど、そこに注力して肝心の常磐華乃アフターストーリーを途中で放り投げられた感じ。

 いや、たしかに最初はクリエイターのお話は興味深かったし、エロゲってそうやって作られるんだーとか知識が増えた。

 最近流行りの(一昔前だけどたぶん執筆当時は最新だったんだろう)Web小説界隈からやって来たラノベネタもあって時事ネタとして楽しめた。

 でも、そういうクリエイターの知識のお披露目が先行して肝心のヒロインの可愛さが途中からはおざなりになっていた印象を受けた。


 しかし勘違して欲しくないのはこのレビューは別に華乃アフターを叩きたいわけじゃない。

 途中まではキャラ同士の会話が面白いしイチャラブが強くて楽しめたし、おかげで期待値がすごく高かった。

 でも、だからこそ、期待値が高いせいで最後の最後に肩透かしを食らってしまって、そのせいで途中に目立っていたクリエイターパートが冗長だった感じてしまったのだ。

 まだ盛り上がりに欠けるから7割ぐらいかなー、ここから山場かなーって思ってたら急に下山ってそりゃぁ噴飯ものでしょう。


 どうしてエロゲの苦労話を削ってもっと風呂敷畳むパートに力を注げなかった……!

 

 前回レビューした妃愛アフターが風呂敷を新たに広げつつも綺麗な終わり方をしていただけに、風呂敷を広げに広げて一切畳まなかった華乃アフターは個人的にイマイチでした。

 終わりよければすべてよしとは言うけども、逆を言えば終わりが雑だと途中までどれだけ良くても最終的な印象は悪くなってしまうもの。

 まあ、尺は無限ではなく限られてるから仕方ないけどそれだったらそれでもう少し削ることが出来れば……。


 ちなみに先に他ルートのネタバレをしておくと、あとの3ルートは風呂敷を広げつつもしっかり畳まれていて全部綺麗な終わり方をします。


 いちおうフォローしておくと減点箇所は終わりの雑さとクリエイター苦労話でそれさえ除けば5点満点でもまあいいかな、と思う。イチャラブはよかったし

 あと、ホント些細だけどエッチ中に「え待って無理◯◯◯◯◯尊すぎる」って女オタク構文を長文早口で何回も言ってくるの、正直ちょっとキツイ……。

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